加入者終端装置による接続性監視方法
【課題】中継網を介して送受信するユーザフレームを収容する回線やOAM信号を終端する終端装置を制御する回線の接続性監視を、障害検知の容易性やユーザトラフィックへの負担低減を考慮して実現する。
【解決手段】ユーザフレームを収容する回線に接続される終端装置同士を従属関係に設定し、上位側(センタ側)終端装置と複数の下位側(拠点側)終端装置との間で接続性監視を実施することで障害検知区間の明確化を実現する。
【解決手段】ユーザフレームを収容する回線に接続される終端装置同士を従属関係に設定し、上位側(センタ側)終端装置と複数の下位側(拠点側)終端装置との間で接続性監視を実施することで障害検知区間の明確化を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理者の異なるパケット通信網を跨る通信回線の接続性を監視するためのネットワーク構成ならびに監視に使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イーサネット(登録商標)はLAN(Local Area Network)領域だけにとどまらず、広域イーサネットサービスなどのキャリアネットワークにおいても急速に普及してきた。しかし、ATM(Asynchronous Transfer Mode)など従来の伝送網に用いられてきた他プロトコルと比べて、イーサネットを初めとするパケット通信プロトコルに対してはOAM(Operation Administration and Maintenance)機能が定義されていなかったため、その品質管理が課題とされてきた。
近年、標準化団体ITU−T (International Telecommunication Union Telecommunication Standardization )及びIEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)においてこれらの議論が行われたことにより、ITU−T勧告Y.1731(非特許文献1)やIEEE 802.1ag(非特許文献2)が規定され、イーサネットのためのOAM機能が導入された。また、OAM機能を用いた経路切り替え(プロテクション)方式G.8031(非特許文献3)も規格化が完了している。
【0003】
これらにより、イーサネット網での通信サービスに関する保守管理が可能となることから、イーサネットを含むパケット通信網におけるOAM機能の実用化が始まっている。イーサネットは通常、個人又は法人ユーザが所有するLANに適用されることが多いが、品質管理機能を備えたことにより、キャリアが提供するインフラサービスに於いても、その運用が注目されている。ユーザ宅に設置する宅内装置についても、イーサネットOAM(以下、イーサOAMと言う。)の導入が検討されている。
【0004】
従来、キャリアは専用線やL2―VPNサービスによる、ユーザサイト間の中継網を構築するサービスを提供してきた。この場合のユーザとは、主に企業などの法人ユーザを指すことが多い。これは企業ユーザが、災害回避やサーバ等の負荷分散を目的として、それぞれ異なる場所に複数のサイトを持つこと、また本社と支社など企業規模に応じて複数のサイトを所有する場合などに、サイト間の相互通信が必要とされてきたためである。
これら地理的に離れた場所に存在するユーザのサイト同士を接続するための中継網を構築するサービスでは、キャリアが提供する中継網内において、ユーザとの契約に応じた帯域保証が行われている。互いに距離の離れたサイト間の通信にはユーザに近いインフラを提供するアクセス網プロバイダや、それらアクセス網同士を接続するコア網を提供するキャリアなど、管理者の異なる複数の網を跨ぐ形となり、ユーザが使用する装置間のEnd−to−Endの帯域保証は困難であった。そのため、MPLS(Multi Protocol Label Switching)などを用いたL2―VPNサービスなど、上位プロトコルを用いた暗号化通信が主に利用されている。
【0005】
このような上位プロトコルを用いた帯域保証サービスに加えて、先に述べたイーサOAMの標準化に伴い、Layer 2(以下、L2と言う。)のような下位プロトコルでの通信管理が可能となった。また、アクセス網プロバイダは、コストの高い専用線装置からパケット通信装置へ移行しつつある。このように、ユーザ網、アクセス網、コア網がともにパケット通信装置により接続されると、従来は困難であった、アクセス網とコア網を一貫して管理するためのコネクション確立が容易となる。
