説明

創傷ドレッシングポートと、創傷ドレッシング

【課題】VWT処置における使用に適したドレッシングを提供すること。
【解決手段】リザーバを画定するために創傷の上に配置する裏打ち層であって、リザーバにおいて、減圧が、創傷の上で維持され得る、裏打ち層と、入口部材の周囲表面が、入口部材のリザーバ表面から流体的に隔離され得るように、裏打ち層に付着された入口部材であって、該入口部材は、周囲表面における開口部とリザーバ表面における主要アパーチャとの間に延びている主要ポートであって、開口部は、吸引デバイスに対する接続に適合されており、そして、主要アパーチャは、リザーバと流体連通を確立するように適合されている、主要ポートと主要ポートとリザーバ表面における補助アパーチャとの間に流体連通を確立する少なくとも1つの補助ポートとを備えている、入口部材とを備えている、創傷ドレッシング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、真空創傷治療処置によって開放創を処置するための創傷ドレッシングに関する。特に、本開示は、入口部材を有するドレッシングに関し、該入口部材が、真空システムに対する接続を提供するので、創傷の上のリザーバが、排出させられる。
【背景技術】
【0002】
体の自然な創傷治癒プロセスは、負傷の瞬間に開始する複雑な一連の事象である。最初に、体が、損傷を最小にするために、血流によって、タンパク質と他の因子とを創傷に送達することによって反応する。血液が凝固することにより、血液の損失を防止しながら、細胞がバクテリアと破片とを包み込むことにより、バクテリアと破片とを創傷部位から運び去る。次に、体は、多くの場合に増殖期と呼ばれる治癒段階において体自体を治療し始める。この期は、創傷床における堆積肉芽組織によって特徴付けられる。肉芽組織は、基礎構造を提供し、該基礎構造の上に、細胞が、周囲から内側に広がることにより、創傷を閉鎖し得る。最後に、コラーゲンが、時間の経過と共に新たな組織に強度を与え、多くの場合に、傷跡を形成すると、プロセスは、終了する。
【0003】
自然な治癒プロセスを促進する1つの技術は、特に、増殖期の間に限定されるものではないが、真空創傷治療(VWT)として公知である。創傷の上の局所的なリザーバに対する減圧、例えば、大気圧よりも低い圧力の適用は、創傷を閉鎖することを補助することが分かっている。減圧は、自然なプロセスによる、創傷の上での肉芽細胞の形成と健康な組織の移動とを刺激するために、その領域への血流を促進することに有効であり得る。また、減圧は、創傷から滲出する流体を除去することを補助し得、このことが、バクテリアの成長を抑制し得る。この技術は、慢性的な創傷または治癒していない創傷に対して有効であることが証明されているが、術後の創傷ケアなどの他の目的に対しても使用されてきている。
【0004】
一般的なVWTプロトコルが、創傷の中への、非網状発泡体、不織布、またはガーゼなどの吸収性充填剤材料の導入を提供することにより、滲出物を吸収する。次に、創傷と吸収性充填剤材料とが、ポリマーフィルムなどの可撓性被覆層によって覆われることにより、例えば、創傷の上に真空リザーバを確立し、該リザーバにおいて、減圧が、個々の排出手順または周期的な排出手順によって加えられ得る。減圧が長い時間にわたって維持されることを可能にするために、被覆層は、粘着性の周囲を含み得、該粘着性の周囲は、創傷を取り囲んでいる健康な皮膚と実質的な流体密のシールを形成する。
【0005】
一部の手順は、真空リザーバの中に含まれるマイクロポンプを利用し得るが、ほとんどのVWT処置は、外部の真空源を使用して減圧を加える。したがって、真空源とリザーバとの間の流体連通が、確立されなければならない。このために、被覆層は、多くの場合に、コネクタまたは入口部材を含み、該コネクタまたは該入口部材に、外部の真空システムからの空気ホースが、接続され得る。
【0006】
