制御装置、画像形成装置及びプログラム
【課題】濃度調整の精度を向上させる。
【解決手段】画像形成部は、複数の色のトナーを用いて画像を形成する画像形成エンジンと、画像形成エンジンにより形成された画像を保持して、矢印Aで示す搬送方向に搬送する中間転写ベルト17とを備える。制御部は、画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、複数の色から選択された色のトナーを用いて、中間転写ベルト17の両端部にトナーバンド45を形成させる。また、制御部は、画像形成部を制御して、複数の色のうち選択された色以外の色のトナーを用いて、中間転写ベルト17の中央部に濃度調整用のパッチ41を形成させる。制御部は、濃度調整用のパッチ41の色の濃度に応じて、この色の濃度を調整する。
【解決手段】画像形成部は、複数の色のトナーを用いて画像を形成する画像形成エンジンと、画像形成エンジンにより形成された画像を保持して、矢印Aで示す搬送方向に搬送する中間転写ベルト17とを備える。制御部は、画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、複数の色から選択された色のトナーを用いて、中間転写ベルト17の両端部にトナーバンド45を形成させる。また、制御部は、画像形成部を制御して、複数の色のうち選択された色以外の色のトナーを用いて、中間転写ベルト17の中央部に濃度調整用のパッチ41を形成させる。制御部は、濃度調整用のパッチ41の色の濃度に応じて、この色の濃度を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、画質の調整を行うために、利用者により要求された画像を形成する合間に、調整用のパターンを形成する場合がある。例えば、特許文献1には、トナー濃度調整パターンの形成と重複するタイミングで、トナー消費パターンを形成する技術が記載されている。特許文献2には、非画像形成時に、転写搬送ベルト又は用紙上に検出トナー像と非検出トナー像を形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−29478号公報
【特許文献2】特開2004−271912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、濃度調整の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る制御装置は、複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、前記複数の色の中から選択された色のトナーを用いて前記像保持体の第1の領域に第1のトナー画像を形成させる第1の形成制御部と、前記画像形成部を制御して、前記複数の色のうち前記選択された色以外の色のトナーを用いて、前記第1の方向と交わる第2の方向に前記第1の領域と並んだ第2の領域に、濃度調整用の画像を形成させる第2の形成制御部と、前記濃度調整用の画像の色の濃度に応じて、当該色の濃度を調整する濃度調整部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る制御装置は、請求項1に記載の構成において、前記複数の色と対応付けて、前記濃度調整部によって最後に当該色の濃度が調整された時間を記憶する記憶する記憶部と、複数の色の前記濃度調整用の画像が形成される場合、前記記憶部において当該色と対応付けて記憶された時間が古い順に、当該濃度調整用の画像に優先順位を設定する設定部とを備え、前記第2の形成制御部は、前記画像形成部を制御して、前記設定部により設定された優先順位が高いものを優先的に前記濃度調整用の画像を形成させることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る制御装置は、請求項1に記載の構成において、前記複数の色と対応付けて、前記濃度調整部によって前回調整された当該色の濃度の調整量を記憶する記憶部と、複数の色の前記濃度調整用の画像が形成される場合、前記記憶部において当該色と対応付けて記憶された調整量が多い順に、当該濃度調整用の画像に優先順位を設定する設定部とを備え、前記第2の形成制御部は、前記画像形成部を制御して、前記設定部により設定された優先順位が高いものを優先的に前記濃度調整用の画像を形成させることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る制御装置は、請求項2又は3に記載の構成において、前記第2の形成制御部は、前記設定部により設定された優先順位が閾値よりも低い濃度調整用の画像の形成を禁止し、又は当該濃度調整用の画像の前記第1の方向の長さを短くすることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る制御装置は、請求項2から4のいずれかに記載の構成において、前記第2の形成制御部は、前記第1のトナー画像の前記第1の方向の長さ又は形成時間に応じて、前記濃度調整用の画像の形成を禁止し、又は当該濃度調整用の画像の前記第1の方向の長さを短くすることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部と、請求項1から5のいずれかに記載の制御装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項6に記載の構成において、前記画像形成部は、前記形成部に用いられるトナーを収容する収容部と、当該収容部に収容されたトナーを攪拌する攪拌部材とを備え、前記第2の形成制御部は、前記第1のトナー画像が形成された後、前記攪拌部材による攪拌動作に応じた時間が経過するまでは、前記第1の色のトナーを用いた濃度調整用の画像の形成を禁止することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係るプログラムは、コンピュータに、複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、前記複数の色の中から選択された色のトナーを用いて前記像保持体の第1の領域に第1のトナー画像を形成させるステップと、前記画像形成部を制御して、前記複数の色のうち前記選択された色以外の色のトナーを用いて、前記第1の方向と交わる第2の方向に前記第1の領域と並んだ第2の領域に、濃度調整用の画像を形成させるステップと、前記濃度調整用の画像の色の濃度に応じて、当該色の濃度を調整するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、選択された色のトナーを用いて第2の領域に濃度調整用の画像を形成する場合に比べて、濃度調整の精度が向上する。
請求項2に係る発明によれば、最後に濃度調整が行われた時間が古い色の濃度を、他の色の濃度に優先して調整することができる。
請求項3に係る発明によれば、前回調整された色の濃度の調整量が多い色の濃度を、他の色の濃度に優先して調整することができる。
請求項4,5に係る発明によれば、優先順位が閾値よりも低い濃度調整用の画像の形成を禁止し、又はこの濃度調整用の画像の第1の方向の長さを短くしない場合に比べて、トナー画像及び濃度調整用の画像の形成に費やされる時間を短くすることができる。
請求項6に係る発明によれば、選択された色のトナーを用いて第2の領域に濃度調整用の画像を形成する場合に比べて、濃度調整の精度が向上する。
請求項7に係る発明によれば、攪拌動作に応じた時間が経過する前に、第1の色のトナーを用いて濃度調整用の画像を形成する場合に比べて、濃度調整用の画像の濃度にムラが生じるのを抑制することができる。
請求項8に係る発明によれば、選択された色のトナーを用いて第2の領域に濃度調整用の画像を形成する場合に比べて、濃度調整の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図2】画像形成部の構成を示す模式図
【図3】画像形成エンジンの構成を示す図
【図4】画像形成装置の機能構成を示すブロック図
【図5】プロセスコントロールとトナーバンドの形成処理を示すフローチャート
【図6】トナーバンド及びパッチの形成の一例を示す図
【図7】パッチの形成処理を示すフローチャート
【図8】パッチの形成処理を示すフローチャート
【図9】前回処理日時の一例を示す図
【図10】トナーバンド及びパッチの形成の一例を示す図
【図11】トナーバンド及びパッチの形成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、電子写真方式のカラープリンタである。画像形成装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、UI(User Interface)部14と、画像形成部15とを備えている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを備えている。CPUは、メモリに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置1の各部を制御する。通信部12は、通信回線に接続される通信インターフェースである。例えば、クライアント装置から画像データが送信されてくると、画像形成装置1は、通信部12によりこの画像データを受信する。記憶部13は、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶部13には、各種のデータが記憶される。UI部14は、例えばタッチスクリーンとキーとを備えている。UI部14は、画像形成装置1を操作するのに用いられる。画像形成部15は、画像データに応じた画像を用紙に形成する。
【0016】
図2は、画像形成部15の構成を示す模式図である。画像形成部15は、画像形成エンジン16Y,16M,16C,16K(形成部の一例)と、中間転写ベルト17と、二次転写ローラ18と、クリーニング装置19と、定着器20とを備えている。画像形成エンジン16Y,16M,16C,16Kは、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナーを用いて画像を形成し、形成した画像を中間転写ベルト17に転写する。なお、以下の説明では、画像形成エンジン16Y,16M,16C,16Kを区別する必要がない場合には、符号の末尾に付された「Y」、「M」、「C」、「K」という文字を省略して、「画像形成エンジン16」という。中間転写ベルト17は、図中の矢印A方向に回転し、画像形成エンジン16によって形成された画像を二次転写ローラ18へと搬送する。つまり、中間転写ベルト17は、画像形成エンジン16によって形成された画像を保持し、矢印Aで示す搬送方向(第1の方向の一例)に搬送する像保持体の一例である。二次転写ローラ18は、中間転写ベルト17によって搬送された画像を用紙に転写する。クリーニング装置19は、二次転写ローラ18によって中間転写ベルト17から画像が転写された後、中間転写ベルト17の表面に残留したトナーを除去する。クリーニング装置19は、ブレード状のクリーニング部材19aを備えている。クリーニング装置19は、クリーニング部材19aを中間転写ベルト17の表面に押し当てることにより、中間転写ベルト17の表面からトナーを除去する。定着器20は、熱と圧力とを加えることにより、画像を用紙に定着させる。定着器20を通過した用紙は、画像形成装置1から排出される。
【0017】
