説明

創傷治癒の促進方法

本発明は、創傷治癒の促進方法に関するものである。具体的には、免疫調節物質である生成物Rを投与することを含む、創傷を有する患者の治療方法を開示する。生成物Rを含む医薬組成物及びキット、付加薬剤、及び医薬として許容し得る担体もまた開示する。本開示方法は、種々の創傷、潰瘍及び熱傷の創傷治癒の促進に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1 発明の分野)
本発明は、生成物R、ペプチド−核酸組成物を使用して、創傷を患っている患者の創傷治癒を促進させる方法、及び/又は食欲不振若しくは疲労を治療する方法に関するものである。本方法は、潰瘍及び熱傷を含む、種々の創傷の治療に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
(2 発明の背景)
(2.1 創傷及び創傷治癒)
創傷治癒は、損傷組織(群)の修復が達成される過程である。創傷は、軽微な擦り傷から、生命を脅かす複雑で深い裂傷にまである。創傷は、一般的に2つの主要なクラスに分類できる:1)外傷性傷害、外科的創傷、熱傷、又は自己皮膚移植片恵皮部への創傷によってもたらされるような急性創傷;及び、長期でかつ進行性の静脈恒常性潰瘍、糖尿病性潰瘍及び褥瘡性潰瘍などの慢性創傷である。
【0003】
創傷治癒過程の展開は、3つの主要な段階で記載される:1)炎症又は浄化段階;2)増殖又は肉芽形成段階;及び、3)成熟化及び再構成又は上皮形成段階がある。炎症段階は、外傷性傷害後の最初の数日間に起こる。創傷部位は、血管を収縮させて出血を制御することによって標準状態を回復させる試みを始める。血小板及びトロンボプラスチンは創傷中に組織化して凝血塊を形成する。死組織の創傷及び混入生物の浄化を始める、多形核白血球の流入を伴う炎症性反応が起こる。炎症過程は主に、創傷を浄化するのに機能する。激しすぎる炎症は、創傷治癒過程を妨害する。
【0004】
炎症段階の後、創傷治癒の増殖段階が3週間以上続くことがある。線維芽細胞はコラーゲンを産生し、創傷内で肉芽形成過程を開始する。創傷は徐々に縮退し、血管が組織化されて新しい組織に栄養を与え、被覆上皮層が形成される。
成熟化及び再構成段階は、2年まで(熱傷の治癒に関しては5年まででさえも)持続し得る。新たなコラーゲン形成は、創傷の形を変え、形成された瘢痕の強度を増加させる。しかしながら、瘢痕組織は最も強くても元の組織の80%の強度しかない。
【0005】
多形核白血球(PMN)は、始めの24時間以内に創傷中に出現する第一細胞である。マクロファージは、負傷後約3日目に達成される最高数を有しながら、負傷後約48時間で創傷内に入る。マクロファージは、遊走と走化性との組み合わせによって、循環単球から派生する。マクロファージは創傷内で長期間生存し、治癒が起こるまで創傷内に残存する。Tリンパ球は、負傷後約5日目に出現する。マクロファージ及びTリンパ球の存在並びに活性化は、創傷治癒の正常過程に不可欠である。
【0006】
サイトカイン及びケモカインは、創傷治癒過程において、重要な役割を果たす。熱傷創もまた、内因性サイトカインの産生によって特徴付けられている(Stalloらの論文, 2003, Burns 29:641-647)。創傷治癒に重要なサイトカイン及びケモカインの中で、インターロイキン−1−ベータ(IL−1ベータ)は、炎症段階における走化性に重要であり、またコラーゲン合成に役割を担い得る(Castagnoliらの論文, 2002, Wound Repair Regen. 10:107-108)。腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)は血管新生を促進させ、走化性にも関与する。インターフェロン−ガンマ(IFN−ガンマ)は、増殖段階に役割を果たすようである。インターロイキン−1ベータは、発熱、副腎刺激ホルモン(ACTH)放出を誘導し、TNF−アルファ及びIFN−ガンマの合成を促進し、PMNを活性化させる。インターロイキン−2は、マクロファージ、T細胞及びNK細胞を活性化させる。インターロイキン−6は発熱を誘導し、肝臓から急性段階反応物質の放出を促進させる。重要な前炎症性ケモカインであるインターロイキン−8は、好中球の接着性、走化性及び顆粒放出を促進させる。
【0007】
免疫調節物質は、創傷治癒を促進させることが示されてきた。例えば、T細胞刺激物質であるアルファサイモシンは、創傷治癒に陽性活性を示している(Melindaらの論文, 1998, J. Immunol. 160:1001-1006)。
軽微な創傷は一般的に、健康な患者では自身で完全に治癒するが、より重篤な創傷は完全には治癒せず、瘢痕組織及び/又は他の合併症をもたらすか、若しくは全く治癒しない。しかしながら裂傷は、外科的切断によりもたらされる創傷を含む清潔な外科的創傷よりもより強い炎症となる傾向があり、より治癒し難い。単純なレベルにおいて、これは、裂傷を浄化するためにより強力な炎症反応を必要とする死組織及び細菌の混入をもたらす、裂傷の外傷性傷害が原因であり得る。さらに、損傷による外傷性傷害組織の血管を介した拡散は、大血管及び小血管の両方、並びにリンパ管を脅かす可能性がある。
【0008】
創傷の自然治癒は、創傷治癒過程に悪影響を及ぼし得る多くの因子によって複雑化されており、該因子は、壊死残骸、異物、感染、薬物の存在、並びに負傷した個人の年齢、健康状態及び栄養状態を含む。さらに、動脈硬化、長期の圧迫、静脈瘤疾患、及び静脈うっ滞などの末梢血循環を妨げる全ての過程は、酸素、栄養素、化学シグナルの送達、及び負傷患者の体内で治癒を仲介する適切な細胞型に悪影響を与える可能性があり、創傷治癒を弱める。熱傷、皮膚移植片、及び様々な型の潰瘍などの特定部分損傷及び全層損傷は、修復に抵抗性であり、疼痛をもたらし、罹患した人を不快にさせる。
【0009】
細菌創傷感染は、創傷治癒を長引かせる、最も一般的な局所的原因である。ヒトの皮膚には通常、多くの微生物が定着しており、該微生物には、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、及びいくつかのストレプトコッカス(Streptococcus)系統を含む。それゆえ、下層組織を環境にさらす創傷は全て、少なくとも常駐微生物叢で感染されることになる。きちんと手当てした創傷、及び高度に血管化された組織は感染に抵抗性であるが、虚血組織は感染に対してはるかに感受性が高い。
【0010】
障害を治療するのに使用される薬剤は、創傷治癒障害をもたらし得る。また、ガン患者において分裂細胞を排除するのに使用される化学療法も、そのような患者が、同様に新規細胞増殖に依存する創傷を治癒する能力を抑制する。ステロイド類は、初期炎症反応の阻害、新規上皮組織及び新規血管組織の産生を減速させること、及び瘢痕組織中のコラーゲンマトリクスを弱体化させることの、創傷修復の3段階全てに負の影響を与える(Bryantの論文, 1987, J. Enterostomal Therapy, 14: 262-66)。
【0011】
患者の身体状態もまた、創傷治癒において重要である。年齢が高くなるにつれて損傷組織を修復する能力は弱くなり、それに伴って皮膚は薄くなり、線維芽細胞数及び総皮膚コラーゲン量は減少する(Shusterらの論文, 1975, Br. J. Dermatol. 93: 639-43)。アルコール依存症、貧血、糖尿病、栄養失調、ショック及び尿毒症などの病状は、創傷部位への酸素送達障害及び栄養素送達障害をもたらし、それによって治癒過程を妨げる。また、単球減少をもたらす疾患は、創傷治癒を著しく弱める可能性がある。
【0012】
