説明

剥離ライナー、粘着テープ及び粘着テープ巻回体

【課題】 ボビン巻きの粘着テープ巻回体の剥離ライナーとして用いた場合に、テープ巻き取り時等において該剥離ライナーが不用意に剥離したり、テープの巻きずれが生じたり、テープ間に気泡を噛むということが無く、しかも粘着テープ使用時には容易に粘着剤層から剥離できる剥離ライナーを提供する。
【解決手段】 本発明の第1の剥離ライナーは、アクリル板に対するピール接着力(23℃)が0.02N/20mm〜0.5N/20mmである剥離性層を有する単層又は積層フィルムからなる。本発明の第2の剥離ライナーは、エチレン−酢酸ビニル樹脂で構成された剥離性層を有する単層又は積層フィルムからなる。上記の各剥離ライナーは基材と剥離性層とで構成された積層フィルムからなっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離ライナー、該剥離ライナーを用いた粘着テープ及び粘着テープ巻回体に関する。
【背景技術】
【0002】
曲面や凹凸面を有する被着体に貼付する粘着テープとして、気泡含有粘着テープ等の粘着剤層の厚みの大きい粘着テープが用いられている。粘着テープは、粘着剤層の片面又は両面に剥離ライナー(セパレータ)を仮着した状態で巻芯に巻き取った粘着テープ巻回体として流通させる場合が多い。このような粘着テープを巻芯に巻き取る方法として、粘着テープを巻芯に同一位置で同心状(ドーナッツ状)に巻き取るレコード巻きと、粘着テープを幅方向に綾振りして巻芯(ボビン)にスパイラル状に巻き取るボビン巻きとが知られている。気泡含有粘着テープ等の粘着剤層の厚みの大きい粘着テープでは、レコード巻きにすると巻き付け長さ(巻きメーター数)が小さくなるので、ボビン巻きを採用することが多い。
【0003】
上記のボビン巻きの粘着テープ巻回体では、テープ巻き張力等による圧力で粘着剤層が剥離ライナーの縁端よりはみ出してテープがブロッキングしやすいという問題がある。このため、粘着テープ本体(粘着剤層)の幅よりも剥離ライナーの幅を大きくして、隣接テープ間における粘着剤層側部(側面)のブロッキングを防止する方法が提案されている。また、実開昭63−199147号公報には、基材の両面に基材巾両端部を除いて粘着層を設け、基材片面の粘着層にセパレータを仮着した粘着テープが提案されている。
【0004】
【特許文献1】実開昭63−199147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粘着テープ巻回体の剥離ライナーとしては、一般に基材表面に剥離処理層を設けたものや、フッ素系ポリマー又は無極性ポリマーからなるフィルムなどが用いられている。しかし、ボビン巻きの粘着テープ巻回体においては、従来の剥離ライナーでは滑りが良すぎて、テープ巻き取り時等において該剥離ライナーが不用意に剥離したり、特に粘着剤層側部でのブロッキングを防止するため粘着テープ本体(粘着剤層)の幅よりも剥離ライナーの幅を大きくした場合には、粘着テープを巻き取ると、剥離ライナーの粘着テープ本体(粘着剤層)よりはみ出た部分の剥離面が隣接する粘着テープの剥離ライナーの背面と接する形となるため、巻き取ったテープが幅方向(左右)にずれたり、粘着テープ間に空気が入ってしまい、緊密且つ整然と巻回された外観の良好な粘着テープ巻回体が得られにくいという問題がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ボビン巻きの粘着テープ巻回体の剥離ライナーとして用いた場合に、テープ巻き取り時等において該剥離ライナーが不用意に剥離したり、テープの巻きずれが生じたり、テープ間に気泡を噛むということが無く、しかも粘着テープ使用時には容易に粘着剤層から剥離できる剥離ライナー、並びにこのような剥離ライナーを用いた粘着テープ及び粘着テープ巻回体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ピール接着力が特定の範囲にある剥離性層を有する剥離ライナー、又は特定の樹脂で構成された剥離性層を有する剥離ライナーを用いると、粘着テープをボビン巻きにして巻回しても、粘着テープのずれや空気の噛み込みを防止でき、外観の良好な粘着テープ巻回体の得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、アクリル板に対するピール接着力(23℃)が0.02N/20mm〜0.5N/20mmである剥離性層を有する単層又は積層フィルムからなる剥離ライナー(以下、「第1の剥離ライナー」と称する場合がある)を提供する。
【0009】
本発明は、また、エチレン−酢酸ビニル樹脂で構成された剥離性層を有する単層又は積層フィルムからなる剥離ライナー(以下、「第2の剥離ライナー」と称する場合がある)を提供する。
【0010】
上記の各剥離ライナーは基材と剥離性層とで構成された積層フィルムからなっていてもよい。
【0011】
本発明は、さらに、粘着剤層の一方の面に前記の各剥離ライナー[第1の剥離ライナー又は第2の剥離ライナー(以下、これらを「剥離ライナーA」と総称する場合がある)]が仮着されている粘着テープを提供する。
【0012】
この粘着テープにおいて、粘着剤層がアクリル系粘着剤からなるものが好ましい。また、粘着剤層は気泡含有粘着剤層であってもよい。剥離ライナーAの幅は粘着剤層の幅より広いのが好ましい。
【0013】
また、前記粘着テープにおいて、さらに粘着剤層の他方の面にも剥離ライナー(剥離ライナーB)が仮着されていてもよい。
【0014】
本発明は、また、前記粘着剤層の他方の面に剥離ライナーBが仮着されている粘着テープを、巻芯に、該剥離ライナーB側を内側にしてボビン巻きにした粘着テープ巻回体を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、剥離ライナーの剥離面が微接着性或いは微粘着性を有しているため、粘着テープをボビン巻き巻回体とする場合、巻回時等において剥離ライナーが不用意に剥離することが無く、また特に粘着剤層側部でのブロッキングを防止するため粘着テープ本体(粘着剤層)の幅よりも剥離ライナーの幅を大きくした場合にも、剥離ライナーの粘着テープ本体(粘着剤層)よりはみ出た部分の剥離面と、隣接する粘着テープの剥離ライナーの背面とが弱い力で接着するため、密着性が向上し、巻き取ったテープが幅方向(左右)にずれたりテープとテープとの間に空気が入るのを防止できる。このため、粘着テープが緊密に且つ整然と巻芯に巻回された(所望の巻き形態が保持された)外観の良好な粘着テープ巻回体が得られる。また、剥離ライナーの剥離面の接着性は極めて弱いため、粘着テープ使用時には容易に粘着剤層から剥離除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[剥離ライナーA]
