説明

制御装置、情報表示器及び情報表示システム

【課題】複数の情報表示器を冊子状に綴った状態で個別に識別可能で、且つ識別した該当する情報表示器に所定の情報を表示させる制御装置、情報表示器及び情報表示システムを提供する。
【解決手段】制御装置は、画像信号に対応する所定画像を情報表示領域に表示する複数の情報表示器を制御する。制御装置は、複数の情報表示器を重ねて冊子状に綴るとともに、複数の情報表示器の各々と連結する装置側連結機構を備え、装置側連結機構には、装置側導通部分と、装置側絶縁部分とが形成されており、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンは、複数の情報表示器の各々で異なり、画像信号を複数の情報表示器に送信する画像信号送信部と、所定画像を表示すべき情報表示器を識別するための識別信号を複数の情報表示器に送信する識別信号送信部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方の基板が透明な情報表示領域を有する2つの基板の間に配置される表示媒体を駆動させて、画像信号に対応する所定画像を情報表示領域に表示する複数の情報表示器を制御する制御装置、情報表示器及び情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも観察側となる基板が透明な2枚の基板を対向させて形成した空間に、電気的に駆動できる表示媒体を配置した情報表示パネルが情報表示器として知られている。
【0003】
更に、紙と同様に、複数の情報表示器を見開き可能に綴った情報表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような情報表示装置によれば、情報表示器を冊子のように利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−162902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された情報表示装置では、次のような問題点があった。すなわち、情報表示装置の各情報表示器を一度見開きにしなければ、本体に認識されず、各情報表示器に表示させる情報の書き換えを行うことができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数の情報表示器を冊子状に綴った状態で個別に識別可能で、且つ該当する情報表示器に所定の情報を表示させることができる制御装置、情報表示器及び情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、少なくとも一方の基板が透明な情報表示領域を有する2つの基板の間に配置される表示媒体を駆動させて、画像信号に対応する所定画像を前記情報表示領域に表示する複数の情報表示器を備える情報表示システムにおいて、複数の情報表示器を制御する制御装置であって、複数の情報表示器を重ねて冊子状に綴るとともに、複数の情報表示器の各々と連結する装置側連結機構を備え、装置側連結機構には、前記情報表示器と電気的に接続される装置側導通部分と、前記情報表示器と電気的に絶縁される装置側絶縁部分とが形成されており、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンは、接続される複数の情報表示器の各々に対して異なるように形成されており、画像信号を複数の情報表示器に送信する画像信号送信部と、前記画像信号に対応する所定画像を表示すべき情報表示器を識別するための識別信号を、前記複数の情報表示器に送信する識別信号送信部とを備え、前記識別信号は、装置側導通部分と装置側絶縁部分との前記配置パターンに対応することを要旨とする。
【0008】
本発明の特徴によれば、制御装置は、複数の情報表示器を重ねて冊子状に綴り、複数の情報表示器に連結する装置側連結機構を備える。装置側連結機構は、装置側導通部分と装置側絶縁部分とを有する。また、制御装置は、画像信号を複数の情報表示器に送信する画像信号送信部と、所定画像に書き換えるべき情報表示器を識別する識別信号を、複数の情報表示器に送信する識別信号送信部とを有する。装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンは、接続される複数の情報表示器の各々に対して異なるようにしてある。制御装置は、画像信号および識別信号を含む制御信号として送信する制御信号の識別信号あるいは画像信号とともに送信する識別信号を用いて、画像信号による所定画像に表示を書き換えるべき情報表示器を指定できる。識別信号は、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンに対応する。各情報表示器は、制御装置と接続されることによって、自身が接続された位置にある装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンに基づく識別情報を付与されることになり、制御装置から、画像信号および識別信号を含む制御信号として送信された制御信号の識別信号あるいは画像信号とともに送信された識別信号と、制御装置との接続によって自身に付与されたこの識別情報に基づき、制御装置から送信された画像信号が、自身の表示を書き換えるものであるかどうかを判定する。この判定は、情報表示器側が備える、論理演算を行う電子回路によって実行され、画像信号および識別信号を含む制御信号として送信された制御信号の識別信号と、あるいは画像信号とともに送信された識別信号と、付与された識別情報とを比較することによって、画像信号に対応する所定画像に表示を書き換えるべき情報表示器と判定された情報表示器においてだけその表示が書き換えられる。このように、かかる制御装置によれば、複数の情報表示器を冊子状に綴った状態であっても、複数の情報表示器の各々を個別に識別して、画像信号に応じた所定画像に書き換えるべき情報表示器に所定画像を表示させることができる。
【0009】
また、各情報表示器に対して識別情報を与える導通部分と絶縁部分との配置パターンが、制御装置側の連結機構に装置側導通部分と装置側絶縁部分として、接続される各情報表示器に対応する位置に形成されている。したがって、情報表示器には導通部分と絶縁部分とを形成せずに、全てを導通部分とした導通接続部としておくだけでよいので、情報表示器の共通化を図ることが可能になる。
【0010】
本発明の他の特徴では、前記装置側連結機構は、前記複数の情報表示器を重ねて載置する載置部と、前記載置部から突出し、複数の情報表示器の孔部に貫通する突出部とを有し、装置側導通部分と装置側絶縁部分とは、前記突出部に形成されており、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンは、複数の情報表示器の各々の載置位置に応じて異なることを要旨とする。
【0011】
本発明の第2の特徴は、少なくとも一方の基板が透明な情報表示領域を有する2つの基板間に配置される表示媒体を駆動させて、制御装置から受信した画像信号に対応する所定画像を前記情報表示領域に表示する情報表示器であって、前記画像信号を前記制御装置から受信する画像信号受信部と、前記情報表示器自身が、前記画像信号に対応する所定画像を表示すべき情報表示器であるかを識別するための識別信号を、前記制御装置から受信する識別信号受信部と、前記制御装置が備える、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンが形成された装置側導通接続部と接続されることによって、前記配置パターンに基づく識別情報が与えられる表示器側導通接続部と、を備えるとともに、前記識別信号と、前記配置パターンに基づく前記識別情報と、に基づいて、前記画像信号に対応する所定画像を前記情報表示器自身に表示するか否かを決定する判定回路を備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴は、上述した制御装置と、上述した複数の情報表示器とを備える情報表示システムであって、前記制御装置は、前記複数の情報表示器に対して、それぞれの情報表示器に表示すべき所定画像に対応する画像信号およびそれぞれの情報表示器を識別するための識別信号を含んだ制御信号を順次送信し、前記複数の情報表示器のそれぞれは、前記識別信号と、制御装置との接続によって付与された、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンに基づく識別情報と、に基づいて、前記画像信号による所定画像を自身に表示するか否かを決定後、自身に表示すべき所定画像を順次表示することを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の情報表示器を冊子状に綴った状態で個別に識別可能にして、該当する情報表示器に所定の情報を表示させることができる制御装置、情報表示器及び情報表示システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る情報表示システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る情報表示システムの分解斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す情報表示システムのX−X線における断面図である。
【図4】図4は、図1に示す情報表示システムのY−Y線における断面図である。
【図5】図5(a)は、制御装置の装置側連結機構である突出部に形成された導通接続部124の平面図である。図5(b)は、情報表示システムの接続部分の拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る情報表示システムの情報表示器を説明する平面図である。
【図7】図7は、図6に示す情報表示器のA−A線における断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る情報表示器の導通接続部となる孔部の拡大図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る制御装置と情報表示器との接続構成および判定回路の一例を説明する回路図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係る情報表示器に配置される駆動回路と、駆動回路に接続される接続線を説明する図である。