図3は、画像形成エンジン16の構成を示す図である。画像形成エンジン16は、感光体ドラム21を備えている。感光体ドラム21は、表面に光導電膜が形成された円筒状の部材である。感光体ドラム21は、軸を中心に回転する。感光体ドラム21の周りには、帯電器22と、露光装置23と、現像装置24(収容部の一例)と、一次転写ローラ25と、クリーニング装置26とが設けられている。帯電器22は、感光体ドラム21の表面を均一に帯電させる。露光装置23は、帯電した感光体ドラム21に対し、画像データに応じた露光を行って静電潜像を形成する。現像装置24は、感光体ドラム21上に形成された静電潜像をトナーで現像する。現像装置24には、トナーとキャリアを含む現像剤が収容されている。また、現像装置24内には、搬送部材24a(攪拌部材の一例)が設けられている。搬送部材24aは、現像装置24内の現像剤を攪拌しながら搬送する。現像装置24の開口部には、現像ローラ24bが設けられている。現像ローラ24bは、搬送部材24aにより搬送された現像剤を、感光体ドラム21と対応する現像領域へと搬送する。現像領域に搬送されると、現像バイアスにより、現像剤に含まれるトナーが感光体ドラム21上に形成された静電潜像に移動し付着する。これにより、静電潜像が現像される。現像装置24内のトナーの量が少なくなると、トナー供給部27から現像装置24にトナーが補給される。このトナー供給部27は、トナー補給路27aを介して現像装置24に接続されている。トナー供給部27は、トナーを収容しており、トナー補給路27aを介して現像装置24にトナーを供給する。一次転写ローラ25は、感光体ドラム21上に形成された画像を中間転写ベルト17に転写する。クリーニング装置26は、一次転写ローラ25によって感光体ドラム21から画像が転写された後、感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去する。クリーニング装置26は、ブレード状のクリーニング部材26aを備えている。クリーニング装置26は、クリーニング部材26aを感光体ドラム21の表面に押し当てることにより、感光体ドラム21の表面からトナーを除去する。
【0018】
画像形成装置1は、利用者により要求された画像を形成する他に、プロセスコントロールとトナーバンド45の形成処理とを行う。プロセスコントロールでは、画像の濃度を調整するために、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのパッチ41(濃度調整用の画像の一例)が形成される。パッチ41は、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17に転写される。図2に示すように、中間転写ベルト17の下には、濃度センサ28が設けられている。濃度センサ28は、パッチ41に光を照射し、その反射光の量に応じてパッチ41の色の濃度を検出する。制御部11は、濃度センサ28によって検出されたパッチ41の色の濃度に応じて、この色の濃度を調整する処理を行う。
【0019】
トナーバンド45の形成処理では、トナーバンド45(トナー画像の一例)が形成される。トナーバンド45とは、イエロー、マゼンタ、シアン又はブラックのトナーを用いて感光体ドラム21上に形成される画像をいう。トナーバンド45の形成処理は、現像装置24内のトナーを強制的に吐き出すことを目的にしたものと、クリーニング部材19a又は26aを保護することを目的としたものとがある。まず、前者の目的で行われるトナーバンド45の形成処理について説明する。上述したように、現像装置24内のトナーは、搬送部材24aによって攪拌されている。しかし、例えば低濃度の画像の形成が続いた場合には、現像装置24内で長期間に亘ってトナーが攪拌されることにより、トナー粒子の表面が削れて、トナーが劣化する。そこで、劣化したトナーを強制的に吐き出して、新たなトナーに入れ替えるために、トナーバンド45の形成処理を行う。トナーバンド45の形成処理においてトナーバンド45が形成されると、現像装置24からトナーが吐き出される。現像装置24からトナーが吐き出されると、現像装置24には、トナー供給部27から新たなトナーが供給される。これにより、現像装置24内の劣化したトナーが新たなトナーに入れ替えられる。
【0020】
次に、後者の目的で行われるトナーバンド45の形成処理について説明する。上述したように、クリーニング部材19aは、中間転写ベルト17の表面に押し当てられている。そのため、クリーニング部材19aに到達するトナーの量が少なくなると、クリーニング部材19aと中間転写ベルト17との間の摩擦が大きくなり、先端がめくれてしまうことがある。これは、クリーニング部材26aについても同様である。そこで、クリーニング部材19a又は26aのめくれを防止するために、トナーバンド45の形成処理を行う。例えば、クリーニング部材19aのめくれを防止する場合、トナーバンド45の形成処理では、感光体ドラム21上にトナーバンド45が形成され、このトナーバンド45が中間転写ベルト17に転写される。中間転写ベルト17に転写された後、このトナーバンド45は用紙に転写されずに、そのままクリーニング装置19に到達する。クリーニング装置19にトナーバンド45が到達すると、このトナーバンド45はクリーニング部材19aの潤滑剤として作用する。これにより、クリーニング部材19aと中間転写ベルト17との間の摩擦が減り、クリーニング部材19aのめくれが防止される。
【0021】
次に、画像形成装置1の機能構成について説明する。図4は、画像形成装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。第1の形成制御部101,第2の形成制御部102,濃度調整部103及び設定部104は、CPUがプログラムを実行することにより実現される。この場合、制御部11は、制御装置又はコンピュータの一例として用いられる。第1の形成制御部101は、画像形成部15を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックから選択された色のトナーを用いて、中間転写ベルト17の第1の領域に第1のトナーバンド45を形成させる。第2の形成制御部102は、画像形成部15を制御して、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのうち第1の形成制御部101で選択された色以外の色のトナーを用いて、中間転写ベルト17の第2の領域に濃度調整用のパッチ41を形成させる。この第2の領域は、中間転写ベルト17の搬送方向と交わる方向に第1の領域と並んだ領域である。濃度調整部103は、濃度センサ28によって濃度調整用のパッチ41の色の濃度が検出されると、検出された色の濃度に応じて、この色の濃度を調整する。記憶部13には、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックと対応付けて、濃度調整部103によって最後に当該色の濃度が調整された時間が記憶される。設定部104は、複数の色の濃度調整用のパッチ41が形成される場合、記憶部13において当該色と対応付けて記憶された時間が古い順に、濃度調整用のパッチ41に優先順位を設定する。設定部104により優先順位が設定された場合、第2の形成制御部102は、画像形成部15を制御して、設定された優先順位が高いものを優先的に濃度調整用のパッチ41を形成させる。
【0022】
画像形成装置1では、プロセスコントロールがトナーバンド45の形成処理とともに行われる。図5は、プロセスコントロールとトナーバンド45の形成処理を示すフローチャートである。まず、制御部11は、トナーの吐き出しが必要か否かを判断する(ステップS1)。具体的には、制御部11は、クライアント装置から受信した画像データをイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックに色分解して、露光装置23に供給する。このとき、制御部11は、各色の画像データの書き込み画素数をカウントし、メモリに記憶させる。この書き込み画素数とは、露光装置23の露光により感光体ドラム21上に形成される静電潜像を構成する画素の数(すなわち、トナーによる現像の対象となる画素の数)である。したがって、この書き込み画素数が多ければ、現像で用いられるトナーの量、すなわち現像装置24から吐き出されるトナーの量も多くなる。制御部11は、メモリに記憶された書き込み画素数に応じて、決められた期間において各現像装置24から吐き出されたトナーの量が閾値以上であるか否かを判断する。決められた期間において各現像装置24から吐き出されたトナーの量が閾値以上である場合、制御部11は、トナーの吐き出しは必要ないと判断する(ステップS1:NO)。一方、決められた期間において少なくとも一つの現像装置24から吐き出されたトナーの量が閾値よりも少ない場合、制御部11は、その現像装置24に収容されているトナーの吐き出しが必要であると判断する(ステップS1:YES)。
【0023】
トナーの吐き出しが必要である場合、制御部11は、画像形成部15を制御して、トナーバンド45とパッチ41を形成させる(ステップS2)。例えば、ステップS11でイエロー,マゼンタ,シアンのトナーの吐き出しが必要であると判断された場合、制御部11は、これらの色を選択する。そして、制御部11は、画像形成部15を制御して、選択された色のトナーを用いてトナーバンド45を形成させる。図6は、トナーバンド45とパッチ41の形成の一例を示す図である。図6では、イエロー(Y),マゼンタ(M)及びシアン(C)の混色のトナーバンド45aと、マゼンタ(M)及びシアン(C)の混色のトナーバンド45bと、シアン(C色)のトナーバンド45cとが順番に形成される。これらのトナーバンド45は、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の両端部(第1の領域の一例)に転写される。トナーバンド45aの長さはL1であり、トナーバンド45bの長さはL2であり、トナーバンド45cの長さはL3である。なお、パッチ41の形成処理については後述する。
【0024】
中間転写ベルト17によりパッチ41が搬送されてくると、濃度センサ28は、このパッチ41の色の濃度を検出する。制御部11は、濃度センサ28によって検出されたパッチ41の色の濃度に応じて、濃度調整処理を行う(ステップS3)。具体的には、制御部11は、濃度センサ28によって検出されたパッチ41の色の濃度が目標濃度となるように、電位制御又は階調制御を行う。この電位制御では、帯電、露光又は現像バイアスが制御される。階調制御では、画像処理によって、露光装置23に供給される画像データの階調値が制御される。
【0025】
次に、上述したステップS2で行われるパッチ41の形成処理について説明する。図7及び図8は、パッチの形成処理を示すフローチャートである。なお、このパッチ41の形成処理は、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの色毎に行われる。制御部11は、上述したステップS2で形成されるトナーバンド45の長さに応じて、各色のトナーを用いて形成されたトナーバンド45の長さ(以下、「バンド長」という)を算出する(ステップS11)。このバンド長は、トナーの吐き出し量に応じて決められる。例えば、決められた期間においてシアンのトナーを収容する現像装置24から吐き出されたトナー量が少量である場合、シアンのトナーを大量に吐き出す必要がある。この場合、シアンのバンド長は長くなる。
【0026】
図6では、イエローのトナーを用いて、トナーバンド45aが形成される。この場合、イエローのバンド長は、トナーバンド45aの長さである「L1」となる。また、マゼンタのトナーを用いて、トナーバンド45a及び45bが形成される。この場合、マゼンタのバンド長は、トナーバンド45aと45bの長さの合計である「L1+L2」となる。また、シアンのトナーを用いて、トナーバンド45a,45b及び45cが形成される。この場合、シアンのバンド長は、トナーバンド45a,45b及び45cの長さの合計である「L1+L2+L3」となる。なお、ブラックのトナーはトナーバンド45の形成に用いられていないため、ブラックのバンド長は「0」となる。
【0027】
