説明

刺激可能な非対称ポリマーソーム

本発明は、非対称単層膜を有するポリマーベシクルに関し、該膜は、2つの異なる層、すなわち層(A)及び層(B)、によって構成されており、該2つの層は、該層(B)とは対照的に、少なくとも1つの刺激可能な疎水性ポリマーブロックを有する両親媒性ブロックコポリマーの有効量を有する層(A)を有する各両親媒性ブロックコポリマーを有し、該ブロックポリマーは、外因性刺激に応答して新規立体配置を採ることができる該コポリマーにより提供され、該単層膜の破裂を条件付ける。本発明は、該ベシクルの製造方法、該ベシクル中に活性成分をカプセル化する方法、該活性成分の制御された放出の方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の親水性活性成分をカプセル化すること及び輸送すること並びに1以上の親水性活性成分の制御放出を提供することが意図されたベシクル、特にはポリマーソームに関する。
【背景技術】
【0002】
語「ポリマーソーム」は、両親媒性合成ポリマーから形成された膜によって定められたベシクルを意味する。以下で、表現「ポリマーソーム」又は「単層膜を有するベシクル」は、同じ実体を示す為に交換可能に用いられる。
【0003】
構造的見地から、ポリマーソームはリポソームに似ており、唯一の違いは、リポソームが脂質から作られることである。ポリマーソームは、リポソームの特性の多くを有するが、加えて、それらはより大きな安定性及びより低い透過性を有する。
【0004】
一般に、ポリマーソームは単層膜を有する。この単層膜は、それを形成する2つの重ねられた層が同一のコポリマーにより構成される場合に「対称な」ものと称される。対照的に、「非対称な」単層膜は、それらを構成するコポリマーの特定の性質により互に区別される2つの重ねられた膜を有する。該2種類のコポリマーの間のこの違いは、該コポリマーを形成する疎水性ブロックの特徴に及び/又は親水性ブロックの特徴に存する。
【0005】
ポリマーソームの開発は、カプセル化、輸送及び制御放出の分野において特に関心がもたれている。さらに、生体適合性親水性ブロック(これは有利にはポリエチレングリコールタイプのものでありうる)の外層のそのようなベシクルの表面の存在が、これらのポリマーソームを、免疫系に関して、ひそかなものとしうる。この特徴(これは或る形の無害性とも関連する)は、それらを、活性成分についての、例えば化学的、化粧的、皮膚科学的及び又は医薬的成分についての、理想的なトランスポーター又はベクターとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ポリマーソームが含む活性成分の放出の有効な制御を許す新しいタイプのポリマーソームを提案することを特に試みる。
【0007】
既に提案されており且つ特に言及されうる制御放出ポリマーソームの説明となる例は、ブロックコポリマーの二重層を有する対称単層ポリマーソームであり、これは両親媒性であり且つ加水分解に感受性であり、例えばポリエチレングリコール−ポリ乳酸又はポリエチレングリコール−ポリカプロラクトンブロックコポリマーであり、及び、これは任意的に米国特許出願公開第2005/000316号明細書に記載されたポリエチレングリコール−ポリブタジエンブロックコポリマーと混合されうる。そのポリマーソームは、膜中のコポリマーの加水分解の後に制御された様式で放出される例えば薬剤などの活性成分を含むことにおける用途の為であるとして記載されている。この放出は、環境的な刺激により条件付けられ、及び、単層膜が穴をあけられて該ベシクルの完全な崩壊の段階に達するところの段階を含み、該段階はそれにもかかわらず、数時間又は数日さえである比較的長い時間に及び、及びすなわち、所望の適用と常には適合しない。
【0008】
両親媒性である感熱性ブロックコポリマーを含む二重層を有する対称な単層ポリマーソームの他の種類が、文献国際公開第2007/075502号パンフレットに記載されている。それらのポリマーソームもまた、活性成分を含むことができ及びそれらを標的臓器へ輸送することができる。該コポリマーは、ポリエチレングリコール−b−ポリ(N−アルキルアクリルアミド)タイプ又はポリエチレングリコール−b−ポリ(N−アルキルアミノアクリレート)タイプのものである。或る臨界溶液温度を越えると、該感熱性ブロックは、疎水的特性を有し、該特性はそれらが自己集合してポリマーソームを形成することを結果する。対照的に、その温度より低いと、該感熱性ブロックは、親水的特性を取り戻し、該ポリマーソームの解離を結果する。該ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)タイプの感熱性ブロックコポリマーの該臨界溶液温度は約32℃である。しかしながら、そのタイプの制御放出系を使用することは、いくつかの問題をもたらし、特にはin vivoでの問題をもたらし、すなわちクーリングパッチによってそれらにとってそれらが含む該活性素を放出することが可能となるように、該ポリマーソームの温度が32℃より低くされなければならず、すなわち37.2℃である体温より十分に低くされなければならない。
【0009】
すなわち、局所的な様式で及び/又はin vivoで容易に適用可能である外部刺激に応答して、仕立てられた、制御された、実質的に即時の、且つ完全な、それらの内容物の放出を引き起こすことができるポリマーソームについてのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは今、該コポリマーの特定の選択によって、これらの基準を満足する合成単層膜を有するポリマーソーム又はベシクルを提供することが可能であることを発見した。
【0011】
本発明の第一の例となる実施態様は、非対称単層膜を有するベシクルを提供し、該膜は、2つの異なる層、すなわち層(A)及び層(B)、によって構成され、該2つの層は重ね合わせられており、且つ、それそれが少なくとも1つのそれぞれの両親媒性ブロックコポリマーを有するところの該ベシクルにおいて、層(A)が、外因性刺激によって刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する両親媒性ブロックコポリマーの有効量を有し、該コポリマーによって提供される該刺激可能なブロックは、該外因性刺激に応答して、該単層膜の破裂を条件付ける新規立体構造をとることができること、および、該層(B)が、該外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する両親媒性ブロックコポリマーの有効量を有さないことを特徴とする。
【0012】
より正確には、該単層膜を構成する両親媒性ブロックコポリマーにより形成された層(A)及び(B)は、頭と頭を付き合わせて重ねられており、すなわち該コポリマーの疎水性ブロックが該膜の内面を構成し及び該コポリマーの親水性ブロックが該膜の外面を構成するように重ねられている。
【0013】
好ましい例示の実施態様において、本発明のベシクルはさらに、少なくとも1つの活性成分を含む。
【0014】
本発明の第二の例示の実施態様は、任意的に親水性又は生理学的に許容できる媒体中に、本発明に従う少なくとも1つのベシクルを有する組成物、特には化学的、化粧的、皮膚科学的、及び/又は医薬的組成物、を提供する。
【0015】
語「生理学的に許容できる媒体」は、ex vivo用途、例えば角質物質上の用途、又はin vivo用途、例えば生きている生物、特にはヒト又は動物、による摂取による用途、と適合する非毒性媒体を意味する。
【0016】
本発明の第三の例示の実施態様は、本発明に従う非対称単層膜を有するベシクルを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(X)の存在下において、水性滴のまわりの該両親媒性ブロックコポリマー(X)の層の形成に好都合な条件下で、油性相中に水性相を分散させること、
b)前記ステップの最後に得られた該覆われた滴を、該両親媒性ブロックコポリマー(X)と異なる少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(Y)と、ステップa)において形成された層に重ねられた該両親媒性ブロックコポリマー(Y)を有する層の形成に好都合な条件下で接触させること、そして
c)非対称単層膜を有する該ベシクルを水性相中に回収すること