【図11】図11は、情報表示システムの処理を説明するフローチャートである。
【図12】図12(a)は、装置側連結機構の変形例による情報表示システムを説明する図である。図12(b)は、装置側連結機構の他の変形例による情報表示システムを説明する図である。
【図13】図13は、装置側連結機構の他の変形例を説明する図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態に係る情報表示システムを構成する情報表示器の一例を説明する概略斜視図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態に係る情報表示システムの機能ブロック構成の一例を示す図である。
【図16】図16は、本発明の情報表示器の一例である粒子移動型の情報表示器の一部を分解して示す分解斜視図である。
【図17】図17(a)は、情報表示器の他の実施形態を説明する図である。図17(b)は、情報表示器の他の実施形態を説明する図である。図17(c)は、情報表示器の他の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る情報表示器の一例及び制御装置の一例について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)情報表示システムの概略構成、(2)制御装置の構成、(3)情報表示器の概略構成、(4)制御装置と情報表示器との接続回路構成および判定回路構成、(5)情報表示システムの処理、(6)作用・効果、(7)連結機構の変形例、(8)情報表示器の具体的構成例について説明する。
【0016】
以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。具体的な寸法などは、以下の説明を参酌して判断すべきものである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
(1)情報表示システムの概略構成
図1は、情報表示システム100の概略構成を示す斜視図である。図2は、情報表示システム100の分解斜視図である。図3は、情報表示システム100のX−X線における断面図である。
【0018】
図1乃至3に示すように、情報表示システム100は、複数の情報表示器110と、複数の情報表示器110に対する情報の表示を制御する制御装置120とを備える。本実施形態では、制御装置120は、外装体Cとして構成されている。制御装置120は、CPU20、グラフィックコントローラ30(図15参照)、メモリなどを備えている。制御装置120は、情報表示器110に画像信号を送信するとともに、画像信号に対応する所定画像を表示するように情報表示器110を制御する。
【0019】
本実施形態に係る情報表示システム100において、制御装置120には、外装体Cから突出した複数の突出部121が形成されており、複数の情報表示器110には孔部(貫通孔)110hが形成されている。孔部110hに突出部121が貫通されることにより、複数の情報表示器110が制御装置120に取り付けられる。具体的には、制御装置120は、突出部121によって、複数の情報表示器110を重ねて冊子状に綴ることができる。また、制御装置120には、パーソナルコンピュータ(PC)、その他の電子機器、記憶装置などと接続可能な接続端子が設けられていてもよい(不図示)。
【0020】
さらに、情報表示を実行する時に必要な電源供給は、外装体Cにシート電池やコイン型電池などの電源を搭載して制御装置120と接続させたり、外装体Cに設けた制御装置120と接続した接続端子に外部電源を接続させたりして行うことができる。
【0021】
図1の例では、情報表示システム100は、冊子状に綴じられた情報表示器の外装体Cに制御装置120を設けた構成を示したが、情報表示システム100は、冊子状に綴じられた外装体Cとは別体として配置された制御装置120を備えることで、制御装置120が、外装体Cに設けられた接続端子に接続して情報表示器を制御する構成としてもよい。
【0022】
本実施形態において、制御装置120に設けられる突出部121は、情報表示器110を重ねて載置する外装体Cの載置部Caから突出し、一方向に並列して形成されている。突出部121のうちのいくつかは、導電性の部材を備えて形成されており、CPU20などの電子デバイスと電気的に接続されている。
【0023】
また、情報表示器110に設けられる孔部110hは、情報表示器110の一辺に並列して所定数形成されている。孔部110hのうちのいくつかは、導電性の部材を備えて形成されており、導電性を備えた突出部121と電気的に接続可能に構成されている。突出部121と孔部110hとは互いに係合可能に構成されている。
【0024】
本実施形態では、突出部121と孔部110hとは、互いに係合することによって、情報表示器110と制御装置120とを機械的に連結するとともに、情報表示器110と制御装置120とを電気的に接続する。制御装置120は、複数の情報表示器110を重ねて一纏めに綴るとともに、情報表示器110と電気的に接続されている。すなわち、導電性の部材を備えた突出部121と導電性の部材を備えた孔部(貫通孔)110hとは、情報表示器110と制御装置120との物理的、機械的に連結する部分であって、かつ電気的に接続する部分である。導電性の部材を備えない突出部121と導電性の部材を備える孔部(貫通孔)110hとは、情報表示器110と制御装置120とを専ら、物理的、機械的に連結する部分となる。本実施形態において、突出部121は、情報表示器110を重ねて冊子状に綴る装置側連結機構を構成し、孔部110hは、装置側連結機構に連結する表示器側連結機構を構成する。突出部121および孔部110hのいくつかを、専ら物理的、機械的係合構造を形成する構造部材として、電気的接続とは無関係に形成することもできる。導電性の部材を備えた突出部121は、制御装置側の導電接続部121Eを構成し、導電性の部材を備えた孔部110hは、情報表示器側の導通接続部を構成する。導電接続部121Eについては、詳細を後述する(図4参照)。
【0025】
なお、図1に示す情報表示システム100は、少なくとも表面が絶縁性の材料で形成された留め具130を備える。突出部121に孔部110hが挿通されることによって積層された情報表示器110は、絶縁性の留め具130によって、導電部分が形成された突出部121同士がリークしない状態で固定されている。
【0026】
(2)制御装置の構成
図4には、図1のY−Y線における断面図が示されている。なお、図4の例では、情報表示器110の各々の導通接続部(導電性の部材を備えた孔部110h)が有する導電性の部材(電極ということもある)については省略されている点に留意すべきである。制御装置120は、複数の突出部121を備え、このうち導電性の部材を備えた複数の突出部(導電接続部121Eともいう)を介して、複数の情報表示器110に制御信号(画像信号および識別信号)を送信する。具体的に、制御装置120の複数の突出部121は、識別信号送信部123b、123d、123f、123h(以下、適宜、識別信号送信部123と示す)および導通接続部124a、124c、124e、124g(以下、適宜、導通接続部124と示す)とで構成される導電接続部121Eと、導電性の部材を備えることを要しない係合部121Xと、を有する。なお、制御装置120の複数の突出部121の導電接続部121Eは、複数の情報表示器110に画像信号を送信する画像信号送信部122(図9参照)も有している。
【0027】
識別信号送信部123(図4に示す例では、123b、123d、123f、123hの4つの突出部)は、CPUから出力される識別信号をすべての情報表示器110に対して送信する。具体的に、識別信号送信部123は、画像信号に対応する所定画像に書き換えるべき情報表示器110を識別する識別信号を、複数の情報表示器110の全てに送信する。識別信号は、画像信号に対応して送信され、例えば、画像信号に含ませて、あるいは、画像信号とともに送信される。後述する装置側導通部分および装置側絶縁部分の配置パターンは、複数並んでいる導通接続部124(図4に示す例では、124a、124c、124e、124gの4つの突出部)の水平方向に形成される。
【0028】
複数の導通接続部124のそれぞれには、情報表示器110の各々と電気的に接続される装置側導通部分と、電気的に絶縁する装置側絶縁部分とが、重ねられた各情報表示器110に対応する位置に形成されている。具体的に、複数の導通接続部124のそれぞれには、装置側絶縁部分として、絶縁部125が形成されている。
【0029】
ここで、図5(a)には、導通接続部124aの水平断面図(DX−DY平面)が示されており、図5(b)には、導通接続部124aに3枚の情報表示器110(#1、#2、#3)が重ねられて接続された部分の垂直断面拡大図(DY−DZ平面)が示されている。図5(a)、(b)に示すように、導電接続部124aには、情報表示器#1と接続される高さ方向の位置に絶縁部分が形成されるとともに、情報表示器#2および#3と接続される高さ方向の位置に導通部分が形成されている。図4に示すように、複数の導通接続部124(124a、124c、124e、124g)のそれぞれには、複数の情報表示器110(#1〜#16)の各々の載置位置(高さ方向の位置)に対応付けられた絶縁部125が形成されている。
【0030】
複数の情報表示器110(#1〜#16)の各々に対応する装置側導通部分および装置側絶縁部分の配置パターンは、複数並んでいる導通接続部124(124a、124c、124e、124g)のそれぞれにおいて同じ高さ方向の位置で水平方向に形成される。
【0031】
絶縁部125が形成されている部分では、制御装置側の導通接続部124と情報表示器110側の導通接続部である孔部110hとは、電気的に非導通(絶縁)となる。一方、絶縁部125が形成されていない部分では、情報表示器110側の導通接続部である孔部110hと、制御装置120側の導通接続部124とが、導通接続部124の外周部で接触して、電気的に導通となる。このように、複数の導通接続部124それぞれの所定の高さ方向の位置に絶縁部125が形成されることによって、各情報表示器110に対応する装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンが、高さ方向の同じ位置の水平方向に形成されている。
【0032】
