説明

制御AOM負荷を用いたレーザパルスピッキング

レーザ(l26)及びAOM(10)は、レーザのパルスからパルスへのエネルギー安定性を損なうことなく、可変の非照射間隔で加工レーザ出力(40)を生じるように、ほぼ等間隔及びほぼ一定同様の高繰り返しレートでパルスさせる。加工レーザ出力(40)が要求されるときには、RFパルス(38)は、レーザ出力パルス(24)と時間一致でAOM(10)に供給され、ターゲットへレーザパルスを伝送する。加工レーザ出力(40)が要求されないときには、レーザパルスを遮断するように、RFパルス(38)は、レーザ出力パルス(24)と時間不一致でAOM(10)に供給される。即ち、AOM(10)における平均熱負荷は、加工レーザ出力(40)がランダムに、如何に要求されるかに関わらず、ほぼ一定となる。AOM(10)については、供給したRFパルス(38)のパワーを制御することにより、加工レーザ出力(40)のエネルギーを制御するように用いることもできる。RFパワーが変更されるときには、RFパルス(38)の持続時間(44)は、一定の平均RFパワーを維持するように変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザに関するものであり、特に、レーザビームの品質又は位置精度について波面歪曲を最小化するように、負荷制御音響光学変調器(AOM)で、要求に応じて高繰返し率の安定エネルギーレーザパルスを供給する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザは、分光器及びバイオテクノロジー研究を含む様々な研究開発活動、及び、検査、処理、様々な電子材料及び基板の微細加工処理を含む産業活動で広く用いられる。例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(“DRAM”)を修理するため、レーザパルスは、DRAM素子から不完全なメモリセルを断ち切るように電導リンクを切断し、不完全なメモリセルを交換するための冗長メモリセルを能動化させるのに用いられる。リンク切除を必要とする不完全なメモリセルはランダムに配置されているので、切断を必要とするリンクもランダムに配置されている。従って、レーザのリンク修理処理の際、レーザパルスはランダムなパルス間隔で射出される。言い換えれば、レーザパルスは、一定のパルス繰返し周波数(“PRF”)でというよりも、広い可変範囲のPRFで稼動している。工業的処理が、より大きい生産量を達成するように、レーザビーム走査機構を静止することなく、レーザパルスは、ターゲットリンクに射出する。この生産方法は、“オンザフライ”(“OTF”)リンク処理と産業界で称されている。他の一般的なレーザ応用例は、ランダムに必要とされるときにのみ射出するレーザパルスを用いている。
【0003】
しかしながら、レーザパルス幅は、PRFの増大と共に増大するが、通常、1パルス当たりのレーザエネルギーは減少する。そのことは、特にQスイッチ固体レーザに、事実として特徴付けられている。また、多くのレーザ応用例は、要求に応じてランダムに時間変位のレーザパルスを必要とするが、これらの応用例は、1パルス当たりのレーザエネルギー及びパルス幅が、ほぼ一定を保つことをも必要とする。メモリにおけるリンク処理又は他の集積回路(IC)チップにとって、不十分なレーザエネルギーは、不完全なリンク切断を生じさせる。それに反して、極めて大きなレーザエネルギーは、受動構造、即ち、シリコン基板に許容できない損傷を与えうる。レーザパルスエネルギーの許容可能範囲は、しばしば“プロセスウィンドウ”と称される。多くの実用的なIC素子にとって、プロセスウィンドウは、選択パルスエネルギー値から5%未満の変動のレーザパルスエネルギーを要求する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当業者は、プロセスウィンドウ内での動作を確実にするために、或いは、プロセスウィンドウを拡げるために様々な方法を取っている。例えば、本出願の譲受人に譲り受けられている、米国特許第5,590,141号「METHOD AND APPARATUS FOR GENERATING AND EMPLOYING A HIGH DENSITY OF EXCITED IONS IN A LASNT」の明細書は、PRFの関数として低減パルスエネルギー・ドロップオフを示すレーザ、即ち、より高い使用可能なPRFを示すレーザを有する固体レーザについて記述している。従って、そのようなレーザは、レーザの最大PRFの下で動作させると、より安定したパルスエネルギーレベルを発生させることができる。また、本出願の譲受人に譲り受けられている、米国特許第5,265,114号「SYSTEM AND METHOD FOR SELECTIVELY LASER PROCESSING A TARGET STRUCTURE OF ONE OR MORE MATERIALS OF A MULTIMATERIAL, MULTILAYER DEVICE」の明細書は、処理中のレーザパルスエネルギーのより広い変動を許容するようにリンクプロセスウィンドウを拡げるため、1,320ナノメータ(“nm”)のような、より長いレーザ波長を用いることについて記述している。Lightwave Electronicsに譲り受けられている、米国特許第5,226,051号「LASER PUMP CONTROL FOR OUTPUT POWER STABILIZATION」の明細書は、ポンピングダイオードの電流を制御することによって、レーザパルスエネルギーを均一化する方法について記述している。その方法は、レーザPRFを約25kHz又は30kHz以下で用いる実用的な応用例において、十分に働く。
【0005】
上述のレーザ処理応用例は、通常、1,047 nmから1,324 nmの波長を有する赤外域(“IR”)レーザを使用し、約25kHz又は30kHz以下のPRFで稼動している。しかしながら、生産の必要性から多くの生産量が要求されているので、レーザとしては、50〜60kHz又はそれ以上となるような、約25kHzより遥かに高いPRFで動作可能とすべきである。更に、多くのレーザ処理応用例は、通常、400 nm未満の紫外域(“UV”)エネルギー波長を用いることによって、改良されている。そのようなUV波長は、IRレーザの2次、3次又は4次の高調波を刺激する高調波発生処理に、IRレーザを用いることによって発生させることができる。残念なことに、高調波発生の性質の故に、そのようなUVレーザのパルスからパルスへのエネルギーレベルは、特にPRFの時間変化とレーザパルス間隔に敏感となる。
