説明

割込み測定可能なX線測定装置

【課題】X線測定における割込み測定を簡単に行えるようにし、複数の試料に対する主測定及び割込み測定の両方の信頼性を高く維持する。
【解決手段】試料支持台12を含むX線測定系4を防X線カバー2で包囲して成るX線測定装置1である。主測定の対象である複数のウエハを収容したカセット43aを載せるカセット台41aと、割込み測定の対象である複数のウエハを収容したカセット43bを載せるカセット台41bとが防X線カバー2の外側にある。試料室シャッタ52を開けることによりカセット43a,43b内のウエハをカバー2の内部のX線測定系4へ搬送できる。X線測定系4によってウエハの主測定又は割込み測定を行っている間、カバー8a,8bによってカセット43a,43bを覆い、ロック装置42a,42bでカバー8a,8bを開かないようにして、カセット43a,43b内のウエハが測定者の意に反して交換されてしまうことを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主たるX線測定を行っている途中に割込み測定を行うことができるX線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防X線カバーを備えたX線測定装置によってウエハの回折線像を求めることが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、複数のウエハを収容したカセットを所定位置に置き、カセット内の複数のウエハの1つをロボットハンドによって試料台へ搬送し、そのウエハに関してX線を用いて測定を行うことが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
以上より、複数のウエハを収納したカセットを防X線カバーの内部に設置し、同じく防X線カバーの内部に設置したロボットハンドによってウエハを1つずつ試料台へ搬送してX線回折測定を行うことは、自明であると考えられる。実際、本出願人はそのような構成を持ったX線測定装置を既に市場へ供給している。
【0004】
ところで、近年、半導体の製造工程及び研究開発工程においては、多数のウエハに対してX線を用いた測定を連続的に行うことがある。この場合、主たる連続的な測定を行っているときに、その主たる測定と異なった条件で別のX線回折測定を行いたいときがある。このような測定を、以下、主たる測定に対する割込み測定ということにする。
【0005】
今、上記の従来例から自明のように複数のウエハを収納しているカセットを防X線カバーの内部に設置した状態で、それら複数のウエハに対してX線測定を連続的に行うことを考える。このような主たる連続測定を行っている途中に割込み測定を行うにあたっては、それまで行っていた主たる測定を一旦中断し、防X線カバーを開け、さらに、割込み測定の対象であるウエハ(「割込みウエハ」という)を収納したカセット(「割込みカセット」という)を元の主たるカセット(「主カセット」という)に替えて防X線カバー内の所定位置に置き、その割込みウエハに対してX線測定を行うという処理を行う必要がある。
【0006】
そして、割込み測定の終了後に、再びX線の発生を止め、防X線カバーを再び開け、主カセットを割込みカセットに替えて再び防X線カバー内の所定位置に設置し、さらに測定条件を再び元の主たる条件に戻してから測定を再開する必要がある。しかしながら、主たる測定の中断から再度の主たる測定の再開に至るまでの、このような作業は極めて作業効率が悪かった。
【0007】
本発明者等は、上記事情に鑑み、X線回折測定における割込み測定を簡単に行えるようにするために、複数のカセットを置くための場所を防X線カバーの外部に設け、それらのカセットに対応する部分の防X線カバーに試料室シャッタを設け、その試料室シャッタの内側にロボットアームを設けるという構成に想到した。
【0008】
この構成によれば、主カセットに収容された複数の主たるウエハに関して順々にX線回折測定を行っている間に、割込みウエハを収容している割込みカセットを防X線カバーを開くことなくその外部の所定位置に置くことができる。そして、主カセットに対する主たるX線回折測定を行っている間の所望のタイミングで割込みカセットに対する割込みのX線回折測定を行うことができる。
【0009】
具体的には、主たるX線回折測定を行っているときに割込み測定のタイミングが到来したときには、それまで行っていた主たる測定を一旦中断し、主たる測定に関する必要なデータをメモリに記憶し、防X線カバーはそのままの状態にしておいて試料室シャッタを開け、X線測定系内の試料台上の主たるウエハをロボットアームを使って割込みウエハに交換し、試料室シャッタを閉じ、割込み測定を実行し、割込み測定の終了後にはX線の発生を中断し、試料室シャッタを再び開け、ロボットアームを使って割込みウエハを主たるウエハに交換し、試料室シャッタを再び閉じ、その後、メモリに記憶しておいたデータに従って元の主たる測定を再び継続して行う、という一連の処理を行うことができる。
【0010】
この一連の処理により、防X線カバーを開閉することなく必要最小限の面積である試料室シャッタの開閉を行い、ロボットハンドによるウエハ搬送を行い、そしてメモリを活用したデータ処理を行うことにより、X線を用いたウエハの特性分析において簡単に割込み測定を行うことができる。
【0011】
他方、本発明者等は、それぞれが複数のウエハを収容した複数のカセットを置く場所を防X線カバーの外部に設けて成るX線測定装置が特許文献3に開示されていることを知見した。また、X線測定に関する技術ではないがプローブ測定装置において割込み測定を行うことが特許文献4に開示されていることを知見した。これらは本発明者等による上記の構成、すなわち複数のカセットを置くための場所を防X線カバーの外部に設け、それらのカセットに対応する部分の防X線カバーに試料室シャッタを設け、その試料室シャッタの内側にロボットアームを設け、割込み測定を行う前の主たる測定に関するデータをメモリに記憶する、という構成に関連するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−101475号公報(第10頁、[0045]段落、図5)
【特許文献2】特開2001−116707号公報(第4頁、図1)
【特許文献3】特開2006−153767号公報(第12頁、図22)
【特許文献4】特許第2832741号公報(第2頁第3欄、第4頁第7欄、図1〜4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献3には、防X線カバーの外部にカセット置き場を設けることと割込み測定との関連についての記載は全く認められない。また、特許文献4には、割込み測定をX線測定との関連においてどのように実現するかの具体的な記載は全く認められない。
【0014】