制御部11は、ステップ11で算出されたバンド長が、算出された中で最大のバンド長である場合(ステップS12:「最大」)、そのバンド長の色についてはパッチ41の形成を行わない(ステップS18)。そして、制御部11は、このパッチ41の色について処理を終了する。図6では、イエローのバンド長が「L1」であり、マゼンタのバンド長が「L1+L2」であり、シアンのバンド長が「L1+L2+L3」である。また、ブラックのバンド長は、「0」である。この場合、シアンのバンド長が最大となるため、シアンのパッチ41は形成されない。
【0028】
また、制御部11は、ステップ11で算出されたバンド長が、上述した最大のバンド長以外である場合(ステップS12:「それ以外」)、そのバンド長の色について、トナーバンド45の形成が開始される位置Sからパッチ41の終端までの長さを算出する(ステップS13)。このパッチ41の終端までの長さは、バンド長+攪拌長+パッチ長で表される長さである。バンド長は、上述したステップS1で算出されたものである。攪拌長は、現像装置24からトナーが吐き出された後に必要な攪拌時間に相当する長さである。現像装置24からトナーが吐き出されると、現像装置24内のトナー濃度が急激に変化し、現像装置24内のトナー濃度にばらつきが生じる。この現像装置24内のトナー濃度のばらつきを解消して、トナーの濃度が概ね均一になるようにするには、現像装置24内のトナーを或る程度の時間、攪拌する必要がある。この或る程度の時間は、搬送部材24aの攪拌動作に応じて決められる。攪拌長は、この或る程度の時間に対応する長さに予め設定されている。なお、バンド長が「0」である場合には、攪拌時間が必要ないため、攪拌長も「0」になる。パッチ長は、パッチ41の長さである。このパッチ長は、濃度センサ28がパッチ41の濃度を読み取れるような長さに予め設定されている。
【0029】
図6では、シアン以外の色、すなわちイエロー,マゼンタ,ブラックについて、位置Sからパッチ41の終端までの長さが算出される。図6では、イエローのバンド長が「L1」であり、攪拌長が「L20」であり、パッチ長が「L21」である。この場合、イエロー(Y)パッチ41yの終端までの長さは、「L1+L20+L21」となる。また、マゼンタのバンド長が「L1+L2」であり、攪拌長が「L30」であり、パッチ長が「L31」である。この場合、マゼンタ(M)パッチ41mの終端までの長さは、「(L1+L2)+L30+L31」となる。また、ブラックのバンド長が「0」であり、パッチ長が「L11」である。上述したように、バンド長が「0」の場合、攪拌長も「0」となる。したがって、ブラック(K)パッチ41kの終端までの長さは、「L11」となる。
【0030】
制御部11は、ステップS13で算出されたパッチ41の終端までの長さが、トナーバンド45の長さの合計よりも長いか否かを判断する(ステップS14)。図6では、トナーバンド45a,45b及び45cが形成される。この場合、トナーバンド45の長さの合計は、トナーバンド45a,45b及び45cの長さの合計である「L1+L2+L3」となる。ステップS13で算出されたパッチ41の終端までの長さが、トナーバンド45の長さの合計よりも長い場合(ステップS14:YES)、制御部11は、このパッチ41の形成を行わない(ステップS18)。そして、制御部11は、このパッチ41の色について処理を終了する。
【0031】
一方、図6では、イエローパッチ41yの終端までの長さが「L1+L20+L21」であり、マゼンタパッチ41mの終端までの長さが「(L1+L2)+L30+L31」であり、ブラックパッチ41kの終端までの長さが「L11」である。図6に示すように、これらの長さは、いずれもトナーバンド45の長さの合計である「L1+L2+L3」よりも短い(ステップS14:NO)。この場合、制御部11は、トナーバンド45の形成が開始される位置Sからこれらのパッチ41の先端までの長さを算出する(ステップS15)。このパッチ41の先端までの長さは、バンド長+攪拌長で表される長さである。図6では、イエローのバンド長が「L1」であり、攪拌長が「L20」である。この場合、イエローパッチ41yの先端までの長さは、「L1+L20」となる。また、マゼンタのバンド長が「L1+L2」であり、攪拌長が「L30」である。この場合、マゼンタパッチ41mの先端までの長さは、「(L1+L2)+L30」となる。なお、ブラックのバンド長と攪拌長は、いずれも「0」である。したがって、ブラックパッチ41kの先端までの長さは「0」となる。
【0032】
制御部11は、ステップS15で算出された長さに応じた位置からパッチ41を形成したときに、このパッチ41と他のパッチ41とが重ならない場合(ステップS16:NO)、このパッチ41を第1のパッチ41に設定する。そして、制御部11は、画像形成部15を制御して、ステップS15で算出した長さに応じた位置から第1のパッチ41を形成させる(ステップS17)。図6では、ブラックパッチ41kの先端までの長さは「0」である。この場合、ブラックパッチ41kは、位置Sから形成される。また、イエローパッチ41yの先端までの長さは「L1+L20」である。この場合、イエローパッチ41yは、位置Sから「L1+L20」の間隔を空けた位置から形成される。また、マゼンタパッチ41mの先端までの長さは、「(L1+L2)+L30」である。この場合、マゼンタパッチ41mは、位置Sから「(L1+L2)+L30」の間隔を空けた位置から形成される。これらのパッチ41は、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の中央部(第2の領域の一例)に転写される。パッチ41が形成される中央部は、トナーバンド45が形成される両端部と矢印Bで示す中間転写ベルト17の幅方向(第2の方向の一例)に並んだ領域である。この中間転写ベルト17の幅方向は、矢印Aで示す中間転写ベルト17の搬送方向と交わる方向である。図6に示すように、ブラックパッチ41k,イエローパッチ41y及びマゼンタパッチ41mが上述した位置から形成された場合、これらのパッチ41は互いに重ならない。したがって、ブラックパッチ41k,イエローパッチ41y及びマゼンタパッチ41mは、いずれも第1のパッチ41に設定され、上述した位置から形成される。
【0033】
このように、イエローパッチ41yは、イエロートナーを用いて形成されるトナーバンド45aの後端から攪拌長である「L20」の間隔を空けた位置から形成される。また、マゼンタパッチ41mは、マゼンタトナーを用いて形成されるトナーバンド45a及び45bの後端から攪拌長である「L30」の間隔を空けた位置から形成される。つまり、制御部11は、選択された色のトナーを用いてトナーバンド45が形成された後、攪拌長に対応する時間が経過するまでは、その色のトナーを用いたパッチ41の形成を禁止していることになる。これは、トナーバンド45と同じ色のトナーを用いてパッチ41を形成する前に、現像装置24においてこの色のトナーを必要な時間、攪拌するためである。ステップS17で第1のパッチ41が形成されると、制御部11は、第1のパッチ41の色について処理を終了する。
【0034】
また、制御部11は、ステップS15で算出された長さに応じた位置からパッチ41を形成したときに、このパッチ41と他のパッチ41とが重なる場合(ステップS16:YES)、上述したステップS3の濃度調整処理が最後に行われた時間に応じて、これらのパッチ41に優先順位を設定する(図8のステップS19)。記憶部13には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと対応付けて、当該色の濃度調整処理が最後に行われた日時(以下、「前回処理日時」という)が記憶されている。図9は、記憶部13に記憶された前回処理日時の一例を示す図である。制御部11は、記憶部13に記憶された前回処理日時が古い順に、パッチ41に優先順位を設定する。例えば、図10に示すように、ブラックのトナーバンド45dが形成される場合を想定する。この場合、上述したステップS15では、イエロー,マゼンタ,シアンの各色のパッチ41の先端までの長さとしていずれも「0」が算出される。したがって、これらのパッチ41は互いに重なる。図9では、イエローの前回処理日時が「2011/06:10/10:09」であり、マゼンタの前回処理日時が「2011/06:10/10:05」であり、シアンの前回処理日時が「2011/06:10/10:00」である。この場合、シアンの前回処理日時が最も古く、次にマゼンタの処理日時が古く、イエローの前回処理日時が最も新しい。したがって、制御部11は、シアン(C)パッチ41cに最も高い優先順位「1」を設定し、マゼンタ(M)パッチ41mに次に高い優先順位「2」を設定し、イエロー(Y)パッチ41yに最も低い優先順位「3」を設定する。
【0035】
制御部11は、パッチ41に設定された優先順位が1番である場合(ステップS20:「1番」)、このパッチ41を第2のパッチ41に設定する。そして、制御部11は、画像形成部15を制御して、第2のパッチ41をステップS15で算出した長さに応じた位置から形成させる(ステップS21)。図9及び図10では、シアンパッチ41cに優先順位「1」が設定されるため、シアンパッチ41cが第2のパッチ41に設定される。また、上述したように、ステップS15では、シアンパッチ41cの先端までの長さとして「0」が算出される。この場合、シアンパッチ41cが位置Sから形成される。シアンパッチ41cは、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の中央部に転写される。ステップS21で第2のパッチ41が形成されると、制御部11は、第2のパッチ41の色について処理を終了する。
【0036】
また、制御部11は、パッチ41に設定された優先順位が2番以降である場合(ステップS20:「2番以降」)、このパッチ41を第3のパッチ41に設定する。そして、制御部11は、一つ高い優先順位が設定されたパッチ41(以下、「先行パッチ41」という)の後に続けて第3のパッチ41を形成した場合に、第3のパッチ41が上述した第1のパッチ41と重ならず、且つ、トナーバンド45の形成が開始される位置Sから第3のパッチ41の終端までの長さが、トナーバンド45の長さの合計以下であるか否かを判断する(ステップS22)。第3のパッチ41と第1のパッチ41とが重ならず、且つ、位置Sから第3のパッチ41の終端までの長さがトナーバンド45の長さの合計以下である場合(ステップS22:YES)、制御部11は、画像形成部15を制御して、先行パッチ41の後に続けて第3のパッチ41を形成させる(ステップS23)。
【0037】
図9及び図10では、シアンパッチ41cに優先順位「1」が設定され、マゼンタパッチ41mに優先順位「2」が設定され、イエローパッチ41yに優先順位「3」が設定される。この場合、制御部11は、まず優先順位が「2」であるマゼンタパッチ41mを第3のパッチ41に設定する。また、図10では、ブラックのトナーバンド45dしか形成されていないため、トナーバンド45の長さの合計は、トナーバンド45dの長さである「L4」となる。また、シアンのパッチ長は「L41」であり、マゼンタのパッチ長は「L31」であり、イエローのパッチ長は「L21」である。マゼンタパッチ41mをシアンパッチ41cの後に続けて形成した場合、位置Sからマゼンタパッチ41mの終端までの長さは「L41+L31」となる。図10に示すように、このマゼンタパッチ41mの終端までの長さは、トナーバンド45の長さの合計である「L4」よりも短い。したがって、マゼンタパッチ41mと第1のパッチ41とが重ならない(又は第1のパッチ41が設定されない)場合には、マゼンタパッチ41mがシアンパッチ41cの後に続けて形成される。マゼンタパッチ41mは、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の中央部に転写される。
【0038】