具体的には、コア網を提供するキャリアが、ユーザサイト内に遠隔装置を設置し、アクセス網プロバイダを跨いでユーザサイト間の通信全体を管理する方法が導入されつつある。この場合、アクセス網プロバイダはコア網を所有するキャリアに対して回線を提供する立場となる。従来、伝送網の下位レイヤ(コア網)に近いキャリアが、アクセス網プロバイダにリソースを提供する立場であったが、パケット通信網の機能が拡充されるに従い、ビジネスモデルが変化してきている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ITU−T Recommendation Y.1731
【非特許文献2】IEEE 802.1ag
【非特許文献3】ITU−T Recommendation G.8031/Y.1342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまでキャリア等の通信事業者が規模の大きなユーザ間ネットワークを提供する場合、通信事業者はネットワークの規模に応じて相応のコスト負担を実施してネットワークを構築してきた。近年は、アクセス網プロバイダ等の地域業者が構築しているL2―VPNネットワーク等の地域網も中継網として活用することで、前述のコスト低減を図る動きがある。この時、サービスを提供する通信事業者は、自身が管理するネットワーク以外に、別事業者が管理する地域網のネットワークも加入者への保守・監視対象とすることで、ネットワーク全体の管理を行う。
【0008】
障害発生時に通信事業者は、故障区間の特定や影響を受けるサービス収容回線の特定を行うため、ネットワークを構成している装置毎の警報状態の把握や疎通試験を実施する必要がある。しかし、規模の大きなネットワーク網や複数の地域網を中継網として利用している場合、状況の把握に時間を要する場合がある。
【0009】
そのため、前述の保守・監視では、サービスを提供する通信事業者が素早く障害状況の把握を行うため、ユーザ装置からサービス回線が収容される各終端装置間での接続性監視が効果的となる。この場合、イーサOAMにて接続性監視に利用されるCCM(Continuity Check Message)フレームの適用が候補に挙がるが、以下の2点に考慮が必要となる。1点目は、単純な各終端装置間での接続性監視では、障害発生箇所によっては、複数の終端装置から障害検出が不必要に通知される恐れがあることである。2点目は、なるべく本来のユーザトラフィックへの負担を低減するため、各終端装置間でCCMフレームの送受信を最小限に実施する必要があることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ユーザの拠点内でCCMフレーム等のOAM信号を終端する装置に従属関係を設定し、上位側(マスタ)終端装置と複数の下位側(スレーブ)終端装置との間で接続性監視を実施することで障害検知区間の明確化を実現する。
【0011】
また、上位側終端装置から複数の下位側終端装置へは、宛先をマルチキャストMACアドレスに設定したCCMフレームを送信し、下位側終端装置から上位側(センタ側)終端装置へは、宛先をユニキャストMACアドレスに設定したCCMフレームを送信する。
各終端装置を制御する制御装置(以下、制御装置もしくはコントローラとも称する)から上位側終端装置や下位側終端装置へは、宛先をマルチキャストMACアドレスに設定したCCMフレーム(以下、Eth―CC信号とも称する)を送信し、上位側終端装置や下位側終端装置からコントローラへは、宛先をユニキャストMACアドレスに設定したCCMフレームを送信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、接続性監視を実施する区間が制御装置と各終端装置との間、上位の終端装置と下位の終端装置との間になり、監視区間の明確化が可能になる。このことにより、通信事業者は障害発生時の接続性異常通知に対して、即座にサービス影響範囲の把握と対応が可能になる。また、制御装置から各終端装置へのCCMフレーム送信と上位の終端装置から下位の終端装置へのCCMフレーム送信について、宛先にマルチキャストMACアドレスを利用することで、送信元は複数の送信先に対してCCMフレームを一括して送信できる。このことにより、通信事業者はネットワーク設計において、接続性監視に用いるCCMフレームの送受信により消費される帯域を必要最低限に設定でき、ユーザトラフィックへの負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態によるL2―VPN網を示す網構成例である。
【図2】終端装置を経由してユーザ拠点間を送受信するユーザフレームのフレーム構成例である。
【図3】終端装置間や終端装置とコントローラの間を通信するイーサネットOAMフレームの構成例である。
【図4】接続性監視に利用するEth―CC信号を示すフレーム構成例である。