本発明は、上記の知見に鑑みて成されたものであって、X線測定における割込み測定を簡単な操作だけで行うことができるX線測定装置を提供することを目的とする。また、本発明は、主たる測定に対して割込み測定を行うに際して、主たる測定の信頼性及び割込み測定の信頼性の両方を確保できるX線測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る割込み測定可能なX線測定装置は、試料支持台を含んでいるX線測定系を収容しX線の漏洩を防止する防X線カバーと、当該防X線カバーの外側に設けられた複数のカセット台と、複数の試料を収容でき前記複数のカセット台のそれぞれの上に載せられる複数のカセットと、前記複数のカセット台に対向する部分の前記防X線カバーに設けられた開口と、X線を遮蔽できる材料によって形成されており前記防X線カバーの開口を開閉する試料室シャッタと、前記防X線カバーの内部に設けられており、前記カセットと前記試料支持台との間で前記防X線カバーの開口を通して前記試料を搬送する試料搬送手段と、前記複数のカセットの1つに対する主測定を実現す、前記複数のカセットの他の1つに対する割込み測定を実現する割込み測定モードとを有しており、前記主測定モードと前記割込み測定モードとの間で前記試料室シャッタの開閉によって前記防X線カバーの開口を開閉し、前記防X線カバーの開口が開状態のときに当該開口を通して前記試料搬送手段によって試料を搬送させる制御を行う制御手段と、前記複数のカセット台上に置かれたカセット内の試料が前記主測定モード中又は前記割込み測定モード中に他の試料と交換されることを防止する試料交換防止手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るX線測定装置によれば、カセットを置くための場所が防X線カバーの外側に設けられているので、カセットを置く場所が防X線カバーの内部に設けられている場合に比べて、割込み測定を行おうとしているカセットを容易に所定の場所におくことができ、それ故、簡単な操作だけで割込み測定を行うことができる。
【0017】
また、本発明では、カセット台上に置かれたカセット内の試料が他の試料と交換されることを防止する試料交換防止手段、例えばカセットを覆う試料カバーとその試料カバーを開移動不能にロックするロック装置とから成る手段、を設けたので、主測定及び割込み測定の際に測定者等がX線測定装置の近傍に居ない場合でも、試料が測定者等の意に反して他の試料と交換されることがなくなり、それ故、主測定及び割込み測定の両方の信頼性を高く維持できる。
【0018】
本発明に係る割込み測定可能なX線測定装置において、前記試料交換防止手段は、前記カセット台及び当該カセット台上に置かれた前記カセットを包囲し開閉可能であるカバーと、当該カバーを開き移動不能に保持するロック手段とを有することができる。この構成により、カセット内の試料が測定者等の意に反して他の試料と交換されることを防止でき、測定の信頼性を高く維持できる。
【0019】
本発明に係る割込み測定可能なX線測定装置において、前記試料交換防止手段は、前記カセットが前記カセット台上から取り外されたことを検出するセンサと、当該センサの出力信号に基づいて画像表示手段上に表示を行う表示制御手段とを有することができる。この構成により、カセット内の試料が測定者等の意に反して他の試料と交換されることを防止でき、測定の信頼性を高く維持できる。
【0020】
本発明に係る割込み測定可能なX線測定装置において、前記制御手段は、前記試料室シャッタを開状態にして前記開口を通して前記試料搬送手段によって前記カセットから前記試料支持台上へ試料を搬送し、前記試料室シャッタを閉状態にして前記主測定モードを実行し、当該主測定モードの実行中に前記割込み測定モードを実行することの指令を受けたとき、当該主測定モードの実行を中断し、当該中断後に前記試料室シャッタを開状態にして前記開口を通して前記試料搬送手段によって前記試料支持台上の試料を交換し、当該交換後に前記試料室シャッタを閉状態にして前記割込み測定モードを実行し、当該割込み測定モードの終了後に前記試料室シャッタを開状態にして前記開口を通して前記試料搬送手段によって前記試料支持台上の試料を交換し、当該交換後に前記主測定モードを再開することができる。
【0021】
この構成により、主測定や割込み測定に供される複数の試料を収容したカセットを防X線カバーの外側に配置した場合でも、防X線カバーの外側にある試料を簡単な操作だけで防X線カバーの内部に設置してある試料支持台へ搬送できる。
【0022】
本発明に係る割込み測定可能なX線測定装置は、試料番号に関連して測定条件を記憶する測定条件記憶手段と、試料番号を記憶する試料番号記憶手段と、をさらに有することができ、前記制御手段は、前記主測定モードの実行中に前記割込み測定モードを実行することの指令を受けたとき、そのときに測定に供されていたウエハの試料番号を前記試料番号記憶手段に記憶させ、前記割込み測定モードの終了後に前記主測定モードを再開する際、前記試料番号記憶手段に記憶されている試料番号及び前記測定条件記憶手段に記憶されている測定条件に従って前記主測定モードを再開することができる。
【0023】
この構成によれば、主測定と割込み測定との切り替えを正確に行うことができ、両方の測定の信頼性を高く維持できる。
【0024】
本発明に係る割込み測定可能なX線測定装置において、前記制御手段は、前記割込み測定モードの実行後に前記主測定モードを再開するとき、前記試料番号記憶手段に記憶されている試料番号に基づいて当該試料番号に対して初めから主測定モードを演算することができる。
この構成によれば、中断された主測定が1つの試料に対してどの段階まで行われたかを気にすることなく、中断された主測定を割込み測定の終了後に再開できるので、制御が簡単である。
【0025】
本発明に係る割込み測定可能なX線測定装置は、測定結果を記憶する測定結果記憶手段をさらに有することができ、前記制御手段は、前記割込み測定モードの実行後に前記主測定モードを再開するとき、前記試料番号記憶手段に記憶されている試料番号に基づいて当該試料番号に対して中断時までに得られた測定結果以降の測定結果を求める主測定モードを演算することができる。
【0026】
この構成によれば、割込み測定の終了後に再開される主測定は、中断されたときまでに1つの試料に関して完了した測定経過に引き続いて行われるので、測定時間が必要以上に長くかからない。このことは、主測定が長い測定時間を必要とする種類の測定であるときに、測定時間を節約できるという効果を奏する。
【0027】
本発明に係る割込み測定可能なX線測定装置において、前記X線測定系は、X線を発生するX線管と、当該X線管のX線出射窓を開閉するX線シャッタとを有することができる。そして、前記制御手段は、前記試料室シャッタを開けるときは、前記X線シャッタを閉じてから前記試料室シャッタを開け、前記X線シャッタを開けるときは、前記試料室シャッタを閉じてから前記X線シャッタを開けることができる。
【0028】
この構成によれば、主測定や割込み測定に供される複数の試料を収容したカセットを防X線カバーの外側に配置した場合であって、防X線カバーの内側と外側とにわたって試料を搬送するときでも、防X線カバーの外部にX線が漏えいすることを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るX線測定装置によれば、カセットを置くための場所が防X線カバーの外側に設けられているので、カセットを置く場所が防X線カバーの内部に設けられている場合に比べて、割込み測定を行おうとしているカセットを容易に所定の場所におくことができ、それ故、簡単な操作だけで割込み測定を行うことができる。
【0030】
また、本発明では、カセット台上に置かれたカセット内の試料が他の試料と交換されることを防止する試料交換防止手段、例えばカセットを覆う試料カバーとその試料カバーを開移動不能にロックするロック装置とから成る手段、を設けたので、主測定及び割込み測定の際に測定者等がX線測定装置の近傍に居ない場合でも、試料が測定者等の意に反して他の試料と交換されることがなくなり、それ故、主測定及び割込み測定の両方の信頼性を高く維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るX線測定装置の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1のX線測定装置の主要部である試料室のカバーを開いた状態を示す斜視図である。