【0006】
本出願の譲受人に譲り受けられている、米国特許第6,172,325号「LASER PROCESSING POWER OUTPUT STABILIZATION APPARATUS AND METHOD EMPLOYING PROCESSING POSITION FEEDBACK」の明細書は、位置フィードバック制御レーザパルスのピッキング素子又はゲーティング素子に関連して、一定の高繰返し率でのレーザの動作方法について記述している。その動作方法では、優れたレーザパルスエネルギーの安定度と高生産性と共に、複数のレーザパルス間隔のランダムな時間間隔で、レーザパルスピッキングを要求に応じて生じさせる。
【0007】
代表的なレーザパルスのピッキング素子又はゲーティング素子は、音響光学変調器("AOM")又は電気光学変調器(“EOM”又はポッケルスセルとも称される)である。KD*P又はKDPなどの代表的なEOMの材料は、UV波長での比較的強い吸収に悩まされる。それらの材料は、用いられる波長での材料のより低い損傷閾値と、その素子内でレーザビーム光路に沿った局部加熱を生じ、その素子の半波長板位置の変動を生じさせる。EOMの別の欠点は、50kHz以上の繰返し率で十分に動作する能力に疑問があることである。他方では、AOMの材料は250nmのUVから2,000nmのIRまで高透過性であり、AOMは、その範囲における代表的なレーザ波長を全て、十分に動作可能としている。また、AOMは、数100kHzまでの繰返し率で、パルスの好ましいゲーティングを容易に適合させることができる。AOMの1つの欠点は、限界回折効率が約75〜90%であることである。
【0008】
図1は、レーザパルスのピッキング又はゲーティング応用例に用いられる代表的なAOM 10を示す。図2A〜2D(一括して、図2)は、レーザパルス14、AOM高周波(RF)パルス18及びAOM出力パルスについて、対応する従来技術のタイミング図を示す。図2Aは、レーザによって放射され、AOM 10に伝搬される一定の繰返し率のレーザパルス14a〜14kを示す。図2Bは、いずれのレーザパルス14がターゲットの方向に伝搬されるかを選択するための、AOM 10に供給するRFパルス18の2つの適用例を示す。第1の適用例では、破線で示す単一のRFパルス18cdeは、レーザパルスの14a、14b及び14cを含む時間間隔を扱うために拡げられている。第2の適用例では、個々のRFパルス18c、18d及び18eは、レーザパルス14a、14b及び14cのそれぞれの時間間隔を、個別に扱うように拡げられている。図2C及び2Dは、AOM 10に供給されるRFパルス18の存在又は不存在によって決定されるように、AOM10から伝搬された1次ビーム20及び0次ビーム16をそれぞれ示す。
【0009】
図1及び図2を参照して、AOM 10はRFドライバ12によって駆動される。RFパワー22がAOM 10に供給されないときは、入射レーザパルス14は元のビーム経路に沿ってほぼAOM 10を通過し、0次ビーム16として放射する。RFパワー22がAOM 10に供給されるときは、入射レーザパルスのエネルギー部は、0次ビーム16のビーム光路から1次ビーム20のビーム光路まで回折される。回折効率は、1次ビーム20のレーザエネルギーにおけるレーザエネルギーと、レーザパルス14の入射ビームにおけるレーザエネルギーとの比率で規定される。1次ビーム20又は0次ビーム16のいずれかを、種々の応用例毎の考慮に基づいて、加工ビームとして用いることができる。区別に役立つ明瞭化のため、AOM 10に入射するレーザのパルスを、“レーザパルス”又は“レーザ出力”として記述でき、AOM 10によってピッキングされ、ターゲットに伝送されるパルスを、“加工レーザパルス”又は“加工レーザ出力”として記述できる。
【0010】
1次ビーム20が加工ビームとして用いられるときには、RFパワー22を最大パワーからほぼゼロまで変更するときに、加工レーザパルスのエネルギーは、最大値である100%からほぼゼロまで、それぞれダイナミックな制御をすることができる。AOM10の実用的な限界回折効率は、許容最大RFパワー負荷の下で約75%〜90%であるので、加工レーザパルスの最大エネルギー値は、レーザからのレーザパルスエネルギー値の約75%〜90%となる。しかしながら、0次ビーム16が加工ビームとして用いられるときには、RFパワー22をほぼゼロから最大値まで変更するときに、加工レーザパルスのエネルギーは、レーザからのレーザパルスエネルギーの最大値である100%からその最大値の15%〜20%まで、それぞれダイナミックな制御をすることができる。例えばメモリリンク処理において、加工レーザパルスが要求に応じることの無いときには、システムレーザパルスエネルギーの漏洩は全く受入れられない。即ち、1次レーザビーム20が加工ビームとして用いられているときは、0次ビームの加工レーザパルスエネルギーはゼロであるべきである。
【0011】
再度、図2を参照して、加工レーザパルスがランダムな時間間隔で要求されるときにのみ、RFパルス18をAOM 10に供給すると、ランダムな整数倍の複数レーザパルス間隔となり、従って、AOM 10における確率変数的な熱負荷を生じさせる。AOM 10における熱負荷は、AOM 10で幾何学上の波面歪曲及び温度分布を生じ、屈折率に分布を生じさせる。熱負荷によるそれらの結果は、AOM10を通過するレーザビームを歪め、悪化したレーザビーム品質とレーザビーム光路における不安定度、又は乏しいビーム位置精度を生じさせる。それらの結果を一定に保つことができるのであれば、それら波面歪曲を、ある程度補正することはできる。しかしながら、レーザリンク処理などのシステムレーザパルスがランダムに要求されるときには、それら波面歪曲は、前述と同一のランダムな性質を有しているために、実際には補正することはできない。
【0012】
NEOS技術、メルボルン、フロリダで製造されたモデルN23080-2-1.06-LTDのような、AOM素子の試験結果は、2ワット(W)のRFパワーのみでRFパワー22をAOM 10にランダムに供給及び非供給とすると、レーザビーム位置精度は、1ミリラジアン(rad)ほども偏向することを示した。この偏向は代表的なメモリリンクシステムにて許容される最大値より数100倍大きい。また、AOM10におけるランダムな熱負荷によるレーザビーム品質としての波面歪曲は、レーザビームの焦点能力をも悪化させ、焦点での、より大きいレーザビームスポットサイズを生じさせる。レーザビームスポットサイズが可能な限り小さいことを要求するメモリリンク処理などの応用例にとって、この波面歪曲は極めて好ましくない。
