説明

力覚付与型入力装置

【課題】空中での操作においてポインタの位置を正確に制御することができ、選択領域の選択が容易な力覚付与型入力装置を提供する。
【解決手段】表示部(21)と、位置検出センサ(13)と、力覚付与手段(15)とを備え、ユーザが保持して移動させることができるように構成され、前記位置検出センサ(13)が検出した移動に応じて、前記表示部(21)に表示される選択画面中のポインタの位置を制御し、前記ポインタの位置に応じて前記力覚付与手段(15)が力覚に対するフィードバックを発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力覚付与型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置にリモコンを向けることでGUI(Graphical User Interface)のポインタ動作を行う入力装置がある。このような入力装置では、ユーザは手だけでリモコンをホールドして、空中で操作する必要があるため、ポインタの位置を正確に制御することは困難であった。
【0003】
このような課題を解決するために、ボタンの選択やメニューの選択を行う際は、ボタンやメニューの選択領域にポインタが入った際に、リモコン自身を振動させることによって、ユーザに直感的な選択の状態を伝え、ユーザの選択操作を容易にすることが考えられる。
【0004】
一方で、特許文献1および2には、力覚付与型の、例えばスティック型入力装置においてポインタ操作を行う際、選択領域にポインタの引き込み領域を設定し、選択領域の選択を容易にする方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−332325号公報
【特許文献2】特開2006−268154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザが空中で手で持って操作するリモコンのような入力装置については、接地がないため、特許文献1および2に記載の力覚付与型入力装置のように多軸の力覚を付与することが困難であった。
【0007】
本発明は、このような実情を鑑みてなされたものであり、空中での操作においてポインタの位置を正確に制御することができ、選択領域の選択が容易な力覚付与型入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の力覚付与型入力装置は、位置検出センサと、力覚付与手段とを備え、ユーザが保持して移動させることができるように構成され、前記位置検出センサが検出した移動に応じて、前記力覚付与手段が力覚に対するフィードバックを発生することを特徴とする。このようにすれば、移動に応じたフィードバックが得られるため、空中での操作においてポインタの位置を正確に制御することができる。
【0009】
本発明の力覚付与型入力装置は、表示部と、位置検出センサと、力覚付与手段とを備え、ユーザが保持して移動させることができるように構成され、前記位置検出センサが検出した移動に応じて、前記表示部に表示される選択画面中のポインタの位置を制御し、前記ポインタの位置に応じて前記力覚付与手段が力覚に対するフィードバックを発生することを特徴としてもよい。
【0010】
前記表示部は別体として設けられ、該力覚付与型入力装置と無線又は有線によって通信するように構成されていてもよい。
【0011】
前記力覚付与手段は、前記選択画面中に表示される所定の設定領域間に前記ポインタが位置する場合、力覚に対するフィードバックの強度を高くするようにしてもよい。
【0012】
前記力覚付与手段は、前記選択画面の端部に前記ポインタが位置する場合、力覚に対するフィードバックの強度を高くするようにしてもよい。
【0013】
前記力覚付与手段はユーザが保持する部分において設けられていてもよい。
【0014】
前記力覚付与手段は、重力の軸から該力覚付与型入力装置が指し示す方向に軸を傾けて配置され、該力覚付与型入力装置が指し示す方向に対して重力と逆の方向の力覚のフィードバックを発生するフィードバック発生手段を備えていてもよい。
【0015】
前記フィードバック発生手段はジャイロであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の力覚付与型入力装置によれば、空中での操作においてポインタの位置を正確に制御することができ、選択領域の選択を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の力覚付与型入力装置の構成を示すブロック図である。力覚付与型入力装置1は、保持部11と、決定ボタン12と、位置検出センサ13と、通信部14と、力覚付与部15と、処理部16とを備える。表示装置2は、表示部21と、通信部22と、処理部23とを備える。