【図3】図1の矢印B−B線に従った平面断面図である。
【図4】図1のX線測定装置の他の主要部である試料支持台及び試料であるウエハを示す斜視図である。
【図5】図1のX線測定装置のさらに他の主要部である試料搬送装置を示す斜視図である。
【図6】図1のX線測定装置において試料であるウエハを収容するために用いるカセットを示す斜視図である。
【図7】図2のX線測定装置の主要部を拡大して示す斜視図である。
【図8】図7の機構の主要部であるカセット台の平面図である。
【図9】図1のX線測定装置で用いる制御系の一例を示すブロック図である。
【図10】図9の制御系によって実行される制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】図10のフローチャートに引き続くフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートに引き続くフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートに引き続くフローチャートである。
【図14】図9の制御系に含まれるディスプレイの画面に表示される入力用画面を示す図である。
【図15】図14の入力用画面の1つの使用例を示す図である。
【図16】図14の入力用画面の他の使用例を示す図である。
【図17】図14の入力用画面のさらに他の使用例を示す図である。
【図18】図14の入力用画面のさらに他の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るX線測定装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0033】
図1、図2及び図3は本発明に係るX線測定装置の一実施形態を示している。本実施形態のX線測定装置は、半導体装置の基板であるウエハの特性、例えば膜厚、密度、結晶性、反り等を分析するために必要となるX線像を得るためのX線測定を行うものとする。
【0034】
ここに示すX線測定装置1は、X線の漏洩を防止する防X線カバー2と、防X線カバー2の外部に設けられた複数(本実施形態では2個)の試料室3a,3bとを有している。試料室3aと試料室3bは互いに隣接している。防X線カバー2の内部には、X線測定系4と、試料搬送装置6と、試料位置調整装置7とが設けられている。
【0035】
試料室3aは、閉位置にある立方体形状又は直方体形状の箱体である試料カバー8aによって区画されている空間領域である。試料室3bは、閉位置にある立方体形状又は直方体形状の箱体である試料カバー8bによって区画されている空間領域である。試料カバー8a,8bは、透明、半透明又は不透明で、一定の板厚のプラスチックによって形成されている。
【0036】
試料カバー8a,8bは、それぞれ、下端のヒンジ部9a,9bを中心として正面から見て左右方向へ回転移動可能であり、図1に示す閉位置と図2に示す開位置との間で回転移動できる。符号10は試料カバー8a,8bを回転移動させる際に作業者が把持する取っ手を示している。
【0037】
X線測定系4は、試料を支持する試料支持台12と、試料支持台12に対する一方の側に配設されていてX線管11を含んでいる入射光学系と、試料支持台12に対する他方の側に配設されていてX線検出器13を含んでいる受光光学系とを有している。入射光学系は、必要に応じてX線管11以外の適宜のX線光学要素、例えば発散スリット、ソーラスリット、モノクロメータ等から必要に応じて選択して構成される。受光光学系は、X線検出器13以外に、散乱スリット、受光スリット、ソーラスリット、モノクロメータ等から必要に応じて選択して構成される。入射光学系、試料支持台12及び受光光学系は図示しないゴニオメータ(測角器)に支持されている。ゴニオメータは、試料支持台12に対する入射光学系の角度及び試料支持台12に対する受光光学系の角度を測角する。
【0038】
X線管11はその内部に、例えば、通電によって熱電子を放出するフィラメントすなわち陰極(図示せず)と、陰極に対向して配置されたターゲットすなわち対陰極(図示せず)とを有している。通電により陰極から放出された電子束が対陰極の表面に衝突した領域からX線が放射される。この領域がX線焦点である。強度の強いX線が必要な場合はターゲットとしてロータターゲット(回転対陰極)が用いられる。
【0039】
X線焦点は、通常、一方向に長い形状であり、X線焦点から放射されるX線をX線焦点の長手側から取り出したX線はその断面形状が長方形状であり、いわゆるライフォーカスのX線ビームとなる。一方、X線焦点から放射されるX線をX線焦点の短手側から取り出したX線はその断面形状が円形又は矩形のドット状であり、いわゆるポイントフォーカスのX線ビームとなる。本実施形態では測定の種類に応じてラインフォーカス又はポイントフォーカスのX線ビームを選択して使用する。
【0040】
符号Fはターゲット上のX線焦点を示しており、これがX線を発生するX線源として機能している。X線管11のX線出射窓27にはX線シャッタ28が設けられている。X線シャッタ28は通電によって開閉し、開状態でX線を通過させ、閉状態でX線の通過を遮断する。
【0041】
X線検出器13は、X線を検出してその強度に応じた信号を出力するX線光学要素である。本実施形態では、X線によって励起されるフォトンを直接に電気信号に変換して出力する構成のピクセルを複数個、縦横に、すなわちマトリクス状に配列して成るフォトンカウンティング型ピクセル2次元X線検出器を用いるものとする。もちろん、その他の2次元X線検出器、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)2次元X線検出器や、その他の1次元X線検出器や、その他の0次元X線検出器等を用いても良い。
【0042】
試料支持台12は、図4において、試料である薄い円形状のウエハ14a及び14bを位置移動しないように固定保持するものである。符号16はウエハの内部の結晶方位に対して一定の位置関係を持つように形成された方位指標であるオリエンテーション・フラット、いわゆるオリフラである。オリフラに替えて切欠きであるノッチを形成することもある。本実施形態の試料支持台12は、直径6インチのウエハ14aと直径4インチのウエハ14bの2種類を個別的に支持できるようになっている。
【0043】
試料支持台12は、円板形状の基台17と、基台17の上面から突出している円板形状の突出部18と、基台17の外周側面から半径方向に突出している複数(本実施形態では4個のアーム19とを有している。突出部18の上面には、中心位置に1個の空気吸引孔21が設けられ、円周方向に等角度間隔で複数(本実施形態では6個)の空気吸引孔22が設けられている。
【0044】
基台17及び突出部18の内部には空気取込み口23に通じる空気通路(図示せず)が設けられており、上記の空気吸引孔21及び22はその空気通路につながっている。空気取込み口23にホースを連結し、そのホースを通して吸引ポンプによって空気を吸引すれば、空気吸引孔21及び22から空気を吸引できる。この空気吸引により、突出部18の上面においてウエハ14a又は14bを吸着して位置移動しないように固定保持できる。
【0045】
大きい方の6インチウエハ14aは、その中心部が突出部18によって吸着固定保持され、その外周縁部が4つのアーム19の先端の突出部19aによって受けられる。小さい方の4インチウエハ14bは、その中心部が突出部18によって吸着固定保持され、その外周縁部が突出部18の半径方向の外側へ所定幅だけリング状に張り出す。
【0046】
