説明

創傷、火傷及び潰瘍の局所的治療のためのヒアルロン酸及びコラーゲナーゼを含有する新規医薬組成物

種々の創傷、種々の深度の火傷、床ずれ、血管性潰瘍及び糖尿病性足病変潰瘍の局所的治療、並びに肥厚性及びケロイド性瘢痕の治療のための包帯剤の調製のための、ヒアルロン酸及び/又はその誘導体を蛋白質分解性酵素コラーゲナーゼ(及び関連する医薬製剤)と組み合わせて含有する新規組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の創傷、種々の深度の火傷、床ずれ、血管性潰瘍及び糖尿病性足病変潰瘍の局所的治療、並びに肥厚性及びケロイド性瘢痕の治療のための包帯剤の調製のための、ヒアルロン酸又はその誘導体を蛋白質分解性酵素コラーゲナーゼ(及び関連する医薬製剤)と組み合わせて含有する新規組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
壊死性組織の酵素的壊死組織切除は、生存可能な組織を保護しながら失活した組織に存在する変性コラーゲン、フィブリン及びエラスチンを分解することのできる非毒性酵素の作用による該組織の除去を伴う。
この技術は、肉芽組織に対してより選択的であるために機械的/外科的壊死組織切除に好ましく、多様な病因及び種々の深度の皮膚潰瘍などの非感染病変に特に好適である。
今日の市場で入手可能な酵素製剤は、蛋白質分解性酵素コラーゲナーゼ(Noruxol(登録商標)及びIruxol(登録商標))を含有するか、又はフィブリノリジン及びデソキシリボヌクレアーゼ(Elase(登録商標))の組み合わせによって構成され、その全ては壊死性組織、化膿性滲出液及びフィブリン(Mekkes J. R., Arch Dermatol Rese, 1998, 290:152-157)を除去するのに(異なる結果であるが)有効である。
【0003】
用途の観点からの大きな関心はクロストリジウム種の細菌から製造されたコラーゲナーゼであるが、クロストリジウムから製造された酵素よりも著しく優れた比活性度を有する病原性菌株から製造されたVibrio Alginolyticusから製造されたコラーゲナーゼ(Achromobacter collagenase EC 3.4.24.08; Borivoj k., Matrix Supplement, 1992, 1: 127-133;欧州特許第0115974B1号明細書)が広く記載され且つ特徴付けられている(まだ市販されてはいない)。
コラーゲナーゼは、低温であっても水溶液中で非常に不安定な蛋白質である。さらに、該分子の酵素活性に必須であるカルシウムイオンと相互作用することのできるキレート化剤及び種々の金属によって容易に変性させることができる。
これは、最終医薬製剤を調製する過程でしばしば必要となる凍結、解凍、凍結-乾燥及び乾燥方法などの化学的-物理的手順に極端に敏感な酵素である。
従って、種々の異なる製剤が試験され、安定な、従って活性なコラーゲナーゼを含有する最終組成物が見出された(欧州特許第0543521B1号明細書、特許出願WO96/41870、WO93/00807、WO94/24273)。
【0004】
まだ実験段階であるが、該酵素は注射用形態で用いられて指の変形病変であるデュピュイトレン拘縮を治療し、コラーゲナーゼの使用は視神経に損傷を与え得る眼球内の超過圧力を引き起こし、眼球の前房から体液を排出する管内におけるコラーゲンの異常な沈着と関連する障害である緑内障を減少させるのに特に重要である。
該コラーゲナーゼ酵素は、種々の深度の火傷、床ずれ、血管性潰瘍及び糖尿病性足病変潰瘍の壊死組織切除で主に示される。さらに、肥厚性及びケロイド性瘢痕を治療するのに用いられる。
適切な創傷治癒は焼痂を除去することを含む段階に続き、場合によっては外科的及び/又は酵素的壊死組織切除により適切な再上皮化段階を必要とする。
【0005】
コラーゲンは壊死性組織の主要な成分であり、従ってそれを除去して創傷の再上皮化を支持するのが本質的に重要である。しかし、この操作の過程中、周囲の皮膚を保護してコラーゲナーゼの使用から生じる痛みを伴う刺激現象を回避する必要があり、該酵素は変性及び天然コラーゲンの両方を分解してアミノ酸鎖のペプチド結合を加水分解し得る。
