説明

制御装置及び制御方法

【課題】 蓄電池や蓄熱器を用いて、電力を有効に利用することが可能な制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】 蓄電池と蓄熱器とを有する需要家に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置であって、前記需要家によって取得可能な参照情報に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するスケジュール決定部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電池と蓄熱器とを有する需要家に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭などの需要家における電化製品の消費電力を抑制するため、需要家の生活様式にあわせて電気製品を運転させるスケジュールを決定し、決定したスケジュールに応じて電気製品を稼働させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような技術を適用すれば、需要家は、生活様式にあわせて家電製品を動作させることができるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0003】
ところで、近年、スマートグリッド技術等、電力の有効利用に対する関心が高まっている。また、需要家においても電力を蓄電できる蓄電池が普及し始めており、その容量も年々増加傾向にある。このような蓄電池を用いれば、電力需要が低い時に蓄電した電力を、電力需要が高いときに使用(放電)することができるので、電力を有効に利用することができる。
【0004】
一方、上述した蓄電池に限らず、電力を熱に変換し、この熱を温水として蓄熱する蓄熱器の利用も広がっている。このような蓄熱器も、上述した蓄電池と同様に、電力需要が低い時に蓄熱するようにしておくことで、電力を有効に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−252441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、蓄電池に蓄電する際の消費電力や蓄熱器に蓄熱する際の消費電力は高いため、消費電力の許容量が限られている一般の需要家では、蓄電と蓄熱の両方を同時に実施できない。また、1日の中で電力需要の低い期間は限られているため、蓄電器への蓄電や蓄熱器への蓄熱は、計画的に行わないと電力需要が高い時に実行しなければならず、場合によっては蓄電や蓄熱が実行できない場合があった。つまり、消費電力の許容量や電力需要の低い期間が限られている需要家において、電力をできるだけ有効に利用するためには、蓄電池や蓄熱器を計画的に運転しないと、電力を有効に利用することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、蓄電池や蓄熱器を用いて、電力を有効に利用することが可能な制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。
【0009】
本発明の第1の特徴は、蓄電池(第1の蓄電池108、第2の蓄電池109)と蓄熱器(蓄熱機器114)とを有する需要家(スマートハウス10)に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置(スマートコントローラ102)であって、前記需要家によって取得可能な参照情報に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するスケジュール決定部(スケジュール決定部164)を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明に係る制御装置の他の特徴は、上記の特徴において、前記参照情報は、電力料金を示す電力料金情報、前記需要家に設けられる負荷機器(空調装置112等)が消費する電力量の予測値を示す消費電力情報、又は、前記需要家に設けられる直流電源(太陽電池106)が発電する電力量の予測値を示す予測発電情報のうち、少なくとも一つを含むことを要旨とする。
【0011】
このような制御装置によれば、電力料金、負荷機器が消費する電力量の予測値、直流電源が発電する電力量の予測値などを考慮して、運転スケジュールを決定することができるので、従来よりも蓄電池及び蓄熱器の運転スケジュールをより計画的に決定することができる。よって、かかる制御装置によれば、蓄電池や蓄熱器を用いて、電力を有効に利用することができる。
【0012】
本発明に係る制御装置の他の特徴は、上記の特徴において、前記スケジュール決定部は、前記予測発電情報によって示される前記予測値が所定値以上(発電閾値以上)となる期間を、前記蓄電池に蓄電する期間又は前記蓄熱器に蓄熱する期間として、前記運転スケジュールを決定することを要旨とする。
【0013】
このような制御装置によれば、例えば、直流電源によって発電される電力量が所定値以上の多く発電(余剰に発電)される期間を、蓄電池に蓄電する期間、又は、蓄熱器に蓄熱する期間として、運転スケジュールを決定することができるので、電力をより有効に利用することができる。
【0014】
本発明の第2の特徴は、蓄電池(第1の蓄電池108、第2の蓄電池109)と蓄熱器(蓄熱機器114)とを備える需要家(スマートハウス10)に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置(スマートコントローラ102)であって、前記蓄電池の蓄電量を示す蓄電情報、又は、前記蓄熱器の蓄熱量(湯量)を示す蓄熱情報の少なくとも一方に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するスケジュール決定部(スケジュール決定部164)を備えることを要旨とする。
【0015】
このような制御装置によれば、蓄電池の蓄電量に基づいて運転スケジュールを決定する。つまり、かかる制御装置によれば、蓄電池の蓄電量が適切な値になるように把握しつつ、蓄電池及び蓄熱器の運転スケジュールを決定するので、蓄電した電力が余ることや、不足することをできるだけ回避できる。更に、かかる制御装置によれば、蓄熱器に蓄熱される蓄熱量も把握して、運転スケジュールを決定することもできる。よって、かかる制御装置によれば、蓄電池や蓄熱器を用いて、電力を有効に利用することが可能になる。
【0016】
本発明に係る制御装置の他の特徴は、上記の特徴において、前記スケジュール決定部は、前記蓄電情報によって示される前記蓄電量が所定量以下である場合、前記蓄電池を優先して蓄電するように前記運転スケジュールを決定することを要旨とする。
