説明

制振壁パネルの製造装置

【課題】制振装置及び制振壁パネルを人力により持ち上げて搬送する作業を不要とし、かつ制振壁パネルを効率的に製造する。
【解決手段】パネル製造装置60では、ローラ昇降機構88が制振装置又は制振壁パネルが一対のローラコンベア64、66上に搬入及び搬出可能となる搬送位置及び、この搬送位置に対して下側に位置する作業位置の何れかの位置にローラコンベア64、66を昇降させる。これにより、ローラコンベア64、66を搬送位置に保持しておけば、オペレータが制振装置を持ち上げることなく、パネル製造装置60に対して上流側に配置された他のローラコンベア上から一対のローラコンベア64、66上に搬送でき、かつ制振壁パネルを持ち上げることなく、ローラコンベア64、66上から、パネル製造装置60に対して下流側に配置された他のローラコンベア上に搬送できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振機能を有し、壁体の一部として建物等に組み込まれる制振壁パネルを製造する際に用いられる制振壁パネルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物の壁に配置される制振装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載された制振装置は、上面枠材、下面枠材及び一対の側面枠材を含み、上面枠材が下面枠材に対し左右方向に沿って相対的に変位可能とされた枠状体と、枠状体の内側に配置され、上端部及び下端部がそれぞれ上面枠材及び下面枠材に連結されるプレート状の中央面材と、この中央面材における上端部及び下端部の少なくとも一方と枠状体との間に介装される減衰手段(制振ゴム)と、を有しており、この制振装置では、中央面材がセンタピンを介して側面枠材に取り付けられたプレート状の側面材に相対的に揺動可能に連結されている。
【0003】
上記のような制振装置を製造する製造工場では、制振装置における枠状体の外周側に木製の壁パネル部品を組み付けることにより、制振機能を有する制振壁パネルを製造し、この制振壁パネルを木質パネル工法によって建築する建物の構成部品の一部として出荷する。このような制振壁パネルには、建物の建築現場にて、例えば、仕上げ下地材として石膏ボードが表裏面にそれぞれ貼り付けられた後、仕上げ用の外装材や内装材が貼り付けられる。
【0004】
ところで、建物の構成部品として用いられる通常の壁パネルについては、その主要部分が木材により形成されており、壁パネル単体での重量も比較的軽量なものである。それに対し、制振壁パネルは、制振装置の大部分が金属からなり、その外周側に木製の壁パネル部品が組み付けられて構成されていることから、通常の壁パネルと比較して重量が大きいものになっている。
【0005】
通常の壁パネルを製造するために用いられる製造設備としては、例えば、特許文献2に記載されたものが知られている。この特許文献2記載の製造装置には、水平な作業面を有する上流側の作業台及び水平な作業面を有する下流側の作業台がそれぞれ設けられており、作業員は、上流側の作業台の作業面上で複数の框材を釘、ビス等を用いて固定して枠状に組んだ後、この枠状に組んだ枠体を下流側の作業台の作業面上に移し替えて、この下流側の作業台上において、十字に組んでなる補強用芯材を枠体に釘、ビス等を用いて固定することにより、壁パネルの骨格部分を製造している。
【特許文献1】特開2006−274622号公報
【特許文献2】特開平05−69348号公報(段落〔0004〕、図15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載されたような製造装置では、壁パネルの重量が人力により容易に作業台上から持ち上げ、他の作業台へ移し替えることができる程度のものであるならば、壁パネルを効率的に製造できる。しかし、制振壁パネルについては、人力により作業台上から持ち上げ、他の作業台へ搬送することが困難であり、特許文献2に記載されたような製造装置では、制振壁パネルを効率的に製造することはできない。
【0007】
本発明の目的は、上記事実を考慮し、制振装置及び制振壁パネルを人力により持ち上げて搬送する作業を不要にでき、かつ制振壁パネルを効率的に製造できる制振壁パネルの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る制振壁パネルの製造装置は、略矩形枠状の制振装置の外周側に木製の上側パネル材、下側パネル材及び一対のパネル連結材を組み付け、制振機能を有する制振壁パネルを製造する際に用いられる制振壁パネルの製造装置であって、制振装置が所定の搬送方向に沿って移動可能に載置されると共に、該制振装置の上端面及び下端面にそれぞれ密着するように上側パネル材及び下側パネル材が載置されるローラコンベアと、前記ローラコンベアを支持すると共に、制振装置又は制振壁パネルが前記ローラコンベア上に搬入及び搬出可能となる搬送位置及び、該搬送位置に対して下側に位置する作業位置の何れかの位置に前記ローラコンベアを昇降させるローラ昇降機構と、前記ローラコンベアの幅方向外側にそれぞれ設けられると共に、パネル連結材が装填可能とされ、該パネル連結材を前記作業位置に下降した制振装置、上側パネル材及び下側パネル材の側端面に密着可能となる組付位置に保持する一対のサイドホルダ部と、一対の前記サイドホルダ部の幅方向外側にそれぞれ設けられると共に、前記サイドホルダ部に装填されたパネル連結材を、前記作業位置にある上側パネル材及び下側パネル材に釘状部材により固定する際のパネル連結材に対する打込位置に面して開口する複数個のガイド穴が穿設された一対のガイド部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記請求項1に係る制振壁パネルの製造装置では、ローラ昇降機構が、制振装置又は制振壁パネルがローラコンベア上に搬入及び搬出可能となる搬送位置及び、この搬送位置に対して下側に位置する作業位置の何れかの位置にローラコンベアを昇降させることにより、ローラ昇降機構によりローラコンベアを搬送位置に保持しておけば、制振装置を持ち上げることなく、制振壁パネルの製造装置に対して上流側に配置された他のローラコンベア上からローラコンベア上に搬送でき、かつ制振装置に上側パネル材、下側パネル材及び一対のパネル連結材が組み付けられた制振壁パネルを持ち上げることなく、ローラコンベア上から、制振壁パネルの製造装置に対して下流側に配置された他のローラコンベア上に搬送できる。
【0010】
