説明

力率改善回路

【課題】PFC制御回路による同期整流を容易で、かつ、安定的に実現させる。
【解決手段】PFC制御回路105がMOSFET103をオンにするように指示したとき、MOSFET104は同期してオフとされるの対して、そのタイミングから所定時間だけ遅延してMOSFET103はオンされる。また、PFC制御回路105がMOSFET103をオフにするように指示したとき、MOSFET103は同期してオフとされるの対して、MOSFET103のソース−ドレイン間電圧が充分な電圧となるまでの所定時間だけ遅延してMOSFET104がオンされる。本発明は、同期整流回路に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力率改善回路に関し、特に、PFC回路による同期整流を容易で、かつ、安定的に実現できるようにした力率改善回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スイッチング電源において、入力電流の実効値を減らす方法として、力率改善回路が知られている。
【0003】
図1は、従来の力率改善回路の構成を示している。
【0004】
力率改善回路は、入力端子1a,1b、ダイオードブリッジ11、コンデンサ12、昇圧回路13、コンデンサ14、および出力端子2a,2bより構成されている。力率改善回路は、主に入力端子1a,1bより供給される交流電源をダイオードブリッジ11により整流して直流電源に変換すると共に、昇圧回路13により昇圧しつつ、高周波スイッチングにより、電圧波形に対して相似形の電流波形を形成し、力率を改善して出力端子2a,2bより昇圧した電圧を出力する。
【0005】
ダイオードブリッジ11は、端子1a,1bより供給される交流電源を整流して、昇圧回路13のインダクタ31方向の出力端子から出力する。ダイオードブリッジ11の出力端子は、インダクタ31の一方の端部、およびコンデンサ12の一方の端部に接続されている。インダクタ31は、一方の端部がダイオードブリッジ11の出力端子、およびコンデンサ12の一方の端部に接続され、他方の端部が、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)32のドレイン、およびダイオード33のアノードに接続されている。MOSFET32のドレインは、インダクタ31の他方の端部、およびダイオード33のアノードに接続されており、ソースは、接地されると共に出力端子2bに接続されており、ゲートは、PFC(Power Factor Control)制御回路34に接続されている。
【0006】
ダイオード33のアノードは、インダクタ31の他方の端部、およびMOSFET32のドレインに接続され、カソードは、コンデンサ14の一方の端部、および出力端子2aに接続されている。コンデンサ14の一方の端部は、ダイオード33のカソード、および出力端子2aに接続され、他方の端部は、接地されると共に出力端子2bに接続されている。
【0007】
昇圧回路13のPFC制御回路34は、高周波制御によりMOSFET32のオンまたはオフを制御して、インダクタ31を介して出力される電流波形をサイン波に近似する。
【0008】
次に、図1の力率改善回路の動作について説明する。
【0009】
ダイオードブリッジ11は、端子1a,1bより供給される交流電源を整流して、図2の最上段で示されるような直流電源とする。
【0010】
MOSFET32は、PFC制御回路34によりオン、またはオフが高周波制御され、図2の上から4段目で示されるように、電圧波形に対して、相似形となるような電流波形を生成し、出力端子2a,2bより出力する。この際、インダクタ31とダイオード33により電圧が昇圧される。
【0011】
すなわち、図1の力率改善回路は、入力電源の電圧を昇圧すると共に、入力電流の位相を電圧波形と相似の波形に成形することで力率を改善している。
【0012】
この力率改善回路においては、ダイオード33によりロス(電力損失)が発生することが知られている。
【0013】
ダイオードのロスは平均電流×ダイオードの順方向電圧(VF)で決まり、単純にダイオードの順方向電圧がより小さければダイオードのロスは低減させることができるが、半導体の構造上の問題から、ダイオードの順方向電圧の下限には限界があるとされている。
【0014】
そこで、従来より、ダイオードのロスを減らす事を目的として、同期整流が知られている。この技術はダイオードをMOSFETに置き換えることで、ロスを低減させる回路概念であり、単純に全てのダイオードに対して、同様の技術で可能に出来るものではない。
【0015】
同期整流に関しては、例えば、フォワード型のDC-DC(Direct Current-Direct Current)コンバータにおいて、トランスの補助巻き線を利用して、同期整流を実現する技術が提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−180386号公報
【特許文献2】特開平9−154276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、引用文献1に記載の技術の場合、PFCのコイルに補助巻き線を設け、同様に行うと安定したゲート電圧を供給できないのと同時に制御が困難となる。すなわち、力率改善回路の入力電圧は整流されているが、平滑されておらずサイン波となる。このため、力率改善回路のコイルに印加される電圧はAC入力電圧の位相によって変化するので、補助巻き線を設けたとしても、入力電圧の位相によって、補助巻き線の電圧が変化するため、制御を実現するには困難が伴う。
【0018】
また、引用文献2の技術の場合、理想素子であれば実現できるが、MOSFETには、ゲート-ソース間やゲート-ドレイン間に1000pF程度の入力容量が存在し、それぞれのゲート信号が同時にHighになってしまう瞬間があり、過大な貫通電流が流れ、スイッチング電源が破壊されてしまう可能性があった。