酵素的壊死組織切除中、治療される該創傷部位は大きさは減少せずに増加さえし得る。従って、焼痂が除去されるとき、新たに形成された肉芽組織が露出され、結果的に病変の完全な治癒を危険に曝し得る危険な細菌感染に開放される。
【0006】
創傷治癒プロセスは、多くのタイプの細胞及び液性因子、及び肥厚性及びケロイド性瘢痕などの病理学的瘢痕の形成を支持し得る多くの段階を伴う複雑な現象である。
従って、適切な治癒は、創傷治癒プロセスを先導(及び促進)する薬剤の投与を必要とする。
科学文献及び特許文献は豊富な記載を含んでおり、組織再生プロセスにおける主要因子として呼称ヒアルロン酸(HA)を主張している(欧州特許出願第1196179号明細書)。
【0007】
実際、その特別な化学的-物理的及び生物学的特徴により、ヒアルロン酸は創傷治癒の主な順次段階の全て:
炎症;
肉芽組織の形成;
再上皮化;
瘢痕組織修復、
に関与及び調整する。
その化学的-物理的特性により、前記ポリサッカライドは組織の水和作用を制御して素早い治癒に必要な正しい局所的条件をつくる; さらに、その高い粘度は起こり得る細菌及び/又はウイルス感染から創傷を保護する。
【0008】
その生物学的特性により、ヒアルロン酸は、遊離ラジカルに対する保護、炎症プロセスの制御、及び脈管形成の刺激に有効なことが証明されている。サイトカイン及び栄養性因子の発現を制御する際のその役割が説明されており、再上皮化中に創傷への線維芽細胞及び内皮細胞の流れを支持及び調整することにより肉芽組織を安定化させる。
最後に、実験データは、創傷におけるケラチノサイト増殖及びコラーゲンの蓄積を制御し、従って線維性組織及び、それによって、病理学的瘢痕の形成を減少させる際のヒアルロン酸の関与を説明している(John Chen W. Y. et al., Wound Repair and Regeneration, 1999, 7:79-89)。
【0009】
HAは、D-グルクロン酸及びN-アセチル-D-グルコサミンの交互性残基からなるヘテロ-ポリサッカライドである。これは50,000〜13x106Daの範囲の分子量を有する直鎖ポリマーであり、この値はこれが得られる原料及びこれを調製するのに用いた方法に従う。
これは事実上、細胞周囲のゲル、脊椎動物生命体の結合組織の基本物質(これはその主要成分の1種を表す)、間接の滑液、硝子液及び臍帯に存在する。
従って、HAは、多くの組織、例えば皮膚、腱、筋肉及び軟骨の細胞のための機械的サポートとして生物学的有機体において(上記のものに加えて)重要な役割を担う。
【0010】
前記ポリサッカライドは、生体適合性、生分解性、非免疫原性、粘性及び水和性のその特別な特性が、局所的及び全身的なレベルの両方で薬剤及び分子のための放出システムとして特に好適となるために、ヒアルロン酸と単純に組み合わせて又はヒアルロン酸で加塩されて種々の薬剤のための媒体として用いられることが公知である。(欧州特許第0197718B1号、第0445255B1号明細書)。
実際、局所的使用のための抗炎症薬(例えばジクロフェナク)と組み合わされたHAによる前臨床事件は、HAがヒアルロン酸の特異的作用により、それが区分けされて“貯蔵器”を形成し、皮膚へのさらなる吸収を最小化する場合に、皮膚への薬剤の吸収を(対照と比較して)著しく増加させることを示した。従って、該薬剤の作用(及び効力)は著しく増加する(Brown M.B. et al., JEADV, 2005, 19:309-318)。
【0011】
本出願人は、送達システムとしてのHAの上記記載に反して、HA及び/又はその誘導体と酵素コラーゲナーゼとの間の結合が酵素活性の明らかな減少を決定し、それによってHAの特異的作用により焼痂の分解/除去と肉芽組織の同時形成を可能にすることを驚くべきことに発見した。
さらに、前記ポリサッカライドは、コラーゲナーゼの温浸作用から病変を囲む健康な組織を保護し、それによって該生成物に関する患者のコンプライアンスを増加させる。
コラーゲナーゼの蛋白質分解性活性が低下することにより、ヒアルロン酸は、当業者に公知な上記の送達システムのものとは正反対であることが示されている特性を明らかにする。