【0013】
従って、必要なことは、AOMにおけるランダムな熱負荷変動により、レーザビーム品質及び位置精度に波面歪曲を生じさせることなく、高繰返し率のレーザパルス列からランダムに加工レーザパルスをピッキングする装置及び方法である。更に必要なことは、要求に応じて1パルス当たりの一定レーザエネルギー及び一定のパルス幅、及び/又は、高PRFでのオンザフライを有する加工レーザパルスを、広く種々のパルス時間間隔で高精度に発生させる装置及び方法である。分光器及びバイオテクノロジーなどの様々なレーザ応用例にとって、又は、メモリチップのレーザリンク処理などの微細加工処理応用例にとって、必要な装置及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明の目的は、高繰返し率のパルスレーザから、要求に応じてレーザパルスをピッキングする装置及び方法を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、レーザビーム品質及び位置精度への波面歪曲を最小化するために、AOMにおける最小限の熱負荷変動で、そのようなパルスピッキングを実行することである。
【0016】
本発明の更なる別の目的は、UVから近赤外域(IR)の選択波長で、及び、メモリリンク切断などの高精度レーザ処理応用例のための高PRFで、安定したパルスエネルギー及び安定したパルス幅を有しながら、要求に応じてシステムレーザパルスを発生する装置及び方法を提供することである。
【0017】
本発明は、レーザパルスの静止を妨げる反面、選択レーザパルスが要求に応じてターゲットに伝送されるように、レーザパルスをピッキング又はゲーティングする外部共振型AOM素子と連携して、高繰返し率パルス出力でのレーザを用いる。従来技術で為されるような、加工レーザパルスが要求されるときにのみ、AOMにRFパルスを供給することの代わりに、レーザパルスの時間間隔とほぼ同様のパルス時間間隔としたRFパルスを、加工レーザパルスが要求されているか否かに関わらず、AOMに供給する。加工レーザパルスが要求されるときはいつも、RFパルスは、対応するレーザパルスと時間一致で供給される。加工レーザパルスが要求されないときはいつも、RFパルスはまた、AOMに供給されるが、対応するレーザパルスとは時間不一致で供給される。好ましくは、レーザパルスと時間不一致のRFパルスは、レーザパルスと時間一致のRFパルスのように、同一のRFパワー及び同一の持続時間とすることである。時間不一致RFパルスとレーザパルスとの間のタイミングシフトは、AOMにおける熱負荷の観点からは、その時間シフトがほぼ無視できる程に十分に小さなものである。従って、加工レーザパルスが如何にランダムに要求されるかに関わらず、AOMはほとんど全く熱負荷変動を生じない。
【0018】
好適な実施例では、一定の高繰返し率又は一定のレーザパルス間隔で発生するレーザパルスから、加工レーザパルスをピッキング又はゲーティングする。そのような加工レーザパルスは、それらのエネルギー及びパルス幅にて高い安定度及び整合性を有する。
【0019】
同様に、加工レーザパルスが如何にランダムに要求されるかに関わらず、ほぼ一定のRFパワー負荷又はほぼ一定の熱負荷で、AOMを動作させる。そのようなランダムに伝送されるAOMを有するために、加工レーザビーム品質及びその位置精度において、ほとんど全く悪影響がない。
【0020】
また、RFパルスパワーを、特定用途の応用例に適合させるために、同一のAOM素子で加工レーザパルスエネルギー制御を実行するように制御することもできる。レーザパルスエネルギー制御を実行するには、RFパルスパワーのランダムな変化による加工レーザビーム品質への悪影響を避けるため、RFパルスパワーとRFパルス持続時間との積がほぼ一定を保つように、RFパルス持続時間を変調できる。又は、あるレーザパルス間隔の間に、AOMに供給される全RFエネルギーがほぼ一定を保つように、追加のRFパルスを加えることができる。
【0021】
本発明は、通常、レーザパルスをランダムにシャットオン又はオフにすることを要求する応用例にとって、ICチップリンク切断などの応用例を含めて、パルスからパルスへの安定した加工エネルギーを発生させるのに有利である。本発明は、2倍波、3倍波又は4倍波のレーザパルスを生成する非線形高調波発生処理を用いたQスイッチ固体レーザにおける、パルスからパルスへの加工レーザエネルギーを安定化させるのに有利である。そこでは、加工レーザパルスをランダムにシャットオン又はオフする。
【0022】
本発明は、250 nmから2,000 nmのような、UVスペクトルから広域に近赤外域(IR)まで広域スペクトル範囲のレーザ波長に対して高透過性である、前述のAOMモデルN23080-2-1.06-LTDで用いられる石英ガラス及び二酸化テルル(TeO2)などの代表的なAOM材料にとって有利である。好適な実施例では、1次ビームは、加工ビームとして用いられる。しかしながら、応用例にとって、レーザパルスエネルギーの10〜15%の漏洩が問題を生じないのであれば、1次ビーム又は0次ビームのいずれかを加工ビームとして用いることができる。
【0023】
本発明の更なる態様及び利点を、添付図面を参照し、好適な実施例として以下に詳説する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図3A〜3C (一括して、図3) は、レーザ出力24a〜24k(一般化して、レーザ出力24)と、AOM 10に供給されるRFパルス38a〜38k(一般化してRFパルス38)と、加工レーザ出力40a、40c、40d、40e及び40i(一般化して、加工レーザ出力40) について、対応するタイミング図を示す。特に、図3Aは、レーザ出力24を示しており、レーザ出力24は、一定の繰返し率でレーザ126(図7)によって放射され、ほぼ同一のレーザ出力間隔26で分離される。代表的な実施例では、レーザ出力繰返し率は、約1kHzから約500kHzまでとすることができる。例としてのレーザ出力繰返し率は、約25kHzより高く、約40 kHzより高く、又は約100kHzより高くなる。リンク処理の実施例にとって、各加工レーザ出力40は、好適に、複数のナノ秒パルス幅と共に代表的な単一レーザパルスを有している。しかしながら、本出願の譲受人に譲り受けられている、米国特許第6,574,250号「LASER SYSTEM AND METHOD FOR PROCESSING A MEMORY LINK WITH A BURST OF LASER PULSES HAVING ULTRASHORT PULSE WIDTHS」の明細書に記述されているように、各加工レーザ出力40は、超短パルス幅を各々有する1つ以上のレーザパルスの分割、即ち、約10ピコ秒から約1ナノ秒までのパルス幅を有する1つ以上のパルスの分割を有することができることは当業者に明らかである。