からなるステップを少なくとも含むこと、および
ステップa)及びb)のステップのうち一つだけが、該両親媒性ブロックコポリマーとして、外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマーの有効量を用いることを特徴とする前記方法を提供する。
【0017】
実施において、ステップb)の層は、油性相と水性相との界面で形成される。
【0018】
明白な理由のために、外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する両親媒性ブロックコポリマーが、考慮下のステップにおいて、該コポリマーが受容的である該外因性刺激への該ポリマーソームの曝露に応答して、それが形成する該ポリマーソームの該膜の破裂を引き起こすことができるのに十分な量で用いられる。
【0019】
対照的に、他のステップにおいて、そのようなコポリマーは、有効でない量で存在し、又は完全に不在でさえある。
【0020】
すなわち、変形において、その2つのステップのうちのただ一つが、該両親媒性ブロックコポリマーとして、少なくとも1つの刺激可能なブロックを有する少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマーを採用する。
【0021】
該製造方法の実施において、ステップb)の層は、油性相と水性相との界面で形成される。
【0022】
本発明の第四の例示となる実施態様は、本発明に従うベシクル中に、少なくとも1つの親水性活性成分、特には化粧的、皮膚科学的又は医薬的分子、ポリマー及び/又は化学的試薬をカプセル化する方法であって、
a)少なくとも1つの活性成分を含む水性相を、油性相中に、少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(X)の存在下において、1または複数の該活性成分を含む水性滴ののまわりに該両親媒性ブロックコポリマー(X)の層を形成するのに好都合な条件下において、分散させること、
b)前記ステップから得られた該覆われた滴を、該両親媒性ブロックコポリマー(X)と異なる少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(Y)の存在下に、ステップa)において形成された該層に重ねあわされた該両親媒性ブロックコポリマー(Y)を有する層の形成に好都合な条件下に持ち込み、そして
c)水性相中に1または複数の該活性成分を含む非対称単層膜を有する該ベシクルを回収すること、ステップa)及びb)は上で定義されたとおりである、
からなるステップを少なくとも含むことを特徴とする前記方法を提供する。
【0023】
すなわち、2つのステップa)又はb)のうちただ一つが有利に、該両親媒性ブロックコポリマーとして、少なくとも1つの刺激可能ブロックを有する少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマーを採用する。
【0024】
本発明の第五の例示となる実施態様は、本発明に従う非対称単層膜を有するベシクル中に含まれる少なくとも1つの活性成分の制御された放出の方法を提供し、該方法は、外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する該両親媒性ブロックコポリマーの立体構造に修正を誘発することができる前記外因性刺激に、該ベシクルを、該ベシクルの該単層膜の破裂を誘発するのに十分な条件下においてさらすことからなる。
【0025】
本発明の最後の例示となる実施態様は、少なくとも1つの活性成分の、ex vivo、in vivo又はin vitroでのカプセル化、輸送、ベクター化(vectorizing)及び/又は放出の為に、本発明に従うベシクルを使用する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】アゾベンゼン分子の可逆的異性化を示す図である。
【図2】PEG-b-PMAazo444及びPEG-b-PBDの化学構造を示す図である。
【図3】該刺激可能な非対称ポリマーソーム膜の層(A)中の光刺激可能な液晶ブロックの形における変化の概略図である。
【図4a】ポリマーソームの破裂シーケンスを示す写真並びにこの破裂を示す図である。
【図4b】ポリマーソームの破裂シーケンスを示す写真並びにこの破裂を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ポリマーソーム
【0028】
本発明に従う単層ポリマー膜を有するベシクル、又はポリマーソーム、は100μm(マイクロメートル)〜20nm(ナノメートル)の範囲の、又は75μm〜50nmの範囲の及びより特には50μm〜100nmの範囲の平均直径を有しうる。
【0029】
本発明のベシクルは、該ベシクルの殻を構成する単層膜と、有利には完全に又は部分的に水から形成された液相、特には水性の液相、を形成するコアとを有する。これは、「コア/シェル」型構造と称される。
【0030】
該コアに関して、該液相は、もっぱら水により構成されてよく、又は、それは、水性溶液、すなわわち水と1以上(1又はそれより多い)水溶性溶媒との混合物、を有しうる。
【0031】
本発明において用いられるときに、語「水溶性溶媒」は、周囲温度で液状であり且つ水と混和性(25℃且つ大気圧で50重量%超の水中での混和性)である化合物を意味する。
【0032】
本発明のベシクルのコアを形成する液相として用いられることができ且つ言及されうる水溶性溶媒の例は、1〜5の炭素原子を有する低級アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノールなど、2〜8の炭素原子を有するグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール又はジプロピレングリコールなど、C及びCケトン、及びC−Cアルデヒドである。
【0033】
該単層膜は、2つの層により構成される:「内層」と称される第一の層、これは該ベシクルの該コアと直接に接触している、及び「外層」と称される第二の層、これは該第一の層と重ね合わせられており及びすなわち該第一の層と隣接しており且つ該媒体と直接に接触しており、該媒体中において該ベシクルが、「外側媒体/外層/内層/コア」型の構造を形成する順で見られる。
【0034】
該親水性ブロックは、それらが最も親和性を有する媒体と接触するように方向付けられる。すなわち、該内層において、それらは、該ベシクルの水性液相コアに向けて方向付けられており、及び、該外層において、それらは該ベシクルが浸されている外部媒体に向けて方向付けられており、一方で該疎水性ブロックは、該ベシクルのシェルの内側に、「外側媒体/親水性ブロック/疎水性ブロック/疎水性ブロック/親水性ブロック/コア」型の構造を形成するように位置される。
【0035】
上記で議論されたとおり、本発明のベシクルの単層膜もまた対照的であり、すなわちそれは層(A)と重ね合わせられた層(B)とにより構成され、これらは互に異なる。本文中において、表現「非対称単層膜を有するベシクル」及び「非対照的ポリマーソーム」は交換可能に用いられる。
【0036】
層(A)
【0037】
本発明の文脈において、層(A)は、外因性刺激に応答して新たな立体構造をとることができる少なくとも1つのポリマーブロックを有する1または複数の両親媒性コポリマーを含む層として定義される。そのようなブロックは、「刺激可能なブロック」と称される。
【0038】
簡素化目的の為に、少なくとも1つの刺激可能なブロックを有するそのような両親媒性ブロックコポリマーは、「刺激可能な両親媒性ブロックコポリマー」又は「刺激可能なブロックコポリマー」又は「刺激可能な両親媒性コポリマー」又は「刺激可能なコポリマー」さえとも称され、これらの表現のすべてが等価である。
【0039】
「刺激可能なコポリマーの有効量」は、外因性刺激への該コポリマーの曝露に応答した該刺激可能なコポリマーの立体構造における変化に続く、該ベシクルの膜の破裂を許すのに十分な量の1または複数の該コポリマーを意味する。
【0040】
上記から分かるとおり、該刺激可能なブロックは、「刺激可能なモチーフ」と称される少なくとも1つのモチーフを含み、これは外因性刺激に感受性である。
【0041】
本発明の好ましい変形において、刺激可能なコポリマーは、「液晶ブロック」と称される、有利には液晶性質を有する、少なくとも1つの刺激可能なブロックを有する。