特定の創傷の激しい性質、及び創傷治癒過程に影響を与える因子群は、創傷治癒を促進させるための改良型作用物質の必要性を示唆する。特に、下記に作用する非毒性作用物質が必要である:1)創傷を清潔に保ち、壊死組織の発達を最小化させること;2)創傷(肉芽形成組織)に基づいて健常組織を構築し、白血球の流入、及び成長因子並びに適切なサイトカイン及びケモカインを含む創傷治癒促進分子の作用を可能にさせること;3)創傷感染を防ぎ、縫合閉鎖を伴う第一意図によって創傷の治癒を可能にさせること;4)瘢痕形成を軽減させ、自然的上皮形成を促進させること;及び、5)創傷治癒に必要な時間を短縮させることである。
【0013】
(2.2. 生成物R)
Reticulose(登録商標)は、1930年代に抗ウイルス製品として登場した。Reticulose(登録商標)は当初、ペプトン、ペプチド及び核酸からなる製品であると信じられていたが、正確な組成は未確認のままであった。Reticulose(登録商標)の調製方法は、引用によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,849,196号で提供されている。それにも関わらず、Reticulose(登録商標)は、様々なウイルス性疾患の経過を迅速に阻害する能力を実証してきている。Reticulose(登録商標)は非毒性であり、組織液及び血清と混和可能であり、アナフィラキシー特性がない。
【0014】
米国特許第5,849,196号で教示されているように、分子量が15kDaよりも大きいReticulose(登録商標)の従来型組成物中に存在する構成要素は、HIV、インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスなどのウイルス性疾患の治療により効果的であるが、約1〜15kDaの範囲に分子量を有する構成要素は、食作用阻害剤として機能する。
【0015】
Reticulose(登録商標)は、いくつかの不便な点を有する。1)該調製方法は、各調製物が同じ割合の最終構成要素をもたらすことを保証しない、すなわち該最終産物は再現不可能である。2)従来型の調製方法は、決定すべき変数が多すぎるので、もしできたとしても、調製の品質管理をきわめて困難にさせる広範な最終構成要素を産生する。3)25kDaの構成要素、基本的にはペプチドなどの、より大きな分子量の構成要素の存在は、過敏反応又は免疫反応の危険性を増大させ、低安定性の製品を与える。それゆえ、その治療的特性は保持するが、従来のReticulose(登録商標)の欠陥がない生成物を有することが好ましい。
【0016】
引用によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,303,153号及び第6,528,098号の両方は、Reticulose(登録商標)の調製に使用するものと同じ出発物質に由来するが、Reticulose(登録商標)とは異なる組成物である、生成物Rの調製を開示する。例えば、14kDaの分子量より大きな物質は、生成物Rの調製時に除去される。
【0017】
生成物Rは好ましい安全特性を有する免疫調節物質であり、前炎症性ケモカイン及びサイトカインの産生に影響を与え、免疫応答を標準状態へと駆動する。特に、生成物Rは、ケモカイン及びサイトカインの発現を調節する。生成物Rはマクロファージを刺激して、MCP−1、IL−8及びIL−6を含む、前炎症性サイトカイン及びケモカインを産生させる(Lazzarinoらの論文, 2001, Cytokine, 14:234-239;Lazzarinoらの論文, 2000, Immunol. Lett. 74:189-195)。一方、高度に活性化されたマクロファージにおいて、生成物Rは、これらの前炎症性ケモカインの合成を阻害する。生成物Rはまた、IL−2Rのレベルを増加させることができる。IL−2Rは、T細胞及びB細胞の両方の集団を活性化させることができる。
【0018】
出願人が知る限りにおいて、生成物Rは創傷治癒に使用されてはおらず、示唆されてもいない。ここで、生成物Rを創傷治癒の促進に使用できることを開示する。
大きな進歩が創傷治癒の分野で起こってきたが、創傷の治癒にはまだ、医師にとって難題である。これは特に、皮膚に循環障害を有する糖尿病患者、高齢者、及び免疫不全症患者などの感染傾向を有する患者に当てはまる。創傷が癒えるとき、該創傷はしばしば、瘢痕又は変色などの表面的な美観を損なうことを伴う。美容整形手術の増加もまた、治癒の瘢痕を残す外科的創傷の発生の増加をもたらす。それゆえ、非毒性で、高度な許容性を有し、かつ他の薬物と共に使用可能な生成物Rなどの組成物の投与を含む、創傷治癒の改良法への明白な必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
(3. 発明の要旨)
本発明は、患者に、創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量を投与することを含む、創傷治癒の促進方法を提供する。本発明はまた、好ましくは創傷又は熱傷を患っている患者の食欲不振又は疲労を治療する方法を提供し、該方法は、治療を必要とする患者に、食欲不振又は疲労の治療に有効な生成物Rの所定量を投与することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の方法及び組成物において、生成物Rは、ヌクレオチド、及び14kDa以下でかつ実質的には8kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、ここで前記ヌクレオチド及びペプチドは、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物は、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する。好ましい実施態様において、該患者はヒトである。特定の実施態様において、創傷治癒の促進、並びに/若しくは食欲不振及び疲労の治療に効果を有する生成物Rの所定量は、1日につき体重1キログラム当たり約0.5マイクロリットル〜約100マイクロリットルの範囲、又は1日につき体重1キログラム当たり約2.5マイクロリットル〜約40マイクロリットルの範囲、又は1日につき体重1キログラム当たり約10マイクロリットル〜約25マイクロリットルの範囲である。本発明の特定の実施態様において、生成物Rを非経口的に、局所的に又は全身的に投与する。別の実施態様において、生成物Rを、前記創傷の全面積を包み込むのに十分な量で局所的に投与する。
【0021】
本発明を利用して、種々の創傷の創傷治癒を促進させることができる。特定の実施態様において、該創傷は、褥瘡性潰瘍、糖尿病性潰瘍、外科的創傷又は熱傷の結果である。
本発明はまた、患者の創傷治癒の促進方法を含み、前記患者に、創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量及び別の薬剤の有効量の投与を含む。本発明はまた、好ましくは創傷又は熱傷を患っている患者の食欲不振又は疲労を治療する方法を含み、前記患者に、食欲不振又は疲労の治療に有効な生成物Rの所定量、及び別の薬剤の有効量の投与を含む。特定の実施態様において、他の薬剤は、抗生物質、生物学的反応修飾因子、例えば、サイトカイン又は創傷治癒因子である。
【0022】
本発明はまた、1)創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量;2)生物学的反応修飾因子又は創傷治癒因子作用物質;及び、3)医薬として許容し得る担体を含む、医薬組成物及びキットを含む。