本発明の第1の剥離ライナーは、アクリル板に対するピール接着力(23℃)が0.02N/20mm〜0.5N/20mmの微接着性の剥離性層を有する単層又は積層フィルムからなる。このアクリル板に対するピール接着力は、引張試験機を用い、23℃の温度条件で、アクリル板[三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリライトL」;ポリメタクリル酸メチルエステルからなる合成樹脂板、無色、板厚2mm]に剥離ライナーの試験片(20mm幅)を剥離面(剥離性層の表面)を下側にして置き、試験片の上から2kgのローラーを毎分300mmの速さで一往復させて圧着し、30分後、試験片の遊びの部分を180°に折り返し、毎分300mmの速さで試験片を引きはがして、そのときの力を測定することにより得られる(JIS Z0237に準じる)。
【0017】
上記アクリル板に対するピール接着力の下限は、好ましくは0.03N/20mm、さらに好ましくは0.04N/20mmであり、上限は、好ましくは0.3N/20mm、さらに好ましくは0.2N/20mmである。上記ピール接着力が0.02N/20mm未満では、剥離面の接着力が弱すぎて、ボビン巻きの粘着テープ巻回体の剥離ライナーとして用いた場合に、巻回時等において不用意に剥離したり、特に粘着剤層より幅の広い剥離ライナーを用いる際には、剥離ライナーの剥離面と隣接する粘着テープの剥離ライナーの背面との間で滑りが生じて粘着テープがずれたり、テープ間に気泡を噛んだりして、外観の劣った巻回体が得られる。また、上記アクリル板に対するピール接着力が0.5N/20mmを超えると、剥離面の接着力が強すぎて、粘着テープの巻き戻しに支障を来したり、粘着テープ使用時に剥離ライナーが剥がれにくくなって作業性が低下する。
【0018】
なお、剥離ライナーの剥離面の接着性が高温下で上昇したり、経時的に上昇する場合には、粘着テープの巻き戻しに支障を来したり、粘着テープ使用時に剥離ライナーの剥離性が低下するおそれが生じる。そのため、剥離ライナーは、50℃で24時間保存後のアクリル板に対するピール接着力が、0.02N/20mm〜0.8N/20mm、特に0.05N/20mm〜0.5N/20mmの範囲であるのが好ましい。このピール接着力は、上記と同様にしてアクリル板に剥離ライナーの試験片(20mm幅)をローラーで圧着し、50℃で24時間保存した後、試験片の遊びの部分を180°に折り返し、毎分約300mmの速さで試験片を引張試験機により引きはがして、そのときの力を測定することにより得ることができる。
【0019】
また、剥離ライナーでは、特にボビン巻きに巻き取る際、粘着剤層同士の側面での接着を防ぐ目的で接着剤層より幅を広くする場合には、剥離ライナーの剥離面と隣接する粘着テープの剥離ライナーの背面との間で滑りが生じるのを防止するため、剥離面は自背面に対して適度の接着性を有するのが好ましい。例えば、剥離ライナー剥離面の自背面(剥離性層のみからなる単層フィルムの場合は剥離性層の背面、基材と剥離性層からなる積層フィルムの場合には基材の背面)に対するピール接着力(23℃)が、0.02N/20mm〜0.5N/20mm、特に0.03N/20mm〜0.3N/20mm、とりわけ0.04N/20mm〜0.2N/20mmの範囲にあるのが好ましい。また、50℃で24時間保存後の剥離ライナー剥離面の自背面に対するピール接着力は、0.02N/20mm〜0.8N/20mm、特に0.05N/20mm〜0.5N/20mmの範囲であるのが好ましい。これらのピール接着力は、アクリル板に代えて剥離ライナーの自背面を用いる以外は上記アクリル板に対するピール接着力と同様にして測定することができる。
【0020】
剥離ライナーにおける剥離性層としては、ピール接着力が上記の範囲に入るような微接着性を有する層であれば特に限定されず、例えば1種又は2種以上の樹脂により構成できる。該樹脂は粘着テープの粘着剤層中のベースポリマーに応じて選択できる。例えば、粘着テープの粘着剤がアクリル系粘着剤等の場合には、剥離性層をエチレン−酢酸ビニル樹脂等のエチレンコポリマーで構成すると、粘着剤層に対して適度な剥離性が得られる。剥離性層をエチレン−酢酸ビニル樹脂で構成する場合、該エチレン−酢酸ビニル樹脂における酢酸ビニル含有量は、例えば10〜30重量%、好ましくは11〜25重量%、さらに好ましくは12〜20重量%である。酢酸ビニル含有量が少なすぎると、接着性が低くなりすぎてボビン巻きに巻き取る際にテープがずれやすくなり、逆に多すぎると、接着性が高くなりすぎてテープの巻き戻しに支障を来すおそれがある。
【0021】
剥離ライナーの剥離面のピール接着力は、剥離性層を構成する樹脂の種類等により調整でき、特に剥離性層をエチレン−酢酸ビニル樹脂等のエチレンコポリマーで構成する場合には、コモノマーの種類及びその含有量等により調整できる。また、剥離性層に適宜な添加剤を添加してピール接着力を調整してもよい。
【0022】
剥離ライナーを基材(剥離ライナー用基材)と剥離性層との積層体で構成する場合、基材としては特に制限はなく、例えば、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)のほか、これらの積層体などが挙げられる。これらの中でも、オレフィン系樹脂フィルム、特に低密度ポリエチレンフィルムなどのポリエチレンフィルムが好ましい。
【0023】
本発明の第2の剥離ライナーは、エチレン−酢酸ビニル樹脂で構成された剥離性層を有する単層又は積層フィルムからなる。エチレン−酢酸ビニル樹脂における酢酸ビニル含有量は、前記と同様、例えば10〜30重量%、好ましくは11〜25重量%、さらに好ましくは12〜20重量%である。この剥離ライナーは、必要に応じて、エチレン−酢酸ビニル樹脂以外の成分(他の樹脂や添加剤等)を少量含んでいてもよい。エチレン−酢酸ビニル樹脂で構成された剥離性層におけるエチレン−酢酸ビニル樹脂の含有量は、例えば70重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上であり、前記剥離性層が実質的にエチレン−酢酸ビニル樹脂のみで構成されていてもよい。
【0024】
第2の剥離ライナーにおいても、第1の剥離ライナーと同様、基材と剥離性層との積層体で構成されていてもよい。また、前記のピール接着力(アクリル板に対するピール接着力、自背面に対するピール接着力)を有しているのが好ましい。
