説明

制御装置及び移動通信方法

【課題】制御遅延を発生させることなく、移動局の位置における下り信号の品質を考慮した周波数選択制御を実施する。
【解決手段】本発明に係る制御装置100は、通信断セルを保持するように構成されている保持部500と、所定条件が満たされると判定される場合、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局900が通信を行うべき通信周波数セルを選択するように構成されている選択部700と、対象移動局900に対して、選択部700によって選択された通信周波数セルを通知するように構成されている通知部300とを具備し、保持部500は、所定期間内に、通知部300によって通知された通信周波数セルを介して対象移動局900からの制御信号が受信されない場合に、かかる通信周波数セルを通信断セルとして保持するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び移動通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、移動通信ネットワークでは、1つのセクタにおいて複数の通信周波数が用いられており、セクタと運用周波数とで形成される無線セル(周波数セル)ごとに、電力やコードや時間等の有限な無線リソースを、複数の移動局の間で共用することになる。
【0003】
各無線セルに接続されている移動局の数に偏りが生じると、混雑している無線セルに接続された移動局の通信品質は、他の無線セルに接続された移動局の通信品質と比べて劣化する。
【0004】
したがって、特定の無線セルに接続する移動局が集中しないように、混雑度の低い運用周波数が用いられている無線セルを、短時間で容易に選択するための周波数選択制御が考えられている。
【0005】
一方、移動通信ネットワークでは、接続する移動局を限定しない公衆基地局の他に、特定の移動局に対してのみ接続を許可するホーム基地局(Home NodeB/eNodeB)と呼ばれる家庭等の小規模なエリアに設置される基地局が存在する。
【0006】
移動通信ネットワークに、かかるホーム基地局が導入されると、各無線セルの混雑度を問わず、ホーム基地局からの下り信号が、既存の公衆基地局の下り信号に対する干渉となり、通信品質を劣化させるという問題点があった。
【0007】
かかる問題点の解決案として、移動通信ネットワーク側での周波数選択制御の前に、移動局に他の無線セルの下り品質を測定させ、かかる下り品質の測定結果に応じて、移動通信ネットワークにおいて周波数選択制御を行う方法が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-235710号公報
【特許文献2】特開平8-331637号公報
【特許文献3】特開2007-243425号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS22.220
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、かかる移動通信システムにおいて、移動通信ネットワークにおいて周波数選択制御を行うごとに、移動局に他の無線セルの下り品質を測定させると、測定実施後に周波数選択制御を行うことになるため、制御遅延が発生するという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、制御遅延を発生させることなく、移動局の位置における下り信号の品質を考慮した周波数選択制御を実施することができる制御装置及び移動通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の特徴は、制御装置であって、通信断セルを保持するように構成されている保持部と、所定条件が満たされるか否かについて判定するように構成されている判定部と、前記所定条件が満たされると判定される場合、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局が通信を行うべき周波数セルを選択するように構成されている選択部と、前記対象移動局に対して、前記選択部によって選択された周波数セルを通知するように構成されている通知部とを具備し、前記保持部は、所定期間内に、前記通知部によって通知された前記周波数セルを介して前記対象移動局からの制御信号が受信されない場合に、該周波数セルを前記通信断セルとして保持するように構成されていることを要旨とする。
【0013】
本発明の第2の特徴は、移動通信方法であって、通信断セルを保持する工程Aと、所定条件が満たされるか否かについて判定する工程Bと、前記所定条件が満たされると判定される場合、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局が通信を行うべき周波数セルを選択する工程Cと、前記対象移動局に対して、前記工程Cにおいて選択された周波数セルを通知する工程Dとを有し、前記工程Aにおいて、所定期間内に、前記工程Dにおいて通知された前記周波数セルを介して前記対象移動局からの制御信号が受信されない場合に、該周波数セルを前記通信断セルとして保持することを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、制御遅延を発生させることなく、移動局の位置における下り信号の品質を考慮した周波数選択制御を実施することができる制御装置及び移動通