【0019】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、特に、PFC回路による同期整流を容易で、かつ、安定的に実現できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一側面の力率改善回路は、交流電圧を全波整流する全波整流回路と、前記全波整流回路により全波整流された出力に直列接続されたインダクタと、前記インダクタの出力とグランドとの間の接続、または非接続を切り替える第1のスイッチング手段と、前記インダクタの出力と直列に接続され、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のボディダイオード(MOSFETの構造上必ず内部に等価的に存在する寄生ダイオードの事である)のアノード側が前記インダクタの出力と、負荷との間の接続、または非接続を切り替える第2のスイッチング手段と、前記第1のスイッチング手段の動作を制御するオン信号またはオフ信号の出力信号を出力するPFC(Power Factor Control)制御回路と、前記PFC制御回路の出力信号が前記第1のスイッチング手段のオン信号である場合、前記PFC制御回路の出力信号が出力されてから所定時間遅延させた後、オン信号を出力し、前記PFC制御回路の出力信号が前記第1のスイッチング手段のオフ信号である場合、前記PFC制御回路の出力信号と同期して、オフ信号を出力する第1の制御回路と、前記第1の制御回路からのオン信号に基づいて、前記第1のスイッチング手段をオンに制御し、前記第1の制御回路からのオフ信号に基づいて、前記第1のスイッチング手段をオフに制御する第1のオンオフ制御回路と、前記PFC制御回路の出力信号と同期して、前記PFC制御回路がオン信号の場合、オフ信号を出力し、前記PFC制御回路がオフ信号の場合、オン信号を出力する第2の制御回路と、前記第2の制御回路からのオン信号に基づいて、前記第2のスイッチング手段をオンに制御し、前記第2の制御回路からのオフ信号に基づいて、前記第2のスイッチング手段をオフに制御する第2のオンオフ制御回路とを備える。
【0021】
前記第1のスイッチング手段には、Nch-MOSFETのドレインとインダクタとが接続されるようにすることができる。
【0022】
第2のスイッチング手段は、Nch-MOSFETとすることができる。
【0023】
前記第1の制御回路には、前記PFC制御回路の出力信号が前記第1のスイッチング手段のオン信号である場合、前記PFC制御回路の出力信号が出力されてから所定時間遅延させた後、オン信号を出力する、PFC制御回路の出力と、直列に接続された前記抵抗器をもうけるようにさせることができ、前記抵抗器の出力が、コンデンサを介してグランドと接続され、前記抵抗器と並列にダイオードが接続され、前記ダイオードのカソードがPFC制御回路の出力と接続され、前記コンデンサの充電電圧が所定の電圧より高くなったとき、前記オン信号を出力し、前記充電電圧が前記所定の電圧より低くなったとき、前記オフ信号を出力するようにすることができる。
【0024】
前記第1の制御回路には、前記コンデンサの充電電圧と、所定の電圧とを比較するコンパレータを設けるようにさせることができ、前記コンパレータの比較結果の出力と同期して、前記コンデンサの電圧が所定の電圧より高くなったとき、前記オン信号を出力し、前記電圧が前記所定の電圧より低くなったとき、前記オフ信号を出力させるようにすることができる。
【0025】
前記第1のスイッチング手段がオフした事を検知するオフ検知回路を更に設けるようにさせることができ、前記第2の制御回路には、前記オフ検知回路により前記第1のスイッチング手段がオフしたことが検知される場合、かつ、前記PFC制御回路から出力された出力信号がオフ信号である場合、オン信号を出力し、前記検知回路により前記第1のスイッチング手段がオフしたことが検知されない場合、または、前記PFC制御回路から出力された出力信号がオン信号である場合、オフ信号を出力させるようにすることができる。
【0026】
前記検知回路には、前記第1のスイッチング手段の両端の電圧が、所定の電圧よりも高いとき、前記第1のスイッチング手段がオフの状態となったことを検知させるようにすることができる。
【0027】
第2のスイッチング手段をオン状態にする出力電圧よりも高い電圧を生成するチャージポンプ回路を更にもうけるようにさせることができる。
【0028】
前記チャージポンプ回路には、前記PFC制御回路の供給電圧を基準に、ダイオードのアノードが接続され、カソードと前記インダクタの出力との間にコンデンサを接続することができる。
【0029】
本発明の一側面の力率改善回路における、交流電圧を全波整流する全波整流回路とは、ダイオードブリッジであり、前記インダクタの出力とグランドとの間の接続、または非接続を切り替える第1のスイッチング手段とは、例えば、PFC制御回路により直接制御される第1のMOSFETであり、前記インダクタの出力と直列に接続され、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のボディダイオードのアノード側が前記インダクタの出力と、負荷との間の接続、または非接続を切り替える第2のスイッチング手段とは、例えば、第2のMOSFETであり、前記PFC制御回路の出力信号が前記第1のスイッチング手段のオン信号である場合、前記PFC制御回路の出力信号が出力されてから所定時間遅延させた後、オン信号を出力し、前記PFC制御回路の出力信号が前記第1のスイッチング手段のオフ信号である場合、前記PFC制御回路の出力信号と同期して、オフ信号を出力する第1の制御回路とは、例えば、PFC制御回路の出力信号に基づいて第1のMOSFETのオンまたはオフを制御する出力信号を出力する制御回路であり、前記第1の制御回路からのオン信号に基づいて、前記第1のスイッチング手段をオンに制御し、前記第1の制御回路からのオフ信号に基づいて、前記第1のスイッチング手段をオフに制御する第1のオンオフ制御回路とは、例えば、第1の制御回路の出力信号により第1のMOSFETをオンまたはオフするコンプリメンタリ回路からなるオンオフ回路であり、前記PFCの制御回路の出力信号と同期して、前記PFC制御回路がオン信号の場合、オフ信号を出力し、前記PFC制御回路がオフ信号の場合、オン信号を出力する第2の制御回路とは、例えば、第2のMOSFETのオン信号またはオフ信号を出力信号として出力する制御回路であり、前記第2の制御回路からのオン信号に基づいて、前記第2のスイッチング手段をオンに制御し、前記第2の制御回路からのオフ信号に基づいて、前記第2のスイッチング手段をオフに制御する第2のオンオフ制御回路とは、例えば、第2の制御回路からの出力信号に基づいて、第2のMOSFETをオンまたはオフに制御するコンプリメンタリ回路からなるオンオフ回路である。