本発明の方法に有用な抗生物質は、これらに限定されないが、ペニシリン、セファロスポリン、グリセオフルビン、バシトラシン、ポリミキシンB、アムホテリシンB、エリスロマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、及びリファマイシンを含む。本発明の方法及び組成物に有用な生物学的反応修飾因子は、これらに限定されないが、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−6及び腫瘍壊死因子を含む。本発明の方法及び組成物に有用な創傷治癒因子は、これらに限定されないが、インターフェロン(IFN)−β、インターフェロン−γ、インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−15、腫瘍壊死因子、flt−1リガンド、アルギニン、結合組織成長因子、アデノシン、環状アデノシン一リン酸、線維芽細胞増殖因子ファミリー、腫瘍成長因子−α、腫瘍成長因子−β(1及び2)、血管内皮細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子ファミリー、血小板由来成長因子ファミリー、インスリン様成長因子ファミリー、一酸化窒素、マクロファージ刺激タンパク質、及びマクロファージ由来成長因子を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(4. 発明の詳細な説明)
本発明者は、生成物Rを局所的に、すなわち創傷部位表面に投与した場合に、著しく創傷治癒過程を促進させ得ることを発見した。本発明は生成物Rを用いて創傷治癒を促進する方法及び組成物を提供する。そのようにしてもたらされた生成物Rは、自然治癒に委ねられた同様の創傷、又は現在利用可能な方法で治療された同様の創傷よりも、より迅速に治癒するような急性又は慢性の、全ての創傷型に使用できる。理論に束縛されずに、生成物Rは免疫システムを調節して創傷治癒を促進させると考えられる。
【0024】
生成物R(AVR118;Advanced Viral Research社, Yonkers, NY)は、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物を含む組成物である。生成物Rの製造工程、組成、並びに化学的特性及び物理的特性及びいくつかの生物学的特性は、引用によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,303,153号及び第6,528,098号の両方に記載されている。
【0025】
生成物Rは、いくつかの文献において、Reticulose(登録商標)の同義語として使用されてきた。本出願の目的に関連して、生成物R及びReticulose(登録商標)は、2つの異なる製品を表す。
【0026】
生成物Rは、ウイルス感染治療用、及び免疫システム刺激用の治療用組成物であって、ヌクレオチド、及び14kDa以下でかつ実質的には8kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、ここで前記ヌクレオチド及びペプチドは、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物は、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する。
一般的に、生成物Rは、下記の様式に従って調製する。
【0027】
第一に、カゼイン、ウシペプトン、RNA、ウシ血清アルブミン(BSA)、及び水酸化ナトリウムからなる出発物質を、重量で35〜50%(カゼイン)、15〜40%(ウシペプトン)、10〜25%(RNA)、1〜10%(BSA)、及び5〜25%(水酸化ナトリウム)の割合で適量の蒸留水中に懸濁する。全ての出発物質は一般的に利用可能であるか、又は当業者によって容易に調製され得る。全てのRNAは本発明の使用目的に適しているが、植物由来RNAが好ましく、酵母由来RNAが最も好ましい。蒸留水の量に対する総タンパク質の比率は一般的に、重量で約100に対して約1.5〜2.5、好ましくは重量で約100に対して約2.2である。これは、総タンパク質の1.5〜2.5グラムごとに、蒸留水約100ミリリットル中に懸濁することを意味する。
【0028】
次に、上記のように調製した懸濁液を、例えば約65〜150℃から、好ましくは約90〜110℃から上の範囲の高温下で、約2〜10時間、好ましくは3時間にわたり、約5〜15lbs.、好ましくは8〜10lbs.の圧力で、高圧蒸気滅菌する。当業者に知られているように、そのような条件下において、RNAはヌクレオチドへと完全に加水分解されるであろう。高圧蒸気滅菌後、該溶液を室温まで冷却し、それから少なくとも12時間、3〜8℃の温度に保ち、不溶成分を沈殿させる。あるいは、該冷却済溶液を8℃未満の温度で遠心し、沈殿物を除去してもよい。
【0029】
得られた溶液をそれから、1〜6psiの圧力の窒素又はアルゴンなどの不活性気体下で、2ミクロンフィルター及び0.45ミクロンフィルターを通して濾過する。同様の様式で、該溶液を、好ましくは0.2ミクロンの発熱物質滞留フィルターを通して再び濾過する。
【0030】
上記の濾過の後、該溶液をさらに少なくとも12時間、3〜8℃で冷却し、先に記載したのと同じ方法でさらに濾過してよい。
得られた濾液はそれから、ケルダール(Kjeldahl)法及びその改良版などの当業者に知られた方法を用いて、総窒素含量を測定する(Kjeldahl, Z.の論文, 1983, Anal. Chem., Vol. 22:366)。該測定に基づき、次に該濾液を冷却蒸留水で、165〜210mg/mlにわたる好ましい総窒素含量を有する適切な量に希釈する。
【0031】
該希釈溶液のpHをそれからHClを用いて、生理的に許容し得るpH、好ましくは約7.3〜7.6に調整した後、該希釈溶液を、先に記載した不活性気体下で、0.2ミクロンフィルターを通して濾過する。
そのようにして産生された生成物Rは本質的に、RNAの完全加水分解由来の低分子量ヌクレオチド、ヌクレオシド及び遊離核酸塩基、並びにタンパク質の部分加水分解由来の小ペプチドを含む。タンパク質の塩基加水分解もまた、遊離アミノ酸を産生し得る。
【0032】
濾過技術の使用は実質的に、細菌、又は細菌と同等以上の大きさを有する他の粒子を除去することと理解されている。それゆえ、その製造業者又は製造材料にかかわらず、全てのフィルターは本使用目的に適する。本過程に使用する全てのフィルターは、当業者に広く利用可能である。
【0033】
最終濾液をそれから不活性気体下で、2ml又は10mlのガラスバイアルなどの適切なバイアル中に満たし、密封する。満たされたバイアルを最終滅菌のために高圧蒸気滅菌し、その後、該満たされたバイアルは使用可能状態となる。
生成物Rの組成の解析は、生成物Rが、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で5.2kDa及び4.3kDaの分子量を有する2本のバンドとして示される2つの主要構成要素、すなわち、それぞれペプチド−A及びペプチド−Bを含むことを示す。ペプチド−Aは、ウシカゼイン由来の5.2kDaの分子量を有する、31アミノ酸長のペプチドである。ペプチド−Aは、システイン−システイン架橋を全くもたない、直鎖状ペプチドである。該構造は、該分子中に間隔をあけて6個のプロリン残基が存在すること、及び4個の塩基性グルタミン残基が存在するという点で際立っている。プロリン残基はペプチド鎖中に屈曲をもたらし得るので、該構造は高度に折りたたまれているとみられる。ペプチド−Bは、18番目のセリン残基のヒドロキシル基が、3'の位置でジホスホジエステル結合を介してジアデノシンジヌクレオチド単位へと共有結合した、4.3kDaの分子量を有する21アミノ酸長の直鎖状ペプチドを含む。ペプチド−A及びペプチド−Bは、ほとんど等量で生成物R組成物中に存在し、ローリー(Lowry)タンパク質アッセイで測定したこれら2つのペプチドの総量は、約4.8〜5.3mg/mlである。
【0034】