また請求項1に係る制振壁パネルの製造装置では、一対のサイドホルダ部の幅方向外側にそれぞれ設けられた一対のガイド部材に、パネル連結材に対する打込位置に面して開口する複数個のガイド穴を穿設したことにより、制振装置、上側パネル材及び下側パネル材が載置されたローラコンベアをローラ昇降機構により作業位置に下降させた後、サイドホルダ部に装填されたパネル連結材に、ガイド穴を通して釘状部材をパネル連結材に打ち込めば、釘状部材及びパネル連結材に対して特別な位置決め作業を行うことなく、パネル連結材に対する所定の打込位置に釘状部材を十分に高い位置精度で打込み、この釘状部材によりパネル連結材を上側パネル材及び下側パネル材に確実に固定できる。
【0011】
また本発明の請求項2に係る制振壁パネルの製造装置は、請求項1記載の制振壁パネルの製造装置において、複数組の前記ガイド穴を、前記搬送方向に沿って前記制振壁パネルの寸法に応じた位置に配置したことを特徴とする。
また本発明の請求項3に係る制振壁パネルの製造装置は、請求項1又は2記載の制振壁パネルの製造装置において、前記サイドホルダ部には、パネル連結材の下端面が接する高さ基準面が設けられ、該高さ基準面を、前記ローラ昇降機構の昇降方向に沿って、前記作業位置に下降した前記ローラコンベアの上端レベルと一致させたことを特徴とする。
【0012】
また本発明の請求項4に係る制振壁パネルの製造装置は、請求項3記載の制振壁パネルの製造装置において、前記ローラコンベアが前記作業位置に下降した状態で、上側パネル材及び下側パネル材を前記ローラコンベア上に加圧すると共に、前記サイドホルダ部に装填されたパネル連結材を前記高さ基準面上に加圧する拘束機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明に係る制振壁パネルの製造装置によれば、制振装置及び制振壁パネルを人力により持ち上げて搬送する作業を不要にでき、かつ制振壁パネルを効率的に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る制振壁パネルの製造装置について図面を参照して説明する。
(制振装置及び制振壁パネル)
先ず、本発明の実施形態に係る制振壁パネルの製造装置(以下「パネル製造装置」という。)により製造される制振壁パネルにおける制振装置について説明する。図7には、本発明の実施形態に係るパネル製造装置により製造される制振壁パネルにおける制振装置が示されている。この制振装置10は、建物の上下方向(矢印UD方向)へ細長い略矩形状に形成された枠状体12を備えている。枠状体12には、その上端部及び下端部にそれぞれ建物の左右方向(矢印RL方向)へ延在する梁状の上面枠材14及び下面枠材16が設けられると共に、両端部にそれぞれ上下方向へ延在する柱状の側面枠材18及び側面枠材20が設けられている。
【0015】
ここで、一方の側面枠材18は、その上端部及び下端部がそれぞれヒンジピン22を介して、上面枠材14の一端部(図1では左側の端部)及び下面枠材16の一端部に回動可能に連結されている。また他方の側面枠材18も、その上端部及び下端部がそれぞれヒンジピン22を介して、上面枠材14の他端部(図1では右側の端部)及び下面枠材16の他端部に回動可能に連結されている。これにより、枠状体12は、上面枠材14が下面枠材16に対し左右方向に沿って相対的に変位可能になり、図1に示される状態から、上面枠材14が下面枠材16に対して右方向又は左方向へ変位すると、正面視にて略長方形だった枠状体12の外形形状が略平行四辺形に変形する。
【0016】
枠状体12には、上面枠材14の長手方向中央部に制振ボックス24が取り付けられると共に、下面枠材16の長手方向中央部に制振ボックス24が取り付けられている。制振装置10は、枠状体12の内側にそれぞれ配置される中央面材26及び一対の支持部28、30を備えている。中央面材26は、上下方向へ細長い略菱形に加工された金属板により形成されており、その上端部及び下端部がそれぞれ制振ボックス24を介して上面枠材14及び下面枠材16に連結されている。また一対の支持部28、30は、それぞれ略二等辺三角形に形成されており、一方の支持部28は、その底辺部が一方の側面枠材18に固定されており、他方の支持部30は、その底辺部が他方の側面枠材20に固定されている。
【0017】
制振ボックス24には、その内部に制振ゴム32が配置されると共に、下端側が制振ゴム32に固着された金属製のジョイントプレート34を備えている。中央面材26は、その下端部及び上端部がそれぞれジョイントプレート34を介して制振ゴム32に連結されている。
中央面材26は、センタピン36を介して支持部28に回動及びスライド可能に連結されると共に、センタピン38を介して支持部30に回動可能に連結されている。これにより、上面枠材14が下面枠材16に対して左右方向へ相対変移した場合、上面枠材14の移動方向に対応する方向へ、中央面材26が支持部28に対して左右方向へ相対変移しつつ、中央面材26左右方向に沿って互いに異なる位置にある2個のセンタピン36、38を中心として揺動する。
【0018】
図8には、本発明の実施形態に係るパネル製造装置により製造される中間製品としての制振壁パネルが示されている。この制振壁パネル40は、制振装置10の外周側に上側パネル材42、下側パネル材44、一対のパネル連結材46が組み付けられて構成されている。これらの上側パネル材42、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46は、例えば、LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)等の木質材料により形成されている。
【0019】
上側パネル材42及び下側パネル材44は、正面視にて、制振壁パネル40の左右方向を長手方向とする長方形に形成されている。上側パネル材42は制振装置10の上側に配置され、その下端面を上面枠材14の上端面に密着させている。また下側パネル材44は制振装置10の下側に配置され、その上端面を下面枠材16の下端面へ密着させている。
ここで、上側パネル材42及び下側パネル材44は、その幅方向に沿った寸法が制振装置10の幅と実質的に等しく、厚さ向に沿った寸法(厚さTF)が制振装置10の厚さTDよりも所定長だけ長く(本実施形態では、+2mm)なっている。
【0020】
