説明

制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物

【課題】 有効成分としてクロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物とを含み、粉体成分の凝集及び分散性低下が防止された制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物を提供する。
【解決手段】 クロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物と、水とを含み、前記クロルヒドロキシアルミニウムの含有量が、前記水の含有量に対し、質量比で13.0以上であることを特徴とする制汗デオドラント剤組成物、及び該制汗デオドラント剤組成物と、噴射剤とを含む制汗デオドラント剤エアゾール組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物に関し、さらに詳しくは、制汗デオドラント剤組成物中の粉体成分の分散性に優れた制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発汗を抑え、腋臭、汗臭、足臭などの体臭の発生を抑制するために、様々な剤型の制汗デオドラント剤が製品化されている。該制汗デオドラント剤としては、エアゾールスプレー、ミストスプレー、ローション、スティック、クリーム等の様々な形態があり、これらの中でも、使用感や簡便性などの点から、エアゾールスプレー型が主流を占め、広く開発が進められている。
【0003】
エアゾールスプレー型の制汗デオドラント剤は、一般的に、液化ガスなどの噴射剤と、有効成分等を含有する制汗デオドラント剤組成物とがエアゾール容器に充填され、前記噴射剤の圧力によって前記制汗デオドラント剤組成物を噴射させるものである。一定量の前記有効成分が安定に噴射されるためには、少なくとも噴射時において、前記有効成分が組成物中で均一に溶解乃至分散していることが重要であり、例えば、使用時に、使用者がエアゾール容器を振盪することにより、容易に前記有効成分が均一に溶解乃至分散した状態となるのが好ましい。
【0004】
前記有効成分としては、水溶性のアルミニウム塩、特にクロルヒドロキシアルミニウムが知られている。前記クロルヒドロキシアルミニウムは、親水性が高く、ゲルを形成して凝集を生じるため、非水系の溶媒中に粉体として分散配合されていることが多い。
また、前記有効成分として、各種植物抽出物を、体臭消臭成分(例えば、特許文献1参照)や、収斂成分(例えば、特許文献2参照)として配合することが知られている。前記植物抽出物は、溶媒として水、エタノール、1,3−ブチレングリコール等が単独で、又は混合して使用されている。
しかしながら、前記クロルヒドロキシアルミニウム粉体と、前記植物抽出物とをエアゾール組成物として配合したとき、前記植物抽出物の溶媒として水が含まれる場合、その水によって前記クロルヒドロキシアルミニウムが一部溶解し、組成物中の粉体成分の凝集が生じることがあり、その結果、分散性の悪化や、エアゾール容器のバルブの目詰まり等が生じやすくなるという問題がある。
【0005】
一方、エアゾール組成物中の粉体成分の凝集や分散性の低下を防止する目的で、エアゾール組成物中に粘土鉱物を配合する技術(例えば、特許文献3参照)や、界面活性剤を配合する技術(例えば、特許文献4参照)が知られている。しかしながら、これらの技術において、クロルヒドロキシアルミニウム粉体と、溶媒中に水を含有する植物抽出物とを配合した場合における粉体成分の凝集防止、及び分散性の低下防止は検討されていない。
【0006】
よって、有効成分としてクロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物とを含む組成物であって、前記植物抽出物が溶媒として水を含有する場合における粉体成分の凝集及び分散性低下が防止されたエアゾール制汗デオドラント組成物は、未だ提供されていないのが現状であり、これらの開発が切に望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−288063
【特許文献2】特開平9−291022
【特許文献3】特開昭51−32721
【特許文献4】特開平4−316514
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、有効成分としてクロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物とを含む組成物であって、粉体成分の凝集及び分散性低下が防止されたエアゾール制汗デオドラント組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、組成物中のクロルヒドロキシアルミニウムの含有量を、水の含有量に対し、質量比で13.0以上とすることにより、粉体成分の凝集及び分散性低下が防止されたエアゾール組成物が得られるという新知見を得た。
【0010】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> クロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物と、水とを含み、前記クロルヒドロキシアルミニウムの含有量が、前記水の含有量に対し、質量比で13.0以上であることを特徴とする制汗デオドラント剤組成物である。
<2> 植物抽出物が、ユズ、ゲンチアナ、アンズ、ユーカリ、クララ、及びクワから選ばれる少なくとも1種の抽出物である前記<1>に記載の制汗デオドラント剤組成物である。