ペプチドAの配列は下記の通りである:KVLPVPQKAVPYPQRDMPIQAFLLYQEPVLG(配列番号:1)。
ペプチドBの配列は下記の通りである:GEIPDAGGRIVDYYVGFSDSV(配列番号:2)。
生成物Rはまた、ヌクレオシド、ヌクレオシド二リン酸、及びヌクレオシド一リン酸を含む。16種類の同定された構成要素化合物−2種のペプチド(うち1種はペプチド−核酸複合体)及び塩化ナトリウムと共に、3種のヌクレオシド、2種のヌクレオシド二リン酸、及び8種のヌクレオシド一リン酸、が生成物R製剤中に存在する。
生成物Rの物理的、化学的及び生物学的特性はさらに、その内容が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第6,303,153号及び第6,528,098号に記載されている。
【0035】
(4.1. 標的創傷及び創傷関連性状態)
本発明の方法は、任意の創傷型に適用可能であり、創傷治癒を促進させる。本発明の方法はまた、好ましくは創傷又は熱傷を患っている患者における食欲不振及び疲労などの状態を治療することに適用可能である。特定の創傷は通常、治療的介入なしで治癒する。これらの場合において、本発明の方法は、治癒過程を早め得る。しかしながら、創傷治癒が役割を果たす、例えば、糖尿病、動脈閉塞性疾患、乾癬、クローン病、表皮水疱症、加齢に伴う皮膚の変化、又は神経支配障害などの数々の障害がある。創傷治癒障害は、創傷治癒の遅延、又は慢性創傷をもたらす。これらの障害は、創傷(例えば、大面積創傷、深く機械的に拡大された手術による創傷、熱傷、外傷性傷害、褥瘡)の性質、(例えば、コルチコイドを用いた)患者の薬物治療のみならず、該障害それ自身の性質によってももたらされ得る。それゆえ、例えばII型糖尿病患者の25%はしばしば、約半数が高額な入院治療を強いられ、それにもかかわらず最終的にはほとんど治癒しない慢性潰瘍(「糖尿病性足病変」)を患う。糖尿病性足病変は、糖尿病に関連する他のどの合併症よりも長い病院生活の原因となる。糖尿病I型及び糖尿病II型におけるこれらの事例数は増加しており、全ての入院患者数の2.5%に相当する。さらに、創傷は、患者の年齢が高くなるにつれて治癒し難い。自然創傷治癒過程の促進はしばしば、例えば、細菌感染の脅威又は患者の静養期間を減少させるために同様に好ましい。
臨床的には、創傷は3つのカテゴリーに分けられる(『創傷処置の臨床的指針』, Hess編, Lippincott Williams及びWilkins, 第4版 (2002))。これらのカテゴリー及び代表例を以下に提供する。
【0036】
(創傷)
急性創傷:外傷性傷害又は手術によりもたらされた創傷;通常、局部的介護のみを必要とする。
慢性創傷:圧迫、糖尿病、血行不良、貧しい栄養状態、免疫不全又は感染などの基礎状態のために、通常よりも治癒が長引く創傷である。
全層創傷:皮膚の第二層(真皮)を通って広がり、皮下組織、及び場合によっては筋肉又は骨をも巻き込む組織破壊である。
裂傷:裂けた創傷又はのこぎり状になった創傷である。
非全層型創傷:皮膚の第一層(表皮)を通って真皮に広がるが通り抜けない組織破壊である。
【0037】
(潰瘍)
動脈潰瘍:血液供給の減少によってもたらされる潰瘍;動脈閉塞性疾患の存在に関連する;該症状は痛みと組織損失を含む。
糖尿病性潰瘍:糖尿病関連性神経疾患又は血管疾患に続発性である、外傷性傷害又は圧迫によってもたらされる潰瘍である。
褥瘡(褥瘡性潰瘍):圧迫による血液供給の減少によってもたらされる潰瘍であって、また床擦れ(bedsore)又は床擦れ(pressure sore)とも呼ばれる。
静脈潰瘍:下肢末端の踝全体又はその近傍に起こる、表皮並びに真皮及び皮下組織の様々なレベルでの局部的損失;浮腫、及び静脈還流障害の他の後遺症によってもたらされる。
【0038】
(熱傷)
表層型(第1度熱傷):紅斑、充血、圧痛及び痛みによって特徴付けられる、表皮に限定的な損傷である。
非全層型(第2度熱傷):大きな水膨れ、浮腫、痛み、並びに湿り、浸出及び光沢表面によって特徴付けられる、表面から深部への非全層型創傷である。
全層型(第3度熱傷):深紅色、黒色、又は白色の外観;浮腫;痛みのない神経終末損傷;及び、露出した皮下脂肪層;で特徴付けられる全層創傷である。
【0039】
(4.2. 用量及び投与)
創傷治癒の促進、又は食欲不振又は疲労の治療を受けている好ましい個人、患者又は対象は、動物、好ましくは哺乳動物、ヒト以外の動物又は霊長類、及び最も好ましくはヒトである。本明細書で使用する用語「動物」は、これらには限定されないが、ネコ、イヌなどのペット、動物園動物;シカ、キツネ及びアライグマを含む野生動物;全ての齧歯類に加えて、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、シチメンチョウ、カモ及びニワトリを含む、家畜(farm animal)、家畜(livestock)及び野鶏;を含む。
【0040】
本発明の方法は、創傷治癒の促進、又は食欲不振若しくは疲労の治療に効果を有する生成物Rの所定量を投与することを含む。本発明の意義の範囲内において、創傷治癒の促進、又は食欲不振若しくは疲労の治療に効果を有する生成物Rの所定量は、患者の担当医又は獣医が決定し得る。その量は当業者によって容易に確定され、本発明に従って投与した場合、創傷治癒を促進することができる。創傷治癒の促進、又は食欲不振若しくは疲労の治療に効果を有する生成物Rの所定量に影響を与える因子は、使用する治療剤の比活性、創傷型(機械的又は熱的、全層型又は非全層型など)、創傷の大きさ、創傷の深さ(全層型の場合)、感染の有無、負傷の苦痛からの経過時間、及び年齢、身体状態、他の病状の存在、並びに患者の栄養状態を含む。さらに、患者が摂取する可能性がある他の薬物は、投与する生成物Rの量の決定に影響を与える。特定の実施態様において、創傷治癒の促進、又は食欲不振若しくは疲労の治療に効果を有する生成物Rの所定量は、1日につき体重1キログラム当たり約0.5マイクロリットル〜約100マイクロリットルの範囲、又は1日につき体重1キログラム当たり約2.5マイクロリットル〜約40マイクロリットルの範囲、若しくは1日につき体重1キログラム当たり約10マイクロリットル〜約25マイクロリットルの範囲である。本明細書で使用するように、「約」は、標準的な実験的変動を伴う。あるいは、生成物Rを、従来の用量、又は当業者に明らかな用量に従って患者に投与してもよい。
【0041】
好ましい用量を、1日を通して、一般的には拡散時間に等しい適切な間隔で、2、3又はそれ以上の副用量として投与してよい。創傷への局所投与に使用する用量は、創傷のサイズ及び部位によって変動し、好ましくは創傷部全体を含む。
生成物Rの投与の典型的経路は、限定はしないが、経口、局所、非経口、舌下、直腸、膣、眼球、及び鼻腔である。非経口投与は、皮下注射、静脈注射、筋肉注射、腹腔注射、胸膜内注射、胸骨内注射、又は注入手法を含む。本発明の好ましい実施態様においては、生成物Rを局所的に投与する。創傷への直接的な局所適用に加え、生成物Rを、皮下経路で全身的に使用し、創傷患者を安定化させることができる。好ましい経路は、例えば、受容者の状態及び年齢で変動してよい。
【0042】
特定の実施態様において、生成物Rを、全身的経路及び局所的経路の両方で投与し、創傷治癒を促進させる、又は食欲不振又は疲労を治療する。第一に、生成物Rの全身投与及び局所投与を急性的に使用して、創傷患者を安定化させることができる。それから、患者がさらに安定化するにつれて、生成物Rを局所的に使用して、創傷治癒を促進させる、又は食欲不振若しくは疲労を治療することができ、必要な手術をして該創傷を切除し、回復段階に入る。
【0043】