試料支持台12は、平面図である図3において、2次元平行移動装置26の上に設けられている。2次元平行移動装置26は試料支持台12を水平面内(図3の紙面と平行な面内)で平行移動させる。これにより、試料支持台12上に固定されている試料、すなわちウエハの所望の領域をX線照射位置へ持ち運ぶことができる。試料支持台12は、必要に応じて、面内回転機構及び/又は傾斜移動機構によって支持することもできる。
【0047】
X線測定系4は、X線源Fから出射したX線を試料支持台12上に置かれた試料、すなわちウエハ14a又は14bに照射する。そして、ウエハからX線が出た場合には、そのX線をX線検出器13によって検出する。X線の角度と強度とによってX線像が求められ、このX線像を分析することにより、ウエハの特性、例えば膜厚、密度、結晶性、反り等が求められる。
【0048】
試料位置調整装置7は、図3に示すように、回転子29を有している。回転子29は図3の紙面に対して直交する方向に延びている軸線X0を中心として任意の角度で回転移動できる。試料であるウエハ14a又は14bを回転子29の上面に載せた状態でその回転子29を回転させながら光学的にオリフラを検出することにより、ウエハ14a又は14bをそのオリフラが常に一定の方向を向くように、すなわちウエハ14a又は14bの方位が常に一定の方向を向くように調整できる。
【0049】
試料搬送装置6は、図5に示すように、パルスモータ、サーボモータ等といった回転角度を制御可能な電動モータを動力源としている駆動部31と、駆動部31の出力軸31aに固定された第1回転アーム32と、第1回転アーム32内に設けられたパルスモータ、サーボモータ等といった回転角度を制御可能な電動モータ33と、電動モータ33の出力軸に固定された第2回転アーム34と、第2回転アーム34内に設けられたパルスモータ、サーボモータ等といった回転角度を制御可能な電動モータ36と、電動モータ36の出力軸に固定された試料保持用アーム37と、を有している。
【0050】
第1回転アーム32は駆動部31の出力軸31aを中心として任意の角度だけ回転できる。第2回転アーム34は電動モータ33の出力軸を中心として任意の角度だけ回転できる。試料保持用アーム37は電動モータ36の出力軸を中心として任意の角度だけ回転できる。
【0051】
試料保持用アーム37の先端は2つの枝部分に分けられた形状となっており、2つの枝部分37aに挟まれた空間部分は、図4の突出部18を収容できる形状及び大きさとなっている。従って、小さなウエハ14bが突出部18の上面に載せられている状態で、2つの枝部分37aが突出部18を挟む位置まで試料保持用アーム37を試料支持台12の上方位置へ差し入れ、さらに試料保持用アーム37を上方へ移動させることにより、突出部18の外側へ張り出しているウエハ14bの外周縁部を試料保持用アーム37の2つの枝部37aによって受け取ることができる。
【0052】
試料保持用アーム37の枝部分37aの先端部には空気吸引用孔38が開けられている。また、試料保持用アーム37の内部には空気吸引用孔38に通じる空気通路が設けられている。また、その空気通路は図示しないホースを通じて吸引ポンプにつながっている。吸引ポンプによって空気を吸引すれば、空気吸引用孔38から空気を吸引でき、枝部分37a上に載せられたウエハ14a又は14bをこの空気吸引によって固定保持することができる。この固定保持により、試料保持用アーム37を高速で平行移動させた場合でも、ウエハ14a,14bが試料保持用アーム37上で滑り移動することを防止できる。
【0053】
図3において、試料搬送装置6の第1回転アーム32、第2回転アーム34及び試料保持用アーム37を個別に必要な角度だけ回転させることにより、試料保持用アーム37の先端部分37aを、試料室3a,3b、試料支持台12及び試料位置調整装置7の各要素の間で自由に平行移動させることができる。この試料保持用アーム37の平行移動により、先端部分37a上に載せたウエハ14a,14bを所望の場所へ搬送できる。
【0054】
図2及び図3において、試料室3a,3bのそれぞれの内部に、カセット台41a,41bと、ロック装置42a,42bとが設けられている。カセット台41a及び41bの上に、それぞれ、6インチ用カセット43a及び4インチ用カセット43bが載せられている。もちろん、両方のカセット台41a及び41bに6インチ用カセット43aを載せても良いし、両方のカセット台41a及び41bに4インチ用カセット43bを載せるようにしても良い。
【0055】
図6(a)は6インチ用カセット43a又は4インチ用カセット43bの背面図である。図6(b)は6インチ用カセット43a又は4インチ用カセット43bの前面図である。6インチ用カセット43aと4インチ用カセット43bは互いに相似形であり、大きさが違うだけなので、図6(a)、(b)では両者の大きさの違いを無視して形状だけを示している。
【0056】
カセット43a,43bはプラスチックの射出成形によって形成されている。カセット43a,43bの内部には、試料である6インチウエハ14a又は4インチウエハ14bをその外周縁部分で支持するための複数の棚用突起44が形成されている。1つの棚用突起44によって1枚のウエハ14a,14bが支持され、例えば1つのカセットで25枚のウエハを支持できるように設定されている。測定を行うにあたっては、カセット43a,43bの上から下へ向かって番号1〜25がウエハ番号として個々のウエハに付与される。測定条件のデータは、測定者によって個々のウエハ番号ごとに設定される。
【0057】
図7は一方のカセット台41aを拡大して示している。他方のカセット台41bの構成はこのカセット台41aの構成と同じである。カセット台41aには、位置決め用の複数の突起ブロック46と、カセット43a,43bが置かれていることを検知するための複数のセンサ47とが設けられている。センサ47はバネ等といった弾性要素に付勢されて上方へ突出している接触子を備えている。この接触子がカセット43a,43bの底辺によって押し下げられたことをセンサ47が検知することにより、カセット43a,43bの存在が検知される。
【0058】
図8に示すように、6インチ用カセット43a及び4インチ用カセット43bは位置決め用の突起ブロック46によって図示のようにカセット台41a,41b上で位置決めされる。そして、カセット43a,43bがカセット台41a,41b上に置かれると、それらのカセット43a,43bがセンサ47によって検知される。
【0059】
図2において、ロック装置42a,42bは後述するコンピュータからの指令に従って動作して、ロック状態又はアンロック状態のいずれかの状態をとることができる。試料カバー8a,8bが閉状態(図1参照)にあるときにロック装置42a,42bがロック状態にあると、閉状態の試料カバー8a,8bが開かないように固定、すなわちロックされる。他方、ロック装置42a,42bがアンロック状態にあると、作業者は試料カバー8a,8bを図2に示すように開くことができる。
【0060】
X線測定系4によって1つのウエハに関して測定が行われているとき、そのウエハが収納されていたカセット43a又は43bは試料カバー8a又は8bによって覆われており、その試料カバー43a又は43bはロック装置42a又は42bによってロック状態に固定されて開くことができないようになっている。これにより、測定中のウエハが所属しているカセット内に収容されている複数のウエハのいずれかが交換されたり、ウエハに何等かの加工が加えられたり、いずれかのウエハが抜き取られたり、といった測定の信頼性を低下させる行為がウエハに加えられることを未然に防止できる。
【0061】