次に、制御部11は、優先順位が「3」であるイエローパッチ41yを第3のパッチ41に設定する。イエローパッチ41yをマゼンタパッチ41mの後に続けて形成した場合、位置Sからイエローパッチ41yの終端までの長さは「L41+L31+L21」となる。図10に示すように、このイエローパッチ41yの終端までの長さは、トナーバンド45の長さの合計である「L4」よりも短い。したがって、イエローパッチ41yが第1のパッチ41と重ならない(又は第1のパッチ41が設定されない)場合には、イエローパッチ41yがマゼンタパッチ41mの後に続けて形成される。イエローパッチ41yは、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の中央部に転写される。ステップS23で第3のパッチ41が形成されると、制御部11は、第3のパッチ41の色について処理を終了する。
【0039】
また、制御部11は、第3のパッチ41と第1のパッチ41が重なり、又は、位置Sから第3のパッチ41の終端までの長さがトナーバンド45の長さの合計よりも長い場合(ステップS22:NO)、この第3のパッチ41の形成を行わない(ステップS18)。そして、制御部11は、第3のパッチ41の色について処理を終了する。例えば、図11に示すように、ブラックのトナーバンド45eが形成される場合を想定する。このトナーバンド45eの長さは「L5」である。したがって、トナーバンド45の長さの合計は、トナーバンド45eの長さである「L5」となる。また、イエローパッチ41yをマゼンタパッチ41mの後に続けて形成した場合、位置Sからイエローパッチ41yの終端までの長さは「L41+L31+L21」となる。この場合、イエローパッチ41yの終端までの長さは、トナーバンド45の長さの合計である「L5」よりも長くなる。したがって、イエローパッチ41yは形成されない。なお、イエローパッチ41yよりも優先順位が低いパッチ41がある場合には、そのパッチ41も形成されない。つまり、制御部11は、ステップS19で設定された優先順位がマゼンタパッチ41mの優先順位「2」(閾値の一例)よりも低いパッチ41の形成を禁止する。
【0040】
上述した実施形態では、選択された色のトナーを用いてトナーバンド45を形成する間、同じ色のトナー用いたパッチ41の形成は行われない。また、トナーバンド45と同じ色のトナーを用いてパッチ41を形成する場合には、このトナーバンド45が形成された後、攪拌長に対応する時間が経過するまでは、このパッチ41の形成は行われない。これにより、トナーバンド45が形成された後パッチ41が形成される前に、そのパッチ41の形成に用いられるトナーが現像装置24内において攪拌される。したがって、トナーの攪拌不足により、パッチ41の濃度にムラが生じるのが抑制される。その結果、パッチ41の濃度を用いて行われる濃度調整処理の精度が向上する。また、上述した実施形態では、前回処理時間に応じてパッチ41の優先順位が設定され、優先順位が高いものを優先的にパッチ41の形成が行われる。これにより、最後に濃度調整が行われた時間が古い色の濃度が、他の色の濃度に優先して調整される。また、上述した実施形態では、優先順位が低いパッチ41は形成されない。これにより、トナーバンド45及びパッチ41の形成に費やされる時間が短くなる。
【0041】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を相互に組み合わせてもよい。
【0042】
(変形例1)
パッチ41の優先順位は、前回の濃度調整処理において調整された色の濃度の調整量に応じて設定されてもよい。この場合、記憶部13には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと対応付けて、前回の濃度調整処理において調整された当該色の濃度の調整量が記憶される。この濃度の調整量は、パッチ41の濃度と目標濃度との差に応じた値を有する。この濃度の差が大きい場合には、濃度の調整量も大きくなる。制御部11は、ステップS15で算出された長さに応じた位置からパッチ41を形成したときに、このパッチ41と他のパッチ41とが重なる場合(ステップS16:YES)、記憶部13においてこれらのパッチ41の色と対応付けて記憶された調整量が多い順に、パッチ41の優先順位を設定する。パッチ41の濃度と目標濃度との差が大きい場合には、濃度調整処理を1回行っただけでは濃度が正確に調整されない場合がある。しかし、この変形例では、前回の濃度調整処理において調整量が多い色のパッチ41の優先順位が高くなるため、この色の濃度が他の色の濃度に優先して調整される。
【0043】
(変形例2)
パッチ41の終端までの長さが、トナーバンド45の長さの合計よりも長い場合であっても、このパッチ41の形成を行ってもよい。例えば、図11では、イエローパッチ41yの終端までの長さは、トナーバンド45の長さの合計よりも長い。しかし、例えばイエローパッチ41yの終端までの長さからトナーバンド45の長さの合計を引いた差が閾値よりも小さい場合には、イエローパッチ41yを形成してもよい。また、この場合、制御部11は、イエローパッチ41yの長さを短くしてもよい。
【0044】
(変形例3)
トナーバンド45及びパッチ41が形成される領域は、図6,図10及び図11に示す領域に限らない。例えば、トナーバンド45が中間転写ベルト17の一方の端部と中央部とに形成され、パッチ41が他方の端部に形成されてもよい。また、トナーバンド45が、中間転写ベルト17の両端部に加えて、中間転写ベルト17の中央部のうちパッチ41が形成されていない領域に形成されてもよい。この場合、トナーバンド45の形状は、単なる帯状ではなくなる。つまり、トナーバンド45は、必ずしも帯状である必要はない。このように、中間転写ベルト17の中央部にもトナーバンド45が形成されると、その分、トナーバンド45の長さが短くなる。また、複数のトナーバンド45が形成される場合、これらのトナーバンド45が、中間転写ベルト17の搬送方向に沿って間隔を空けて形成されてもよい。
【0045】
(変形例4)
パッチ41は、中間転写ベルト17の搬送方向に沿って複数列で形成されてもよい。この場合、同色のパッチ41が中間転写ベルト17の幅方向に並べられてもよいし、異なる色のパッチ41が中間転写ベルト17の幅方向に並べられてもよい。例えば、上述した実施形態では、図11に示すブラックのトナーバンド45eが形成される場合、ブラックのバンド長が最大となるため(ステップS12:「最大」)、ブラックパッチ41kは形成されない(ステップS18)。しかし、パッチ41が複数列で形成される場合には、シアンパッチ41c、マゼンタパッチ41m又はイエローパッチと中間転写ベルト17の幅方向に並べて、ブラックパッチ41kが形成されてもよい。なお、この場合、画像形成装置1には、パッチ41の列の数だけ濃度センサ28を設ける必要がある。
【0046】
(変形例5)
上述した実施形態では、トナーバンド45とパッチ41が両方とも中間転写ベルト17に転写されていた。しかし、例えば、クリーニング部材26aのめくれを防止する場合、トナーバンド45は中間転写ベルト17に転写されず、そのまま感光体ドラム21上に残る。この場合、中間転写ベルト17に加え、感光体ドラム21も像保持体の一例として用いられる。
【0047】
(変形例6)
上述した実施形態では、ステップS1でトナーの吐き出しが必要であると判断された場合に、トナーバンド45の形成が行われていた。しかし、トナーバンド45が形成される条件はステップS1の条件にこれに限らない。例えば、画像形成部15により画像が形成された枚数が閾値を超えた場合に、トナーバンド45が形成されてもよい。つまり、予め決められた条件を満たしたときに、トナーバンド45の形成が行われればよい。
【0048】
(変形例7)
攪拌長は、搬送部材24aの攪拌動作に応じて変更されてもよい。例えば、搬送部材24aの回転速度を変えられる場合、トナーバンド45が形成されたときに搬送部材24aの回転速度を上げると、必要な攪拌時間が短くなる。この場合、制御部11は、予め設定された攪拌長を短くしてもよい。
【0049】
(変形例8)
CPUによって実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリなどの記録媒体に記録した状態で提供され、画像形成装置1にインストールされてもよい。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線を介して、画像形成装置1にダウンロードされてもよい。
【0050】
(変形例9)
上述した実施形態において、優先順位が1番のパッチ41が形成されなくても、優先優位が2番以降のパッチ41が形成される場合がある。この場合、制御部11は、トナーバンド45の長さ又は形成時間に応じて、この優先優位が2番以降のパッチ41の形成を禁止し、又はこのパッチ41の長さを短くする。
【符号の説明】
【0051】
1…画像形成装置、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、14…UI部、15…画像形成部、16M,16M,16C,16K…画像形成エンジン、17…中間転写ベルト、21…感光体ドラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、画質の調整を行うために、利用者により要求された画像を形成する合間に、調整用のパターンを形成する場合がある。例えば、特許文献1には、トナー濃度調整パターンの形成と重複するタイミングで、トナー消費パターンを形成する技術が記載されている。特許文献2には、非画像形成時に、転写搬送ベルト又は用紙上に検出トナー像と非検出トナー像を形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−29478号公報
【特許文献2】特開2004−271912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、濃度調整の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る制御装置は、複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、前記複数の色の中から選択された色のトナーを用いて前記像保持体の第1の領域に第1のトナー画像を形成させる第1の形成制御部と、前記画像形成部を制御して、前記複数の色のうち前記選択された色以外の色のトナーを用いて、前記第1の方向と交わる第2の方向に前記第1の領域と並んだ第2の領域に、濃度調整用の画像を形成させる第2の形成制御部と、前記濃度調整用の画像の色の濃度に応じて、当該色の濃度を調整する濃度調整部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る制御装置は、請求項1に記載の構成において、前記複数の色と対応付けて、前記濃度調整部によって最後に当該色の濃度が調整された時間を記憶する記憶する記憶部と、複数の色の前記濃度調整用の画像が形成される場合、前記記憶部において当該色と対応付けて記憶された時間が古い順に、当該濃度調整用の画像に優先順位を設定する設定部とを備え、前記第2の形成制御部は、前記画像形成部を制御して、前記設定部により設定された優先順位が高いものを優先的に前記濃度調整用の画像を形成させることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る制御装置は、請求項1に記載の構成において、前記複数の色と対応付けて、前記濃度調整部によって前回調整された当該色の濃度の調整量を記憶する記憶部と、複数の色の前記濃度調整用の画像が形成される場合、前記記憶部において当該色と対応付けて記憶された調整量が多い順に、当該濃度調整用の画像に優先順位を設定する設定部とを備え、前記第2の形成制御部は、前記画像形成部を制御して、前記設定部により設定された優先順位が高いものを優先的に前記濃度調整用の画像を形成させることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る制御装置は、請求項2又は3に記載の構成において、前記第2の形成制御部は、前記設定部により設定された優先順位が閾値よりも低い濃度調整用の画像の形成を禁止し、又は当該濃度調整用