本実施形態では、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンは、複数の情報表示器110の各々で異なるように形成されている。具体的には、重ねた複数の情報表示器110の載置位置に応じて、配置パターンが異なるように形成されている。なお、情報表示器110の載置位置とは、導通接続部124の延びる方向(DZ方向)において、重ねられた複数の情報表示器110の各々の位置を示し、ページ位置と言い換えることもできる。また、導通接続部124では、導通接続部124の並列に形成される方向(DY方向)に形成される装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンが、導通接続部124の延びる方向(DZ方向)において、複数(図4に示す例では、16個)形成されている。
【0033】
例えば、図4に示す装置側導電接続部124のうち導電接続部124aにおいては、図5(b)に示すように、重ねられた複数の情報表示器110の内、1ページ目に当たる#1情報表示器110の導電接続部(孔部)の電極117の露出部117aが絶縁部125に接触するため、導通接続部124aは、#1情報表示器110に対しては装置側絶縁部分となる。一方、他の情報表示器110(#2、#3)の導電接続部(孔部)の電極117の露出部117aは、絶縁部125が形成されていない導通接続部124aに接触するため、導通接続部124aは、#2情報表示器110、#3情報表示器110に対しては装置側導通部分となる。
【0034】
このように、制御装置側の導電接続部121Eを構成する、画像信号送信部122、識別信号送信部123、導通接続部124のうち、導通接続部124では、装置側導通部分と装置絶縁部分とが形成されている。各導通接続部124(図4に示す例では、124a、124c、124e、124gの4つの突出部)において、絶縁部分が形成されている高さ方向の位置および絶縁部分の数は異なる。また、各導通接続部124(124a、124c、124e、124g)が並んだときに高さ方向の同じ水平位置で形成される、装置側導通部分と装置絶縁部分の配置パターンが、すべて異なるように構成される。したがって、複数の情報表示器110の各々の載置位置、すなわち、ページ位置に応じて、装置側導通部分と装置絶縁部分の配置パターンが異なるように構成されている。
【0035】
また、制御装置側の導電接続部121Eである識別信号送信部123は、上述した構成の配置パターンで配置した導電接続部124に隣接するように形成すると、接続される情報表示器における判定回路の形成領域をコンパクトにまとめられ、情報表示器の非表示領域(いわゆる額縁部分)を少なくできるので好ましい。制御装置側の導電接続部121Eに形成された識別信号送信部123は、重ねられた複数の情報表示器110のうち、所定画像を表示すべき情報表示器を識別する信号をすべての情報表示器110(図4に示す例では、#1情報表示器〜#16情報表示器の16個)に送信する。
【0036】
制御装置側の導電接続部121Eを構成する、画像信号送信部122、識別信号送信部123、導通接続部124のうち、画像信号送信部122および識別信号送信部123は、導電性材料製の突出部であり、各突出部(図4に示す識別信号送信部の例では、123b、123d、123f、123hの4つの突出部および不図示の画像信号送信部122)は、重ねられた複数の情報表示器110の各々に対応する高さ方向の位置すべてにおいて導通する接続部となる。上記したように、識別信号送信部123は、装置側導通部分と装置絶縁部分の配置パターンが形成された導通接続部124と隣接配置され、互いにペアとなるようにするのが好ましい。
【0037】
制御装置側の導電接続部121Eである画像信号送信部122は、導電性材料製の突出部であり、上記識別信号送信部123と同様の導電性材料製とする。画像信号送信部122は、重ねられた複数の情報表示器110の各々に対応する高さ方向の位置すべてにおいて導通する接続部となる。
【0038】
なお、制御装置側の導電接続部121Eを構成する、画像信号送信部122、識別信号送信部123、導通接続部124は、導電性材料で被覆された非導電性材料製の突出部であってもよい。この場合には、非導電性材料製の突出部の表面を被覆している導電性材料と、情報表示器側の孔部110h(導通接続部)が備える導電性部材とで導通が取れるようになっていればよい。
【0039】
また、制御装置側の導通接続部124に絶縁部125を形成する方法としては、導電材料製のピンの表面に絶縁膜コートを施した後、所定の領域の絶縁膜を研磨やエッチングなどの手法を用いて除去する方法や、所定の領域をマスクした後、絶縁材をスパッタリング、塗布、転写などの手法を用いて形成する方法などを用いることができる。
【0040】
制御装置側の導通接続部124を、導電性材料で被覆された非導電性材料製の突出部とした場合には、被覆してある導電性材料を研磨やエッチングなどの手法を用いて除去する方法で絶縁部125を形成して、導通部分と絶縁部分とを備えた導通接続部124とすることもできる。
【0041】
絶縁部125の厚さtは、絶縁性が発揮されればよく、0.1μm〜100μmが好ましい。0.1μmより薄いと破損して絶縁性が損なわれる虞があり、100μmより厚いと、制御装置120側の導通接続部124の導電部材に接触させたい情報表示器110側の導電接続部(孔部110h)の電極露出部117aが、制御装置120側の導通接続部124の導電部材に接触できなくなる虞があるためである。
【0042】
制御装置側の導通接続部124を、導電性材料で被覆された非導電性材料製の突出部とした場合には、被覆してある導電性材料の厚さが、上記絶縁部125の厚さtに対応することになるので、非導電性材料製の突出部を被覆してある導電性材料の厚さについても、上記絶縁部125の厚さtと同様なことがいえる。
【0043】
また、絶縁部125の幅W1は、複数の情報表示器110が冊子状に綴られた状態を考慮すると、情報表示器110の厚みW2と同等程度であることが好ましい。例えば、情報表示器110の厚みW2が700μmである場合には、絶縁部125の幅W1は、700μm程度であることが好ましい。なお、絶縁部125の幅W1は、情報表示器110を構成する2つの基板、基板間のギャップ、ICドライバ等のサイズを考慮して、適宜、最適な幅を決定すればよい。
【0044】
係合部121Xは、情報表示器110の孔部(貫通孔)1131Xに挿入されて、複数の情報表示器110を束ねる機能を有する。なお、本実施形態では、複数の突出部121のうち、両端の突出部121を係合部121Xとして構成しているが、係合部121Xは、別の突出部121によって構成してもよいし、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、突出部121は、係合部121Xを備えていなくてもよい。
【0045】
(3)情報表示器の概略構成
図6は、情報表示器110を説明する平面図である。実施形態において、情報表示器110は、矩形状の薄いパネル型であって、電子ペーパーなどとして用いることができる。ここで言う矩形状は、ノート用紙などで一般的に知られている形状であり、角部が丸くカットされていたり、角部が少し直線的にカットされていたりすることを含む。情報表示器110には、情報が表示される情報表示領域110aが形成されている。
【0046】
図7は、図6に示す情報表示器110のA−A線における断面図である。情報表示器110は、一対の基板(観察側基板181,背面側基板182)を備える。観察側基板181は、透明である。情報表示領域110aは、観察側基板181に形成される。観察側基板181には、観察側電極(図6、図7には不図示)が形成されている。また、背面側基板182には、背面側電極192が形成されている。一対の表示用電極(観察側電極、背面側電極)が形成された一対の基板間には、所定の間隔(ギャップ)が形成されており、観察側電極と背面側電極との間には、表示媒体層115が配置されている。
【0047】
図2の例では、各情報表示器の向きを揃えて、すなわち、各情報表示器の表示画面を上にして重ねている様子を示しているが、2枚の情報表示器の背面側を貼り合せ、表裏の両面に表示画面を備えた情報表示器としてもよい。
【0048】
表示媒体層115は、帯電性粒子を含んだ粒子群が表示媒体として配置されている気体層(真空層を含む)または液体層であったり、コレステリック液晶層であったりする。いずれも表示メモリ性を備え、無給電状態でも表示させた所定画像を保持できる。実施形態では、表示媒体は、帯電性及び光学的反射率を有する少なくとも2種類の粒子群であり、例えば、負帯電性白色粒子又は正帯電性黒色粒子とされている。これらの帯電性粒子は、基板間に印加された電圧で形成された電界によって観察側電極に(または背面側電極)に向けて気体中(真空中を含む)または液体中を移動する。本実施形態では、背面側基板182は、情報表示領域110aよりも広く形成されており、情報表示器110の骨格をなす。背面側基板182には、電極117を介して、駆動回路200が配置されている。電極117及び駆動回路200は、絶縁膜118によって被覆されている。
【0049】
情報表示器110は、平面において、情報表示領域110aの外側に複数の駆動回路200a〜200eを備える。駆動回路200a〜200eは、ドライバICとも呼ばれるものであり、このドライバICはOUTPUT(情報表示領域110aへの信号出力)を無効にする機能を備えており、観察側電極と背面側電極とに印加する電圧を制御することによって、情報表示領域110aに所望の画像等の情報を表示させる。
【0050】
本実施形態では、情報表示器110の複数の孔部(貫通孔)110hは、制御装置側の突出部121に係合する。制御装置側の突出部121のうち、導電接続部121E(画像信号送信部122、識別信号送信部123、導電接続部124)に対応する孔部110hは情報表示器110側の導電接続部を構成する。情報表示器110側の導電接続部は、駆動回路200に接続する電極117の先端部において、孔の内部に露出した露出部117aとして形成されている。制御装置側の識別信号送信部123に対応して、情報表示器110側には、識別信号を受信する識別信号受信部が形成される。この構成について、図9を用いて説明する。図9に示すように、情報表示器110側には、制御装置120側の突出部121の導電接続部121Eである識別信号送信部123b、123d、123f、123h、123j、123l(図中の黒丸印)に対応して識別信号を受信する識別信号受信部1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131l(図中の黒丸印)が形成されている。また、情報表示器110側には、制御装置120側の突出部121の導電接続部121Eである導通接続部124a、124c、124e、124g、124i、124k(図中の白丸印)と電気的に接続される導通接続部1131a、1131c、1131e、1131g、1131i、1131k(図中の白丸印)が形成されている。