なお、ロック装置42a,42bが設けられていなかったり、設けられていてもそれらが故障したりしている場合には、測定対象となっているカセット43a,43bを覆っている試料カバー8a,8bをロックできない。そのため、カセット43a,43b内のウエハ14a,14bに、測定の信頼性を低下させる行為が加えられるおそれがある。
【0062】
例えば、カセット43a,43bは前面からだけしかウエハを交換できないので、このカセット43a,43bを試料室3a,3bから取り出さない限り、ウエハ14a,14bをカセット43a,43bから抜き取ることができない。従って、ロック装置42a,42bが壊れて正常に動作しなくなったときには、ウエハの交換があったか否かを検知するために、カセットが取り出されたかどうかの検査が重要になる。
【0063】
このことに関し、本実施形態では、センサ47によってカセット43a,43bを検知しているので、ウエハに何等かの行為を加えるためにカセット43a,43bが持ち上げられたときには、そのことがセンサ47によって検知される。この検知により測定の信頼性が低下していると判断することができ、場合によってはそのことをディスプレイ等に表示して注意を促すこともできる。
【0064】
図2、図3及び図7において、試料室3a,3bに対応した防X線カバー2の壁部に開口51が設けられている。そして、この開口51を開閉するための試料室シャッタ52が設けられている。この試料室シャッタ52は昇降ロッド53の上端に固定されている。昇降ロッド53は、下部ボックス54の内部に収容されている昇降駆動装置56によって駆動されて、自身の軸線方向へ昇降移動する。この昇降移動に従って試料室シャッタ52が昇降移動する。
【0065】
試料室シャッタ52が上方位置に置かれていると、防X線カバー2の開口51が閉じられている。これにより、X線が外部へ漏えいすることが防止される。試料室シャッタ52が図7の矢印Aで示すように下方へ降下移動すると、開口51が開き、防X線カバー2の内部の測定室と試料室3a,3bとが空間的につながる。この状態で、図3において、試料搬送装置6の試料保持用アーム37の平行移動により、試料であるウエハ14a,14bをカセット41a,41bから抜き取って防X線カバー2の内部へ運んだり、あるいはX線測定系4の試料支持台12からウエハを取り上げてカセット41a,41bへ戻すことができる。
【0066】
図9は、本実施形態のX線測定装置で用いられている制御系の一例の主要部を示している。本実施形態では、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)61と、記憶手段としてのメモリ62と、インターフェース63,64とを含んでいるコンピュータによって図2に示した各種の機器要素の動作が制御される。このコンピュータは、例えば図2に示すX線測定装置1の近傍に設置されたテーブルの上に設置され、測定者によって操作される。
【0067】
メモリ62は、半導体メモリによって構成された内部メモリや、ハードディスク等といった外部メモリ等によって構成されている。このメモリ62には、X線測定を機能的に実現するための測定プログラム66や、測定結果のデータを記憶するための記憶領域である測定結果ファイル67や、測定のための条件を記憶するための記憶領域である測定条件ファイル68や、測定を行っているウエハの番号を記憶しておくための記憶領域であるウエハNo記憶領域69等が設定されている。
【0068】
CPU61の入力ポートには、キーボード、マウス等といった入力装置71と、図7のカセット検知用のセンサ47と、図2のX線検出器13が接続されている。CPU61の出力ポートには、図3のX線測定系4を構成する各種のX線光学要素と、試料搬送装置6と、試料位置調整装置7と、図2の試料室シャッタ52のための昇降駆動装置56と、X線シャッタ28と、カバーロック装置42a,42bと、画像表示装置であるディスプレイ45が接続されている。
【0069】
以下、図10、図11、図12、図13に示すフローチャートを用いて、本実施形態のX線測定装置の動作を説明する。
本実施形態のX線測定装置1の制御系は、1つのカセットの中に収容された複数のウエハに対して自動的に連続してX線測定を行う制御モードである主測定モードと、主測定モードに従って測定を行っている途中に他のカセットに対する測定を割り込んで実行させる制御モードである割込み測定モードとの2つの制御モードを有している。
【0070】
主測定モードは、左右いずれかの試料室3a又は3bに置かれたカセットに収容されている複数のウエハに対してX線測定を自動的に1つずつ連続して行う制御モードである。割込み測定モードは、一方の試料室3a又は3bに置かれたカセットに対して主測定モードが実行されている状態で、さらに他方の試料室3b又は3aに他のカセットを置くことにより、そのカセットに対して主測定モードに優先して行われる制御モードである。以下、各測定モードを個別に説明する。
【0071】
なお、以降の説明では、簡単のため、X線測定装置1の正面から見て左側の試料室3aに置かれたカセットをカセット1と呼び、右側の試料室3bに置かれたカセットをカセット2と呼ぶことにする。
【0072】
(主測定モード)
まず、測定者は、図6において、測定を希望する複数の6インチウエハ14a又は4インチウエハ14bを、それぞれ、6インチ用カセット43a又は4インチ用カセット43bへ収納する。本実施形態では、最大で25枚のウエハをカセットの内部に収容できる。
【0073】
その後、測定者はウエハ14a又は14bを収容したカセット43a又は43bを、図2の試料室3a又は3b内のカセット台41a又は41bの上に置き、さらに試料カバー8a又は8bを閉じる。本実施形態では、X線測定装置1の正面から見て左側の試料室3aに置くことにし、こうして左側に置かれたカセット43a,43bがカセット1である。なお、本実施形態では左側の試料室3aに置かれたカセット、すなわちカセット1に対してだけ主測定を行うものとするが、それに代えて、カセット2に対しても主測定を行うようにプログラムすることができることは、もちろんである。
【0074】
図9の制御系が起動すると、CPU61は自動的に主測定モードを選択して実行する。CPU61は、図10のステップS01で装置全体の初期設定を行い、ステップS02で入力画面を表示する。入力画面は、例えば図14に示す画面である。
【0075】
図8のセンサ47によって試料室3a内に置かれたカセット1が検知されると、ステップS03〜ステップS06においてカセット1及びカセット2に関する画面表示が行われ、例えば図14に矢印Q1で示すように、カセット1が置かれていることが表示される。なお、試料室3b内にカセット2が置かれている場合には、カセット2について「投入」の表示が行われる。測定者は、カセット1タブ81をクリックしてカセット1に関するメニュー画面を表示することにより、試料室3aに置かれたカセット1に関して種々の設定を行うことができる。なお、カセット2タブ82は、後述する割込み測定モードに関する設定を行うためのタブである。
【0076】
測定者は、カセット1のメニューにおいてNo.1〜No.25の試料番号ボタン83の中から、カセット1に収納したウエハの試料番号と同じ番号をクリックした上で、それらのウエハごとに測定条件を入力する。なお、全選択ボタンをクリックして、一括して全試料に対して同じ条件設定をすることもできる。測定者は、測定条件の入力を終了した後、測定の開始を希望するときに、図14の測定開始ボタン84をクリックする。
【0077】