VWT処置における重要な局面は、減圧が加えられたときの空気の流れの方向における充填剤材料および創傷滲出物の移動である。これらの物質は、例えば、入口部材の中の表面に堆積され得、そして、時間の経過と共に、これらの入口部材の障害または完全な閉塞をもたらす。この現象は、創傷領域からの滲出物の流れの程度を制限し得るか、創傷領域に対する減圧の適用を妨げることさえあり得、その結果、VWT処置の有効性を限定または無効にする。したがって、VWT処置における使用に適したドレッシングに対する必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、真空創傷治療処置における使用のための創傷ドレッシングを記述する。創傷ドレッシングは、リザーバを画定するために創傷の上に配置する裏打ち層を含み、該リザーバの中において、減圧が、創傷の上で維持され得る。入口部材は、入口部材の周囲表面が、入口部材のリザーバ表面から流体的に隔離され得るように裏打ち層に付着される。裏打ち層は、裏打ち層が創傷の上に配置されたときに、周囲表面とリザーバ表面との間に境界を画定する。入口部材は、周囲表面における開口部とリザーバ表面における主要アパーチャとの間に延びている主要ポートを含む。開口部は、吸引デバイスに対する接続に適合されており、そして、主要アパーチャは、リザーバと流体連通を確立するように適合されている。入口部材は、さらに、主要ポートとリザーバ表面における補助アパーチャとの間に流体連通を確立する少なくとも1つの補助ポートを備えている。補助アパーチャは、主要アパーチャとは別個であり、かつ、主要アパーチャから実質的に間隔を置かれている。
【0008】
入口部材は、主要ポートから放射状外側に延びている複数の補助ポートを含み得る。主要アパーチャと補助アパーチャとは、実質的にリザーバ表面全体にわたって分散配置され得る。入口部材は、可撓性ポリマーまたはエラストマー材料から成形され得、そして、接着するようにコーティングされたフィルムの接続に適合された取付フランジを含み得る。
【0009】
創傷ドレッシングの裏打ち層は、可撓性のポリマー膜を備え得る。裏打ち層は、接着コーティングを含み得、該接着コーティングは、創傷の上に裏打ち層を付着させ、そして、創傷の周囲に実質的な流体密のシールを提供するように適合されている。接着コーティングが、中断され得るので、裏打ち層の中間部分は、被覆されないままである。
【0010】
本開示のさらなる局面に従って、真空創傷治療システムは、接触層と、創傷床に配置された吸収性充填剤と、真空リザーバを画定するために創傷床の上に配置された裏打ち層に付着された入口部材とを含む。入口部材は、周囲表面における開口部とリザーバ表面における主要アパーチャとの間に延びている主要ポートと、主要ポートと補助アパーチャとの間に延びている少なくとも1つの補助ポートとを含み、該少なくとも1つの補助ポートは、主要アパーチャとは別個であり、かつ、主要アパーチャから実質的に間隔を置かれている。
【0011】
接触層は、円錐状にアパーチャを付けられたフィルムから形成され得る。吸収性充填剤材料は、単一ストランドのポリオルフィレンのフィラメントを含み得る。また、真空リザーバと流体連通する真空システムは、真空源と、収集キャニスターと、一方向バルブとを含み得る。
【0012】
したがって、本発明は、以下を提供する。
【0013】
(項目1)
リザーバを画定するために創傷の上に配置する裏打ち層であって、該リザーバにおいて、減圧が、該創傷の上で維持され得る、裏打ち層と、
入口部材の周囲表面が、該入口部材のリザーバ表面から流体的に隔離され得るように、該裏打ち層に付着された入口部材であって、該裏打ち層は、該裏打ち層が該創傷の上に配置されたときに、該周囲表面と該リザーバ表面との間に境界を画定し、該入口部材は、
該周囲表面における開口部と該リザーバ表面における主要アパーチャとの間に延びている主要ポートであって、該開口部は、吸引デバイスに対する接続に適合されており、そして、該主要アパーチャは、該リザーバと流体連通を確立するように適合されている、主要ポートと
該主要ポートと該リザーバ表面における補助アパーチャとの間に流体連通を確立する少なくとも1つの補助ポートであって、該補助アパーチャは、該主要アパーチャとは別個であり、かつ、該主要アパーチャから実質的に間隔を置かれている、少なくとも1つの補助ポートと