【0017】
このような制御装置によれば、蓄電量が所定量以下である場合、蓄電池の蓄電を優先するように運転スケジュールを決定するので、蓄電池の電力が不足しないように適切な運転スケジュールを決定できる。
【0018】
本発明に係る制御装置の他の特徴は、上記の特徴において、前記スケジュール決定部は、電力料金を示す電力料金情報、前記需要家に設けられる負荷機器が消費する電力量の予測値を示す消費電力情報、又は、直流電源が発電する電力量の予測値を示す予測発電情報のうち、少なくとも一つに基づいて、前記運転スケジュールを決定することを要旨とする。
【0019】
このような制御装置によれば、蓄電池の蓄電量だけでなく、電力料金情報、消費電力情報、予測発電情報も考慮して、適切な運転スケジュールを決定することができる。
【0020】
本発明の第3の特徴は、蓄電池と蓄熱器とを有する需要家に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置における制御方法であって、前記需要家によって取得可能な参照情報に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するステップ(ステップS104)を含むことを要旨とするものである。
【0021】
本発明の第4の特徴は、蓄電池と蓄熱器とを備える需要家に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置における制御方法であって、前記蓄電池の蓄電量を示す蓄電情報又は前記蓄熱器の蓄熱量を示す蓄熱情報の少なくとも一方に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するステップ(ステップS115)を含むことを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、蓄電池や蓄熱器を用いて、電力を有効に利用することが可能な制御装置及び制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態に係る電力システムの構成図である。
【図2】本発明の第1及び第2実施形態に係るスマートコントローラの構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る電力料金の時間遷移を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る太陽電池における発電量の予測値の時間遷移を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るスマートコントローラの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る記憶部に記憶されるテーブルを示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るスマートコントローラの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。具体的には、(1)電力システムの構成、(2)スマートコントローラの構成、(3)スマートコントローラの動作、(4)作用・効果について説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0025】
(1)電力システムの構成
図1は、本発明の実施形態に係る電力システム1の構成図である。図1に示す電力システム1は、所謂スマートグリッドを採用したシステムである。
【0026】
図1に示すように、電力システム1は、電力の需要家であるスマートハウス10と、電力の供給者である電力系統60と、電力システム1の全体の電力制御を行うエネルギーマネジメントシステム(EMS)70と、スマートハウス10とEMS70との間の通信経路であるインターネット80とを含む。なお、電力系統60の配下には、複数のスマートハウス10が存在し、これら複数のスマートハウス10は、電力の需要家群を形成している。
【0027】
電力システム1では、電力系統60からスマートハウス10への送電が行われ、当該スマートハウス10において電力が使用される。また、適宜、スマートハウス10から電力系統60への逆潮流が行われてもよい。
【0028】
また、電力システム1では、スマートハウス10において電力使用量が計測され、計測データとしてインターネット80を介してEMS70へ送られる。
【0029】
EMS70は、計測データに基づいて、電力系統60の電力供給と、需要家群の電力需要とに基づく電力料金を決定する。ここで、EMS70は、電力系統60から需要家群への電力の供給可能量から需要家群における電力使用量を差し引いた値(需給差)が大きいほど、電力料金を下げ、需給差が小さいほど、電力料金を上げる。つまり、需給差が大きい場合は、電力需要が低いと判断して電力料金を下げ、需給差が小さい場合は、電力需要が高いと判断して電力料金を上げる。具体的には、EMS70は、過去の需給差に基づいて時間帯別に予め定められる電力料金であるTOU(Time of Use)の電力料金を決定することができる。
【0030】
更に、EMS70は、決定したTOUの電力料金を、電力料金情報として、インターネット80を介してスマートハウス10へ送信する。具体的に、EMS70は、例えば24時間周期で、電力料金情報が適用される時間帯よりも前(例えば1日前)に電力料金情報を送信する。
【0031】
スマートハウス10は、制御装置としてのスマートコントローラ102と、スマートメータ103と、ハイブリッドパワーコンディショナ(ハイブリッドPCS)104と、直流電源としての太陽電池106と、電力を蓄電する第1の蓄電池108及び第2の蓄電池109と、負荷機器としての照明110及び空調装置112と、蓄熱器としての蓄熱機器114とを有する。ここで、第1の蓄電池108は、需要家の屋内外に設置する常設型の蓄電池である。第2の蓄電池109は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などに搭載される蓄電池である。なお、本実施形態では、スマートハウス10に第1の蓄電池108(以下、単に蓄電池108とする)が設けられている場合を主に説明するが、これを第2の蓄電池109としてもよいことに留意すべきである。また、蓄熱機器114は、例えば熱によって水を沸かし、これを温水として蓄熱する温水器などである。また、負荷機器には、図示しないテレビ等の家電機器も含まれていてもよい。
【0032】