本発明のさらなる対象は、該酵素の完全な安定化及び、それによって、室温で長期間の活性形態におけるその維持を可能にするコラーゲナーゼとHAを組み合わせて含有する新油性の医薬製剤によって示される。
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は、特別な賦形剤/安定化剤の存在により、蛋白質分解性酵素が室温で長期間安定なままにすることのできる新油性の医薬製剤におけるHA及び/又はその誘導体と酵素コラーゲナーゼの組み合わせを記載及び請求する。
組織再生におけるHAの特別な特性により、新規酵素/HA組成物による酵素的壊死組織切除は、通常はコラーゲナーゼ単独の治療に続く焼痂除去及び新規組織再生の段階を実質的に改良し、病理学的な瘢痕を形成しない適切な創傷治癒を決定する新規段階の確立を可能にする:
・焼痂の分解/除去は肉芽組織の形成と同時に起こる;
・新規結合組織の形成は、焼痂除去後の創傷サイズの減少(上記理由のため)及び、それによって、細菌及び/又はウイルス感染の危険性の著しい減少を決定する;
・健康的な周囲組織はHAによりコラーゲナーゼの温浸作用から保護される;
・焼痂除去は痛みなく行うことができる。
【0013】
上記新規コラーゲナーゼ/HA製剤の要求は、HAが、以下に説明されるように壊死性組織の酵素的壊死組織切除中にその作用を著しく減少させるコラーゲナーゼの蛋白質分解活性を調節できることが証明されているために可能である。
酵素/HAの製剤は、特に種々の深度の火傷、床ずれ、血管性潰瘍及び糖尿病性足病変潰瘍の壊死組織切除、種々の性質及び種々のサイズ及び深度の創傷及び、さらに、該酵素単独による治療よりも決定的に優れている該生成物による最終的な患者のコンプライアンスを伴う肥厚性及びケロイド性瘢痕の治療で必要とされる。
さらに、前記組成物はデュピュイトレン拘縮及び緑内障の治療でも要求される。
【0014】
本発明の対象である新規製剤に用いることのできるHA誘導体を以下に挙げる:
1. 50-730Kdaの分子量(欧州特許第0138572B1号明細書)又は750-1230Kdaの高い分子量(欧州特許第535200B1号明細書)を有する有機及び/又は無機塩基で加塩されたHA;
2. Hyaff(登録商標): 1〜100%、好ましくは50〜75%の間で用いたアルコールのタイプ及び長さによって変化し得るエステル化の割合を有する、HAと脂肪族、アリール脂肪族、脂環式、芳香族、環式又はヘテロ環式系のアルコールとのエステル(欧州特許第216453B1号明細書);
3. HyaddTM:1〜10%、好ましくは4%のアミド化の割合を有する、HAと脂肪族、アリール脂肪族、脂環式、芳香族、環式及びヘテロ環式系のアミンとのアミド(欧州特許第1095064B1号明細書);
4. 第4度以下に硫酸化されているHAのO-硫酸化誘導体(欧州特許第0702699B1号明細書);
5. ACP(登録商標):0.5〜10%及び好ましくは5%の分子内エステル化の割合を有するHAの分子内エステル(欧州特許第0341745B1号明細書);
6. 脱アセチル化HA誘導体:好ましくは0.1〜30%の脱アセチル化の割合を有するN-アセチル-グルコサミンフラクションの脱アセチル化から誘導され、HAの全てのカルボキシル基を有機及び/又は無機塩基で加塩することができる(欧州特許第1313772B1号明細書);
7. HyoxxTM:0.1〜100%及び好ましくは25〜75%のペルカルボキシル化度を有するN-アセチル-グルコサミンフラクションの第一級ヒドロキシル基の酸化から得られるHAのペルカルボキシル化誘導体。HAの全てのカルボキシル基を有機及び/又は無機塩基で加塩することができる(欧州特許出願第1339753号明細書)。
【0015】
本発明で用いられるHA自体又はその誘導体の調製で用いられるHAはいかなる原料から得られてもよく、例えば雄鶏の鶏冠からの抽出(欧州特許第0138572B1号明細書)、発酵又は技術的手段によって得てよく、その分子量は400〜3x106Da、特に1x105Da〜1x106Da、及びさらに特に50,000〜200,000Daで変化し得る。
HA又はその誘導体と組み合わせて用いられるコラーゲナーゼ酵素の濃度は、0,01U〜100U/mgのHA、好ましくは0,1〜20U及びさらに好ましくは0,2〜10U/mgのHAで変化し得る。