【図5】終端装置を制御するコントローラの一実施例を示すブロック構成図である。
【図6】センタ側終端装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【図7】拠点側終端装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【図8】終端装置を制御するコントローラがセンタ側終端装置へ登録情報を通知するシーケンスの一例である。
【図9】終端装置を制御するコントローラが拠点側終端装置へ登録情報を通知するシーケンスの一例である。
【図10】センタ側終端装置と拠点側終端装置が互いにMACアドレス学習を実施するシーケンスの一例である。
【図11】終端装置を制御するコントローラで管理される登録情報を示すテーブルの一例である。
【図12】センタ側終端装置で管理される接続情報を示すテーブルの一例である。
【図13】拠点側終端装置で管理される接続情報を示すテーブルの一例である。
【図14】終端装置がL2―VPN網から転送されるフレームの処理フローの一例である。
【図15】終端装置を制御するコントローラが接続状態を判定する処理フローの一例である。
【図16】終端装置が接続状態を判定する処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明によるネットワークの構成と動作を、ITU−T勧告Y.1731(非特許文献1)で規定されるイーサOAM構成及びその動作を例として説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の一例を説明するための網構成図である。
網1では、例えば、拠点間を接続するサービスに加入しているユーザ(加入者)の端末(以下、ユーザ装置と言う。)が各地に配置されており、同じく各地に配備された終端装置であるBox−S30やBox−M40がこれらユーザ装置を、L2―VPN(Layer 2 Virtual Private Network)網10に接続させている様子を示している。ここで、Box−M40は例えばユーザが各拠点を集約する大都市部などのセンタ側に配置する終端装置であり、Box−S30は例えばユーザが地方などの拠点側に配置する終端装置である。この終端装置は、単体の装置でも良いし、またはユーザ宅や加入者の局に設置されるEdge用ホームゲートウェイ等の装置や、ルータやスイッチ等の中継装置に組み込まれていても良い。
【0016】
各地に設置された終端装置は、中継するL2―VPN網10のエッジに配置されたL2スイッチなどのエッジ装置20と接続されており、必要に応じてVLAN(Virtual Local Area Network)設定されたネットワークにて通信を行う。
【0017】
ここで、エッジ装置20やBox−M40、Box−S30は、例えば通信事業者であるキャリアが所有する装置であり、Box−M40やBox−S30はキャリアがユーザに貸与して、ユーザの宅内や局内に設置される使用形態が想定される。また、Box−M40やBox−S30等の終端装置とエッジ装置20との間のネットワークは、アクセス網プロバイダ等のキャリア以外の地域業者が管理するネットワークで構成されていても良い。また、エッジ装置で挟まれるネットワークは、キャリアが管理するネットワークと考えても良い。なお、図1のネットワークのどの部分を誰が管理するかについては上述の例以外にも様々なバリエーションがあるが、本実施例は網1がどのように管理区分されていても実施することができる。
【0018】
図1では、地方などの拠点側の終端端末として、Box―S―1(30A)、Box―S―2(30B)、Box―S―3(30C)、Box―S―4(30D)の4台のBox―Sが配置されている。またセンタ側の終端端末として、1台のBox―M40が配置されている。その他、各終端装置を遠隔制御するコントローラ50もL2―VPN網10とL2スイッチなどのエッジ装置20Fを介して接続されている。
また、コントローラ50とBox―M40とBox―S30はL2―VPN網10を介し、VLANにてネットワークを構成している。具体的には、コントローラ50とBox―M40とBox―S―1(30A)とBox―S―2(30B)がVLAN IDがVLAN Aに設定されたネットワークを構築しており、コントローラ50とBox―M40とBox―S―3(30C)とBox―S―4(30D)がVLAN IDがVLAN Bに設定されたネットワークを構築している。
【0019】
コントローラ50とBox―M40又はBox―S30との間は、コントローラ50がBox―M40又はBox―S30を制御するため、主にイーサOAM信号を送受信するために構築された通信路である。各終端装置の間は、ユーザが拠点―センタ間の通信に用いるユーザフレームや後述する終端装置間の接続性監視等を行うイーサOAM信号を転送するための通信路である。