上記の測定条件としては、例えば、試料に対するX線の入射角度や、試料に対するX線の入射位置や、スリット、モノクロメータ等といったX線光学要素を使用するか使用しないか、等がある。測定条件の入力方法としては、測定者が図9の入力装置71を通して1つ1つの入力項目に関して入力を行う方法がある。また、図9の測定プログラム66は使用頻度の高いいくつかの入力項目の組み合わせを予め決定してある測定条件モデルを有しており、測定者はそれらのモデルのうちから希望するものを選択するという方法で測定条件の入力を行うこともできる。
【0078】
測定者によって測定条件の入力が行われると、CPU61は図10のステップS07でその入力を確認し、さらにステップS08において、図9の測定条件ファイル68に試料番号ごとに測定条件を記憶する。その後、ステップS09で測定開始ボタン(図14の符号84)がクリックされたかどうかをチェックする。
【0079】
測定開始が指示されていれば、CPU61はステップS10で図1のカセット1側の試料カバー8aをロック装置42aによってロックして開かないようにする。このロックにより、カセット1に対して測定がおこなわれている間、測定者又は第三者(測定者等という)はカセット1を外部へ取り出すことができず、従って、カセット1内のウエハを他のウエハと交換することができず、これにより、測定の信頼性を高く維持することができる。
【0080】
CPU61は、次に、ステップS11で、図1のX線シャッタ28を閉じ、図2の試料室シャッタ52を開く。さらに、ステップS12において、カセット1内のウエハに対して所定の処理を行う。具体的には、図1の試料搬送装置6を用いてカセット1から番号の若いウエハ、例えばNo.1のウエハを取り出し、そのウエハを試料位置調整装置7まで搬送し、図3の回転子29の上に載せる。試料位置調整装置7は光学的手法によりウエハのオリフラを検知して、そのオリフラが常に一定の位置となるように、すなわちウエハの結晶方位が常に一定方向を向くように、ウエハの位置を回転子29の回転によって調整する。
【0081】
ウエハの方位調整が終了すると、試料搬送装置6はウエハを試料支持台12まで搬送し、そのウエハを試料支持台12の上に置く。試料支持台12は空気吸引によりウエハをしっかりと保持する。ウエハは既に試料位置調整装置7によって方位調整が成されているので、試料支持台12上に置かれたウエハのX線測定系のX線光軸に対する結晶方位は常に一定である。
【0082】
その後、CPU61は、ステップS13において、試料室シャッタ52を閉じ、X線シャッタ28を開き、ステップS14において、試料支持台12上のウエハ、すなわちカセット1から取り出したウエハに対して、測定者によって指示された測定条件に従ってX線測定を実行する。この測定中、CPU61は、ステップS15において、図8のセンサ47を用いてカセット1がカセット台41a上に存在しているか否かを監視する。この監視は、カセット1がカセット台41a上から取り外されたか否かを監視するものである。
【0083】
本実施形態では、図1において、試料カバー8aがロック装置42aによってロックされるので、カセット1が測定中にカセット台41aから取り外されるという事態は、基本的には起こり得ない。しかしながら、何等かの緊急事態により、カセット1が意に反してカセット台41aから取り外されるという事態が起こる可能性は否定できない。それ故、センサ47を用いてカセット1の監視を行っているものである。
【0084】
センサ47がカセット1を検出しなかった場合には、その旨を図9のディスプレイ45の画面上に表示する等して、カセット1が外部へ取り出されてカセット1内のウエハが交換されている可能性があることの注意を測定者に喚起する。
【0085】
以上のようにして図1のX線測定系4によって測定が行われている間、測定結果のデータはステップS16において、図9の測定結果ファイル67に順次に記憶されてゆく。そして、試料支持台12上の1つのウエハに対して所定のX線測定が終了すると、図11のステップS17においてそのことが確認され、ステップS18で試料室シャッタ52が開かれ、ステップS19でそのウエハが試料搬送装置6によってカセット1へ戻される。
【0086】
ステップS20は、図14においてカセット1タブ81のメニュー内の中断ボタン85がクリックされたか否かをチェックするステップである。この中断ボタン85は、測定者が主測定に代えて割込み測定を行うことを希望するときにクリックされるボタンである。今説明している主測定だけを行う場合には、この中断ボタン85はクリックされないので、ステップS20では「NO」と判断され、フローは図13のステップS47→図10のS11へ進み、カセット1内の次の試料番号のウエハに対してX線測定が自動的に連続して行われる。
【0087】
こうしてカセット1内の全てのウエハ、例えばNo.25までの全てのウエハに対してのX線測定が終了すると、図13のステップS47で「YES」と判断され、試料室シャッタ52を開き(ステップS48)、ウエハをカセット1へ戻し(ステップS49)、その後、制御フローのエンドとなる。以上により、図1の左側の試料室3a内に置かれたカセット1内の複数のウエハに対して自動的で連続した測定、すなわち主測定が行われ、個々のウエハに関する測定結果、すなわちX線回折像のデータが図9の測定結果ファイル67の中にウエハごとに蓄積される。
【0088】
(割込み測定モード)
次に、割込み測定モードについて説明する。
この割込み測定モードは、ある測定者の指示に従って主測定モードに則って測定が行なわれているときに、同じ測定者又は別の測定者が主測定モードに従った測定を一次中断して、異なるカセットに対してX線測定を別個に行うものである。
【0089】
主測定モードと同じ測定者又は別の測定者が割込み測定モードを実行したいと希望する場合、測定者は、まず、割込み測定をしたいと考えている1つ又は複数のウエハを主測定モードに係るカセット(図1の左側の試料室3aに置かれているカセット1)とは別のカセットに収容する。そして、そのカセットを図2の右側の試料室3b内のカセット台41b上に置く。このように右側の試料室3b内に置かれたカセットがカセット2である。
【0090】
次に、測定者は、図15の入力画面に対して、矢印Q2のようにカセット1タブをクリックしてカセット1に対するメニューを開き、さらに矢印Q3のように中断ボタンをクリックする。これは、カセット1に対するX線測定を一時的に中断することを指示する操作である。
【0091】
次に、測定者は、図16において、矢印Q4のようにカセット2タブをクリックしてカセット2に対するメニューを開き、試料番号ボタン83から個々の試料番号を指定しながら、各試料番号に対する測定条件を設定する。そして、割込み測定を行いたいタイミングが到来したときに矢印Q5のように測定開始ボタンをクリックする。
【0092】
測定者は、割込み測定モードを選択した場合、それまで行っていた主測定を止めてしまうか、あるいは、割込み測定を終了した後に主測定を再開するか、の2通りのいずれかを選択できる。主測定の再開を希望する場合には、図17に矢印Q6で示すようにカセット2に対して割込み測定を行っているときに、矢印Q7に示すように、カセット1タブをクリックしてカセット1のメニューを表示させた上で、矢印Q8に示すように、測定開始ボタンをクリックする。この操作により、カセット2に対して割込み測定が行われている間に、その割込み測定後に主測定を再開することの予約が行われる。
【0093】
図9のCPU61は、図11のステップS20において、図15の中断ボタン(矢印Q3)がクリックされたかどうかをチェックする。これは、測定者が割込み測定モードを選択したか否かをチェックすることである。測定者によって中断ボタンがクリックされていると、ステップS20で「YES」と判定され、カセット1に対して行われていた主測定がステップS21で中断される。そして、図16に矢印Q9で示すように、主測定(カセット1)が中断されたことが画面上に表示される。