【0025】
図3Bは、RFパルス適用例30の好適な実施例を示し、RFパルス適用例30は、RFパルス間隔32a〜32j(一般化して、RFパルス間隔32)で分離したRFパルス38を用いている。RFパルス間隔32は、所定の動作許容範囲内でAOM 10における熱負荷変動を維持するように、ほぼ等間隔、即ち、均一とされている。そのような許容範囲は、特有の熱負荷ウィンドウとすることができるが、所定の許容範囲とすることもでき、或いは別の例では、スポットサイズ又はビーム位置精度のウィンドウとすることができる。1つの実施例では、熱負荷変動は5%以内を維持し、及び/又は、ビーム位置精度は0.005mrad以内を維持している。好適実施例では、少なくとも1つのRFパルス38を、各レーザ出力24に対応するように発生させる。
【0026】
加工レーザ出力40は、電導リンク60(図 6A)などのターゲットを照射するように要求されるときはいつも、RFパルス38はレーザ出力24と時間一致でAOM 10に供給され、レーザ出力24は、AOM 10を介して伝送し、加工レーザ出力40となる。
【0027】
図3Bで、時間一致RFパルス38は、RFパルス38a、38c、38d、38e及び30iである。図3Cは、結果として生じた対応する加工レーザ出力40a、40c、40d、40e及び40iを示している。加工レーザ出力が、全くレーザ出力24に対応するように要求されないときは、RFパルス38は、レーザ出力24と時間不一致でAOM 10に供給される。図3Bで、時間不一致RFパルス38は、RFパルス38b、38f、38g、38h及び38jである。図3Cは、加工レーザ出力40が、時間不一致RFパルス38に全く対応しないことを示している。
【0028】
時間不一致RFパルス38は、約0.5マイクロ秒より長い時間オフセット42で、それぞれのレーザ出力40の開始から好適にオフセットされる。時間オフセット42は、図3Bにおいて、レーザ出力40の後とするように示されているが、代わりに、時間オフセット42は、加工レーザ出力のターゲット照射を避けるために十分な時間間隔で、レーザ出力40を先行させることができることは当業者に明らかである。従って、時間不一致RFパルス38の周りのRFパルス間隔32は、全体的に見て、平均RFパルス間隔32(32c、32d、32f、32g及び32jなど)より短くなってもよく(RFパルス間隔32b、32f及び32hなど)、又は、平均RFパルス間隔32より長くなってもよい(RFパルス間隔32a、32e及び32iなど)。
【0029】
再度、図3Cを参照すると、加工レーザ出力40cと40dとの間の非照射間隔50bと、加工レーザ出力40dと40eとの間の非照射間隔50cは、それぞれレーザ出力間隔26とほぼ同一である。加工レーザ出力40aと40cとの間の非照射間隔50aと、加工レーザ出力40eと40iとの間の非照射間隔50dは、それぞれレーザ出力間隔26のほぼ整数倍である。
【0030】
リンク処理のような、大抵の応用例にとって、加工レーザ出力40は1次ビーム20を好適とするが、ビーム漏れが許容範囲内であって、より高い加工レーザ出力パワーが好ましいところでは、加工レーザ出力40を0次ビーム16とすることができることは当業者に明らかである。
【0031】
好適な実施例では、時間一致及び時間不一致のRFパルス38は、RFパワー値とRF持続時間との積として、ほぼ同一のRFエネルギーを消費するだけではなく、ほぼ同一のRFパワー値及びほぼ同一のRF持続時間も費やされる。
【0032】
図4A〜4C (一括して、図4)は、レーザ出力24、AOM 10に供給されるRFパルス38、及び加工レーザ出力40について対応するタイミング図を示し、更に、AOM 10が、加工レーザ出力40の出力パワーを制御するために、如何に用いることができるかを示している。図4Aは、図3Aと同一であり、便宜上にのみ示す。図4B及び4Cは、パルス38’と加工レーザ出力40’を示しており、対応するRFパルス38及び加工レーザ出力40 (便宜のために破線でそれらに重ねて示す)を示している。RFパルス38用よりも低いRFパルス38’用のAOM 10へのRFパワーを用いることによって、加工レーザ出力40’のエネルギーを減衰させる。しかしながら、RFパルス38’は、AOM 10におけるほぼ一定の熱負荷を維持するために、ほぼ一定となる、RFパワー値とRF持続時間との積を維持するように、RFパルス38に用いるRF持続時間44の際に、RFパルス38’としてRF持続時間44’を増大させている。この方法が、AOM 10における熱負荷の変動をほとんど生じることなく、加工レーザ出力40又は40’ 間の出力パワーの連続体にとって、要求に応じた選択を可能とすることは当業者に明らかである。また、時間不一致RFパルス38のRFパワー値及びRF持続時間44は、元の状態を保つこと、又は、時間一致RFパルス38’のRF負荷変動を特定の許容範囲内となるように変更できることは、当業者に明らかである。
【0033】
RFパルス持続時間44は、約1マイクロ秒からレーザ出力間隔26の約半分になるように選択されるのが好ましく、レーザ出力間隔26の30%より短くすることが、より好ましい。例えば、レーザ繰返し率が50kHzであり、レーザ出力間隔26が20マイクロ秒であれば、RFパルス持続時間44は、1〜10マイクロ秒のいずれでもよい。最小RFパルス持続時間44は、レーザパルスジッタの時間及びAOM 10の応答時間によって決定される。時間一致RFパルス38にとっては、RFパルス38の中間点でレーザ出力24を開始させることが好ましい。時間不一致RFパルス38にとっては、対応するレーザ出力24の開始から、最小RFパルス持続時間44の約半分の遅延となるRFオフセットが好ましい。
【0034】
図5A〜5B(一括して、図5)は、 RFパルス38及び加工レーザ出力40の別の対応するタイミング図を示しており、加工レーザ出力エネルギーの広大なダイナミック制御範囲を示している。
【0035】