スマートコントローラ102は、有線回線又は無線回線である広域通信回線90を介して、インターネット80に接続される。また、スマートコントローラ102は、有線回線又は無線回線である家庭内通信回線160を介して、スマートメータ103、ハイブリッドPCS104、照明110、空調装置112、蓄熱機器114に接続する。スマートコントローラ102は、これらの機器を制御することができる。例えば、スマートコントローラ102は、ハイブリッドPCS104を制御することによって、電力を蓄電する蓄電池108を制御することができる。また、スマートコントローラ102は、蓄熱機器114に蓄えられている温水量を適宜監視し、その温水量に応じて蓄熱機器114を制御することもできる。つまり、スマートコントローラ102は、需要家に設けられ、蓄電池108と蓄熱機器114とを制御する制御装置を構成する。なお、スマートコントローラ102の構成及び動作については後述する。
【0033】
スマートメータ103は、電力系統60に接続されるとともに、家庭内配電線150に接続される。このスマートメータ103は、電力系統60から供給され、照明110、空調装置112、蓄熱機器114などに使用される電力量を検知し、計測データとして、インターネット80を介してEMS70へ送信する。
【0034】
ハイブリッドPCS104は、家庭内配電線150に接続されるとともに、太陽電池106と蓄電池108とに接続される。ハイブリッドPCS104は、スマートコントローラ102の制御に応じて、太陽電池106と蓄電池108とを運転させる。また、ハイブリッドPCS104は、太陽電池106によって発電された直流電力が予め定められた発電閾値以上である場合、発電閾値以上の直流電力を蓄電池108に蓄電させることができる。
【0035】
また、ハイブリッドPCS104は、スマートコントローラ102の制御に応じて、蓄電池108の放電による直流電力や、太陽電池106によって発電された直流電力を交流電力に変換して家庭内配電線150へ送り出すことができる。家庭内配電線150へ送り出された交流電力は、適宜、照明110、空調装置112、蓄熱機器114において使用され、あるいは、電力系統60への逆潮流の電力となる。
【0036】
また、ハイブリッドPCS104は、電力系統60からの交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を蓄電池108に蓄電させることができる。また、ハイブリッドPCS104は、蓄電池108の蓄電量を適宜監視し、スマートメータ103やスマートコントローラ102に送信することができる。
【0037】
照明110、空調装置112、蓄熱機器114は、家庭内配電線150に接続されるとともに、家庭内通信回線160に接続される。照明110及び空調装置112は、スマートコントローラ102の制御に応じて、家庭内配電線150からの交流電力によって動作する。蓄熱機器114は、スマートコントローラ102の制御に応じて、家庭内配電線150からの交流電力を熱に変換して、この熱を温水に蓄熱する。
【0038】
(2)スマートコントローラの構成
次に、スマートコントローラ102の構成について説明する。図2は、スマートコントローラ102の構成図である。図2に示すように、スマートコントローラ102は、制御部152と、記憶部153と、通信部154とを有する。
【0039】
通信部154は、広域通信回線90及びインターネット80を介してEMS70から、電力料金情報や各種制御情報を受信する。また、通信部154は、家庭内通信回線160を介して、スマートメータ103、ハイブリッドPCS104、蓄熱機器114などの機器との間で通信を行う。
【0040】
記憶部153は、例えばメモリによって構成され、スマートハウス10内の各部の制御などに用いられる各種情報を記憶する。具体的に、記憶部153は、予測発電情報を記憶する。
【0041】
ここで、予測発電情報は、太陽電池106が発電する電力量の未来(例えば、翌一日)の予測値を示す情報であり、かかる予測値が、時間帯(時刻)に対応づけられている。また、太陽電池106が発電する電力量は、日照条件による影響を受けるため、記憶部153には、季節(例えば、秋、10月など)や天候(例えば、晴れ、曇り、雨など)などの条件に応じて、複数種類の予測発電情報が記憶されている。また、予測発電情報は、太陽電池106が過去に発電した電力量の実績値を示す情報であってもよい。
【0042】
制御部152は、例えばCPUであり、スマートハウス10内の各部を制御する。制御部152は、取得部162とスケジュール決定部164とを含む。
【0043】
取得部162は、通信部154によって受信された電力料金情報(TOU)を取得する。また、取得部162は、記憶部153から、季節や天候などの条件がその日の状況に最も近い予測発電情報を取得する。取得部162は、取得した電力料金情報、予測発電情報をスケジュール決定部164に送信する。
【0044】
スケジュール決定部164は、需要家によって取得可能な参照情報に基づいて、所定期間において、蓄電池108及び蓄熱機器114を運転する運転スケジュールを決定する。ここで、本実施形態において、上述した参照情報には、電力料金情報と予測発電情報とが含まれている場合を例に挙げて説明する。なお、参照情報には、電力料金情報と予測発電情報との内、少なくとも一つが含まれていればよい。また、本実施形態において、上述した所定期間は、1日として説明する。なお、所定期間は、2日間以上としてもよい。また、運転スケジュールには、蓄電池108に蓄熱するスケジュールと、蓄熱機器114に蓄熱するスケジュールとが含まれている。
【0045】
具体的に、スケジュール決定部164は、取得部162から、電力料金情報を取得する。スケジュール決定部164は、取得された電力料金情報によって示される電力料金と、予め定められている電力料金の料金閾値とを比較し、蓄電池108に蓄電することが可能な候補期間又は蓄熱機器114に蓄熱することが可能な候補期間を特定する。
【0046】
ここで、図3には、電力料金情報に示されるTOUとしての電力料金と料金閾値との関係が示されている。図3に示すように、スケジュール決定部164は、電力料金が予め定められている料金閾値以下となる時刻t11から時刻t12までの期間を、上述した候補期間として特定する。
【0047】
また、スケジュール決定部164は、特定した候補期間を、複数の候補期間A1乃至A2に分割する。スケジュール決定部164は、分割した候補期間A1乃至A2を、それぞれを蓄電池108及び蓄熱機器114に蓄電する期間として割り当てて、運転スケジュールを決定する。なお、上述の例では、スケジュール決定部164が、この候補期間を期間A1乃至A2の二つの期間に分割して運転スケジュールを決定する場合を例に挙げたが、二つに限らず、三つ以上に分割して運転スケジュールを決定してもよい。
【0048】
