説明

創傷組織を治療するための固体包帯材

ヒトなどの哺乳動物における創傷組織を治療するための固体包帯材であって、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体から本質的になる止血層を含み、止血層は、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体を含有する単一の水溶液から注型または形成する固体包帯材を提供する。また、これらの包帯材、およびこれらの包帯材の止血層を調製するのに有用な凍結組成物を使用して創傷組織を治療するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトなどの哺乳動物患者における創傷組織を治療するための固体包帯材に関する。
【背景技術】
【0002】
プレホスピタルケアにおいて出血を止めるのに利用可能な材料および方法(ガーゼ包帯材、直接圧迫および止血帯)は、残念なことに、過去2000年間で大きく変わっていない(非特許文献1参照)。熟練者にかかっても、一律に効果的でなく、接触可能な部位からの過剰な出血または致命的な出血が生じることも珍しくない(非特許文献2参照)。
【0003】
ベトナムの死亡率データは、戦死の10%が、抑制されない肢出血によるものであることを示している(非特許文献3参照)。効果的な戦場の出血抑制方法を使用することによって、ベトナム戦争時の失血による死亡の3分の1までを防ぐことができたであろう(非特許文献3参照)。
【0004】
一般市民の外傷死亡率統計では、肢出血によるプレホスピタル死の正確な数が提示されていないが、事例および逸話報告は、同様の発生を示している(非特許文献2参照)。生存率の実質的な増加は、簡単かつ効果的な出血抑制方法のプレホスピタル使用に影響され得ることがこれらのデータによって示唆される。
【0005】
従来のガーゼ包帯の欠陥を克服するために開発された、いくつかのより新しい止血剤が現在使用されている。これらの止血剤には以下のものが含まれる。
・多孔性多糖粒子(TraumaDEX(登録商標)、Medafor Inc.(ミネソタ州Minneapolis));
・ゼオライト(QuikClot(登録商標)、Z−Medica Corp(コネチカット州Wallington));
・アセチル化ポリ−N−アセチルグルコサミン(Rapid Deployment Hemostat(商標)(RDH)、Marine Polymer Technologies(マサチューセッツ州Danvers));
・キトサン(HemCon(登録商標)包帯、HemCon Medical Technologies inc.(オレゴン州Portland));
・液体フィブリンシーラント(Tisseel VH、Baxter(イリノイ州Deerfield));
・ウマコラーゲン上のヒトフィブリノーゲンおよびトロンビン(TachoComb−S、Hafslund Nycomed Pharma(オーストリアIinz);
・微小分散酸化セルロース(m#doc(商標)、Alltracel Group(アイルランドDublin));
・没食子酸プロピル(Hemostatin(商標)、Analytical Control Systems Inc.(インディアナ州Fishers));
・イプシロンアミノカプロン酸およびトロンビン(Hemarrest(商標)貼付材、Clarion Pharmaceuticals,Inc));
・純化ウシ真皮コラーゲン(Avitene(登録商標)シート(不織布またはAviteneミクロフィブリルコラーゲン止血薬(MCH)、Davol,Inc.(ロードアイランド州Cranston));
・再生セルロースの調節酸化(Surgicel(登録商標)、Ethicon Inc.(ニュージャージ州Somerville)):
・エチルセルロース被膜を有する硫酸アルミニウム(Sorbastace Microcaps、Hemostace,LLC(ルイジアナ州New Orleans));
・微孔性ヒドロゲル形成ポリアクリルアミド(BioHemostat、Hemodyne,Inc.(ヴァージニア州Richmond);および
・組換え活性化因子VII(NovoSeven(登録商標)、NovoNordisk Inc.(ニュージャージ州Princeton)。
【0006】
これらの薬剤は、外傷の動物モデルおよび/または戦場において使用された場合に成功の度合いが異なっていた。
【0007】
1つの当該薬剤は、TraumaDEX(商標)の商品名で販売されているデンプン系止血剤である。この製品は、傷の中または上に直接注がれる微孔性多糖粒子を含む。該粒子は、傷における血液および血漿から水を吸収して、凝血因子および血小板の蓄積および濃縮をもたらすことによって、それらの止血効果を発揮すると思われる。しかし、致死的な鼠径部創傷モデルの2つの試験において、この薬剤は、標準的なガーゼ包帯に比べて有意な利点を示さなかった(非特許文献4参照)。
【0008】
別の粒子系薬剤は、傷の中または上に直接注がれるゼオライト顆粒止血剤であるQuickClot(商標)粉末である。該ゼオライト粒子も、凝血因子および血小板の蓄積および濃縮をもたらす液体吸収を介してそれらの止血効果を発揮すると思われる。この薬剤は、いくつかの動物試験において成功裡に使用されたが、粒子による液体吸収の発熱プロセスに関する懸念が残る。この反応は、三度熱傷を引き起こすのに十分に苛酷である、インビトロで143℃を超える温度およびインビボで50℃を超える温度を生じさせることがいくつかの試験によって示された(非特許文献5参照)。QuickClot(商標)の発熱反応は、臨床的有意性が未知の全体および組織学的組織変化をもたらすことも確認された(非特許文献6参照)。
【0009】
これらの粒子系薬剤と異なり、Rapid Deployment Hemostat(商標)は、赤血球凝集、血小板活性化、凝血カスケード活性化および局部血管収縮を介してその止血効果を発揮すると思われる。Rapid Deployment Hemostat(商標)は、ポリ−N−アセチル−グルコサミンで構成された寒天誘導包帯材である。本来の包帯材設計は、小さな出血を抑えるのに有効であったが、大動脈および肝臓傷害のブタモデルにおいて、失血を抑えるためにガーゼ裏当てを追加する必要があった(非特許文献7参照)。
【0010】
別のポリ−N−アセチル−グルコサミン由来包帯材は、報告によると、傷の部位におけるキトサンの粘膜付着性表面密度および構造的保全性を最適にするように設計された凍結乾燥キトサン包帯材であるHemCon(商標)キトサン包帯である。HemCon(商標)キトサン包帯は、主に傷に対する接着を介してその止血効果を発揮すると思われるが、血小板機能を向上させ、傷上に形成する血塊に赤血球を導入することもできることを示唆する証拠もある。この包帯は、動脈出血のいくつかの動物モデルにおいて止血の向上および失血の抑制を示したが、傷に対する接着が不十分であるために失敗したものを含めて、包帯間の顕著なばらつきが観察された(非特許文献8参照)。
【0011】
Tisseel VHなどの液体フィブリンシーラントは、出血抑制のための手術室補助材として長年使用されてきた(非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13参照)。止血のための組織接着剤が最初に言及されたのは、1909年に遡る(非特許文献14参照)。液体フィブリンシーラントは、典型的には、フィブリノーゲンおよびトロンビンで構成されるが、フィブリノーゲン精製の副産物として、または追加成分として因子XIII/XIIIaを含んでいてもよい(したがって、一部の用途において、十分な因子XIII/XIIIaまたは他のトランスアミナーゼが内在して、フィブリン形成を誘発するため、因子XIII/XIIIaがフィブリンに存在する必要がない。)。しかし、液体として、これらのフィブリンシーラントは、戦場における外傷を治療するのに有用であることが証明されなかった。
【0012】
コラーゲン支持体を有する乾燥フィブリノーゲン−トロンビン包帯材(例えば、Hafslund Nycomed Pharma(オーストリアIinz)から入手可能なTachoComb(商標)、TachoComb(商標)HおよびTachoSil)も多くのヨーロッパ諸国において手術室での用途に利用可能である(非特許文献15参照)。これらのフィブリノーゲン−トロンビン包帯材は、液体フィブリンシーラントに必要な予備混合を必要としないが、4℃で保管する必要があり、傷に適用する前に食塩水で予め濡らす必要があることにより、戦場用途に対するそれらの利用には限界がある。これらの包帯材は、また、高圧、高容量の出血に対して効果的でない(非特許文献16参照)。
【0013】
創傷組織を治療するための乾燥フィブリノーゲン/トロンビン包帯材は、米国赤十字社(ARC)からも入手可能である。特許文献1に開示されているように、この特定の包帯材は、裏当て材料および複数の層で構成され、その2つの外層は、フィブリノーゲンを含み(ただし、トロンビンを含まない)、内層は、トロンビンおよび塩化カルシウムを含む(ただし、フィブリノーゲンを含まない)。この包帯材は、いくつかの出血の動物モデルにおいて大きな成功を示したが、包帯は、脆弱で、柔軟性がなく、扱うと裂ける傾向がある(非特許文献7、非特許文献17参照)。
【0014】
他のフィブリノーゲン/トロンビン系包帯材も提案された。例えば、特許文献2には、フィブリノーゲンおよびトロンビンなどの凝集タンパク質を含むコラーゲンなどの糖タンパク質マトリックスで構成される傷の閉鎖および治癒のための吸収性シート材料が開示されている。特許文献3には、その少なくとも一方がPEG、PVP、BSA、マンニトール、FICOLL、デキストラン、ミオイノシトールまたは塩化カルシウムなどの補強充填剤も含有するフィブリノーゲンおよびトロンビンの個別層で構成された補強生物学的シーラントが開示されている。特許文献4には、ヒアルロン酸またはカルボキシメチルセルロースなどの生体吸収性ポリマー、ならびに粉末トロンビンおよび/または粉末フィブリノーゲンで構成された止血組成物で構成された包帯材が開示されている。特許文献5には、(i)フィブリノーゲンの粒子;(ii)トロンビンの粒子;および(iii)塩化カルシウムをその上に有する裏当て材料で構成された包帯が開示されている。特許文献6には、裏当て材料、およびそれらの間にトロンビンの離散領域を有する複数のフィブリノーゲン層で構成された包帯材が開示されている。今日まで、これらの包帯材のいずれもが使用のために許可されておらず、または市販されていない。
【0015】
加えて、フィブリノーゲン/トロンビン固体包帯材を製造するための過去の努力は、まさしくそれらを傷の治療のための望ましい成分にする特性−水性条件下で迅速に反応してフィブリンを形成する能力によって常に妨げられてきた。因子XIIIの存在は、フィブリンIaを架橋フィブリンIIにさらに変換させる混合物をもたらす。
【0016】
ヒトについての全体的な凝血プロセスを図1に示す。そこに示されるように、フィブリノーゲンのフィブリンIへの変換は、それぞれフィブリノーゲンのアルファ(α)鎖およびベータ(β)鎖からの2つの小ペプチド(AおよびB)の開裂を含む。これらの小ペプチドは、直接検出・監視するのが困難である。しかし、この開裂に起因するアルファ鎖およびベータ鎖の分子量の減少をゲル電気泳動によって監視することができる。同様に、フィブリンIの架橋フィブリンIIへの変換後に、フィブリノーゲンのガンマ(γ)鎖単量体のゲル上で消失し得る(γ鎖単量体に対する因子XIIIの作用によってγ−γ二量体に変換されるため)。
【0017】
未熟な反応を回避するために、フィブリノーゲン/トロンビン固体包帯材を製造するこれまでの試みは、包帯材の使用前にあまりにも多くのフィブリンを形成することを防止するために、フィブリノーゲン構成要素とトロンビン構成要素をできるだけ分離することを強調していた。例えば、Hafslund Nycomed Pharmaから入手可能な、コラーゲン支持体を有するフィブリノーゲン−トロンビン包帯材(例えば、TachoComb(商標)、TachoComb(商標)HおよびTachoSil)は、フィブリノーゲンおよびトロンビンの粒子を非水性液に懸濁させ、次いで懸濁液をコラーゲンベース上に噴霧することによって調製される。水性環境でなく、非水性環境を使用することは、フィブリノーゲンとトロンビンの過度の相互作用を防止することを目的とする。
【0018】
それぞれフィブリノーゲンとトロンビンをできるだけ分けて維持するように同様に設計された、この方法の別法が提案された。例えば、特許文献5に開示されているフィブリノーゲン/トロンビン固体包帯材は、溶媒の不在下で粉末フィブリノーゲンと粉末トロンビンを混合し、次いで乾燥粉末混合物を裏当て材料の接着側に塗布することによって調製された。特許文献1および特許文献6に開示されているフィブリノーゲン/トロンビン固体包帯材は、それぞれ実質的に互いに接触しないフィブリノーゲンまたはトロンビンの個別層および離散層を含む。しかし、これらの手法は、完璧でなかった。
【0019】
適正に機能するために、フィブリノーゲン/トロンビン系固体包帯材は、いくつかの基準を満たさなければならない。最初に、フィブリノーゲンおよびトロンビンは、首尾よく相互作用して血塊を形成できなければならず、この血塊が傷に多く接着するほど、包帯材が良好に機能する。全体的に、ひび割れおよび剥落等による活性成分のロスは、究極的には性能の低下をもたらし、使用者の人気が落ちるため、包帯材は高度の保全性を有していなければならない。既知のフィブリノーゲン/トロンビン固体包帯材は、これらの特性の1つ以上を欠いていることが報告された。
【0020】
また、包帯材のすべての部分が、その順調な使用を保証するために、同等に十分に機能しなければならないため、均質でなければならない。包帯材は、また、迅速かつ大きな労力または特別の労力を伴わずに水和しなければならない。相対的に平坦な包帯材が一般的に好ましく、可能であれば渦巻き状または不規則な非平面構造を避けるべきである(これらは、効果的な利用を妨害し、場合によっては性能の低下をもたらし得る。)。柔軟性は、性能を向上させるとともに、効果的に治療できる傷の形状寸法および箇所の数を増加するのに極めて好ましい別の特性である。既知のフィブリノーゲン/トロンビン固体包帯材は、水和すると柔軟になり得るが、水和前に柔軟性を有するのに十分な水分を保有していない(例えば、非特許文献16、非特許文献18、非特許文献19参照)。
【0021】
使用前に包帯材に存在するフィブリン、特に不溶性の架橋フィブリンIIの量は、比較的少なくなければならない。この後者の特性は、いくつかの理由により重要である。第1に、製造時における不溶性フィブリンの存在は、保全性の低下、均質性の欠如および困難/緩慢な水和を示し得る低品質の包帯材を通常もたらす。これらの結果は、通常は、当業者によって視覚的に検出され得る。
【0022】