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線回線制御局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線回線制御局によって管理されている通信断情報の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る無線回線制御局の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る無線回線制御局によって管理されている通信断情報の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る無線回線制御局の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムでは、各基地局(公衆基地局1、2又はホーム基地局3〜5)は、制御装置100、200に収容されている。
【0018】
図1の例では、公衆基地局1及びホーム基地局3〜5は、制御装置100に収容されており、公衆基地局2は、制御装置200に収容されている。
【0019】
公衆基地局1は、複数の無線セル(以下、公衆セル)10〜13を収容しており、公衆基地局2は、複数の公衆セル20〜23を収容しており、ホーム基地局3は、単一の無線セル(以下、ホームセル)30を収容しており、ホーム基地局4は、単一のホームセル40を収容しており、ホーム基地局5は、単一のホームセル50を収容している。
【0020】
なお、公衆セル10〜13、20〜23には、不特定多数の移動局が在圏及び通信可能であるが、ホームセル30〜50には、特定の移動局(以下、ホーム移動局)のみが在圏及び通信可能となる。
【0021】
ホーム移動局以外の移動局(以下、非ホーム移動局)にとっては、ホームセル30〜50からの信号は、自局と通信する公衆セルにとっての干渉源となり、かかる非ホーム移動局の通信品質の劣化を招くことになる。
【0022】
また、図1の例では、4つ運用周波数#A〜#が利用されており、無線セル10、20、30では、運用周波数#Aが利用されており、無線セル11、21、40では、運用周波数#Bが利用されており、無線セル12、22、50では、運用周波数#Cが利用されており、無線セル13、23では、運用周波数#Dが利用されている。なお、図1の例では、簡単化のためオムニセルが用いられている。
【0023】
一方、図1の例では、移動局900は、非ホーム移動局であり、無線セル10に在圏している。
【0024】
なお、本発明は、W-CDMA方式の無線アクセスネットワークを有する移動通信システムだけでなく、LTE(Long Term Evolution)方式の無線アクセルネットワーク等を有する移動通信システムにも適用可能である。
【0025】
図2に示すように、制御装置100、200は、通知部300と、監視部400と、保持部500と、判定部600と、選択部700とを具備している。
【0026】
なお、制御装置100、200は、W-CDMA方式の無線アクセスネットワークを有する移動通信システムでは、無線回線制御局RNC(Radio Network Controller)内に設けられていてもよいし、他の装置内に設けられていてもよい。
【0027】
また、制御装置100、200は、LTE方式の無線アクセスネットワークを有する移動通信システムでは、公衆基地局1、2内に設けられていてもよいし、他の装置内に設けられていてもよい。
【0028】
通知部300は、対象移動局に対して、選択部700によって選択された通信周波数セルを通知するように構成されている。
【0029】
ここで、対象移動局は、上述の周波数選択制御の対象の移動局である。また、通信周波数セルは、対象移動局900が通信を行うべき周波数セルである。
【0030】
なお、通知部300は、通信周波数セルを特定するための情報として、通信周波数セルとして選択された周波数セルで用いられている運用周波数を通知するように構成されていてもよい。
【0031】
通知部300が、対象移動局900に対して通信周波数セルを通知した後に、監視部400は、所定期間、かかる通信周波数セルを介した対象移動局900からの制御信号の受信を監視するように構成されている。
【0032】
ここで、かかる制御信号は、かかる対象移動局900の上述の通信周波数セルへの遷移後に送信される制御信号である。
【0033】
図3に示すように、保持部500は、移動局ごとに、かつ、公衆基地局1、2配下のセクタごとに、「移動局の位置」と「通信断セル」とを関連付けて保持するように構成されている。
【0034】
ここで、保持部500は、監視部400によって所定期間内に上述の制御信号の受信が確認されなかった場合、通知部300によって対象移動局900に通知された通信周波数セルを、かかる通信周波数セルが属するセクタ及び移動局900の組み合わせに対応する「通信断セル」として保持するように構成されている。
【0035】
かかる場合、保持部500は、さらに、対象移動局900の位置を、かかる通信周波数セルが属するセクタ及び移動局900の組み合わせに対応する「移動局の位置」として保持するように構成されていてもよい。
【0036】
なお、保持部500は、「通信断セル」及び「移動局の位置」の組み合わせを1つだけ保持してもよいし、移動局及びセクタの組み合わせに対して「通信断セル」及び「移動局の位置」の組み合わせを複数保持してもよい。
【0037】