最終的な医薬組成物におけるHA又はその誘導体の最終濃度は、該最終生成物の0.01〜5%質量/質量、好ましくは0.1〜2%w/w、及びさらに好ましくは0.2〜0.4%w/wで変化し得る。
【0016】
1単位のコラーゲナーゼは、7.1のpH及び37℃において1秒以内に1ナノモルのPZ-Pro-Leu-Gly-Pro-D-Argを加水分解する酵素の量として定義される(PZ=4-フェニル-アゾベンジルオキシカルボニル)(Wunsch E. et al, Physiol Chem, 1963, 333:149-151)。
好ましく用いられるコラーゲナーゼ又は本発明の対象である組成物で用いられるコラーゲナーゼは、Vibrio Alginolyticus sub. Iophagus菌株、NCIMB(National Collection of Industrial and Marine Bacteria)、11038番菌株、同等の菌株: LMG 3418.に属する非病原性微生物から製造されるものである。
これは90,000〜110,000Daltonsの分子量を有するコラーゲナーゼ(IUBMB命名法: EC 3.4.24.3)を製造するグラム陰性な微生物であり、4.0〜11.0のpH範囲で安定であるが6.0〜8.0の最適pHを有し、4〜40℃で変化する温度で安定であり37℃の最適温度を有する。
該酵素は、コラーゲンをペプチドフラグメントに分解してその三鎖蛋白質構造に直接作用するため、メタロエンドペプチダーゼとして定義される。該酵素の特異活性は、銀及び銅の塩及びさらにEDTAなどのキレート化剤によって阻害され、これはコラーゲナーゼ活性に必要なカルシウムイオンを拘束する。
【0017】
Vibrio Alginolyticusからのコラーゲナーゼのコラーゲン分解性活性対ヒアルロン酸と組み合わされた同一酵素の活性
本研究の目的は、酵素そのものの活性をコラーゲナーゼ/HAの新規組成物の活性と比較し、同一酵素の蛋白質分解性活性におけるヒアルロン酸の影響を観察することとした。
【0018】
材料:
酵素活性のための基質として1mg/mL(下記で調製される緩衝液の)の濃度でウシの皮膚から抽出されるコラーゲン;
0,33、0,66及び1,32酵素単位の3種の異なる濃度で試験されたVibrio Alginolyticusから抽出されたコラーゲナーゼ;
0,33、0,66及び1,32Uの同一の3種の濃度で試験されるが以下の比:HAの0,16U/mg、HAの0,33U又は0,66U/mg(従って、0,33、0,66及び1,32Uが2mgのHAと組み合わされる)でヒアルロン酸と組み合わされるVibrio Alginolyticusから抽出されたコラーゲナーゼ。全ての3種の場合、ポリサッカライドの濃度を一定に保った。
【0019】
酵素温浸の方法:
コラーゲン分解方法は、37℃で予め時間を90分に設定して行った。続いて、該方法を同濃度且つ同温度で繰り返したが、該反応は開始後4〜12時間後に停止した。
該温浸反応はpH-7,4でCaCl2を0,01M含有しているトリス-HCL緩衝液0,05Mで行い、そこへ該反応基質上記のような設定濃度のHAと組み合わされたコラーゲナーゼ自体又は該酵素のいずれかを加えた。
【0020】
結果:
得られた酵素温浸混合物(酵素及び関連コラーゲン分解生成物)を7%のポリアクリルアミドゲルで分析して(電気泳動法:SDS-PAGE; Laemmli U. K., Nature, 1970, 680-685)、それらの分子量(MW)に従って分離した種々の蛋白質フラグメントをマッピングし、Comassieブルーで染色した。
電気泳動操作の後、該コラーゲンを、約33,000DaltonsのMWを持つさらなるペプチドフラグメントを有する約100,000DaltonsのMWを持つサブユニットに分離する。
全てのゲルに、分子量規格、正の制御としての未温浸コラーゲン、コラーゲナーゼそのもの及び別々に添加した関連酵素によって分解されたコラーゲン、及び最後にHA及び酵素単独と組み合わされたコラーゲナーゼによって分解されたコラーゲンを添加した。
【0021】