また、スケジュール決定部164は、取得部162から、予測発電情報を取得する。スケジュール決定部164は、予測発電情報によって示される電力量の予測値が発電閾値(所定値)以上となる期間を、蓄電池108に蓄電する期間又は蓄熱機器114に蓄熱する期間として運転スケジュールを決定する。
【0049】
具体的に、スケジュール決定部164は、予測発電情報によって示される電力量の予測値と、予め定められている発電閾値とを比較する。スケジュール決定部164は、予測値が発電閾値以上となる期間を、蓄電池108に蓄電することが可能な候補期間又は蓄熱機器114に蓄熱することが可能な候補期間として特定する。
【0050】
ここで、図4には、太陽電池106が発電する電力量の予測値と発電閾値との関係が示されている。図4に示すように、スケジュール決定部164は、予測発電情報に示される予測値が発電閾値以上の期間として、時刻t21から時刻t22までの期間と、時刻t23から時刻t24までの期間と、時刻t25から時刻t26までの期間とを特定する。スケジュール決定部164は、これらの期間を、候補期間として特定する。
【0051】
スケジュール決定部164は、特定した候補期間を、複数の候補期間B1乃至B4に分割する。スケジュール決定部164は、分割した候補期間B1乃至B4を、それぞれ蓄電池108に蓄電する期間及び蓄熱機器114に蓄電する期間として割り当てて、運転スケジュールを決定する。なお、図4の例に限らず、スケジュール決定部164は、特定した候補期間を更に複数に分割して、運転スケジュールを決定してもよい。
【0052】
このようにして、スケジュール決定部164は、電力料金情報に基づいて特定した候補期間に、予測発電情報に基づいて特定した候補期間を加えて、運転スケジュールを決定する。
【0053】
また、スケジュール決定部164は、決定した運転スケジュールに従って、蓄電池108及び蓄熱機器114を運転するように、ハイブリッドPCS104及び蓄熱機器114に指示する。
【0054】
(3)スマートコントローラの動作
次に、電力システム1におけるスマートコントローラ102の動作を説明する。図5は、スマートコントローラ102の動作を示すシーケンス図である。
【0055】
ステップS101において、スマートコントローラ102では、取得部162が、通信部154を介して、電力料金情報をEMS70から受信する。また、取得部162は、記憶部153から、季節や天候などの条件がその日の状況に最も近い予測発電情報を取得する。取得部162は、取得した電力料金情報、予測発電情報をスケジュール決定部164に送信する。
【0056】
ステップS102において、スケジュール決定部164は、電力料金情報に示される電力料金に料金閾値以下の期間があるか否かを判定する。また、スケジュール決定部164は、予測発電情報に示される予測値に発電閾値以上の期間があるか否かを判定する。なお、スケジュール決定部164は、いずれの期間もないと判定した場合は、動作を終了する。
【0057】
ステップS103において、スケジュール決定部164は、料金閾値以下の期間、又は、発電閾値以上の期間があると判定した場合、これらの期間を蓄電池108に蓄電することが可能な候補期間又は蓄熱機器114に蓄熱することが可能な候補期間として特定する。
【0058】
ステップS104において、スケジュール決定部164は、特定した候補期間を複数に分割し、分割した候補期間を、蓄電池108に蓄電する期間及び蓄熱機器114に蓄熱する期間として割り当てて、運転スケジュールを決定する。
【0059】
このようにして、スケジュール決定部164は、蓄電池108及び蓄熱機器114の運転スケジュールを決定する。なお、スケジュール決定部164は、電力料金情報を受信する度に、ステップS101乃至S104の動作を実行してもよいし、毎日の所定の時刻(例えば、22時)に実行してもよい。
【0060】
(4)作用・効果
本発明の実施形態に係る電力システム1では、電力の需要家であるスマートハウス10内に蓄電池108と蓄熱機器114とが設けられており、スマートハウス10内のスマートコントローラ102は、蓄電池108の蓄電及び放電と蓄熱機器114の蓄熱とを制御する。具体的に、スマートコントローラ102は、TOUの電力料金を示す電力料金情報を取得し、電力料金情報によって示される電力料金が料金閾値以下の候補期間を特定する。また、スマートコントローラ102は、予測発電情報の予測値が発電閾値以上の期間を候補期間として特定する。スマートコントローラ102は、特定した候補期間を複数に分割して、分割したそれぞれの候補期間を、蓄電池108に蓄熱する期間又は蓄熱機器114に蓄熱する期間として割り当てて、運転スケジュールを決定する。
【0061】
このようにして、スマートコントローラ102は、系統電源300から供給される電力の電力料金や、太陽電池106が発電する電力量を予測することで、系統側と需要側との電力需要を考慮しつつ、蓄電池108に蓄電するスケジュールと蓄熱機器114に蓄熱するスケジュールとを含む運転スケジュールを計画的に決定するので、電力系統60から供給される交流電力と、太陽電池106から供給される直流電力とのいずれも有効に利用することができる。よって、かかる電力システム1によれば、蓄電池108や蓄熱機器114を用いて、電力を有効に利用することができる。
【0062】
[第1実施形態の変更例1]
次に本実施形態の変更例1について説明する。上述した実施形態では、スケジュール決定部164は、電力料金情報と予測発電情報を参照情報とし、この参照情報に基づいて、運転スケジュールを決定したが、消費電力情報を参照情報として、運転スケジュールを決定してもよい。
【0063】
具体的に、本変更例では、記憶部153が、消費電力情報を記憶する。消費電力情報は、照明110及び空調装置112などの負荷機器が消費する電力量の未来(例えば、翌一日)の予測値を示す情報であり、かかる予測値が、時間帯(時刻)に対応づけられている。
【0064】
なお、消費電力情報は、負荷機器が過去に消費した電力量の実績値に基づいて決定された情報であってもよい。また、消費電力情報は、負荷機器に設定される動作条件(動作モード)に関する情報であってもよい。動作条件とは、利用者の生活様式などにあわせて、空調装置112を動作させる際の温度設定や、照明110を入切させる際の時刻設定などを示す。記憶部153には、季節(例えば、秋、10月など)や曜日(例えば、月曜日)などの条件に応じて、複数種類の消費電力情報が記憶されている。
【0065】