一対のパネル連結材46は、それぞれ建物の上下方向に沿って細長い柱状に形成されており、長手直角方向に沿った断面形状が略長方形に形成されている。ここで、パネル連結材46は、上下方向に沿った寸法(全長)が上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44の各寸法の和と実質的に等しく、厚さが上側パネル材42及び下側パネル材44の厚さTPと等しくなっている。
【0021】
制振壁パネル40では、一方のパネル連結材46が上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44の一方(図2では、左側)の側端面に密着した状態とされ、また他方のパネル連結材46が上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44の他方(図2では、右側)の側端面に密着した状態とされている。制振壁パネル40では、上側パネル材42、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46がそれぞれ接着剤、スクリューねじ等により制振装置10に固定されると共に、一対のパネル連結材46がそれぞれ接着剤、スクリューねじ等により上側パネル材42及び下側パネル材44に固定されている。これにより、上側パネル材42、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46は、制振装置10の外周側を囲む額縁状の木質フレーム部48を構成する。
【0022】
(パネル製造装置)
次に、上記のような制振壁パネル40を製造するために用いられる制振壁パネルの製造装置について説明する。
図1、図3及び図5には、それぞれ本発明の実施形態に係るパネル製造装置が斜視図により示され、図2、図4及び図6には、それぞれ本発明の実施形態に係るパネル製造装置が側面図により示されている。
【0023】
図1に示されるように、パネル製造装置60には、その外周部に外周枠体62が設けられると共に、この外周枠体62の内側に制振壁パネル40の搬送方向(矢印F方向)へそれぞれ延在する一対のローラコンベア64、66が配置されている。外周枠体62は、高さ方向(矢印H方向)に貫通する略角筒状に形成されており、その断面形状が搬送方向を長手方向とする略長方形とされている。
【0024】
外周枠体62には、搬送方向に沿って下流側の端部に垂直壁状の基準壁部68が設けられると共に、上流側の端部にも垂直壁状のストッパ壁部70が設けられている。外周枠体62には、幅方向(矢印W方向)に沿った両端部にそれぞれ垂直壁状のガイド壁部72、74が搬送方向と平行に延在するように形成されている。
なお、パネル製造装置60による制振壁パネル40の製造時において、パネル製造装置60の搬送方向は建物に設置された制振壁パネル40の上下方向と実質的に一致し、パネル製造装置60の幅方向は建物に設置された制振壁パネル40の左右方向と実質的に一致し、パネル製造装置60の高さ方向は制振壁パネル40の厚さ方向と実質的に一致する。
【0025】
一対のローラコンベア64、66は、それぞれ搬送方向へ延在する複数(本実施形態では、4列)の単ローラ列76及び、単ローラ列76を回動可能に支持するローラフレーム78により構成されており、各単ローラ列76には、多数個のローラ80が搬送方向に沿って一定のピッチPで配列されている。
ここで、一の単ローラ列76は、搬送方向に沿って隣接する他の単ローラ列76に対してピッチが(P/4)だけ変位するように配置されている。これにより、ローラコンベア64、66の搬送方向に沿ったローラ80のピッチを実質的に(P/4)とすることができるので、制振装置10を一対のローラコンベア64、66上を搬送する際に、制振装置10に振動及び衝撃が作用することを効果的に抑制できる。またローラコンベア64の外側端とローラコンベア66の外側端との間の寸法は、制振装置10、上側パネル材42及び下側パネル材44の幅方向に沿った寸法よりも短くなっている。
【0026】
図2に示されるように、パネル製造装置60には、外周枠体62を工場フロアFL上に支持するベースフレーム82が設けられている。ベースフレーム82には、複数本の脚部86が設けられると共に、搬送方向に沿って一対の脚部86間を連結する梁部86が設けられている。梁部86上には、高さ方向に沿って一対のローラコンベア64、66を昇降するためのローラ昇降機構88が配置されており、このローラ昇降機構88は、電動モータ(図示省略)を駆動源として作動し、一対のローラコンベア64、66を所定の搬送位置(図1及び図2参照)及び作業位置(図3及び図4参照)との間で昇降する。
【0027】
一対のローラコンベア64、66は、図1に示されるように、搬送位置にある状態では、ローラコンベア64、66を構成する各ローラ80の頂部が外周枠体62の上端面よりも上方に位置する。これにより、一対のローラコンベア64、66上には、パネル製造装置60の上流側に配置されたローラコンベア、ベルトコンベア等の搬送機構から制振装置10が搬入可能になり、また一対のローラコンベア64、66上に載置された制振壁パネル40は、パネル製造装置60の下流側に配置されたローラコンベア、ベルトコンベア等の搬送機構上へ搬出可能になる。
【0028】
一対のローラコンベア64、66は、図3に示されるように、作業位置にある状態では、全てのローラ80の頂部が外周枠体62の上端面よりも下方に位置する。このとき、ローラコンベア64、66を構成する各ローラ80の頂部は、高さ方向に沿って所定の基準位置HR(図4参照)に位置している。従って、制振装置10、上側パネル材42及び下側パネル材44は、ローラコンベア64、66により高さ方向に沿って基準位置HRに位置決めされる。
【0029】
図10(a)に示されるように、パネル製造装置60には、ローラコンベア64、66上の上側パネル材42に対して下流側にストッパ加圧機構90が設けられている。ストッパ加圧機構90は、本体部92、この本体部92により搬送方向に沿ってスライド可能に支持されたストッパロッド94、このストッパロッド94の先端部に取り付けられたストッパプレート96、本体部92内に配置されたロッド駆動部(不図示)を備えている。またストッパ加圧機構90は、本体部92がブラケット(図示省略)を介してベースフレーム82に着脱可能に取り付けられており、ローラコンベア64、66上の制振壁パネル40を下流側へ搬出する際には、ベースフレーム82から取り外される。
【0030】