図1は、0,33Uの酵素が90分以内にコラーゲンを部分的にのみ分解するが、とりわけコラーゲナーゼ/HA組成物におけるHAの存在(酵素の同一濃度で)が該酵素のコラーゲン分解性作用を改良してその活性を減少させることを明らかに示している。
図2及び3は、酵素においてヒアルロン酸によって行われる調節作用をさらに示している:90分後、0,66及び1,32Uのコラーゲナーゼはコラーゲンを完全に分解し、特に0,66UにおいてHAは該酵素のコラーゲン分解性作用を減少させる。該酵素における前記ポリサッカライドの影響は、1,32Uのコラーゲナーゼによってさらに明らかである。
【0022】
図4及び5は、4及び12時間後の状況を示している:コラーゲンによる酵素(0,66U)の培養の4時間後、コラーゲンの未温浸蛋白質フラクションがうっすらとではあるが目で見えるため、依然としてコラーゲナーゼにおけるHAの作用を観察することができる;12 時間後(再び0,66Uの酵素による)、ポリサッカライドの調節作用はもはや明らかでなく、コラーゲンは完全に分解される。
純粋な記述的な目的のために、これらに限定されることなく、以下に本発明の対象である新規製剤を調製することのできる方法の数種の実施例を報告する。
【0023】
コラーゲナーゼ/HA脂肪ゲルの製造方法
脂肪ゲルの機能成分の調製:
pH7,1の最初の水溶液又は緩衝溶液(トリスHCL 25mM、CaCl2 10mM)を82,7U/mLのコラーゲナーゼで調製し;45mLのこの水溶液を以下の賦形剤:希釈剤/安定化剤としてのマルトース(18g)、場合によっては精製されている安定化剤としてのカラゲナン(0,54g)、及び水45gと共に凍結乾燥する。18.6gの凍結乾燥生成物が得られ(乾燥生成物)、以下からなる:
マルトース95%w/w
カラゲナン2,8%w/w
コラーゲナーゼ0,9%w/w。
続いて該凍結乾燥生成物を微粉化する。
同時に、発酵によって得られ160KDsのMWを有するHAも微粉化する。
【0024】
新油性塩基における機能成分の分散:
実施例1及び2
上記のように調製した酵素コラーゲナーゼ及びHAを、以下の賦形剤によって構成される親油性塩基に均等に分散させる:
・粉末形態の水素化ヒマシ油(ゲル化作用を有する)
・セチルステアリルアルコール(調和剤として)
・繊維質ワセリン(新油性相として)
・軽質ワセリン油(新油性相として)。
【0025】
新油性塩基の調製
約88-90℃で繊維質ワセリン及びセチルステアリルアルコールをワセリン油に溶解及び可溶化する。滑らかで溶けた塊が得られたら、水素化ヒマシ油粉末を新たに形成された新油性相に溶解及び可溶化する。
該塊を均等に融解し、25-30℃まで冷却する。
【0026】
脂肪ゲル:実施例1A

【0027】
脂肪ゲル:実施例1B

【0028】
脂肪ゲル:実施例1C










【0029】
脂肪ゲル:実施例1D

【0030】
脂肪ゲル:実施例2A

【0031】
脂肪ゲル:実施例2B

【0032】
新油性塩基における機能性成分の分散:
実施例3
軽質ワセリン油をホホバ釉薬に導入及び可溶化し、70-75℃でホホバ油におけるスチレンコポリマー-プロピレン-ブチレンに基づく親油性ゲル化システムを滑らかな塊が得られるまでゆっくりと攪拌する。室温まで冷却し、続いて攪拌しながら上記のような微粉化HA及び微粉化親油性コラーゲナーゼを、該粉末が脂肪ゲルにおいて完全にアマルガム化するまで加える。







【0033】
脂肪ゲル:実施例3A

【0034】
脂肪ゲル:実施例3B

【0035】
前記製剤は、薬理学的及び/又は生物学的な活性物質、例えば抗生剤、抗ウイルス剤、創傷治癒剤、細胞分裂阻害/細胞障害剤、抗癌剤、ホルモン、ステロイド性及び非ステロイド性抗炎症剤、栄養因子及び種々の性質のサイトカインなどを含有してよい。
このような本発明の記載により、これらの方法が種々の方法で改良され得ることが明らかである。そのような改良を本発明の意図及び目的からの相違としては考えず、当業者に明らかな任意の改良が特許請求の範囲内で起こる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】90分のコラーゲン温浸時間。 MWS=6バンド:205KDs、116KDs、97KDs、66KDs、45KDs、29KDsによって表される分子量基準;CP=コラーゲンそのもの、正の制御;Coll. 1=0,33Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll. 2=0,33Uの濃度におけるコラーゲナーゼ;Coll./HA 1=HAの存在下で0,33Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll./HA 2=HAの存在下で0,33Uの濃度におけるコラーゲナーゼ。