【0025】
本発明の剥離ライナー(剥離ライナーA)の厚みは、粘着テープの巻き取り作業性や操作性、粘着テープ使用時の剥離ライナーの剥離作業性等を考慮して適宜選択できるが、一般には10〜300μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは30〜100μm程度である。剥離ライナーを基材(剥離ライナー用基材)と剥離性層とで構成する場合、基材の厚みは、例えば5〜200μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは15〜70μmであり、剥離性層の厚みは、例えば5〜150μm、好ましくは8〜80μm、さらに好ましくは10〜60μmである。剥離性層の厚みが小さすぎると、剥離力にばらつきが生じやすくなり、逆に大きすぎると、作業性が問題になりやすい。
【0026】
本発明の剥離ライナーは、押出し法、共押出し法、ドライラミネート法、コーティング法等の公知のフィルム形成法及びフィルム積層法により製造することができる。剥離ライナーが基材と剥離性層との積層体の場合には、基材を構成する樹脂と剥離性層を構成する樹脂とを共押出しして剥離ライナーを製造する方法が好適である。
【0027】
[粘着テープ]
本発明の粘着テープでは、粘着剤層の一方の面に前記本発明の剥離ライナー(剥離ライナーA)が仮着されている。
【0028】
図1は本発明の粘着テープの一例を示す概略断面図である。この粘着テープは、粘着剤層4と、該粘着剤層4の一方の面に仮着された、粘着剤層4より幅の広い剥離ライナー3と、粘着剤層4の他方の面に仮着された、粘着剤層4と幅の等しい剥離ライナー5とで構成されている。剥離ライナー3は基材1と剥離性層2との積層体で構成されており、剥離性層2側の面で粘着剤層4に仮着している。
【0029】
この例では、剥離ライナー3として本発明の剥離ライナー(剥離ライナーA)が用いられている。そのため、後述するように、粘着テープをボビン巻きに巻き取る際に剥離ライナー3が簡単に剥離するようなことが無く、また剥離ライナー3の粘着剤層4よりはみ出た部分の剥離面と、隣接する粘着テープの剥離ライナーの背面とが適度に密着して、巻き取ったテープが横にずれたりテープとテープとの間に気泡が入るのを防止又は抑制できる。また、剥離ライナーの剥離面の接着性は極めて弱いため、粘着テープ使用時には容易に粘着剤層から剥離除去できる。
【0030】
なお、剥離ライナー3は、必ずしも粘着剤層4より幅が広くなくてもよい(粘着剤層4と同じ幅であってもよい)が、粘着テープをボビン巻きにする場合には粘着テープの粘着剤層の側部と隣接する粘着テープの粘着剤層の側部が接着(ブロッキング)しやすいので、図1の例のように、剥離ライナー3の幅は粘着剤層4の幅より広いのが好ましい。剥離ライナーの幅は、粘着剤層4の幅に対して、好ましくは1.1〜3倍、より好ましくは1.2〜2.5倍程度である。粘着剤層4は、通常、剥離ライナー3上に、該剥離ライナー3の幅方向の両端部を余して設けられる。
【0031】
粘着剤層4としては特に限定されないが、本発明では、ボビン巻きの粘着テープ巻回体として流通に付される厚みの大きい粘着剤層を有する粘着テープ、特に気泡含有粘着剤層を有する粘着テープの場合に大きな利益が得られる。
【0032】
粘着剤層4を構成する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、エポキシ系粘着剤などを1種又は2種以上組み合わせて使用できる。また、粘着剤として光硬化型粘着剤(紫外線硬化型粘着剤など)を用いることもできる。
【0033】
本発明では、粘着剤層4を構成する粘着剤としてはアクリル系粘着剤が特に好ましい。アクリル系粘着剤は、通常、ベースポリマーとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするアクリル系ポリマーを含有している。
【0034】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C2−14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2−10アルキルエステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0035】
これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。アクリル系ポリマー中の(メタ)アクリル酸エステル[特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル]の割合は、アクリル系粘着剤を調製するためのモノマー成分全量に対して、例えば60重量%以上、好ましくは80重量%以上である。
【0036】
前記アクリル系ポリマーでは、モノマー成分として、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種の共重合性モノマーが用いられていてもよい。モノマー成分として共重合性モノマーを用いることにより、接着力を向上させたり、粘着剤の凝集力を高めたりすることができる。共重合性モノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
前記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有モノマー;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマーなどが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその無水物が好適である。
【0038】
極性基含有モノマーの使用量としては、アクリル系粘着剤(アクリル系ポリマー)を調製するためのモノマー成分全量に対して30重量%以下(例えば、1〜30重量%)であり、好ましくは3〜20重量%である。極性基含有モノマーの使用量が30重量%を超えると、アクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、粘着剤の感圧接着性が低下するおそれがある。なお、極性基含有モノマーの使用量が少なすぎると、アクリル系粘着剤の凝集力が低下し、高いせん断力が得られないおそれがある。
【0039】
前記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0040】