【0042】
液晶性質を有する該刺激可能なモチーフは、外因性刺激、特には光放射、磁場、電場、又は温度、に応答してそれらの構造的組織(配向性(orientation)、中間相(mesomorphous phase))を修正することができる。
【0043】
より特には、それはアゾベンゼン基を有する少なくとも1つのモチーフからなる光刺激可能な液晶ブロックである。
【0044】
語「光刺激可能な」は、光放射への曝露に応答して修正を受けることができることを意味する。
【0045】
すなわち、光放射への曝露に応答して、少なくとも1つのアゾベンゼン基を有するモチーフは、trans立体配置からcis立体配置への、立体配置における変化を受けることができる。モチーフ中のこの立体配置の変化は、該刺激可能なブロックにおける新規の立体配置(形状)を誘発する結果を有する。これらの構造的修正の全体的な効果は、特には対応するコポリマーにより形成された該単層構造における、該2層のうちの1つだけの表面積の増加を誘発すること、及びすなわち、該膜の曲率における自発的変化を誘発することであり、これは本発明のベシクルの迅速な破裂を誘発することにおいて有効であると分かる。
【0046】
好ましい例示となる実施態様において、該刺激可能なコポリマーは、少なくとも1つの親水性ブロックと少なくとも1つの液晶疎水性ブロックとを有するコポリマーから選ばれる。これらの特に有利な例示となる実施態様において、該液晶疎水性ブロックは、少なくとも1つのアゾベンゼン基を有する光刺激可能な液晶疎水性ブロックにより構成される。
【0047】
言及されうるこの種のブロックの例示となり非限定的である特定の例は、ポリマーブロック、 ポリ (4-ブチルオキシ-2 ' - (4- (メタクリロイルオキシ) ブチルオキシ)-4'-(4- ブチルオキシベンゾイルオキシ) アゾベンゼン) , ポリ (4-ブチル-2 ' - (4- (メタクリロイルオキシ) ブチルオキシ) -4 ' - (4-ブチルオキシ- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-ブチルオキシ-2 ' - (4- (アクリロイルオキシ) ブチルオキシ) -4'- (4-ブチルオキシ- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-ブチル-2 ' - (4- (アクリロイルオキシ) ブチルオキシ) -4'- (4-ブチルオキシ- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-アルキルオキシ-2 ' - (メタクリロイルオキシアルキルオキシ) -4 ' - (4-アルキルオキシ- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-アルキルオキシ-2 ' - (アクリロイルオキシアルキルオキシ) -4 ' - (4-アルキルオキシ- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-アルキル-2 ' - (メタクリロイルオキシアルキルオキシ) -4 ' - (4-アルキルオキシ- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-アルキル-2 ' - (アクリロイルオキシアルキルオキシ) -4 ' - (4-アルキルオキシ- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-アルキル-2 ' - (メタクリロイルオキシアルキルオキシ) -4 ' - (4-アルキル- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-アルキル-2 ' - (アクリロイルオキシアルキルオキシ) -4 ' - (4-アルキル-ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-アルキルオキシ-2 ' - (メタクリロイルオキシアルキルオキシ) -4 ' - (4-アルキル- ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ (4-アルキルオキシ-2 ' - (アクリロイルオキシアルキルオキシ) -4 ' - (4-アルキル-ベンゾイルオキシ) アゾベンゼン, ポリ(6- [4- (4-メトキシフェニルアゾ) フェノキシ] ヘキシルメタクリレート, 及び ポリ(6- [4- (4-メトキシフェニルアゾ) フェノキシ] ヘキシルアクリレートである。
【0048】
この変形において、光刺激可能な1または複数のブロックに加えて、層(A)における考慮下のコポリマーは、少なくとも1つの他の非刺激可能な液晶ポリマーブロックを有しうる。
【0049】
言及されうるこの種の非光刺激可能な液晶ポリマーブロックの例示となり非限定的な特定の例は、ポリマーブロック、ポリ ( (4 ' ' -メタクリルオキシブチル) 2, 5-ジ (4'- ブチルオキシベンゾイルオキシ) ベンゾエート) , ポリ((6''- メタクリルオキシへキシル) 2, 5-ジ (4 ' -ブチルオキシベンゾイルオキシ) ベンゾエート), ポリ ( (メタクリルオキシアルキル) 2, 5-ジ (4'- アルキルオキシベンゾイルオキシ) ベンゾエート), ポリ ( (アクリルオキシアルキル) 2,5- ジ (4 ' -アルキルオキシベンゾイルオキシ) ベンゾエート), ポリ(4''- アクリロイルオキシブチル) , 及び 2, 5-ジ (4'- ペンチルシクロヘキシルカルボキシルオキシ) ベンゾエートである。
【0050】
この変形において、これらの非光刺激可能な液晶ポリマーブロックの組織が、該光刺激可能な液晶ブロックと同時に及び同じ様式で、これらが光放射への曝露に応答して反応するときに、変化するということが利用される。該液晶ポリマーブロックの全ての立体配置(形状)がそれによって変化し、該膜の曲率の即時の変化を、該膜が破裂し及び該ベシクルの非常に迅速な破裂を引き起こすように、誘発する。
【0051】
該光刺激可能な応答を特に有効にする為に、層(A)は、10重量%〜100重量%の光刺激可能な液晶ポリマーを有しうる。
【0052】
層(A)における考慮下にある該コポリマーもまた、外部刺激により刺激可能でない少なくとも1つの他のブロック、及び特には層(B)について以下で提示されるものから選ばれるものを有しうる。どの状況であっても、該刺激可能なコポリマーを形成する種々のタイプのポリマーブロックの化学的性質が調節されて、それらに、本発明の為に要求される両親媒性性質を備える。
【0053】
有利な変形に従い、該刺激可能な両親媒性コポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、ポリ(N−アルキルアミノアクリレート)、ポリ(アクリル酸−コ−オリゴ(エチレングリコール)アクリレート)、ポリ(メタクリル酸−コ−オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)アクリレート)、及びポリ(2−(2’−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート−コ−オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート)から選ばれる少なくとも1つの親水性ポリマーブロックを有する。
【0054】
特に言及されうる、本発明にとって適した刺激可能な両親媒性コポリマーの例は、ブロックコポリマー、ポリエチレングリコール-b-ポリ(4-ブチルオキシ-2 ' - (4-メタクリルオキシルオキシ) ブチルオキシ)-4'-(4- ブチルオキシ-ベンゾイルオキシ) アゾベンゼンである。
【0055】
該刺激可能な1または複数のコポリマーの数平均分子量は、2000〜30000の範囲、有利には3000〜10000の範囲にありうる。
【0056】
該刺激可能な1または複数のコポリマーを含む層(A)はまた、追加的に、少なくとも1つの他の「非刺激可能な(non-stimulatable)」コポリマーを含んでよく、特には層(B)について以下で記載されるものから選ばれ、ただし、該非刺激可能な1または複数のコポリマーの存在は、該刺激可能な1または複数のコポリマーの立体的変化の発現への障害を構成しないことを条件とする。