【0030】
すなわち、第1の制御回路は、PFC制御回路より第1のMOSFETのオンに制御する信号が供給されてくると、所定時間だけ遅延させて第1のMOSFETをオンの状態にさせ、オフに制御する信号が供給されてくると、同期してオフの状態にさせる。第2の制御回路は、PFC制御回路より第1のMOSFETをオンに制御する信号が供給されてくると、第2のMOSFETを同期してオフの状態にさせ、PFC制御回路より第1のMOSFETをオフに制御する信号が供給されてくると、同期して第2のMOSFETをオンの状態にさせる。
【0031】
結果として、PFC制御回路により第1のMOSFETをオンさせる制御信号が供給される場合、第2のMOSFETの持つ固有容量により、第2のMOSFETのゲート−ソース間電圧が、充分に低減されるまで遅延させた後、第1のMOSFETをオンにさせるので、第1および第2のMOSFETが同時オンとなる状態を回避することができる。また、PFC制御回路により第1のMOSFETをオフにさせる制御信号が供給される場合、第1のMOSFETのドレイン−ソース間の電圧が充分に上昇された状態を検出した後、第2のMOSFETをオンの状態に制御することにより、やはり、第1および第2のMOSFETが同時オンとなる状態を回避することができる。また、第1のMOSFETをオフする時はPFC制御回路の出力信号と同期させる事で力率改善機能も有効に機能させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、PFC回路による同期整流を容易で、かつ、安定的に実現させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来の力率改善回路の構成を説明する図である。
【図2】従来の力率改善回路の動作を説明する図である。
【図3】本発明を適用した力率改善回路の動作を説明する一実施の形態の構成例を示す図である。
【図4】図3の力率改善回路の動作を説明する図である。
【図5】図3の力率改善回路の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図3は、本発明を適用した力率改善回路の一実施の形態の構成例を示す図である。
【0035】
図3の力率改善回路は、ダイオードブリッジ101、インダクタ102、Nch-MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(以降、単にMOSFETと称する)103,104、PFC(Power Factor Control)制御回路105、制御回路106、オンオフ回路107、オフ検知回路108、制御回路109、チャージポンプ回路110、オンオフ回路111、コンデンサ112、負荷113、および直流電源114より構成されている。
【0036】
ダイオードブリッジ101の出力端子は、インダクタ102の一方の端部に接続されており、4個のダイオードより構成されており、交流電源を全波整流して直流電源に変換し出力する。
【0037】
インダクタ102の一方の端部は、ダイオードブリッジ101の出力端子に接続されており、他方の端部は、MOSFET103のドレイン、オフ検知回路108の抵抗161の一方の端部、チャージポンプ回路110のコンデンサ202の他方の端部、オンオフ回路111の抵抗217の他方の端部、抵抗218の一方の端部、およびMOSFET104のソースに接続されている。
【0038】
MOSFET103のドレインは、インダクタ102の他方の端部、オフ検知回路108の抵抗161の一方の端部、チャージポンプ回路110のコンデンサ202の他方の端部、オンオフ回路111の抵抗217の他方の端部、抵抗218の一方の端部、およびMOSFET104のソースに接続されている。MOSFET103のソースは接地されており、ゲートは、オンオフ回路107のトランジスタ153のエミッタ、およびトランジスタ154のエミッタに接続されている。MOSFET103は、オンオフ回路107より供給される信号により高周波でオン、またはオフが制御されることにより、ダイオードブリッジ101により整流された直流電源の電流波形を電圧波形と相似形の波形とすることで、力率を改善する。
【0039】
MOSFET104のドレインは、コンデンサ112の一方の端部、および負荷113の一方の端部に接続されている。MOSFET104のゲートは、抵抗218の他方の端部、ダイオード214のカソード、およびトランジスタ215のエミッタに接続されている。MOSFET104のソースは、インダクタ102の他方の端部、MOSFET103のドレイン、オフ検知回路108の抵抗161の一方の端部、チャージポンプ回路110のコンデンサ202の他方の端部、オンオフ回路111の抵抗217の他方の端部、および抵抗218の一方の端部に接続されている。MOSFET104は、図1におけるダイオード33と同様に機能するものであり、オンオフ回路111より供給される信号により高周波でオン、またはオフが制御される。
【0040】
PFC制御回路105は、制御回路106,109に接続されており、MOSFET103のオン、またはオフを制御する高周波の出力信号を発生し、制御回路106,109に供給する。
【0041】
制御回路106は、タイミング制御回路121、および開放部122より構成されており、PFC制御回路105より供給されてくる出力信号に基づいて、MOSFET103をオン、またはオフに制御するオン信号またはオフ信号をオンオフ回路107に供給する。
【0042】
タイミング制御回路121は、抵抗131、コンデンサ132、コンパレータ133、抵抗134、および抵抗135より構成されている。抵抗131の一方の端部は、PFC制御回路105、および開放部122のダイオード141のカソードに接続されており、他方の端部は、コンデンサ132の一方の端部、ダイオード141のアノード、およびコンパレータ133の比較入力端子に接続されている。コンデンサ132の一方の端部は、抵抗131の他方の端部、ダイオード141のアノード、およびコンパレータ133の比較入力端子に接続されており、他方の端部は接地されている。
【0043】