【図2】90分のコラーゲン温浸時間。 MWS=6バンド:205KDs、116KDs、97KDs、66KDs、45KDs、29KDsによって表される分子量基準;CP=コラーゲンそのもの、正の制御;Coll. 1=0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll. 2=0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ;Coll./HA 1=HAの存在下で0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll./HA 2=HAの存在下で0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ。
【図3】90分のコラーゲン温浸時間。 MWS=6バンド:205KDs、116KDs、97KDs、66KDs、45KDs、29KDsによって表される分子量基準;CP=コラーゲンそのもの、正の制御;Coll. 1=1,32Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll. 2=1,32Uの濃度におけるコラーゲナーゼ;Coll./HA 1=HAの存在下で1,32Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll./HA 2=HAの存在下で1,32Uの濃度におけるコラーゲナーゼ。
【図4】4時間のコラーゲン温浸時間。 MWS=6バンド:205KDs、116KDs、97KDs、66KDs、45KDs、29KDsによって表される分子量基準;CP=コラーゲンそのもの、正の制御;Coll. 1=0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll. 2=0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ;Coll./HA 1=HAの存在下で0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll./HA 2=HAの存在下で0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ。
【図5】12時間のコラーゲン温浸時間。 MWS=6バンド:205KDs、116KDs、97KDs、66KDs、45KDs、29KDsによって表される分子量基準;CP=コラーゲンそのもの、正の制御;Coll. 1=0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll. 2=0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ;Coll./HA 1=HAの存在下で0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ+コラーゲン;Coll./HA 2=HAの存在下で0,66Uの濃度におけるコラーゲナーゼ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸及び/又はその誘導体を蛋白質分解性酵素コラーゲナーゼと組み合わせて含有する、局所的使用のための薬剤。
【請求項2】
デュピュイトレン拘縮及び緑内障の治療のための、ヒアルロン酸及び/又はその誘導体を蛋白質分解性酵素コラーゲナーゼと組み合わせて含有する薬剤。
【請求項3】
コラーゲナーゼが、菌株Vibrio Alginolyticus sub. Iophagusに属する非病原性微生物から製造される、請求項1又は2記載の薬剤。
【請求項4】