【0057】
層(A)は、該非対称単層膜中において、該コポリマーの全重量に対し、10重量%超、特には20〜95重量%、特には30〜70重量%、あるいは40重量%超さえの刺激可能な両親媒性ブロックコポリマーを含みうる。
【0058】
層(B)
【0059】
層(A)と対照的に、層(B)は、層(A)を刺激することができる外因性刺激の影響下で該ベシクルの膜の崩壊を誘発することができる刺激可能な1または複数のコポリマーの有効量を含まない。
【0060】
言い換えると、層(B)は、層(A)を形成する1または複数のコポリマーが活性である外因性刺激に対して不活性であるコポリマーから本質的に形成される。
【0061】
特に、該単層膜中のコポリマーの全重量に対して、層(B)は、50重量%未満、特には30重量%未満の刺激可能な1または複数の両親媒性ブロックコポリマーを含んでよく、又は該刺激可能両親媒性ブロックコポリマーは不在でさえあり得る。
【0062】
その結果、層(B)は、層(A)を刺激する為に選択された該外因性刺激に対して非感受性(無反応)である少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマーを有する。
【0063】
簡素化の為に、層(A)を刺激する為に選択された外因性刺激に対して非感受性である該両親媒性ブロックコポリマーはまた、以下で、「非刺激可能両親媒性ブロックコポリマー」又は「非刺激可能ブロックコポリマー」又は「非刺激可能両親媒性コポリマー」又は「非刺激可能コポリマー」とさえ称され、これら表現のすべてが等価である。
【0064】
特に及び該組成物への制限無く、そのようなコポリマーは、以下の親水性及び疎水性ポリマーから選ばれるポリマーブロックから形成されうる:
・ポリオキシアルキレンタイプのホモポリマー及びランダムコポリマー、例えばポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール等価物)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン又はポリオキシエチレン/ポリオキシブチレンなど;
・アクリル酸及びメタクリル酸、アルキル アクリレート及びメタクリレート、例えばメチル、プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ヒドロキシプロピル又はヒドロキシエチル アクリレート及びメタクリレート、オリゴ(エチレングリコール) アクリレート及びメタクリレート、N−アルキル−アクリルアミド又はメタクリルアミド、例えばN−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド又はメタクリルアミド N,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれるモノマーの単独重合又は共重合から得られるポリアクリル酸誘導体;
・ポリエーテル;
・ポリエステル、例えばポリグリコール酸など;
・セルロース誘導体、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース又はメチルセルロース;
・多糖;
・ポリビニルアルコール;
・ポリビニルピロリドン;
・ポリスチレンスルホネート;
・ポリスルホキシド;
・アルキレン ホモポリマー及びコポリマー、例えばブチレン−プロピレン、エチレン−プロピレン、エチレン−ブチレン、ポリ(エチルエチレン)又はポリ(ブタジエン);
・ポリビニルアルキルエーテル、例えばポリビニルメチルエーテルなど;
・ポリ(スチレン);
・ポリ(乳酸);
・ポリ(カプロラクトン);
・ポリウレタン;
・ポリアミド;及び
・ポリシロキサン誘導体、例えばポリジメチルシロキサンなど。
【0065】
該非刺激可能コポリマーを形成する種々の種類のポリマーブロックの化学的性質が調節されて、それに本発明の要求される該両親媒性性質を授ける。この調節は、当業者の能力の範囲内である。
【0066】
非刺激可能コポリマーは、特には、該親水性ブロックとして、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、オリゴ(エチレングリコール)アクリレート又はメタクリレートホモポリマー、又はアクリル酸又はメタクリル酸を有するそれらのコポリマーから選ばれる少なくとも1つのブロックを有しうる。
【0067】
それは、該疎水性ブロックとして、ポリスチレン、ポリエチルエチレン、ポリブタジエン、ポリL−乳酸、ポリカプロラクトン、及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つのブロックもまた含みうる。
【0068】
言及されうる本発明における使用の為の非刺激可能コポリマーの説明となり且つ非限定的な特定の実施例は、ポリエチレングリコール−ポリブタジエンブロックコポリマー、 ポリアクリル酸−ポリスチレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリスチレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリエチルエチレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリブタジエンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリ−L−乳酸ブロックコポリマー、及びポリエチレングリコール−ポリカプロラクトンブロックコポリマーである。
【0069】
1または複数の非刺激可能コポリマーの数平均分子量は、2000〜30000、有利には3000〜10000でありうる。
【0070】
1または複数の非刺激可能コポリマーを有する層(B)はまた、特には層(A)について上記で記載されたものから選ばれる刺激可能ポリマーブロックを含む少なくとも1つのコポリマーをさらに含みうるが、ただし1または複数の該対応する刺激可能コポリマーの存在は、該単層膜の破裂に対する障害を構成しないことを条件とする。
【0071】
例となる実施態様において、及び該膜中のコポリマーの全重量に対して、該層(B)は、50重量%未満、特には30重量%未満の、該層(A)を活性化する外因性刺激に対して及びより特には任意の外因性刺激に対して感受性である両親媒性ブロックコポリマーを含み、又は、当該両親媒性ブロックコポリマー不含でありさえする。
【0072】
層(B)は、層(A)について選択される外因性刺激に対して非感受性である1または複数のコポリマーから主として形成されうる。
【0073】
該膜中のコポリマーの全重量に対して、層(B)は、10重量%〜95重量%、好ましくは30重量%〜70重量%の、外因性刺激に対して非感受性の両親媒性ブロックコポリマーを含みうる。
【0074】
本発明のベシクルの特に有利な例示の実施態様において、
・層(A)は、該単層膜中の1または複数のコポリマーの全重量に対して、少なくとも70重量%の量の刺激可能両親媒性ブロックコポリマーから形成され;且つ
・層(B)は、該単層膜中の1または複数のコポリマーの全重量に対して、少なくとも70重量%の量の少なくとも1つの非刺激可能コポリマーから形成される。
【0075】
より特には、層(A)は、該刺激可能両親媒性ブロックコポリマーとして、該ブロックコポリマー ポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(4−ブチルオキシ−2'−(4−(メタクリロイルオキシ) ブチルオキシ)−4'−(4−ブチルオキシ−ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン (PEG−b−PMAazo444と示される)を有し、ここで該PMAazo444ブロックはUV光に対して感受性である。
【0076】
より特には、層(B)は、UV光に対して非感受性であるポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(ブタジエン)(PEG-b-PBDと示される)から本質的に形成される。
【0077】
例となる実施態様において、層(A)は、該ベシクルの外層を構成し、及び、層(B)は内層を構成する。
【0078】