コンパレータ133の比較入力端子(Vin+)には、抵抗131の他方の端部、コンデンサ132の一方の端部、およびダイオード141のアノードが接続されており、基準入力端子(Vin-)には、抵抗135の他方の端部、および抵抗134の一方の端部が接続されている。抵抗134の一方の端部は、コンパレータ133の基準入力端子、および抵抗135の他方の端部が接続されており、他方の端部は接地されている。コンパレータ133の出力端子は、オンオフ回路107の抵抗151の他方の端部、抵抗152の一方の端部、およびトランジスタ153のベースに接続されている。抵抗135の一方の端部は、電源114、抵抗151の一方の端部、トランジスタ153のコレクタ、抵抗163の一方の端部、抵抗166の一方の端部、およびダイオード201のアノードに接続されており、他方の端部は、コンパレータ133の基準入力端子、および抵抗134の一方の端部に接続されている。
【0044】
このような構成により、タイミング制御回路121は、PFC制御回路105より出力信号がオン信号(Hi信号)であるとき、抵抗131を介して徐々にコンデンサ132を充電させる。コンパレータ133は、比較入力端子に供給されるコンデンサ132の充電電圧が、所定時間だけ掛けて上昇し、コンパレータ133の基準入力端子に入力されている電圧(電源114より供給される電圧が、抵抗135,134の抵抗値により分圧された電圧)を超えるタイミングで、出力端子よりオン信号をオンオフ回路107に供給する。
【0045】
また、開放部122は、ダイオード141より構成されており、ダイオード141のカソードがPFC制御回路105、および抵抗131の一方の端部に接続されている。また、ダイオード141のアノードは、抵抗131の他方の端部、コンデンサ132の一方の端部、およびコンパレータ133の比較入力端子に接続されている。このような構成により、開放部122は、PFC制御回路105より出力信号がオフ信号(Low信号)であるとき、ダイオード141を介して瞬時にコンデンサ132に充電されている電圧を開放する。このとき、コンパレータ133は、比較入力端子に供給されるコンデンサ132の充電電圧が、瞬時に降下し、コンパレータ133の基準入力端子に入力されている電圧を下回るタイミングで、出力端子よりオフ信号をオンオフ回路107に供給する。
【0046】
オンオフ回路107は、抵抗151,152、およびNPN型のトランジスタ153、およびPNP型のトランジスタ154より構成されている、コンプリメンタリ回路である。抵抗151の一方の端部は、電源114、抵抗135の一方の端部、トランジスタ153のコレクタ、抵抗163,166の一方の端部、およびダイオード201のアノードに接続されており、他方の端部は、トランジスタ153のベース、抵抗152の一方の端部、およびコンパレータ133の出力端子に接続されている。抵抗152の一方の端部は、抵抗151の他方の端部、トランジスタ153のベース、およびコンパレータ133の出力端子に接続されており、他方の端部は、トランジスタ154のベースに接続されている。
【0047】
トランジスタ153のベースは、抵抗151の他方の端部、抵抗152の一方の端部、およびコンパレータ133の出力端子に接続されている。トランジスタ153のコレクタは、電源114、抵抗135の一方の端部、ダイオード201のアノード、抵抗151の一方の端部、および抵抗163,166の一方の端部に接続されている。トランジスタ153のエミッタは、MOSFET103のゲート、およびトランジスタ154のエミッタに接続されている。トランジスタ154のベースは、抵抗152の他方の端部に接続されており、コレクタは接地され、エミッタは、トランジスタ153のエミッタ、およびMOSFET103のゲートに接続されている。
【0048】
オンオフ回路107は、このような構成により、制御回路106よりMOSFET103のオン信号が供給されると、トランジスタ153,154をオンの状態となるので、MOSFET103のゲート電圧をHiに制御することにより、MOSFET103をオンに制御すると共に、オフ信号が供給されるとトランジスタ153,154をオフの状態となるので、MOSFET103のゲート電圧をLowに制御することにより、MOSFET103をオフに制御する。
【0049】
オフ検知回路108は、抵抗161乃至164、および抵抗166、並びにコンパレータ165より構成されており、MOSFET103がオフの状態であることを検知すると、制御回路109の重複防止回路171にMOSFET103のオフ検知信号を供給する。
【0050】
抵抗161の一方の端部は、インダクタ102の他方の端部、MOSFET103のドレイン、コンデンサ202の他方の端部、抵抗217の他方の端部、抵抗218の一方の端部、およびMOSFET104のソースに接続されており、他方の端部は、抵抗162の一方の端部、およびコンパレータ165の基準入力端子に接続されている。抵抗162の一方の端部は、抵抗161の他方の端部、およびコンパレータ165の基準入力端子に接続されており、他方の端部は接地されている。抵抗163の一方の端部は、電源114、抵抗135の一方の端部、ダイオード201のアノード、抵抗151の一方の端部、トランジスタ153のコレクタ、抵抗166の一方の端部に接続されており、他方の端部は、抵抗164の一方の端部、およびコンパレータ165の比較入力端子に接続されている。
【0051】
抵抗164の一方の端部は、抵抗163の他方の端部、およびコンパレータの比較入力端子に接続されており、他方の端部は接地されている。
【0052】
コンパレータ165の比較入力端子は、抵抗163の他方の端部、および抵抗164の一方の端部に接続されており、基準入力端子は、抵抗161の他方の端部、および抵抗162の一方の端部に接続されている。コンパレータ165の出力端子は、制御回路109の重複防止回路171におけるコンデンサ181の一方の端部、および抵抗182の一方の端部に接続されている。
【0053】
抵抗166の一方の端部は、電源114、抵抗135の一方の端部、ダイオード201のアノード、抵抗151の一方の端部、トランジスタ153のコレクタ、抵抗163の一方の端部に接続されており、他方の端部は、コンパレータ165の出力端子、コンデンサ181の一方の端部、および抵抗182の一方の端部に接続されている。
【0054】