の画像の前記第1の方向の長さを短くすることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る制御装置は、請求項2から4のいずれかに記載の構成において、前記第2の形成制御部は、前記第1のトナー画像の前記第1の方向の長さ又は形成時間に応じて、前記濃度調整用の画像の形成を禁止し、又は当該濃度調整用の画像の前記第1の方向の長さを短くすることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部と、請求項1から5のいずれかに記載の制御装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項6に記載の構成において、前記画像形成部は、前記形成部に用いられるトナーを収容する収容部と、当該収容部に収容されたトナーを攪拌する攪拌部材とを備え、前記第2の形成制御部は、前記第1のトナー画像が形成された後、前記攪拌部材による攪拌動作に応じた時間が経過するまでは、前記第1の色のトナーを用いた濃度調整用の画像の形成を禁止することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係るプログラムは、コンピュータに、複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、前記複数の色の中から選択された色のトナーを用いて前記像保持体の第1の領域に第1のトナー画像を形成させるステップと、前記画像形成部を制御して、前記複数の色のうち前記選択された色以外の色のトナーを用いて、前記第1の方向と交わる第2の方向に前記第1の領域と並んだ第2の領域に、濃度調整用の画像を形成させるステップと、前記濃度調整用の画像の色の濃度に応じて、当該色の濃度を調整するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、選択された色のトナーを用いて第2の領域に濃度調整用の画像を形成する場合に比べて、濃度調整の精度が向上する。
請求項2に係る発明によれば、最後に濃度調整が行われた時間が古い色の濃度を、他の色の濃度に優先して調整することができる。
請求項3に係る発明によれば、前回調整された色の濃度の調整量が多い色の濃度を、他の色の濃度に優先して調整することができる。
請求項4,5に係る発明によれば、優先順位が閾値よりも低い濃度調整用の画像の形成を禁止し、又はこの濃度調整用の画像の第1の方向の長さを短くしない場合に比べて、トナー画像及び濃度調整用の画像の形成に費やされる時間を短くすることができる。
請求項6に係る発明によれば、選択された色のトナーを用いて第2の領域に濃度調整用の画像を形成する場合に比べて、濃度調整の精度が向上する。
請求項7に係る発明によれば、攪拌動作に応じた時間が経過する前に、第1の色のトナーを用いて濃度調整用の画像を形成する場合に比べて、濃度調整用の画像の濃度にムラが生じるのを抑制することができる。
請求項8に係る発明によれば、選択された色のトナーを用いて第2の領域に濃度調整用の画像を形成する場合に比べて、濃度調整の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図2】画像形成部の構成を示す模式図
【図3】画像形成エンジンの構成を示す図
【図4】画像形成装置の機能構成を示すブロック図
【図5】プロセスコントロールとトナーバンドの形成処理を示すフローチャート
【図6】トナーバンド及びパッチの形成の一例を示す図
【図7】パッチの形成処理を示すフローチャート
【図8】パッチの形成処理を示すフローチャート
【図9】前回処理日時の一例を示す図
【図10】トナーバンド及びパッチの形成の一例を示す図
【図11】トナーバンド及びパッチの形成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、電子写真方式のカラープリンタである。画像形成装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、UI(User Interface)部14と、画像形成部15とを備えている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを備えている。CPUは、メモリに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置1の各部を制御する。通信部12は、通信回線に接続される通信インターフェースである。例えば、クライアント装置から画像データが送信されてくると、画像形成装置1は、通信部12によりこの画像データを受信する。記憶部13は、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶部13には、各種のデータが記憶される。UI部14は、例えばタッチスクリーンとキーとを備えている。UI部14は、画像形成装置1を操作するのに用いられる。画像形成部15は、画像データに応じた画像を用紙に形成する。
【0016】
図2は、画像形成部15の構成を示す模式図である。画像形成部15は、画像形成エンジン16Y,16M,16C,16K(形成部の一例)と、中間転写ベルト17と、二次転写ローラ18と、クリーニング装置19と、定着器20とを備えている。画像形成エンジン16Y,16M,16C,16Kは、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナーを用いて画像を形成し、形成した画像を中間転写ベルト17に転写する。なお、以下の説明では、画像形成エンジン16Y,16M,16C,16Kを区別する必要がない場合には、符号の末尾に付された「Y」、「M」、「C」、「K」という文字を省略して、「画像形成エンジン16」という。中間転写ベルト17は、図中の矢印A方向に回転し、画像形成エンジン16によって形成された画像を二次転写ローラ18へと搬送する。つまり、中間転写ベルト17は、画像形成エンジン16によって形成された画像を保持し、矢印Aで示す搬送方向(第1の方向の一例)に搬送する像保持体の一例である。二次転写ローラ18は、中間転写ベルト17によって搬送された画像を用紙に転写する。クリーニング装置19は、二次転写ローラ18によって中間転写ベルト17から画像が転写された後、中間転写ベルト17の表面に残留したトナーを除去する。クリーニング装置19は、ブレード状のクリーニング部材19aを備えている。クリーニング装置19は、クリーニング部材19aを中間転写ベルト17の表面に押し当てることにより、中間転写ベルト17の表面からトナーを除去する。定着器20は、熱と圧力とを加えることにより、画像を用紙に定着させる。定着器20を通過した用紙は、画像形成装置1から排出される。
【0017】
図3は、画像形成エンジン16の構成を示す図である。画像形成エンジン16は、感光体ドラム21を備えている。感光体ドラム21は、表面に光導電膜が形成された円筒状の部材である。感光体ドラム21は、軸を中心に回転する。感光体ドラム21の周りには、帯電器22と、露光装置23と、現像装置24(収容部の一例)と、一次転写ローラ25と、クリーニング装置26とが設けられている。帯電器22は、感光体ドラム21の表面を均一に帯電させる。露光装置23は、帯電した感光体ドラム21に対し、画像データに応じた露光を行って静電潜像を形成する。現像装置24は、感光体ドラム21上に形成された静電潜像をトナーで現像する。現像装置24には、トナーとキャリアを含む現像剤が収容されている。また、現像装置24内には、搬送部材24a(攪拌部材の一例)が設けられている。搬送部材24aは、現像装置24内の現像剤を攪拌しながら搬送する。現像装置24の開口部には、現像ローラ24bが設けられている。現像ローラ24bは、搬送部材24aにより搬送された現像剤を、感光体ドラム21と対応する現像領域へと搬送する。現像領域に搬送されると、現像バイアスにより、現像剤に含まれるトナーが感光体ドラム21上に形成された静電潜像に移動し付着する。これにより、静電潜像が現像される。現像装置24内のトナーの量が少なくなると、トナー供給部27から現像装置24にトナーが補給される。このトナー供給部27は、トナー補給路27aを介して現像装置24に接続されている。トナー供給部27は、トナーを収容しており、トナー補給路27aを介して現像装置24にトナーを供給する。一次転写ローラ25は、感光体ドラム21上に形成された画像を中間転写ベルト17に転写する。クリーニング装置26は、一次転写ローラ25によって感光体ドラム21から画像が転写された後、感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去する。クリーニング装置26は、ブレード状のクリーニング部材26aを備えている。クリーニング装置26は、クリーニング部材26aを感光体ドラム21の表面に押し当てることにより、感光体ドラム21の表面からトナーを除去する。
【0018】
画像形成装置1は、利用者により要求された画像を形成する他に、プロセスコントロールとトナーバンド45の形成処理とを行う。プロセスコントロールでは、画像の濃度を調整するために、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのパッチ41(濃度調整用の画像の一例)が形成される。パッチ41は、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17に転写される。図2に示すように、中間転写ベルト17の下には、濃度センサ28が設けられている。濃度センサ28は、パッチ41に光を照射し、その反射光の量に応じてパッチ41の色の濃度を検出する。制御部11は、濃度センサ28によって検出されたパッチ41の色の濃度に応じて、この色の濃度を調整する処理を行う。
【0019】
トナーバンド45の形成処理では、トナーバンド45(トナー画像の一例)が形成される。トナーバンド45とは、イエロー、マゼンタ、シアン又はブラックのトナーを用いて感光体ドラム21上に形成される画像をいう。トナーバンド45の形成処理は、現像装置24内のトナーを強制的に吐き出すことを目的にしたものと、クリーニング部材19a又は26aを保護することを目的としたものとがある。まず、前者の目的で行われるトナーバンド45の形成処理について説明する。上述したように、現像装置24内のトナーは、搬送部材24aによって攪拌されている。しかし、例えば低濃度の画像の形成が続いた場合には、現像装置24内で長期間に亘ってトナーが攪拌されることにより、トナー粒子の表面が削れて、トナーが劣化する。そこで、劣化したトナーを強制的に吐き出して、新たなトナーに入れ替えるために、トナーバンド45の形成処理を行う。トナーバンド45の形成処理においてトナーバンド45が形成されると、現像装置24からトナーが吐き出される。現像装置24からトナーが吐き出されると、現像装置24には、トナー供給部27から新たなトナーが供給される。これにより、現像装置24内の劣化したトナーが新たなトナーに入れ替えられる。
【0020】
次に、後者の目的で行われるトナーバンド45の形成処理について説明する。上述したように、クリーニング部材19aは、中間転写ベルト17の表面に押し当てられている。そのため、クリーニング部材19aに到達するトナーの量が少なくなると、クリーニング部材19aと中間転写ベルト17との間の摩擦が大きくなり、先端がめくれてしまうことがある。これは、クリーニング部材26aについても同様である。そこで、クリーニング部材19a又は26aのめくれを防止するために、トナーバンド45の形成処理を行う。例えば、クリーニング部材19aのめくれを防止する場合、トナーバンド45の形成処理では、感光体ドラム21上にトナーバンド45が形成され、このトナーバンド45が中間転写ベルト17に転写される。中間転写ベルト17に転写された後、このトナーバンド45は用紙に転写されずに、そのままクリーニング装置19に到達する。クリーニング装置19にトナーバンド45が到達すると、このトナーバンド45はクリーニング部材19aの潤滑剤として作用する。これにより、クリーニング部材19aと中間転写ベルト17との間の摩擦が減り、クリーニング部材19aのめくれが防止される。