を備えている、入口部材と
を備えている、創傷ドレッシング。
【0014】
(項目2)
上記少なくとも1つの補助ポートは、複数の補助ポートを含み、各補助ポートは、上記主要ポートから放射状外側に延びている、項目1に記載の創傷ドレッシング。
【0015】
(項目3)
上記少なくとも1つの補助ポートは、複数の補助ポートを含み、該各補助ポートは、該主要アパーチャと該補助アパーチャとが、実質的に上記リザーバ表面全体にわたって分散配置されるように、中央ポートと、リザーバ表面におけるそれぞれの補助アパーチャとの間に延びている、項目1に記載の創傷ドレッシング。
【0016】
(項目4)
上記入口部材は、可撓性ポリマーまたはエラストマー材料から成形される、項目1に記載創傷ドレッシング。
【0017】
(項目5)
上記入口部材は、上記裏打ち層に対する接続に適合された取付フランジをさらに備えている、項目1に記載の創傷ドレッシング。
【0018】
(項目6)
上記裏打ち層は、可撓性ポリマー膜を備えている、項目1に記載の創傷ドレッシング。
【0019】
(項目7)
上記裏打ち層は、該裏打ち層の周囲に接着コーティングを備え、該接着コーティングは、上記創傷の上に該裏打ち層を付着させるように適合され、かつ、該創傷の周囲に実質的に流体密のシールを提供するように適合されている、項目7に記載の創傷ドレッシング。
【0020】
(項目8)
上記接着コーティングは、上記裏打ち層の中間部分が、被覆されないままであるように中断している、項目8に記載の創傷ドレッシング。
【0021】
(項目9)
創傷床に隣接して配置するために適合された接触層と、
該創傷床から滲出する液体を収集するために該創傷床の中で接触層に隣接して配置された吸収性充填剤と、
裏打ち層と該創傷床との間に真空リザーバを画定するために該創傷床の上に配置された該裏打ち層に付着された入口部材であって、該入口部材は、周囲表面における開口部とリザーバ表面における主要アパーチャとの間に延びている主要ポートを含み、該入り口部材は、該主要ポートと、該リザーバ表面における補助アパーチャとの間に延びている少なくとも1つの補助ポートをさらに含み、該補助アパーチャは、該主要アパーチャとは別個であり、かつ、該主要アパーチャから実質的に間隔を置かれている、入口部材と
を備えている、真空創傷治療システム。
【0022】
(項目10)
上記接続層は、円錐状にアパーチャを付けられたフィルムから形成される、項目9に記載の真空創傷治療システム。
【0023】
(項目11)
上記吸収性充填剤材料は、単一ストランドのポリオルフィレンのフィラメントを含む、項目9に記載の真空創傷治療システム。
【0024】
(項目12)
上記真空リザーバと流体連通する真空システムをさらに備えている、項目9に記載の真空創傷治療システム。
【0025】
(項目13)
上記真空システムは、真空源と、収集キャニスターと、一方向バルブとを含む、項目9に記載の真空創傷治療システム。
【0026】
(摘要)
真空創傷治療処置における使用のための創傷ドレッシングは、リザーバを画定するために創傷の上に配置する裏打ち層を含み、該リザーバにおいて、減圧が、創傷の上で維持され得る。裏打ち層に付着された入口部材が、周囲表面における開口部を通って減圧源に対する接続を提供する。主要ポートが、開口部とリザーバ表面における主要アパーチャとの間に延びることにより、リザーバと減圧源との間に流体連通を提供する。少なくとも1つの補助ポートが、主要ポートとリザーバ表面における補助アパーチャとの間に流体連通を確立し、該補助アパーチャは、主要アパーチャとは別個であり、かつ、主要アパーチャから実質的に間隔を置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本開示に従った真空創傷治療システムの分解斜視図である。
【図2】図2は、図1の入口部材の創傷に対面する側の平面図である。
【図3】図3は、図2の線3−3に沿って取られた断面図である。