例えば、フィブリノーゲン/トロンビン系固体包帯材における前形成フィブリンの存在を均質な表面外観からのずれによって視覚的に検出することができる。特に、粗い外観またはでこぼこの外観は、製造時に形成され、性能をさらに損なう可能性が高い著しいフィブリンの塊が存在することを伝えることが多い。固体包帯材の表面上の固体の平滑かつ光沢性のある「シート」も、使用中に水和を緩慢化させる(またはさらには阻止する)傾向を有することになるフィブリンの合図である。固体包帯材の過度の巻上りは、製造時に著しい量のフィブリンが形成されたことを示す別の合図である。水または水溶液を添加すると、過度のフィブリン含有量を有する包帯材は、水和が遅く、水和を開始するために、ときには表面の機械的浸透による液体の強制的な印加をしばしば必要とする。さらに、一度水和すると、著しい量の前形成フィブリンを有する包帯材は、まだらのある際だって不均質な外観を通常有する。
【0023】
前形成フィブリンの量を特許文献6に記載されている方法などの様々な生化学的アッセイによって評価することもできる。このアッセイによると、フィブリノーゲンγ鎖の架橋γ−γ二量体への変換をフィブリンの存在の指標として用いる(γ−γ二量体に変換されるγ鎖の割合が、生成されたフィブリンの量の測度になる。)。
【0024】
他のアッセイは、Aα鎖の遊離α鎖およびフィブリノペプチドAへの変換またはBβ鎖の遊離β鎖およびフィブリノペプチドBへの変換などのフィブリノーゲンの他の構成要素鎖の変化を評価することが可能である。これらの変化を特許文献6に記載されているγからγ−γへの変換と同様にしてゲル電気泳動によって監視することができる。興味深いことに、特許文献6において、比較的高レベル(10%まで)のγ−γ二量体化が報告され、これらの包帯材は、使用前に実質的な量のフィブリンを含むことが示された。この所見は、これらの包帯材のいくつかに観察された剥離および/またはひび割れを説明することができる。
【0025】
適正に機能するフィブリノーゲン/トロンビン系固体包帯材では、水和は、通常数秒以内で完了し、水(または何らかの水溶液)を包帯材上に加えること以外に何も必要としないはずである。この溶液は、包帯材が貼付される傷部からの血液または別の体液であり得るか、あるいは包帯材が治療すべき傷上に存在している間に包帯材に加えられる生理食塩水または他の生理的に許容し得る水性液体などの何らかの外部供給源からのものであってもよい。より長い水和時間、すなわち一般には5秒を超える水和時間は、包帯材のいくつかの部分が失われるか、または十分な架橋フィブリンの形成前に自由に流動し続けることになる液体内に流され得るため、包帯材の性能を損なうことになる。継続的な出血の潜在的に致命的な結果を考慮すると、使用中の包帯材の水和の遅れは、極めて望ましくない。加えて、過度のフィブリン含有量を有する包帯材の性能は、本明細書に記載するEVPAおよび粘着アッセイならびにインビボ試験および臨床的使用時における低スコアによって反映されるように、通常劣っている。
【0026】
よって、創傷組織、特に戦場における外傷に起因する創傷組織を治療するのに使用できる固体包帯材の必要性が当該技術分野に依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】米国特許第6,762,336号明細書
【特許文献2】米国特許第4,683,142号明細書
【特許文献3】米国特許第5,702,715号明細書
【特許文献4】米国特許第6,056,970号明細書
【特許文献5】米国特許第7,189,410号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0155234号明細書
【特許文献7】米国特許第3,012,893号明細書
【特許文献8】米国特許第5,716,645号明細書
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】L. Zimmermanら、Great Ideas in the History of Surgery(San Francisco、Calif.:Norman Publishing; 1993)、31
【非特許文献2】J. M. Rockoら、J. Trauma 22:635(1982)
【非特許文献3】SAS/STAT Users Guide、第4版(Cary、N.C.:SAS Institute Inc;1990)
【非特許文献4】McManusら、Business Briefing:Emergency Medical Review 2005、76−79頁(現在www.touchbriefings.com/pdf/1334/Wedmore.pdfにてオンライン利用可能)
【非特許文献5】McManusら、Business Briefing:Emergency Medical Review 2005、77
【非特許文献6】Achesonら、J. Trauma 59:865-874(2005)
【非特許文献7】McManusら、Business Briefing:Emergency Medical Review 2005、78
【非特許文献8】McManusら、Business Briefing:Emergency Medical Review 2005、79
【非特許文献9】J. L. Garzaら、J. Trauma 30:512-513(1990)
【非特許文献10】H. B. Kramら、J. Trauma 30:97-101(1990)
【非特許文献11】M. G. Ochsnerら、J. Trauma 30:884-887(1990)
【非特許文献12】T. L. Matthewら、Ann. Thorac. Surg. 50:40-44(1990)
【非特許文献13】H. Jakobら、J. Vasc. Surg.、1:171-180(1984)
【非特許文献14】Current Trends in Surgical Tissue Adhesives:Proceedings of the First International Symposium on Surgical Adhesives、M. J. MacPheeら編(Lancaster、Pa:Technomic Publishing Co;1995)
【非特許文献15】U. Schieleら、Clin. Materials 9:169-177(1992)
【非特許文献16】Sondeenら、J. Trauma 54:280-285(2003)
【非特許文献17】Kheirabadiら、J. Trauma 59:25-35(2005)
【非特許文献18】Holcombら、J. Trauma、55 518-526
【非特許文献19】McManus & Wedmore、Emergency Medicine Review、76−79頁、2005
【非特許文献20】Meyer and Boyd、Analytical Chem.、31:215-219、1959
【非特許文献21】Mayら、J. Biol. Standardization、10:249-259、1982
【非特許文献22】Centers for Biologies Evaluation and Research、FDA、Docket No. 89D-0140、83-93;1990
【非特許文献23】Dascombeら、Thromb. Haemost. 78:947-51(1997)
【非特許文献24】Hahnら、J. Biochem.(Tokyo) 119:835-43(1996)
【非特許文献25】Fortovaら、J. Chromatogr. S. Biomed. Appl. 694:49-53(1997)
【非特許文献26】Andriao-Escarsoら、Toxicon. 35:1043-52(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
したがって、本発明の目的は、哺乳動物の創傷組織、特に外傷に起因する創傷組織を治療することができる固体包帯材を提供することである。さらに、本発明の目的は、哺乳動物の創傷組織、特にヒトの創傷組織の治療方法を提供することである。本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明に記載されており、一部に、その説明から明らかになり、かつ/または本発明を実行することによって学び得る。これらの目的および利点は、本明細書に記載され、特に以下の請求項に指摘されている組成物および方法によって実現・達成されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0030】
これらの目的および他の目的に従って、本発明の第1の実施形態は、哺乳動物における創傷組織を治療するための固体包帯材であって、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体から本質的になる少なくとも1つの止血層を含み、止血層は、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体を含有する単一の水溶液から注型または形成される固体包帯材を対象とする。
【0031】
別の実施形態は、哺乳動物における創傷組織を治療するための固体包帯材であって、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体から本質的になる少なくとも1つの止血層を含み、止血層は、単一片として注型または形成される固体包帯材を対象とする。
【0032】
別の実施形態は、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体から本質的になる少なくとも1つの止血層を含む固体包帯材を使用して創傷組織を治療する方法であって、止血層は、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体を含有する単一の水溶液から注型または形成される方法を対象とする。
【0033】
別の実施形態は、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体から本質的になる少なくとも1つの止血層を含む固体包帯材を使用して創傷組織を治療する方法であって、止血層は、単一片として注型または形成される方法を対象とする。
【0034】
別の実施形態は、フィブリノーゲン構成要素とフィブリノーゲン活性体と水との混合物から本質的になる組成物であって、組成物は、凍結され、少なくとも24時間にわたって低温で安定する組成物を対象とする。
【0035】
好ましい実施形態についての先述の概略説明および以下の詳細な説明は、例示的および説明的なものにすぎず、本明細書に主張する発明のさらなる説明を提供するが、それに限定されないことを意図することを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ERLのウェブサイト(www.enzymeresearch.co.uk/coag.htm)によって提供されるヒト凝血カスケードの概観図である。
【図2】本明細書に記載する生体外ブタ動脈切開アッセイのための機構の図である。
【図3】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、実施例1で達成された結果を示すグラフである。
【図4】(A)は実施例6〜12で製造した包帯材に対するEVPAおよび粘着アッセイの結果を示すグラフであり、(B)は実施例6〜12で製造した包帯材に対するEVPAおよび粘着アッセイの結果を示すグラフである。
【図5】(A)および(B)は実施例13に示される、−80℃で保管された凍結組成物の性能特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
他に指定する場合を除いて、本明細書に用いられているすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に広く理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に言及されているすべての特許および文献は、参照により組み込まれている。
【0038】
本明細書に用いられているように、「a」、「an」および「the」などの単数冠詞は、文脈がそうでないことを明確かつ明瞭に指示する場合を除いて、その冠詞の対象の複数物を排除することを意図しない。
【0039】
本明細書に用いられている「患者」は、医療介護および/または治療を必要とするヒトまたは動物の個体を指す。
【0040】
本明細書に用いられている「傷」は、循環系からの血液および/または患者の身体からの任意の他の液体の損失をもたらす患者の任意の組織に対する任意の損傷を指す。組織は、臓器または血管などの内部組織であってもよいし、皮膚などの外部組織であってもよい。失血は、破壊臓器からなどの内的なものであってもよいし、裂傷からなどの外的なものであってもよい。傷は、臓器などの軟質組織に存在してもよいし、骨などの硬質組織に存在してもよい。損傷は、外傷、感染または外科的介入を含む任意の物質または源によって引き起こされたものであってもよい。
【0041】
本明細書に用いられている「吸収性材料」は、自然にかつ/または哺乳動物の身体によって分解されて、癒傷および/または組織再生に著しく干渉しないように、かつ著しい代謝妨害を引き起こさずに、消費または除去される成分になる材料を指す。
【0042】
本明細書に用いられている「安定性」は、活性および/または機能を決定づける材料の特性の維持を指す。
【0043】
本明細書に用いられている「好適な」は、材料が包帯材またはその任意の構成要素の安定性に悪影響を及ぼさないことを意味することを意図する。
【0044】
本明細書に用いられている「結着剤」は、包帯材の止血層の構成要素の接着性および/または凝集性を向上させる化合物または化合物の混合物を指す。
【0045】
本明細書に用いられている「可溶化剤」は、水性溶媒への1つまたは複数のタンパク質の溶解を向上させる化合物または化合物の混合物を指す。
【0046】
本明細書に用いられている「充填剤」は、包帯材の止血層に嵩および/または多孔性を与える化合物または化合物の混合物を指す。
【0047】
本明細書に用いられている「離型剤」は、製造金型からの包帯材の除去を容易にする化合物または化合物の混合物を指す。
【0048】
本明細書に用いられている「発泡剤」は、好適な条件下で水和すると気体を生成する化合物または化合物の混合物を指す。
【0049】
本明細書に用いられている「固体」は、包帯材が、傷に直面する側を下向きにして硬質表面に配置され、次いで室温で24時間放置された場合に形状が実質的に変化しないことを意味することを意図する。
【0050】
本明細書に用いられている「凍結した」は、組成物が、傷に直面する側を下向きにして硬質表面に配置され、次いで−40℃で24時間放置された場合に形状が実質的に変化しないが、傷に直面する側を下向きにして硬質表面に配置され、次いで室温で24時間放置された場合に形状が実質的に変化することを意味することを意図する。したがって、本発明の文脈では、「固体」包帯材は「凍結した」ものではなく、「凍結した」組成物または混合物は「固体」ではない。
【0051】
本発明の第1の好ましい実施形態は、患者における創傷組織を治療するための固体包帯材であって、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体からなる止血層を含み、止血層は、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体を含有する単一の水溶液から注型または形成される固体包帯材を対象とする。
【0052】