また各終端装置の間は、1台のセンタ側Box―M40の配下に複数の拠点側Box―S30が従属している形態をとる。一例をあげると、ある企業ネットワークにおいて、拠点側Box―S30の先に接続されるユーザ装置には各支店に設置された端末があり、センタ側Box―M40の先に接続されるユーザ装置には各支店を統括するデータセンタが設置されており、相互に送受信するネットワークである。前述の例はあくまで一例であり、本実施例が必ずしも前述の例に限定したものではない。
【0020】
図2は、ユーザ装置から転送され、Box―M40とBox―S30との間で送受信される、ユーザのデータを運ぶためのユーザフレームのフレーム構成例である。
ユーザフレームは例えば、宛先MACアドレス2000、送信元MACアドレス2010、VLANタグ2020、Type2030、ペイロード2040から構成される。VLANタグ2020は、IEEE 802.1Qで標準化されている。VLANタグ2020は、VLANタグであることを示すTP ID2050、フレームの優先度を示すCos2060、トークンリングのカプセル化フラグCFI2070、VLANの識別に使用するVID2080より構成される。VID2080により、L2―VPN網内の経路が決定する。Type2030は上位層のプロトコルを識別する番号である。例えば、IPv4であれば0x0800である。ペイロード2040は、ユーザフレームのデータ本体を示す。
【0021】
図3はBox―M40やBox―S30やコントローラ50が送受信する、イーサOAM信号のフレーム構成例である。
イーサOAM信号は例えば、宛先MACアドレス3000、送信元MACアドレス3010、VLANタグ3020、Type3030、ペイロード3040から構成される。イーサOAM信号のType3030は0x8902である。ペイロード3040はイーサOAMのデータであり、IEEE 802.1ag、ITU―T Y.1731でフォーマットが規定されている。ペイロード3040は、MEL3050、Version3060、OpCode3070、Flags3080、TLV Offset3090、OAMデータ3100から構成される。MEL3050はイーサOAM信号の管理レベル(MEGレベル)を示す。Version3060はイーサOAM信号のバージョンを識別するための識別子である。OpCode3070はイーサOAM信号の機能を識別するための識別子である。例えば、イーサOAM信号が接続性監視に利用されるCCMフレームであるEth―CC信号であれば0x01である。Flags3080は、Eth―CC信号ではOAM終端ノードでの通信警報検知や送信周期を示す。TLV Offset3090は、TLV(Type Length Value)までの固定フィールドのByte数を示す。OAMデータ3100は、OpCode3070別に規定されたデータを示す。
【0022】
イーサOAM信号を送受信する際、コントローラ50やBox―M40やBox―S30は送信先によって、イーサOAM信号内のMEL3050を変更することでMEGレベルを変える。即ち、コントローラ50とBox―M40やBox―S30との間に用いるイーサOAM信号のMEGレベルに対して、Box―M40とBox―S30との間に用いるイーサOAM信号のMEGレベルは、より大きい値が設定される。例えば、コントローラ50と、Box―M40やBox―S30との間のイーサOAM信号のMEGレベルを「3」と設定した場合、Box―M40とBox―S30との間のイーサOAM信号のMEGレベルは「4」と設定される。これは、通信区間の種別が、ユーザ装置が送受信する回線の終端点同士を通信するBox―M40とBox―S30との通信と、終端装置を制御するための制御区間を通信するコントローラ50とBox―M40やBox―S30との通信が異なるためである。
なお、MEGレベルはユーザ拠点間を保守管理の対象とする場合は高い数値に設定されるのが一般的である。そして、アクセス網プロバイダの網間や、キャリアのコア網と、保守管理の対象となるネットワークが狭くなるにつれて、MEGレベルは低い数値に設定されるのが一般的な取り決めである。
【0023】
図4は、イーサOAM信号が接続性監視に利用されるEth―CC信号である場合のOAMデータ3100を示すフレーム構成例である。