【図4】図4は、患者の創傷の上に取り付けられた図1の真空創傷治療システムの断面図である。
【図5】図5は、真空創傷治療システムの代替の実施形態を描いている、図4と同様な図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この明細書に組み込まれ、かつ、この明細書の一部分を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、そして、以下で与えられる実施形態の詳細な記述と共に、本開示の原理を説明するために働く。
【0029】
本開示の創傷ドレッシングは、創傷の上にリザーバを提供することによって創傷の治癒を促進し、該創傷において、減圧が、維持され得る。リザーバは、大気圧よりも低い圧力に創傷をさらすことにより、真空ポンプを継続的に使用することなく、創傷から、液体の滲出物を含む創傷流体を効果的に吸い出す。したがって、減圧が、一度加えられ得るか、創傷の性質と重大さとに依存して様々な間隔で加えられ得る。このような創傷ドレッシングの使用は、感染の可能性を低下させること、肉芽組織の堆積を刺激すること、および他の有益なプロセスによって治癒を促進することが分かっている。本開示の創傷ドレッシングは、真空創傷治療処置の効果を高めるために入口部材に付着された裏打ち層を含む。
【0030】
添付の図面は、本開示の例示的な実施形態を例示し、そして、図面に記述された実施形態を記述するために参照される。以下において、本開示は、図面を説明することによって詳細に記述され、図面においては、同様な参照番号は、いくつかの図面を通して同様な部分を表す。
【0031】
最初に、図1を参照すると、健康な皮膚「s」によって囲まれた創傷「w」における使用に対する、本開示に従った真空創傷治療システムが、概略的に、10で描かれている。真空創傷治療システム10は、真空システム12を含み、該真空システム12は、創傷ドレッシング16によって画定されるか、創傷ドレッシング16の中に画定される真空リザーバ14(図4)と流体連通している。真空システム12は、真空源18を含み、該真空源18は、一方向バルブ20と、真空チューブ24などの吸引デバイスとを通ってドレッシング16に接続されている。収集キャニスター28が、創傷の排液と破片とに対して提供され得る。真空システム12は、創傷「w」の治癒を刺激するために適切な減圧を真空リザーバ14に提供するように適合されている。適切な真空システム12のさらに詳細な記述が、同一人に譲渡された米国特許出願公開第2007/0066946号に見出され、米国特許出願公開第2007/0066946号の全内容が、本明細書において参考として援用される。
【0032】
創傷ドレッシング16は、概して、接触層34と、充填剤38と、被覆層40とを含む。被覆層40は、裏打ち層44と、入口部材46とを含む。入口部材46は、真空チューブ24などの吸引デバイスに対する接合点を提供することによって、真空リザーバ14と真空システム12との間に流体連通を確立するように構成されている。創傷ドレッシング16の各層は、以下でさらに詳細に記述される。
【0033】
接触層34は、創傷床「w」の不規則な形状の表面と直接的に接触して配置されるように充分に順応可能であり得る。ポリエチレンまたは他の適切な非接着性の材料の薄いフィルムが、接触層34を形成することにより、創傷「w」に対する充填剤38および他の物質の接着を制限し得る。フィルム内のアパーチャまたは穿孔が、流体が接触層34を通過することを許容し、大気圧よりも低い圧力が、創傷「w」の中に浸透し、そして、滲出物が創傷「w」から自由に流出することを可能にする。適切なフィルム材料を選択することによって、接触層34を通る創傷滲出物の通過が、実質的に一方向になるように制御されることにより、滲出物が、創傷の中に流れ戻ることを防止し得る。一方向の流れを促進するために、円錐状のアパーチャを付けられたフィルム、例えば、Covidienの一部門であるKendall Corp.によるVENTEXTM、またはRichmond、VAのTredegar Film Productsによるアパーチャを付けられたフィルムなどが、接触層34を形成するために選択され得る。滲出物の一方向の流れがまた、様々な吸収特性を有する層の積層を含む他の材料の選択によって促進され得る。接触層として使用され得る1つの例示的な材料は、Covidienの一部門であるKendall Corp.によって商標XEROFLO(登録商標)の下で販売されている。