【0018】
力覚付与型入力装置1は、保持部11をユーザが手で保持するように想定されており、例えば、リモコンのような形状を想定している。表示装置2は、力覚付与型入力装置1と離れた場所に設置され、表示部21に選択画面を表示する。ユーザは、力覚付与型入力装置1の先端を、表示部21に表示される選択画面の所望の部分に向け、決定ボタン12を押すことによって選択動作を行う。
【0019】
位置検出センサ13は、力覚付与型入力装置1の先端付近の内部に配置され、力覚付与型入力装置1の傾きや加速度から、力覚付与型入力装置1が指し示す、表示部21に表示される選択画面上の位置を検出する。表示部21は、選択画面におけるポインタを、このようにして検出された位置に移動する。
【0020】
力覚付与型入力装置1の通信部14は、表示装置2の通信部22と通信する。力覚付与型入力装置1の通信部14は、位置検出センサ13による位置情報と、決定ボタン12の押下情報とを表示装置2の通信部22に送信する。表示装置2の通信部22は、位置情報に基づいて算出したフィードバック力情報を力覚付与型入力装置1の通信部14に送信する。通信部14と通信部22との間の通信は、赤外線やBlue Toothなどの無線通信が好適であるが、力覚付与型入力装置1が表示装置2に対して自由度があるのであれば、有線通信であってもかまわない。
【0021】
力覚付与部15は、表示装置2から送信されるフィードバック力の値に応じて、重力と逆方向の力覚に対するフィードバックを与える。力覚付与部15は、例えば、力覚付与型入力装置1の保持部11の内部に、ジャイロと、ジャイロの回転軸と直行する軸に対しジャイロを傾けることのできる回転装置を備える。ジャイロの回転するX軸に対し、それぞれ直行する軸をY軸、Z軸としたとき、高速に回転するジャイロにY軸まわりの回転を加えると、Z軸まわりのジャイロ効果が得られる。ジャイロ効果により、保持部11を軸として、力覚付与型入力装置1の先端部を重力とは逆方向に持ち上げる力覚のフィードバックを得ることができる。またこの力は、ジャイロの回転数によって強弱を調整できる。
【0022】
力覚付与型入力装置1の上記のような各部の制御は、処理部16が行う。表示装置2の上記のような各部の制御は、処理部23が行う。処理部16および処理部23は、例えば、CPUやメモリなどを備える。
【0023】
図2は、図1に示す力覚付与型入力装置による表示装置に表示された選択項目における選択動作を説明するフローチャートである。ステップS101〜ステップS107は力覚付与型入力装置1の動作であり、ステップS201〜ステップS209は表示装置2の動作である。
【0024】
まず、表示装置2の動作(ステップS201〜ステップS209)について説明する。
【0025】
ステップS201において、表示部21に図3上部のような選択画面を表示する。本例において、選択画面には、「はい」および「いいえ」の2つの選択肢が表示される。選択画面においては、さらに、力覚付与型入力装置1によって位置を移動することができるポインタが表示される。選択肢の設定領域内にポインタが入っている場合、その選択肢は反転表示され、選択状態になる。
【0026】
ステップS202において、通信部22が力覚付与型入力装置1から新たな位置情報を受信したかどうかを判定する。位置情報を受信していない場合、ステップS203において、通信部22が力覚付与型入力装置1から決定ボタン12の押下の通知を受信したかどうかを判定する。押下の通知を受信していない場合、ステップS201に戻る。押下の通知を受信した場合(ステップS107に対応)、ステップS204において、表示画面における選択肢が選択状態かどうかを判定する。選択状態の場合、選択が確定され、選択動作は終了する。選択状態でない場合、ステップS201に戻る。
【0027】
ステップS202において位置情報を受信した場合(ステップS106に対応)、ステップS205において、表示部21において表示している選択画面におけるポインタの位置を、新たに受信した位置情報が示す座標(x,y)に移動する。ステップS206において、ポインタが選択画面における選択肢の設定領域内に入っているかどうかを判定する。入っていない場合、ステップS207に進む。入っている場合、ステップS209において、ポインタが入っている選択肢を反転表示し、選択状態にしてからステップS207に進む。
【0028】
ステップS207において、前記位置情報からポインタの位置(x,y)に応じたフィードバック力Fを算出する。
【0029】