図5を参照して、極めて低エネルギーの加工レーザ出力40a1は、加工レーザ出力40aの目標とされていた伝搬を可能とするのに十分な、ほぼ最小のRFパワーでのRFパルス38a1を供給することにより発生させることができる。レーザ出力24aと時間一致するRF持続時間44aは、RFパルス間隔32におけるRF負荷変動を最小化するため、短く保つことができる(RF持続時間44と同じ持続時間などのように)。より高いRFパワー及び短いRF持続時間44a2を有する1つ以上の追加の時間不一致RFパルス38a2を、RFパルス38a1用及び38a2用のRFエネルギーの和がほぼRFパルス38bと等しくなるように、AOM 10に供給することができる。好適な実施例では、RFパルス38a1と38a2との間のオフセット時間52は、0秒から数マイクロ秒とすることができる。RFパルス38al及び38a2は、レーザ出力24aが完了した後で、RFパワーをランプアップする単一RFパルス38に併合することができることは当業者に明らかである。また、RFパルス38a2は、RFパルス38a1の後とする代わりに、RFパルス38a1に先行できることは当業者に明らかである。AOM 10の熱慣性のため、RF間隔32al及びRF間隔32の小さな差が、レーザビーム品質及び位置精度の観点から、如何なる重要な熱負荷変動も生じさせないことは、当業者に明らかである。従って、RF間隔32alは、RF間隔32と同様に十分に保つことができ、そのため所定の動作許容範囲内でAOM 10の熱負荷変動は維持される。元の時間不一致RFパルス38bを、元の持続時間44b及びRFパワー値で維持することができ、或いは、RFパルス38a及び38a2の設定と同様に変調することが出来る。
【0036】
図6A〜6C(一括して、図6)は、電導リンク60a〜60k(一般化して、リンク60)のレーザ処理などのように、レーザ微細加工処理例の際のターゲット調整位置70(又、走査位置70)(図7)及び加工レーザ出力のタイミング図を示す。図6Aは、等間隔リンク60を有する代表的なリンク列62を示しており、リンク列62は、ビーム位置決めシステムのターゲット調整位置70により、走査方向64と交差している。チップ検査の結果に基づいて、位置決めシステムは、ランダムに配置されたリンク60をターゲットとするように制御される。無処理に留まっているその残存リンク60を、IC素子又は他のワークピース120(図 7)の修理のために切断しなければならない。例えば、ビーム位置決めシステムの走査速度を、一定となるように設定でき、即ち、ターゲット調整位置70がほぼ一定の位置決め間隔で各リンクを交差するように、その走査速度を制御し、又は可変とできる。レーザ126は、位置決め間隔を等しくするほぼ一定の間隔で、レーザ出力を射出する。従って、正しいタイミング整合で、ターゲット調整位置70がリンク60を交差するときはいつも、レーザ出力24を射出する。便宜上、加工レーザ出力40について示した図6BをFIG.3Cと同一視できるように、リンク60a、60c、60d、60e及び60iは、切断用に構成されている。従って、加工レーザ出力40a、40c、40d、40e及び40iを、リンク60a、60c、60d、60e及び60iに照射させる。FIG.6Cは、切断された後のリンク60a、60c、60d、60e及び60iを示している。レーザ出力24は、各加工レーザ出力40が1つのリンク60を当てるように、走査位置70と同期して同一の一定の間隔で射出する。従って、リンク60を切除するように選択するときはいつも、レーザパルスをピッキング又はゲーティングするAOM 10の助力があり、AOM 10は、加工レーザ出力40として、リンク60を切断するためのレーザ出力24を伝送する。リンク60が選択されないときはいつも、AOM 10は、レーザ出力24を伝送しないので、リンク60は手付かず状態のままである。この様に、レーザ126は、ほぼ一定の繰返し率で稼動しており、レーザ出力24は、ほぼ一定の間隔26であるが、加工レーザ出力40は、レーザ出力間隔26について、ランダムな複数の間隔で生じる。
【0037】
図7は、例として、波面歪曲の無い加工レーザ出力で、非等間隔リンクを処理するように、要求に応じて、安定したパルスからパルスへのUVレーザエネルギーを生成する、AOM10のRF負荷制御を用いたICチップリンク切断システム110を示す。システム110では、システム制御コンピュータ112及び組込み式制御コンピュータ114は、X-Yポジショナ118から位置情報を受け取るビーム位置コントローラ116を制御するように協働する。X-Yポジショナ118は、加工レーザ出力40のターゲット調整位置70に関するワークピース120を位置決めする。加工レーザ出力40は、図示した折り返しミラーに加え、様々な光学素子(図示せず)を介して、伝搬することができる。X-Yポジショナ118は、X又はYステージのいずれかと結合できるZポジショナ123を備えることもできる。X-Yポジショナ118は、本出願の譲受人に譲り受けられている、米国特許第5,751,585号「HIGH SPEED, HIGH ACCURACY MULTI-STAGE TOOL POSITIONINC SYSTEM」の明細書に記載の位置決めシステムに、好適に基づいている。
【0038】
1つの実施例では、UVレーザサブシステム124は、ダイオードポンプ音響光学QスイッチND:YVO4レーザのようなQスイッチ固体IRレーザ126と、IRレーザ126のレーザ出力をピッキング又はゲーティング及び振幅変調するAOM 128と、周知の2次、3次又は4次の高調波変換処理を用いることにより、IRレーザ126からのIR波長放射を緑色及び/又はUV波長に変換する周波数逓倍器130とを、好適に備えている。AOM 10を、破線で示すAOM 10a(一般化して、AOM 10)の位置によって示すように、周波数逓倍器130の後方に配置することもできる。いずれの実施例においても、レーザコントローラ134はAOM 10の透過率を制御し、ワークピース120方向に要求に応じて加工レーザ出力40を伝搬するため、レーザ126からのレーザ出力24を伝送又は遮断する。
【0039】