【0034】
充填層38が、接触層34の上に配置されることにより、周囲の健康な皮膚「s」の高さまで創傷「w」を充填し得る。不織ガーゼまたは網状発泡体などの吸収性材料は、充填剤38が、接触層34を通過して移動するあらゆる滲出物を閉じ込めるために使用され得る。Covidienの一部門であるKendall Corp.によって商標KERLIX(登録商標)の下で販売されている抗菌ドレッシングが、充填剤38としての使用に適切であり得る。創傷「w」に対する接着を防止するために、充填剤38は、あらゆる散らばった繊維が接触層34のアパーチャを通って突出する結果をもたらさないように構成された材料を含み得、該接触層34において、あらゆる散らばった繊維は、新たに形成される肉芽組織によって包み込まれ得る。この特性を示す1つの特定のタイプの材料は、多くの場合に、「トウ」と呼ばれる。合成繊維を製造するプロセスは、多くの場合に、中程度の長さの連続的なフィラメントの押出しを含み、該フィラメントが、互いに紡がれることにより、繊維を形成する。連続した長さの紡がれていないフィラメントが、トウと呼ばれる。ポリオレフィンなどの疎水性材料から形成された単一な長さのトウが、創傷床「w」に敷かれることにより、充填剤38を形成し得る。この配置が、ドレッシング16が創傷「w」を再損傷させることなく変えられたときに、充填剤38の完全な除去を可能にする。
【0035】
被覆層40は、裏打ち層44と入口部材46とを含む単一のユニットとして供給され得るか、あるいは、これらの品目が、個々に提供され、そして、据え付けのときに、創傷「w」の上に組み立てられ得る。被覆層40は、創傷「w」の上に配置され、その中に接触層34と充填剤38とを封入する。
【0036】
裏打ち層44が、可撓性ポリマーの膜またはフィルムから形成されることにより、大気圧よりも低い圧力が、真空リザーバ14内で確立されることを可能にする流体バリアとして働き、かつ、汚染物質が創傷範囲に入ることを防止する微生物バリアとしても働き得る。例えば、裏打ち層44は、約0.8mil〜約1.0milの厚さを有するポリウレタンフィルムを含み得る。好適には、裏打ちフィルム44は、水蒸気が浸透可能な膜から形成されることにより、創傷部位と大気との間の酸素と水蒸気との交換を容易にする。1つの例示的な材料は、Covidienの一部門であるKendall Corp.によって商品名POLYSKIN(登録商標)IIの下で販売されている透明な膜である。裏打ち層における使用に適切であり得る他の材料は、St.Paul、MNの3Mによって名称TEGADERMTMの下で、またはUK、LondonのSmith and Nephew PLCによって名称OPSITETMの下で市場投入された薄いフィルムを含む。
【0037】
被覆層40の裏打ち層44が、健康な皮膚「s」にシールを形成するように健康な皮膚「s」に接触させるために創傷床「w」の周囲を越えて横方向に延びるように適合されている。シールを形成するために、裏打ち層44は、創傷に対面する側の全て、またはあらゆる適切な部分に接着コーティングを装備され得る。接着コーティングは、例えば、医療グレードの感圧性接着剤を含み得、該医療グレードの感圧性接着剤は、創傷「w」の周りに流体密の、かつ、防菌のシールを提供するように適合されている。したがって、滲出物は、ドレッシング16の縁を通って漏れ得ず、そして、外気と汚染物質とは、創傷範囲に入らないことがあり得る。かかるシールを提供するために、接着コーティングは、例えば、約1mil〜約10milの厚さの範囲内にあり得る。概して、高い剥離強度の接着剤が、偶発的なリフトオフ、回転、または「衰弱」、すなわち、被覆層40の縁においてドレッシングがドレッシング自身に接着することの破損に抵抗するために使用され得る。接着剤は、例えば、Covidienの一部門であるKendall Corp.によって商標ULTEC(登録商標)Hydrocolloidの下で販売されているドレッシングに含まれる接着剤を含み得る。