図1に示されるように、パネル製造装置60には、ガイド壁部72とローラコンベア64との間及びガイド壁部74とローラコンベア64との間にそれぞれサイドホルダ部100、102が設けられており、サイドホルダ部100、102には、それぞれパネル連結材46が装填可能とされている。サイドホルダ部100、102は、上方へ向って開口するポケット状に形成されており、このサイドホルダ部100、102内にパネル連結材46を落とし込むことにより、図2に示されるように、パネル連結材46がサイドホルダ部100、102に装填される。
【0031】
図2に示されるように、サイドホルダ部100、102には、その底面部に平面状の高さ基準面104が設けられており、サイドホルダ部100、102に装填されたパネル連結材46は、その下端面を高さ基準面104に当接させる。ここで、木質フレーム部48を構成する上側パネル材42、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46は、前述したように、その厚さが互いに等しい(=TF)になっており、この木質フレーム部48の厚さTFは、制振装置10の厚さTDよりも所定長(本実施形態では、2mm)長いものになっている。
【0032】
図2に示されるように、ガイド壁部72、74には、搬送方向上流側に複数個(本実施形態では、5個)のガイド穴106AV、106BV、106CV、106DV、106EVが穿設されると共に、これらのガイド穴106AV〜106EVの下段側に複数個(本実施形態では、5個)のガイド穴106AL、106BL、106CL、106DL、106ELが穿設されている。ここで、上段側のガイド穴106AV〜106EVは搬送方向に沿って直線的に配列され、下段側のガイド穴106AL〜106ELも搬送方向に沿って直線的に配列されている。
【0033】
またガイド穴106AV、AL、ガイド穴106BV、106BL、ガイド穴106CV、106CL、ガイド穴106DV、106DL及びガイド穴106EV、106ELは、それぞれ上下一対で1組とされており、一対1組のガイド穴106AL、106BL〜106EV、106ELは搬送方向に沿って同一位置にあり、高さ方向にのみ位置が異なっている。また一対のガイド穴106AL、106AV〜106EV、106ELの搬送方向に沿ったピッチは、パネル製造装置60により製造される制振壁パネル40の上下方向に沿った寸法L1〜L4(図9参照)に応じて設定されている。
【0034】
ガイド壁部72、74には、搬送方向下流側にも複数個(本実施形態では、7個)のガイド穴108FV、108GV、108HV、108IV、108JV、108KV、108LVが穿設されると共に、これらのガイド穴108FV〜108LVの下段側に複数個(本実施形態では、7個)のガイド穴108FL、108GL、108HL、108IL、108JL、108KL、108LLが穿設されている。ここで、上段側のガイド穴108FV〜108LVは搬送方向に沿って直線的に配列され、下段側のガイド穴108FL〜108LLも搬送方向に沿って直線的に配列されている。
【0035】
またガイド穴108FV、108FL、ガイド穴108GV、108GL、ガイド穴108HV、108HL、ガイド穴108IV、108IL、ガイド穴108JV、108JL、ガイド穴108KV、108KL及びガイド穴108LV、108LLは、それぞれ上下一対で一組とされており、一対のガイド穴108FL、108FL〜108LV、108LLは搬送方向に沿って同一位置にあり、高さ方向にのみ位置が異なっている。また一対のガイド穴108FV、108FL〜108LV、108LLの搬送方向に沿ったピッチは、パネル製造装置60により製造される制振壁パネル40の上下方向に沿った寸法L1〜L4(図9参照)に応じて設定されている。
【0036】
パネル製造装置60では、上流側の複数組のガイド穴106AL、106AV〜106EV、106ELがパネル連結材46をスクリュー釘118(図3参照)により作業位置にある下側パネル材44に固定する際に用いられ、また下流側の複数組のガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLがパネル連結材46をスクリュー釘118(図3参照)により作業位置にある上側パネル材42に固定する際に用いられる。
【0037】
図1に示されるように、パネル製造装置60には、一対のガイド壁部72、74の外側にそれぞれ複数(本実施形態では、4個)のクランプ支持台110が設けられている。4個のクランプ支持台110上には、それぞれクランプ機構112A〜112Dが固定されている。クランプ機構112A〜112Dには、それぞれ先端部に押圧パッド115が取り付けられたクランプレバー114及び、このクランプレバー114を作動させるための操作レバー116を備えている。クランプ機構112A〜112Dでは、クランプレバー114が所定のクランプ位置(図1参照)と解放位置(図5参照)との間で揺動可能とされ、また操作レバー116が所定のクランプ操作位置(図1参照)と解放操作位置(図5参照)との間で揺動可能とされている。
【0038】
パネル製造装置60では、4個のクランプ機構112A〜112Dのうち、クランプ機構112A及びクランプ機構112Bが上下方向の寸法がL1、L2、L3及びL4(図9参照)の制振壁パネル40を製造する際に共通に用いられ、クランプ機構112Cが上下方向の寸法がL1及びL2の制振壁パネル40を製造する際にのみ用いられ、またクランプ機構112Dが上下方向の寸法がL3及びL4の制振壁パネル40を製造する際にのみ用いられる。
【0039】
ここで、クランプ機構112Aは、パネル連結材46の上流側の端部付近及び下側パネル材44をクランプするためのものであり、クランプ機構112Bは、パネル連結材46の中央部付近をクランプするためのものである。またクランプ機構112Cは、制振壁パネル40の寸法がL1及びL2である場合に、パネル連結材46の下流側の端部付近及び上側パネル材42をクランプするためのものであり、クランプ機構112Dは、制振壁パネル40の寸法がL3及びL4である場合に、パネル連結材46の下流側の端部付近及び上側パネル材42をクランプするためのものである。
【0040】
図10に示されるように、パネル製造装置60には、一対のガイド壁部72、74の内側に高さ調整機構120が設けられている。この高さ調整機構120は、組立途中の制振壁パネル40(上側パネル材42、制振装置10、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46)に対して着脱可能に装着される。