保持部500は、複数の「通信断セル」及び「移動局の位置」の組み合わせを保持する場合には、ホーム基地局の移設や周波数変更を想定し、保持の開始から所定期間が経過した「通信断セル」及び「移動局の位置」の組み合わせを削除するように構成されていてもよい。かかる所定期間は、図3に示す「クリアタイマ」によって規定されていてもよい。
【0038】
判定部600は、所定条件が満たされるか否かについて判定するように構成されている。
【0039】
例えば、判定部600は、保持部500によって保持されている「移動局の位置」と対象移動局900の位置と間の距離が所定閾値以内である場合に、所定条件が満たされると判定するように構成されていてもよい。
【0040】
判定部600は、対象移動局900が接続中のセルが属するセクタと保持部500によって保持されている「通信断セル」が属するセクタとが同一である場合に、所定条件が満たされると判定するように構成されていてもよい。
【0041】
選択部700は、判定部600によって所定条件が満たされていると判定された場合、保持部500によって保持されている「通信断セル」の優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局900が通信を行うべき通信周波数セルを選択するように構成されている。
【0042】
ここで、選択部700は、対象移動局900と「通信断セル」に対応する移動局とが同一でない場合、所定条件が満たされている否かに関わらず、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局900が通信を行うべき通信周波数セルを選択するように構成されていてもよい。
【0043】
また、選択部700は、保持部500によって保持されている「通信断セル」を、対象移動局900が通信を行うべき通信周波数セルの候補から外すように構成されていてもよい。
【0044】
図4及び図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0045】
第1に、図4を参照して、本実施形態に係る制御装置100のの概略動作の一例について説明する。
【0046】
図4に示すように、制御装置100は、ステップS1000において、自局に収容されている公衆基地局1配下の公衆セル10に在圏している対象移動局900に係る発信処理や着信処理を開始する場合、ステップS1001において、対象移動局900の位置を記憶する。
【0047】
ステップS1002において、制御装置100は、対象移動局900の位置をカバーする公衆セル10〜13を通信周波数セル候補とし、かかる通信周波数セルの中から、ホームセルからの干渉を受けないような通信周波数セルを指定して対象移動局900に対して通知する。
【0048】
第2に、図5を参照して、本実施形態に係る制御装置100の詳細動作の一例について説明する。
【0049】
図5に示すように、ステップS2000において、対象移動局900に係る発信イベント又は着信イベントが発生し、ステップS2001において、制御装置100が、対象移動局900から通信開始要求信号を受信した場合、ステップS2002において、制御装置100は、通信開始要求信号が上がってきた無線セル(例えば、公衆セル10)及び当該無線セルとエリアがオーバーラップしている公衆セル(例えば、公衆セル11〜13)を、通信周波数セル候補#Aに決定する。
【0050】
ステップS2003において、制御装置100は、ステップS2001において受信した通信開始要求信号から、対象移動局900の位置#Bを推定する。
【0051】
例えば、制御装置100は、対象移動局900によって測定された無線区間の遅延時間及び通信開始要求信号が上がってきた無線セル(例えば、公衆セル10)に基づいて対象移動局900の位置#Bを推定してもよいし、通信開始要求信号が上がってきた無線セル(例えば、公衆セル10)の中心位置を対象移動局900の位置#Bと推定してもよい。
【0052】
ステップS2004において、制御装置100は、保持部500において、対象移動局900に対応する「移動局の位置#C」が保持されているか否かについて判定する。
【0053】
「移動局の位置#C」が保持されていると判定された場合、本動作は、ステップS2005に進み、「移動局の位置#C」が保持されていないと判定された場合、本動作は、ステップS2008に進む。
【0054】
ステップS2005において、制御装置100は、推定した対象移動局900の位置#Bと保持部500によって保持されている「移動局の位置#C」との間の距離が所定距離以内であるか否かについて、すなわち、推定した対象移動局900の位置#Bと保持部500によって保持されている「移動局の位置#C」とが近隣する関係にあるか否かについて判定する。
【0055】
「YES」であると判定された場合、本動作は、ステップS2006に進み、「NO」であると判定された場合、本動作は、ステップS2008に進む。
【0056】
制御装置100は、ステップS2006において、「移動局の位置#C」に対応する「通信断セル#D」を参照し、ステップS2007において、「通信断セル#D」についての混雑度をオフセットする。
【0057】
ステップS2008において、制御装置100は、通信周波数セル候補#Aに含まれる各無線セルの混雑度を参照して、最も混雑度の小さい無線セルを、対象移動局900の通信周波数セル#Eに決定する。
【0058】