本発明の別の実施形態は、患者における創傷組織を治療するための固体包帯材であって、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体からなる止血層を含み、止血層は、単一片として注型または形成される固体包帯材を対象とする。
【0053】
本明細書に用いられているように、「から本質的になる」は、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体が、創傷組織を治療することを目的として使用される場合に固体包帯材の止血層の唯一の必要かつ必須の成分であることを意味することを意図する。よって、止血層は、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体に加えて、特定の用途に所望される他の成分を含有してもよいが、これらの他の成分は、固体包帯材が通常の条件下で意図するように機能するために必要とされない。すなわち、これらの他の成分は、意図する使用条件下で包帯材を組織に貼付する場合に、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体が反応し、通常の創傷組織からの血液および/または液体の流量を減少させるのに十分なフィブリンを形成するのに必要でない。しかし、特定の状況における使用の条件が正常でない場合、例えば、患者が因子XIII欠乏症にかかっている血友病患者である場合は、本発明の主旨から逸脱することなく、因子XIII/XIIIaまたはある種の他のトランスアミナーゼなどの適切なさらなる構成要素を止血層に添加することができる。同様に、本発明の固体包帯材は、これらの止血層の1つまたは複数の層、ならびに1つまたは複数の支持層(例えば、裏当て材料または内部支持材料)および剥離層などの1つまたは複数の他の層を含むことができる。
【0054】
本発明の他の好ましい実施形態は、哺乳動物における創傷組織の治療方法であって、本発明の固体包帯材を創傷組織に貼付し、傷からの血液および/または他の液体の損失を抑えるのに十分なフィブリンを形成するのに十分な時間にわたって十分な圧力を包帯材に加えることを含む方法を対象とする。
【0055】
さらに他の好ましい実施形態は、フィブリノーゲン構成要素とフィブリノーゲン活性体と水との混合物から本質的になる組成物であって、これらの組成物は、凍結され、少なくとも24時間にわたって低温で安定する組成物を対象とする。当該組成物は、本発明の固体包帯材の止血層の調製に特に有用である。
【0056】
本発明の一部の実施形態によれば、固体包帯材の止血層は、単一片として形成または注型される。本発明の一部の他の実施形態によれば、止血層は、単一源、例えば、フィブリノーゲンとフィブリノーゲン活性体の混合物を含有する水溶液に、またはそれから構成または形成される。本発明のこれらの実施形態の各々では、止血層は、好ましくは、全体を通じて実質的に均質である。
【0057】
一部の好ましい実施形態によれば、固体包帯材の止血層は、該層(複数可)の互いの接着および/または任意の支持層(複数可)への接着を促進または向上させる結着剤を含有することもできる。好適な結着剤の実例としては、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ゼラチン、ヒアルロンおよびヒアルロン酸などのその誘導体、マルトース、ポビドン、デンプン、キトサンおよびその誘導体、およびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ならびにその2つ以上の混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0058】
固体包帯材の止血層(複数可)は、スクロース、ラクトース、マルトース、絹、フィブリン、コラーゲン、アルブミン、ポリソルベート(Tween(商標))、キチン、キトサンおよびその誘導体(例えば、NOCC−キトサン)、アルギン酸およびその塩、セルロースおよびその誘導体、プロテオグリカン、ヒアルロンおよびヒアルロン酸などのその誘導体、グリコール酸ポリマー、グリコール酸/乳酸共重合体、ならびにその2つ以上の混合物などの1つまたは複数の好適な充填剤を所望により含有することもできる。
【0059】
固体包帯材の止血層は、スクロース、デキストロース、マンノース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、アルブミン、ヒアルロンおよびヒアルロン酸などのその誘導体、ソルベート、ポリソルベート(Tween(商標))、ソルビタン(SPAN(商標))ならびにその2つ以上の混合物などの可溶化剤を所望により含有することもできる。
【0060】
固体包帯材の止血層は、生理的に許容し得る酸(例えば、クエン酸または酢酸)と生理的に好適な塩基(例えば、重炭酸ナトリウムまたは炭酸カルシウム)の混合物などの1つまたは複数の好適な発泡剤を所望により含有することもできる。他の好適な発泡剤としては、二酸化炭素(例えば、特許文献7参照)または他の生理的に許容し得る気体(例えば、窒素またはアルゴン)および医薬として許容し得る過酸化物を含有する糖粒子などの加圧ガスを含有する乾燥粒子が挙げられるが、それらに限定されない。当該発泡剤をフィブリノーゲン構成要素とフィブリノーゲン活性体の水性混合物に導入してもよいし、混合前にフィブリノーゲン構成要素の水溶液および/またはフィブリノーゲン活性体の水溶液に導入してもよい。
【0061】
固体包帯材の止血層(複数可)は、塩化カルシウムなどの好適なカルシウムイオン源および/またはトランスアミナーゼ(例えば、因子XIII/XIIIa)もしくはグルタルアルデヒドなどのフィブリン架橋材を所望により含有することもできる。
【0062】
好ましくは、フィブリノーゲン活性体によるフィブリノーゲン構成要素の活性化を最小限に抑える条件下でフィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体の水溶液を混合することによって、固体包帯材の止血層を調製する。次いで、水分含有量を所望の量、すなわち、包帯材が固体であるため、傷に直面する側を下向きにして室温で24時間放置しても形状または形態が実質的に変化しない量まで減少させるために、水溶液の混合物に凍結乾燥またはフリーズドライングなどの処理を施す。同様の結果を達成する乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥およびガラス化などの同様の処理を採用してもよい。
【0063】
本明細書に用いられているように、「水分含有量」は、包帯材における自由に利用可能な量を指す。「自由に利用可能な」は、水が包帯材の非液体構成要素の1つまたは複数の構成要素に結合または複合していないこと意味する。本明細書に言及されている水分含有量は、FDAに承認された修正カールフィッシャー法(非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22)と実質的に同様の手順または近赤外分光法によって測定された量を指す。特定の固体包帯材の好適な水分含有量は、その意図する用途に応じて当業者が経験的に決定することができる。
【0064】
例えば、本発明の一部の実施形態において、より高い水分含有量は、より軟質の固体包帯材に対応づけられる。したがって、肢傷を対象とする固体包帯材において、少なくとも6%、さらにより好ましくは6%から44%の範囲の水分含有量を有することが好まれ得る。
【0065】
同様に、本発明の他の実施形態において、より低い水分含有量は、より硬質の固体包帯材に対応づけられる。したがって、腹部または胸部の傷などの平坦傷を対象とする固体包帯材において、6%未満、さらにより好ましくは1%から6%の範囲の水分含有量を有することが好まれ得る。
【0066】
よって、固体包帯材の好適な水分含有量の実例としては、53%未満;44%未満;28%未満;24%未満;16%未満;12%未満;6%未満;5%未満;4%未満;3%未満;2.5%未満;2%未満;1.4%未満;0から12%(0%および12%を含まない);0から6%;0から4%;0から3%;0から2%;0から1%;1から16%;1から11%;1から8%;1から6%;1から4%;1から3%;1から2%;および2から4%(各値は±0.9%)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0067】
固体包帯材の止血層におけるフィブリノーゲン構成要素は、当業者に知られており、利用可能な任意の好適なフィブリノーゲンであってもよい。フィブリノーゲン構成要素は、フィブリノーゲンα、βおよび/またはγ鎖、可溶性フィブリンIまたはフィブリンII、あるいはその2つ以上の混合物などのフィブリノーゲンの機能的誘導体または代謝物質であってもよい。特定の用途のための具体的なフィブリノーゲン(または機能的誘導体もしくは代謝物質)は、当業者が経験的に選択することができる。本明細書に用いられているように、「フィブリノーゲン」という用語は、フィブリノーゲンと少量の因子XIII/因子XIIIaまたは何らかの他の当該トランスアミナーゼとの混合物を含むことを意図する。当該少量は、当該技術分野で現在知られており、利用可能な方法および技術に従って精製された後に哺乳動物フィブリノーゲンに通常見いだされるものとして、当業者に広く認識され、典型的には0.1から20単位/mLであってもよい。
【0068】
好ましくは、固体包帯材のフィブリノーゲン構成要素として採用されるフィブリノーゲンは、哺乳動物への導入に好適な精製フィブリノーゲンである。典型的には、当該フィブリノーゲンは、因子XIII/XIIIaを含み、適切なレベルまで精製され、ウイルス不活性化されたヒト血漿タンパク質の混合物の一部である。固体包帯材を調製するためのフィブリノーゲンの好ましい水溶液は、7.4±0.1付近のpHで37.5mg/mL付近のフィブリノーゲンを含有する。フィブリノーゲン構成要素として使用するための好適なフィブリノーゲンは、例えば特許文献8に記載されており、同様の材料は、例えば、Sigma−Aldrich、Enzyme Research Laboratories、Haematologic Technologies and Aniaraなどの供給源から商業的に入手可能である。
【0069】
好ましくは、フィブリノーゲン構成要素は、固体包帯材1平方センチメートル当たりのフィブリノーゲンが約1.5から約13.0mg(±0.9mg)、好ましくは約3.0から約13.0mg/cm2の量で存在する。しかし、固体包帯材に意図される特定の用途に応じてより多い、または少ない量を採用することができる。例えば、強い接着性が所望される一部の実施形態において、フィブリノーゲン構成要素は、固体包帯材1平方センチメートル当たりのフィブリノーゲンが約11.0から約13.0mg(±0.9mg)の量で存在する。同様に、低圧血管の治療を目的とする一部の実施形態によれば、より低量のフィブリノーゲン構成要素を採用することができる。
【0070】
固体包帯材の止血層に採用されるフィブリノーゲン活性体は、フィブリノーゲンをフィブリンに変換することが当業者に知られている物質または物質の混合物のいずれかであってもよい。好適なフィブリノーゲン活性体の実例としては、ヒトトロンビンまたはウシトロンビンなどのトロンビン、およびヒトプロトロンビンまたはプロトロンビン複合体濃縮物(因子II、VII、IXおよびXの混合物)などのプロトロンビン;バトロキソビン、レプチラーゼ(バトロキソビンと因子XIIIaの混合物)、ボトロンビン、カロビン、フィブロザイム、およびハラクスの毒液から単離された酵素;ならびにこれらのいずれかの2つ以上の混合物が挙げられるが、それらに限定されない(非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25、および非特許文献26参照)。
【0071】
好ましくは、フィブリノーゲン活性体は、トロンビンである。より好ましくは、フィブリノーゲン活性体は、哺乳動物トロンビンであるが、鳥類および/または魚類トロンビンも適切な状況において採用できる。任意の好適な哺乳動物トロンビンを固体包帯材に使用できるが、止血層に採用されるトロンビンは、好ましくは、固体包帯材の意図する用途のために十分に精製され、ウイルス不活性化されたヒト血漿タンパク質の凍結乾燥混合物である。好適なトロンビンは、Sigma−Aldrich、Enzyme Research Laboratories、Haematologic Technologies and Biomol Internationalなどの供給源から商業的に入手可能である。固体包帯材を調製するためのトロンビンの特に好ましい水溶液は、10から2000±50国際単位/mLの力価、より好ましくは25±2.5国際単位/mLの力価でトロンビンを含有する。他の構成成分としては、アルブミン(一般には約0.1mg/mL)およびグリシン(一般には約100mM±0.1mM)を挙げることができる。トロンビンのこの特に好ましい水溶液のpHは、一般には6.5〜7.8、好ましくは7.4±0.1の範囲であるが、5.5〜8.5の範囲のpHも許容され得る。
【0072】
止血層に加えて、固体包帯材は、1つまたは複数の支持層をさらに含むことができる。本明細書に用いられているように、「支持層」は、固体包帯材、および/または当該包帯材が創傷組織に貼付されるときに形成するフィブリン凝塊の構造保全性を維持または向上させる材料を指す。
【0073】
本発明の一部の好ましい実施形態によれば、支持層は、創傷組織に貼付される面と反対側の包帯材の面に裏当て材料を含む。当該裏当て材料は、生理的に許容し得る接着剤が塗布されてもよいし、(例えば、十分な表面正電荷を有することによって)自己接着してもよい。裏当て材料は、1つまたは複数の吸収性材料あるいは1つまたは複数の非吸収性材料もしくはそれらの混合物を含むことができる。好ましくは、裏当て材料は、単一の吸収性材料である。
【0074】
当業者に知られており、利用可能な任意の好適な吸収性材料を本発明に採用することができる。例えば、吸収性材料は、絹、フィブリン、ケラチン、コラーゲンおよび/またはゼラチンなどのタンパク質物質であってもよい。あるいは、吸収性材料は、アルギン酸塩、キチン、セルロース、プロテオグリカン(例えば、ポリ−N−アセチルグルコサミン)、グリコール酸ポリマー、乳酸ポリマーまたはグリコール酸/乳酸共重合体などの炭水化物物質であってもよい。吸収性材料は、タンパク質物質の混合物または炭水化物物質の混合物、あるいはタンパク質物質と炭水化物物質の両方の混合物を含むこともできる。具体的な吸収性材料は、固体包帯材の意図する用途に応じて当業者が経験的に選択することができる。
【0075】
本発明の一部の好ましい実施形態によれば、吸収性材料は、炭水化物物質である。特に好ましい吸収性材料の実例としては、VICRYL(商標)(グリコール酸/乳酸共重合体)およびDEXON(商標)(グリコール酸ポリマー)の商品名で販売されている材料が挙げられるが、それらに限定されない。
【0076】
当業者に知られており、利用可能な任意の好適な非吸収性材料を裏当て材料として採用できる。好適な非吸収性材料としては、プラスチック、シリコーンポリマー、紙および紙製品、ラテックスならびにガーゼ等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0077】