【0051】
なお、情報表示器110側の導電接続部を構成する複数の孔部110hは、制御装置120の画像信号送信部122から送信される画像信号を受信する画像信号受信部1120も有している(図9参照)。また、情報表示器110の複数の孔部110hは、導通部分を有していない係合孔部(貫通孔)1131Xを、有する。(図6参照)
識別信号受信部1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131lは、識別信号を送信する制御装置120の識別信号送信部123b、123d、123f、123h、123j、123lと電気的に接続することができる。
【0052】
ここで、情報表示器110側の導通接続部1131a、1131b、1131c、1131d、1131e、1131f、1131g、1131h、1131i、1131j、1131k、1131lは、制御装置120側の導電接続部121Eに対応した導通接続部とする必要がある。情報表示器110側の導通接続部1131a〜1131lは同じ構造の導通接続部としてもよいし、異なる構造の導通接続部としてもよい。
【0053】
図8は、情報表示器110の平面視において導電性の部材を備えた孔部110h(導通接続部1131aが形成された孔部)を拡大した拡大図である。情報表示器110の背面側(ここでは背面側基板182)に形成された孔部110hは、貫通されている。図8に示すように、電極117は、露出部117aを有する。露出部117aは、孔部110hの中心に向けて突出し、露出している。露出部117aは、導電性の部材を備えた制御装置120側の突出部121(導電接続部121E)と接触することにより、情報表示器110と制御装置120とが電気的に導通可能になる。
【0054】
導通部分を構成しない係合孔部1131Xは、制御装置の係合部121Xが挿入され、制御装置と情報表示器110とを物理的、機械的に接続するためのものである。なお、係合孔部1131Xは、導電性の部材を備えていない孔部とすることができるが、導電性の部材を備えた孔部とすることもできる。制御装置120の係合部121Xは、機械的係合にのみ用いる突出部であり、導電性の部材を備えていない突出部とすることができるが、導電性の部材を備えた突出部とすることもできる。なお、本実施形態では、複数の孔部110hのうち係合部に対応する両端の2つの孔部を係合孔部1131Xとするが、その位置及び数はこれに限定されない。
【0055】
孔部の内側に露出した電極の露出部117aは、制御装置側の導電接続部121Eとの接続部となる。この電極の露出部117aは、制御装置側の導電接続部121Eである突出部121が挿入可能な円形孔、十文字形状をしたスリット孔、円形孔と十文字スリット孔を組合せた孔、円形孔と三方スリット孔を組合せた孔、複数のスリット孔を星型に集合させた孔、星型の孔を有する形状とする構成を例示できる。図8には、十字星形の孔を有する電極の露出部117aが示されており、突出部121がこの孔に挿入されると電極の露出部117aが撓み、突出部の挿入がなされるとともに、露出部117aと突出部121の導電接続部121Eとの電気的接続がなされる。
【0056】
(4)制御装置と情報表示器との接続回路構成および判定回路構成
図9は、本実施形態に係る情報表示器110と制御装置120との接続回路構成および判定回路構成を説明する回路図である。図9には、制御装置120と一つの情報表示器110との連結部分の回路構成の一部が示されている。図10は、本実施形態に係る情報表示器110に配置される駆動回路200a〜200eと、駆動回路200a〜200eに接続される接続線を説明する図である。
【0057】
制御装置120の導電性の部材を備えた突出部(導電接続部121E)のうち識別信号送信部123b、123d、123f、123h、123j、123l(図中の黒丸印)は、識別信号受信部1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131l(図中の黒丸印)に物理的に接続するとともに、電気的に接続する。
【0058】
制御装置120の導電性の部材を備えた突出部(導電接続部121E)のうち導通接続部124a、124c、124e、124g、124i、124k(図中の白丸印)は、導通接続部1131a、1131c、1131e、1131g、1131i、1131k(図中の白丸印)に物理的に接続するとともに、電気的に接続する。
【0059】
但し、本実施形態では、制御装置120には、複数の導通接続部124において、絶縁部125を形成した導通接続部124(図9では導通接続部124c)を有することで、1個の装置側絶縁部分と5個の装置側導通部分との配置パターンが構成される。例えば、制御装置120が導通接続部124を6個有する場合、1個から6個まで装置側絶縁部分を設けることができ、2通りの配置パターンを得ることができる。つまり、制御装置120は、導通接続部124をN個有する場合、2(2のN乗)通りの配置パターンを設けることができる。
【0060】
この場合、情報表示器110では、制御装置120の導通接続部124a、124c、124e、124g、124i、124kに接続される情報表示器110側の導通接続部1131a、1131c、1131e、1131g、1131h、1131kと、駆動回路200a〜200eとの間に判定回路が形成される。図9に示した例では、1個の装置側絶縁部分(124c)と5個の装置側導通部分(124a、124e、124g、124i、124k)との配置パターンが識別情報として形成され、情報表示器110の判定回路310において当該情報表示器110を識別するための識別情報となる。
【0061】
なお、各情報表示器110に対応して制御装置120側の複数の導通接続部124の同じ高さ位置において水平方向に形成される装置側絶縁部分は、1つの情報表示器110あたり、1個設けてもよいし、複数個設けてもよい。また、情報表示システムが備える複数の情報表示器のうち1つの情報表示器に対応する前記水平方向には、絶縁部分が設けられていなくもよい。すなわち、各情報表示器110に対応して制御装置120側の複数の導通接続部124の同じ高さ位置において水平方向に形成される装置側絶縁部分と装置側導通部分との配置パターンは、複数の情報表示器の各々に対応する高さ位置における水平方向において、互いに異なるように構成されていればよい。
【0062】
したがって、図9に示した情報表示器110と制御装置120とで構成する情報表示システムでは、2枚(64枚)の情報表示器110を識別できる識別情報を、2通り(64通り)の配置パターンで得ることができる。
【0063】
情報表示器110が備える判定回路は、図9に示すように、識別信号受信部(1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131l)および導通接続部(1131a、1131e、1131g、1131h、1131k)と、駆動回路200a〜200eとの間に、例えば、XNOR回路311、NAND回路312を論理回路(この場合は一致回路となる)として備えた判定回路310として構成する。
【0064】
判定回路310は、識別信号受信部1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131lを介して受信した識別信号と、制御装置120が有する装置側絶縁部分と装置側導通部分との配置パターンとの接続によって各情報表示器110に与えられる識別情報とを比較して一致するか一致しないかを判定する。
【0065】
判定回路310の出力線は分岐されており、駆動回路200a〜200eの各々に接続されている。ここでは、判定回路310は、駆動回路200a〜200eのアウトプットイネーブル用ライン320a〜320eを介して、駆動回路200a〜200eに接続している。判定回路310は、上述した判定結果に応じて当該情報表示器が備える駆動回路200a〜200eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)を有効又は無効にすることによって、駆動回路200a〜200eと電気的に接続されるように構成されている。
【0066】
なお、図9に示す例とは異なる回路配線にして、駆動回路200a〜200eのチップセレクト用ライン320a〜320eに接続するような構成にすることもでき、判定回路を構成する回路配線は、これに限定されるものではない。
【0067】
なお、図9の例において、情報表示器110では、判定回路310は、XNOR回路311、NAND回路312を備える構成を示しているが、別の論理回路を備える構成にすることもできる。また、情報表示器110が備える判定回路310は、当該情報表示器を特定する情報、例えばページ番号を記憶させたICチップ(メモリ)を設けて、制御装置120から画像信号とともに送信された識別信号と、ICチップに記憶されるページ番号情報とを比較して、一致か不一致かを判定するような構成にすることもできる。
【0068】
この場合、制御装置120が有する装置側絶縁部分と装置側導通部分との配置パターンを、各情報表示器110の識別情報として利用しないことになる。上記したようなページ番号を記憶させたICチップ(メモリ)を設けた情報表示器は、構成が複雑になるとともに余分なICチップが必要となるためコスト高になる。
【0069】
それに対して、本発明に係る制御装置120が有する装置側絶縁部分と装置側導通部分との配置パターンを、各情報表示器の識別情報として情報表示器の判定回路に取り込む情報表示システムでは、図9に示したように、記憶部を備えるよりも回路構成が簡単であるとともに、高価なICチップを要しないことで安価にできるという利点がある。
【0070】
(5)情報表示システムの処理
図11は、情報表示システム100における処理を説明するフローチャートである。図11を参照して、情報表示システム100の処理動作について説明する。具体的には、制御装置120が複数の情報表示器110の内の一の情報表示器110に画像を表示する処理について説明する。