Eth―CC信号の場合、イーサOAMのOAMデータ3100は例えば、Sequence Number4000、MEP ID4010、MEG ID4020、TxFCf4030、RxFCb4040、TxFCb4050、Reserved4060、End TLV4070から構成される。各項目はITU―T Y.1731で規定されている。Sequence Number4000は本信号のシーケンス番号を示している。MEP ID4010は宛先MEP IDを示す。MEG ID4020は本信号が属するMEG IDを示す。TxFCf4030は本Eth―CC信号の送信までに対向MEPに送出したユーザフレームの総数を表す。RxFCb4040は前回Eth―CC信号と本Eth―CC信号の受信の間に対向MEPから受信したユーザフレーム数を表す。TxFCb4050は、前回Eth―CC信号と本Eth―CC信号の送出の間に対向MEPに送出したユーザフレーム数を表す。Reserved4060は未使用領域を示す。End TLV4070はOAMデータ3100の終端を示す。
【0024】
本実施例では、Reserved4060の領域を利用して、コントローラ50、Box−M40、Box−S30間でEth−CC信号を効率的に送受信するのに必要な情報の送受信を行う。このため、本実施例ではReserved4060の領域に制御/ユーザ回線判定領域4061と、シリアルナンバー4062と、ユニットID4063を設けている。
【0025】
制御/ユーザ回線判定領域4061は、Box−M40やBox−S30等の終端装置が最初のEth−CC信号を受信した場合に、そのEth−CC信号がコントローラ50からのものであるのか、もしくは他の終端装置からのものであるのかを判断するための情報を格納する。具体的にはReserved4060の領域は48ビット存在するが、例えば先頭の1ビットを制御/ユーザ回線判定領域4061と定義する。例えば制御/ユーザ回線判定領域4061が「1」の場合は該当のEth―CC信号はコントローラ50からのEth―CC信号とする一方、制御/ユーザ回線判定領域4061が「0」の場合は該当のEth―CC信号は終端装置(Box―M40やBox―S30)からのEth―CC信号とする。
【0026】
シリアルナンバー4062には、ベンダが各終端装置の出荷時にユニークに設定した番号、例えばBox―M40やBox―S30の製造番号等であるシリアルナンバーが格納される。ただし、このシリアルナンバーについては一例であり、コントローラ50が任意の終端装置を他の終端装置と区別して一意に識別することができる識別情報であれば良い。このシリアルナンバー4062は、例えばReserved4060の領域において、先頭から、2ビット目から15ビット目(14ビット分)に格納されている。14ビット分では、1〜16383のシリアルナンバーをそれぞれユニークに設定可能となる。
後述するように、本実施例では、コントローラ50がオペレータから登録情報を入手した後に最初のEth−CC信号を終端装置から受信したときに、コントローラ50はそれら終端装置のシリアルナンバーは知っているが、MACアドレスは知らない状態である。このためコントローラ50は、このシリアルナンバー4062を確認することで、どの終端装置からEth−CC信号が送信されたのかを判断する。
【0027】
ユニットID4063には、通信事業者が構築するネットワーク内において、各終端装置へユニークに設定するIDが格納される。例えば、網1において、VLAN毎に各終端装置を一意に識別するために、各終端装置へユニークに設定するIDである。ただし、このIDについては一例であり、終端装置が自身が属するネットワーク(例えばVLANなど)において、他の終端装置を一意に識別することができる識別情報であれば良い。前述のユニットIDは、例えばReserved4060の領域において、先頭から、16ビット目から23ビット目(8ビット分)に格納されている。8ビット分では、1〜255のユニットIDをそれぞれユニークに設定可能となる。
後述するように、本実施例では、Box―M40やBox―S30が通常運用移行後に最初のEth−CC信号を他の終端装置から受信したときに、Eth−CC信号を送信した他の終端装置のユニットIDは知っているが、MACアドレスを知らない状態である。このためこれらEth−CC信号を初めて受信した終端装置は、このユニットID4063を確認することで、どの終端装置からEth−CC信号が送信されたのかを判断する。
【0028】
本実施例では上述のように、Reserved4060の領域を加工して必要な情報を送受信するようにしているが、これは本手法に拘ったものではなく、あくまで一例として挙げたものであり、Eth―CC信号内のReserved4060以外の領域を使用するよう装置間で定義して、これら情報を格納しても良い。例えばシリアルナンバーやユニットIDについては、MEG ID4020などIDを格納可能な適切な領域を用いても構わない。
【0029】
図5はコントローラ50のブロック図の一例である。