【0038】
裏打ち層44が、接続領域50を含むことにより、入口部材46の接続を可能にする。接続領域50は、入口部材46のリザーバ表面54を受け入れることにより、入口部材46と連絡していることを除いて、入口部材46における周囲表面56からリザーバ表面54を流体的に隔離する。図1および図4に例示されるように、接続領域50は、リザーバ表面54を直接的に受け入れるように適合されるので、リザーバ表面54または接続領域50のいずれかにおける接着コーティングが、入口部材46を裏打ち層44に付着させ得る。裏打ち層44は、リザーバ表面54と周囲表面56との間の境界を画定し得る。この配置は、リザーバ14からリザーバ表面54を隔離することを可能にする。すなわち、リザーバ表面54が、リザーバ14の外側に配置され得る。穿孔58が、接続領域50を貫通して形成されることにより、流体が、リザーバ14から吸い出されることを可能にする。あるいは、図5に例示されるように、裏打ち層44aが、エントリ50aを含み、該エントリ50aは、入口部材46aの一部分が、裏打ち層44aを通って突出するように寸法を合わされ得る。適切に配置された接着コーティングは、裏打ち層44aの創傷に対面する側と、フランジ60aの対向するように向けられた表面との間にシールを形成し得る。この配置は、リザーバ表面54aが、リザーバ14aの中に配置されることを可能にし、周囲表面56aからリザーバ表面54aを流体的に隔離する。他の配置が、入口部材46、46aを裏打ち層44、44aに付着させることに対して想定され得、このことは、シーリングリング(図示せず)などの他の部品を含み得る。
【0039】
裏打ち層44は、中断させられた接着コーティングを含むので、シールを形成する裏打ち層44の一部分だけが被覆され得る。例えば、裏打ち層44は、周囲に接着コーティングのバンドを含むことにより、皮膚「s」とのシールを形成し、そして、接続領域50の近くに別のバンドを含むことにより、入口部材46とのシールを形成し得る。裏打ち層44の中間部分が、被覆されないままであることにより、充填層38、接触層34、または他の表面に対する裏打ち層44の接着を制限し得る。かかる配置は、創傷「w」を再負傷させることなくドレッシング16の除去を容易にし得る。
【0040】
ここで、図2および図3を参照すると、入口部材46は、硬質のコンポーネントとして形成され得るか、あるいは、入口部材46は、可撓性ポリマーまたはエラストマー材料から成形され得る。入口部材46における可撓性が、患者の皮膚「s」における湾曲した範囲における創傷ドレッシング16の配置を容易にする。入口部材46は、リザーバ表面54と、周囲表面56とを含む。リザーバ表面54は、その中に配置された主要アパーチャ64が、例えば、穿孔58を通って真空リザーバ14と流体的に連通し得るように配置されるように適合される。周囲表面56は、ドレッシング16を取り囲む周囲に配置され得、そして、真空システム12の真空チューブ24などの吸引デバイスに対する接続に適合された開口部68を含む。主要ポート70が、主要アパーチャ64と開口部68との間に画定されることにより、リザーバ14と真空システム12との間の流体連通を可能にする。
【0041】
リザーバ表面54まで延びる補助ポート72の放射状のアレイが、主要ポート70から分岐している。補助ポート72のそれぞれが、主要アパーチャ64とは別個であり、かつ、主要アパーチャ64から実質的に間隔を置かれた補助アパーチャ74において終端する。補助ポート72のあらゆる数、あらゆる分布、そして、あらゆる配置が、リザーバ表面54の上に補助開口部74を分散配置するために含まれ得る。図2に例示されているように、補助アパーチャ74が、リザーバ表面54の周囲付近に配置されるので、流体が、入口部材46によって被覆された全範囲に及ぶ収集領域の上のリザーバ14から吸い出され得る。主要アパーチャ64および補助アパーチャ74のあらゆる数、あらゆるサイズ、そして、あらゆる配置が、特定の用途に対して流体を効果的に吸い出すために想定されている。