多官能性モノマーの使用量としては、アクリル系粘着剤を調製するためのモノマー成分全量に対して2重量%以下(例えば、0.01〜2重量%)であり、好ましくは0.02〜1重量%である。多官能性モノマーの使用量が2重量%を超えると、アクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、粘着性が低下するおそれがある。なお、多官能性モノマーの使用量が少なすぎると、アクリル系粘着剤の凝集力が低下する場合がある。
【0041】
また、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレートなどを使用することもできる。
【0042】
アクリル系粘着剤の調製に際して、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤を用いた熱や活性エネルギー線による硬化反応を利用することができる。すなわち、アクリル系粘着剤組成物には、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤が含まれていてもよい。例えば、気泡含有粘着剤層を形成する場合には、気泡が混合された状態で粘着剤組成物を熱やエネルギー線で硬化させることにより、気泡が安定して含有された構造を有する気泡含有粘着剤層を容易に形成することができる。
【0043】
重合開始剤としては、重合時間を短くすることができる利点などから、光重合開始剤を好適に用いることができる。重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
前記光重合開始剤としては、特に制限されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。
【0045】
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系粘着剤を調製するための全モノマー成分100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
【0046】
光重合開始剤の活性化に際しては、活性エネルギー線をアクリル系粘着剤組成物に照射することが重要である。このような活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
【0047】
前記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
【0048】
粘着剤層4は公知乃至慣用の方法により形成することができる。例えば、剥離ライナー3の上に粘着剤層4を形成し、該粘着剤層4の上に剥離ライナー5を積層してもよく、剥離ライナー5の上に粘着剤層4を形成し、該粘着剤層4の上に剥離ライナー3を積層してもよい。また、粘着剤層4を硬化させる場合には、適宜な段階で加熱又は活性エネルギー線を照射して硬化させることができる。
【0049】
粘着剤層4は気泡含有粘着剤層であってもよい。気泡含有粘着剤層を有する粘着テープは曲面や凹凸面に対して良好な接着性を発揮する。気泡含有粘着剤層に含まれている気泡は、基本的には独立気泡タイプの気泡であることが望ましいが、独立気泡タイプの気泡と連続気泡タイプの気泡とが混在していてもよい。
【0050】
前記気泡としては、通常、球状(特に真球状)の形状を有しているが、いびつな形状の球状を有していてもよい。気泡の平均気泡径としては、特に制限されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは30〜300μm)の範囲から選択することができる。
【0051】
気泡中に含まれる気体成分(「気泡形成ガス」と称する場合がある)としては、特に制限されず、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスの他、空気などの各種気体成分を用いることができる。気泡形成ガスとしては、気泡形成ガスが含まれた状態で重合反応等の反応を行う場合は、その反応を阻害しないものを用いる。気泡形成ガスとしては、反応を阻害しないこと、及びコストが安いことなどから、窒素が好適である。
【0052】
気泡含有粘着剤層中における気泡量は、特に制限されず、気泡含有粘着テープの使用用途などに応じて適宜選択することができ、例えば、気泡含有粘着剤層の全体積に対して10%以上(好ましくは11%以上、さらに好ましくは12%以上)とすることができる。気泡含有粘着剤層中の気泡量の上限としては、特に制限されず、例えば、50%(好ましくは40%、さらに好ましくは30%)とすることができる。
【0053】
気泡含有粘着剤層において、気泡が形成される形態は特に制限されない。気泡含有粘着剤層としては、予め気泡形成ガスを混合した粘着剤組成物(「気泡含有粘着剤組成物」と称する場合がある)を用いて形成された気泡含有粘着剤層、発泡剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成された気泡含有粘着剤層等の何れであってもよい。気泡含有粘着剤組成物中の気泡量は、気泡含有粘着剤層中の気泡量に対応した範囲から適宜選択することができる。
【0054】
気泡含有粘着剤層には、気泡を混合する際の助剤として界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤などを使用できる。これらのなかでも、気泡混合性が優れ且つ気泡の合一を抑制できる点から、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
【0055】
フッ素系界面活性剤としては、重量平均分子量が20000以上のフッ素系ポリマーを含有するフッ素系界面活性剤が好ましい。該フッ素系ポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは20000〜100000(さらに好ましくは22000〜80000、特に好ましくは24000〜60000)の範囲である。フッ素系ポリマーの重量平均分子量が20000未満であると、気泡の混合性や、混合された気泡の安定性が低下し、混合可能な気泡の量が低下し、また、たとえ混合されても、気泡混合後、気泡含有粘着剤層を形成するまでの間に、気泡の合一が進み易く、その結果、気泡含有粘着剤層中の気泡量が減少したり、気泡含有粘着剤層を貫通するような気泡(孔)が形成されやすくなる。前記フッ素系ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0056】