コントローラ50は、例えば、IF部5000、5010と、コントローラ制御部5020と、イーサOAM生成部5030と、イーサOAM終端・処理部5040から構成されている。コントローラ制御部5020は例えば、登録情報管理部5050と、通知監視部5060から構成されている。登録情報管理部5050は例えば、登録情報DB5055を内蔵する。通知監視部5060には例えば、接続性監視部5070が内蔵されている。
【0030】
コントローラ50は、オペレータとの情報の送受信を、外部とのインタフェースであるIF部5010を経由してコントローラ制御部5020にて行う。登録情報管理部5050内の登録情報DB5055は、オペレータから通知された各終端装置Box―M40やBox―S30の登録情報が格納されるデータベースである。この登録情報は、Box―M40やBox―S30を通常運用に移行させるために必要なだけでなく、該当装置との接続性監視にも利用される。イーサOAM生成部5030は、登録情報管理部5050の指示に従い、Box―M40やBox―S30に向けた制御のためのイーサOAM信号を生成・送信する機能を持つ。イーサOAM生成部5030にて生成されたイーサOAM信号は、IF部5000を経由してL2―VPN網10へ送信される。登録情報DB5055については図11で後述する。
イーサOAM終端・処理部5040は、L2―VPN網10から送信される信号を自宛のイーサOAM信号か否か判定する機能を持つ。イーサOAM終端・処理部5040は、該当信号を自宛のイーサOAM信号と判定すると、該信号を通知監視部5060や登録情報管理部5050へ転送する。通知監視部5060はイーサOAM終端・処理部5040から転送される信号を解析し、通知信号ならば、必要に応じてオペレータにBox―M40やBox―S30の状態を通知する。また、接続性監視部5070はBox―M40やBox―S30からのEth―CC信号を監視しており、一定時間Eth―CC信号を受信しない場合、該当装置との接続性に異常が発生したと判定して、オペレータへの通知を実施する。
【0031】
コントローラ50は、Box−M40やBox―S30との接続性監視を行うためにEth―CC信号をそれら終端装置に送信する場合、宛先MACアドレスをマルチキャストMACアドレスに設定して、自装置に登録されたVLAN ID毎に各終端装置へ送信する。コントローラ50は宛先MACアドレス3000をマルチキャストMACアドレスに設定したEth―CC信号を送信することで、複数の終端装置に一括送信することが可能になる。
【0032】
図6はセンタ側終端装置Box―M40のブロック図の一例である。
Box―M40は、例えば、IF部6000、6010と、イーサOAM分離・終端部6020と、イーサOAM挿入・多重部6030と、端末制御部6040から構成される。端末制御部6040は例えば、接続先テーブル管理部6050と、イーサOAM処理部6060と、通知監視部6070と、設定管理部6080から構成される。通知監視部6070には例えば、接続性監視部6110が内蔵されている。イーサOAM分離・終端部6020やイーサOAM挿入・多重部6030には例えば、フレームバッファ部6090、6100が内蔵されている。接続先テーブル管理部6050は例えば、接続先DB6055が内蔵されている。
【0033】
Box―M40は、L2―VPN網10からの信号を外部とのインタフェース部であるIF部6000を経由し、イーサOAM分離・終端部6020内のフレームバッファ部6090で受信する。イーサOAM分離・終端部6020は、受信した信号をイーサOAM信号かユーザフレームかを判定する機能を持つ。イーサOAM分離・終端部6020は、受信した信号をユーザフレームと判定すると、外部とのインタフェース部であるIF部6010を経由し、ユーザ装置へ転送する。イーサOAM分離・終端部6020は、受信した信号をイーサOAM信号と判定すると、ユーザ装置へ転送せずに端末制御部6040内のイーサOAM処理部6060へ転送する。イーサOAM処理部6060では、受信したイーサOAM信号の内容を確認して、必要な処理を実施する。
【0034】
イーサOAM処理部6060は、受信したイーサOAM信号のMEL3050から当該信号のMEGレベルを読み取り、イーサOAM信号の透過または終端を判断する。イーサOAM信号のMEGレベルが、イーサOAM処理部6060の保持する終端MEGレベル、つまりBox−M40が処理すべきMEGレベルよりも大きい場合、イーサOAM処理部6060は、イーサOAM信号を透過処理する。この透過処理とは、イーサOAM分離・終端部6020から転送されたイーサOAM信号を、イーサOAM分離・終端部6020へそのまま折り返し、イーサOAM挿入・多重部6030から送られてきたイーサOAM信号は、イーサOAM挿入・多重部6030へそのまま折り返す処理である。