スケジュール決定部164は、取得部162を介して、記憶部153から消費電力情報を取得する。スケジュール決定部164は、消費電力情報によって示される電力量の予測値と、予め定められている閾値とを比較する。スケジュール決定部164は、予測値が閾値以下となる期間を、蓄電池108に蓄電することが可能な候補期間又は蓄熱機器114に蓄熱することが可能な候補期間として特定する。また、スケジュール決定部164は、特定した候補期間を複数に分割し、分割した期間を蓄電池108に蓄電する期間、又は、蓄熱機器114に蓄熱する期間として割り当てて、運転スケジュールを決定する。
【0066】
本変更例に係るスマートコントローラ102によれば、消費電力情報によって示される電力量の予測値が閾値以下となる期間、つまり、電力需要が低くなる期間に蓄電池108に蓄電及び蓄熱機器114に蓄熱するように運転スケジュールを決定するので、需要家における電力需要を考慮して適切な運転スケジュールを決定することができる。
【0067】
[第1実施形態の変更例2]
次に本実施形態の変更例2について説明する。上述した実施形態では、スマートコントローラ102が、予測発電情報に示される電力量の予測値に基づいて、運転スケジュールを決定されるように構成されていたが、実際には、太陽電池106によって発電される電力量は、予測発電情報に示される電力量の予測値よりも、多く発電される場合や、少なく発電される場合もある。
【0068】
そこで、本変更例に係るスケジュール決定部164は、太陽電池106が実際に発電する電力量に応じて、適宜、運転スケジュールを変更するように構成されている。
【0069】
具体的に、スケジュール決定部164は、運転スケジュールを決定した後も、実際に太陽電池106が発電する電力量を定期的に監視する。そして、スケジュール決定部164は、予測値が発電閾値未満として予測した期間(図4に示される時刻t22から時刻t23)の電力量が、実際には発電閾値以上である場合、かかる期間も蓄電又は蓄電を行うように運転スケジュールを変更する。
【0070】
一方、太陽電池106が発電する電力量が予測値よりも少なく、発電閾値以上として予測した期間(図4に示される時刻t21から時刻t22)の電力量が、実際には発電閾値未満である場合、スケジュール決定部164は、先に決定した蓄電及び蓄熱を実施する期間を短くするように運転スケジュールを変更する。
【0071】
本変更例に係るスマートコントローラ102によれば、太陽電池106が発電する電力量が予測値よりも大きい場合や、小さい場合であっても、適切に運転スケジュールを変更することができる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0073】
(1)電力システムの構成
本実施形態に係る電力システム1では、スマートコントローラ102の構成を除き、第1実施形態と同様の構成である。なお、上述の実施形態では、スマートコントローラ102は、蓄電池108及び蓄熱機器114の一日の運転スケジュールを決定するように構成されていたが、本実施形態では、電力料金が料金閾値以下の期間のみを対象に運転スケジュールを決定する。
【0074】
具体的に、本実施形態に係るスマートコントローラ102では、取得部162が、電力料金情報(TOU)を取得する。また、取得部162は、ハイブリッドPCS104から、蓄電池108の蓄電量を示す蓄電情報を取得する。
【0075】
また、本実施形態に係る記憶部153は、図6に示すように、蓄電又は蓄熱の“優先順位”と、機器を識別する“機器名”と、優先順位を決定するための条件を示す“優先条件”とが関連付けられた優先テーブルを記憶する。かかる優先テーブルは、スケジュール決定部164によって参照される。
【0076】
スケジュール決定部164は、取得部162から、電力料金情報と蓄電情報とを取得する。スケジュール決定部164は、取得した電力料金情報と蓄電情報とに基づいて、蓄電池108及び蓄熱機器114を運転する運転スケジュールを決定する。
【0077】
具体的に、本実施形態に係るスケジュール決定部164は、電力料金情報によって示される電力料金が料金閾値以下となる期間、つまり、図3における時刻t11から時刻t12までの期間を候補期間(所定期間)として特定する。また、スケジュール決定部164は、特定した候補期間を複数の期間A1乃至A2に分割する。
【0078】
また、本実施形態に係るスケジュール決定部164は、蓄電情報によって示される蓄電量が閾値(所定量)以下であるか否かを判定し、蓄電量が閾値以下である場合、蓄電池108を優先して蓄電するように運転スケジュールを決定する。
【0079】
具体的に、スケジュール決定部164は、蓄電情報に示される蓄電量と、記憶部153の優先テーブルにおける“優先条件”とを参照する。スケジュール決定部164は、“優先条件”における「蓄電量が閾値以下の場合は優先順位1」の条件に基づいて、蓄電情報に示される蓄電量が閾値以下であるか否かを判定する。スケジュール決定部164は、蓄電量が閾値以下であると判定した場合、参照した“優先条件”に対応する“機器名”「蓄電池」を、“優先順位”「1」のレコードに対応づけて、優先テーブルに記憶する。なお、蓄電池108の蓄電量は、需要家における機器の消費によって低下するため、スケジュール決定部164は、定期的に蓄電情報を取得し、優先テーブルを更新する。
【0080】
また、スケジュール決定部164は、図3に示すように、電力料金が料金閾値以下となる時刻t11から時刻t12までの期間の中で、“優先順位”「1」に対応づけられている蓄電池108の蓄電を先に実施するように、図3に示す期間A1を蓄電池108に蓄電する期間として、運転スケジュールを決定する。このとき、スケジュール決定部164は、蓄電池108の蓄電容量が十分に満たされるように、期間A1の長さを調整して、運転スケジュールを決定してもよい。つまり、優先して運転スケジュールを決定するとは、蓄電又は蓄熱を先に実行することと、蓄電又は蓄熱の期間を長くすることとを含めて、運転スケジュールを決定することである。
【0081】
一方、スケジュール決定部164は、“優先順位”「2」に対応づけられている蓄熱機器114の蓄熱を、蓄電池108の次に実施するように、図3に示す期間A2を蓄熱機器114に蓄熱する期間として、運転スケジュールを決定する。
【0082】
また、スケジュール決定部164は、蓄電量が閾値以下でないと判定した場合、電力料金が料金閾値以下の候補期間において、蓄電池108に蓄電する期間と蓄熱機器114に蓄熱する期間とを、適宜、均等に割り当てて、運転スケジュールを決定する。
【0083】
また、スケジュール決定部164は、決定した運転スケジュールに従って、蓄電池108及び蓄熱機器114を運転するように、ハイブリッドPCS104及び蓄熱機器114に指示する。
【0084】
(2)スマートコントローラの動作
次に、本実施形態に係る電力システム1におけるスマートコントローラ102の動作を説明する。図7は、スマートコントローラ102の動作を示すシーケンス図である。