他の好ましい実施形態によれば、支持層は、内部支持材料を含む。当該内部支持材料は、好ましくは、固体包帯材の止血層内に全面的に含められるが、一部の実施形態において、2つの隣接止血層の間に配置されてもよい。裏当て材料と同様に、内部支持材料は、吸収性材料または非吸収性材料、あるいは2つ以上の吸収性材料の混合物もしくは2つ以上の非吸収性材料の混合物または吸収性材料と非吸収性材料の混合物などのそれらの混合物であってもよい。
【0078】
さらに他の好ましい実施形態によれば、支持層は、包帯材の傷に直面する面、すなわち創傷組織に貼付される面に前部支持材料を含むことができる。裏当て材料および内部支持材料と同様に、前部支持材料は、吸収性材料または非吸収性材料、あるいは2つ以上の吸収性材料の混合物もしくは2つ以上の非吸収性材料の混合物または吸収性材料と非吸収性材料の混合物などのそれらの混合物であってもよい。
【0079】
さらに他の好ましい実施形態によれば、固体包帯材は、止血層に加えて、裏当て材料および内部支持材料の両方を含む。すなわち、固体包帯材は、止血層に加えて、2つの支持層を含む。さらに他の好ましい実施形態によれば、固体包帯材は、止血層に加えて、前部支持材料および内部支持材料の両方を含む。さらに他の好ましい実施形態によれば、固体包帯材は、止血層に加えて、裏当て材料、前部支持材料および内部支持材料を含む。
【0080】
本発明の一部の実施形態によれば、特に、金型を使用して固体包帯材を製造する場合に、固体包帯材は、止血層および支持層に加えて剥離層を所望によりさらに含むこともできる。本明細書に用いられているように、「剥離層」は、固体包帯材が製造された金型から固体包帯材を取り出すことを促進または容易にする1つまたは複数の薬剤(「離型剤」)を含有する層を指す。好ましい当該薬剤は、スクロースであるが、他の好適な離型剤としては、ゼラチン、ヒアルロンおよびヒアルロン酸を含むその誘導体、マンニトール、ソルビトールならびにグルコースが挙げられる。あるいは、当該1つまたは複数の離型剤が止血層に含有されていてもよい。
【0081】
本発明の包帯材のそれぞれの層を、当業者に知られており、利用可能な任意の好適な手段によって貼り合わせることができる。例えば、生理的に許容し得る接着剤を裏当て材料(存在する場合)に塗布し、続いて止血層を貼付することができる。
【0082】
本発明の一部の実施形態において、生理的に許容し得る接着剤は、包帯材を創傷組織に貼付した後に、止血層により形成されるフィブリン凝塊から裏当て材料を分離できるような剪断強度および/または構造を有する。他の実施形態において、生理的に許容し得る接着剤は、包帯を創傷組織に貼付した後に、裏当て材料をフィブリン凝塊から分離できないような剪断強度および/または構造を有する。
【0083】
固体包帯材の止血層に対する好適なフィブリノーゲンおよび好適なフィブリノーゲン活性体を、Sigma−Aldrich and Enzyme Research Laboratoriesなどの商業的供給業者からの供給源;当業者に知られており、利用可能な方法のいずれかによるヒトまたは哺乳動物血漿からの抽出および精製による供給源;標準的なDNA技術に従って導入されたヒトまたは哺乳動物血漿タンパク質を発現する遺伝子を含む血漿もしくは組換え組織培養、ウイルス、酵母または細菌等から誘導された上清またはペーストからの供給源;および/または標準的な形質転換技術に従って導入され、所望のフィブリノーゲンおよび/または所望のフィブリノーゲン活性体を発現する遺伝子を含む形質転換哺乳動物(例えば、ヤギ、ヒツジ、ウシ)の体液(例えば、血液、乳、リンパ液または尿等)からの供給源を含むが、それらに限定されない、当業者に知られており、利用可能な任意の好適な供給源から得ることができる。
【0084】
本発明の一部の好ましい実施形態によれば、フィブリノーゲンは、ウシフィブリノーゲン、ブタフィブリノーゲン、ヒツジフィブリノーゲン、ウマフィブリノーゲン、ヤギフィブリノーゲン、ネコフィブリノーゲン、イヌフィブリノーゲン、マウスフィブリノーゲンまたはヒトフィブリノーゲンなどの哺乳動物フィブリノーゲンである。他の実施形態によれば、フィブリノーゲンは、鳥類フィブリノーゲンまたは魚類フィブリノーゲンである。これらの実施形態のいずれかによれば、フィブリノーゲンは、組換え製造フィブリノーゲンまたは形質転換フィブリノーゲンであってもよい。
【0085】
本発明の一部の好ましい実施形態によれば、フィブリノーゲン活性体は、ウシトロンビン、ブタトロンビン、ヒツジトロンビン、ウマトロンビン、ヤギトロンビン、ネコトロンビン、イヌトロンビン、マウストロンビンまたはヒトトロンビンなどの哺乳動物トロンビンである。他の実施形態によれば、トロンビンは、鳥類トロンビンまたは魚類トロンビンである。これらの実施形態のいずれかによれば、トロンビンは、組換え製造トロンビンまたは形質転換トロンビンであってもよい。
【0086】
一般的な提案として、固体包帯材に使用するためのフィブリノーゲンおよび/またはフィブリノーゲン活性体の純度は、タンパク質の最適な効果および安定性をもたらすことが当業者に知られている純度になる。好ましくは、フィブリノーゲンおよび/またはフィブリノーゲン活性体に析出、濃縮、ダイアフィルトレーションおよびアフィニティクロマトグラフィー(好ましくはイムノアフィニティクロマトグラフィー)などの複数の精製工程を施して、固体包帯材の製造、保管および/または使用時におけるフィブリノーゲンおよび/またはフィブリノーゲン活性体の断片化、活性化および/または劣化を引き起こす物質を除去した。精製によって除去されるのが好ましい当該物質の実例としては、インターアルファトリプシン阻害薬およびプレアルファ阻害薬などのタンパク質汚染物質;脂質などの非タンパク質汚染物質;ならびにリポタンパク質などのタンパク質汚染物質と非タンパク質汚染物質の混合物が挙げられる。
【0087】
固体包帯材に採用されるフィブリノーゲン活性体の量は、好ましくは、その効果および安定性の両方を最適化するように選択される。そのように、固体包帯材の特定の用途に対する好適な濃度は、当業者が経験的に決定することができる。本発明の一部の好ましい実施形態によれば、フィブリノーゲン活性体がヒトトロンビンである場合は、採用されるヒトトロンビンの量は、フィブリノーゲン構成要素1mg当たり2.50単位とフィブリノーゲン1mg当たり0.025単位との間である(すべての値は±0.009である)。他の好ましい実施形態は、トロンビンの量がフィブリノーゲン1mg当たり0.250単位とフィブリノーゲン1mg当たり0.062単位との間である同様の固体包帯材、ならびにトロンビンの量がフィブリノーゲン1mg当たり0.125単位とフィブリノーゲン1mg当たり0.080単位の間である。
【0088】
固体包帯材の使用時において、フィブリノーゲンおよびフィブリノーゲン活性体は、好ましくは、出血する傷から漏出する患者の内在液によって包帯材が創傷組織に貼付されるときに活性化される。あるいは、創傷組織からの液体損失が、タンパク質層の十分な水和をもたらすのに不十分である状況において、フィブリノーゲン構成要素および/またはトロンビンは、包帯材が創傷組織に貼付される前または最中に、任意の必要な共因子および/または酵素を所望により含有する好適な生理的に許容し得る液体によって活性化され得る。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態において、止血層は、成長因子、薬物、ポリクロナル抗体、モノクロナル抗体および他の化合物などの1つまたは複数の補給物を含有することもできる。当該補給物の実例としては、アプロトニン、トランキサム酸およびイプシロン−アミノ−カプロン酸などの線維素阻害薬;テトラシクリンおよびシプロフロキサシン、アモキシシリンならびにメトロニダゾールなどの抗生物質;活性化タンパク質C、ヘパリン、プロスタシクリン、プロスタグランジン(特に(PGI2)、ロイコトリエン、抗トロンビンIII、ADPアーゼおよびプラスミノゲン活性体などの抗凝血材;デキサメタソン、プロスタシクリンの阻害薬、炎症を阻害するプロスタグランジン、ロイコトリエンおよび/またはキニンなどのステロイド;カルシウムチャネル遮断材、血管拡張薬および血管収縮薬などの心臓血管薬;化学誘因物質;ブピバカインなどの局部麻酔薬;および5−フルオロウラシル(5−FU)、タキソールおよび/またはタキソテレなどの抗増殖/抗腫瘍薬;ガングシクロビル、ジドブジン、アマンチジン、ビダラビン、リバラビン、トリフルリジン、アシクロビル、ジデオキシウリジン、およびウイルス構成要素または遺伝子生成物に対する抗体などの抗ウイルス薬;アルファまたはベータまたはガンマインターフェロン、アルファまたはベータ腫瘍壊死因子およびインターロイキンなどのサイトカイン;コロニー刺激因子;エリスロポイエチン;ジフルカン、ケタコニゾールおよびニスタチンなどの抗真菌薬;ペンタミジンなどの駆虫薬;アルファ−1−抗トリプシンおよびアルファ−1−抗キモトリプシンなどの抗炎症薬;ブピバカインなどの麻酔薬;鎮痛薬;防腐薬;ホルモン;ビタミンおよび他の栄養補助食品;糖タンパク質;フィブロネクチン;ペプチドおよびタンパク質;炭水化物(単一性および/または複合性);プロテオグリカン;抗血管形成薬;抗原;脂質またはリポソーム;オリゴヌクレオチド(センスおよび/またはアンチセンスDNAおよび/またはRNA);ならびに遺伝子治療試薬が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の他の実施形態において、裏当て層および/または内部支持層は、存在すれば、1つまたは複数の補給物を含有することができる。本発明の一部の好ましい実施形態によれば、治療補給物は、フィブリンへの溶解限度を超える量で存在する。
【0090】
以下の実施例は、例示にすぎず、添付の請求項によって定義される本発明の範囲を限定することを意図しない。本発明の主旨および範囲を逸脱することなく、本発明の方法に様々な修正および変更を加えることができることを当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明は、本発明の修正および変更が添付の請求項およびそれらの同等物の範囲内にある限りにおいて、該修正および変更を包括することを意図する。
【実施例】
【0091】
最初に特許文献1に記載された生体外ブタ動脈切開(EVPA)性能試験によって、傷害血管を密閉する包帯材の能力を測定した。EVPA性能試験では、ブタ動脈における穴の液流を止める包帯材の能力を評価する。特許文献1に記載されている手順は、止血包帯を評価するのに有用であることが示されたが、インビボでの成功のための要件を忠実に再現することができなかった。より具体的には、特許文献1に記載されている手順は、37℃における試験を必要としていたのに対して、現実の世界では、傷は、典型的にはそれより低温である。この低い温度は、外傷犠牲者におけるフィブリン形成速度およびその止血効果を著しく低下させ得る(例えば、非特許文献6参照)。特許文献1における試験は、傷害組織に対する包帯材の高度な接着力を必要とすることもできなかった。したがって、フィブリンが形成されても、包帯材が組織の傷に密着できない故障モードは、この試験によって検出されないことになる。また、外傷患者によっては、治療中に該手順に利用される圧力(200mHg)を超え得る。この全体的な結果は、大形動物、現実的な外傷試験および臨床環境における包帯材性能を正確に予測するために、典型的には小形動物(ラットおよびウサギなど)を含む多くの動物試験を実施しなければならないことである。
【0092】
本発明を展開するために必要とされる時間および動物試験の数を最小限にするために、改善された生体外試験手順を開発した。これを遂行するために、包帯材試験を実施する基本条件を変更し、試験パラメータの厳密性を高めて、現実的な傷の温度における現実の生理的課題を表すより低い温度(すなわち37℃に対して29〜33℃)(非特許文献6)、より高い圧力(すなわち200mmHgに対して250mmHg)、より長い試験時間(2分間対して3分間)およびより大きな動脈傷(特許文献1では18ゲージのニードル穿孔が用いられていたのに対して、改訂手順では2.8mmから4mm×6mmの穿孔を用いた)を含めた。
【0093】
加えて、傷組織に対する包帯材の接着性を直に測定する新しい試験を導入した。これらの両試験は、厳密性の著しい改善を示したため、これまでの生体外試験を凌ぎ、効果について多くのインビボ試験に取って代わることが可能である。
【0094】
以下の実施例に用いられる略語のリストを以下に示す。
CFB:全フィブリノーゲン緩衝材(100mM塩化ナトリウム、1.1mM塩化カルシウム、10mMトリス、10mMクエン酸ナトリウム、1.5%スクロース、ヒト血清アルブミン(全タンパク質1g当たり80mg)およびTween(商標)80(動物源)(全タンパク質1g当たり15mg)
CTB:全トロンビン緩衝材(150mM塩化ナトリウム、40mM塩化カルシウム、10mMトリスおよび100ug/mlでHSAが添加された100mMのL−リシン)
ERL:Emzyme Research Laboratories
EVPA:生体外ブタ動脈切開
FD:発明の止血包帯材
HSA:ヒト血清アルブミン
HD:特許文献1に開示されている「サンドウィッチ」フィブリンシーラント止血包帯材
IFB:不完全フィブリノーゲン緩衝材;HSAおよびTweenのないCFB
PETG:グリコール修飾ポリエチレンテトラフタレート
PPG:ポリプロピレン
PVC:ポリ塩化ビニル
TRIS:トリスヒドロキシメチルアミノメタン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)
【0095】
(実施例1)
裏当て材料(DEXON(商標))を切断し、各PETG2.4×2.4cm金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。フィブリノーゲン(Emzyme Research Laboratories(商標))をCFBで処方した。フィブリノーゲンの最終pHは7.4±0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5、31.7、25.9、20.16、14.4、8.64および4.3mg/mlに調整した。2mlのフィブリノーゲンを金型に送達すると、フィブリノーゲン用量が13、11、9、7、5、3または1.5mg/cm2になるであろう。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン溶液を以下に記載するように混合すると、混合物が、フィブリノーゲン1mg当たり0.1単位を含有する溶液を生成するようにトロンビンの濃度を調製した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃フリーザーから取り出し、ドライアイス上に配置された銅板に配置した。反復ピペッターにフィブリノーゲンを充填し、第2の反復ピペッターにトロンビンを充填した。2mlのフィブリノーゲンおよび300マイクロリットルのトロンビンを各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、それらを凍結させ、次いで少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、凍結包帯材を、予め冷却されたGenesis(商標)凍結乾燥器(Virtis(ニューヨーク州Gardiner))内に配置した。チャンバを密閉し、温度を平衡にした。次いで、チャンバを排気し、一次および二次乾燥サイクルを介して包帯材を凍結乾燥した。