システム制御コンピュータ112は、組込み式制御コンピュータ114へのバス136を介して、ワークピース120の位置座標を、レーザ処理を要求する位置に設定する。代表的な標本処理応用例では、ワークピース120は、可融性リンク60などのように、処理が要求されるのは一部であり、規則的に離間した素子構造を有している。処理を要求する位置は、“ターゲット位置”と称し、処理を要求しない位置は、“中間位置”と称する。組込み式制御コンピュータ114は、ほぼ等間隔26でIRレーザ126をトリガするため、離間したターゲット位置座標を中間位置座標に加える。組込み式制御コンピュータ114は、所定の速度でバス138を介して、一度に、ターゲット位置及び中間位置座標をビーム位置コントローラ116のレジスタ140に設定し、同時に、バス142を介して、制御データをレーザコントローラ134のレジスタ114にロードする。所定の速度でX-Yポジショナ118の移動速度が制御され、制御データは、座標位置が処理すべきターゲット座標であるか否かを示し、更に、出力モード情報、タイミング情報及び振幅情報を有することもできる。
【0040】
レーザコントローラ134は、自動パルスモード又は対ターゲットパルス(pulse-on-target)モードのいずれかでタイマ146を動作させる。自動パルスモードでは、タイマ146は、レジスタ144の制御データに応答して始動する。対ターゲットパルスモードでは、タイマ146は、ビーム位置コントローラ116の比較器150からの位置一致信号148の受信に応答して始動する。ビーム位置コントローラ116の位置エンコーダ152は、X-Yポジショナの現在位置を比較器150に示す。その現在位置がレジスタ140に記憶された位置座標と一致しているとき、位置座標信号148を発生させ、ワークピース120が適切にターゲット位置又は中間位置に配置されていることを示す。従って、ワークピース120が、ターゲット位置上に配置されると、タイマ146は、同時に、IRレーザ126のQ-スイッチを動作させ、加工レーザ出力40が、AOM 10を通過してターゲットリンク40を当てるように、所定のRFパワー及びRF持続時間44で、RFパルス38をAOM 10に供給することにより、AOM 10を伝送状態に設定する。ワークピース120が中間位置上に配置されるならば、タイマ146は、IRレーザ126のQスイッチを動作させ、Qスイッチ動作からの所定の時間オフセット42の後にのみ、所定のRFパワー及びRF持続時間でRFパルス38をAOM 10に供給する。従って、そのRFパルス38は、レーザ出力24とは時間不一致であり、加工レーザ出力40がゲートスルーされることはない。
【0041】
X-Yポジショナ118の移動速度は、ポジショナ118が一定の速度でターゲットの組み合わせ及び中間位置上を移動するように、好適に制御されるので、Qスイッチレーザは、そのような一定の繰返し率で射出される。又は、言い換えれば、レーザ出力間隔26は、ほぼ位置移動時間と等しくさせられる。従って、IRレーザ126は、ほぼ一定の繰返し率で動作し、即ち、レーザ出力間隔26はほぼ一定となる。レーザ出力間隔26の変更により、レーザ出力24において、及びレーザパルス高調波変換において、ほぼ無視できる不安定度となる。AOM 10の要求に応じてのトリガリングに関する更なる詳説は、米国特許第6,172,325号「LASER PROCESSING POWER OUTPUT STABILIZATION APPARATUS AND METHOD EMPLOYING PROCESSING POSITION FEEDBACK」の明細書から見つけることができ、その内容は、本出願の内容に取り込まれる。
【0042】
RF負荷制御方法は、AOM 10において、ほぼ一定の熱負荷を生じさせる。それは、ポジショナ118がターゲット上にあるときに、即ち、言い換えれば、加工レーザ出力40が要求されるときに、レーザ出力40と時間一致でRFパルスをAOM 10に供給するためである。また、ポジショナ118が中間位置上にあるときに、即ち、言い換えれば、加工レーザ出力24が要求されないときに、レーザ出力24と時間不一致ではあるが、同一のRFエネルギーでRFパルス38をAOM 10に供給するためである。AOM 10における、そのようなほぼ一定の熱負荷では、加工レーザ出力40の品質及び位置精度において、AOM 10による最小限の悪影響となることは、当業者に明らかである。
【0043】
AOM 10におけるRFパルス38のRFパワーを、ターゲット処理需要を満たすために、加工レーザ出力40のエネルギーを制御するために調整できることは、更に明らかである。従って、RFパルス38のRF持続時間44は、ほぼ一定のRFエネルギーを維持するように制御でき、或いは、RFパルス38のRFパワーとRF持続時間44との算術積を一定に維持するように制御することができる。
【0044】
本発明の一部を、上述の好適な実施例と異なる実施を実現できることは当業者に明らかである。本発明の基礎原理から逸脱することなく、上述の実施例に対して多くの変更できることは、当業者に明らかである。従って、本発明は特許請求の範囲によってのみ決定される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】0次ビーム及び/又は1次ビームを伝送する、従来技術のAOM装置及びRFドライバの一部を表す図である。
【図2】図2A〜2Dは、レーザパルス、RFパルス、1次及び0次ビームのAOM出力レーザパルスについて対応する従来技術のタイミング図である。
【図3】図3A〜3Cは、好適な実施例で用いられるレーザ出力、RFパルス及び加工レーザ出力について対応するタイミング図例である。
【図4】図4A〜4Cは、加工レーザ出力のエネルギー制御のためのAOMの使用を示した、レーザ出力、RFパルス及び加工レーザ出力についての別の対応するタイミング図例である。
【図5】図5A及び5Bは、AOMによって得られた加工レーザ出力エネルギーのダイナミック制御範囲を示すRFパルス及び加工レーザ出力について、別の対応するタイミング図例である。
【図6】図6A〜6Cは、代表的なリンク処理応用例に、加工レーザ出力を、ランダムに要求できることを示した、対応するタイミング図及びビーム配置図である。
【図7】図7は、切除のために選択された非等間隔リンクを処理する要求に応じて、パルスからパルスへの安定したUVレーザエネルギーを生じるように、一定熱負荷化AOMを用いたレーザシステム例の好適な実施例を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスレーザ放射を発生させるレーザベースのシステムであり、制御コマンドに応じて、加工レーザ出力の状態でターゲットの方向にレーザ出力が伝搬することを可能とする出力伝送状態と、ターゲットの方向に前記加工レーザ出力が伝搬することを主として防止する出力遮断状態とを生じる外部共振型光学変調器を備え、連続した出力伝送状態間の非等間隔の結果として、動作中に前記加工レーザ出力の不所望な波面歪曲を生じさせる熱負荷変動の状態を、前記外部共振型光学変調器に生じさせる前記レーザベースのシステムにおいて、前記加工レーザ出力の前記熱負荷変動及び前記不所望な波面歪曲の低減する方法であって、