【0085】
ステップS111において、スマートコントローラ102は、電力料金情報をEMS70から受信するとともに、ハイブリッドPCS104から蓄電池108の蓄電量を示す蓄電情報を取得する。
【0086】
ステップS112において、スマートコントローラ102は、電力料金情報に示される電力料金と予め設定されている料金閾値とを比較する。また、スマートコントローラ102は、電力料金が料金閾値以下となる期間を、蓄電池108に蓄電可能な候補期間及び蓄熱機器114に蓄熱可能な候補期間として特定する。また、スケジュール決定部164は、特定した候補期間を、複数の候補期間A1乃至A2に分割する。
【0087】
ステップS113において、スマートコントローラ102は、記憶部153に記憶される優先テーブルの“優先条件”を参照し、蓄電情報によって示される蓄電量が閾値(所定量)以下であるか否かを判定する。
【0088】
ステップS114において、スマートコントローラ102は、蓄電量が閾値以下であると判定した場合、電力料金が料金閾値以下の時刻t11から時刻t12までの期間の中で、優先テーブルの“優先順位”「1」に対応づけられている蓄電池108の蓄電を先に実施するように、運転スケジュールを決定する。具体的に、スマートコントローラ102は、期間A1を蓄電池108に蓄電する期間として、運転スケジュールを決定する。一方、スケジュール決定部164は、“優先順位”「2」に対応づけられている蓄熱機器114の蓄熱を、蓄電池108の次に実施するように、期間A2を蓄熱機器114に蓄熱する期間として、運転スケジュールを決定する。
【0089】
一方、ステップS115において、スマートコントローラ102は、蓄電量が閾値以下でないと判定した場合、蓄電池108の蓄電を先に実行するように運転スケジュールを決定してもよいし、蓄熱機器114の蓄熱を先に実行するように運転スケジュールを決定してもよい。なお、蓄電池108に蓄電する期間の長さと、蓄熱機器114に蓄電する期間の長さとは、均等になるように運転スケジュールを決定する。
【0090】
スマートコントローラ102は、上述したステップS111乃至S115の動作を、電力料金情報を受信した際に実行してもよい。また、蓄電池108の蓄電量は、需要家における機器の消費によって低下するので、上述したステップS111乃至S115の動作は、電力料金情報を受信した際だけでなく、電力料金情報によって示される電力料金が料金閾値以下となる直前、すなわち図3における時刻t11の直前にも行うことが好ましい。
【0091】
(3)作用・効果
本発明の実施形態に係る電力システム1では、電力の需要家であるスマートハウス10内に蓄電池108と蓄熱機器114とが設けられており、スマートハウス10内のスマートコントローラ102は、蓄電池108の蓄電及び放電と蓄熱機器114の蓄熱とを制御する。具体的には、スマートコントローラ102は、電力料金を示す電力料金情報を取得するとともに、ハイブリッドPCS104から蓄電池108の蓄電量を示す蓄電情報を取得する。スマートコントローラ102は、電力料金が料金閾値以下の候補期間を特定する。また、スマートコントローラ102は、蓄電池108の蓄電量が蓄電閾値以下である場合、特定した候補期間において、蓄電池108の蓄電を優先するように運転スケジュールを決定する。つまり、スマートコントローラ102は、蓄電池108の蓄電量が適切な値になるように把握しつつ、電力料金が料金閾値以下の期間において、蓄電池108及び蓄熱機器114を運転する運転スケジュールを決定するので、蓄電した電力が余ることや、不足することをできるだけ回避できる。よって、かかる電力システム1によれば、蓄電池108や蓄熱機器114を用いて、供給される電力を有効に利用することができる。
【0092】
[第2実施形態の変更例1]
次に本実施形態の変更例1について説明する。上述した実施形態では、スケジュール決定部164は、電力料金情報に基づいて、運転スケジュールを決定するように構成されていたが、負荷機器が消費する電力量の予測値を示す消費電力情報に基づいて、運転スケジュールを決定してもよい。
【0093】
具体的に、本変更例では、記憶部153が、消費電力情報を記憶する。消費電力情報は、照明110及び空調装置112などの負荷機器が消費する電力量の未来の予測値を示す情報であり、かかる予測値が、時間帯(時刻)に対応づけられている。
【0094】
スケジュール決定部164は、取得部162を介して、記憶部153から消費電力情報を取得する。スケジュール決定部164は、消費電力情報によって示される電力量の予測値と、予め定められている閾値とを比較する。スケジュール決定部164は、予測値が閾値以下となる期間を、蓄電池108に蓄電することが可能な候補期間又は蓄熱機器114に蓄熱することが可能な候補期間として特定する。また、スケジュール決定部164は、特定した候補期間を複数に分割し、分割した期間を、蓄電池108に蓄電する期間、又は、蓄熱機器114に蓄熱する期間として割り当てて、運転スケジュールを決定する。
【0095】
なお、スケジュール決定部164が、分割した候補期間に対して、蓄電池108に蓄電する期間及び蓄熱機器114に蓄電する期間を割り当てる動作は、図7におけるステップS113乃至S115と同様である。
【0096】
本変更例に係るスマートコントローラ102によれば、消費電力情報の予測値が閾値以下となる期間に対しても、蓄電池108の蓄電を優先するか否かを判定して、運転スケジュールを決定することができる。
【0097】
[第2実施形態の変更例2]
次に本実施形態の変更例2について説明する。上述した実施形態では、スケジュール決定部164は、電力料金情報に基づいて、運転スケジュールを決定するように構成されていたが、太陽電池106が発電する電力量の予測値を示す予測発電情報に基づいて、運転スケジュールを決定してもよい。
【0098】
具体的に、スケジュール決定部164は、取得部162を介して、記憶部153から予測発電情報を取得する。スケジュール決定部164は、予測発電情報によって示される電力量の予測値と、予め定められている発電閾値とを比較する。スケジュール決定部164は、予測値が発電閾値以上となる期間を、蓄電池108に蓄電することが可能な候補期間又は蓄熱機器114に蓄熱することが可能な候補期間として特定する。
【0099】
例えば、図4に示すように、スケジュール決定部164は、予測発電情報に示される予測値が発電閾値以上の期間として、時刻t21から時刻t22までの期間と、時刻t23から時刻t24までの期間と、時刻t25から時刻t26までの期間とを特定する。スケジュール決定部164は、これらの期間を、候補期間として特定する。
【0100】