ここで、ステップS2008に至る過程でステップS2007を経た場合、通信周波数セル候補#Aの中で、「通信断セル#D」は、混雑度にオフセットが加算されているので、「通信断セル#D」以外の通信周波数セル候補#A内の無線セルと比べて相対的に優先度が下がり、通信周波数セル#Eとして選択され難くなる。
【0059】
なお、制御装置100は、「通信断セル#D」を通信周波数セル候補#Aから除外してもよい。
【0060】
また、図5の例では、制御装置100が、混雑度に基づいて通信周波数セル#Eを選択するケースを挙げて説明がなされているが、制御装置100は、混雑度以外の基準で通信周波数セル#Eを決定してもよい。混雑度以外の基準で通信周波数セル#Eを決定するケースでも、「通信断セル#D」について優先度を落とす或いは通信周波数セル候補#Aから除外するという扱いをすればよい。
【0061】
制御装置100は、ステップS2009において、対象移動局900に対して、ステップS2008において決定した通信周波数セル#Eを通知し、ステップS2010において、所定期間、通信周波数セル#Eを介して対象移動局900からの制御信号の受信の有無を監視する。
【0062】
ステップS2011において、制御装置100は、所定期間内に、上述の制御信号を受信しなかった場合、ステップS2012において、通信周波数セル#Eにおいてホームエリアが設置されているとみなし、対象移動局900の位置#Bに「移動局の位置#C」を更新すると共に、ステップS2013において、今通信断となった通信周波数セル#Eに「通信断セル#D」を更新する。
【0063】
ステップS2011において、制御装置100は、所定期間内に、上述の制御信号を受信した場合、本動作は、終了する。
【0064】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、ホーム基地局3〜5が導入されている場合であっても、対象移動局900に対してホームセル30〜50からの干渉を回避するように、通信周波数セルを選択することができる。
【0065】
また、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、通信周波数セルを選択する際に、対象移動局900に対して他の無線セルの通信品質を測定させなくても、接続遅延(在圏状態から通信状態になるまでの遅延)を犠牲にすることなく干渉回避を実現することができる。
【0066】
(本発明の第2の実施形態)
図6及び図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0067】
保持部500は、図6に示すように、保持部500は、移動局ごとに、かつ、公衆基地局1、2配下のセクタごとに、「通信断セル」を保持するように構成されている。
【0068】
ここで、保持部500は、監視部400によって所定期間内に上述の制御信号の受信が確認されなかった場合、通知部300によって対象移動局900に通知された通信周波数セルを、かかる通信周波数セルが属するセクタおよい移動局900に組み合わせに対応する「通信断セル」として保持するように構成されている。
【0069】
なお、保持部500は、「通信断セル」を1つだけ保持してもよいし、移動局及びセクタの組み合わせに対して「通信断セル」を複数保持してもよい。
【0070】
保持部500は、複数の「通信断セル」を保持する場合には、ホーム基地局の移設や周波数変更を想定し、保持の開始から所定期間が経過した「通信断セル」を削除するように構成されていてもよい。かかる所定期間は、図6に示す「クリアタイマ」によって規定されていてもよい。
【0071】
また、判定部600は、保持部500によって「通信断セル」が保持されてから所定期間が経過していない場合に、所定条件が満たされると判定するように構成されていてもよい。
【0072】
以下、図7を参照して、本実施形態に係る制御装置100の詳細動作の一例について説明する。
【0073】
図7に示すように、ステップS3000において、対象移動局900に係る発信イベント又は着信イベントが発生し、ステップS3001において、制御装置100が、対象移動局900から通信開始要求信号を受信した場合、ステップS3002において、制御装置100は、通信開始要求信号が上がってきた無線セル(例えば、公衆セル10)及び当該無線セルとエリアがオーバーラップしている公衆セル(例えば、公衆セル11〜13)を、通信周波数セル候補#Aに決定する。
【0074】
ステップS3003において、制御装置100は、タイマ#Bが起動してから一定時間が経過したか否かについて判定する。
【0075】
「YES」であると判定された場合、本動作は、ステップS3004に進み、「NO」であると判定された場合、本動作は、ステップS3006に進む。
【0076】
制御装置100は、ステップS3004において、タイマ#Bに対応する「通信断セル#C」を参照し、ステップS3005において、「通信断セル#C」についての混雑度をオフセットする。
【0077】
ステップS3006において、制御装置100は、通信周波数セル候補#Aに含まれる各無線セルの混雑度を参照して、最も混雑度の小さい無線セルを、対象移動局900の通信周波数セル#Dに決定する。
【0078】
ここで、ステップS3006に至る過程でステップS3005を経た場合、通信周波数セル候補#Aの中で、「通信断セル#C」は、混雑度にオフセットが加算されているので、「通信断セル#C」以外の通信周波数セル候補#A内の無線セルと比べて相対的に優先度が下がり、通信周波数セル#Dとして選択され難くなる。