本発明はさらに患者の創傷治癒を促進させる方法を含み、前記患者に、創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量、及び別の薬剤の有効量を投与することを含む。本発明はまた、好ましくは創傷又は熱傷を患っている患者の食欲不振又は疲労を治療する方法を含み、前記患者に、創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量、及び別の薬剤の有効量を投与することを含む。特定の実施態様において、他の薬剤は、抗生物質、例えばサイトカインなどの生物学的反応修飾因子、又は創傷治癒因子である。本発明の方法に有用な抗生物質は、これらに限定されないが、ペニシリン、セファロスポリン、グリセオフルビン、バシトラシン、ポリミキシンB、アムホテリシンB、エリスロマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、及びリファマイシンを含む。本発明の方法及び組成物に有用な生物学的反応修飾因子は、これらに限定されないが、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−6及び腫瘍壊死因子を含む。本発明の方法に有用な創傷治癒因子は、これらに限定されないが、インターフェロン(IFN)−β、インターフェロン−γ、インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−15、腫瘍壊死因子、flt−1リガンド、アルギニン、結合組織成長因子、アデノシン、環状アデノシン一リン酸、線維芽細胞増殖因子ファミリー、腫瘍成長因子−α、腫瘍成長因子−β(1及び2)、血管内皮細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子ファミリー、血小板由来成長因子ファミリー、インスリン様成長因子ファミリー、一酸化窒素、マクロファージ刺激タンパク質、及びマクロファージ由来成長因子を含む。
【0044】
本明細書で使用するように、用語「組み合わせで」は、1以上の予防剤及び/又は治療剤の使用をさす。用語「組み合わせで」の使用は、予防剤及び/又は治療剤を、障害を有する対象へ投与する順番を限定しない。第一予防剤又は治療剤を、創傷を負った、負う、又は創傷に感受性を有する対象に、第二予防剤又は治療剤の投与前(例えば、1分前、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前又は12週間前)に投与することができ、共に用いることができ、又は第二予防剤又は治療剤の投与後(例えば、1分後、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後又は12週間後)に投与することができる。予防剤又は治療剤を連続的に、かつ本発明の作用物質が他の作用物質と共に作用することによって、それらを投与しなかった場合よりもよりよい利益を提供できるような時間間隔で、対象に投与する。任意の付加的な予防剤又は治療剤は、他の付加的な予防剤又は治療剤と共に、任意の順番で投与できる。
【0045】
(4.3. 治療期間における効果のモニタリング)
本発明に従った創傷治療の効果/有効性は、例えば、免疫応答に関与する分子性及び細胞性作用物質(例えば、マクロファージ、B細胞又はT細胞)のレベル、又は、これらに限定しないが、マクロファージを刺激して成長因子を分泌させること、コラーゲンの合成及び架橋、並びに当業者に周知の標準的方法を使用しての創傷サイズの減少を含む、影響を受ける組織のレベルで検出できる。
【0046】
(4.4. 医薬製剤)
生成物Rを医薬製剤の一部として投与することが可能である一方で、生成物Rは、1以上の他の医薬品を独立に投与するのに合わせてほぼ同時に投与してもよいが、単独で存在することが好ましい。生成物Rを医薬製剤の一部として投与した場合、本発明の製剤は、1以上のその医薬として許容し得る担体、及び選択的に1以上の付加的な薬剤と共に、少なくとも1種の投与成分、すなわち、先に定義した生成物Rを含む。適切な付加的な薬剤は、4.2.節において提供されている。担体(群)は、該製剤の他の成分と適合性であるという意味で「医薬として許容し得る」でなくてはならず、その受容者に有害であってはならない(例えば、患者のインビボでの使用に適する)。好ましくは、医薬製剤中の生成物Rは滅菌済みのものである。
【0047】
該製剤は都合に合わせて、例えば、密封アンプル及びバイアルのような、単位用量容器又は複数用量容器中に存在してもよい。好ましい単位用量製剤は、日用量又は日単位、一日副用量、又は投与成分の適切な画分を含むものである。
本発明の組成物は、固体、液体、又は気体(エアロゾル)の形態であり得る。本発明の医薬組成物は、対象に該組成物を投与した時点で、本発明の化合物を生体が利用できるようにさせるために製剤することができる。組成物は、例えば、錠剤が一回の用量単位であり得る、1以上の用量単位の形態で摂取することができ、かつエアロゾル形態での本発明の化合物の容器は、用量単位の複数回分を保持できる。生成物Rの単位用量を含む注射器も提供する。
【0048】
経口投与に関して、医薬製剤は、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液の液体形態であることができ、若しくは使用前に水、又は他の適切な媒体と再構成するための製剤として与えることができる。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、又は水素化可食性脂肪);乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性媒体(例えば、アーモンドオイル、油性エステル、又は分画植物油);及び防腐剤(例えば、メチル又はプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸若しくはソルビン酸)などの、医薬として許容し得る添加剤と共に、常法で調製することができる。医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、又はリン酸水素カルシウム);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、滑石又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、又はデンプングリコール酸ナトリウム;又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの、医薬として許容し得る賦形剤と共に、常法で調製した錠剤又はカプセルの形態で摂取できる。錠剤は、当業者に周知の方法で被覆できる。
【0049】
経口投与用製剤を適切に製剤し、前記活性化合物を制御放出させることができる。
口腔投与に関して、該組成物を、従来方式で製剤した錠剤又はトローチ剤の形態で摂取できる。
吸入による投与に関して、本発明に従って使用される化合物を、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、炭酸ガス、又は他の適切な気体などの適切な噴霧剤の使用を伴う加圧容器又は噴霧器に代表されるエアロゾルスプレーの形態で、都合に合わせて送達する。加圧エアロゾルの場合において、用量単位は、定量を供給する弁を与えることによって決定することができる。例えば、吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)で使用するゼラチンなどのカプセル及びカートリッジは、前記化合物の粉末混合物、及びラクトース又はデンプンなどの粉末基剤を含んで製剤することができる。
【0050】