また、スケジュール決定部164は、特定した候補期間を複数の候補期間B1乃至B4に分割する。スケジュール決定部164は、分割した候補期間B1乃至B4を、それぞれ蓄電池108に蓄電する期間及び蓄熱機器114に蓄電する期間として割り当てて、運転スケジュールを決定する。
【0101】
なお、スケジュール決定部164が分割した候補期間B1乃至B4に対して、蓄電する期間及び蓄電する期間を割り当てる動作は、図7におけるステップS113乃至S115と同様である。
【0102】
本変更例に係るスマートコントローラ102によれば、太陽電池106が発電する電力量の予測値が閾値以上となる期間においても、蓄電池108の蓄電を優先するか否かを判定して、運転スケジュールを決定することができる。
【0103】
[第2実施形態に係る変更例3]
次に、本実施形態の変更例3について説明する。上述した実施形態では、スケジュール決定部164は、蓄電池108の蓄電量を示す蓄電情報に基づいて、運転スケジュールを決定する場合を例に挙げて説明したが、蓄熱機器114の蓄熱量を示す蓄熱情報に基づいて、蓄電池108及び蓄熱機器114を運転する運転スケジュールを決定してもよい。
【0104】
具体的に、本変更例に係るスケジュール決定部164は、取得部162を介して、蓄熱機器114から、蓄熱機器114の蓄熱量(湯量)を示す蓄熱情報を取得する。また、スケジュール決定部164は、蓄熱機器114に蓄熱されている湯量が閾値以下であるか否かを判定する。スケジュール決定部164は、湯量が閾値以下であると判定した場合、蓄熱機器114を優先して蓄熱するように運転スケジュールを決定する。なお、スケジュール決定部164は、図7におけるステップS115において、かかる動作を実行してもよいし、ステップS113乃至S115において、蓄電池108と置き換えてかかる動作を実行してもよい。
【0105】
また、この後、スケジュール決定部164は、蓄熱機器114に蓄熱されている湯量が閾値(例えば5割)を越えた際に、蓄電池108に蓄電するように運転スケジュールを決定してもよい。
【0106】
このように、スケジュール決定部164は、蓄電池108の蓄電量を示す蓄電情報又は蓄熱機器114の蓄熱量を示す蓄熱情報の少なくとも一方、又は、両方に基づいて、蓄電池108及び蓄熱機器114を運転する運転スケジュールを決定してもよい。
【0107】
本変更例に係るスマートコントローラ102によれば、蓄電池108の蓄電量だけでなく、蓄熱機器114に蓄熱されている蓄熱量も把握しつつ、適切な運転スケジュールを決定することができるので、供給される電力を有効に利用することができる。
【0108】
[第2実施形態に係る変更例4]
次に、本実施形態の変更例4について説明する。本変更例では、スマートハウス10において、第1の蓄電池108と電気自動車用の第2の蓄電池109との二つの蓄電池が設けられている。
【0109】
ここで、一般的に、スマートハウス10では、消費電力の許容量が制限されている。このようなスマートハウス10では、消費電力の高い第1の蓄電池108と第2の蓄電池109とを同時に蓄電すると、消費電力が許容量を超えてしまう可能性が高くなるため、両方を同時に蓄電することは好ましくない。
【0110】
また、利用者が電気自動車をいつでも利用できるように、電気自動車用の第2の蓄電池109には、電気自動車が所定距離以上の距離を走行できるだけの電力が常に蓄電されていることが好ましい。
【0111】
このような点を鑑みて、本変更例に係るスケジュール決定部164では、第1の蓄電池108と第2の蓄電池109とのそれぞれの蓄電量に基づいて、第1の蓄電池108と第2の蓄電池109との運転スケジュールを決定するように構成されている。
【0112】
具体的に、本変更例に係る記憶部153は、優先テーブルに“機器名”としての「第2の蓄電池109」と、“優先条件”としての「第2の蓄電池の蓄電量が閾値以下の場合は、最優先(優先順位1)」とを対応づけて記憶している(図示せず)。
【0113】
なお、記憶部153には、第2の蓄電池109がハイブリッドPCS104と接続された際に、ハイブリッドPCS104がスマートコントローラ102に接続された旨を通知し、スマートコントローラ102のスケジュール決定部164が、かかる通知に基づいて当該優先テーブルに記録する。
【0114】
また、第2の蓄電池の蓄電量の閾値は、電気自動車が所定距離以上の距離を走行できるだけの蓄電量とすることが好ましい。かかる閾値は、過去の所定期間(例えば、一週間)に、利用者が電気自動車を利用した際の走行距離の実績に基づいて、一日あたりの平均値などから算出してもよい。
【0115】
また、スケジュール決定部164は、取得部162を介して、ハイブリッドPCS104から、第1の蓄電池108の蓄電量を示す蓄電情報と、第2の蓄電池109の蓄電量を示す蓄電情報とを取得する。
【0116】
スケジュール決定部164は、まず、優先テーブルの“優先条件”を参照し、第2の蓄電池109の蓄電量が閾値以下であるか否かを判定する。スケジュール決定部164は、第2の蓄電池109の蓄電量が閾値以下であると判定した場合、第2の蓄電池109の蓄電を優先するように運転スケジュールを決定する。なお、スケジュール決定部164は、第2の蓄電池109の蓄電量が閾値を越える際に、第1の蓄電池108に蓄電するように運転スケジュールを決定してもよい。
【0117】
一方、スケジュール決定部164は、第2の蓄電池109の蓄電量が閾値(第2の閾値)以下でないと判定した場合、第1の蓄電池108の蓄電量が閾値(第1の閾値)以下であるか否かを判定する。以後の動作は、図7におけるステップS113乃至S115と同様である。なお、本変更例では、第1の蓄電池108と第2の蓄電池109との二つの蓄電池がスマートハウス10に備えられている場合を例に挙げたが、三つ以上備えていてもよい。
【0118】
本変更例に係るスマートコントローラ102によれば、スマートハウス10に第1の蓄電池108と電気自動車用の第2の蓄電池109とを備える場合、第2の蓄電池109の蓄電量が閾値以下の場合であるか否かを先に判定する。また、スマートコントローラ102は、蓄電量が閾値以下の場合であると判定した場合、第2の蓄電池109を優先して蓄電することができる。
【0119】
このように、スマートハウス10において、第1の蓄電池108と第2の蓄電池109とが設けられている場合、利用者がいつでも電気自動車を利用できるように利便性を考慮して、電気自動車用の第2の蓄電池109を優先して蓄電することができる。なお、本変更例では、第1の蓄電池108と第2の蓄電池109との優先度に基づく運転スケジュールの決定方法について説明したが、上述のように蓄熱機器114も含めて優先度に基づく運転スケジュールを策定することが好ましいことは無論であり、本変更例では説明を省略していることに留意すべきである。