相互に隣接したレーザ出力の1つずつが、ほぼ均一のレーザ出力間隔で互いに分離しており、ほぼ一定のレーザ出力繰返し率で、一連のレーザ出力を発生させるステップと、
所定の動作許容範囲内に前記外部共振型光学変調器の熱負荷変動を保つように、相互に隣接した前記出力伝送状態の1つずつが、ほぼ均一のRFパルス間隔で互いに分離しているRFパルス繰返し率で、一連の出力伝送状態を生成するように、前記外部共振型光学変調器にRFパルスを供給するステップと、
時間不一致RFパルスの間に、加工レーザ出力を防止するための時間不一致の出力伝送状態及び対応するレーザ出力を得るように、及び、時間一致RFパルスの間に、種々の加工レーザ出力間隔でターゲット照射を行う加工レーザ出力を伝送するための時間一致の出力伝送状態及び対応するレーザ出力を得るように、前記制御コマンドに応じてRFパルスの前記供給及びレーザ出力の前記発生をタイミング調整するステップとを含む方法。
【請求項2】
RFパルスが、RFパワー値とRF持続時間とを有し、前記加工レーザ出力が、パワー値を有し、
対応する変更を前記加工レーザ出力の前記パワー値に生じさせるために、時間一致のRFパルスの前記RFパワー値を変更するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RFパワー値と前記RF持続時間との積が、前記RFパルスの前記RFパワー値を変更することに応じて、ほぼ一定を保つ請求項2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの時間一致RFパルスで生成された連続の加工レーザ出力が、種々のパワー値を有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記熱負荷変動が、5%以内に維持される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
連続的な、時間一致及び時間不一致のRFパルスが、種々のRF持続時間を有する請求項2に記載の方法。
【請求項7】
連続的な、時間一致及び時間不一致のRFパルスが、種々のRFパワー値を有する請求項2に記載の方法。
【請求項8】
連続的な、時間一致及び時間不一致のRFパルスが、同様のRFパワー値及び同様のRF持続時間を有する請求項2に記載の方法。
【請求項9】
時間一致RFパルスの前記RFパワー値が、連続的な時間不一致RFパルスの前記RFパワー値より小さく、連続的な、時間一致及び時間不一致のRFパルスが、ほぼ同一のRF持続時間を有し、
時間一致及び追加の時間不一致RFパルスのそれぞれについて、RFパワー値及びRF持続期間のそれぞれの積の和が、前記時間不一致RFパルスのRFパワー値とRF持続期間との積とほぼ等しくなるように、前記加工レーザ出力のための隣接したレーザパルス間隔の間に、少なくとも1つの前記追加の時間不一致RFパルスを挿入するステップを更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザ出力間隔とRFパルス間隔との間の差が、所定の動作許容範囲内で、前記外部共振型光学変調器の熱負荷変動を維持するのに、十分に小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
RFパルスが、隣接するレーザ出力間隔の約30%より短いRF持続時間を有する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記RFパルスが、約0.1マイクロ秒より長いRF持続時間を有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
時間不一致RFパルスが、約0.2マイクロ秒より長い遅延時間だけ、それぞれのレーザ出力の開始からオフセットされる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
相互に隣接する加工レーザ出力間の間隔が、前記レーザ出力間隔の整数倍に近似する、種々の持続時間を有する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
時間不一致RFパルスが、ワークピースの種々のターゲット間において位置決めシステムを操作している間に生じる請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記制御コマンドが、オンザフライ・リンク処理用に構成されている請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザベースのシステムが、微細加工処理用に構成されている請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記レーザベースのシステムが、分光器用、バイオテクノロジー用、又は、研究開発活動用に構成されている請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ビーム位置精度が、0.005 mrad以内に維持される請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記レーザ出力繰返し率が、約25kHzより高い、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記レーザ出力繰返し率が、約40kHzより高い、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記レーザ出力繰返し率が、約100kHzより高い、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記加工レーザ出力が、UVレーザ、可視域レーザ、又はIR レーザによって放射される波長、或いは高調波の波長を含む請求項1に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも幾つかの前記加工レーザ出力が、少なくとも2つのレーザパルスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記加工レーザ出力の前記波面歪曲が、前記ターゲットのビームスポットサイズに変動を生じる請求項1に記載の方法。
【請求項26】