前記化合物を、例えば、急速静注法又は持続注入などの注入で、非経口投与用に製剤できる。注入用製剤は防腐剤の添加を伴って、例えば、アンプル又は複数用量容器中で、単位剤形で存在することができる。前記組成物は、油性媒体若しくは水性媒体中の懸濁液、溶液、又は乳液のような形態で摂取でき、かつ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤物質を含むことができる。あるいは、該活性成分は、例えば使用前に、滅菌済みの発熱物質を含まない水などの適切な媒体と混合するような粉末形態であり得る。
【0051】
前記化合物を、クリーム、ローション、ジェル、点眼薬、軟膏、溶液、懸濁液、シャンプー、又は当業者に既知の他の形態などの構成で製剤することができ、これらは例えば、『レミングトンの薬学』、第16版及び第18版、Mack Publishing, Easton Pa. (1980 & 1990)、及び『医薬剤形入門』、第4版、Lea及びFebiger, Philadelphia (1985)に記載されている。実際の医薬組成物の調製方法は、当業者に既知又は明白であり、その詳細は例えば、『レミングトンの薬学』、第16版及び第18版、Mack Publishing, Easton Pa. (1980 & 1990)に記載されている。
【0052】
前記化合物はまた、坐薬又は例えば、カカオバター若しくは他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含む停留浣腸などの直腸組成物で製剤することもできる。
【0053】
先に記載した製剤に加えて、前記化合物はまた、持続性製剤として製剤できる。そのような長時間作用性製剤は、注入(例えば皮下的に又は筋肉内に)、又は筋肉内注射で投与できる。それゆえ、例えば、前記化合物は、適切な高分子材料又は疎水性材料(例えば許容可能な油中の乳剤として)又はイオン交換樹脂、すなわち難溶性誘導体、例えば、難溶性塩として共に製剤できる。リポソーム及び乳剤は、親水性薬剤の送達媒体又は担体の周知の例である。
【0054】
(4.5. キット)
本発明はまた、本発明の方法及び/又は治療的投与計画の実施用キットを提供する。一実施態様において、そのようなキットは、1以上の容器中に生成物Rを含む。別の実施態様において、そのようなキットは、1以上の容器中に、創傷治癒の促進、又は医薬として許容し得る形態で、食欲の喪失若しくは疲労の治療に効果を有する生成物Rの所定量を含む。
【0055】
本発明のキットの容器中の生成物Rは、滅菌生理食塩水、ブドウ糖溶液、又は緩衝液との組み合わせで医薬として許容し得る溶液の形態であってよく、若しくは他の医薬として許容し得る滅菌液であってよい。あるいは、生成物Rは、凍結乾燥又は乾燥していてもよく;この場合、該キットはさらに選択的に、容器中に、好ましくは滅菌済みの医薬として許容し得る溶液(例えば、生理食塩水、ブドウ糖溶液など)を含み、生成物Rを再生させ、注入目的用溶液を形成する。
【0056】
別の実施態様において、本発明のキットはさらに、生成物R注入用の、好ましくは滅菌状態で梱包された針又は注射器、及び/又は梱包されたアルコール綿を含む。臨床医又は患者による生成物Rの投与のための説明書を任意に含む。
また、キットを、本発明の併用療法を実施するために提供する。一実施態様において、キットは、生成物Rを含む第一容器、及び付加薬剤を含む第二容器を含む。適切な付加薬剤を、4.2.節で提供する。
該キットは例えば、ブリスター包装などの金属箔又はプラスチック箔を含んでよい。該キットには、1以上の投与用の再利用可能な器具(群)又は使い捨て器具(群)(例えば、注射器、針、調剤用の仕切り)、又は投与のための説明書を添付してもよい。
【0057】
(4.6. 動物モデル)
任意に動物モデルを使用して、創傷治癒における生成物Rの特定の製剤及び/又は用量の使用を実際に行うことができる。創傷治癒の適切な動物モデルは、当業者に既知である。
以下の実施例は、本発明をさらに説明する役割のみを担い、本発明の範囲を限定することはない。
【実施例】
【0058】
(5.1. 実施例1:生成物Rの調製方法)
約35.0gのカゼイン、約17.1gのウシペプトン、約22.0gの核酸(RNA)、約3.25gのウシ血清アルブミンを、約3〜7℃で、適切な容器中の約2.5リットルの米国薬事方注射用蒸留水中に懸濁し、全ての成分が適切に湿るまで穏やかに攪拌した。約16.5gの水酸化ナトリウム(試薬等級ACS)を攪拌物中に添加する。水酸化ナトリウムが完全に溶解するまで攪拌を続ける。該反応物を、RNAが完全に消化されるまでの間、例えば約4時間、約9lbs圧及び200〜230oF(93.3〜110℃)で高圧蒸気滅菌する。該滅菌時間の終わりに、高圧滅菌を停止し、該反応容器及び内容物をゆっくりと室温まで冷却させた。それから該反応物を、約3〜8℃で少なくとも6時間冷却した。その結果得られた溶液を、低圧(1〜6psi)の窒素又はアルゴンなどの不活性気体を使用して、2ミクロンフィルター及び0.45ミクロンフィルターを通して濾過した。同じように、該溶液を再び、0.2ミクロンの発熱物質保持フィルターを通して濾過した。その結果得られた濾液を回収し、総窒素量を測定した。次に計算を行って、該濾液に添加すべき冷却した注射用蒸留水の量を決定し、最終容積約5リットルで、約165〜210mg/100mlの窒素含量の希釈濾液を得た。それから、濃塩酸(試薬等級ACS)又は1.0標準NaOHのいずれかを用いて、pHを約7.3〜7.6へと調整した。次に、該希釈溶液を再度、低圧の不活性気体を用いて0.2ミクロンフィルターを通して濾過した。それから、不活性気体雰囲気で、2mlのガラスアンプル又は2mlのバイアル中に該最終濾液を満たして密封した。該アンプル又はバイアルを集め、240oF(155.6℃)及び20〜30psi圧で約30分間、最終滅菌のために高圧蒸気滅菌した。滅菌サイクルの後、生成物Rを含む該アンプルを冷却し、洗浄した。
pH、容積、及び分析的調整用の全ての量は、プラス2.5%偏差又はマイナス2.5%偏差を条件とする。
【0059】
(5.2. 実施例2)
患者は、静脈不全のために右脚に皮膚潰瘍を患っている、85歳の元気な男性であった。該患者は普通に健康を楽しんでいた。彼は、小規模な動静脈奇形に起因する腸からの少量の出血に基づく慢性鉄欠乏性貧血の病歴を有する。
該患者は以前、静脈瘤のために、下肢の両側の静脈剥離を有していた。生成物Rを用いた治療に先立ち、該患者は、右頸骨の外果下に表皮潰瘍を患った。彼に、抗生物質軟膏及び酸化亜鉛クリームなどの軟膏並びにクリームを適用した。該病変は、痂皮の形成を伴って治癒したが、潰瘍が再発した。
【0060】
生成物Rを1日2回、3/8インチ(9.5mm)と測定された開いた傷に、インスリン用注射筒から該病変部に液状生成物Rを滴下することで局所的に適用した。7日以内に、該慢性潰瘍は上皮化し、治癒した。
該病変部は開かず、さらに3週間後も閉じたままであった。これは、この病変部が完全に上皮化した最初の事例であった。該病変部位には皮膚の陥凹があるが、該病変領域上の新しい皮膚の色は正常である。
【0061】
(5.3. 実施例3)
患者は、可変期間でのうつろな表情、半端な時間での寝付き、日々の生活を実行する能力の減退を含む軽度精神障害に罹患し始めるまでは普通の状態で健康だった、89歳の高齢女性である。彼女の食欲は減退しておらず、彼女は社交的に交流し続けた。
彼女の身体状態が悪化し始めたとき、彼女は食欲を失い、理学療法を始めた。後に、彼女は、鎮静剤を用いた治療を必要とする運動障害に罹患した。
【0062】
生成物Rを用いた治療に先立ち、彼女の腰の左側に膨隆が認められた;X線は骨変形のみを示した。1ヵ月後、その覆っていた皮膚が開き始め、悪臭のする創傷ができた。始め、該創傷は長くて細かった。該創傷は、医師によって、褥瘡性潰瘍と診断された。抗生物質及びバリヘシブ(Varihesive)(ConvaTec者, Skillman, NJ)を用いた治療は、該創傷に効果がなかった。