【0120】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0121】
例えば、上述の実施形態では、電力料金情報が、TOUである場合を例に挙げて説明したが、かかる電力料金情報は、リアルタイムの需給差に基づいて定められるRTP(Real Time Pricing)としてもよい。この場合、スマートコントローラ102は、TOUよりも短い周期(例えば、10分間隔)で送信されるRTPを受信する度に、図5におけるステップS101乃至S104の動作を実行すればよい。
【0122】
また、上述した実施形態では、スケジュール決定部164は、蓄電池108に蓄電するスケジュールや蓄熱機器114に蓄熱するスケジュールを、運転スケジュールとして決定するように構成されていたが、蓄電池108が放電するスケジュールも運転スケジュールに含めて決定してもよい。この場合、スケジュール決定部164は、消費電力情報に示される消費電力の予測値が所定値よりも大きくなる期間を、蓄電池108が放電する期間として割り当てて、運転スケジュールを決定すると有効である。
【0123】
また、上述した実施形態では、直流電源として太陽電池106を例に挙げて説明したが、例えば、風力発電装置などの他の直流電源を用いる場合にも、同様に本発明を適用することができる。
【0124】
また、上述した実施形態に係るスマートコントローラ102の機能は、スマートメータ103などの他の機器に組み込むことも可能である。また、スマートコントローラ102の機能は、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building and Energy Management System)等、スマートグリッド技術における様々なEMS(Energy Management System)において適用可能である。
【0125】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【0126】
なお、各実施形態の構成もそれぞれ組み合わせることが可能である。また、各実施形態及び各変更例の作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、各実施形態及び各変更例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0127】
1…電力システム、10…スマートハウス、60…電力系統、70…EMS、80…インターネット、90…広域通信回線、102…スマートコントローラ、103…スマートメータ、104…ハイブリッドPCS、106…太陽電池、108…蓄電池、110…照明、112…空調装置、114…蓄熱機器、150…家庭内配電線、152…制御部、153…記憶部、154…通信部、160…家庭内通信回線、162…取得部、164…スケジュール決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と蓄熱器とを有する需要家に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置であって、
前記需要家によって取得可能な参照情報に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するスケジュール決定部を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記参照情報は、電力料金を示す電力料金情報、前記需要家に設けられる負荷機器が消費する電力量の予測値を示す消費電力情報、又は、前記需要家に設けられる直流電源が発電する電力量の予測値を示す予測発電情報のうち、少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記スケジュール決定部は、前記予測発電情報によって示される前記予測値が所定値以上となる期間を、前記蓄電池に蓄電する期間又は前記蓄熱器に蓄熱する期間として、前記運転スケジュールを決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
蓄電池と蓄熱器とを備える需要家に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置であって、
前記蓄電池の蓄電量を示す蓄電情報、又は、前記蓄熱器の蓄熱量を示す蓄熱情報の少なくとも一方に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するスケジュール決定部を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項5】
前記スケジュール決定部は、前記蓄電情報によって示される前記蓄電量が所定量以下である場合、前記蓄電池を優先して蓄電するように前記運転スケジュールを決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記スケジュール決定部は、電力料金を示す電力料金情報、前記需要家に設けられる負荷機器が消費する電力量の予測値を示す消費電力情報、又は、直流電源が発電する電力量の予測値を示す予測発電情報のうち、少なくとも一つに基づいて、前記運転スケジュールを決定する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の制御装置。
【請求項7】
蓄電池と蓄熱器とを有する需要家に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置における制御方法であって、
前記需要家によって取得可能な参照情報に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するステップ
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
蓄電池と蓄熱器とを備える需要家に設けられ、前記蓄電池と前記蓄熱器とを制御する制御装置における制御方法であって、
前記蓄電池の蓄電量を示す蓄電情報又は前記蓄熱器の蓄熱量を示す蓄熱情報の少なくとも一方に基づいて、前記蓄電池及び前記蓄熱器を運転する運転スケジュールを決定するステップ
を含むことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−115003(P2012−115003A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260445(P2010−260445)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】