【0096】
包帯材を凍結乾燥器から取り出し、フォイルパウチで密封し、試験まで室温で保管した。続いて、包帯材をEVPA、接着性および重量アッセイで評価した。
【0097】
結果を以下の表に示し、図3(A)〜(C)にグラフで示す。
【0098】
【表1】

【0099】
(実施例2)
単層包帯材を以下のように製造した。裏当て材料を切断し、各PETG2.4×2.4cm金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。
【0100】
すべての包帯材について、ERLフィブリノーゲンロット3114をCFBで処方した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン1mg当たり0.1単位または25単位/mlのトロンビンを送達するようにトロンビンを調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃フリーザーから取り出し、ドライアイス上に配置された銅板に配置した。反復ピペッターにフィブリノーゲンを充填し、第2の反復ピペッターにトロンビンを充填した。2mlのフィブリノーゲンおよび300マイクロリットルのトロンビンを各金型に同時に分配した。金型を満たすと、それらを凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、包帯材を上記のように凍結乾燥した。完了すると、5グラムの乾燥材を含む低透湿度の箔のルバッグで包帯材を保管した。
【0101】
上記と同じ材料を使用して、先述のようにして1三層包帯材を製造した。続いて、包帯材の相対水分含有量を所望の量まで増加させるために、包帯材を様々な時間にわたって37℃、100%相対湿度の条件下に置いた。包帯材を視覚的に、それらの処理特性および他の物理的特性について評価した。この評価に続いて、包帯材の各々のサンプルを試験して、それらの水分含有量を求めた。EVPA、接着性および保持重量アッセイで残りの包帯材の性能試験を行った。
【0102】
結果
アッセイの結果を以下の表に示す。
【0103】
【表2】

【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
【表5】

【0107】
結論:
単層包帯材は、非常に高い水分量でも十分に機能した。28%程度の水分量で十分に機能性を保持することが判明した。水分量が44%まで上昇すると、包帯材は依然として機能したが、それらの活性がいくらか低下した。より高量の水分でも、ある程度の機能を保持することができる。水分含有量が2.5%の本来の包帯材は、柔軟でなかったが、外観、平坦面、保全性、高速かつ単純な水和、ならびに水和後の滑らかな外観を含むすべての他の所望の特性を有していた。水分含有量が5.8%まで上昇すると、単層包帯材は、柔軟になる一方、機能性および所望の特性を保持していた。それらは、カールする、または保全性を失う、または水和前に過剰量のフィブリンを形成することなく、柔軟性を保持した。
【0108】
これは、水分を加えると所望の特性が低下し始め、水分が33%まで増加するまでに完全に特性が失われる三層包帯材と対照的であった。
【0109】
(実施例3)
裏当てを利用する包帯材については、裏当て材料を切断し、各PETG2.4×2.4cm金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。裏当て材料を有さない包帯材については、PETG2.4×2.4cm金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。
【0110】
すべての包帯材について、ERLフィブリノーゲンロット3114をCFBで処方した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン1mg当たり0.1単位または25単位/mlのトロンビンを送達するようにトロンビンを調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃フリーザーから取り出し、ドライアイス上に配置された銅板に配置した。反復ピペッターにフィブリノーゲンを充填し、第2の反復ピペッターにトロンビンを充填した。2mlのフィブリノーゲンおよび300マイクロリットルのトロンビンを各金型に同時に分配した。金型を満たすと、それらを凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、包帯材を以下のように凍結乾燥した。
【0111】
EVPAアッセイで両グループの性能試験を行った。加えて、裏当てを有するグループを接着性および保持重量アッセイで試験した。
【0112】
結果:
【0113】
【表6】

【0114】
結論:
裏当て材料を用いて処方した包帯材は、良好な性能を発揮し、すべての包帯材がEVPA試験に合格し、接着性および保持重量の値も高かった。裏当て材料を有さない包帯材は、EVPAアッセイにおいてさほど効果的でなかったが、驚いたことには、その75%がEVPA試験に合格した。裏当てがなければ、他の試験を実施することができなかった。EVPAアッセイに合格した、裏当てを用いずに製造した包帯材の能力は、それらが動脈傷害を治療するのに効果的であり、静脈および小血管傷害を治療するのにさらにより効果的であることを示す。
【0115】
(実施例4)
すべての包帯材について、ERLフィブリノーゲンロット3130をCFBで処方した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン1mg当たり0.1単位または25単位/mlのトロンビンを送達するようにトロンビンを調整した。細断されたVICRYL(商標)メッシュが内部に分散されたグループについては、この支持材料を切断して約1mm×1mm片とし、金型に充填する前にトロンビン溶液中に分散させた。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。ルアーロック端が取り除かれた10または3mLポリプロピレンシリンジ(Becton Dickinson)で構成された円筒状金型を使用した。プランジャーをそれぞれ6mLおよび2mLの標線まで引いた。裏当てを利用する包帯材については、支持材料を切断し、各金型内に配置し、プランジャーに隣接するまで押し下げた。調製すると、金型を直立に配置し、ドライアイスで囲み、開口部を上部で露出させた。1mlのフィブリノーゲンおよび0.15mLのトロンビン(裏当て材料が内部に分散された、または分散されていない)を10mL金型内に分配し、1mlのフィブリノーゲンおよび0.15mLのトロンビン(支持材料が内部に分散された、または分散されていない)を3mL金型内に分配し、それらを5分間にわたって凍結させた。次いで、金型を凍結乾燥器内に配置し、記載したように凍結乾燥する前に、少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。
【0116】
凍結乾燥器から取り出すと、改造型EVPAアッセイで両グループの性能試験を行った。手短に述べると、プラスチック発泡体を動脈上に滑らせた。このカバーは、動脈および周囲組織内の穴に対応する穴をその中に有していた。暖かい生理食塩水を包帯材の表面に添加し、金型をそのまま発泡体内の穴から動脈表面に押し下げた。次いで、プランジャーを押し下げ、手で3分間保持した後、プランジャーをさらに押し下げながら金型を引き出した。この時点で、動脈を加圧し、アッセイを以前のように続けた。
【0117】
結果
【0118】
【表7】

【0119】
結論:
裏当てを含まない包帯材またはDEXON(商標)メッシュ裏当てを含む包帯材は、良好な性能を発揮し、すべて250mmHgにおけるEVPA試験に合格した。支持材料を組成物全体に分散させた場合も、包帯材は良好な性能を発揮し、大サイズ(10mL金型)の包帯材は全250mmHgの圧力を保持したのに対して、より小さいものは150mmHgまでの圧力を保持した。これは、支持材料の使用が随意であってもよく、その箇所が、要望に応じて包帯材の「背面」であるか、または組成物全体に分散されていてもよいことを示す。
【0120】
(実施例5)
支持材料を包帯材の「背面」(すなわち、傷に直面しない面)に有してなる包帯材を、最初にメッシュ支持体を切断し、それを各PETG10×10cm金型内に配置することによって製造した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。
【0121】
包帯材の「前面」(すなわち、傷に直面する面)に支持材料を有してなる包帯材については、支持材料を金型内に含めずに製造した。フィブリノーゲンおよびトロンビンを金型内に配置した直後に支持メッシュを包帯材の上部に配置し(以下参照)、凍結前にそれを表面に軽く押し込んだ。他はすべて、下記と同様に包帯材を製造した。
【0122】
すべての包帯材について、ERLフィブリノーゲンロット3114をCFBで処方した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン1mg当たり0.1単位または25単位/mlのトロンビンを送達するようにトロンビンを調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。フィブリノーゲン1mg当たり0.1単位または25単位/mlのトロンビンを送達するようにトロンビンを調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃フリーザーから取り出し、ドライアイス上に配置されたアルミニウム板に配置した。アルミニウム板は、中央に0.25インチの穴が空けられており、管の一部を真空源に接続できるように継手が取りつけられていた。金型の中心をアルミニウム板の穴に合わせ、真空をオンした。真空は、金型が移動することを防止し、それをアルミニウム板に対して平坦に保持するという2つの目的を果たした。35ミリリットルのフィブリノーゲンおよび5.25ミリリットルのトロンビンを50mlの試験管に入れ、3回逆転させ、金型内に注いだ。金型を満たし、上記のように支持材料を塗布した後に、それらを凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、先述のように包帯材を凍結乾燥した。
【0123】
EVPAアッセイで両グループの性能試験を行った。加えて、裏当てを有するグループも接着性および保持重量アッセイで試験した。
【0124】
結果:
【0125】
【表8】

【0126】
結論:
いずれの方向の裏当て材料で処方された包帯材も良好であり、すべての包帯材がEVPA試験に合格し、接着性および保持重量の値も高かった。これは、支持材料の箇所が、要望に応じて、包帯材の「背面」であってもよいし、組成物の「前面」であってもよいことを示す。
【0127】
(実施例6)
裏当て材料(DEXON(商標))を2.4×2.4cmのPETG金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。
【0128】
フィブリノーゲン(Enzyme Research Laboratories(商標)(ERL)ロット3114)をCFBで処方した。CFBを用いて、フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。
【0129】
トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。混合前の3120単位/mlのトロンビンに対応するフィブリノーゲン1mg当たり12.5単位を(混合すると)生成するようにトロンビン濃度をCTBで調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。
【0130】
分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃フリーザーから取り出し、ドライアイス上で予備冷却された銅板に配置した。反復ピペッターにフィブリノーゲンを充填し、第2の反復ピペッターにトロンビンを充填した。2mlのフィブリノーゲンおよび300マイクロリットルのトロンビンを各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、それらを凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、それらを以下に記載するように凍結乾燥し、以下に記載するようにEVPAおよび接着性アッセイを用いて性能試験を行った。結果を図4(A)および(B)に示す。
【0131】
(実施例7)
裏当て材料を1.5×1.5cmのPVC金型内に配置した。15マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。PETGプラスチックの第2の部分を1.5×1.5金型の上部に装着し、所定位置に保持した。これにより閉鎖した金型が形成された。次いで、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。フィブリノーゲン(ERLロット3100)をCFBで処方した。CFBを用いて、フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。混合前の624、62.4、25、12.5、6.24、3.99、3.12および2.5単位/mlのトロンビンに対応するフィブリノーゲン1mg当たり2.5、0.25、0.1、0.05、0.025、0.016、0.0125および0.01単位の量を(混合すると)送達するように、CTBを用いてトロンビン濃度を調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。次いで、金型を−80℃のフリーザーから取り出し、ドライアイス上で予備冷却されたアルミニウム板に配置した。18ゲージの針を使用して、金型の上部に3つの穴を空けた。1つの穴は、フィブリノーゲンを注入するために使用され、第2の穴は、トロンビンを注入するために使用され、第3の穴は、金型の内部から排出される空気を放出するための通気口として機能した。次いで、ピペットにフィブリノーゲンを充填し、第2のピペットにトロンビンを充填した。これらのピペットを介して、0.78mlのフィブリノーゲンおよび0.17mlのトロンビンを各金型内に注入した。金型を満たすと、金型を30秒間にわたって液体窒素のプールの上部に配置し、次いで、凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、それらを以下に記載するように凍結乾燥し、以下に記載するようにEVPAおよび接着性アッセイを用いて性能試験を行った。
【0132】
(実施例8)