【0071】
なお、以下に示す具体例では、1つの制御装置120に、図9に示した構成の情報表示器110が64枚綴じられており、2ページ目にあたる#2情報表示器に画像信号に対応した所定の画像を表示する場合を例に挙げて説明する。よって、制御装置のCPUから2ページ目の#2情報表示器に表示する画像データの画像信号であることを示すための識別信号を含む制御信号を送信し、2ページ目の情報表示器に対して画像信号に対応する所定画像を表示させる。識別信号は、画像信号とともに送信することもできる。
【0072】
ステップ1において、制御装置120は、#2情報表示器の表示を書き換えることを示すための識別信号を含む制御信号を綴じられたすべての情報表示器110に対して送信する。したがって、上記制御信号は、識別信号と#2情報表示器に表示すべき画像データの画像信号とを含む。#2情報表示器に表示すべき画像データの画像信号とともに、#2情報表示器を識別するための識別信号を送信するようにしてもよい。具体的には、上記制御信号は、制御装置側の導電接続部121Eから送信され、情報表示器側の導通接続部で受信される。画像データの画像信号は、画像信号送信部122から情報表示器110に対して送信され、識別信号は、識別信号送信部123から情報表示器110に対して送信される。
【0073】
ここで、制御装置120では、#2情報表示器に接続する導通接続部124a、124e、124g、124i、124kは導通部分となっており、情報表示器110と導通しているが、#2情報表示器に接続する導通接続部124cは、絶縁部125が形成されることによって絶縁部分となっており、情報表示器110と絶縁している。#2情報表示器の表示を書き換えることを示すための識別信号を含む制御信号は、すべての情報表示器110に送信される。つまり、#2情報表示器の表示を書き換えることを示すための識別信号は、#2情報表示器以外の他の情報表示器にも識別信号送信部(123b、123d、123f、123h、123j、123l)から識別信号受信部(1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131l)に送信され、各情報表示器が備える判定回路310に入る。
【0074】
また、#2情報表示器以外の情報表示器が接続している導通接続部124a、124c、124e、124g、124i、124kにおける絶縁部分と導通部分との配置パターンは、図9に示した#2情報表示器が接続している導通接続部124a、124c、124e、124g、124i、124kにおける絶縁部分と導通部分との配置パターンとは異なる配置パターンとなっており、各情報表示器に対応する識別情報を形成している。したがって、制御装置に接続された各情報表示器の判定回路310は、それぞれ異なる識別情報を持つことになる。
【0075】
ステップ21において、各情報表示器は、識別信号受信部1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131lで受信した識別信号と、各情報表示器に与えられた識別情報とを比較して、一致しているか一致していないかを判定する。
【0076】
具体的には、制御装置120の識別信号送信部123b、123d、123f、123h、123j、123lから情報表示器110側の判定回路310に、表示を書き換えるべき2ページ目の情報表示器110を識別する識別信号(例えば、「010000」)が64枚全ての情報表示器110に対して送信される。#2情報表示器は、識別信号受信部1131b、1131f、1131h、1131j、1131lの出力が「0」となる。一方、識別信号受信部1131dの出力が「1」となる。
【0077】
また、導通接続部1131a、1131e、1131g、1131i、1131kの出力は、導通接続部の導通部分124a、124e、124g、124i、124kを介して接地されて、「0」となる。一方、絶縁部分である導通接続部124cに接続する導通接続部1131cは、接地されないため「1」が出力される。
【0078】
また、#2情報表示器110では、判定回路310のXNOR回路311の出力側の真理値は、「111111」となる。全てのXNOR回路311の出力が「1」となり、NAND回路312の出力は「0」となる。すなわち、#2情報表示器においては、#2情報表示器の識別情報と受信した識別信号とが一致する(ステップ21:YES)。
【0079】
よって、スイッチ350がオフ(OFF)となって(ステップ31)、駆動回路200a〜200eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)が有効となり(ステップ41)、駆動回路200a〜200eから#2情報表示器の情報表示領域110aへ画像データが出力される(ステップ51)。このようして、#2情報表示器の書き換えが実行される(ステップ61)。
【0080】
一方、他のページである情報表示器、例えば、1ページ目にあたる#1情報表示器は、導通接続部1131aに対応する導通接続部124aに絶縁部125が形成されている。ステップ1において、制御装置120が、#1情報表示器に対して、2ページ目に表示する画像データの画像信号と、その画像データが、2ページ目の情報表示器に表示するものであることを示すための識別信号とを送信しているので、#1情報表示器の識別信号受信部1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131lにも識別信号「010000」が送信される。#1情報表示器は、この識別信号と、導通接続部1131a、1131c、1131e、1131g、1131i、1131kを介して#1情報表示器に与えられた識別情報とを比較して、一致しているか否かを判定する。
【0081】
具体的には、制御装置120の識別信号送信部123b、123d、123f、123h、123j、123lから#1情報表示器110側の判定回路310に、2ページ目に表示すべき画像データの画像信号であることを示す識別信号(「010000」)が送信される。#1情報表示器でも、識別信号受信部1131b、1131f、1131h、1131j、1131lの出力は、「0」となる。一方、識別信号受信部1131dの出力は、「1」となる。
【0082】
また、導通接続部1131c、1131e、1131g、1131i、1131kの出力は、導通接続部の導通部分124c、124e、124g、124i、124kを介して接地されて、「0」となる。一方、絶縁部125が形成された導通接続部の絶縁部分124aに接続する導通接続部1131aは、接地されないため「1」が出力される。よって、#1情報表示器110では、判定回路310のXNOR回路311の出力側の真理値は、「001111」となる。全てのXNOR回路311の出力が「1」とならないため、NAND回路312の出力は「1」となる。すなわち、#1情報表示器においては、#1情報表示器の識別情報と識別信号とが一致しない(ステップ21:NO)。
【0083】
よって、スイッチ350がオン(ON)となって(ステップ32)、駆動回路200a〜200eのアウトプットイネーブル(OUTPUT−ENABLE)が無効となり(ステップ42)、駆動回路200a〜200eから情報表示器の情報表示領域110aへ画像データが出力されない(ステップ52)。つまり、#1情報表示器の書き換えが実行されない(ステップ62)。
【0084】
なお、ここでは、1ページ目にあたる#1情報表示器を例に挙げて説明しているが、#2情報表示器以外の他の情報表示器も同様に書き換えが実行されない。
【0085】
このように、情報表示システム100では、識別信号受信部1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131lで受信した識別信号と、情報表示器110側の導通接続部1131a、1131c、1131e、1131g、1131h、1131kと制御装置120側の導通接続部124a、124c、124e、124g、124h、124kとの接続によって形成される装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンで形成され、情報表示器ごとに与えられた識別情報とを比較して一致しているか一致していないかを判定する判定回路310を備えており、識別情報と識別信号とが一致した情報表示器110の情報表示領域110aに、駆動回路200a〜200eから画像データが出力される。つまり、所定画像に書き換えるべき情報表示器110を特定して、制御信号が含む識別信号、すなわち、画像信号とともに送信した識別信号に一致した情報表示器110にだけ、この画像信号に対応する画像データが出力されて、画像データに基づいた所定画像が表示される。
【0086】
なお、上述の例では、情報表示システム100において、制御装置120が、一つの情報表示器110(#2情報表示器)に表示する所定画像を書き換える場合を例に挙げて説明したが、情報表示システム100は、上述したステップS1乃至61の処理を繰り返すことによって、複数の情報表示器110のそれぞれに表示すべき所定画像を順次書き換えて表示することも可能である。具体的に、制御装置120では、複数の情報表示器110に対して、それぞれの情報表示器110に表示すべき所定画像に対応する画像信号を、それぞれの情報表示器を識別するための識別信号とともに順次送信する。制御装置120から情報表示器110に送信する制御信号は、画像信号と識別信号とで構成されていてもよいし、識別信号を含む画像信号として構成されていてもよい。一方、複数の情報表示器110のそれぞれは、制御装置120から送信された画像信号と識別信号とを受信するとともに、制御装置120側に形成された導通部分と絶縁部分との配置パターンに基づく識別情報が、各情報表示器が備える判定回路に与えられ、この識別情報と識別信号とに基づいて、当該画像信号に対応する画像を自身に表示するか否かを決定した後、表示すると決定した場合には、当該画像信号に対応する画像データが駆動回路200から出力されて、当該画像データに基づく所定画像を表示する。この動作は、複数の情報表示器110のそれぞれにおいて順次実行される。
【0087】
なお、情報表示システム100は、複数の情報表示器110のそれぞれを書き換える際、ページ番号順(載置位置の順番)に書き換えることも可能であるし、ランダムに書き換えることも可能である。
【0088】