【0094】
そして、測定者が割込み測定のためにカセット2内のウエハに対して測定条件を入力した場合(図16参照)には、ステップS22で「YES」と判断され、そして入力された測定条件がステップS23で図9の測定条件ファイル68に記憶される。さらに、図16においてカセット2のメニュー画面で測定開始ボタンが矢印Q5のようにクリックされると、図11のステップS24で「YES」と判断される。
【0095】
すると、CPU61は、ステップS25において、それまで主測定を行っていたカセット1に所属するウエハに続く次の試料番号をウエハNo記憶領域69に記憶する。次に、CPU61は、図1において、カセット2を覆っている試料カバー8bをロック装置42bによってロックして開かないように保持する(ステップS26)。これは、割込み測定が行われている間に、カセット2内のウエハに意に反して加工が加えられたり、損傷が加えられたり、他のウエハと交換されたりすることを防止するための措置である。
【0096】
次に、ステップS27において、割込み測定を希望しているカセット2内のウエハを試料支持台12へ搬送し、試料室シャッタ52を閉じ(ステップS28)、さらにそのウエハに対してX線測定を行う(ステップS29)。そして、測定結果を測定結果ファイル67にウエハごとに記憶する(ステップS31)。そのX線測定の間、ステップS30において、カセット2が抜き取られたか否かを念のためにチェックする。念のためというのは、カセット2を覆うカバー8bはロックされていて開かないようになっているので、基本的にはカセット2は測定者等によって持ち上げられない状態にあるからである。ステップS31においてカセット2の取り上げをチェックすることにより、カセット2内のウエハが交換されたり、傷つけられたりすることにより、測定の信頼性が低下することを防止できる。
【0097】
次に、CPU61は、カセット2に対して割込み測定を行っている間に測定者によってカセット1に対する測定再開の指示があったかどうか、すなわちカセット1についての続きの測定が予約されたかどうか(図17参照)を、ステップS32においてチェックする。測定再開の指示があった場合には、ステップS33で再開フラグに「1」を立てる。
【0098】
次に、1個のウエハについてのX線測定が終わるたびに、カセット2内のウエハが順々にX線測定に供される(ステップS34で「YES」→ステップS35→ステップS36→ステップS37で「No」→ステップS27)。そして、カセット2内の全てのウエハについて割込み測定が完了すると(ステップS37で「YES」)、ステップS38でカセット2を覆っている試料カバー8b(図1参照)のロックを解除して、試料カバー8bを自由に開けることができる状態にする。
【0099】
次に、CPU61は、ステップS39で再開フラグをチェックして「1」が立っていれば(ステップS39で「YES」)、測定者によってカセット1に対する主測定を再開するものと判断して、ステップS25で記憶された次に主測定すべきウエハ番号をメモリから読出し(ステップS40)、さらに当該ウエハ番号に対応する測定条件をステップS41においてメモリから読出して、カセット1に対する測定を再開する準備をする。
【0100】
次に、ステップS42において、再開に係る主測定の対象となるウエハをカセット1から取り出し、ステップS43で試料室シャッタ52を閉じ、さらにステップS44において、そのウエハに対して測定条件の最初から測定を再開し、ステップS46で測定結果をメモリに記憶する。なお、本実施形態では、1個のウエハの測定が終了した後に中断の有無のチェックをすることにしたが、ウエハの測定の途中で中断の有無をチェックすることも可能である。この場合は、カセット1に対する主測定の中断時、ウエハに対しては既にある程度の測定が行われていたので、ステップS44において測定条件の最初から測定を再開すると、ある範囲で測定が重複することになるが、重複したデータはいずれかを削除したり、上書き保存する。
【0101】
割込み測定が終了して、主測定が再開されたことは、図18に矢印Q10及びQ11で示すように、ディスプレイの画面上に表示される。
【0102】
割込み測定の終了後に再開されたカセット1に対する主測定の間、ステップS45において、カセット1が抜き取られたか否かを念のためにチェックする。これにより、カセット1内のウエハが交換されたり、傷つけられたりすることにより、測定の信頼性が低下することを防止する。再開後の主測定は、カセット1内の全てのウエハについての測定が終わったときに終了する(ステップS47で「YES」)。
【0103】
以上のように、本実施形態のX線測定装置においては、カセット43a,43bを置くための場所が防X線カバーの外側に設けられているので、カセットを置く場所が防X線カバーの内部に設けられている場合に比べて、割込み測定を行おうとしているカセットを容易に所定の場所におくことができ、それ故、簡単な操作だけで割込み測定を行うことができる。
【0104】
また、本実施形態では、図2において、カセット43aを覆う試料カバー8aを設け、カセット43bを覆う試料カバー8bを設けた。さらに、閉じられた状態のカセット43a及び43bを、それぞれ、ロック装置42a及び42bによってロック状態、すなわち開かない状態に保持することにした。これらのため、測定者や第三者が測定中にカセットを手で持つことを禁止できる。このことは、ウエハすなわち試料に対して主測定や割込み測定を行っているときに、測定者等がカセットを持ち出してその中にあるウエハを他のウエハと交換することを禁止にしているということである。このため、本実施形態によれば、主測定に対して割込み測定を行うに際して、主測定の信頼性及び割込み測定の信頼性の両方を確保できるということである。
【0105】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0106】
例えば、上記実施形態では試料として、6インチウエハ及び4インチウエハの2種類を考慮したが、ウエハのサイズはそれらに限られない。
また、試料はウエハに限られず、他の任意の物質を試料とすることができる。但しその場合には、試料を収容するカセットの構成を試料に合わせる必要がある。
【0107】
上記実施形態では、2つの試料室を設けたが、試料室を3つ以上設けることも可能である。
【0108】
上記実施形態では、X線測定装置1の正面から見て左側の試料室3aに置かれたカセット43a又は43bをカセット1と称し、右側の試料室3bに置かれたカセット43a又は43bをカセット2と称し、カセット1に対して主測定を行い、カセット2に対して割込み測定を行った。しかしながら、カセット2に対して主測定を行い、カセット1に対して割込み測定を行うことも可能である。
【0109】
上記実施形態では、カセット2に対する割込み測定モードの実行の後にカセット1に対する主測定モードを再開するとき、ウエハNo記憶領域69に記憶されている試料番号に基づいて主測定モードを当該試料に対して初めから演算することにした。しかしながらこれに代えて、割込み測定が指示されるまでに主測定によって求められた測定結果を記憶しておいて、割込み測定の終了後に主測定を再開する際には、中断する前に得られた測定結果以降の測定結果を中断後の主測定によって求めるようにしても良い。
【0110】
上記実施形態では、図2の左側の試料室3aに置かれたカセット1に対して主測定を行うようにプログラムする場合を例示した。しかしながら、これに代えて、例えば図2の左側の試料室3aにカセット1が置かれおらず右側の試料室3bにカセット2が置かれているだけの場合は、カセット2に対して主測定を行うようにプログラムすることもできる。