このような構成により、オフ検知回路108は、MOSFET103のドレイン−ソース間電位を抵抗161,162の中間電位として測定し、MOSFET103がオフとなった場合、すなわち、コンパレータ165の比較入力端子が0Vとならず、抵抗163,164の中間電位として設定される基準入力端子の電圧よりも高い電圧となったとき、出力端子よりオフ検知信号としてLowの信号を出力する。
【0055】
制御回路109は、重複防止回路171,172より構成されている。
【0056】
重複防止回路171は、コンデンサ181、抵抗182,183、およびトランジスタ184より構成されている。コンデンサ181は、一方の端部が抵抗166の他方の端部、コンパレータ165の出力端子、および抵抗182の一方の端部に接続されており、他方の端部は、抵抗182の他方の端部、抵抗183の一方の端部、およびトランジスタ184のベースに接続されている。
【0057】
抵抗182の一方の端部は、一方の端部が抵抗166の他方の端部、コンパレータ165の出力端子、およびコンデンサ181の一方の端部に接続されており、他方の端部は、コンデンサ181の他方の端部、抵抗183の一方の端部、およびトランジスタ184のベースに接続されている。
【0058】
抵抗183の一方の端部は、コンデンサ181の他方の端部、抵抗182の他方の端部、およびトランジスタ184のベースに接続されており、他方の端部は接地されている。
【0059】
トランジスタ184のベースは、コンデンサ181の他方の端部、抵抗182の他方の端部、および抵抗183の一方の端部に接続されており、エミッタは接地され、コレクタは、トランジスタ194のコレクタ、抵抗211の他方の端部、抵抗212の一方の端部、およびトランジスタ213のベースに接続されている。
【0060】
このような構成により、重複防止回路171は、オフ検知回路108よりオフ検知信号が供給されると、トランジスタ184をオフにすることにより、MOSFET104のオン信号としてHi信号をオンオフ回路111に供給し、それ以外のときオフ信号としてLow信号をオンオフ回路111に供給する。
【0061】
重複防止回路172は、コンデンサ191、抵抗192,193、およびトランジスタ194より構成されている。コンデンサ191は、一方の端部がPFC制御回路105、および抵抗192の一方の端部に接続されており、他方の端部は、抵抗192の他方の端部、抵抗193の一方の端部、およびトランジスタ194のベースに接続されている。
【0062】
抵抗192の一方の端部は、PFC制御回路105、およびコンデンサ191の一方の端部に接続されており、他方の端部は、コンデンサ191の他方の端部、抵抗193の一方の端部、およびトランジスタ194のベースに接続されている。
【0063】
抵抗193の一方の端部は、コンデンサ191の他方の端部、抵抗192の他方の端部、およびトランジスタ194のベースに接続されており、他方の端部は接地されている。
【0064】
トランジスタ194のベースは、コンデンサ191の他方の端部、抵抗192の他方の端部、および抵抗193の一方の端部に接続されており、エミッタは接地され、コレクタは、トランジスタ184のコレクタ、抵抗211の他方の端部、抵抗212の一方の端部、およびトランジスタ213のベースに接続されている。
【0065】
このような構成により、重複防止回路172は、PFC制御回路105よりMOSFET103をオンに制御するための出力信号が供給されると、トランジスタ194をオンに制御し、MOSFET104のオフ信号としてLow信号をオンオフ回路111し、それ以外のときオン信号としてHi信号をオンオフ回路111に供給する。
【0066】
尚、制御回路109における重複防止回路171,172のオン信号はHiの信号であり、オフ信号はLow(0V)の信号であるが、それぞれの出力信号は結束されているため、いずれかがオフ信号を出力している限り、オンオフ回路111へはオフ信号としてLow信号が出力され、いずれもが同時にオン信号であるときにのみ、オンオフ回路111へはオン信号としてHi信号が出力される。
【0067】
チャージポンプ回路110は、ダイオード201、およびコンデンサ202により構成されている。ダイオード201のアノードは、電源114、抵抗135,151,163,166のそれぞれの一方の端部、およびトランジスタ153のコレクタに接続されており、カソードは、コンデンサ202の一方の端部、抵抗211の一方の端部、およびトランジスタ213のコレクタに接続されている。
【0068】
コンデンサ202の一方の端部は、ダイオード201のカソード、抵抗211の一方の端部、およびトランジスタ213のコレクタに接続されており、他方の端部は、インダクタ102の他方の端部、MOSFET103のドレイン、抵抗161の一方の端部、抵抗217の他方の端部、抵抗218の一方の端部、およびMOSFET104のソースに接続されている。
【0069】
チャージポンプ回路110は、このような構成により、トランジスタ213のコレクタ−エミッタ間、およびダイオード214を介してMOSFET104のゲートに一定の電圧を重畳した電圧を印加することにより、MOSFET104のゲート−ソース間の電圧が過度に上昇するのを防止し、MOSFET104を保護する。
【0070】
オンオフ回路111は、抵抗211,212、トランジスタ213、ダイオード214、トランジスタ215、ダイオード216、および抵抗217,218より構成されている。抵抗211の一方の端部は、ダイオード201のカソード、コンデンサ202の一方の端部、およびトランジスタ213のコレクタに接続されており、他方の端部は、トランジスタ184,194のそれぞれのコレクタ、抵抗212の一方の端部、およびトランジスタ213のベースに接続されている。
【0071】
抵抗212の一方の端部は、トランジスタ184,194のそれぞれのコレクタ、抵抗211の他方の端部、およびトランジスタ213のベースに接続されており、他方の端部は、トランジスタ215のベース、およびダイオード216のカソードに接続されている。
【0072】
トランジスタ213のベースは、トランジスタ184,194のそれぞれのコレクタ、抵抗211の他方の端部、および抵抗212の一方の端部に接続されており、コレクタは、ダイオード201のカソード、コンデンサ202の一方の端部、および抵抗211の一方の端部に接続されており、エミッタは、ダイオード214のアノードに接続されている。