【0042】
ここで、図4を参照すると、創傷ドレッシング16が、創傷「w」を覆うために、患者に取り付けられ得る。リザーバ14は、皮膚「s」に適用されたときに、創傷ドレッシング16によって画定されるか、創傷ドレッシング16の中に画定される。接触層34は、創傷「w」と直接接触して配置され、そして、充填剤38は、健康皮膚「s」の高さまで配置される。入口部材46は、裏打ち層44の接続領域50の上に配置されるので、主要アパーチャ64および補助アパーチャ74が、穿孔58と整列される。これは、流体が、リザーバ14から主要ポート70と補助ポート72とに吸い出されることを可能にする。周囲表面56は、主要ポート70と補助ポート72とを連絡することを除いてリザーバ14から流体的に隔離される。周囲表面56における開口部68は、真空チューブ24を受け入れ、その結果、真空システム12をリザーバ14と流体的に接続する。
【0043】
リザーバ14から排出することは、充填材料38と創傷滲出物とが、空気の流れの方向に移動する傾向を与え得る。この移動の傾向は、主要ポート70と補助ポート72とのうちの1つ以上の障害または閉塞をもたらし得る。しかしながら、入口部材46は、入口部材46によって被覆された全範囲にわたって分散配置された多くのアパーチャ64、74を含み得るので、VWT処置の有効性は、持続し得る。アパーチャ64、74のうちの一方が、詰まった場合には、流体は、アパーチャ64、74のうちの別のものに吸い出され、該アパーチャ64、74のうちの別のものは、詰まったアパーチャ64、74とは別個であり、かつ、実質的に間隔を置かれている。
【0044】
ここで、図5を参照すると、真空創傷治療システムの代替の実施形態が、概略的に、10aで描かれている。創傷ドレッシング16aは、被覆層40aのエントリ50aを貫通して突出している入口部材46aを含む。裏打ち層44aは、入口部材46aのフランジ60aに接着し、そして、皮膚「s」にも接着するので、リザーバ表面54aと周囲表面56aとは、主要ポート70aと補助ポート72aとを連絡することを除いて流体的に隔離される。周囲表面56aは、真空チューブ24などの吸引デバイスの接続のために、周囲表面56aの中に開口部68aを有する。したがって、流体連通が、主要ポート70aと主要開口部64aとを通ってリザーバ14aと真空システム12との間に確立される。補助ポート72aは、リザーバ表面54aにおいて、主要ポート70aと補助アパーチャ74aとの間に流体連通を確立する。補助アパーチャ74aは、主要アパーチャ64aとは別個であり、かつ、主要アパーチャ64aから実質的に間隔を置かれている。この配置において、リザーバ表面54aは、リザーバ14aによって囲まれている。
【0045】
入口部材46aは、補助ポート72aの放射状のアレイを含むので、アパーチャ64a、74aが、実質的にリザーバ表面54a全体にわたって分散配置され得る。この
配置は、ポート46aの収集領域が、できる限り多くドレッシング16aにさらされたままにする手段を提供する。
【0046】
上記の開示は、明確にするために、または理解するために、例示または例によってある程度詳細に記述されてきたが、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることが、明らかである。
【符号の説明】
【0047】
12 真空システム
14 真空リザーバ
16 創傷ドレッシング
18 真空源
20 一方向バルブ
24 真空チューブ
28 収集キャニスター
34 接触層
38 充填剤
40 被覆層
44 裏打ち層
46 入口部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバを画定するために創傷の上に配置する裏打ち層であって、該リザーバにおいて、減圧が、該創傷の上で維持され得る、裏打ち層と、