【0079】
なお、制御装置100は、「通信断セル#C」を通信周波数セル候補#Aから除外してもよい。
【0080】
また、図7の例では、制御装置100が、混雑度に基づいて通信周波数セル#Dを選択するケースを挙げて説明がなされているが、制御装置100は、混雑度以外の基準で通信周波数セル#Dを決定してもよい。混雑度以外の基準で通信周波数セル#Dを決定するケースでも、「通信断セル#C」について優先度を落とす或いは通信周波数セル候補#Aから除外するという扱いをすればよい。
【0081】
制御装置100は、ステップS3007において、対象移動局900に対して、ステップS3006において決定した通信周波数セル#Dを通知し、ステップS3008において、所定期間、通信周波数セル#Dを介して対象移動局900からの制御信号の受信の有無を監視する。
【0082】
ステップS3009において、制御装置100は、所定期間内に、上述の制御信号を受信しなかった場合、ステップS3010において、通信周波数セル#Dにおいてホームエリアが設置されているとみなし、タイマ#Bを起動すると共に、ステップS3011において、今通信断となった通信周波数セル#Dに「通信断セル#C」を更新する。
【0083】
ステップS3009において、制御装置100は、所定期間内に、上述の制御信号を受信した場合、本動作は、終了する。
【0084】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0085】
本実施形態の第1の特徴は、制御装置100、200であって、通信断セルを保持するように構成されている保持部500と、所定条件が満たされるか否かについて判定するように構成されている判定部600と、所定条件が満たされると判定される場合、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局900が通信を行うべき通信周波数セルを選択するように構成されている選択部700と、対象移動局900に対して、選択部700によって選択された通信周波数セルを通知するように構成されている通知部300とを具備し、保持部500は、所定期間内に、通知部300によって通知された通信周波数セルを介して対象移動局900からの制御信号が受信されない場合に、かかる通信周波数セルを通信断セルとして保持するように構成されていることを要旨とする。
【0086】
本実施形態の第1の特徴において、保持部500は、所定期間内に、通知部300によって通知された通信周波数セルを介して対象移動局900からの制御信号が受信されない場合に、かかる通信周波数セルを通信断セルとして保持すると共に、対象移動局900の位置を移動局の位置として保持するように構成されており、判定部600は、保持部500によって保持されている移動局の位置と対象移動局900の位置と間の距離が所定閾値以内である場合に、所定条件が満たされると判定するように構成されていてもよい。
【0087】
本実施形態の第1の特徴において、判定部600は、保持部500によって通信断セルが保持されてから所定期間が経過していない場合に、所定条件が満たされると判定するように構成されていてもよい。
【0088】
本実施形態の第1の特徴において、保持部500は、所定期間内に、通知部300によって通知された通信周波数セルを介して対象移動局900からの制御信号が受信されない場合に、かかる通信周波数セルを通信断セルとして保持すると共に、かかる通信断セルが属するセクタを保持するように構成されており、判定部600は、対象移動局900が接続中のセルが属するセクタと保持部500によって保持されている通信断セルが属するセクタとが同一である場合に、所定条件が満たされると判定するように構成されていてもよい。
【0089】
本実施形態の第1の特徴において、保持部500は、所定期間内に、通知部300によって通知された通信周波数セルを介して対象移動局900からの制御信号が受信されない場合に、かかる通信周波数セルを通信断セルとして保持すると共に、かかる対象移動局900を通信断セルに対応する移動局として保持するように構成されており、選択部700は、対象移動局900と通信断セルに対応する移動局とが同一でない場合、所定条件が満たされている否かに関わらず、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局900が通信を行うべき通信周波数セルを選択するように構成されていてもよい。
【0090】
本実施形態の第1の特徴において、選択部700は、通信断セルを、対象移動局900が通信を行うべき通信周波数セルの候補から外すように構成されていてもよい。
【0091】
本実施形態の第2の特徴は、移動通信方法であって、通信断セルを保持する工程Aと、所定条件が満たされるか否かについて判定する工程Bと、所定条件が満たされると判定される場合、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局900が通信を行うべき通信周波数セルを選択する工程Cと、対象移動局900に対して、前記工程Cにおいて選択された通信周波数セルを通知する工程Dとを有し、工程Aにおいて、所定期間内に、工程Dにおいて通知された通信周波数セルを介して対象移動局900からの制御信号が受信されない場合に、かかる通信周波数セルを通信断セルとして保持することを要旨とする。
【0092】