裏当て材料を2.4×2.4cmのPVC金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。フィブリノーゲン(ERLロット3100)をCFBで処方した。CFBを用いて、フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。混合前の31.2、6.24、3.12、1.56および0.78単位/mlのトロンビンに対応するフィブリノーゲン1mg当たり0.125、0.025、0.0125、0.00625および0.0031単位の量を混合すると送達するように、CTBを用いてトロンビン濃度を調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃のフリーザーから取り出し、ドライアイス上で予備冷却されたアルミニウム板に配置した。18ゲージの針が装着された3mlシリンジに2mlのフィブリノーゲンを充填し、22ゲージの針が装着された第2の1mlシリンジに0.3mlのトロンビンを充填した。両シリンジの内容物を各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、金型を30秒間にわたって液体窒素の上部に配置し、次いで、凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、それらを以下に記載するように凍結乾燥し、以下に記載するようにEVPAおよび接着性アッセイを用いて性能試験を行った。
【0133】
(実施例9)
裏当て材料を2.4×2.4cmのPVC金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。3グラムのフィブリノーゲン(Sigma(商標)Lot#F−3879)を含むバイアルを−20℃のフリーザーから取り出し、18時間にわたって4℃で配置した。次いで、ボトルをフリーザーから取り出し、60分間にわたって室温に戻した。ボトルに対して、37℃の水を60ml添加し、37℃で15分間混合させた。溶液になると、フィブリノーゲンを不完全フィブリノーゲン緩衝材(HSAおよびTween(商標)を含まないCFBであるIFB)に対して室温で4時間透析した。4時間の終了時に、HSAを全タンパク質1g当たり80mgの濃度まで添加し、Tween(商標)80(動物源)を全タンパク質1g当たり15mgの濃度まで添加した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。次いで、フィブリノーゲン濃度をCFBで37.5mg/mに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。混合前の624、62.4、31.2、20.8および15.6単位/mlのトロンビンに対応するフィブリノーゲン1mg当たり2.5、0.25、0.125、0.083および0.0625単位の量を(混合すると)送達するように、CTBを用いてトロンビン濃度を調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃のフリーザーから取り出し、ドライアイス上で予備冷却されたアルミニウム板に配置した。18ゲージの針が装着された3mlシリンジに2mlのフィブリノーゲンを充填し、22ゲージの針が装着された第2の1mlシリンジに0.3mlのトロンビンを充填した。両シリンジの内容物を各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、金型を30秒間にわたって液体窒素の上部に配置し、次いで、凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、それらを以下に記載するように凍結乾燥し、以下に記載するようにEVPAおよび接着性アッセイを用いて性能試験を行った。
【0134】
(実施例10)
裏当て材料を2.4×2.4cmのPVC金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。PETGプラスチックの第2の部分を金型の上部に装着するように切断し、金型の各端部に位置するクリップによって所定の位置に保持して、閉鎖金型を製造した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。フィブリノーゲン(ERLロット3060)をCFBで処方した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。CFBを使用して、フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。(混合前の)624、62.4、31.2、20.8および15.6単位/mlのトロンビンに対応するフィブリノーゲン1mg当たり2.5、0.25、0.125、0.083および0.062の量を(混合後に)送達するように、CTBを用いてトロンビン濃度を調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃のフリーザーから取り出し、ドライアイス上で予備冷却されたアルミニウム板に配置した。18ゲージの針が装着された3mlシリンジに2mlのフィブリノーゲンを充填し、22ゲージの針が装着された第2の1mlシリンジに0.3mlのトロンビンを充填した。両シリンジの内容物を各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、金型を30秒間にわたって液体窒素の上部に配置し、次いで、凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、それらを以下に記載するように凍結乾燥し、以下に記載するようにEVPAおよび接着性アッセイを用いて性能試験を行った。
【0135】
(実施例11)
裏当て材料各2.4×2.4cmのPVC金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。PETGプラスチックの第2の部分を2.4×2.4金型の上部に装着するように切断し、金型の各端部に位置するクリップの使用によって所定の位置に保持して、閉鎖金型を作製した。次いで、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。3グラムのフィブリノーゲン(Sigma(商標)Lot#F−3879)を含むバイアルを−20℃のフリーザーから取り出し、18時間にわたって4℃で配置した。次いで、ボトルをフリーザーから取り出し、60分間にわたって室温に戻した。ボトルに対して、37℃の水を60ml添加し、37℃で15分間混合させた。溶液になると、フィブリノーゲンをIFBに対して室温で4時間透析した。4時間の終了時に、HSAを全タンパク質1g当たり80mgの濃度まで添加し、Tween(商標)80(動物源)を全タンパク質1g当たり15mgの濃度まで添加した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。CFBを用いて、フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。(混合前の)624、62.4、31.2、24.96および20.79単位/mlのトロンビンに対応するフィブリノーゲン1mg当たり2.5、0.25、0.125、0.1および0.083単位の量を(混合すると)送達するように、トロンビン濃度を調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃のフリーザーから取り出し、ドライアイス上で予備冷却されたアルミニウム板に配置した。18ゲージの針が装着された3mlシリンジに2mlのフィブリノーゲンを充填し、22ゲージの針が装着された第2の1mlシリンジに0.3mlのトロンビンを充填した。両シリンジの内容物を各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、金型を30秒間にわたって液体窒素の上部に配置し、次いで、凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、それらを以下に記載するように凍結乾燥し、以下に記載するようにEVPAおよび接着性アッセイを用いて性能試験を行った。
【0136】
(実施例12)
裏当て材料を2.4×2.4cmのPVC金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。PETGプラスチックの第2の部分を金型の上部に装着するように切断し、金型の各端部に位置するクリップの使用によって所定の位置に保持して、閉鎖金型を作製した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。
【0137】
3グラムのフィブリノーゲン(Sigma(商標)Lot#F−3879)を含むバイアルを−20℃のフリーザーから取り出し、18時間にわたって4℃で配置した。次いで、ボトルを60分間にわたって室温に戻した。ボトルに対して、37℃の水を60ml添加し、37℃で20分間混合させた。溶液になると、フィブリノーゲンをIFBに対して室温で4時間透析した。4時間の終了時に、ヒト血清アルブミン(HSA)を全タンパク質1g当たり80mgの濃度まで添加し、Tween(商標)80(動物源)を全タンパク質1g当たり15mgの濃度まで添加した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。CFBを用いて、フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。
【0138】
トロンビンをCTBで処方した。トロンビンの最終pHは、7.4±0.1であった。(混合前の)624、62.4、31.2、20.8および15.6単位/mlのトロンビンに対応するフィブリノーゲン1mg当たり2.5、0.25、0.125、0.08および0.06単位の量を(混合後に)送達するように、トロンビンを調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃±2℃であった。金型を−80℃のフリーザーから取り出し、ドライアイス上で予備冷却されたアルミニウム板に配置した。18ゲージの針が装着された3mlシリンジに2mlのフィブリノーゲンを充填し、22ゲージの針が装着された第2の1mlシリンジに0.3mlのトロンビンを充填した。両シリンジの内容物を各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、金型を30秒間にわたって液体窒素の上部に配置し、次いで、凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。次いで、それらを以下に記載するように凍結乾燥し、以下に記載するようにEVPAおよび接着性アッセイを用いて性能試験を行った。
【0139】
三層(サンドウィッチ)包帯材
上記の単層包帯材を製造するのに利用したのと同じフィブリノーゲンおよびトロンビン源を使用して、特許文献1に記載されている方法を用いて三層包帯材を製造した。
【0140】
結果
EVPAおよび接着性アッセイの結果をそれぞれ図4(A)および(B)に示す。
【0141】
結論(実施例6〜12)
フィブリノーゲン1mg当たり2.5から0.025単位のトロンビンで製造した包帯材は、いずれのアッセイにおいても活性であったのに対して、フィブリノーゲンに対するトロンビンの割合がより大きいかまたは小さい包帯材は、活性ではなかった。フィブリノーゲン1mg当たり2.5から0.05単位の範囲のトロンビンに有意により大きな活性が見られた。フィブリノーゲン1mg当たり0.25から0.062単位の範囲のトロンビンにより大きな性能の向上が見られたが、フィブリノーゲン1mg当たり0.125から0.08単位の範囲のトロンビンに最適な性能が見られた。これは、フィブリノーゲン1mg当たり12.5単位のトロンビンで十分な性能に達し、トロンビン濃度がフィブリノーゲン1mg当たり12.5単位のトロンビン未満に低下すると許容し得ない性能になり、フィブリノーゲン1mg当たり1.4のトロンビン単位で実質的に活性がなくなる特許文献1に記載の方法を用いて製造された包帯材と対照的であった。特許文献1の三層包帯材の性能が、少量のトロンビンを使用することによって低下するのに対して、本明細書に記載の包帯材がこの範囲で高い活性を示したことを考慮すれば、性能の限界値および最適値の双方のこの差は、甚大である。
【0142】
(実施例13)
裏当て材料を切断し、各2.4×2.4cmのPETG金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。Enzyme Research Laboratories(ERL)フィブリノーゲンロット3114をCFBで処方した。加えて、HSAを全タンパク質1g当たり80mgまで添加し、Tween80(動物源)を全タンパク質1g当たり15mgまで添加した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4±0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。調製すると、フィブリノーゲンを使用するまで氷上に配置した。150mM塩化ナトリウム、40mM塩化カルシウム、10mMトリスおよび100mMのL−リシンに100μl/mLのヒト血清アルブミンを添加してトロンビンを処方した。トロンビンの最終pHは、7.4+/−0.1であった。フィブリノーゲン1mg当たり0.1単位または25単位/mlのトロンビンを送達するように、トロンビンを調整した。調製すると、トロンビンを使用するまで氷上に配置した。分配前のフィブリノーゲンおよびトロンビンの温度は、4℃+/−2℃であった。金型を−80℃のフリーザーから取り出し、ドライアイス上に配置されたアルミニウム板に配置した。反復ピペッターにフィブリノーゲンを充填し、第2の反復ピペッターにトロンビンを充填した。2mlのフィブリノーゲンおよび300マイクロリットルのトロンビンを各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、それらを凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。1日目に1グループの包帯材を凍結乾燥し、残りを−80℃に維持した。7日目に第2のグループの包帯材を凍結乾燥し、14日目に第3のグループを凍結乾燥した。
【0143】
すべての包帯材を凍結乾燥すると、本明細書に記載のEVPA、接着性および重量アッセイを用いてそれらの試験を行った。
【0144】
結果:
【0145】
【表9】

【0146】
結論:
十分に混合、凍結されたフィブリノーゲンおよびトロンビンの組成物は、7日間および14日間にわたって安定性および機能性を維持し、それらの性能に明らかな低下はなかった。より長く保管しても、同様の結果がもたらされることが期待される。これらの結果を図5(A)および(B)にグラフで示す。
【0147】
(実施例14)
裏当て材料を切断し、各2.4×2.4cmのPETG金型内に配置した。25マイクロリットルの2%スクロースを裏当て材料の4隅の各々の上部にピペットで添加した。完了すると、金型を少なくとも60分間にわたって−80℃のフリーザーに配置した。
【0148】
包帯材グループ1(アルブミンなし、Tween80なし):Enzyme Research Laboratories(ERL)フィブリノーゲンロット3130を100mM塩化ナトリウム、1.1mM塩化カルシウム、10mMトリス、10mMクエン酸ナトリウムおよび1.5%スクロースで処方した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4+/−0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。