<3> 植物抽出物が溶媒中に水を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の制汗デオドラント剤組成物である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の制汗デオドラント剤組成物と、噴射剤とを含み、前記噴射剤の含有量が80〜99質量%であることを特徴とする制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物である。
<5> エアゾール容器に充填された前記<4>に記載の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、有効成分としてクロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物とを含み、粉体成分の凝集及び分散性低下が防止された制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物)
本発明の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物は、クロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物と、水とを含む制汗デオドラント剤組成物(以下、「エアゾール原液」ということがある)、及び噴射剤を含むことが好ましい。
前記制汗デオドラント剤組成物は、クロルヒドロキシアルミニウム、植物抽出物、及び水を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0013】
<制汗デオドラント剤組成物>
−クロルヒドロキシアルミニウム−
前記クロルヒドロキシアルミニウムは、前記制汗デオドラント剤組成物中に含まれる水に対し、質量比で13.0以上となるように配合される。前記水に対する質量比が13.0未満であると、前記クロルヒドロキシアルミニウムの溶解量が増加し、その結果、前記エアゾール原液中の粉体成分の凝集が生じ、分散性が低下する。
【0014】
前記クロルヒドロキシアルミニウムとしては、単体の塩であってもよく、グリコール複合体及びアミノ酸複合体等の複合体であってもよい。
【0015】
前記クロルヒドロキシアルミニウムは、前記制汗デオドラント剤組成物中に粉体として配合され、その含有量としては、前記制汗デオドラント剤組成物全量に対して1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、十分な制汗効果が得られないことがあり、50質量%を超えると、べたつき等の使用感の悪化を生じたり、塗布した肌表面を白化させることがある。
【0016】
−植物抽出物−
前記植物抽出物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、植物の葉、根、茎、花、及び果実のいずれかの抽出液、該抽出液の希釈液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、これらの粗精製物、及び精製物などが挙げられる。
前記抽出液としては、例えば、植物の乾燥物、又は該乾燥物を粗砕機を用いて粉砕したものを、水、親水性有機溶媒(例えば、エタノール、1,3−ブタンジオール等)、及びこれらの混合液等の溶媒に供することにより得られる。
【0017】
前記植物としては、例えば、ユズ、ゲンチアナ(リンドウ)、アンズ、ユーカリ、クララ、クワ、ビロウドアオイ、セージ、ローマカミツレ、コガネバナ、松、麦、キウイ、カワラヨモギ、プルーン、グレープフルーツ、トウキ、セイヨウオトギリソウ、トルメンチラ、オウゴン、ゴバイシ、クチナシ、シコン、カンゾウ、及びセンブリなどが挙げられる。
【0018】
前記植物抽出物の含有量としては、前記制汗デオドラント剤組成物全量に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0019】
−水−
前記制汗デオドラント剤組成物中の水としては、例えば、前記植物抽出物の溶媒として含まれる水であり、前記水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が挙げられる。
【0020】
−その他の成分−
前記エアゾール原液のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、消臭粉体、使用性向上のための粉体(有機粉体、無機粉体)、油脂類、ワックス類、シリコーン類、酸化防止剤、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、増粘剤、清涼剤、殺菌剤、抗炎症剤、アミノ酸、及び包接化合物などが挙げられる。
【0021】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルデシルエーテル、ポリオキシエチレンデシルペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステルエーテル、脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル、イソステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ジラウリン酸エチレングリコール・ポリオキシエチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール・ポリエチレングリコール、イソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレントリミリスチン酸トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレントリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノ脂肪酸グリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ピログルタミン酸エステル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を混合することができる。