他の例となる実施態様において、層(A)は該ベシクルの内層を構成し、及び、層(B)は外層を構成する。
【0079】
有利には、本発明の該ベシクルは、外層における、生体適合性親水性ブロックを備えられた、すなわちヒト又は動物の体への局所的又はin vivoでの適用に適合した、両親媒性ブロックコポリマーの存在に好都合である構造を有する。言及されうる好ましい生体適合性親水性ブロックは、ポリエチレングリコールである。
【0080】
液相、特には水性液相、を有する「コア」を含む本発明のベシクルはまた、該液相中に、少なくとも1つの活性成分、特には水溶性活性成分、を含みうる。これは次に、本発明に従うカプセル化された1または複数の活性成分を有するベシクルと称されうる。
【0081】
活性成分
【0082】
該活性成分は、すなわち例えば化粧料活性成分、皮膚科学的活性成分、医薬的活性成分、植物病理学的活性成分、ポリマー、及び/又は化学的試薬から選ばれる親水性活性成分でありうる。
【0083】
該活性成分は、例えば、ポリマー、殺虫剤、殺菌剤、化学的試薬、例えば酸化剤又は還元剤、磁性流体(ferrofluids)、及びこれらの混合物から選ばれうる。
【0084】
より特には、医薬的又は化粧的分野において、該活性成分は、保湿剤、落屑剤、着色剤、栄養素、糖、塩、電解質、酵素、ビタミン、タンパク質若しくはタンパク質の断片、遺伝子若しくは遺伝子の断片、遺伝子工学産物、ステロイド、アジュバント、鎮痛剤(soothing agents)及び/若しくは抗刺激剤、収斂剤、治療剤(healing agents)、抗炎症剤、抗ニキビ剤、抗酸化剤、皮膚弛緩剤(dermo-relaxing agents)、及び抗バクテリア剤から選ばれうる。
【0085】
本発明のベシクル中の活性成分の量は、関係する分野で慣用的に用いられるものである。
【0086】
本発明のポリマーソームは有利には、以下の適用分野において用いられうる:触媒反応器(例:ポリマー合成において収率を増加する);高分子産業プロセス;デポリューション(depollution);光反応器。
【0087】
他の特定の例示の実施態様に従い、本発明のポリマーソームは、以下の適用分野で特に有利である:環境(クリーンプロセス(clean processes)、自動車用デポリューション、揮発性有機化合物(VOC)の除去);エネルギー;ファインケミカル;ナノテクノロジー;ドラッグデリバリー;ソーラー反応器。
【0088】
上記言及された適用分野と関係する活性成分のうち、量子ドット、電解質、高分子電解質、無機材料のための無機前駆体溶液(例えばTiCl、Si(OEt)など)、制御されたラジカル重合の触媒、モノマー(例えば導電性又は半導性ポリマーの為のモノマーなど)、有機反応物などが言及されうる。
【0089】
本発明に従う非対称単層膜を有するベシクルは、異なる層(A)及び(B)の製造を許す任意の方法を用いて製造されてよく、該方法は、特に、非対称単層ベシクルを形成する為に、他と独立にそれぞれ層(A)及び(B)を集合させることからなる。
【0090】
製造方法
【0091】
上記で示されたとおり、本発明に従う非対称単層膜を有するベシクルを製造する方法は、以下を実行する:
・水性相を油性相中に、少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(X)の存在下において分散させて、水性滴の周りに該両親媒性ブロックコポリマーの層を形成すること;及び
・次に、該覆われた滴の周りに、該両親媒性ブロックコポリマー(X)と異なる少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(Y)を有する層を形成すること;
前記2つの工程のうちの1つだけが、該両親媒性ブロックコポリマーとして、外因性刺激により刺激されることができるブロックコポリマーの有効量を用いる。
【0092】
より特には、本発明のポリマーソームは、以下の技術を用いて得られてよく、これは、文献"Engineering asymmetric vesicles", PNAS, 2003年9月16日, vol.100, No.19, 10718-10721頁、に記載された非対称膜を有する脂質ベシクルを合成する方法からの着想をとる。
【0093】
それは、以下の相を含む三相系の使用に基づく:
第一に;
・上部の液状油性相(O1)、好ましくはトルエン、少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(Y)を含み、主に本発明に従うポリマーソームの外層を構成することが意図される;
・下部の水性相(W1)、これは該上部の液状油性相(O1)と隣接しており、該下部の水性相(W1)は該油性相(O1)よりも高密度である;
該上部油性相(O1)と該下部水性相(W1)との交差部分で、該上部油性相(O1)から得られる該両親媒性ブロックコポリマー(Y)により形成される中間層を有する;及び、
第二に
・第3の相、水性相(W2)を液状油性相(O2)、好ましくはトルエン、の中に、少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(X)の存在下において分散させることにより形成される。該両親媒性ブロックコポリマー(X)は、前記両親媒性ブロックコポリマー(Y)と異なり、該コポリマー(X)又は(Y)のうち1つだけが外因性刺激により刺激可能である。より正確には、該第3の相は、本質的には本発明のポリマーソームの内側層を形成することが意図された、両親媒性ブロックコポリマー(X)の層により覆われた水性滴を含む。
【0094】
該方法は、該第3の相を、重ねられた先立つ2つの相、すなわち相(W1)上の相(O1)、により形成された構造体の上面と接触させることを含み;本発明のベシクルは次に、該第3の相中に存在する該覆われた水性滴が、(Y)コポリマーの該中間層を通過するときに得られる。(Y)コポリマーの分子は、それ自体を、これらの覆われた水性滴の周りに組織して、該単層膜の該外層を形成し、該内層は、該水性滴を覆う(X)コポリマーにより形成される。今、二重に覆われたベシクルが、該下部の水性相(W1)中に回収される。
【0095】
所望の適用によって、種々の活性成分が、本発明のベシクル中にカプセル化されうる。
【0096】
一般に、該活性成分は水溶性であり、及び、当初の逆エマルジョンの水性相(W2)中に存在する。
【0097】
上記で議論されたとおり、少なくとも1つの活性成分を含む本発明のベシクルまたは該ベシクルを含む組成物は、1または複数の活性成分、特には水溶性活性成分、例えば医薬的分子、皮膚科学的分子、化粧料分子、合成若しくは天然のポリマー、殺バクテリア剤、農薬、殺菌剤、及び/又は化学的試薬など、のカプセル化、輸送、ベクター化(vectorization)、及び/又は放出の為に特に役立つ。活性成分のこのカプセル化、輸送、ベクター化、及び/又は放出は、好ましくは、in vivo、ex vivoで、特には角質物質、例えば皮膚またはケラチン繊維など、の上で、またはin vitroで、制御された化学応用(規定の時間及び場所における反応)の為に及び微小流体の分野において、実施される。
【0098】
制御された放出
【0099】
本発明に従う1以上の(1又はそれより多い)ポリマーソーム中にカプセル化された1または複数の活性成分の制御された放出は、層(A)及び(B)の1つを形成する少なくとも1つの刺激可能なコポリマーに関して反応性である外因性刺激に1または複数の該ポリマーソームを曝すことからなる。
【0100】
本発明の文脈において用いられるときに語「外因性刺激」は、興奮性の(刺激に反応できる)非対称単層膜における応答を引き起こすことができる外部の物理的又は化学的な、好ましくは物理的な作用因子を意味する。
【0101】
この刺激の性質が本発明のベシクルにおいて用いられる1または複数の刺激可能なコポリマーの種類に直接に関連付けられることが、理解されるべきである。
【0102】
当業者は、適当な刺激を選択するのに注意を払うであろう。該刺激は、実際には、該刺激可能な両親媒性ブロックコポリマーの性質に応じて(或るコポリマーは或る刺激について、他よりもより顕著な感受性を有する)、及び/又は本発明のポリマーソームについて意図される適用の種類に応じて、選択されるであろう。
【0103】
該外因性刺激は、例えばUV光、赤外光、電場、磁場、及び該刺激可能なコポリマーの化学的構造により調節されうる温度、特には20℃〜100℃、及び好ましくは30℃〜80℃の誘発温度、から選択されうる。