RFパルス間隔が、RFパワー値で連続的なRFパワーを有するタイミングウィンドウを規定し、前記加工レーザ出力が比較的低いパワー値を有し、前記加工レーザ出力が、前記比較的低いパワー値より高いパワー値で前記ターゲットの方向に伝搬するように、前記RFパワー値の供給が、前記RFパワー値より小さいパワー値の前記RFパルスの供給を含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
加工レーザ出力を発生させるレーザベースのワークピース処理システムであり、前記加工レーザ出力が半導体ウェハ上に設けられた選択電導リンクを照射するように、ワークピースに対する前記加工レーザ出力のターゲット調整を制御する位置決めシステムを備え、制御コマンドに応じて、前記加工レーザ出力の状態でワークピースの電導リンクの方向にレーザ出力が伝搬することを可能とする出力伝送状態と、ワークピース方向に前記加工レーザ出力が伝搬することを主として防止する出力遮断状態とを生じる外部共振型光学変調器を備えており、連続した出力伝送状態間の非等間隔の結果として、動作中に前記加工レーザ出力の不所望な波面歪曲を生じさせる熱負荷変動の状態を、前記外部共振型光学変調器に生じさせる前記レーザベースのワークピース処理システムにおいて、前記加工レーザ出力の前記熱負荷変動及び前記不所望な波面歪曲の低減する方法であって、
相互に隣接したレーザ出力の1つずつが、ほぼ均一のレーザ出力間隔で互いに分離しており、ほぼ一定のレーザ出力繰返し率で、一連のレーザ出力を発生させるステップと、
相互に隣接した出力伝送状態の1つずつが、所定の動作許容範囲内に前記外部共振型光学変調器の熱負荷変動を維持するように、ほぼ均一のRFパルス間隔で互いに分離しており、RFパルス繰返し率で、一連の出力伝送状態を生成するように、RFパルスを前記外部共振型光学変調器に供給するステップと、
前記ワークピースの選択された電導リンクを処理するために、前記ワークピースに対する前記位置決めシステムの前記ターゲット調整を操作するステップと、
前記位置決めシステムが選択された電導リンクを処理しないときはいつも、加工レーザ出力が前記ワークピースを損傷させることを防止するために、時間不一致RFパルスの間に、時間不一致の出力伝送状態及び対応するレーザ出力を得るように、RFパルスの前記供給及びレーザ出力の前記発生をタイミング調整するステップと、
種々の加工レーザ出力間隔で電導リンクの照射を行うために、加工レーザ出力を伝送するための時間一致RFパルスの間に、時間一致の出力伝送状態及び対応するレーザ出力を得るように、RFパルスの前記供給及びレーザ出力の前記発生をタイミング調整するステップとを含む方法。
【請求項28】
前記レーザ出力繰返し率が、約30kHzより高い、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記位置決めシステムが、RFパルスの間に、単一の電導リンクのみを処理する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
RFパルスが、RFパワー値とRF持続時間を有し、加工レーザ出力が、パワー値を有し、
対応する変更を前記加工レーザ出力の前記パワー値に生じさせるために、時間一致のRFパルスの前記RFパワー値を変更するステップを更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記RFパワー値と前記RF持続時間との積が、前記RFパルスの前記RFパワー値を変更することに応じて、ほぼ一定を保つ請求項30に記載の方法。
【請求項32】
それぞれの時間一致RFパルスによって生じた連続的な加工レーザ出力が、種々のパワー値を有する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
時間一致RFパルスの前記RFパワー値が、連続的な時間不一致RFパルスのRFパワー値より小さく、連続的な、時間一致及び時間不一致のRFパルスが、ほぼ同一のRF持続時間を有し、
時間一致及び追加の時間不一致RFパルスのそれぞれについて、RFパワー値及びRF持続期間のそれぞれの積の和が、前記時間不一致RFパルスのRFパワー値とRF持続期間との積とほぼ等しくなるように、前記加工レーザ出力に対する隣接したレーザパルス間隔の間に、少なくとも1つの前記追加の時間不一致RFパルスを挿入するステップを更に含む請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記加工レーザ出力が、0次レーザ出力を含む請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記加工レーザ出力が、0次レーザ出力を含む請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記加工レーザ出力が、1次レーザ出力を含む請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記加工レーザ出力が、1次レーザ出力を含む請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記RFパルスが、隣接するレーザ出力間隔の約30%より短いRF持続時間を含む請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記RFパルスが、約0.1マイクロ秒より長いRF持続時間を含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
時間不一致RFパルスが、約0.2マイクロ秒より長い遅延時間だけ、それぞれのレーザ出力の開始からオフセットされる請求項28に記載の方法。
【請求項41】
ビーム位置精度が、0.005 mrad以内に維持される請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記熱負荷変動が、5%以内に維持される請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−527608(P2007−527608A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518611(P2006−518611)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/014013
【国際公開番号】WO2005/006422
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】