【0022】
前記消臭粉体としては、例えば、多孔質マグネシアシリカ粉体、合成層状ピロケイ酸酸マグネシウム粉体、アルギン酸カルシウム粉体(2次凝集物)、アパタイト粉体等等が挙げられる。
前記使用性向上のための粉体としては、例えば、ナイロン末、ポリエチレン末、無水ケイ酸、シリコーンパウダー、セルロース粉体、タルク、カオリン、マイカ等が挙げられる。
【0023】
前記シリコーン類としては、例えば、ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0024】
前記防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、安息香酸ナトリウム、エタノール類等が挙げられる。
前記皮膚保護剤としては、例えば、ベントナイト、グリチルレチン酸ステアリル等が挙げられる。
前記保湿剤としては、例えば、グリセリン、ヒアルロン酸、尿素等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ウロカニン酸、パラアミノ安息香酸、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、トコフェノール等が挙げられる。
【0025】
<制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物>
前記制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物は、前記制汗デオドラント剤組成物と、噴射剤とを含む。また、前記制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物は、前記エアゾール容器に充填されてなる。
【0026】
−噴射剤−
前記噴射剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタン、プロパン、エチレン、イソブタン、ノルマルブタン、プロピレン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、2,3−ジメチルブタン、ジメチルエーテル、圧縮ガス(二酸化炭素、窒素、空気またはこれらの混合ガス等)が挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
前記噴射剤の含有量としては、前記制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物全量に対し、80〜99質量%が好ましく、85〜97質量%がより好ましい。
前記噴射剤の含有量が80質量%未満であると、使用時においては、前記制汗デオドラント剤組成物の噴出量が過多となり、塗布面上で液ダレを生じることがあり、保存時においては、粉体成分の凝集が起こりやすくなり、分散性が低下することがある。
【0028】
−エアゾール容器−
前記エアゾール容器としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、容器本体、該容器本体の開口部に固着するバルブ、及び噴射用ボタンからなるものが挙げられる。
前記容器本体の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、ブリキなどの金属、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂、及び耐圧ガラスなどが挙げられる。また、耐圧性、耐衝撃性、耐腐食性、製剤安定性等を向上させる目的で、容器本体の表面が樹脂等でコーティングされたものであってもよい。
前記バルブとしては、例えば、前記容器本体の開口部にクリンプ(クリンチ)されるマウンティングカップ、該マウンティングカップの中央部に保持されるハウジング、該ハウジング内に上下動自在に収容されるステム、該ステムの孔を開閉するステムラバー、前記ステムを常時上向きに付勢するスプリング、及び前記ハウジングの下端から容器底部に伸びているディップチューブからなるものが挙げられる。
【0029】
前記制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物は、公知の方法で前記エアゾール容器に充填される。
前記充填の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却充填法、加圧充填法、アンダーカップ充填法などが挙げられる。
【0030】
本発明の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物は、クロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物と、水とを含む制汗デオドラント剤組成物、及び噴射剤を含み、前記クロルヒドロキシアルミニウムの含有量が、前記水の含有量に対し、質量比で13.0以上であるため、粉体成分の凝集及び分散性低下が防止され、前記エアゾール容器のバルブの目詰まりを生じることがなく、有効成分を均一かつ安定に噴射することができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0032】