このようなフッ素系ポリマーは、モノマー成分としてフッ素原子含有基を有するモノマー(「フッ素系モノマー」と称する場合がある)を少なくとも含有している。フッ素系モノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0057】
具体的には、フッ素系界面活性剤としては、商品名「エフトップEF−352」(株式会社ジェムコ製)、商品名「エフトップEF−801」(株式会社ジェムコ製)、商品名「ユニダインTG−656」(ダイキン工業株式会社製)などを用いることができる。
【0058】
フッ素系界面活性剤の使用量(固形分)としては、特に制限されないが、例えば、気泡含有粘着剤組成物中のベースポリマーを形成するための全モノマー成分[特に、(メタ)アクリル酸エステルを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分]100重量部に対して0.01〜2重量部(好ましくは0.03〜1.5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部)の範囲から選択することができる。フッ素系界面活性剤の使用量が気泡含有粘着剤組成物中のベースポリマー100重量部に対して0.01重量部未満であると、気泡の混合性が低下して充分な量の気泡を気泡含有粘着剤組成物中に混合することが困難になりやすく、一方、2重量部を超えると、接着性能が低下しやすい。
【0059】
気泡含有粘着剤層には、中空微小球状体が含まれていてもよい。中空微小球状体を用いることにより、気泡含有粘着剤層におけるせん断粘着力を高めたり、加工性を向上させることができる。中空微小球状体は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0060】
中空微小球状体の粒径(平均粒子径)としては、特に制限されないが、例えば、1〜500μm(好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm)の範囲から選択できる。
【0061】
中空微小球状体としては、中空の無機系微小球状体であってもよく、中空の有機系微小球状体であってもよい。具体的には、中空の無機系微小球状体としては、例えば、中空ガラスバルーン等のガラス製の中空バルーン;中空アルミナバルーン等の金属化合物製の中空バルーン;中空セラミックバルーン等の磁器製中空バルーンなどが挙げられる。また、中空の有機系微小球状体としては、例えば、中空のアクリルバルーン、中空の塩化ビニリデンバルーン等の樹脂製の中空バルーンなどが挙げられる。
【0062】
中空微小球状体の比重としては、特に制限されないが、例えば、0.1〜0.8g/cm(好ましくは0.12〜0.5g/cm)の範囲から選択することができる。中空微小球状体の比重が0.1g/cmよりも小さいと、中空微小球状体を気泡含有粘着剤層を構成する粘着剤に配合して混合する際に、中空微小球状体の浮き上がりが大きくなるため、中空微小球状体を均一に分散させることができ難くなり、一方、0.8g/cmよりも大きいと高価になり、製造コストが高くなる。
【0063】
なお、中空微小球状体の表面には、各種表面処理(例えば、シリコーン系化合物やフッ素系化合物等による低表面張力化処理など)が施されていてもよい。
【0064】
中空微小球状体の使用量としては、特に制限されず、例えば、気泡含有粘着剤層の全体積に対して10〜50容積%(体積%)、好ましくは15〜40容積%となるような範囲から選択できる。中空微小球状体の使用量が、気泡含有粘着剤層の全体積に対して10容積%未満となるような使用量であると、中空微小球状体を添加した効果が低下しやすく、一方、50容積%を超えるような使用量であると、気泡含有粘着剤層の接着力が低下しやすい。
【0065】
気泡含有粘着剤層には、気泡含有粘着テープの用途に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)などが挙げられる。なお、粘着剤層4が気泡を含有しない粘着剤層である場合もこれらの添加剤を適宜含有させることができる。
【0066】
例えば、光重合開始剤を用いて気泡含有粘着剤層を形成する場合、気泡含有粘着剤層を着色させるために、光重合反応を阻害しない程度の顔料(着色顔料)を使用することができる。気泡含有粘着剤層の着色として、黒色が望まれる場合には、着色顔料として、カーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックの使用量としては、着色度合いや上記光重合反応を阻害しない観点から、例えば、気泡含有粘着剤層を構成する粘着剤のベースポリマーを形成するための全モノマー成分[特に、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分]100重量部に対して0.15重量部以下(例えば、0.001〜0.15重量部)、好ましくは0.02〜0.1重量部の範囲から選択することが望ましい。
【0067】
気泡含有粘着剤層が、発泡剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成される場合、該発泡剤としては、特に制限されず、公知の発泡剤から適宜選択することができる。発泡剤としては、例えば、熱膨張性微小球などを用いることができる。
【0068】
気泡含有粘着剤層が気泡含有粘着剤組成物を用いて形成される場合、気泡含有粘着剤層中に気泡を安定的に混合して存在させるために、気泡を、気泡含有粘着剤組成物中に配合する最後の成分として配合して混合させることが好ましく、特に、気泡を混合する前の組成物(「粘着剤前駆体」と称する場合がある)の粘度を高くすることが好ましい。粘着剤前駆体の粘度としては、混合された気泡を安定的に保持することが可能な粘度であれば特に制限されないが、例えば、粘度計としてBH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数:10rpm、測定温度:30℃の条件で測定された粘度としては、5〜50Pa・s(好ましくは10〜40Pa・s)であることが望ましい。粘着剤前駆体の粘度(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、30℃)が、5Pa・sより小さいと、粘度が低すぎるため、混合した気泡がすぐに合一して系外に抜けてしまう場合があり、一方、50Pa・sを超えていると、粘度が高すぎて、気泡含有粘着剤層の形成が困難になりやすい。