【0104】
好ましくは、刺激可能な該外因性刺激はUV光である。
【0105】
この外因性刺激は、本発明のベシクルに対して、例えばtrans配置からcis配置へのアゾベンゼンモチーフにおける変化により引き起こされる該刺激可能なコポリマーの立体配置への修正により該ベシクルが破裂することを引き起こす為に、十分であり且つ該刺激可能な両親媒性ブロックコポリマーの性質による強度及び期間を用いて、働かされなければならない。理論にとらわれることを望まないで、刺激可能なコポリマーの有効量の立体配置へのこの修正は、該2つの層(A)及び(B)のただ一つにおいて過剰な表面積を生成し、そしてすなわち、該ベシクルの単層膜内に十分大きな曲率の変化を生成して、その破裂を引き起こすとみえ、その結果が、該ベシクルが破裂し及び該カプセル化された1または複数の活性成分が放出されることである。
【0106】
この現象は、該刺激可能なコポリマーの場所に関係なく起こり、すなわち内層又は外層において起こることが注意されるべきである。
【0107】
この制御された放出の方法は、(i)in vitroで、巨視的環境、または微小流体的環境、またはナノ流体的環境さえで、(ii)生きている生物で(in vivoで)、標的臓器中で、又は(iii)生きている生物上で(ex vivoで)、実施されうる。この実施において、該ベシクルは例えば、それらを含む組成物を介して局所的に施与されうる。
【0108】
以下の実施例及び図面が、本発明の非限定的な説明の為に与えられる。略称PEG-b-PMAazo444、PEG-b-PA444、及びPEG-b-PBDは夫々、ブロックコポリマー ポリエチレングリコール-b-ポリ((4-ブチルオキシ-2'-(4-(メタクリロイルオキシ)ブチルオキシ)-4'-(4-ブチルオキシ-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ブロックコポリマー ポリエチレングリコール-b-ポリ(4''-アクリルオキシブチル2,5-ジ(4'-ブチルオキシ-ベンゾイルオキシ)ベンゾエート、及びブロックコポリマー ポリエチレングリコール-b-ポリブタジエンを意味する。
【0109】
図1は、アゾベンゼン分子の可逆的異性化を示す。
【0110】
図2は、PEG-b-PMAazo444及びPEG-b-PBDの化学構造を示す。
【0111】
図3は、該刺激可能な非対称ポリマーソーム膜の層(A)中の光刺激可能な液晶ブロックの形における変化の概略図であり、該真っ直ぐなシリンダーは、UV照射前の液晶性質を有するアゾベンゼン基を有するモチーフを表し、及び、該曲がったシリンダーは、UV照射後のアゾベンゼン基を有し、それらの液晶的特徴を失ったモチーフを表す。
【0112】
図4a及び4bは、ポリマーソームの破裂シーケンスを示す写真並びにこの破裂を示す図であり、図4aについて内層として刺激可能層(A)を有し、又は、図4bについて外層として層(A)を有する。図4a及び4bにおいてバースケールは10μmを表す。時間Δt=0は、該ポリマーソームの破裂が開始し及び該カプセル化されたスクロースが放出されたときに対応する。
【実施例1】
【0113】
本発明に従う非対称単層膜を有するベシクルの合成方法
【0114】
以下の文において、コポリマー(X)はPEG-b-PMAazo444であり、この合成は、Chem. Commun., 2005, 4345-4347, 及びLiq. Cryst., 2000, 27, 1497、に記載されており、そして化合物(Y)はPEG-b-PBD(Polymer Sourceにより販売されている)(Mn=2300/5000)であった。
【0115】
例1〜4のポリマーソームの合成方法は、Langmuir, 2003, 19, 2870に記載された方法の適応に由来する。
【0116】
より正確には、本発明に従うポリマーソーム、すなわち例えば実施例2において用いられるもの、を調製する場合に、以下が実施された:
【0117】
a)第1の油性相は、コポリマー(X)を3mg/mL(ミリグラム/ミリメートル)の濃度で、トルエン中で50℃で2時間、ソニケーション及び溶解をすることにより調製された。
【0118】
同時に、水性溶液もまた、Dextran(SIGMAから市販入手可能である、Mw=40000g/mol(グラム/モル))を1mL当たり100mgの濃度で補われた、380mOsm(ミリオスモル)を有するバッファー溶液から調製された。
【0119】
5μLのこの水性溶液が次に、遠心チューブ(EPPENDORF)中の前記油性相の500μLへと添加された;逆乳化が、穏やかな条件下で、シリンジを用いた繰り返しのピペッティングにより実施された。
【0120】
b)同時に、グルコースの380mOsm溶液の30μLが遠心チューブ中に置かれ、そして、30μLのコポリマー(Y)含有油性相(コポリマー(Y)を3mg/mLの濃度でトルエン中で50℃で2時間ソニケーション及び溶解することにより調製された)が、この水性相の表面に穏やかに添加された。それらの両親媒性性質の故に、(Y)コポリマーは、該油性相から界面に向かって拡散する傾向があった。該油性相と該水性相との間の界面の完全な被覆は、コポリマー(Y)を用いて5分後に達成された。
【0121】
c)最後に、a)において調製されたエマルジョン50μLが、b)に従い調製された遠心チューブの表面に移され、そして次に、集合物が直接に且つ即時に、以下のサイクルの1つを選択して遠心された(54 17R、EPPENDORF):100g(グラム)で12分間、350gで8分間の次に500gで3分間、又は100gで12分間。比較すると、第1のサイクルが、ベシクルの数の点でより良い収率を与えた;第2のサイクルがわずかにより大きな直径を有するベシクルの集団を与えた。遠心することは、両親媒性ポリマーの単層により覆われた界面を横切って該逆エマルジョンの滴の沈降及びすなわち期待されたポリマーソーム(すなわちPEG-b-PMAazo444の外層(A)、PEG-b-PBDの内層(B)及びカプセル化された活性成分としてのスクロースを有する非対照的単層膜を有するポリマーソーム)の形成を加速する利点を有した。
【実施例2】
【0122】
スクロースについての制御された放出プロセスの実証
【0123】
以下の方法が、この放出を観察する為に用いられた:PEG-b-PMAazo444の外層(A)、PEG-b-PBDの内層(B)及びカプセル化された活性成分としてのスクロースを有する非対照的単層膜を有するポリマーソームを含む溶液(水性の外側、該ベシクルの内側媒体を構成するスクロースの水性溶液と同一のオスモル濃度(osmolarity)を有するグルコース;20〜500mOsm、及び好ましくは約350mOsmのオスモル濃度)が実施例1に記載されたとおりに調製された。
【0124】
同時に、PEG-b-PMAazo444の内層(A)、PEG-b-PBDの外層(B)及びカプセル化された活性成分としてのスクロースを有するポリマーソームを含む溶液も調製され、該ポリマーソームは、コポリマー(X)としてのPEG-b-PBD及びコポリマー(Y)としてのPEG-b-PMAazo444により、実施例1に記載されたものと同様の方法を用いて合成された。
【0125】
該溶液は、それぞれ、スペーサー、例えばVitrexシーリングペースト(sealing paste)、により隔てられた2つのガラススライドから構成される封されたセル中に導入された。次に、該セルが、360nmフィルター(U−360 Band Filter、Edmund Optics)、及びもし該セルの加熱が限定されるべきであるならば任意的に熱反射ミラー(heat-relfective mirror、Mirror Hot 0deg 50MM SQ、Edmund Optics)、を備えられた慣用のUVランプを用いて、マイクロスコープの対物レンズ(objective)を通じて照射された。
【0126】
30秒〜4分間の照射後、該曝されたポリマーソームの破裂/全デフラグメンテーション(total defragmentation)が、スクロースの開放により観察され、該ベシクルの破裂に先立つ曝露時間が、該ランプの電力(the power of the lamp)に反比例したことが分かった。
【0127】