【0073】
ダイオード214のアノードは、トランジスタ213のエミッタに接続されており、カソードは、抵抗218の他方の端部、トランジスタ215のエミッタ、MOSFET104のゲートに接続されている。
【0074】
トランジスタ215のエミッタは、ダイオード214のカソード、抵抗218の他方の端部、MOSFET104のゲートに接続されており、ベースは、抵抗212の他方の端部、およびダイオード216のカソードに接続されており、コレクタは、ダイオード216のアノード、および抵抗217の一方の端部に接続されている。
【0075】
ダイオード216のカソードは、抵抗212の他方の端部、およびトランジスタ215のベースに接続されており、アノードは、トランジスタ215のコレクタ、および抵抗217の一方の端部に接続されている。
【0076】
抵抗217の一方の端部は、トランジスタ215のコレクタ、およびダイオード216のアノードに接続されており、他方の端部は、MOSFET104のソース、抵抗218の一方の端部、コンデンサ202の他方の端部、抵抗161の一方の端部、MOSFET103のドレイン、およびインダクタ102の他方の端部に接続されている。
【0077】
抵抗218の一方の端部は、MOSFET104のソース、抵抗217の他方の端部、コンデンサ202の他方の端部、抵抗161の一方の端部、MOSFET103のドレイン、およびインダクタ102の他方の端部に接続されており、他方の端部は、ダイオード214のカソード、トランジスタ215のエミッタ、MOSFET104のゲートに接続されている。
【0078】
オンオフ回路111は、このような構成により、制御回路109よりMOSFET104のオン信号が供給されると、トランジスタ213,215がオンの状態となるので、チャージポンプ回路110からの電圧を、MOSFET104のゲート電圧として印加することで、Hiに制御することにより、MOSFET104をオンに制御する。またオンオフ回路111は、制御回路109よりMOSFET104のオフ信号が供給されるとトランジスタ213,215がオフの状態となるので、チャージポンプ回路110からの電圧が遮断され、MOSFET104のゲート電圧をLowに制御することにより、MOSFET104をオフに制御する。
【0079】
次に、図4,図5を参照して、図3の力率改善回路の動作について説明する。
【0080】
尚、図4,図5において、実線は、PFC制御回路105の出力信号の波形を示し、点線はMOSFET103のゲート電圧を示す。また、図4において、一点鎖線は、コンパレータ133の比較入力端子の電圧を示し、2点差線は、基準入力端子の電圧を示している。さらに、図5において、1点鎖線は、MOSFET104のゲート電圧を示し、2点鎖線は、MOSFET103のソース−ドレイン間電圧である。また、図4における時刻t1と図5における時刻t1とは、表示位置がオフセットされているが、同一タイミングである。さらに、それぞれの図における波形レベルおよびオフセットも異なるが、ここでは、図4、および図5におけるそれぞれの波形の大小関係、およびタイミングについてのみを着目して説明するものとする。また、各波形は、実際に重なる部分があるが、説明の都合上多少上下にずらしている。
【0081】
まず、PFC制御回路105が、図4の実線で示されるように、時刻t1において、MOSFET103をオンにすることを指示する出力信号(Hi信号)を制御回路106,109に供給するとき、制御回路106のタイミング制御回路121は、図4の一点鎖線で示されるように、抵抗131を介してコンデンサ132を充電し、コンデンサ132の充電電圧、すなわち、コンパレータ133の比較入力端子の電圧を徐々に上昇させる。
【0082】
時刻t1乃至t2において、コンデンサ132の充電電圧である、コンパレータ133の比較入力端子の電圧は、図4の2点鎖線で示される基準入力端子の電圧よりも低いため、出力端子よりLowのオフ信号が出力される。この結果、図4,図5の点線で示されるように、時刻t1乃至t2においては、オンオフ回路107において、トランジスタ153,154がオフの状態となるため、MOSFET103のゲートはLowの状態となり、MOSFETはオフの状態となっている。
【0083】
そして、図4の一点鎖線で示されるように、コンデンサ132の充電電圧であるコンパレータ133の比較入力端子の電圧が上昇し、時刻t2で示されるように、図4の2点鎖線で示されているコンパレータ133の基準入力端子に印加される電圧を越えると、コンパレータ133は、出力端子よりHiの信号を出力する。このため、オンオフ回路107におけるトランジスタ153,154がオンの状態となることにより、MOSFET103のゲートにHiの信号を出力することにより、点線で示されるように、MOSFET103がオンの状態となる。
【0084】
このとき、制御回路109の重複防止回路172は、PFC制御回路105からHiの信号の供給を受けることにより、PFC制御回路105からのHiの信号を受けるタイミングと同期してトランジスタ194をオンとする。このため、オンオフ回路111におけるトランジスタ215がオンの状態となるので、MOSFET104のゲート電圧は、直前において、チャージポンプ回路110より供給されていた電圧が遮断され、オンとされていたHiの状態から、電圧が下降し、時刻t2よりも前に、オフの状態となっている。さらに、MOSFET103がオンとされることにより、接地電位(0V)まで降下する。
【0085】
すなわち、PFC制御回路105によりMOSFET103をオンの状態に制御する出力信号が出力された場合、MOSFET104は、同期してオフの状態とされると共に、コンデンサ132の容量により設定される所定時間だけ遅れてからMOSFET103はオンとされることにより、MOSFET103,104が同時にオンの状態とさせないようにすることができる。
【0086】
一方、図4,図5における時刻t3で示されるように、PFC制御回路105よりMOSFET103をオフの状態に制御する出力信号が出力された場合、すなわち、Low信号が出力された場合、制御回路106におけるタイミング制御回路121においては、コンデンサ132に充電された電圧が、開放部122のダイオード141を介して開放されることになるので、コンパレータ133の比較入力端子の電圧は、PFC制御回路105からの出力信号と同期して瞬時に0Vとなる。このため、コンパレータ133は、Low信号をオンオフ回路107に供給するので、オンオフ回路107のトランジスタ153,154がオフとなり、MOSFET103のゲート電圧も0Vに降下する。