また、上記実施形態で示した判定回路の構成は一例である。上記実施形態ではXNORおよびNANDの論理回路で比較するように構成されているが、例えば、CPU端子からの入力を一度シフトレジスタで受ける方法等も考えられる。このように、制御装置120から受信した識別信号と、制御装置120との接続によって各情報表示器110に与えられた識別情報とを比較して、一致しているか一致していないかを検出して判定する回路は、本発明の実施形態に記載した論理回路(XNOR、NAND)に限定されるものではなく、他の論理回路やメモリ回路など一般的に用いられる電子回路とすることもできる。
【0089】
(6)作用・効果
実施形態として示す情報表示システム100では、制御装置120に形成される複数の突出部121は、複数の情報表示器110を重ねて冊子状に綴るとともに、複数の情報表示器110の各々と連結する装置側連結機構を構成する。
【0090】
また、突出部121のうち導電性の部材を備えた突出部121(導電接続部121E)のいくつかは、情報表示器110を制御する制御信号を送信する送信部を構成している。具体的には、導電接続部121Eのいくつかは、画像信号を送信する画像信号送信部122と、当該画像信号に対応する所定画像に書き換えるべき情報表示器110を識別する識別信号を送信する識別信号送信部123と、接続された情報表示器110において当該情報表示器を特定するための識別情報となる、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンを形成する導通接続部124とを構成する。
【0091】
ここで、導通接続部124の中には、絶縁部125が形成された導通接続部124が含まれており、導通接続部124は、装置側導通部分と装置側絶縁部分とを有する。この導通接続部124が複数並べられたときに形成される装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンによって識別情報が形成され、この識別情報が情報表示器110に与えられる。具体的に、複数の情報表示器110が重ねられたときの位置に形成された識別情報が、対応する位置に接続された情報表示器110の各々に対して与えられる。この配置パターンは、複数の情報表示器110の各々が接続された位置に対応して異なるように形成され、複数の情報表示器110の各々に対して、それぞれ異なる識別情報として与えられる。よって、制御装置120は、配置パターンに対応する位置にある情報表示器110を、識別信号を用いて指定できる。
【0092】
また、情報表示器110では、判定回路310は、識別信号受信部1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131lで受信した識別信号と、導通接続部1131a、1131c、1131e、1131g、1131h、1131kを介して与えられた識別情報とを比較して、一致しているか否かを判定し、これらが一致した情報表示器110に対してだけ駆動回路200a〜200eのアウトプットイネーブルが有効になり、画像信号に対応する画像データを出力して所定画像の表示を実行する。
【0093】
このように、情報表示システム100では、制御装置120が、識別信号を複数の情報表示器110の各々に送信することで、識別信号および識別情報によって識別される情報表示器110にだけ、所定画像を表示させることができる。つまり、制御装置120は、「ページ」を構成する複数の情報表示器110が見開き状態か否かに関わらず、複数の情報表示器110を重ねて冊子状に綴った状態であっても、複数の情報表示器110の各々を個別に識別できるとともに、画像信号に応じた所定画像に表示を書き換えるべき情報表示器110に所定画像を表示させることができる。
【0094】
更に、制御装置120では、導通接続部124に装置側導通部分と装置側絶縁部分とが形成されているので、情報表示器110では、導通接続部の全てを導通部分として形成しておくだけで、制御装置120に接続された複数の情報表示器110のそれぞれに対して、それぞれを特定する識別情報を与えることができる。したがって、各情報表示器110の導電接続部121Eの構成は同じであっても、各情報表示器110の判定回路310には、各情報表示器110を特定する識別情報を取り込むことができるので、情報表示器110の共通化を図ることが可能になる。
【0095】
(7)連結機構の変形例
(7−1)変形例1
上述した実施形態では、制御装置側連結機構(装置側連結機構ともいう)は、突出部121であり、情報表示器側連結機構(表示器側連結機構ともいう)は、孔部110hである場合を例に挙げて説明したが、装置側連結機構と表示器側連結機構との形態は変更可能である。
【0096】
図12(a)乃至(b)は、装置側連結機構の変形例を説明する図である。図12(a)乃至(b)に示すように、留め具130が設けられる替わりに、外装体Cに湾曲部材140が取り付けられている。湾曲部材140の一方の端部140aは、外装体Cに取り付けられている。また、湾曲部材140の他方の端部140bは、突出部121の固定されていない端部121fに当接されている。すなわち、湾曲部材140と突出部121とによって閉じられた環状構造が形成される。
【0097】
導通接続部124とする突出部121の所定の位置に絶縁部135を設けて、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンを形成する。
【0098】
湾曲部材140は、端部140bと突出部121の端部121fとが離間する方向に可動自在に構成されており、突出部121に挿通された情報表示器110は、リング(湾曲部材140と突出部121とによって閉じられた環状構造)から取り外すことができる。
【0099】
湾曲部材140は、導電性の材料で形成することができる。これにより、図12(a)に示すように、突出部121の所定の位置にだけ絶縁部135を設けて、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンを形成するようにしたり、図12(b)に示すように、湾曲部材140の湾曲部分以外の部分(121_2)を、突出部121(121_1)と同構造の導通接続部124とした構成にしたりする。図12(b)に示した例では、情報表示器110を、図12(b)における右側から左側に移動させた状態で、左側に位置する情報表示器110に情報を表示させる処理を行うこともできるし、図12(b)における左側から右側に移動させた状態で、右側に位置する情報表示器110に情報を表示させる処理を行うこともできる。絶縁部135の形成位置は、突出部121_1と121_2とで対応するようにすることもできるし、全く無関係にすることもできるが、接続された複数の情報表示器110に対して付与される、導通部分と絶縁部分との配置パターンが異なるようにする。
【0100】
(7−2)変形例2
図13は、装置側連結機構の別の変形例を説明する図である。図13に示すように、湾曲部材140の一方の端部140aは、回動機構150を介して外装体Cに取り付けられている。湾曲部材140は、回動機構150によって、図13の矢印方向に回動することにより、端部140bと端部121fとが離間する。図12(b)に示した例と同じように、湾曲部材140の湾曲部分以外の部分(121_2)を、突出部121(121_1)と同構造の導通接続部124とした構成にしているが、図12(a)に示した例と同じように、突出部121(121_1)だけを導通接続部124としてもよい。すべての突出部121_2の表面すべてに絶縁部135を設けて、図13の左側に移動させた情報表示器110には導通接続が形成されないようにすることもできる。この場合、右側にある情報表示器の中からだけ情報表示器を特定して表示を書き換えることができるので、予備の情報表示器を、左側に保持して故障した情報表示器の交換用として同じ情報表示システムに綴じておくことができる。
【0101】
(8)情報表示器の具体的構成例
図14乃至16を参照して、情報表示器の具体的構成について説明する。図14は、本実施形態に係る情報表示システム100及びこれに適用可能な情報表示器110の具体的構成を説明する斜視図である。図15は、情報表示システム100の機能ブロック構成図である。図16は、情報表示器110の一部分解斜視図である。
【0102】
図14に示すように、情報表示器110は、一対の電極(観察側電極191,背面側電極192)と、一対の基板(観察側基板181,背面側基板182)とを備える。一対の基板間には、ギャップ確保用隔壁119a(不図示)及び粒子偏在抑制用隔壁119b(不図示)とが設けられる。図16においては、ギャップ確保用隔壁と粒子偏在抑制用隔壁とを兼用する隔壁としてギャップ確保用隔壁を示している。
【0103】
また、情報表示器110は、電極を介して、電気的に駆動する表示メモリ性を有する表示媒体116を配置した表示媒体層115を備える。情報表示器110は、さらに駆動回路200a〜200eを備え、駆動回路200a〜200eによる制御に基づいて、情報表示器110の情報表示領域110aに所望の情報を画像として表示する。
【0104】
観察側基板181は、情報表示領域110a側、つまり、観察される側に配置される少なくとも情報表示領域110aが透明な基板である。背面側基板182は、観察側基板181と対向し、情報表示器110の背面110b側に設けられる。観察側基板181及び背面側基板182は、一対の電極(観察側電極191,背面側電極192)の外側に設けられる。なお、観察側基板181及び背面側基板182の厚みは、25μm〜2000μmが好ましく、より好ましくは、25μm〜500μmであり、さらに好ましくは、25μm〜200μmである。
【0105】
観察側基板181及び背面側基板182の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル樹脂などのプラスチック材料や、ガラス、石英、硬質プラスチック、ガラス繊維補強プラスチック、カーボン繊維補強プラスチックなどが挙げられる。
【0106】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートをはじめ、上述したプラスチック材料は可撓性を有するため、情報表示器110に可撓性を持たせる場合には、観察側基板181及び背面側基板182を形成する材料として好ましい。ここで、本発明に係る情報表示器110の情報表示領域110aにおいては、観察側基板181及び背面側基板182は、情報表示システム全体を軽量で薄型にするためできるだけ薄くしたいが、製造時のハンドリングの点を考慮して、それぞれの厚みは25μm以上とされている。