【0069】
粘着剤前駆体の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマー成分等を配合する方法、粘着剤を構成するベースポリマーのモノマー成分[例えば、アクリル系ポリマーを形成させるための(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分など]を一部重合させる方法などにより調整することができる。具体的には、例えば、粘着剤を構成するベースポリマーのモノマー成分と、重合開始剤とを混合してモノマー混合物を調製し、該モノマー混合物に対して重合開始剤の種類に応じた重合反応を行って、一部のモノマー成分のみが重合した組成物(シロップ)を調製した後、該シロップに、必要に応じて中空微小球状体や各種添加剤などを配合して、気泡を安定的に含有することが可能な適度な粘度を有する粘着剤前駆体を調製することができる。そして、この粘着剤前駆体に、気泡を導入して混合させることにより、気泡を安定的に含有している気泡含有粘着剤組成物を得ることができる。なお、前記シロップの調製に際しては、モノマー混合物中に、予め、必要に応じて用いられる中空微小球状体や各種添加剤などが適宜配合されていてもよい。
【0070】
気泡を混合する方法としては、特に制限されず、公知の気泡混合方法を利用することができる。例えば、装置の例としては、中央部に貫通孔を持った円盤上に、細かい歯が多数ついたステータと、歯のついているステータと対向しており、円盤上にステータと同様の細かい歯がついているロータとを備えた装置などが挙げられる。この装置におけるステータ上の歯と、ロータ上の歯との間に粘着剤前駆体を導入し、ロータを高速回転させながら、貫通孔を通して気泡を形成させるためのガス成分(気泡形成ガス)を粘着剤前駆体に導入させることにより、気泡形成ガスが粘着剤前駆体に細かく分散され混合された気泡含有粘着剤組成物を得ることができる。
【0071】
気泡の合一を抑制又は防止するためには、気泡の混合から、気泡含有粘着剤層の形成までの工程を一連の工程として連続的に行うことが好ましい。すなわち、気泡含有粘着剤層は、前述のようにして気泡を混合させて気泡含有粘着剤組成物を調製した後、続いて、該気泡含有粘着剤組成物を用いて、公知の粘着剤層の形成方法を利用して形成されることが好ましい。具体的には、例えば、気泡含有粘着剤組成物を、所定の面(図1の例では、例えば、剥離ライナー3又は剥離ライナー5の表面)上に塗布し、必要に応じて乾燥や硬化等を行うことにより、気泡含有粘着剤層を形成することができる。気泡含有粘着剤層の形成に際しては、前述のように、加熱や活性エネルギー光線の照射により、硬化させることが好ましい。すなわち、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤を含有する気泡含有粘着剤組成物を用い、該気泡含有粘着剤組成物を、所定の面上に塗布した後、加熱や、活性エネルギー線の照射を行って、気泡を安定的に保持した状態で硬化させることにより、気泡含有粘着剤層を好適に形成することができる。
【0072】
気泡含有粘着剤層は、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。また、気泡含有粘着剤層の厚みとしては、特に制限されず、例えば、100〜5000μm(好ましくは150〜3000μm、さらに好ましくは200〜2000μm)の範囲から選択することができる。気泡含有粘着剤層の厚みが100μmよりも小さいと、クッション性が低下して、曲面や凹凸面に対する接着性が低下し、一方、5000μmよりも大きいと、均一な厚みの層が得られにくくなる。なお、粘着剤層が気泡を含有しない粘着剤層である場合の粘着剤層の厚みも上記と同様である。
【0073】
なお、気泡含有粘着剤層の発泡倍率(%)としては、例えば、10%以上(好ましくは11%以上、さらに好ましくは12%以上)とすることができる。なお、該発泡倍率の上限としては、特に制限されず、例えば、50%以下(好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下)とすることができる。気泡含有粘着剤層の発泡倍率は下記式(1)で求められる。
気泡含有粘着剤層の発泡倍率(%)=(1−B/A)×100 (1)
[式(1)において、Aは気泡が混合されていない粘着剤を硬化させて得られる気泡を含有していない粘着剤層(気泡非含有粘着剤層)の比重であり、Bは気泡が混合されている粘着剤を硬化させて得られる気泡含有粘着剤層の比重である。なお、AおよびBに係る各粘着剤の組成物は、気泡の有無以外の点については、同様の組成を有している]
【0074】
図1において、粘着剤層4の他方の面に仮着された剥離ライナー5(剥離ライナーB)としては、慣用の剥離ライナーを使用できる。該剥離ライナーとして、例えば、剥離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナー、フッ素系ポリマーフィルムからなる剥離ライナー、無極性ポリマーフィルムからなる剥離ライナーなどが挙げられる。剥離ライナーは単層であっても積層体であってもよい。
【0075】
前記剥離ライナー用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)のほか、これらの積層体などが挙げられる。剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などが挙げられる。
【0076】
前記フッ素系ポリマーフィルムにおけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)などが挙げられる。前記無極性ポリマーフィルムにおける無極性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0077】
剥離ライナー5としては、オレフィン系樹脂等の無極性ポリマーフィルムからなる剥離ライナーが好ましく、なかでもポリエチレンフィルム、特に低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン等の層構成を有する積層ポリエチレンフィルムが好適である。
【0078】
剥離ライナー5の厚みは、特に限定されないが、例えば3〜500μm、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。
【0079】