図3は、フィードバック力Fとポインタの位置との関係の一例を示している。図3の上図は選択画面を、下図はその選択画面におけるポインタの位置とフィードバック力Fとの関係を示すグラフである。図3の例では、選択画面において横方向に2つの選択肢が並ぶ。本例では、ポインタのx軸の値に応じてフィードバック力Fを設定する。選択肢の境界においてフィードバック力Fが最大となる。このような関係により、ポインタの位置(x,y)に応じたフィードバック力Fを算出することができる。
【0030】
図4は、フィードバック力Fとポインタの位置との関係の他の例を示している。図4の上図は選択画面を、下図はその選択画面におけるポインタの位置とフィードバック力Fとの関係を示すグラフである。図4の例では、選択画面において横方向に3つの選択肢が並ぶ。本例でも、ポインタのx軸の値に応じてフィードバック力Fを設定する。選択肢の境界においてフィードバック力Fが最大となる。
【0031】
図5は、フィードバック力Fとポインタの位置との関係のさらに他の例を示している。図5の上図は選択画面を、下図はその選択画面におけるポインタの位置とフィードバック力Fとの関係を示すグラフである。図5の例では、図3の例と同様に選択画面において横方向に2つの選択肢が並び、ポインタのx軸の値に応じてフィードバック力Fを設定するが、本例では、選択肢の境界においてフィードバック力Fが最大となるのに加えて、選択画面の左右両端においてもフィードバック力Fがかかるようになっている。
【0032】
図6は、フィードバック力Fとポインタの位置との関係のさらに他の例を示している。図6の上図は選択画面を、下図はその選択画面におけるポインタの位置とフィードバック力Fとの関係を示すグラフである。図6の例では、選択画面において縦方向に2つの選択肢が並ぶ。本例では、ポインタのy軸の値に応じてフィードバック力Fを設定する。選択肢の境界と選択画面の下端においてフィードバック力Fが最大となる。
【0033】
図2のフローチャートに戻り、選択動作の続きを説明する。
【0034】
ステップS208において、通信部22によって、算出したフィードバック力Fの値を力覚付与型入力装置1に送信し(ステップS104に対応)、ステップS201に戻る。
【0035】
次に力覚付与型入力装置1の動作(ステップS101〜S107)について説明する。
【0036】
ステップS101において、位置検出センサ13から力覚付与型入力装置1が指し示す位置情報(x,y)を読み出す。ステップS102において、以前読み出した位置情報の値から変化があったかどうかを判定する。変化がなかった場合、ステップS103に進む。変化があった場合、ステップS106において、通信部14によって、位置情報(x,y)を表示装置2に送信し(ステップS202に対応)、ステップS103に進む。
【0037】
ステップS103において、決定ボタン12が押されたかどうかを判定する。押されない場合、ステップS104に進む。押された場合、ステップS107において、通信部14によって、決定ボタン12の押下の通知を表示装置2に送信し(ステップS203に対応)、ステップS104に進む。
【0038】
ステップS104において、通信部14が表示装置2からフィードバック力Fの値を受信したかどうかを判定する。受信しない場合、ステップS101に戻る。受信した場合、ステップS105において、フィードバック力Fの値を力覚付与部15に設定し、力覚付与部15は、フィードバック力Fの大きさに応じたフィードバックをユーザに与え、ステップS101に戻る。
【0039】
これらの動作により、ユーザは、フィードバックを目安とすることによって、モーションによるメニューなどの選択動作を容易に行うことが可能となる。
【0040】
<第2の実施形態>
図7は、本発明の第2の実施形態の力覚付与型入力装置の構成を示すブロック図である。本例の力覚付与型入力装置3は、図1に示す例で別体となっていた力覚付与型入力装置1と表示装置2を一体として構成している。
【0041】
力覚付与型入力装置3は、保持部31と、選択ボタン32と、位置検出センサ33と、表示部34と、力覚付与部35と、処理部36とを備える。
【0042】
力覚付与型入力装置3は、保持部31をユーザが手で保持するように想定されている。表示装置34は、選択画面を表示する。ユーザは、力覚付与型入力装置3を動かすことによって、表示装置34に表示される選択画面におけるポインタを所望の位置に移動し、決定ボタ32を押すことによって選択動作を行う。
【0043】
位置検出センサ33は、力覚付与型入力装置3の先端付近の内部に配置され、力覚付与型入力装置3の傾きや加速度から、表示装置34に表示される選択画面上のポインタの位置を決定する。