【0107】
また、観察側基板181及び背面側基板182を形成する材料としてガラスを使用した場合には、200μm以下の厚みとすれば可撓性を有するため、情報表示器110に可撓性を持たせる場合には好ましい。さらには、アルミニウム、銅、ニッケルや、これらの合金、ステンレスなどの金属材料も可撓性を有するため、情報表示器110に可撓性を持たせる場合には、観察側基板181及び背面側基板182の材料として使用することができるが、基板に形成する電極間で漏電することを防ぐために表面を絶縁体の膜やシートで被覆する必要がある。
【0108】
背面側基板182は、必ずしも透明でなくてもよいため、上述した材料のなかから透明でないものを選択して用いることができる。
【0109】
観察側電極191は、情報表示領域110a側、つまり、観察される側に配置される透明な電極である。背面側電極192は、観察側電極191と対向し、情報表示器110の背面110b側に設けられる。背面側電極192は、必ずしも透明でなくてもよい。観察側電極191及び背面側電極192を構成する導電性材料としては、(i)酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛などの導電金属酸化物類、(ii)ポリアニリン、ポリビロール、ポリチオフェン(例えば、PEDOT:PSS)などの導電性高分子化合物類(導電性ポリマー)、(iii)金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属、(iv)これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。
【0110】
観察側電極191及び背面側電極192の形成方法としては、上述した導電性材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法などで薄膜状に形成する方法や、金属箔(例えば、圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布する方法を用いることができる。なお、観察側電極191及び背面側電極192の厚みは、導電性が確保できればよく、0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましい。なお、ITOなどの金属酸化物系の導電性材料は、金属材料に比べて可撓性が小さいため、これら金属酸化物系の導電性材料を用いて観察側電極191及び背面側電極192を構成する場合には、断線防止のため、可撓性に優れる銅、アルミニウム、ニッケルや、これらの合金などの金属細線を併用することが好ましい。
【0111】
図16に示すように、ギャップ確保用隔壁119aは、一対の基板間に設けられ、一対の基板間のギャップを確保するために設けられる。また、ギャップ確保用隔壁119aは、情報表示領域110aにおいては、一対の基板間に配置した表示媒体116が後述するセル132内において偏ることを抑制する粒子偏在抑制用隔壁119bとしても機能する。従って、以下の説明において、ギャップ確保用隔壁が粒子偏在抑制用隔壁も兼ねる場合、すなわち同一の構成である場合には、ギャップ確保用隔壁と表現する。隔壁がギャップ確保機能を有しないで粒子偏在抑制機能だけを有し、ギャップ確保用隔壁と異なる構成の場合は、粒子偏在抑制用隔壁と表現する。
【0112】
ギャップ確保用隔壁119aの形成材料としては、レジスト材を用いることができ、例えば、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)などのドライフィルムレジスト材が挙げられる。また、ギャップ確保用隔壁119aは、例えば、一方の基板上にドライフィルムレジスト材を積層した後、フォトリソグラフィー技術を用いて格子状またはハニカム状の隔壁に形成され、全ての隔壁上面と他方の基板とが接合されることによって、一対の基板の双方に接合されている。本実施形態では、ギャップ確保用隔壁119aは、観察側基板181に形成された後、背面側基板182に接合されている。なお、ギャップ確保用隔壁119aを、背面側基板182に形成した後、観察側基板181に接合することもできる。
【0113】
ギャップ確保用隔壁119aは、ギャップに対応する厚みを有するとともに、表示媒体116を収納するための凹部が形成されているシート部材としたり、またはシートを貫通する孔部が形成されているシート部材としたりすることもできる。この場合、シートを一対の基板間に挟むように配置した後、シートの両面とそれぞれの基板とを接合することによって、ギャップ確保用隔壁119aは形成される。
【0114】
表示媒体116は、観察側電極191と背面側電極192との間に配置され、好ましくは封入される。表示媒体116は、電極を介して電気的に観察側電極191と背面側電極192との間で駆動する。本実施形態では、表示媒体116は、負帯電性白色粒子を含んだ粒子群と正帯電性黒色粒子を含んだ粒子群、すなわち、帯電極性及び光学的反射率が異なる二種類の粒子群で構成され、電極を介して形成される電界によってそれぞれ反対の基板側(電極側)に移動する。表示媒体116の詳細については、後述する。
【0115】
図15に示すように、情報表示器110は、少なくともアウトプットを無効にする機能を有するとともに情報表示部を駆動させる機能を有する駆動回路200a〜200eを備えており、情報表示器110には、制御装置のCPU20、グラフィックコントローラ30が接続される。
【0116】
CPU20は、所定のフォーマットに従った情報の画像信号をグラフィックコントローラ30に出力する。グラフィックコントローラ30は、CPU20から出力された画像信号に基づいて駆動回路200a〜200eを制御する。具体的には、CPU20は、画像信号と識別信号とを含んだ制御信号を出力する。駆動回路200a〜200eは、CPU20およびグラフィックコントローラ30を介した制御に基づいた制御信号に従って画像データを出力して、観察側電極191及び背面側電極192に所定の電圧を印加する。
【0117】
本実施形態では、観察側電極191及び背面側電極192は、複数のストライプ電極によって構成される。観察側電極191と背面側電極192とは、互いに直交するように設けられる。なお、観察側電極191と背面側電極192とは交差していればよく、直交することに限られない。このようなストライプ電極を用いた観察側電極191と背面側電極192の制御方法としては、公知の方法(例えば、特開2008−268650号公報参照)を用いることができる。なお、図15の例では、観察側基板181、背面側基板182及び表示媒体116は省略されている。
【0118】
図16に示すように、ギャップ確保用隔壁119aは、複数のセル132を形成する。セル132のそれぞれには、表示媒体116が配置、好ましくは、封入される。ギャップ確保用隔壁119aは、上述したように、観察側電極191と背面側電極192との間に配置される。
【0119】
離隔して設けられた観察側電極191と背面側電極192との間に形成された空間の外側、つまり、ギャップ確保用隔壁119aの情報表示領域110a側及び背面110b側には、観察側基板181と背面側基板182とが設けられる。具体的には、ギャップ確保用隔壁119aの情報表示領域110a側には観察側基板181が設けられ、背面110b側には背面側基板182が設けられる。
【0120】
図16に示すセル132は、情報表示器110の平面視において、略四角形であり、ギャップ確保用隔壁119aの縦方向及び横方向に連続して形成される。本実施形態では、セル132は、縦方向及び横方向に延在する直線状のギャップ確保用隔壁119aによってマトリックス状に形成される。セル132は、六角形にしてハニカム構造で配置することもできる。
【0121】
本実施形態では、図16に示すように、表示媒体116は、表示媒体151と表示媒体152とを含む。表示媒体151は、黒色の正帯電性粒子を含む粒子群である。表示媒体152は、白色の負帯電性粒子を含む粒子群である。表示媒体151及び表示媒体152の二種類の表示媒体が、それぞれのセル132に配置される。
【0122】
表示媒体151とする黒色粒子群は、次のように製造することができる。(i)メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60質量部、及び1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40質量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ポントロンNo7:オリエント化学製)3質量部、及び黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5質量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系樹脂)−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディバーF600:日本油脂製)5質量部を溶解させる。(ii)2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5質量%添加した精製水に(i)の生成物を懸濁、重合させ、濾過、乾燥させる。(iii)分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業性)を用いて(ii)の生成物を分級して平均粒子径10μm程度の正帯電性の黒色粒子を得る。この黒色粒子にシリカ微小粒子(Wacker社製 H3050VP)を外添して付着させることによって、黒色表示媒体とする黒色粒子群を得る。
【0123】
また、表示媒体152とする白色粒子群は、次のように製造することができる。(i)ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100質量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)100質量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ポントロンE89:オリエント化学製)5質量部とを、二軸混練機により溶融混練する。(ii)ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック工業製)で(i)の生成物を細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業製)を用いて分級する。(iii)溶融球状化装置(MR−10:日本ニューマチック工業製)を用いて(ii)の生成物を溶融球状化した後さらに分級して、平均粒子径が10μm程度の負帯電性の白色粒子を得る。この白色粒子にシリカ微小粒子(Wacker社製 H3004)を外添して付着させることによって、白色表示媒体とする白色粒子群を得る。