ヒアルロン酸誘導体が、有機及び/無機塩基との塩、エステル、アミド、硫酸化誘導体、分子内エステル、脱アセチル化誘導体又はペルカルボキシル化誘導体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項5】
薬理学的及び/又は生物学的に活性な物質を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項6】
種々の深度の火傷、床ずれ、血管性潰瘍及び糖尿病性足病変潰瘍の治療、及び肥厚性及びケロイド性瘢痕の治療における、請求項1及び3〜5のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項7】
蛋白質分解性酵素コラーゲナーゼの濃度が、HAの0,01U〜100U/mgで変化し得る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項8】
酵素コラーゲナーゼの濃度が、HAの0,1U〜20U/mgとなり得る、請求項7記載の薬剤。
【請求項9】
酵素コラーゲナーゼの濃度が、HAの0,2U〜10U/mgとなり得る、請求項8記載の薬剤。
【請求項10】
HAの最終濃度が、最終生成物の0,01〜5%質量/質量となり得る、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項11】
HAの最終濃度が、0,1〜2%質量/質量である、請求項10記載の薬剤。
【請求項12】
HAの最終濃度が、0,2〜0,4%質量/質量である、請求項10記載の薬剤。
【請求項13】
デュピュイトレン拘縮及び緑内障の治療のための、請求項2〜5及び7〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ヒアルロン酸及び/又はその誘導体を蛋白質分解性酵素コラーゲナーゼと組み合わせて含有し、且つ安定化剤としてマルトース及びカラゲナンをさらに含有する、親油性医薬組成物。
【請求項15】
安定化剤としてマルトース及びカラゲナンを含有する、請求項2〜5及び7〜12のいずれか1項に記載の親油性医薬組成物。
【請求項16】
種々の深度の火傷、床ずれ、血管性潰瘍及び糖尿病性足病変潰瘍の治療、及び肥厚性及びケロイド性瘢痕の治療における、請求項14又は15記載の医薬組成物。
【請求項17】
種々の深度の火傷、床ずれ、血管性潰瘍及び糖尿病性足病変潰瘍の治療、及び肥厚性及びケロイド性瘢痕の治療における、請求項1、3〜5及び7〜12のいずれか1項に記載の薬剤の使用。
【請求項18】
デュピュイトレン拘縮及び緑内障の治療のための、請求項2〜5及び7〜12のいずれか1項に記載の薬剤の使用。
【請求項19】
種々の深度の火傷、床ずれ、血管性潰瘍及び糖尿病性足病変潰瘍の治療、及び肥厚性及びケロイド性瘢痕の治療における、請求項14又は15記載の親油性医薬組成物の使用。
【請求項20】
デュピュイトレン拘縮及び緑内障の治療のための、請求項14又は15記載の親油性医薬組成物の使用。
【請求項21】
ヒアルロン酸及び/又はその誘導体を蛋白質分解性酵素コラーゲナーゼと組み合わせて含有する脂肪ゲルの調製のための方法であって、以下の工程:
I)規定量のマルトース及びカラゲナンを含む凍結乾燥したコラーゲナーゼの調製;
II)前記凍結乾燥したコラーゲナーゼの微粉化;
III)HAの微粉化;
IV)該脂肪ゲルの親油性塩基の調製;
V)該脂肪ゲル塩基における該微粉化された成分の滑らかな分散、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−500367(P2009−500367A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519863(P2008−519863)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006616
【国際公開番号】WO2007/006484
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507294993)フィディア ファルマチェウティチ ソシエタ ペル アチオニ (3)
【Fターム(参考)】