高さ調整機構120には、一対のパネル連結材46間に掛け渡される梁状の本体フレーム122が設けられると共に、この本体フレーム122の下面両端部からそれぞれ突出するブロック状のスペーサ部材124が設けられている。スペーサ部材124の下端面は平面状の基準面とされている。高さ調整機構120は、上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44がそれぞれ作業位置に下降した状態で、サイドホルダ部100に装填された一対のパネル連結材46の上端面に一対のスペーサ部材124の基準面をそれぞれ当接させることにより、組立途中の制振壁パネル40に装着される。
【0041】
高さ調整機構120には、本体フレーム122における一対のスペーサ部材124の内側にそれぞれ調整部材128が固定されている。調整部材128には、その下端部に平板状の当接板130が配置されており、この当接板130の下面は平面状の基準面とされている。ここで、当接板130の基準面は、スペーサ部材124の基準面に対して下側に位置しており、その間隔が木質フレーム部48の厚さTFと制振装置10の厚さTDとの差ΔT(本実施形態では、2mm)に対応するものになっている。具体的には、当接板130の基準面とスペーサ部材124の基準面との間隔は、(ΔT/2)により算出される値(本実施形態では、1mm)と一致している。
【0042】
高さ調整機構120には、本体フレーム122における一対の調整部材128の内側にそれぞれジャッキ134が連結されている。ジャッキ134は、下端部が本体フレーム122の上端面に設けられた軸受部136に回動可能に連結されたジャッキレバー138、ラチェット機構(図示省略)を介してジャッキレバー138に連結されたスイングアーム140及び、このスイングアーム140の先端部に連結されたフックロッド142を備えている。フックロッド142の先端部には、L字状に屈曲したフック部(図示省略)が形成されており、このフック部は制振装置10(上面枠材14又は下面枠材16)の下面側を掛止可能とされている。
【0043】
高さ調整機構120では、ジャッキレバー138をリフト方向及び、このリフト方向とは反対の遊び方向へ交互に揺動させることにより、ジャッキレバー138のトルクがラチェット機構を介してスイングアーム140に伝達され、軸受部136を中心としてスイングアーム140が上方へ揺動すると共に、このスイングアーム140によりフックロッド142が上方(リフト方向)へ持ち上げられる。
【0044】
また高さ調整機構120には、ジャッキレバー138にリリーフレバー144が連結されており、このリリーフレバー144を所定のリリーフ方向へ揺動させることにより、スイングアーム140の下方への揺動を阻止していたラチェット機構がリリーフ状態になり、フックロッド142が下方へ揺動可能になる。
(制振壁パネルの製造方法)
次に、本実施形態に係るパネル製造装置60を用いて制振壁パネル40を製造する方法(制振壁パネルの製造方法)について詳細に説明する。
【0045】
パネル製造装置60のオペレータは、制振装置10が下流側からローラコンベア64、66上にから搬送されてくると、ローラコンベア64、66上における制振装置10の下流側及び上流側にそれぞれ上側パネル材42及び下側パネル材44を載置する。
このとき、上側パネル材42は、その搬送方向上流側の端面(下端面)が制振装置10(上面枠材14)の搬送方向下流側の端面(上端面)に当接するようにローラコンベア64、66上に載置され、下側パネル材44は、その搬送方向下流側の端面(上端面)が制振装置10(下面枠材16)の搬送方向上流側の端面(下端面)に当接するようにローラコンベア64、66上に載置される。またオペレータは、上側パネル材42及び下側パネル材44をローラコンベア64、66上に載置する直前に、上側パネル材42の下端面及び下側パネル材44の上端面にそれぞれ接着剤を塗布しておく。
【0046】
次いで、オペレータは、ローラコンベア64、66上に載置された上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44の幅方向の中心がローラコンベア64、66間の中心位置と一致するように、上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44をそれぞれ幅方向に沿って位置調整する。これにより、上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44の両端面がローラコンベア64、66に対して幅方向外側に位置する。
【0047】
オペレータは、ローラ昇降機構88によりローラコンベア64、66をローラ昇降機構88により搬送位置から作業位置へ下降させた後、図3に示されるように、ローラコンベア64、66上で上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44を搬送方向上流側へ移動させ、下側パネル材44の下端面を基準壁部68に突き当てる。これにより、制振装置10、上側パネル材42及び下側パネル材44が搬送方向に沿って基準壁部68を基準とする基準位置PF(図4参照)に位置決めされる。
【0048】
オペレータは、下側パネル材44の下端面を基準壁部68に突き当てた後、図10に示されるように、ストッパ加圧機構90におけるストッパプレート96を上側パネル材42の上端面に押し当てつつ、ストッパロッド94を伸長方向へスライドさせ、ストッパロッド94により上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44を基準壁部68側へ加圧する。これにより、上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44が搬送方向に沿って互いに圧接すると共に、下側パネル材44の下端面が基準壁部68に圧接した状態に維持される。
【0049】
またオペレータは、ローラ昇降機構88によりローラコンベア64、66を搬送位置から作業位置へ下降させる前に、一対のパネル連結材46をそれぞれサイドホルダ部100、102に装填し、このパネル連結材46の上流側の端面(下端面)を基準壁部68に当接させる。これにより、パネル連結材46は、高さ基準面104により高さ方向に沿って所定の基準位置HH(図4参照)に位置決めされると共に、基準壁部68により搬送方向に沿って基準位置PFに位置される。なお、一対のパネル連結材46の幅方向内側の端面には、サイドホルダ部100、102への装填直前に接着剤が塗布される。
【0050】