【0021】
次に、画像形成装置1の機能構成について説明する。図4は、画像形成装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。第1の形成制御部101,第2の形成制御部102,濃度調整部103及び設定部104は、CPUがプログラムを実行することにより実現される。この場合、制御部11は、制御装置又はコンピュータの一例として用いられる。第1の形成制御部101は、画像形成部15を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックから選択された色のトナーを用いて、中間転写ベルト17の第1の領域に第1のトナーバンド45を形成させる。第2の形成制御部102は、画像形成部15を制御して、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのうち第1の形成制御部101で選択された色以外の色のトナーを用いて、中間転写ベルト17の第2の領域に濃度調整用のパッチ41を形成させる。この第2の領域は、中間転写ベルト17の搬送方向と交わる方向に第1の領域と並んだ領域である。濃度調整部103は、濃度センサ28によって濃度調整用のパッチ41の色の濃度が検出されると、検出された色の濃度に応じて、この色の濃度を調整する。記憶部13には、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックと対応付けて、濃度調整部103によって最後に当該色の濃度が調整された時間が記憶される。設定部104は、複数の色の濃度調整用のパッチ41が形成される場合、記憶部13において当該色と対応付けて記憶された時間が古い順に、濃度調整用のパッチ41に優先順位を設定する。設定部104により優先順位が設定された場合、第2の形成制御部102は、画像形成部15を制御して、設定された優先順位が高いものを優先的に濃度調整用のパッチ41を形成させる。
【0022】
画像形成装置1では、プロセスコントロールがトナーバンド45の形成処理とともに行われる。図5は、プロセスコントロールとトナーバンド45の形成処理を示すフローチャートである。まず、制御部11は、トナーの吐き出しが必要か否かを判断する(ステップS1)。具体的には、制御部11は、クライアント装置から受信した画像データをイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックに色分解して、露光装置23に供給する。このとき、制御部11は、各色の画像データの書き込み画素数をカウントし、メモリに記憶させる。この書き込み画素数とは、露光装置23の露光により感光体ドラム21上に形成される静電潜像を構成する画素の数(すなわち、トナーによる現像の対象となる画素の数)である。したがって、この書き込み画素数が多ければ、現像で用いられるトナーの量、すなわち現像装置24から吐き出されるトナーの量も多くなる。制御部11は、メモリに記憶された書き込み画素数に応じて、決められた期間において各現像装置24から吐き出されたトナーの量が閾値以上であるか否かを判断する。決められた期間において各現像装置24から吐き出されたトナーの量が閾値以上である場合、制御部11は、トナーの吐き出しは必要ないと判断する(ステップS1:NO)。一方、決められた期間において少なくとも一つの現像装置24から吐き出されたトナーの量が閾値よりも少ない場合、制御部11は、その現像装置24に収容されているトナーの吐き出しが必要であると判断する(ステップS1:YES)。
【0023】
トナーの吐き出しが必要である場合、制御部11は、画像形成部15を制御して、トナーバンド45とパッチ41を形成させる(ステップS2)。例えば、ステップS11でイエロー,マゼンタ,シアンのトナーの吐き出しが必要であると判断された場合、制御部11は、これらの色を選択する。そして、制御部11は、画像形成部15を制御して、選択された色のトナーを用いてトナーバンド45を形成させる。図6は、トナーバンド45とパッチ41の形成の一例を示す図である。図6では、イエロー(Y),マゼンタ(M)及びシアン(C)の混色のトナーバンド45aと、マゼンタ(M)及びシアン(C)の混色のトナーバンド45bと、シアン(C色)のトナーバンド45cとが順番に形成される。これらのトナーバンド45は、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の両端部(第1の領域の一例)に転写される。トナーバンド45aの長さはL1であり、トナーバンド45bの長さはL2であり、トナーバンド45cの長さはL3である。なお、パッチ41の形成処理については後述する。
【0024】
中間転写ベルト17によりパッチ41が搬送されてくると、濃度センサ28は、このパッチ41の色の濃度を検出する。制御部11は、濃度センサ28によって検出されたパッチ41の色の濃度に応じて、濃度調整処理を行う(ステップS3)。具体的には、制御部11は、濃度センサ28によって検出されたパッチ41の色の濃度が目標濃度となるように、電位制御又は階調制御を行う。この電位制御では、帯電、露光又は現像バイアスが制御される。階調制御では、画像処理によって、露光装置23に供給される画像データの階調値が制御される。
【0025】
次に、上述したステップS2で行われるパッチ41の形成処理について説明する。図7及び図8は、パッチの形成処理を示すフローチャートである。なお、このパッチ41の形成処理は、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの色毎に行われる。制御部11は、上述したステップS2で形成されるトナーバンド45の長さに応じて、各色のトナーを用いて形成されたトナーバンド45の長さ(以下、「バンド長」という)を算出する(ステップS11)。このバンド長は、トナーの吐き出し量に応じて決められる。例えば、決められた期間においてシアンのトナーを収容する現像装置24から吐き出されたトナー量が少量である場合、シアンのトナーを大量に吐き出す必要がある。この場合、シアンのバンド長は長くなる。
【0026】
図6では、イエローのトナーを用いて、トナーバンド45aが形成される。この場合、イエローのバンド長は、トナーバンド45aの長さである「L1」となる。また、マゼンタのトナーを用いて、トナーバンド45a及び45bが形成される。この場合、マゼンタのバンド長は、トナーバンド45aと45bの長さの合計である「L1+L2」となる。また、シアンのトナーを用いて、トナーバンド45a,45b及び45cが形成される。この場合、シアンのバンド長は、トナーバンド45a,45b及び45cの長さの合計である「L1+L2+L3」となる。なお、ブラックのトナーはトナーバンド45の形成に用いられていないため、ブラックのバンド長は「0」となる。
【0027】
制御部11は、ステップ11で算出されたバンド長が、算出された中で最大のバンド長である場合(ステップS12:「最大」)、そのバンド長の色についてはパッチ41の形成を行わない(ステップS18)。そして、制御部11は、このパッチ41の色について処理を終了する。図6では、イエローのバンド長が「L1」であり、マゼンタのバンド長が「L1+L2」であり、シアンのバンド長が「L1+L2+L3」である。また、ブラックのバンド長は、「0」である。この場合、シアンのバンド長が最大となるため、シアンのパッチ41は形成されない。
【0028】
また、制御部11は、ステップ11で算出されたバンド長が、上述した最大のバンド長以外である場合(ステップS12:「それ以外」)、そのバンド長の色について、トナーバンド45の形成が開始される位置Sからパッチ41の終端までの長さを算出する(ステップS13)。このパッチ41の終端までの長さは、バンド長+攪拌長+パッチ長で表される長さである。バンド長は、上述したステップS1で算出されたものである。攪拌長は、現像装置24からトナーが吐き出された後に必要な攪拌時間に相当する長さである。現像装置24からトナーが吐き出されると、現像装置24内のトナー濃度が急激に変化し、現像装置24内のトナー濃度にばらつきが生じる。この現像装置24内のトナー濃度のばらつきを解消して、トナーの濃度が概ね均一になるようにするには、現像装置24内のトナーを或る程度の時間、攪拌する必要がある。この或る程度の時間は、搬送部材24aの攪拌動作に応じて決められる。攪拌長は、この或る程度の時間に対応する長さに予め設定されている。なお、バンド長が「0」である場合には、攪拌時間が必要ないため、攪拌長も「0」になる。パッチ長は、パッチ41の長さである。このパッチ長は、濃度センサ28がパッチ41の濃度を読み取れるような長さに予め設定されている。
【0029】
図6では、シアン以外の色、すなわちイエロー,マゼンタ,ブラックについて、位置Sからパッチ41の終端までの長さが算出される。図6では、イエローのバンド長が「L1」であり、攪拌長が「L20」であり、パッチ長が「L21」である。この場合、イエロー(Y)パッチ41yの終端までの長さは、「L1+L20+L21」となる。また、マゼンタのバンド長が「L1+L2」であり、攪拌長が「L30」であり、パッチ長が「L31」である。この場合、マゼンタ(M)パッチ41mの終端までの長さは、「(L1+L2)+L30+L31」となる。また、ブラックのバンド長が「0」であり、パッチ長が「L11」である。上述したように、バンド長が「0」の場合、攪拌長も「0」となる。したがって、ブラック(K)パッチ41kの終端までの長さは、「L11」となる。
【0030】
制御部11は、ステップS13で算出されたパッチ41の終端までの長さが、トナーバンド45の長さの合計よりも長いか否かを判断する(ステップS14)。図6では、トナーバンド45a,45b及び45cが形成される。この場合、トナーバンド45の長さの合計は、トナーバンド45a,45b及び45cの長さの合計である「L1+L2+L3」となる。ステップS13で算出されたパッチ41の終端までの長さが、トナーバンド45の長さの合計よりも長い場合(ステップS14:YES)、制御部11は、このパッチ41の形成を行わない(ステップS18)。そして、制御部11は、このパッチ41の色について処理を終了する。
【0031】
一方、図6では、イエローパッチ41yの終端までの長さが「L1+L20+L21」であり、マゼンタパッチ41mの終端までの長さが「(L1+L2)+L30+L31」であり、ブラックパッチ41kの終端までの長さが「L11」である。図6に示すように、これらの長さは、いずれもトナーバンド45の長さの合計である「L1+L2+L3」よりも短い(ステップS14:NO)。この場合、制御部11は、トナーバンド45の形成が開始される位置Sからこれらのパッチ41の先端までの長さを算出する(ステップS15)。このパッチ41の先端までの長さは、バンド長+攪拌長で表される長さである。図6では、イエローのバンド長が「L1」であり、攪拌長が「L20」である。この場合、イエローパッチ41yの先端までの長さは、「L1+L20」となる。また、マゼンタのバンド長が「L1+L2」であり、攪拌長が「L30」である。この場合、マゼンタパッチ41mの先端までの長さは、「(L1+L2)+L30」となる。なお、ブラックのバンド長と攪拌長は、いずれも「0」である。したがって、ブラックパッチ41kの先端までの長さは「0」となる。
【0032】