(実施例1〜10、比較例1〜6)
下記表1〜3に示す組成に従い、実施例1〜10、及び比較例1〜6の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物を常法により調製した。具体的には、前記制汗デオドラント剤組成物(エアゾール原液)の各成分を混合し、得られたエアゾール原液を、噴射剤とともに、前記エアゾール容器として透明な耐圧エアゾール用ガラス瓶に充填した。
前記制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物について、以下の方法により、組成物中の粉体成分の凝集性及び分散性、並びに使用感を評価した。結果を表1〜3にあわせて示す。
【0033】
<粉体成分の凝集性の評価>
実施例及び比較例の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物が充填された前記エアゾール容器(耐圧エアゾール用ガラス瓶)を、1時間静置し、前記エアゾール制汗デオドラント組成物中の粉体成分の凝集状態を目視で観察した。
なお、凝集性を評価するために、植物抽出物を含有しない以外は実施例1と同様にして調製し、前記エアゾール容器に充填した対照サンプルを用意した。各実施例及び比較例の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物について、該対象サンプル中に観られる粉体よりも2倍以上の大きさの粉体を凝集体とみなし、該凝集体の数を測定し、以下の基準で凝集性を評価した。なお、凝集体が無く、凝集性の低いものが良好である。
−評価基準−
◎:凝集体はみられない
○:凝集体が、1〜2個みられる
△:凝集体が、3〜20個みられる
×:凝集体が、21個以上みられる
【0034】
<粉体成分の分散性の評価>
実施例及び比較例の制汗デオドラント剤エアゾール組成物が充填された前記エアゾール容器(耐圧エアゾール用ガラス瓶)を遠心分離機にかけ、3000rpmで5分間遠心して、粉体成分を沈殿させた。
遠心分離機から取り出した前記エアゾール容器(耐圧エアゾール用ガラス瓶)を、静かに横にして、15cm幅で左右に横振りし、沈殿した粉体成分が再び分散し、目視にて沈殿が観察されなくなるまでに要した横振りの回数を記録した。記録した回数から、以下の基準で分散性を評価した。
−評価基準−
○:1〜20回
△:21〜30回
×:31回以上
【0035】
<使用感の評価>
実施例及び比較例の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物を、10名のパネラーに、わきの下に適量噴射塗布してもらい、8時間後の制汗デオドラント効果、及び使用感について回答を得た。得られた回答から、以下の基準に基づいて評価した。
−評価基準−
◎:8〜10名のパネラーが、良好であると評価した
○:5〜7名のパネラーが、良好であると評価した
△:2〜4名のパネラーが、良好であると評価した
×:1名以下のパネラーが、良好であると評価した
【0036】
【表1】

(単位:質量%)
*1:プロパン/ノルマルブタン/イソブタン=1/72/27
【0037】
【表2】

(単位:質量%)
*1:プロパン/ノルマルブタン/イソブタン=1/72/27
【0038】
【表3】

(単位:質量%)
*1:プロパン/ノルマルブタン/イソブタン=1/72/27
【0039】
表1〜3の結果から、クロルヒドロキシアルミニウムの含有量が、水の含有量に対し、質量比で13.0以上である実施例1〜10の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物は、前記質量比が13.0未満である比較例1〜5の組成物と比べて、粉体成分の凝集が生じにくく、分散性に優れることがわかった。また、植物抽出物を含まない比較例6と比較して、制汗デオドラント効果、及び使用感に優れることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物は、粉体成分の凝集及び分散性低下が防止され、前記エアゾール容器のバルブの目詰まりを生じることがなく、有効成分を均一かつ安定に噴射することができるため、エアゾールスプレー型の制汗デオドラント剤として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロルヒドロキシアルミニウムと、植物抽出物と、水とを含み、前記クロルヒドロキシアルミニウムの含有量が、前記水の含有量に対し、質量比で13.0以上であることを特徴とする制汗デオドラント剤組成物。
【請求項2】
植物抽出物が、ユズ、ゲンチアナ、アンズ、ユーカリ、クララ、及びクワから選ばれる少なくとも1種の抽出物である請求項1に記載の制汗デオドラント剤組成物。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載の制汗デオドラント剤組成物と、噴射剤とを含み、前記噴射剤の含有量が80〜99質量%であることを特徴とする制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物。

【公開番号】特開2006−182719(P2006−182719A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379582(P2004−379582)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】