ここで、高さ基準面104の基準位置HHは、作業位置にあるローラコンベア64、66の基準位置HRと実質的に一致している。これにより、ローラコンベア64、66が作業位置にある状態では、サイドホルダ部100に装填されたパネル連結材46は、高さ方向に沿って制振装置10、上側パネル材42及び下側パネル材44と同一の水平面上に位置する。
【0051】
また木質フレーム部48を構成する上側パネル材42、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46は、前述したように、その厚さが互いに等しい(=TF)になっており、この木質フレーム部48の厚さTFは、制振装置10の厚さTDよりも所定長(本実施形態では、2mm)長いものになっている。従って、パネル連結材46の上端面は制振装置10(枠状体12)の上端面に対し、(TF−TD)により算出される距離(=2mm)だけ上側に位置する。
【0052】
次いで、パネル製造装置60のオペレータは、一対のパネル連結材46を上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44に圧接した状態に維持しつつ、パネル製造装置60により製造される制振壁パネル40のサイズ(L1、L2、L3又はL4、図1〜図6には、L3サイズの制振壁パネル40が示されている。)に応じて、4個のクランプ機構112A〜112Dから選択された3個のクランプ機構112A〜112Dにおける操作レバー116を解放操作位置からクランプ操作位置へ揺動させる。
【0053】
クランプ機構112A〜112Dは、操作レバー116がクランプ操作位置へ揺動することにより、クランプレバー114を解放位置からクランプ位置へ揺動させる。このとき、クランプ機構112Aのクランプレバー114は、押圧パッド115を介してパネル連結材46の上流側の端部付近を高さ基準面104上へ押圧すると共に、下側パネル材44をローラコンベア64、66上へ押圧する。
【0054】
またクランプ機構112Bのクランプレバー114は、押圧パッド115を介してパネル連結材46の中間部を高さ基準面104上へ押圧する。またクランプ機構112C又はクランプ機構112Dのクランプレバー114は、押圧パッド115を介してパネル連結材46の下流側の端部付近を高さ基準面104上へ押圧すると共に、上側パネル材42をローラコンベア64、66のローラ80上へ押圧する。
【0055】
次いで、オペレータは、図10(a)に示されるように、高さ調整機構120を組立途中の制振壁パネル40における上面枠材14に対応する部位に装着される。このとき、高さ調整機構120は、一対のスペーサ部材124の基準面を一対のパネル連結材46の上端面へ当接させることにより、本体フレーム122が一対のパネル連結材46の間に掛け渡される。
【0056】
オペレータは、一対のフックロッド142のフック部によりそれぞれ上面枠材14の下面側における幅方向両端部を掛止しつつ、ジャッキレバー138をリフト方向及び遊び方向へ交互に揺動させる。これにより、軸受部136を中心としてスイングアーム140が上方へ揺動すると共に、フックロッド142により制振装置10の上端側が上方(リフト方向)へ持ち上げられる。
【0057】
オペレータは、上面枠材14の上端面が当接板130の基準面に当接すると、ジャッキレバー138に対する揺動動作を停止し、リリーフレバー144をリリーフ方向へ揺動させてラチェット機構をリリーフ状態とし、フックロッド142を上面枠材14から離脱させる。このとき、制振装置10は、木質フレーム部48との間に十分に大きい摩擦力が生じていることから、リフト方向の力が作用しなくなっても、位置調整完了時の位置からずれない。
【0058】
オペレータは、高さ調整機構120を組立途中の制振壁パネル40における上面枠材14に対応する部位から取り外すと、制振壁パネル40における下面枠材16に対応する部位に装着し、制振壁パネル40における上面枠材14に対応する部位に装着した作業と同じ作業を繰り返して行う。これにより、制振壁パネル40の厚さ方向に沿って制振装置10が木質フレーム部48の中心位置に位置決めされるので、制振装置10(枠状体12)の上端面が木質フレーム部48の上端面からΔT/2(本実施形態では、1mm)だけ下方に位置し、かつ制振装置10(枠状体12)の下端面が木質フレーム部48の下端面からΔT/2(本実施形態では、1mm)だけ上方に位置する。
【0059】
次いで、パネル製造装置60のオペレータは、上流側の複数組のガイド穴106AL、106AV〜106EV、106ELから、パネル製造装置60により製造される制振壁パネル40の寸法L1〜L4(図9参照)に対応する2組又は3組のガイド穴106AL、106AV〜106EV、106ELを選択し、それらのガイド穴106AL、106AV〜106EV、106ELを通し、自動釘打機(図示省略)によりスクリュー釘118をガイド壁部72、74の外側からパネル連結材46に打ち込む。このとき、スクリュー釘118としては、パネル連結材46の幅よりも長いものが用いられる。これにより、スクリュー釘118は、パネル連結材46を貫通すると共に、その先端側が下側パネル材44に打ち込まれ、パネル連結材46が下側パネル材44に固定される。
【0060】
その後、オペレータは、下流側の複数組のガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLから、パネル製造装置60により製造される制振壁パネル40の寸法L1〜L4(図9参照)に対応する2組又は3組のガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLを選択し、それらのガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLを通し、自動釘打機(図示省略)によりスクリュー釘118をガイド壁部72、74の外側からパネル連結材46に打ち込む。これにより、スクリュー釘118は、パネル連結材46を貫通すると共に、その先端側が上側パネル材42に打ち込まれ、パネル連結材46が下側パネル材44に固定される。
【0061】
なお、前述したようにパネル連結材46には予め接着剤が塗布されており、接着剤の接着力によってもパネル連結材46が下側パネル材44に固定されるが、パネル連結材46と上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44との間に許容される値(例えば、0.5mm)よりも大きな隙間があると、制振壁パネル40(制振装置10)が制振機能を正常に発揮できなくなる。
【0062】