制御部11は、ステップS15で算出された長さに応じた位置からパッチ41を形成したときに、このパッチ41と他のパッチ41とが重ならない場合(ステップS16:NO)、このパッチ41を第1のパッチ41に設定する。そして、制御部11は、画像形成部15を制御して、ステップS15で算出した長さに応じた位置から第1のパッチ41を形成させる(ステップS17)。図6では、ブラックパッチ41kの先端までの長さは「0」である。この場合、ブラックパッチ41kは、位置Sから形成される。また、イエローパッチ41yの先端までの長さは「L1+L20」である。この場合、イエローパッチ41yは、位置Sから「L1+L20」の間隔を空けた位置から形成される。また、マゼンタパッチ41mの先端までの長さは、「(L1+L2)+L30」である。この場合、マゼンタパッチ41mは、位置Sから「(L1+L2)+L30」の間隔を空けた位置から形成される。これらのパッチ41は、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の中央部(第2の領域の一例)に転写される。パッチ41が形成される中央部は、トナーバンド45が形成される両端部と矢印Bで示す中間転写ベルト17の幅方向(第2の方向の一例)に並んだ領域である。この中間転写ベルト17の幅方向は、矢印Aで示す中間転写ベルト17の搬送方向と交わる方向である。図6に示すように、ブラックパッチ41k,イエローパッチ41y及びマゼンタパッチ41mが上述した位置から形成された場合、これらのパッチ41は互いに重ならない。したがって、ブラックパッチ41k,イエローパッチ41y及びマゼンタパッチ41mは、いずれも第1のパッチ41に設定され、上述した位置から形成される。
【0033】
このように、イエローパッチ41yは、イエロートナーを用いて形成されるトナーバンド45aの後端から攪拌長である「L20」の間隔を空けた位置から形成される。また、マゼンタパッチ41mは、マゼンタトナーを用いて形成されるトナーバンド45a及び45bの後端から攪拌長である「L30」の間隔を空けた位置から形成される。つまり、制御部11は、選択された色のトナーを用いてトナーバンド45が形成された後、攪拌長に対応する時間が経過するまでは、その色のトナーを用いたパッチ41の形成を禁止していることになる。これは、トナーバンド45と同じ色のトナーを用いてパッチ41を形成する前に、現像装置24においてこの色のトナーを必要な時間、攪拌するためである。ステップS17で第1のパッチ41が形成されると、制御部11は、第1のパッチ41の色について処理を終了する。
【0034】
また、制御部11は、ステップS15で算出された長さに応じた位置からパッチ41を形成したときに、このパッチ41と他のパッチ41とが重なる場合(ステップS16:YES)、上述したステップS3の濃度調整処理が最後に行われた時間に応じて、これらのパッチ41に優先順位を設定する(図8のステップS19)。記憶部13には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと対応付けて、当該色の濃度調整処理が最後に行われた日時(以下、「前回処理日時」という)が記憶されている。図9は、記憶部13に記憶された前回処理日時の一例を示す図である。制御部11は、記憶部13に記憶された前回処理日時が古い順に、パッチ41に優先順位を設定する。例えば、図10に示すように、ブラックのトナーバンド45dが形成される場合を想定する。この場合、上述したステップS15では、イエロー,マゼンタ,シアンの各色のパッチ41の先端までの長さとしていずれも「0」が算出される。したがって、これらのパッチ41は互いに重なる。図9では、イエローの前回処理日時が「2011/06:10/10:09」であり、マゼンタの前回処理日時が「2011/06:10/10:05」であり、シアンの前回処理日時が「2011/06:10/10:00」である。この場合、シアンの前回処理日時が最も古く、次にマゼンタの処理日時が古く、イエローの前回処理日時が最も新しい。したがって、制御部11は、シアン(C)パッチ41cに最も高い優先順位「1」を設定し、マゼンタ(M)パッチ41mに次に高い優先順位「2」を設定し、イエロー(Y)パッチ41yに最も低い優先順位「3」を設定する。
【0035】
制御部11は、パッチ41に設定された優先順位が1番である場合(ステップS20:「1番」)、このパッチ41を第2のパッチ41に設定する。そして、制御部11は、画像形成部15を制御して、第2のパッチ41をステップS15で算出した長さに応じた位置から形成させる(ステップS21)。図9及び図10では、シアンパッチ41cに優先順位「1」が設定されるため、シアンパッチ41cが第2のパッチ41に設定される。また、上述したように、ステップS15では、シアンパッチ41cの先端までの長さとして「0」が算出される。この場合、シアンパッチ41cが位置Sから形成される。シアンパッチ41cは、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の中央部に転写される。ステップS21で第2のパッチ41が形成されると、制御部11は、第2のパッチ41の色について処理を終了する。
【0036】
また、制御部11は、パッチ41に設定された優先順位が2番以降である場合(ステップS20:「2番以降」)、このパッチ41を第3のパッチ41に設定する。そして、制御部11は、一つ高い優先順位が設定されたパッチ41(以下、「先行パッチ41」という)の後に続けて第3のパッチ41を形成した場合に、第3のパッチ41が上述した第1のパッチ41と重ならず、且つ、トナーバンド45の形成が開始される位置Sから第3のパッチ41の終端までの長さが、トナーバンド45の長さの合計以下であるか否かを判断する(ステップS22)。第3のパッチ41と第1のパッチ41とが重ならず、且つ、位置Sから第3のパッチ41の終端までの長さがトナーバンド45の長さの合計以下である場合(ステップS22:YES)、制御部11は、画像形成部15を制御して、先行パッチ41の後に続けて第3のパッチ41を形成させる(ステップS23)。
【0037】
図9及び図10では、シアンパッチ41cに優先順位「1」が設定され、マゼンタパッチ41mに優先順位「2」が設定され、イエローパッチ41yに優先順位「3」が設定される。この場合、制御部11は、まず優先順位が「2」であるマゼンタパッチ41mを第3のパッチ41に設定する。また、図10では、ブラックのトナーバンド45dしか形成されていないため、トナーバンド45の長さの合計は、トナーバンド45dの長さである「L4」となる。また、シアンのパッチ長は「L41」であり、マゼンタのパッチ長は「L31」であり、イエローのパッチ長は「L21」である。マゼンタパッチ41mをシアンパッチ41cの後に続けて形成した場合、位置Sからマゼンタパッチ41mの終端までの長さは「L41+L31」となる。図10に示すように、このマゼンタパッチ41mの終端までの長さは、トナーバンド45の長さの合計である「L4」よりも短い。したがって、マゼンタパッチ41mと第1のパッチ41とが重ならない(又は第1のパッチ41が設定されない)場合には、マゼンタパッチ41mがシアンパッチ41cの後に続けて形成される。マゼンタパッチ41mは、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の中央部に転写される。
【0038】
次に、制御部11は、優先順位が「3」であるイエローパッチ41yを第3のパッチ41に設定する。イエローパッチ41yをマゼンタパッチ41mの後に続けて形成した場合、位置Sからイエローパッチ41yの終端までの長さは「L41+L31+L21」となる。図10に示すように、このイエローパッチ41yの終端までの長さは、トナーバンド45の長さの合計である「L4」よりも短い。したがって、イエローパッチ41yが第1のパッチ41と重ならない(又は第1のパッチ41が設定されない)場合には、イエローパッチ41yがマゼンタパッチ41mの後に続けて形成される。イエローパッチ41yは、感光体ドラム21上に形成された後、中間転写ベルト17の中央部に転写される。ステップS23で第3のパッチ41が形成されると、制御部11は、第3のパッチ41の色について処理を終了する。
【0039】
また、制御部11は、第3のパッチ41と第1のパッチ41が重なり、又は、位置Sから第3のパッチ41の終端までの長さがトナーバンド45の長さの合計よりも長い場合(ステップS22:NO)、この第3のパッチ41の形成を行わない(ステップS18)。そして、制御部11は、第3のパッチ41の色について処理を終了する。例えば、図11に示すように、ブラックのトナーバンド45eが形成される場合を想定する。このトナーバンド45eの長さは「L5」である。したがって、トナーバンド45の長さの合計は、トナーバンド45eの長さである「L5」となる。また、イエローパッチ41yをマゼンタパッチ41mの後に続けて形成した場合、位置Sからイエローパッチ41yの終端までの長さは「L41+L31+L21」となる。この場合、イエローパッチ41yの終端までの長さは、トナーバンド45の長さの合計である「L5」よりも長くなる。したがって、イエローパッチ41yは形成されない。なお、イエローパッチ41yよりも優先順位が低いパッチ41がある場合には、そのパッチ41も形成されない。つまり、制御部11は、ステップS19で設定された優先順位がマゼンタパッチ41mの優先順位「2」(閾値の一例)よりも低いパッチ41の形成を禁止する。
【0040】
上述した実施形態では、選択された色のトナーを用いてトナーバンド45を形成する間、同じ色のトナー用いたパッチ41の形成は行われない。また、トナーバンド45と同じ色のトナーを用いてパッチ41を形成する場合には、このトナーバンド45が形成された後、攪拌長に対応する時間が経過するまでは、このパッチ41の形成は行われない。これにより、トナーバンド45が形成された後パッチ41が形成される前に、そのパッチ41の形成に用いられるトナーが現像装置24内において攪拌される。したがって、トナーの攪拌不足により、パッチ41の濃度にムラが生じるのが抑制される。その結果、パッチ41の濃度を用いて行われる濃度調整処理の精度が向上する。また、上述した実施形態では、前回処理時間に応じてパッチ41の優先順位が設定され、優先順位が高いものを優先的にパッチ41の形成が行われる。これにより、最後に濃度調整が行われた時間が古い色の濃度が、他の色の濃度に優先して調整される。また、上述した実施形態では、優先順位が低いパッチ41は形成されない。これにより、トナーバンド45及びパッチ41の形成に費やされる時間が短くなる。
【0041】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を相互に組み合わせてもよい。
【0042】
(変形例1)
パッチ41の優先順位は、前回の濃度調整処理において調整された色の濃度の調整量に応じて設定されてもよい。この場合、記憶部13には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと対応付けて、前回の濃度調整処理において調整された当該色の濃度の調整量が記憶される。この濃度の調整量は、パッチ41の濃度と目標濃度との差に応じた値を有する。この濃度の差が大きい場合には、濃度の調整量も大きくなる。制御部11は、ステップS15で算出された長さに応じた位置からパッチ41を形成したときに、このパッチ41と他のパッチ41とが重なる場合(ステップS16:YES)、記憶部13においてこれらのパッチ41の色と対応付けて記憶された調整量が多い順に、パッチ41の優先順位を設定する。パッチ41の濃度と目標濃度との差が大きい場合には、濃度調整処理を1回行っただけでは濃度が正確に調整されない場合がある。しかし、この変形例では、前回の濃度調整処理において調整量が多い色のパッチ41の優先順位が高くなるため、この色の濃度が他の色の濃度に優先して調整される。
【0043】
(変形例2)
パッチ41の終端までの長さが、トナーバンド45の長さの合計よりも長い場合であっても、このパッチ41の形成を行ってもよい。例えば、図11では、イエローパッチ41yの終端までの長さは、トナーバンド45の長さの合計よりも長い。しかし、例えばイエローパッチ41yの終端までの長さからトナーバンド45の長さの合計を引いた差が閾値よりも小さい場合には、イエローパッチ41yを形成してもよい。また、この場合、制御部11は、イエローパッチ41yの長さを短くしてもよい。