【0149】
包帯材グループ2(アルブミンなし、Tween80):ERLフィブリノーゲンを100mM塩化ナトリウム、1.1mM塩化カルシウム、10mMトリス、10mMクエン酸ナトリウムおよび1.5%スクロースで処方した。Tween80(動物源)を全タンパク質1g当たり15mgまで添加した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4+/−0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。
【0150】
包帯材グループ3(アルブミン、Tween80なし):ERLフィブリノーゲンを100mM塩化ナトリウム、1.1mM塩化カルシウム、10mMトリス、10mMクエン酸ナトリウムおよび1.5%スクロースで処方した。HSAを全タンパク質1g当たり80mgまで添加した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4+/−0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。
【0151】
包帯材グループ4(アルブミン、Tween80):ERLフィブリノーゲンを100mM塩化ナトリウム、1.1mM塩化カルシウム、10mMトリス、10mMクエン酸ナトリウムおよび1.5%スクロース(フィブリノーゲン完全緩衝材)で処方した。また、HSAを全タンパク質1g当たり80mgまで添加し、Tween80(動物源)を全タンパク質1g当たり15mgまで添加した。フィブリノーゲンの最終pHは、7.4+/−0.1であった。フィブリノーゲン濃度を37.5mg/mlに調整した。
【0152】
調製すると、フィブリノーゲン溶液を使用するまで氷上に配置した。
【0153】
トロンビンを150mM塩化ナトリウム、40mM塩化カルシウム、10mMトリスおよび100mMのL−リシンで処方し、HSAを100μg/mlの濃度で添加した。トロンビンの最終pHは、7.4+/−0.1であった。フィブリノーゲン1mg当たり0.1単位または25単位/mlのトロンビンを送達するようにトロンビンを調整した。
【0154】
調製すると、トロンビン溶液を使用するまで氷上に配置した。
【0155】
分配前のフィブリノーゲン溶液およびトロンビン溶液の温度は、4℃+/−2℃であった。金型を−80℃のフリーザーから取り出し、ドライアイス上に配置されたアルミニウム板に配置した。反復ピペッターにフィブリノーゲン溶液を充填し、第2の反復ピペッターにトロンビン溶液を充填した。2mlのフィブリノーゲン溶液および300マイクロリットルのトロンビン溶液を各金型内に同時に分配した。金型を満たすと、それらを凍結乾燥器内に配置する前に少なくとも2時間にわたって−80℃のフリーザーに戻した。
【0156】
結果:
【0157】
【表10】

【0158】
結論:
それらの結果は、アルブミンの添加により包帯材性能が向上したことを示している。Tweenを添加することにより、性能がさらに向上した。両方を組み合わせると、最良の性能が得られた。
【0159】
EVPA性能試験
装置および供給材料:
・インライン高圧変換器(Ashcroft Duralife(商標)または同等物)
・蠕動ポンプ(Pharmacia Biotech(商標)、Model P−1または同等物)
・電圧計(Craftsman(商標)Professional Model 82324または同等物)
・圧力または電圧情報を記録するためのソフトウェアを備えたコンピュータ
・付属片を備えたTygon(商標)管(サイズ別)
・予め37℃に設定された水槽(Baxter Durabath(商標))
・予め37℃に設定されたインキュベーションチャンバ(VWR(商標)、Model 1400Gまたは同等物)
・水槽およびオーブンの両方の温度を監視するための温度計
・種類別鉗子、止血剤およびハサミ
・中央に約0.6cmの穴をあけ、シリンジおよびプランジャーの両方により小さい穴をあけた10ccおよび20ccシリンジ。シリンジの端部まであけられた穴は、プランジャーを引き戻し、固定するのに使用されることになる。
・O−リング(サイズ10および13)
・10ccおよび20ccのシリンジに装着するプラスチック遮蔽材(長さが約3.5cm)
・先端付P−1000 Pipetman(商標)
・新生児サイズのカフおよびブラダーを有する血圧計
・所望の圧力プロファイルを維持するようにポンプを制御するプログラム式論理制御装置(PLC)(オプション。所望により手動制御を用いることもできる)
【0160】
1.材料および化学物質
・ブタ下行大動脈(Pel−Freez Biologicals(商標)、カタログ#59402−2または同等物)
・シアノアクリレート接着剤(Vetbond(商標)、3Mまたは同等物)
・18ゲージ針(複数可)
・37℃に維持された0.9%生理食塩水
・赤色食品着色料
・血管穿孔機(複数可)、2.8mm他
・プラスチックラップ
【0161】
2.動脈洗浄および保管
1.使用するまで動脈を−20℃で保管する。
2.H2O槽にて37℃で動脈を解凍する。
3.動脈の外面の脂肪および結合組織を洗浄する。
4.動脈を切断して、5cm以下の断片にする。
5.動脈を−20℃に再凍結し、使用するまで保管することができる。
【0162】
3.アッセイのための動脈処理
1.動脈を、滑らかな内壁が外側を向くように裏返しにする。
2.サイズ13のO−リングを伸ばして20ccシリンジに被せ、またはサイズ10のO−リングを伸ばして10ccシリンジに被せて、一方の側に約0.6cm(0.25インチ)の穴をあける。
3.動脈を引き裂かないように、または嵌りが緩くなりすぎないように注意して、動脈をシリンジ上に引っ張る。動脈がシリンジにぴったりと嵌っているものとする。同じ大きさの別のO−リングをシリンジの底面の上に滑らせる。
4.両O−リングを慎重に引っ張って動脈の末端に被せる。O−リング間の距離は、少なくとも3.5cmとする。
5.動脈の表面を粗面化するために、いくつかの外科用ハサミを使用して、動脈の表面を静かに擦る。
6.18ゲージの針を使用して、シリンジの円筒の穴の部位を覆う動脈に穴をあける(上記注を参照)。
7.生検穿孔機の先端を動脈の穴に挿入する。穿孔機のプランジャーを押し下げて、動脈に開口を設ける。2回繰り返して、穴があいており、結合組織がないことを確認する。
8.付随的な動脈によって穴を繕う。一般には、これは、ラテックス手袋から当て布を切断し、それをシアノアクリレート接着剤で穴上に接着する。接着剤を少なくとも10分間硬化させる。
9.加温、加湿された容器に動脈を入れ、それをインキュベーションチャンバに入れる。動脈を少なくとも30分間にわたって加温させる。
【0163】
4.溶液および装置の準備
1.水槽およびインキュベーションチャンバが29〜33℃に維持されていることを確認する。
2.当日のアッセイを完了するのに十分な0.9%生理食塩水がポンプの液溜に存在していることを確認する。必要に応じてそれ以上を追加する。
3.アッセイを実施する前に溶液が加温されるように、0.9%生理食塩水および0.9%生理食塩水を数滴の赤色食品着色料とともに水槽内の容器内に加える。
4.KimWipes(商標)で裏打ちし、少量の水を添加して、動脈を濡れた状態に維持することによって、インキュベーションチャンバ内の動脈を加温するための容器を処理する。
5.管を気泡について検査する。気泡が存在する場合は、ポンプをオンにし、すべての気泡が除去されるまで0.9%食塩水を流す。
【0164】
5.包帯材の貼付
1.止血包帯材パウチを開き、止血包帯材を取り出す。
2.メッシュ裏当て側を上にして、止血包帯材を動脈の穴に被せるように配置する。
3.試験対象物に応じた量の生理食塩水で止血包帯材を徐々に濡らす。
注:標準(フィブリノーゲン13〜15mg/cm2)の2.4×2.4cm止血包帯材を800μlの生理食塩水または他の血液代用物で濡らす必要がある。使用する生理食塩水の量を、実施される具体的な実験の要件に応じて調整することができる。しかし、あらゆる変化をデータ収集用紙に記録すべきである。
注:生理食塩水が縁から流出しないように注意して、29〜33℃に加温された0.9%生理食塩水または他の血液代用物を一滴ずつ添加して止血包帯材を濡らす。正の対照との濡れ特性の差をすべてデータ収集用紙に記録すべきである。
4.遮蔽材を、O−リング間で平らになるように注意して、止血包帯材上に静かに配置する。軽く押して、所定位置に固定する。
5.動脈および止血包帯材にプラスチックラップを巻きつける。
6.ブラダーが止血包帯材に隣接するように注意して、血圧カフを巻きつける。
7.ブラダーを100〜120mmHgまで加圧し、圧力を監視し、100mmHgを下回った場合には再び加圧する。圧力を5分間維持する。
注:時間および圧力を実験の要件に応じて変更することができる。標準的な状態からの変化をデータ収集用紙に記録すべきである。
8.重合後、動脈を慎重に解き、止血包帯材の状態を記録する。正の対照とのあらゆる違いをデータ収集用紙に記録すべきである。
排除基準:メッシュ裏当ては、動脈の穴の上に維持されていなければならない。重合中にずれ、完全に穴を覆わなくなった場合は、その止血包帯材を排除しなければならない。
【0165】
試験手順
1.試験装置構成の図
試験装置の構成を図2に示す。システム内の圧力の読取り(圧力ゲージ)または制御を行うためのいくつかの追加的な不図示の片を利用してもよい。
【0166】
2.装置および動脈のアセンブリー
シリンジおよび動脈内の気泡の量を最小限にするように注意して、37℃に加温された赤色の0.9%生理食塩水を動脈およびシリンジに充填する。開口を最上にして動脈に充填することで、これを容易にすることができる。管内の気泡ができるだけ少なくなるようにして、動脈およびシリンジを試験装置に装着する。約3ml/分の量を送達するように、蠕動ポンプを較正すべきである。有効であれば、PLCを所定の範囲の圧力および試験対象物に応じた保持時間に従って動作させるべきである。手動制御下である場合は、システムの1つまたは複数の圧力読取り片によって読み取られたシステム圧力を参照しながら、ポンプを手動でオン・オフすることによって、遵守すべき圧力/時間プロファイルを達成する。試験の結論に従って、止血包帯材を動脈に対する接着性および動脈穴におけるプラグの形成に関して主観的に評価する。正の対照とのあらゆる違いをデータ収集用紙に記録すべきである。
【0167】
合格基準
3分間にわたって圧力に耐えることが可能な止血包帯材は、アッセイに合格したものと見なされる。止血包帯材がアッセイに成功裡に合格した場合は、試験が終了してから動脈に生じる圧力の自然低下がグラフ上に含まれないように、データ収集をすぐに停止すべきである。オペレータがデータ収集の停止に失敗した場合は、これらの点をデータファイルから削除して、試験後に生じる自然の圧力低下を実際の包帯材の欠陥と混同するのを回避することができる。止血包帯材の貼付から完了までの全試験時間は、予め設定した基準内になければならない。達した最高圧力はデータ収集用紙に記録すべきである。
注:典型的な課題は、1工程において3分間にわたって250mmHgとすることであるが、それを試験対象物に基づいて変更することができる。標準的な手順の変更点をデータ収集用紙に記録すべきである。
【0168】
不合格基準
試験中のいずれかの時点で生理食塩水の漏れを生じさせた止血包帯材は、アッセイに不合格であったと見なされる。
注:(全試験時間が、設定された上限を超えない限り)動脈膨張によって引き起こされる構造欠陥を無視し、試験を継続または再開することができる。
【0169】
漏れが生じたときは、その欠陥がグラフ上で容易に観察されるように、データ収集を停止する前に圧力を20mmHg以下に低下させるべきである。漏れが生じた際の圧力をデータ収集用紙に記録すべきである。装置の故障により実験の途中でデータ収集が停止した場合は、試験の終了または止血包帯材の機能停止のいずれか早い方の時点まで5分間隔でデータを手で収集することができる。それらのデータ点をデータ収集用紙の裏に記録し、明確に表示し、データ表に手入力すべきである。
【0170】
排除基準
全試験時間が、その手順に対して許容される最大時間を超えた場合は、原因にかかわらず、結果を排除しなければならない。パッチングまたは指圧によって固定できない不随物からの漏れが存在する場合は、結果を排除しなければならない。O−リングでの漏れにより試験が失敗した場合は、結果を排除しなければならない。メッシュ裏当てが動脈の穴を完全に覆わない場合は、結果を排除しなければならない。
【0171】
接着性性能試験
1.装置および供給材料
止血剤、ブタ動脈および止血包帯材(通常はEVPAアッセイの完了後に実施するが、接着性アッセイを行うために実施する必要はない)。
【0172】
I.動脈+包帯材の処理
EVPAアッセイを完了せずに包帯材を貼付した後は、包帯材は、接着性アッセイおよび重量限界試験(有効な場合)が可能な状態にある。包帯材を塗布し、続いてEVPA分析を行った後に、溶液がどこにも飛び散らないように、動脈およびシリンジシステムを徐々にポンプから分離する。EVPAアッセイによる加温された赤色生理食塩水は、接着性アッセイおよび重量限界試験(有効な場合)が完了するまでシリンジ内に残留する。
【0173】
接着性アッセイの実施
1.(EVPA分析を伴う、または伴わない)動脈および止血剤の処理後に、メッシュの角を引き上げ、既知の質量の止血剤をその角に塗布する。
注:EVPAアッセイの実施中に流路の漏れが生じた場合は、止血包帯材の反対側の接着性を試験して、全体的な接着性のより正確な評価結果を得る。
【0174】
2.止血剤を落下または捩れさせないように注意して、止血剤を静かに分離させる。止血剤が上部付近にくるようにシリンジを回転させ、包帯材が許す程度まで止血剤に包帯材を剥離させる。これは通常10秒以内で行われる。止血剤が包帯材の剥離を停止した後に、以下のスケールに従って包帯の接着性を評価する。
【0175】
【表11】

【0176】
排除基準
メッシュ裏当ては、動脈の穴の上に維持されていなければならない。重合中にずれて、穴を完全に覆わなくなった場合は、その止血包帯材を排除しなければならない。
【0177】
合格基準
接着性スコアが3の包帯材は、アッセイに合格したものと見なされる。
【0178】
不合格基準
包帯材が、貼付後および/またはEVPAアッセイの実施前に動脈に接着しない場合は、0のスコアが与えられ、接着性試験に不合格となる。2以下のスコアが与えられた場合は、その包帯材は、接着性アッセイに不合格であったと見なされる。
【0179】
保持重量性能アッセイ
「接着性試験」の初期スコアリングの後に、メッシュ裏当てが動脈から全面的に引き離されるまで、重量を止血剤に漸進的に付加することができる。次いで、包帯材が保持する最大重量を、包帯材が動脈への接着を保持し得る重量の測度として記録する。
【0180】
水分アッセイ