図1に示される粘着テープは、剥離ライナーA/粘着剤層/剥離ライナーBの層構成を有する両面に剥離ライナーを有する基材レスの両面粘着テープ(ダブルセパレータタイプの基材レス両面粘着テープ)であるが、層構成はこれに限らず、剥離ライナーA/粘着剤層の層構成を有する片面に剥離ライナーを有する基材レスの両面粘着テープ(シングルセパレータタイプの基材レス両面粘着テープ)、剥離ライナーA/粘着剤層/基材/粘着剤層/剥離ライナーBの層構成を有する両面に剥離ライナーを有する基材付きの両面粘着テープ(ダブルセパレータタイプの基材付き両面粘着テープ)、剥離ライナーA/粘着剤層/基材/粘着剤層の層構成を有する片面に剥離ライナーを有する基材付きの両面粘着テープ(シングルセパレータタイプの基材付き両面粘着テープ)、剥離ライナーA/粘着剤層/基材の層構成を有する剥離ライナーを有する基材付きの片面粘着テープ等の何れであってもよい。
【0080】
上記の基材付きの両面又は片面粘着テープにおける基材としては、特に制限されず、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材(その原料としては、特に制限されず、例えば、マニラ麻、レーヨン、ポリエステル、パルプ繊維などを適宜選択することができる。);金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体(例えば、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0081】
前記基材の表面は、粘着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0082】
前記基材の厚みは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、一般的には1000μm以下(例えば、1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm程度であるが、これらに限定されない。なお、基材は単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
【0083】
本発明の粘着テープは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0084】
粘着テープの幅は、用途等に応じて広い範囲から選択できるが、一般には、粘着剤層の幅として、2mm〜100mm、好ましくは3mm〜50mm、さらに好ましくは5mm〜30mm程度である。
【0085】
粘着テープは、保管、運搬、使用時の利便性などのため、巻芯に、いわゆるボビン巻き又はレコード巻きに巻き取った巻回体の形態で市場に流通させることが多い。本発明は、ボビン巻き粘着テープ巻回体の形態を採る場合に特に有利である。
【0086】
本発明の粘着テープは、例えば、ゴムの押出し成型品や自動車又は住宅などのガラス用シール材の固定等の用途に使用できる。
【0087】
[粘着テープ巻回体]
本発明の粘着テープ巻回体は、前記本発明の粘着テープを、巻芯に、剥離ライナーB側を内側にしてボビン巻きに巻回した巻回体である。
【0088】
巻芯の素材としては、特に限定されず、一般に用いられるものを使用できる。巻芯の素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
【0089】
ボビン巻きの粘着テープ巻回体は、通常、幅広の粘着テープ原反を複数の細幅(所望する幅)のテープにスリットし、それぞれを綾振りして巻芯(ボビン)に巻き取ることにより製造される。図2は本発明の粘着テープ巻回体における粘着テープのボビン巻き付け状態を示す説明図である。符号は図1と同じである。
【0090】
ボビン巻きの粘着テープ巻回体では、図2に示されるように、互いに隣接する粘着テープが、一方の粘着テープの剥離ライナー3(剥離ライナーA)の背面(図2では、基材1の表面)に、他方の粘着テープの剥離ライナー3(剥離ライナーA)の剥離面(図2では剥離性層2の表面)が接する状態で重なり合う形になる。本発明では、剥離ライナー3の剥離面が微接着性(微粘着性)を有しているので、剥離ライナー3の背面と隣接する粘着テープの剥離ライナー3の剥離面が弱い力で接着し、重なり合う粘着テープが剥離ライナー3の部位で密着するため、粘着テープがずれたり、粘着テープの剥離ライナー間に空気が入り込んだりするのを防止でき、よって所望の巻き形態が保持され、良好な外観を呈する。また、粘着剤層4の剥離ライナー3とは反対側の面に剥離ライナー5(剥離ライナーB)が積層されているため、粘着テープの粘着剤層4が、すでに巻き取られている直ぐ下の粘着テープの剥離ライナー3の背面に直接接触して接着するのを防止できる。さらに、剥離ライナー3(剥離ライナーA)の幅が粘着剤層4の幅より広いため、隣接する粘着テープの粘着剤層側部間での自着を防止できる。また、剥離ライナー3の剥離面の接着力はごく弱いので、円滑に粘着テープの巻き戻しを行うことができると共に、粘着テープの使用時には、簡単に剥離ライナーを剥離して使用に供することができる。
【実施例】
【0091】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0092】
実施例1
2−エチルヘキシルアクリレート90重量部およびアクリル酸10重量部からなるモノマー混合物に、光重合開始剤として、商品名「イルガキュアー651」(チバ・スペシャリティー・ケミカル社製)0.05重量部、および商品名「イルガキュアー184」(チバ・スペシャリティー・ケミカル社製)0.05重量部を加えた後、粘度(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、測定温度:30℃)が約15Pa・sになるまで紫外線(UV)を照射して、一部が重合した組成物(シロップ)を作製した。その後、界面活性剤として、商品名「ユニダインTG−656」(ダイキン工業株式会社製;フッ素系界面活性剤;フッ素系ポリマーの重量平均分子量:45,900)を、固形分換算で、全モノマー成分(2−エチルヘキシルアクリレートおよびアクリル酸)100重量部に対して0.5重量部添加し、混合して粘着剤前駆体を調製した。前記粘着剤前駆体を容器に入れ、窒素ガスをバブリングにより前記粘着剤前駆体中に導入しながら、その気泡を噛みこむように、ホモミキサーにより気泡を粘着剤前駆体中に混合させて、気泡含有粘着剤組成物を得た。
【0093】