【0044】
本実施形態の力覚付与型入力装置は、力覚付与型入力装置と表示装置が一体に構成されれていることを除けば、第1の実施形態の力覚付与型入力装置と同様であり、動作もまったく同じである。
【0045】
以上説明したように、本発明によれば、表示部におけるポインタの位置に応じた力覚付与部からのフィードバックを受けることによってポインタの位置をより正確に制御することができ、選択領域を容易に選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、力覚付与型入力装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の力覚付与型入力装置と表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す力覚付与型入力装置による表示装置に表示された選択項目における選択動作を説明するフローチャートである。
【図3】選択画面と、選択画面におけるポインタの位置とフィードバック力Fとの関係を示すグラフである。
【図4】選択画面と、選択画面におけるポインタの位置とフィードバック力Fとの関係を示すグラフである。
【図5】選択画面と、選択画面におけるポインタの位置とフィードバック力Fとの関係を示すグラフである。
【図6】選択画面と、選択画面におけるポインタの位置とフィードバック力Fとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の力覚付与型入力装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1、3 力覚付与型入力装置
2、34 表示装置
11、31 保持部
12、32 決定ボタン
13、33 位置検出センサ
14、22 通信部
15 力覚付与部
16、23、36 処理部
21 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出センサと、
力覚付与手段とを備え、
ユーザが保持して移動させることができるように構成され、
前記位置検出センサが検出した移動に応じて、前記力覚付与手段が力覚に対するフィードバックを発生することを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項2】
表示部と、
位置検出センサと、
力覚付与手段とを備え、
ユーザが保持して移動させることができるように構成され、
前記位置検出センサが検出した移動に応じて、前記表示部に表示される選択画面中のポインタの位置を制御し、
前記ポインタの位置に応じて前記力覚付与手段が力覚に対するフィードバックを発生することを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項3】
前記表示部は別体として設けられ、該力覚付与型入力装置と無線又は有線によって通信することを特徴とする請求項2記載の力覚付与型入力装置。
【請求項4】
前記力覚付与手段は、前記選択画面中に表示される所定の設定領域間に前記ポインタが位置する場合、力覚に対するフィードバックの強度を高くすることを特徴とする請求項2又は3に記載の力覚付与型入力装置。
【請求項5】
前記力覚付与手段は、前記選択画面の端部に前記ポインタが位置する場合、力覚に対するフィードバックの強度を高くすることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の力覚付与型入力装置。
【請求項6】
前記力覚付与手段はユーザが保持する部分に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の力覚付与型入力装置。
【請求項7】
前記力覚付与手段は、重力の軸から該力覚付与型入力装置が指し示す方向に軸を傾けて配置され、該力覚付与型入力装置が指し示す方向に対して重力と逆の方向の力覚のフィードバックを発生するフィードバック発生手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の力覚付与型入力装置。
【請求項8】
前記フィードバック発生手段はジャイロであることを特徴とする請求項7記載の力覚付与型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−289015(P2009−289015A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140643(P2008−140643)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】