【0087】
結果として、PFC制御回路105からLow信号が出力される場合、そのタイミングに同期してMOSFET103もオフの状態に移行するので電流をサイン波に近似する力率改善機能も有効に機能する。
【0088】
このとき、MOSFET103のソース−ドレイン間電圧は、内部の微小静電容量の影響により僅かながら電圧の上昇が遅れる。
【0089】
オフ検出回路108のコンパレータ165は、基準入力端子に入力されるMOSFET103のソース−ドレイン間電圧に基づいた抵抗161,162による分圧電位と、比較入力端子に入力される電源114からの電源電圧を抵抗163,164による分圧電位とを比較し、MOSFET103のソース−ドレイン間電圧に基づいた分圧電位が、電源電圧に基づいた分圧電位よりも大きくなったとき、すなわち、MOSFET103が確実にオフしたタイミングにおいて、MOSFET103のオフを検出し、出力端子よりMOSFET103のオフを検出したことを示すオフ検知信号としてLow信号を出力する。
【0090】
この結果、図5で示されるように、時刻t4において、MOSFET103のオフを検出すると、オフ検知回路108のコンパレータ165はオフ検知信号であるLow信号を重複防止回路171に供給する。重複防止回路171は、このオフ検知信号に基づいて、トランジスタ184をオフとすることにより、オンオフ回路111に対してオンを指示する。
【0091】
また、チャージポンプ回路110により電源電圧114を調整する事で一定電圧分重畳された電圧がMOSFET104のゲートに印加されるので、MOSFET104のゲート−ソース間の定格電圧以下に設定することで、MOSFET104のゲート−ソース間に過大な電圧を印加することを防止することができ、保護することが可能となる。
【0092】
また、オンオフ回路107,111は、いずれもコンプリメンタリ回路として構成されているため、高速で動作することができるので、オン、またはオフの切替を高速で実現することが可能となる。
【0093】
ところで、PFC制御回路105からLow信号が出力される場合、同期して制御回路109の重複防止回路172は、トランジスタ194がオフの状態とされる。しかしながら、PFC制御回路105からLow信号が出力された直後からオフ検知信号が出力されるまでは、重複防止回路171のトランジスタ184がオンとなっているため、オンオフ回路111は動作しない状態となっている。すなわち、オフ検知回路108、および重複防止回路171が存在しない場合、PFC制御回路105からLow信号が出力されるタイミングに同期してオンオフ回路111が動作して、MOSFET104がオンしてしまう恐れがあり、この場合、上述したMOSFET103の微小静電容量により僅かながら、MOSFET103,104が同時にオンとなる状態が発生する恐れがある。オフ検知回路108、および重複防止回路171は、MOSFET103が完全にオフとなる状態となるまで、オンオフ回路111の動作をさせないようにすることで、MOSFET104をオンにさせないようにすることができるので、MOSFET103,104が同時にオンとならないようにさせることができる。結果として、同期整流の動作を容易で、かつ、安定的に実現させることが可能となる。
【0094】
尚、図5で示す通りMOSFET103のスイッチングスピードが速く、MOSFET104のスイッチングスピードが遅い場合、重複防止回路171が存在しない状態においても、PFC制御回路105からLow信号が出力されてからすぐにはMOSFET104はオンしない。このため、図5で示されるようなスイッチングスピードの条件が満たされれば、同時オンを防ぐ事は可能である。したがって、図5で示されるようなスイッチングスピードの条件を満たすといった周辺定数やMOSFETの選択によって、重複防止回路171やオフ検知回路108は、省略することもでき、更に安価にPFCの同期整流を実現する事が可能となる。
【0095】
すなわち、以上の動作を纏めると、PFC制御回路105によりMOSFET103をオンに動作させる出力信号が出力された場合、制御回路106が所定時間(例えば、図5の時刻t1乃至t2)だけ遅延させてオンオフ回路107を動作させて、MOSFET103をオンにさせる。このとき、制御回路109の重複防止回路172は、トランジスタ194をオンにすることで、PFC制御回路105からの出力信号に同期してオンオフ回路111のトランジスタ215をオンする事でMOSFET104の動作を停止させる。
【0096】
一方、PFC制御回路105よりMOSFET105をオフに動作させる出力信号が出力された場合、制御回路106は同期してオンオフ回路107を動作させて、MOSFET103をオフにさせる。このとき、制御回路109の重複防止回路172は、PFC制御回路105からの出力信号に同期してトランジスタ194をオフにする。また、オフ検知回路108は、MOSFET103のソース−ドレイン間電圧を計測し、所定電圧以上となる状態、すなわち、完全にMOSFET103がオフの状態となったとき、オフ検知信号(Low信号)を制御回路109の重複防止回路171に供給する。重複防止回路171は、このオフ検知信号に基づいて、トランジスタ184をオフにすることにより、オンオフ回路111の動作を開始させ、チャージポンプ回路110により昇圧された電圧をMOSFET104のゲートに印加し、MOSFET104をオンにする。しかしながら、上述したように、重複防止回路171やオフ検知回路108は周辺定数の選択次第で必ず必要というわけではない。
【0097】
すなわち、PFC制御回路105がMOSFET103をオンにするように指示したとき、MOSFET104は同期してオフとされるの対して、そのタイミングから所定時間だけ遅延してMOSFET103はオンされる。また、PFC制御回路105がMOSFET103をオフにするように指示したとき、MOSFET103は同期してオフとされるの対して、MOSFET103のソース−ドレイン間電圧が充分な電圧となるまでの所定時間(例えば、図5の時刻t3乃至t4)だけ遅延してMOSFET104がオンされる。