該マイクロスコープのオプティクス(optics)は、最大量のUV光を中継する為に好ましく適合された(UV対物−Olympus、40×、UApo340;UV反射ミラー−Omega)。
【0128】
比較例3及び4
溶液(外側水性グルコース溶液、該ベシクルの内部媒体を構成するスクロースの水性溶液と同一のオスモル濃度;20mOsm〜500mOsm、好ましくは約350mOsmのオスモル濃度)であって、PEG-b-PMAazo444の外層及び内層並びにカプセル化された活性成分としてスクロースを有する対称な単層膜を有するポリマーソームを有する上記溶液(比較例3)、並びに、PEG-b-PBDの外層及び内層並びにカプセル化された活性成分としてスクロースを有するポリマーソームを有する上記溶液(比較例4)が調製された。
【0129】
該2種類のポリマーソームは、比較例3についてはコポリマー(X)及びコポリマー(Y)としてPEG-b-PMAazo444を用いたこと及び比較例4についてはコポリマー(X)及びコポリマー(Y)としてPEG-b-PBDを用いたこと以外は、実施例1において上記記載されたものと同様の方法を用いて合成された。
【0130】
これらの溶液がそれぞれ、スペーサーによって隔てられた2のガラススライドから構成される封されたセルに導入された。次に、該セルが、360nmフィルター(U−360 Band Filter、Edmund Optics)及び熱反射ミラー(Mirror Hot 0deg 50MM SQ、Edmund Optics)を備えられた慣用のUVランプを用いて、マイクロスコープの対物レンズを通じて照射された。
【0131】
PEG-b-PMAazo444に基づく対称ポリマーソームの溶液(比較例3)に関して、それらの体積の減少が、該ベシクルの集団について30%〜70%の範囲で、1分〜4分の照射の終わりで、しかし、最終的な破裂/デフラグメンテーション(explosion/defragmentation)ステージに至ること無く、観察された。さらに、所定の最小体積に達した後、該ベシクルは、さらに10分間の照射が維持されたにもかかわらず、もはや変化しなかった。
【0132】
PEG-b-PBDに基づく対称ポリマーソームの溶液(比較例4)に関して、該ポリマーソームの修正は、360nmフィルター(U−360 Band Filter、Edmund Optics)及び熱反射ミラー(Mirror Hot 0deg 50MM SQ、Edmund Optics)を備えられた慣用のUVランプによる、実施例2で用いられたものと同一の条件下での照射への15分の曝露後に観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非対称単層膜を有するベシクルであって、該膜は、2つの異なる層、すなわち層(A)及び層(B)、によって構成されており、該2つの層は重ね合わせられており、且つ、それそれが少なくとも1つのそれぞれの両親媒性ブロックコポリマーを有するところの該ベシクルにおいて、層(A)が、外因性刺激によって刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する両親媒性ブロックコポリマーの有効量を有し、該コポリマーによって提供される該刺激可能なブロックは、該外因性刺激に応答して、該単層膜の破裂を条件付ける新規立体配置を採ることができること、および、該層(B)が、該外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する両親媒性ブロックコポリマーの有効量を有さないことを特徴とする、前記ベシクル。
【請求項2】
該刺激可能な両親媒性ブロックコポリマーが、少なくとも1つの親水性ブロックと少なくとも1つの光刺激可能な液晶疎水性ブロックとを有するコポリマーから選ばれたものである、請求項1に記載のベシクル。
【請求項3】
該光刺激可能な液晶疎水性ブロックが少なくとも1つのアゾベンゼン基を有する、請求項2に記載のベシクル。
【請求項4】
該光刺激可能な液晶疎水性ブロックが、ポリ(4-ブチルオキシ-2'-(4-(メタクリロイルオキシ)ブチルオキシ)-4'-(4-ブチルオキシベンゾイルオキシ)アゾベンゼン)、ポリ(4-ブチル-2'-(4-(メタクリロイルオキシ)ブチルオキシ)-4'-(4-ブチルオキシ-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-ブチルオキシ-2'-(4-(アクリロイルオキシ)ブチルオキシ)-4'-(4-ブチルオキシ-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-ブチル-2'-(4-(アクリロイルオキシ)ブチルオキシ)-4'-(4-ブチルオキシ-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-アルキルオキシ-2'-(メタクリロイルオキシアルキルオキシ)-4'-(4-アルキルオキシ-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-アルキルオキシ-2'-(アクリロイルオキシアルキルオキシ)-4'-(4-アルキルオキシ-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-アルキル-2'-(メタクリロイルオキシアルキルオキシ)-4'-(4-アルキルオキシ-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-アルキル-2'-(アクリロイルオキシアルキルオキシ)-4'-(4-アルキルオキシ-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-アルキル-2'-(メタクリロイルオキシアルキルオキシ)-4'-(4-アルキル-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-アルキル-2'-(アクリロイルオキシアルキルオキシ)-4'-(4-アルキル-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-アルキルオキシ-2'-(メタクリロイルオキシアルキルオキシ)-4'-(4-アルキル-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(4-アルキルオキシ-2'-(アクリロイルオキシアルキルオキシ)-4'-(4-アルキル-ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、ポリ(6-[4-(4-メトキシフェニルアゾ)フェノキシ]ヘキシルメタクリレート、及びポリ(6-[4-(4-メトキシフェニルアゾ)フェノキシ]ヘキシルアクリレートから選ばれたものである、請求項3に記載のベシクル。
【請求項5】
該疎水性ブロックが、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、ポリ(N−アルキルアミノアクリレート)、ポリ(アクリル酸−コ−オリゴ(エチレングリコール)アクリレート)、ポリ(メタクリル酸−コ−オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)アクリレート)、及びポリ(2−(2’−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート−コ−オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート)から選ばれたものである、請求項2〜4のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項6】
層(B)が、該外因性刺激に対して非感受性であるコポリマーから主に形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項7】
層(B)が、ポリエチレングリコール−ポリブタジエンブロックコポリマー、ポリアクリル酸−ポリスチレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリスチレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリエチルエチレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリブタジエンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール−ポリ−L−乳酸ブロックコポリマー、及びポリエチレングリコール−ポリカプロラクトンブロックコポリマーから選ばれる少なくとも1つのコポリマーから形成されたものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項8】