入口部材の周囲表面が、該入口部材のリザーバ表面から流体的に隔離され得るように、該裏打ち層に付着された入口部材であって、該裏打ち層は、該裏打ち層が該創傷の上に配置されたときに、該周囲表面と該リザーバ表面との間に境界を画定し、該入口部材は、
該周囲表面における開口部と該リザーバ表面における主要アパーチャとの間に延びている主要ポートであって、該開口部は、吸引デバイスに対する接続に適合されており、そして、該主要アパーチャは、該リザーバと流体連通を確立するように適合されている、主要ポートと、
該主要ポートと該リザーバ表面における補助アパーチャとの間に流体連通を確立する少なくとも1つの補助ポートであって、該補助アパーチャは、該主要アパーチャとは別個であり、かつ、該主要アパーチャから実質的に間隔を置かれている、少なくとも1つの補助ポートと
を備えている、入口部材と
を備えている、創傷ドレッシング。
【請求項2】
前記少なくとも1つの補助ポートは、複数の補助ポートを含み、各補助ポートは、前記主要ポートから放射状外側に延びている、請求項1に記載の創傷ドレッシング。
【請求項3】
前記少なくとも1つの補助ポートは、複数の補助ポートを含み、該各補助ポートは、該主要アパーチャと該補助アパーチャとが、実質的に前記リザーバ表面全体にわたって分散配置されるように、中央ポートと、リザーバ表面におけるそれぞれの補助アパーチャとの間に延びている、請求項1に記載の創傷ドレッシング。
【請求項4】
前記入口部材は、可撓性ポリマーまたはエラストマー材料から成形される、請求項1に記載創傷ドレッシング。
【請求項5】
前記入口部材は、前記裏打ち層に対する接続に適合された取付フランジをさらに備えている、請求項1に記載の創傷ドレッシング。
【請求項6】
前記裏打ち層は、可撓性ポリマー膜を備えている、請求項1に記載の創傷ドレッシング。
【請求項7】
前記裏打ち層は、該裏打ち層の周囲に接着コーティングを備え、該接着コーティングは、前記創傷の上に該裏打ち層を付着させるように適合され、かつ、該創傷の周囲に実質的に流体密のシールを提供するように適合されている、請求項1に記載の創傷ドレッシング。
【請求項8】
前記接着コーティングは、前記裏打ち層の中間部分が、被覆されないままであるように中断している、請求項7に記載の創傷ドレッシング。
【請求項9】
創傷床に隣接して配置するために適合された接触層と、
該創傷床から滲出する液体を収集するために該創傷床の中で接触層に隣接して配置された吸収性充填剤と、
裏打ち層と該創傷床との間に真空リザーバを画定するために該創傷床の上に配置された該裏打ち層に付着された入口部材であって、該入口部材は、周囲表面における開口部とリザーバ表面における主要アパーチャとの間に延びている主要ポートを含み、該入り口部材は、該主要ポートと、該リザーバ表面における補助アパーチャとの間に延びている少なくとも1つの補助ポートをさらに含み、該補助アパーチャは、該主要アパーチャとは別個であり、かつ、該主要アパーチャから実質的に間隔を置かれている、入口部材と
を備えている、真空創傷治療システム。
【請求項10】
前記接続層は、円錐状にアパーチャを付けられたフィルムから形成される、請求項9に記載の真空創傷治療システム。
【請求項11】
前記吸収性充填剤材料は、単一ストランドのポリオルフィレンのフィラメントを含む、請求項9に記載の真空創傷治療システム。
【請求項12】
前記真空リザーバと流体連通する真空システムをさらに備えている、請求項9に記載の真空創傷治療システム。
【請求項13】
前記真空システムは、真空源と、収集キャニスターと、一方向バルブとを含む、請求項9に記載の真空創傷治療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−213889(P2009−213889A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54143(P2009−54143)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】