【0111】
上記の実施形態では、図2の左側の試料室3aに置かれたカセット1に対して主測定を行い、右側の試料室3bに置かれたカセット2に対して割込み測定を行うという制御を行う場合を例示した。しかしながら、これに代えて、カセット1及びカセット2の両方に対して連続して主測定を行い、その途中のいずれかの時点でカセット1又はカセット2を別の割込み測定用のカセットに交換して割込み測定を行い、割込み測定の終了後には割込み測定用のカセットを主測定用のカセット1又はカセット2に再び交換し、主測定を継続して実行するようにプログラムすることもできる。
【符号の説明】
【0112】
1.X線測定装置、 2.防X線カバー、 3a,3b.試料室、 4.X線測定系、 6.試料搬送装置、 7.試料位置調整装置、 8a,8b.試料カバー(試料交換防止手段)、 9a,9b.ヒンジ部、 10.取っ手、 11.X線管、 12.試料支持台、 13.X線検出器、 14a.6インチウエハ(試料)、 14b.4インチウエハ(試料)、 16.オリフラ、 17.基台、 18.突出部、 19.アーム、 19a.突出部、 21.空気吸引孔、 22.空気吸引孔、 23.空気取込み口、 26.2次元平行移動装置、 27.X線出射窓、 28.X線シャッタ、 29.回転子、 31.駆動部、 31a.出力軸、 32.第1回転アーム、 33.電動モータ、 34.第2回転アーム、 36.電動モータ、 37.試料保持用アーム、 37a.枝部分、 38.空気吸引用孔、 41a,41b.カセット台、 42a,42b.ロック装置(試料交換防止手段)、 43a.6インチ用カセット、 43b.4インチ用カセット、 44.棚用突起、 45.ディスプレイ(画像表示装置)、 46.突起ブロック、 47.センサ(試料交換防止手段)、 51.開口、 52.試料室シャッタ、 53.昇降ロッド、 54.下部ボックス、 56.昇降駆動装置、 81.カセット1タブ、 82.カセット2タブ、 83.試料番号ボタン、 84.測定開始ボタン、 85.中断ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料支持台を含んでいるX線測定系を収容しX線の漏洩を防止する防X線カバーと、
当該防X線カバーの外側に設けられた複数のカセット台と、
複数の試料を収容でき前記複数のカセット台のそれぞれの上に載せられる複数のカセットと、
前記複数のカセット台に対向する部分の前記防X線カバーに設けられた開口と、
X線を遮蔽できる材料によって形成されており前記防X線カバーの開口を開閉する試料室シャッタと、
前記防X線カバーの内部に設けられており、前記カセットと前記試料支持台との間で前記防X線カバーの開口を通して前記試料を搬送する試料搬送手段と、
前記複数のカセットの1つに対する主測定を実現する主測定モードと、前記複数のカセットの他の1つに対する割込み測定を実現する割込み測定モードとを有しており、前記主測定モードと前記割込み測定モードとの間で前記試料室シャッタの開閉によって前記防X線カバーの開口を開閉し、前記防X線カバーの開口が開状態のときに当該開口を通して前記試料搬送手段によって試料を搬送させる制御を行う制御手段と、
前記複数のカセット台上に置かれたカセット内の試料が前記主測定モード中又は前記割込み測定モード中に他の試料と交換されることを防止する試料交換防止手段と、
を有することを特徴とする割込み測定可能なX線測定装置。
【請求項2】
前記試料交換防止手段は、
前記カセット台及び当該カセット台上に置かれた前記カセットを包囲し開閉可能であるカバーと、
当該カバーを開き移動不能に保持するロック手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の割込み測定可能なX線測定装置。
【請求項3】
前記試料交換防止手段は、
前記カセットが前記カセット台上から取り外されたことを検出するセンサと、
当該センサの出力信号に基づいて画像表示手段上に表示を行う表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の割込み測定可能なX線測定装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記試料室シャッタを開状態にして前記開口を通して前記試料搬送手段によって前記カセットから前記試料支持台上へ試料を搬送し、前記試料室シャッタを閉状態にして前記主測定モードを実行し、
当該主測定モードの実行中に前記割込み測定モードを実行することの指令を受けたとき、当該主測定モードの実行を中断し、
当該中断後に前記試料室シャッタを開状態にして前記開口を通して前記試料搬送手段によって前記試料支持台上の試料を交換し、
当該交換後に前記試料室シャッタを閉状態にして前記割込み測定モードを実行し、
当該割込み測定モードの終了後に前記試料室シャッタを開状態にして前記開口
を通して前記試料搬送手段によって前記試料支持台上の試料を交換し、
当該交換後に前記主測定モードを再開する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の割込み測定可能なX線測定装置。
【請求項5】
試料番号に関連して測定条件を記憶する測定条件記憶手段と、
試料番号を記憶する試料番号記憶手段と、をさらに有しており、
前記制御手段は、
前記主測定モードの実行中に前記割込み測定モードを実行することの指令を受けたとき、そのときに測定に供されていたウエハの試料番号を前記試料番号記憶手段に記憶させ、
前記割込み測定モードの終了後に前記主測定モードを再開する際、前記試料番号記憶手段に記憶されている試料番号及び前記測定条件記憶手段に記憶されている測定条件に従って前記主測定モードを再開する
ことを特徴とする請求項4記載の割込み測定可能なX線測定装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記割込み測定モードの実行後に前記主測定モードを再開するとき、前記試料番号記憶手段に記憶されている試料番号に基づいて当該試料番号に対して初めから主測定モードを演算する
ことを特徴とする請求項5記載の割込み測定可能なX線測定装置。
【請求項7】
測定結果を記憶する測定結果記憶手段をさらに有しており、
前記制御手段は、前記割込み測定モードの実行後に前記主測定モードを再開するとき、前記試料番号記憶手段に記憶されている試料番号に基づいて当該試料番号に対して中断時までに得られた測定結果以降の測定結果を求める主測定モードを演算することを特徴とする請求項5記載の割込み測定可能なX線測定装置。
【請求項8】
前記X線測定系は、X線を発生するX線管と、当該X線管のX線出射窓を開閉するX線シャッタとを有しており、
前記制御手段は、
前記試料室シャッタを開けるときは、前記X線シャッタを閉じてから前記試料室シャッタを開け、
前記X線シャッタを開けるときは、前記試料室シャッタを閉じてから前記X線シャッタを開ける
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の割込み測定可能なX線測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−13464(P2012−13464A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148391(P2010−148391)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】