層(A)が、該単層膜中のコポリマーの全重量に対して、少なくとも70重量%の量の刺激可能両親媒性ブロックコポリマーから形成されており;且つ
層(B)が、該単層膜中のコポリマーの全重量に対して、少なくとも70重量%の量の少なくとも1つの非刺激可能なコポリマーから形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項9】
層(A)が、少なくとも該刺激可能な両親媒性ブロックコポリマーとして、ポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(4−ブチルオキシ−2'−(4−(メタクリロイルオキシ)ブチルオキシ)−4'−(4−ブチルオキシ−ベンゾイルオキシ)アゾベンゼン、これはUV光に対して感受性である、を有し;
層(B)が、UV光に対して非感受性であるポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(ブタジエン)から本質的に形成される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項10】
該外因性刺激が、UV光、赤外光、電場、磁場、及び温度から選ばれたものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項11】
該非対称単層膜中のコポリマーの全重量に対して、該ベシクルの層(A)が、10重量%超、特には20〜95重量%、特には30〜70重量%、あるいは40重量%超さえの刺激可能な両親媒性ブロックコポリマーを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項12】
該非対称単層膜中のコポリマーの全重量に対して、該ベシクルの層(B)が、10重量%〜95重量%、好ましくは30重量%〜70重量%の、外因性刺激に対して非感受性の両親媒性ブロックコポリマーを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項13】
その平均直径が100μm〜20nm、又は75μm〜50nm、及びより特には50μm〜100nmである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項14】
少なくとも1つの親水性活性成分、特にはポリマー、化学的試薬、及び医薬的活性成分及び植物病理学的活性成分、皮膚科学的活性成分及び/又は化粧料活性成分から選ばれる親水性活性成分をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のベシクル。
【請求項15】
親水性又は生理学的に許容できる媒体中に請求項1〜14のいずれか1項に記載の少なくとも1つのベシクルを有する組成物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の非対称単層膜を有するベシクルを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(X)の存在下において、水性滴のまわりの該両親媒性ブロックコポリマー(X)の層の形成に好都合な条件下で、油性相中に水性相を分散させること、
b)前記ステップの最後に得られた該覆われた滴を、該両親媒性ブロックコポリマー(X)と異なる少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(Y)と、ステップa)において形成された層に重ねられた該両親媒性ブロックコポリマー(Y)を有する層の形成に好都合な条件下で、接触させること、及び
c)非対称単層膜を有する該ベシクルを水性相中に回収すること
からなるステップを少なくとも含むこと、および
ステップa)及びb)のステップのうちただ一つが、該両親媒性ブロックコポリマーとして、外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマーの有効量を用いることを特徴とする前記方法。
【請求項17】
ステップb)の層の形成が油性相と水性相との界面で起こる、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
他のステップが、該外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する両親媒性ブロックコポリマーを有さない、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のベシクル中に、少なくとも1つの親水性活性成分、特には化粧料分子、皮膚科学的分子又は医薬的分子、ポリマー及び/又は化学的試薬、をカプセル化する方法において、
a)少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(X)の存在下において、1または複数の該活性成分を有する水性滴のまわりにおける該両親媒性ブロックコポリマー(X)の層の形成に好都合である条件下において、少なくとも1つの活性成分を有する水性相を油性相中に分散させること、
b)前のステップから得られた該覆われた滴を、ステップa)において形成された該層に重ねあわされた該両親媒性ブロックコポリマー(Y)を有する層の形成に好都合な条件下で、該両親媒性ブロックコポリマー(X)と異なる少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマー(Y)の存在下に持ち込み、そして
c)1または複数の該活性成分を有する非対称単層膜を有する該ベシクルを水性相中に回収すること、
からなるステップを少なくとも含むこと、および、
ステップa)又はb)のうち1つだけが、該両親媒性ブロックコポリマーとして、外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する少なくとも1つの両親媒性ブロックコポリマーの有効量を用いることを特徴とする、前記方法。
【請求項20】
請求項13に記載の非対称単層膜を有するベシクル中に含まれる少なくとも1つの活性成分の制御された放出の方法であって、外因性刺激により刺激されることができる少なくとも1つのブロックを有する該両親媒性ブロックコポリマーの立体配置の修正を誘発することができる外因性刺激に、該ベシクルの該単層膜の破壊を誘発するのに十分である条件下において、該ベシクルをさらすことからなる前記方法。
【請求項21】
該外因性刺激が、UV光、赤外光、電場、磁場、及び該刺激可能なコポリマーの化学的構造により調節されうる温度、特には20℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃の誘発温度、から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
in vitroで少なくとも1つの活性成分をカプセル化、輸送、ベクター化及び/又は放出する為に、請求項1〜13のいずれか1項に定義されたベシクルを使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2012−502899(P2012−502899A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526623(P2011−526623)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054033
【国際公開番号】WO2010/032199
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(506413937)
【出願人】(500531141)セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク (84)
【出願人】(511063642)ユニベルシテ ピエール エ マリー キュリー (1)
【Fターム(参考)】