【0044】
(変形例3)
トナーバンド45及びパッチ41が形成される領域は、図6,図10及び図11に示す領域に限らない。例えば、トナーバンド45が中間転写ベルト17の一方の端部と中央部とに形成され、パッチ41が他方の端部に形成されてもよい。また、トナーバンド45が、中間転写ベルト17の両端部に加えて、中間転写ベルト17の中央部のうちパッチ41が形成されていない領域に形成されてもよい。この場合、トナーバンド45の形状は、単なる帯状ではなくなる。つまり、トナーバンド45は、必ずしも帯状である必要はない。このように、中間転写ベルト17の中央部にもトナーバンド45が形成されると、その分、トナーバンド45の長さが短くなる。また、複数のトナーバンド45が形成される場合、これらのトナーバンド45が、中間転写ベルト17の搬送方向に沿って間隔を空けて形成されてもよい。
【0045】
(変形例4)
パッチ41は、中間転写ベルト17の搬送方向に沿って複数列で形成されてもよい。この場合、同色のパッチ41が中間転写ベルト17の幅方向に並べられてもよいし、異なる色のパッチ41が中間転写ベルト17の幅方向に並べられてもよい。例えば、上述した実施形態では、図11に示すブラックのトナーバンド45eが形成される場合、ブラックのバンド長が最大となるため(ステップS12:「最大」)、ブラックパッチ41kは形成されない(ステップS18)。しかし、パッチ41が複数列で形成される場合には、シアンパッチ41c、マゼンタパッチ41m又はイエローパッチと中間転写ベルト17の幅方向に並べて、ブラックパッチ41kが形成されてもよい。なお、この場合、画像形成装置1には、パッチ41の列の数だけ濃度センサ28を設ける必要がある。
【0046】
(変形例5)
上述した実施形態では、トナーバンド45とパッチ41が両方とも中間転写ベルト17に転写されていた。しかし、例えば、クリーニング部材26aのめくれを防止する場合、トナーバンド45は中間転写ベルト17に転写されず、そのまま感光体ドラム21上に残る。この場合、中間転写ベルト17に加え、感光体ドラム21も像保持体の一例として用いられる。
【0047】
(変形例6)
上述した実施形態では、ステップS1でトナーの吐き出しが必要であると判断された場合に、トナーバンド45の形成が行われていた。しかし、トナーバンド45が形成される条件はステップS1の条件にこれに限らない。例えば、画像形成部15により画像が形成された枚数が閾値を超えた場合に、トナーバンド45が形成されてもよい。つまり、予め決められた条件を満たしたときに、トナーバンド45の形成が行われればよい。
【0048】
(変形例7)
攪拌長は、搬送部材24aの攪拌動作に応じて変更されてもよい。例えば、搬送部材24aの回転速度を変えられる場合、トナーバンド45が形成されたときに搬送部材24aの回転速度を上げると、必要な攪拌時間が短くなる。この場合、制御部11は、予め設定された攪拌長を短くしてもよい。
【0049】
(変形例8)
CPUによって実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリなどの記録媒体に記録した状態で提供され、画像形成装置1にインストールされてもよい。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線を介して、画像形成装置1にダウンロードされてもよい。
【0050】
(変形例9)
上述した実施形態において、優先順位が1番のパッチ41が形成されなくても、優先優位が2番以降のパッチ41が形成される場合がある。この場合、制御部11は、トナーバンド45の長さ又は形成時間に応じて、この優先優位が2番以降のパッチ41の形成を禁止し、又はこのパッチ41の長さを短くする。
【符号の説明】
【0051】
1…画像形成装置、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、14…UI部、15…画像形成部、16M,16M,16C,16K…画像形成エンジン、17…中間転写ベルト、21…感光体ドラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、前記複数の色の中から選択された色のトナーを用いて前記像保持体の第1の領域に第1のトナー画像を形成させる第1の形成制御部と、
前記画像形成部を制御して、前記複数の色のうち前記選択された色以外の色のトナーを用いて、前記第1の方向と交わる第2の方向に前記第1の領域と並んだ第2の領域に、濃度調整用の画像を形成させる第2の形成制御部と、
前記濃度調整用の画像の色の濃度に応じて、当該色の濃度を調整する濃度調整部と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記複数の色と対応付けて、前記濃度調整部によって最後に当該色の濃度が調整された時間を記憶する記憶する記憶部と、
複数の色の前記濃度調整用の画像が形成される場合、前記記憶部において当該色と対応付けて記憶された時間が古い順に、当該濃度調整用の画像に優先順位を設定する設定部とを備え、
前記第2の形成制御部は、前記画像形成部を制御して、前記設定部により設定された優先順位が高いものを優先的に前記濃度調整用の画像を形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記複数の色と対応付けて、前記濃度調整部によって前回調整された当該色の濃度の調整量を記憶する記憶部と、
複数の色の前記濃度調整用の画像が形成される場合、前記記憶部において当該色と対応付けて記憶された調整量が多い順に、当該濃度調整用の画像に優先順位を設定する設定部とを備え、
前記第2の形成制御部は、前記画像形成部を制御して、前記設定部により設定された優先順位が高いものを優先的に前記濃度調整用の画像を形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2の形成制御部は、前記設定部により設定された優先順位が閾値よりも低い濃度調整用の画像の形成を禁止し、又は当該濃度調整用の画像の前記第1の方向の長さを短くする
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2の形成制御部は、前記第1のトナー画像の前記第1の方向の長さ又は形成時間に応じて、前記濃度調整用の画像の形成を禁止し、又は当該濃度調整用の画像の前記第1の方向の長さを短くする
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部と、
請求項1から5のいずれかに記載の制御装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、前記形成部に用いられるトナーを収容する収容部と、当該収容部に収容されたトナーを攪拌する攪拌部材とを備え、
前記第2の形成制御部は、前記第1のトナー画像が形成された後、前記攪拌部材による攪拌動作に応じた時間が経過するまでは、前記第1の色のトナーを用いた濃度調整用の画像の形成を禁止する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、前記複数の色の中から選択された色のトナーを用いて前記像保持体の第1の領域に第1のトナー画像を形成させるステップと、
前記画像形成部を制御して、前記複数の色のうち前記選択された色以外の色のトナーを用いて、前記第1の方向と交わる第2の方向に前記第1の領域と並んだ第2の領域に、濃度調整用の画像を形成させるステップと、
前記濃度調整用の画像の色の濃度に応じて、当該色の濃度を調整するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、前記複数の色の中から選択された色のトナーを用いて前記像保持体の第1の領域に第1のトナー画像を形成させる第1の形成制御部と、
前記画像形成部を制御して、前記複数の色のうち前記選択された色以外の色のトナーを用いて、前記第1の方向と交わる第2の方向に前記第1の領域と並んだ第2の領域に、濃度調整用の画像を形成させる第2の形成制御部と、
前記濃度調整用の画像の色の濃度に応じて、当該色の濃度を調整する濃度調整部と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記複数の色と対応付けて、前記濃度調整部によって最後に当該色の濃度が調整された時間を記憶する記憶する記憶部と、
複数の色の前記濃度調整用の画像が形成される場合、前記記憶部において当該色と対応付けて記憶された時間が古い順に、当該濃度調整用の画像に優先順位を設定する設定部とを備え、
前記第2の形成制御部は、前記画像形成部を制御して、前記設定部により設定された優先順位が高いものを優先的に前記濃度調整用の画像を形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記複数の色と対応付けて、前記濃度調整部によって前回調整された当該色の濃度の調整量を記憶する記憶部と、
複数の色の前記濃度調整用の画像が形成される場合、前記記憶部において当該色と対応付けて記憶された調整量が多い順に、当該濃度調整用の画像に優先順位を設定する設定部とを備え、
前記第2の形成制御部は、前記画像形成部を制御して、前記設定部により設定された優先順位が高いものを優先的に前記濃度調整用の画像を形成させる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2の形成制御部は、前記設定部により設定された優先順位が閾値よりも低い濃度調整用の画像の形成を禁止し、又は当該濃度調整用の画像の前記第1の方向の長さを短くする
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2の形成制御部は、前記第1のトナー画像の前記第1の方向の長さ又は形成時間に応じて、前記濃度調整用の画像の形成を禁止し、又は当該濃度調整用の画像の前記第1の方向の長さを短くする
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部と、
請求項1から5のいずれかに記載の制御装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、前記形成部に用いられるトナーを収容する収容部と、当該収容部に収容されたトナーを攪拌する攪拌部材とを備え、
前記第2の形成制御部は、前記第1のトナー画像が形成された後、前記攪拌部材による攪拌動作に応じた時間が経過するまでは、前記第1の色のトナーを用いた濃度調整用の画像の形成を禁止する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の色のトナーを用いて画像を形成する形成部と、前記形成部により形成された画像を保持し、第1の方向に搬送する像保持体とを備える画像形成部を制御して、予め決められた条件を満たしたときに、前記複数の色の中から選択された色のトナーを用いて前記像保持体の第1の領域に第1のトナー画像を形成させるステップと、
前記画像形成部を制御して、前記複数の色のうち前記選択された色以外の色のトナーを用いて、前記第1の方向と交わる第2の方向に前記第1の領域と並んだ第2の領域に、濃度調整用の画像を形成させるステップと、
前記濃度調整用の画像の色の濃度に応じて、当該色の濃度を調整するステップと
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−45076(P2013−45076A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184959(P2011−184959)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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