バリヘシブハイドロゲルを用いた治療もまた作用しない。彼女の身体状態は悪化し続け、体重が35キログラムに達する体重減少を伴う悪液質の兆候を示した。その次の1ヶ月間、該創傷は、長さ、深さ共に、初期サイズの3倍へと拡大し;該創傷の最大直径は10cmの長さであり、深さは4cmであった。該患者に痛みはなかったが、下層の骨及び腱が見えた。該創傷は周辺部分の皮膚に拡がり、手を該創傷の皮膚の下に置かせる。生成物Rを用いた治療前の1ヶ月、痂皮が患者の背中に形成され始めたが、それらは潰瘍を生じなかった。生成物Rを用いた治療を開始したとき、2個の小さな褥瘡性潰瘍が、仙骨領域にみられた。
【0063】
最初に、生成物Rを用いて局所的治療を始めた。1mlの生成物Rを、1日2回、該創傷に適用した;該患者は、抗生物質を用いた治療を続けた。生成物Rを用いた治療の開始後2週間で、該創傷は軽快して閉じ始めた。
食欲喪失が続き、悪液質が生じていたため、2ヵ月後に、1日1回、1mlの皮下注射による生成物Rを用いた全身的治療を開始した。全身的AVR118治療の開始の2週間以内に、該患者は食欲及び一般的身体状態の顕著な向上を示した。彼女は体重を取り戻し始め、精神的により機敏になり、かつ周囲と交流し始めた。生成物Rを用いた治療を開始する前には失われていたが、新しい髪が生えた。
【0064】
生成物Rを用いた局所的治療及び全身的治療の両方(1mlを1日3回、皮下的に)を続けた。該患者は改善を示し続け、該大きな褥瘡性潰瘍のサイズは大幅に縮小した。特筆すべきは、該褥瘡性潰瘍が健康そうな肉芽組織で充填されたことである。該創傷の周辺部はもはや下層組織とは離れておらず、それゆえ手を該創傷の皮膚の下に置くことはもはやない。生成物Rを用いた治療を開始した時点からその後の8ヶ月間で、該創傷の長さは、10cmから約4.5cmへと縮小した。2つの小さな褥瘡性潰瘍は閉じ、治癒した。該患者は精神意識の顕著な向上を示し、かつ食欲を含む全般的な身体状態が大幅に改善した。該患者は、生成物Rを用いた局所的治療又は全身的治療による副作用に苦しむことはなかった。該患者は、該創傷へ生成物Rを局所的に用いる治療、又は皮下注射を持続する。
【0065】
本発明は、本発明の個々の態様のただ1つの説明としてのみ意図して記載した特定の実施態様でその範囲を限定することはなく、かつ機能的に等価な方法及び構成要素は、本発明の範囲内である。実際に、本明細書に示し、記載したものに加えて、本発明の様々な修飾は、上述の説明及び添付の図面から、当業者にとって明らかとなろう。そのような修飾は、添付の特許請求の範囲内にあることを意図する。
科学出版物、特許出願書類及び特許を含む様々な引用文献を本明細書で引用し、それらの開示により、それらの全体が引用により組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷治癒を必要とする患者に、創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量を投与することを含む、患者の創傷治癒の促進方法であって、前記生成物Rがヌクレオチド、及び14kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、前記ヌクレオチド及びペプチドが、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物が、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する、前記方法。
【請求項2】
前記患者がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記生成物Rの量が、1日につき体重1キログラム当たり約0.5マイクロリットル〜約100マイクロリットルの範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記生成物Rの量が、1日につき体重1キログラム当たり約2.5マイクロリットル〜約40マイクロリットルの範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記生成物Rの量が、1日につき体重1キログラム当たり約10マイクロリットル〜約25マイクロリットルの範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記生成物Rを非経口的に、局所的に又は全身的に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記生成物Rを、前記創傷の全面積を包み込むのに十分な量で局所的に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記創傷が、褥瘡性潰瘍、糖尿病性潰瘍、外科的創傷又は熱傷の結果である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記患者に、有効量の抗生物質、生物学的反応修飾因子又は創傷治癒因子を投与することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記患者に、有効量の生物学的反応修飾因子を投与することをさらに含み、該生物学的反応修飾因子が、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−6及び腫瘍壊死因子からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記患者に、有効量の創傷治癒因子を投与することをさらに含み、該創傷治癒因子が、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−15、腫瘍壊死因子、flt−1リガンド、アルギニン、結合組織成長因子、アデノシン、環状アデノシン一リン酸、線維芽細胞増殖因子ファミリー、腫瘍成長因子−α、腫瘍成長因子−β(1及び2)、血管内皮細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子ファミリー、血小板由来成長因子ファミリー、インスリン様成長因子ファミリー、一酸化窒素、マクロファージ刺激タンパク質、及びマクロファージ由来成長因子からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
好ましくは創傷又は熱傷を患っている患者の食欲不振又は疲労を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、食欲不振又は疲労の治療に有効な生成物Rの所定量を投与することを含み、前記生成物Rがヌクレオチド、及び14kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、前記ヌクレオチド及びペプチドが、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物が、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する、前記方法。
【請求項13】
前記患者がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記生成物Rの量が、1日につき体重1キログラム当たり約0.5マイクロリットル〜約100マイクロリットルの範囲である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記生成物Rの量が、1日につき体重1キログラム当たり約2.5マイクロリットル〜約40マイクロリットルの範囲である、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記生成物Rの量が、1日につき体重1キログラム当たり約10マイクロリットル〜約25マイクロリットルの範囲である、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記生成物Rを非経口的に、局所的に又は全身的に投与する、請求項12記載の方法。