【0098】
結果として、MOSFET103,104は、いずれもオンの指示がなされてから所定時間だけ遅延してからオンされると共に、いずれもオフの指示がなされると同期してオフの状態とされるので、双方が同時にオンとされる状態が回避され、容易で、かつ、安定的に同期整流を実現することが可能となる。
【0099】
以上の如く、本発明のPFC制御回路を用いた力率改善回路によれば、NチャネルMOSFETを利用することで電力損失を低減すると共に、1個のPFC制御回路からの信号に基づいて、2個のNチャンネルMOSFETの動作を切り替える際、瞬時にオフを実行させると共に、それぞれ所定の時間だけ遅らせてオンにさせるようにすることで、2個のNチャンネルMOSFETが同時にオンの状態にさせないようにすることが可能となる。結果として、2個のNチャンネルMOSFETが同時にオンとされることで発生する貫通電流により生じる事故を防止し、同期整流の制御を容易で、かつ、安定的に実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0100】
101 全波整流回路
102 インダクタ
103,104 Nch-MOSFET
105 PFC制御回路
106 制御回路
107 オンオフ回路
108 オフ検知回路
109 制御回路
110 チャージポンプ回路
111 オンオフ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を全波整流する全波整流回路と、
前記全波整流回路により全波整流された出力に直列接続されたインダクタと、
前記インダクタの出力とグランドとの間の接続、または非接続を切り替える第1のスイッチング手段と、
前記インダクタの出力と直列に接続され、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のボディダイオードのアノード側が前記インダクタの出力と、負荷との間の接続、または非接続を切り替える第2のスイッチング手段と、
前記第1のスイッチング手段の動作を制御するオン信号またはオフ信号の出力信号を出力するPFC(Power Factor Control)制御回路と、
前記PFC制御回路の出力信号が前記第1のスイッチング手段のオン信号である場合、前記PFC制御回路の出力信号が出力されてから所定時間遅延させた後、オン信号を出力し、前記PFC制御回路の出力信号が前記第1のスイッチング手段のオフ信号である場合、前記PFC制御回路の出力信号と同期して、オフ信号を出力する第1の制御回路と、
前記第1の制御回路からのオン信号に基づいて、前記第1のスイッチング手段をオンに制御し、前記第1の制御回路からのオフ信号に基づいて、前記第1のスイッチング手段をオフに制御する第1のオンオフ制御回路と、
前記PFC制御回路の出力信号と同期して、前記PFC制御回路がオン信号の場合、オフ信号を出力し、前記PFC制御回路がオフ信号の場合、オン信号を出力する第2の制御回路と、
前記第2の制御回路からのオン信号に基づいて、前記第2のスイッチング手段をオンに制御し、前記第2の制御回路からのオフ信号に基づいて、前記第2のスイッチング手段をオフに制御する第2のオンオフ制御回路と
を備える力率改善回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチング手段は、Nch-MOSFETのドレインとインダクタとが接続されている
請求項1に記載の力率改善回路。
【請求項3】
第2のスイッチング手段は、Nch-MOSFETである
請求項1に記載の力率改善回路。
【請求項4】
前記第1の制御回路は、
前記PFC制御回路の出力信号が前記第1のスイッチング手段のオン信号である場合、前記PFC制御回路の出力信号が出力されてから所定時間遅延させた後、オン信号を出力する、PFC制御回路の出力と、直列に接続された前記抵抗器を備え、
前記抵抗器の出力が、コンデンサを介してグランドと接続され、
前記抵抗器と並列にダイオードが接続され、前記ダイオードのカソードがPFC制御回路の出力と接続され、
前記コンデンサの充電電圧が所定の電圧より高くなったとき、前記オン信号を出力し、前記充電電圧が前記所定の電圧より低くなったとき、前記オフ信号を出力する
請求項1に記載の力率改善回路。
【請求項5】
前記第1の制御回路は、
前記コンデンサの充電電圧と、所定の電圧とを比較するコンパレータを備え、
前記コンパレータの比較結果の出力と同期して、前記コンデンサの電圧が所定の電圧より高くなったとき、前記オン信号を出力し、前記電圧が前記所定の電圧より低くなったとき、前記オフ信号を出力する
請求項4に記載の力率改善回路。
【請求項6】
前記第1のスイッチング手段がオフした事を検知するオフ検知回路を更に備え、
前記第2の制御回路は、前記オフ検知回路により前記第1のスイッチング手段がオフしたことが検知される場合、かつ、前記PFC制御回路から出力された出力信号がオフ信号である場合、オン信号を出力し、前記検知回路により前記第1のスイッチング手段がオフしたことが検知されない場合、または、前記PFC制御回路から出力された出力信号がオン信号である場合、オフ信号を出力する
請求項1に記載の力率改善回路。
【請求項7】
前記検知回路は、
前記第1のスイッチング手段の両端の電圧が、所定の電圧よりも高いとき、前記第1のスイッチング手段がオフの状態となったことを検知する
請求項6に記載の力率改善回路。
【請求項8】
第2のスイッチング手段をオン状態にする出力電圧よりも高い電圧を生成するチャージポンプ回路を更に備える
請求項1に記載の力率改善回路。
【請求項9】
前記チャージポンプ回路は、
前記PFC制御回路の供給電圧を基準に、ダイオードのアノードが接続され、カソードとインダクタの出力との間にコンデンサが接続されている
請求項8に記載の力率改善回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−200410(P2010−200410A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39656(P2009−39656)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】