低密度ポリエチレン(LDPE−1;日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックLD LF441MD」)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA;東ソー社製、商品名「ウルトラセン626」、酢酸ビニル含有量14重量%)とを共押出しして、基材(LDPE−1;厚み36μm)/剥離性層(EVA;厚み24μm)の層構成を有する総厚み60μmの剥離ライナーA1を作製した。この剥離ライナーA1の剥離性層面のアクリル板に対するピール接着力(23℃)は0.05N/20mmであり、50℃で24時間保存後のアクリル板に対するピール接着力は0.20N/20mmであった。また、この剥離ライナーA1の剥離性層面の自背面(基材表面)に対するピール接着力(23℃)は0.04N/20mmであり、50℃で24時間保存後の自背面(基材表面)に対するピール接着力は0.20N/20mmであった。
【0094】
低密度ポリエチレン(LDPE−2;東ソー社製、商品名「ペトロセン186」)と高密度ポリエチレン(HDPE;プライムポリマー社製、商品名「ハイゼックス5000SF」)と低密度ポリエチレン(LDPE−3;東ソー社製、商品名「ペトロセン203」)とを共押出しして、LDPE−2(厚み30μm)/HDPE(厚み90μm)/LDPE−3(厚み30μm)の層構成を有する総厚み150μmの剥離ライナーB1を作製した。
【0095】
上記剥離ライナーA1の剥離性層面に、上記気泡含有粘着剤組成物を、幅15mmの筋状に15mm間隔で、乾燥及び硬化後の厚さが1.0mmとなるように塗布した後、塗布した粘着剤組成物層の上に、上記の剥離ライナーB1(幅15mmに切断したもの、厚み150μm)を、LDPE−2の層が粘着剤層と接するようにして貼り合わせ、照度:約4.0mW/cmで10分間、紫外線(UV)を照射して、気泡含有粘着剤組成物を硬化させて、幅15mmの複数の筋状の気泡含有粘着剤層を有する幅広の粘着テープ原反を作製した。
【0096】
上記幅広の粘着テープ原反を、気泡含有粘着剤層非形成部の中央部において、筋状の気泡含有粘着剤層に平行にスリットし、スリットした各粘着テープ(粘着剤層の幅15mm、剥離ライナーA1の幅30mm)を綾振りして、巻芯(ボビン)(材質:紙、径155mm、長さ600mm)にスパイラル状に巻き取り(巻き取り長さ700m)、ボビン巻き粘着テープ巻回体を得た。得られたボビン巻き粘着テープ巻回体を目視観察したところ、粘着テープのずれは無く、緊密且つ整然と巻回されており、粘着テープ間に気泡も見られず、良好な外観を呈していた。
【0097】
比較例1
日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックLD LF441MD」を押出しすることにより、総厚み60μmの剥離ライナーa1を作製した。この剥離ライナーa1の剥離面のアクリル板に対するピール接着力(23℃)は0N/20mmであり、50℃で24時間保存後のアクリル板に対するピール接着力は0N/20mmであった。また、この剥離ライナーa1の剥離面の自背面に対するピール接着力(23℃)は0N/20mmであり、50℃で24時間保存後の自背面に対するピール接着力は0N/20mmであった。
【0098】
上記剥離ライナーa1の剥離面に、実施例1と同様にして調製した気泡含有粘着剤組成物を、幅15mmの筋状に15mm間隔で、乾燥及び硬化後の厚さが1.0mmとなるように塗布した後、塗布した粘着剤組成物層の上に、実施例1と同様にして剥離ライナーB1を貼り合わせ、照度:約4.0mW/cmで10分間、紫外線(UV)を照射して、気泡含有粘着剤組成物を硬化させて、幅15mmの複数の筋状の気泡含有粘着剤層を有する幅広の粘着テープ原反を作製した。
【0099】
上記幅広の粘着テープ原反を、気泡含有粘着剤層非形成部の中央部において、筋状の気泡含有粘着剤層に平行にスリットし、スリットした各粘着テープ(粘着剤層の幅15mm、剥離ライナーA1の幅30mm)を綾振りして、巻芯(ボビン)(材質:紙、径155mm、長さ600mm)にスパイラル状に巻き取り(巻き取り長さ700m)、ボビン巻き粘着テープ巻回体を得た。得られたボビン巻き粘着テープ巻回体を目視観察したところ、粘着テープに巻きずれが見られると共に、粘着テープ間に気泡が見られ、外観が劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の粘着テープの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の粘着テープ巻回体における粘着テープのボビン巻き付け状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0101】
1 基材(剥離ライナー用基材)
2 剥離性層
3 剥離ライナー(剥離ライナーA)
4 粘着剤層
5 剥離ライナー(剥離ライナーB)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル板に対するピール接着力(23℃)が0.02N/20mm〜0.5N/20mmである剥離性層を有する単層又は積層フィルムからなる剥離ライナー。
【請求項2】
エチレン−酢酸ビニル樹脂で構成された剥離性層を有する単層又は積層フィルムからなる剥離ライナー。
【請求項3】
基材と剥離性層とで構成された積層フィルムからなる請求項1又は2記載の剥離ライナー。
【請求項4】
粘着剤層の一方の面に請求項1〜3の何れかの項に記載の剥離ライナー(剥離ライナーA)が仮着されている粘着テープ。
【請求項5】
粘着剤層がアクリル系粘着剤からなる請求項4記載の粘着テープ。
【請求項6】
粘着剤層が気泡含有粘着剤層である請求項4又は5に記載の粘着テープ。
【請求項7】
剥離ライナーAの幅が粘着剤層の幅より広い請求項4〜6の何れかの項に記載の粘着テープ。
【請求項8】
さらに粘着剤層の他方の面にも剥離ライナー(剥離ライナーB)が仮着されている請求項4〜7の何れかの項に記載の粘着テープ。
【請求項9】
請求項8記載の粘着テープを、巻芯に、剥離ライナーB側を内側にしてボビン巻きにした粘着テープ巻回体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−12798(P2008−12798A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186609(P2006−186609)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】