このため、制振壁パネル40を製造する際には、スクリュー釘118をパネル連結材46及び下側パネル材44に打ち込み、スクリュー釘118の締付力によりパネル連結材46を上側パネル材42、制振装置10及び下側パネル材44側へ加圧することにより、パネル連結材46と下側パネル材44との間から隙間を消失させ、又は隙間を十分に小さいものにしている。
【0063】
なお、本実施形態では、パネル連結材46を上側パネル材42及び下側パネル材44に固定するための釘状部材としてスクリュー釘118を用いていたが、このような釘状部材としては、構造用ビス、木ビス等を用いていても良い。
上記パネル連結材46に対する釘打ち作業により制振壁パネル40における木質フレーム部48の組立が完了する。この作業の完了後、オペレータは、枠状体12の内側から自動釘打機(図示省略)によりスクリュー釘118を上側パネル材42、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46に打ち込み、スクリュー釘118により上面枠材14を上側パネル材42に固定し、下面枠材16を下側パネル材44に固定し、一対の側面枠材18、20をそれぞれ一対のパネル連結材46に固定する。
【0064】
これにより、制振壁パネル40の寸法がL1又はL2の場合には、スクリュー釘118が上側パネル材42及び下側パネル材44の上下方向両端部にそれぞれ対応する部位に打ち込まれ、一対のパネル連結材46がスクリュー釘118により確実に上側パネル材42及び下側パネル材44に固定され、また制振壁パネル40の寸法がL3又はL4の場合には、スクリュー釘118が上側パネル材42及び下側パネル材44の上下方向両端部及び中央部にそれぞれ対応する部位に打ち込まれ、一対のパネル連結材46がスクリュー釘118により確実に上側パネル材42及び下側パネル材44に固定される。
【0065】
なお、上面枠材14、下面枠材16及び一対の側面枠材18、20には、それぞれ所定のピッチで挿通穴(図示省略)が貫通しており、これらの挿通穴を通してスクリュー釘118が上側パネル材42、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46に打ち込まれる。
【0066】
また、ガイド壁部72、74における上流側のガイド穴106AL、106AV〜106EV、106ELの周辺部及び下流側のガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLの周辺部には、それぞれ制振壁パネル40の寸法L1、L2、L3、L4が表示されたラベルが貼り付けてある。また、これらのラベルは、制振壁パネル40の寸法L1、L2、L3、L4毎に異なる色に着色されている。これにより、オペレータは、パネル製造装置60により製造される制振壁パネル40の寸法と一致する寸法L1、L2、L3、L4が表示された色付きのラベルを視認し、そのラベルにより指定されるガイド穴106AL、106AV〜106EV、106EL及びガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLを用いることで、制振壁パネル40の寸法に対応するガイド穴106AL、106AV〜106EV、106EL及びガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLを誤りなく選択できる。
【0067】
オペレータは、木質フレーム部48に対する釘打ち作業の完了後、クランプ機構112A〜112Dの操作レバー116をクランプ操作位置から解放位置へ揺動させることにより、図6に示されるように、クランプレバー114を制振壁パネル40から離間させる。またオペレータは、ストッパ加圧機構90におけるロッド駆動部を作動停止させてストッパロッド94を縮長方向へスライドさせた後、ストッパ加圧機構90をベースフレーム82から取り外す。
【0068】
これらの作業完了後、オペレータは、ローラ昇降機構88によりローラコンベア64、66を作業位置から搬送位置に上昇させる。オペレータは、制振装置10と石膏ボード等の仕上げ下地材との間のスペーサとして機能とする桟木を支持部28、30の表面側に接着すると共に、支持部28、30と中央面材26との隙間等にグラスウール等の断熱材を充填する。これにより、中間製品としての制振壁パネル40の製造が完了する。
【0069】
ローラコンベア64、66上の制振壁パネル40は、パネル製造装置60の下流側に配置された反転装置(図示省略)へ搬出され、この反転装置により表裏が反転された後、制振壁パネル40の仕上装置(図示省略)上へ搬送される。この仕上装置では、中間製品としての制振壁パネル40の裏面側に桟木等の部品を取り付け、一対のパネル連結材46の外側に他の制振壁パネルとの連結に用いられる柱状の結合材を固定する作業等が行われ、中間製品としての制振壁パネル40が完成品としての制振壁パネルとされる。
【0070】
以上説明した本実施形態に係るパネル製造装置60では、ローラ昇降機構88が制振装置10又は制振壁パネル40が一対のローラコンベア64、66上に搬入及び搬出可能となる搬送位置及び、この搬送位置に対して下側に位置する作業位置の何れかの位置に一対のローラコンベア64、66を昇降させることにより、ローラ昇降機構88により一対のローラコンベア64、66を搬送位置に保持しておけば、オペレータが制振装置10を持ち上げることなく、パネル製造装置60に対して上流側に配置された他のローラコンベア上から一対のローラコンベア64、66上に搬送でき、かつ制振装置10に上側パネル材42、下側パネル材44及び一対のパネル連結材46が組み付けられた制振壁パネル40を持ち上げることなく、一対のローラコンベア64、66上から、パネル製造装置60に対して下流側に配置された他のローラコンベア上に搬送できる。
【0071】
またパネル製造装置60では、一対のサイドホルダ部100、102の幅方向外側にそれぞれ設けられた一対のガイド壁部72、74に、それぞれパネル連結材46に対する打込位置に面して開口する複数個のガイド穴106AL、106AV〜106EV、106EL及びガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLを穿設したことにより、制振装置10、上側パネル材42及び下側パネル材44が載置された一対のローラコンベア64、66をローラ昇降機構88により作業位置に下降させた後、サイドホルダ部100、102にそれぞれ装填されたパネル連結材46に、ガイド穴106AL、106AV〜106EV、106EL及びガイド穴108FL、108FV〜108LV、108LLを通してスクリュー釘118をパネル連結材46に打ち込めば、スクリュー釘118及びパネル連結材46に対して特別な位置決め作業を行うことなく、パネル連結材46に対する所定の打込位置にスクリュー釘118を十分に高い位置精度で打込み、このスクリュー釘118によりパネル連結材46を上側パネル材42及び下側パネル材44に確実に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係るパネル製造装置の構成を示す斜視図であり、ローラコンベアが搬送位置にある状態を示している。