【0124】
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例が明らかとなる。例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
【0125】
上述した実施形態では、情報表示器110は、孔部110hを情報表示器の背面側基板に設けるように構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、情報表示器110は、図17(a)に示すように、情報表示器の一辺に実装されたフレキシブル回路基板(FPC)400に孔部110hを設けるように構成されていてもよい。或いは、図17(b)に示すように、情報表示器110は、フレキシブル回路基板(FPC)400において、孔部110hと駆動回路200とを設けるように構成されていてもよい。或いは、図17(c)に示すように、情報表示器110は、情報表示器110の基板(観察側基板181または背面側基板182)に、駆動回路200を備えたテープキャリアパッケージ(TCP)410と、孔部110hを備えたフレキシブル回路基板(FPC)400とが接続されて構成された回路基板が実装されるように構成されていてもよい。
【0126】
また、上述した実施形態では、突出部121は、略円柱形状であって、水平方向の断面形状が円形であると説明しているが、突出部121の水平方向の断面は円形でなくてもよい。楕円、角形であってもよい。突出部121に形成された接続部と孔部110hに形成された接続部(電極の露出部117a)との接触面積を確保するためには、円形であることが好ましい。
【0127】
上述した実施形態では、情報表示器110の一方の面が観察側であると説明した。しかし、2枚の情報表示器110の背面側基板182同士を貼り合わせて一体化することによって、表裏に観察面を有する情報表示器を構成してもよい。このような構成の情報表示器110では、表側の1ページと裏側の1ページとで2ページを構成することになる。この場合、一体化された2枚の情報表示器のそれぞれが導通接続部(孔部110h)を備え、制御装置側の導電接続部121Eは、一体化された2枚の情報表示器のそれぞれの導通接続部(孔部110h)に対応するように形成される。
【0128】
表示媒体116は、白色表示媒体及び黒色表示媒体に限られず、他の色の表示媒体であってもよい。また、表示媒体は、対向する電極に印加した電圧で駆動し、電源からの給電を切断しても表示した情報が保持できる表示メモリ性があるものであればよい。
【0129】
例えば、帯電性粒子を含んだ粒子群を透明な絶縁液体中で駆動させる、マイクロカプセル型の電気泳動方式の情報表示器であってもよい。
【0130】
また、帯電性粒子を含んだ粒子群を有色の絶縁液体中で駆動させるタイプの電気泳動方式の情報表示器であってもよい。このタイプは、例えば、負帯電性白色粒子で構成した白色表示媒体が、青色のパラフィンオイルなどの有色の絶縁液体とともに隔壁で形成したセル内に封入されている。
【0131】
更に、情報表示器としては、半分ずつ2色かつ異帯電極性に構成した球状粒子を表示媒体として使用するタイプ(例えば、マイクロカプセル内で回転駆動させるツイストボール方式)やコレステリック液晶を駆動させるタイプを使用することができる。なかでも、粒子群を気体中(真空中を含む)で駆動させる方式は、駆動応答速度が速く、表示メモリ性にも優れているので好ましい。
【0132】
また、上述した実施形態では、駆動回路200と情報表示器110とを一体化しているが、駆動回路200と情報表示器110とを着脱自在に構成してもよい。なお、駆動回路200と情報表示器110とを一体化しない場合においては、駆動回路200と情報表示器110を電気的かつ物理的に着脱自在に接続する接続手段を設ける必要がある。この接続手段の構成としては、例えば、情報表示器と駆動回路のうち一方に凹型接続端子部を設け、この凹型接続端子部と噛み合う凸型接続端子部を設け、凹型接続端子部と凸型接続端子部との嵌合によって駆動回路と情報表示器を電気的かつ物理的に着脱自在に接続する構成を例示できる。また、他の接続手段の構成としては、情報表示器と駆動回路のうち一方に凸型端子部を設け、この凸型端子部が挿入可能な円形孔、十文字形状をしたスリット孔、円形孔と十文字スリット孔を組合せた孔、円形孔と三方スリット孔を組合せた孔、複数のスリット孔を星型に集合させた孔、星型の孔を有する受け部を設ける構成を例示できる。更に、接続手段を合わせて、情報表示器に駆動回路を装着する際のガイドとなるガイド部材や、互いの位置決めを行うための位置決め部材を設けることが望ましい。
【0133】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0134】
20…CPU、30…グラフィックコントローラ、100…情報表示システム、110…情報表示器、110a…情報表示領域、110b…背面、110h…孔部、115…表示媒体層、116…表示媒体、117…電極、117a…露出電極部、118…絶縁膜、119a…ギャップ確保用隔壁、119b…粒子偏在抑制用隔壁、120…制御装置、121…突出部、121f…端部、122…画像信号送信部、123…識別信号送信部、121X…係合部、121E…導電接続部、124…導通接続部、125…絶縁部、130…留め具、140…湾曲部材、140a乃至140b…端部、150…回動機構、151乃至152…表示媒体、181…観察側基板、182…背面側基板、191…観察側電極、192…背面側電極、200…駆動回路、310…判定回路、311…XNOR回路、312…NAND回路、320a乃至320e…アウトプットイネーブル用ライン、または、チップセレクト用ライン、350…スイッチ、1120…画像信号受信部、1131X…係合孔部、1131b、1131d、1131f、1131h、1131j、1131l…識別信号受信部、1131a、1131c、1131e、1131g、1131i、1131k、1120…導通接続部、C…外装体、Ca…載置部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の基板が透明な情報表示領域を有する2つの基板の間に配置される表示媒体を駆動させて、画像信号に対応する所定画像を前記情報表示領域に表示する複数の情報表示器を備える情報表示システムにおいて、複数の情報表示器を制御する制御装置であって、
前記複数の情報表示器を重ねて冊子状に綴るとともに、前記複数の情報表示器の各々と連結する装置側連結機構を備え、
前記装置側連結機構には、前記情報表示器と電気的に接続される装置側導通部分と、前記情報表示器と電気的に絶縁される装置側絶縁部分とが形成されており、
前記装置側導通部分と前記装置側絶縁部分との配置パターンは、前記複数の情報表示器の各々で異なり、
画像信号を複数の情報表示器に送信する画像信号送信部と、
前記画像信号に対応する所定画像を表示すべき情報表示器を識別するための識別信号を、前記複数の情報表示器に送信する識別信号送信部とを備え、
前記識別信号は、前記装置側導通部分と前記装置側絶縁部分との配置パターンに対応する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記装置側連結機構は、
前記複数の情報表示器を重ねて載置する載置部と、
前記載置部から突出し、前記複数の情報表示器の孔部に貫通する突出部とを有し、
前記装置側導通部分と前記装置側絶縁部分とは、前記突出部に形成されており、
前記装置側導通部分と前記装置側絶縁部分との前記配置パターンは、前記複数の情報表示器の各々の載置位置に応じて異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
少なくとも一方の基板が透明な情報表示領域を有する2つの基板間に配置される表示媒体を駆動させて、制御装置から受信した画像信号に対応する所定画像を前記情報表示領域に表示する情報表示器であって、
前記画像信号を前記制御装置から受信する画像信号受信部と、
自身が、前記画像信号に対応する所定画像を表示すべき情報表示器であるかを識別するための識別信号を、前記制御装置から受信する識別信号受信部と、
前記制御装置が備える、装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンが形成された装置側導通接続部と接続されることによって、前記配置パターンに基づく識別情報が与えられる表示器側導通接続部と、
を備えるとともに、
前記識別信号と、前記配置パターンに基づく前記識別情報と、に基づいて、前記画像信号に対応する所定画像を自身に表示するか否かを決定する判定回路を備える
ことを特徴とする情報表示器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の制御装置と、前記制御装置に接続される複数の請求項3に記載の情報表示器とを備える情報表示システムであって、
前記制御装置は、
前記複数の情報表示器に対して、それぞれの情報表示器に表示すべき所定画像に対応する画像信号およびそれぞれの情報表示器を識別するための識別信号を含んだ制御信号を順次送信し、
前記複数の情報表示器のそれぞれは、
前記識別信号と、前記制御装置との接続により付与された装置側導通部分と装置側絶縁部分との配置パターンに基づく識別情報と、に基づいて、前記画像信号に対応する所定画像を自身に表示するか否かを前記判定回路によって決定後、自身に表示すべき所定画像を順次表示する
ことを特徴とする情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−88463(P2013−88463A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225787(P2011−225787)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】