ブリンクマン・メトローム・モイスチャ・アナライザ・システムを使用して、水分測定を実施した。該システムは、個々の構成要素、すなわち774オーブンサンプルプロセッサ、774SCコントローラ、836チトランド、5mlおよび50ml800ドシノユニットおよび801スターラを含む。データ収集、分析および記憶のためのブリンクマン・チアモソフトウェアを使用して、該システムをコンピュータに接続した。カールフィッシャー法を用いて凍結乾燥サンプルの水分含有量を測定するための製造元の推奨および仕様に従って、モイスチャシステムをセットアップし、実行する。
【0181】
すべての構成要素をオンにし、使用する前に動作温度にした。標準として、かつ計測器を較正するために、ラクトースおよび水を流した。装置を成功裡に較正すると、サンプルを以下のように調製した。少なくとも30mgの重量の包帯材断片をバイアルに入れ、キャップした。バイアルを番号順に774オーブンサンプルプロセッサに配置し、1つの空の密閉バイアルを調湿空間に配置する。次いで、装置を動作させて、対照およびサンプルにおける水分含有量(残留水分)を測定した。
【0182】
SDS−PAGEゲル電気泳動
各包帯材を1/4インチの約50mgの断片に切断し、次いで断片を15mLの円錐管内に配置する。製造対照(すなわち時間0)については、1.0mLのオクダ溶解溶液(10Mの尿素、0.1%硫酸ドデシルナトリウム、0.1%のβ−メルカプトエタノール)を添加する。残留する3つの断片について、80μLの0.9%生理食塩水を添加して、包帯材を濡らす。次いで、それらの断片を37℃で2、5および10分間または所望の時間にわたってインキュベートする。所望の時点で反応を停止するために、1.0mLのオクダ溶解溶液を添加する。次いで、サンプルを室温で一晩インキュベートし、次いで70℃で30分間インキュベートする。
【0183】
ゲル上への充填のためのサンプルを調製するために、オクダ溶解溶液に既に溶解したサンプルを、20μLアリコットが10μgを含むようにサンプル緩衝材に添加した。次いで、1μLの0.1Mジチオスレイトールを各サンプルに添加した。次いで、20μLの各希釈サンプルを1.0mm厚、10ウェルの8%トリス−グリシンゲル(Invitrogen)上に充填する。次いで、ダイ前面がゲルの端部に達するまで140Vでゲルを流した。次いで、それらを取り除き、少なくとも1時間にわたって振盪台上のクマシーブルー染色材(50v/v%メタノール、0.25w/v%クマシーブリリアントブルー、ddH2O中10w/v%酢酸)中に入れた。次いで、バックグラウンドがほぼ無色になるまでゲルを振盪台上の脱染溶液(25%メタノール、10%酢酸、65%ddH2O)に移す。
【0184】
脱染後、ゲルを走査し、生じた変換の量を測定するためにγ−γ二量体バンドならびにAαおよびBβバンドをシオン濃度測定ソフトウェアによって分析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における創傷組織を治療するための固体包帯材であって、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体から本質的になる少なくとも1つの止血層を含み、前記止血層は、前記フィブリノーゲン構成要素および前記フィブリノーゲン活性体を含有する単一の水溶液から形成されることを特徴とする固体包帯材。
【請求項2】
哺乳動物における創傷組織を治療するための固体包帯材であって、フィブリノーゲン構成要素およびフィブリノーゲン活性体から本質的になる少なくとも1つの止血層を含み、前記止血層は、単一片として注型されることを特徴とする固体包帯材。
【請求項3】
少なくとも1つの支持層をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項4】
前記支持層は、裏当て材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の固体包帯材。
【請求項5】
前記支持層は、内部支持材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の固体包帯材。
【請求項6】
前記支持層は、吸収性材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の固体包帯材。
【請求項7】
前記支持層は、非吸収性材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の固体包帯材。
【請求項8】
前記非吸収性材料は、シリコーンポリマー、紙、ガーゼおよびラテックスからなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の固体包帯材。
【請求項9】
前記止血層と前記裏当て層の間に少なくとも生理的に許容し得る接着剤をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の固体包帯材。
【請求項10】
前記吸収性材料は、タンパク質材料および炭水化物物質からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の固体包帯材。
【請求項11】
前記タンパク質材料は、ケラチン、絹、フィブリン、コラーゲンおよびゼラチンからなる群から選択される少なくとも1つの物質であることを特徴とする請求項10に記載の固体包帯材。
【請求項12】
前記炭水化物基質は、アルギン酸およびその塩、キチン、キトサン、セルロース、n−アセチルグルコサミン、プロテオグリカン、グリコール酸ポリマー、乳酸ポリマー、グリコール酸/乳酸共重合体ならびにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の固体包帯材。
【請求項13】
前記止血層は、フィブリン架橋材および/またはカルシウムイオン源も含むことを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項14】
前記止血層は、少なくとも1つの充填剤;少なくとも1つの可溶化剤;少なくとも1つの発泡剤;および少なくとも1つの離型剤のうちの1つまたは複数も含むことを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項15】
前記充填剤は、スクロース、ラクトース、マルトース、ケラチン、絹、フィブリン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ポリソルベート、キチン、キトサン、アルギン酸およびその塩、セルロース、プロテオグリカン、グリコール酸ポリマー、乳酸ポリマー、グリコール酸/乳酸共重合体ならびにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の固体包帯材。
【請求項16】
前記可溶化剤は、スクロース、ラクトース、マルトース、デキストロース、マンノース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、アルブミン、ソルベート、ポリソルベートおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の固体包帯材。
【請求項17】
前記離型剤は、ゼラチン、マンニトール、ソルビトール、ポリソルベート、ソルビタン、ラクトース、マルトース、トレハロース、ソルベート、グルコースおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の固体包帯材。
【請求項18】
前記発泡剤は、重炭酸ナトリウム/クエン酸、重炭酸ナトリウム/酢酸、炭酸カルシウム/クエン酸および炭酸カルシウム/酢酸の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の固体包帯材。
【請求項19】
前記止血層は、抗生物質、抗凝血材、ステロイド、心臓血管薬、成長因子、抗体(ポリおよびモノ)、化学吸引物質、麻酔薬、抗増殖/抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、サイトカイン、コロニー刺激因子、抗真菌薬、駆虫薬、抗炎症薬、防腐材、ホルモン、ビタミン、糖タンパク質、フィブロネクチン、ペプチド、タンパク質、炭水化物、プロテオグリカン、抗血管形成材、抗原、ヌクレオチド、脂質、リポソーム、線維素分解阻害薬および遺伝子治療薬からなる群から選択される少なくとも1つの治療補給物も含むことを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項20】
前記治療補給物は、フィブリンへのその溶解限度以上の量で存在することを特徴とする請求項19に記載の固体包帯材。
【請求項21】
前記止血層は、前記支持層に対する前記止血層の接着性を向上させるのに有効な量の少なくとも1つの結着剤をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の固体包帯材。
【請求項22】
前記結着剤は、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ゼラチン、マルトース、ポビドン、キトサンおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の固体包帯材。
【請求項23】
前記止血層は、全体を通じて実質的に均質であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項24】
前記止血層は、単層であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項25】
前記止血層は、凍結乾燥されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項26】
前記止血層は、少なくとも6%の水分含有量を有することを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項27】
前記止血層は、6%未満の水分含有量を有することを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項28】
前記フィブリノーゲン構成要素は、哺乳動物フィブリノーゲンであることを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項29】
前記哺乳動物フィブリノーゲンは、ウシフィブリノーゲン、ブタフィブリノーゲン、ヒツジフィブリノーゲン、ウマフィブリノーゲン、ヤギフィブリノーゲン、ネコフィブリノーゲン、イヌフィブリノーゲン、マウスフィブリノーゲンおよびヒトフィブリノーゲンからなる群から選択されることを特徴とする請求項28に記載の固体包帯材。
【請求項30】
前記フィブリノーゲン構成要素は、鳥類フィブリノーゲンおよび魚類フィブリノーゲンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項31】
前記フィブリノーゲン構成要素は、ヒトフィブリノーゲン、ヒトフィブリンI、ヒトフィブリンII、ヒトフィブリノーゲンα鎖、ヒトフィブリノーゲンβ鎖、ヒトフィブリノーゲンγ鎖およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項32】
前記フィブリノーゲンは、組換え製造フィブリノーゲンおよび形質転換フィブリノーゲンからなる群から選択されることを特徴とする請求項28、30または31に記載の固体包帯材。
【請求項33】
前記哺乳動物フィブリノーゲンは、前記包帯材の傷に直面する面の表面積1cm2当たり1.5mgから前記包帯材の傷に直面する面の表面積1cm2当たり13.0mgの量で存在することを特徴とする請求項28に記載の固体包帯材。
【請求項34】
前記フィブリノーゲン活性体は、トロンビン、プロトロンビン、蛇毒およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の固体包帯材。
【請求項35】
前記トロンビンは、哺乳動物トロンビンであることを特徴とする請求項34に記載の固体包帯材。
【請求項36】
前記哺乳動物トロンビンは、ウシトロンビン、ブタトロンビン、ヒツジトロンビン、ウマトロンビン、ヤギトロンビン、ネコトロンビン、イヌトロンビン、マウストロンビンおよびヒトトロンビンからなる群から選択されることを特徴とする請求項35に記載の固体包帯材。
【請求項37】
前記トロンビンは、鳥類トロンビンおよび魚類トロンビンからなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の固体包帯材。
【請求項38】
前記トロンビンは、組換え製造トロンビンおよび形質転換トロンビンからなる群から選択されることを特徴とする請求項35または37に記載の固体包帯材。
【請求項39】
前記トロンビンは、前記フィブリノーゲン構成要素1mg当たり2.50単位から前記フィブリノーゲン構成要素1mg当たり0.025単位の量で存在することを特徴とする請求項34に記載の固体包帯材。
【請求項40】
哺乳動物における創傷組織を治療する方法であって、請求項1または2の固体包帯材を前記創傷組織に配置し、血液および/または他の液体の前記創傷組織からの損失を抑えるのに十分なフィブリンが形成されるように十分な時間にわたって十分な圧力を前記包帯材に加えることを含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
フィブリノーゲン構成要素とフィブリノーゲン活性体と水との混合物から本質的になる物質の組成物であって、前記混合物は、凍結され、少なくとも24時間にわたって0℃未満の温度で安定することを特徴とする組成物。
【請求項42】
少なくとも1つの結着剤;少なくとも1つの充填剤;少なくとも1つの可溶化剤;少なくとも1つの発泡剤;および少なくとも1つの離型剤も含むことを特徴とする請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
抗生物質、抗凝血材、ステロイド、心臓血管薬、成長因子、抗体(ポリおよびモノ)、化学吸引物質、麻酔薬、抗増殖/抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、サイトカイン、コロニー刺激因子、抗真菌薬、駆虫薬、抗炎症薬、防腐材、ホルモン、ビタミン、糖タンパク質、フィブロネクチン、ペプチド、タンパク質、炭水化物、プロテオグリカン、抗血管形成材、抗原、ヌクレオチド、脂質、リポソーム、線維素分解阻害薬および遺伝子治療薬からなる群から選択される少なくとも1つの治療補給物も含むことを特徴とする請求項41に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−545422(P2009−545422A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523808(P2009−523808)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/017473
【国際公開番号】WO2008/019127
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509035060)エスティービー ライフセービング テクノロジーズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】