【図2】本発明の実施形態に係るパネル製造装置の構成を示す側面図であり、ローラコンベアが搬送位置にある状態を示している。
【図3】本発明の実施形態に係るパネル製造装置の構成を示す斜視図であり、ローラコンベアが作業位置に下降した状態を示している。
【図4】本発明の実施形態に係るパネル製造装置の構成を示す側面図であり、ローラコンベアが作業位置に下降した状態を示している。
【図5】本発明の実施形態に係るパネル製造装置の構成を示す斜視図であり、ローラコンベアが作業位置から搬送位置に復帰した状態を示している。
【図6】本発明の実施形態に係るパネル製造装置の構成を示す側面図であり、ローラコンベアが作業位置から搬送位置に復帰した状態を示している。
【図7】本発明の実施形態に係るパネル製造装置により製造される制振壁パネルにおける制振装置の構成を示す正面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るパネル製造装置により製造される制振壁パネルの構成を示す正面図である。
【図9】(a)〜(d)は本発明の実施形態に係るパネル製造装置により製造される上下方向に沿った寸法がそれぞれ異なる4種類の制振壁パネルの構成を示す正面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るパネル製造装置に着脱可能に装着されるストッパ加圧機構及び高さ調整機構の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
10 制振装置
12 枠状体
14 上面枠材
16 下面枠材
18、20 側面枠材
22 ヒンジピン
24 制振ボックス
26 中央面材
28、30 支持部
32 制振ゴム
34 ジョイントプレート
36、38 センタピン
40 制振壁パネル
42 上側パネル材
44 下側パネル材
46 パネル連結材
48 木質フレーム部
60 パネル製造装置
62 外周枠体
64、66 ローラコンベア
68 基準壁部
70 ストッパ壁部
72、74 ガイド壁部
76 単ローラ列
78 ローラフレーム
80 ローラ
82 ベースフレーム
86 脚部
86 梁部
88 ローラ昇降機構
90 ストッパ加圧機構
92 本体部
94 ストッパロッド
96 ストッパプレート
100 サイドホルダ部
104 基準面
106AV、106BV、106CV、106DV、106EV ガイド穴
106AL、106BL、106CL、106DL、106EL ガイド穴
108FV、108GV、108HV、108IV、108JV、108KV、108LV ガイド穴
108FL、108GL、108HL、108IL、108JL、108KL、108LL ガイド穴
110 クランプ支持台
112A、112B、112C、112D クランプ機構
114 クランプレバー
115 押圧パッド
116 操作レバー
118 スクリュー釘
120 高さ調整機構
122 本体フレーム
124 スペーサ部材
128 調整部材
130 当接板
134 ジャッキ
136 軸受部
138 ジャッキレバー
140 スイングアーム
142 フックロッド
144 リリーフレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形枠状の制振装置の外周側に木製の上側パネル材、下側パネル材及び一対のパネル連結材を組み付け、制振機能を有する制振壁パネルを製造する際に用いられる制振壁パネルの製造装置であって、
制振装置が所定の搬送方向に沿って移動可能に載置されると共に、該制振装置の上端面及び下端面にそれぞれ密着するように上側パネル材及び下側パネル材が載置されるローラコンベアと、
前記ローラコンベアを支持すると共に、制振装置又は制振壁パネルが前記ローラコンベア上に搬入及び搬出可能となる搬送位置及び、該搬送位置に対して下側に位置する作業位置の何れかの位置に前記ローラコンベアを昇降させるローラ昇降機構と、
前記ローラコンベアの幅方向外側にそれぞれ設けられると共に、パネル連結材が装填可能とされ、該パネル連結材を前記作業位置に下降した制振装置、上側パネル材及び下側パネル材の側端面に密着可能となる位置に保持する一対のサイドホルダ部と、
一対の前記サイドホルダ部の幅方向外側にそれぞれ設けられると共に、前記サイドホルダ部に装填されたパネル連結材を、前記作業位置にある上側パネル材及び下側パネル材に釘状部材により固定する際のパネル連結材に対する打込位置に面して開口する複数個のガイド穴が穿設された一対のガイド部材と、
を有することを特徴とする制振壁パネルの製造装置。
【請求項2】
複数組の前記ガイド穴を、前記搬送方向に沿って前記制振壁パネルの寸法に応じた位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の制振壁パネルの製造装置。
【請求項3】
前記サイドホルダ部には、パネル連結材の下端面が接する高さ基準面が設けられ、該高さ基準面を、前記ローラ昇降機構の昇降方向に沿って、前記作業位置に下降した前記ローラコンベアの上端レベルと一致させたことを特徴とする請求項1又は2記載の制振壁パネルの製造装置。
【請求項4】
前記ローラコンベアが前記作業位置に下降した状態で、上側パネル材及び下側パネル材を前記ローラコンベア上に加圧すると共に、前記サイドホルダ部に装填されたパネル連結材を前記高さ基準面上に加圧する拘束機構を有することを特徴とする請求項3記載の制振壁パネルの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−110856(P2010−110856A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285103(P2008−285103)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】