【請求項18】
前記生成物Rを、前記創傷の全面積を包み込むのに十分な量で局所的に投与する、請求項12記載の方法。
【請求項19】
前記創傷が、褥瘡性潰瘍、糖尿病性潰瘍、外科的創傷又は熱傷の結果である、請求項12記載の方法。
【請求項20】
前記患者に、有効量の抗生物質、生物学的反応修飾因子又は創傷治癒因子を投与することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項21】
前記患者に、有効量の生物学的反応修飾因子を投与することをさらに含み、該生物学的反応修飾因子が、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−6及び腫瘍壊死因子からなる群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項22】
前記患者に、有効量の創傷治癒因子を投与することをさらに含み、該創傷治癒因子が、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−15、腫瘍壊死因子、flt−1リガンド、アルギニン、結合組織成長因子、アデノシン、環状アデノシン一リン酸、線維芽細胞増殖因子ファミリー、腫瘍成長因子−α、腫瘍成長因子−β(1及び2)、血管内皮細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子ファミリー、血小板由来成長因子ファミリー、インスリン様成長因子ファミリー、一酸化窒素、マクロファージ刺激タンパク質、及びマクロファージ由来成長因子からなる群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項23】
1)創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量;2)生物学的反応修飾因子;及び、3)医薬として許容し得る担体;を含む医薬組成物であって、該生物学的反応修飾因子が、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−6及び腫瘍壊死因子からなる群から選択され、前記生成物Rがヌクレオチド、及び14kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、前記ヌクレオチド及びペプチドが、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物が、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する、前記医薬組成物。
【請求項24】
1)創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量;2)創傷治癒因子;及び、3)医薬として許容し得る担体;を含む医薬組成物であって、該創傷治癒因子が、インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−15、腫瘍壊死因子、flt−1リガンド、アルギニン、結合組織成長因子、アデノシン、環状アデノシン一リン酸、線維芽細胞増殖因子ファミリー、腫瘍成長因子−α、腫瘍成長因子−β(1及び2)、血管内皮細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子ファミリー、血小板由来成長因子ファミリー、インスリン様成長因子ファミリー、一酸化窒素、マクロファージ刺激タンパク質、及びマクロファージ由来成長因子からなる群から選択され、かつ前記生成物Rがヌクレオチド、及び14kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、前記ヌクレオチド及びペプチドが、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物が、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する、前記医薬組成物。
【請求項25】
創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量を含む第一容器、及び抗生物質、生物学的反応修飾因子、又は創傷治癒因子を含む第二容器を含むキットであって、前記生成物Rがヌクレオチド、及び14kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、前記ヌクレオチド及びペプチドが、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物が、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する、前記キット。
【請求項26】
創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量を含む第一容器、及び生物学的反応修飾因子を含む第二容器を含むキットであって、該生物学的反応修飾因子が、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−6及び腫瘍壊死因子からなる群から選択され、前記生成物Rがヌクレオチド、及び14kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、前記ヌクレオチド及びペプチドが、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物が、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する、前記キット。
【請求項27】
創傷治癒の促進に効果を有する生成物Rの所定量を含む第一容器、及び創傷治癒因子を含む第二容器を含むキットであって、該創傷治癒因子が、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−15、腫瘍壊死因子、flt−1リガンド、アルギニン、結合組織成長因子、アデノシン、環状アデノシン一リン酸、線維芽細胞増殖因子ファミリー、腫瘍成長因子−α、腫瘍成長因子−β(1及び2)、血管内皮細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子ファミリー、血小板由来成長因子ファミリー、インスリン様成長因子ファミリー、一酸化窒素、マクロファージ刺激タンパク質、及びマクロファージ由来成長因子からなる群から選択され、かつ前記生成物Rがヌクレオチド、及び14kDa以下の分子量を有するペプチドを含み、前記ヌクレオチド及びペプチドが、カゼイン、ペプトン、RNA及び血清アルブミンの分解生成物であり、かつ前記組成物が、260nm/280nmで2.0(±10%)、及び260nm/230nmで1.4(±10%)の典型的な吸収比で光吸収スペクトルを有する、前記キット。

【公表番号】特表2008−511652(P2008−511652A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530256(P2007−530256)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/030798
【国際公開番号】WO2006/026604
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(505446851)アドヴァンスド ヴァイラル リサーチ コーポレーション (2)
【出願人】(507061845)
【Fターム(参考)】