なお、上述の制御装置100、200や公衆無線基地局1、2やホーム基地局3〜5や移動局900の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0093】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0094】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、制御装置100、200や公衆無線基地局1、2やホーム基地局3〜5や移動局900内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして制御装置100、200や公衆無線基地局1、2やホーム基地局3〜5や移動局900内に設けられていてもよい。
【0095】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0096】
1、2…公衆基地局
3〜5…ホーム基地局
10〜13、20〜23…公衆セル
30、40、50…ホームセル
100、200…無線回線制御局
300…通知部
400…監視部
500…保持部
600…判定部
700…選択部
900…移動局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置であって、
通信断セルを保持するように構成されている保持部と、
所定条件が満たされるか否かについて判定するように構成されている判定部と、
前記所定条件が満たされると判定される場合、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局が通信を行うべき周波数セルを選択するように構成されている選択部と、
前記対象移動局に対して、前記選択部によって選択された周波数セルを通知するように構成されている通知部とを具備し、
前記保持部は、所定期間内に、前記通知部によって通知された前記周波数セルを介して前記対象移動局からの制御信号が受信されない場合に、該周波数セルを前記通信断セルとして保持するように構成されていることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記所定期間内に、前記通知部によって通知された前記周波数セルを介して前記対象移動局からの制御信号が受信されない場合に、該周波数セルを前記通信断セルとして保持すると共に、該対象移動局の位置を移動局の位置として保持するように構成されており、
前記判定部は、前記保持部によって保持されている前記移動局の位置と前記対象移動局の位置と間の距離が所定閾値以内である場合に、前記所定条件が満たされると判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記保持部によって前記通信断セルが保持されてから所定期間が経過していない場合に、前記所定条件が満たされると判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記所定期間内に、前記通知部によって通知された前記周波数セルを介して前記対象移動局からの制御信号が受信されない場合に、該周波数セルを前記通信断セルとして保持すると共に、該通信断セルが属するセクタを保持するように構成されており、
前記判定部は、前記対象移動局が接続中のセルが属するセクタと前記保持部によって保持されている前記通信断セルが属するセクタとが同一である場合に、前記所定条件が満たされると判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記所定期間内に、前記通知部によって通知された前記周波数セルを介して前記対象移動局からの制御信号が受信されない場合に、該周波数セルを前記通信断セルとして保持すると共に、該対象移動局を該通信断セルに対応する移動局として保持するように構成されており、
前記選択部は、前記対象移動局と前記通信断セルに対応する移動局とが同一でない場合、前記所定条件が満たされている否かに関わらず、該通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、該対象移動局が通信を行うべき周波数セルを選択するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記通信断セルを、対象移動局が通信を行うべき周波数セルの候補から外すように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
通信断セルを保持する工程Aと、
所定条件が満たされるか否かについて判定する工程Bと、
前記所定条件が満たされると判定される場合、通信断セルの優先度を他の周波数セルの優先度よりも低くして、対象移動局が通信を行うべき周波数セルを選択する工程Cと、
前記対象移動局に対して、前記工程Cにおいて選択された周波数セルを通知する工程Dとを有し、
前記工程Aにおいて、所定期間内に、前記工程Dにおいて通知された前記周波数セルを介して前記対象移動局からの制御信号が受信されない場合に、該周波数セルを前記通信断セルとして保持することを特徴とする移動通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−130101(P2011−130101A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285531(P2009−285531)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】