イーサOAM信号のMEGレベルが、イーサOAM処理部6060の保持する終端MEGレベルより小さい場合、イーサOAM処理部6060はイーサOAM信号を破棄する。
【0035】
イーサOAM信号のMEGレベルが、イーサOAM処理部6060の保持する終端MEGレベルと同じ場合、イーサOAM処理部6060はイーサOAM信号を終端し、イーサOAM信号の処理を行う。この時、L2―VPN網10から受信したイーサOAM信号がEth―CC信号であれば、イーサOAM処理部6060は、送信元MACアドレスやユニットIDや制御/ユーザ回線判定領域4061の情報を確認して、該情報を接続先テーブル管理部6050に展開する。接続先テーブル管理部6050は必要に応じて、接続先DB6055に送信元MACアドレス等を登録する。接続先テーブル管理部管理部6050は、コントローラ50から転送される自身に従属するBox―S30の状態の把握や、受信したEth―CC信号などから取得した送信元MACアドレスを基に自身と接続されている対向装置の状態を把握している。接続先DB6055は、接続されている対向措置のユニットIDやMACアドレス等を格納するためのデータベースであり、図12で後述する。
【0036】
設定管理部6080は、コントローラ50から転送された自装置への登録情報を格納・管理している。設定管理部6080が格納・管理する登録情報は例えば、網1では、Box―M40はVLAN AとVLAN Bの2種類のVLAN IDに収容されているので、VLAN A、VLAN B毎の対向装置であるBox−S30のユニットIDなどが格納される。設定管理部6080は、コントローラ50から転送される情報から、自身に従属するBox―S30についての情報等、必要な情報を接続先テーブル管理部6050へ展開する。通知監視部6070は、他装置からの障害通知や自装置内の障害状況を監視しており、必要に応じてコントローラ50や対向するBox−S30などに自装置が検出した情報を通知する機能を備える。該通知には、例えばイーサOAM処理部6060に指示を出し、イーサOAM処理部6060にて必要なイーサOAM通知信号を生成してもよい。
【0037】
接続性監視部6110は、通知監視部6070内で、コントローラ50や他の終端装置との接続性を監視している。接続性監視部6070は、接続先テーブル管理部6050とイーサOAM処理部6060を利用して接続性監視を実施する。即ち、接続性監視部6110は、接続先DB6055に登録されているデータベースを参考に、イーサOAM処理部6060がコントローラ50や対向の終端装置からEth―CC信号を一定時間内に受信するか否かで、該当装置との接続性を監視している。
【0038】
Box―M40は、ユーザ装置から信号が送信されると、IF部6010を経由し、イーサOAM挿入・多重部6030内のフレームバッファ部6100で受信する。イーサOAM挿入・多重部6030は受信した信号をイーサOAM信号かユーザフレームかを判定する機能を持つ。イーサOAM挿入・多重部6030は、受信した信号をユーザフレームと判定すると、外部とのインタフェース部であるIF部6000を経由し、L2―VPN網10へ転送する。イーサOAM挿入・多重部6030は、受信した信号をイーサOAM信号と判定すると、L2―VPN網10へ転送せずに端末制御部6040内のイーサOAM処理部6060へ転送する。このように、この実施例の終端装置は必要に応じてOAM信号を終端するものである。
端末制御部6040は、接続先テーブル管理部6050と、設定管理部6080と、通知監視部6070と、イーサOAM処理部6060を統括して、自装置全体の制御を行う。
【0039】
Box―M40からコントローラ50に通知情報やEth―CC信号を送信する場合、Box―M40はコントローラ50へ個別に送信すればよいので、宛先MACアドレス3000はコントローラ50のMACアドレスに設定して、ユニキャストMACアドレスにて送信する。
一方、Box―M40は、配下のBox―S30との接続性監視を行うためにEth―CC信号を送信する場合、宛先MACアドレス3000をマルチキャストMACアドレスに設定して、自装置に登録されたVLAN ID毎に各終端装置へ送信する。Box―M40はマルチキャストMACアドレスに設定したEth―CC信号を送信することで、配下の複数のBox―S30に一括送信することが可能になる。
【0040】
図7は拠点側終端装置Box―S30のブロック図の一例である。
Box―S30は例えば、IF部7000、7010と、イーサOAM分離・終端部7020と、イーサOAM挿入・多重部7030と、端末制御部7040から構成される。端末制御部7040は例えば、コントローラ/マスタテーブル管理部7050と、イーサOAM処理部7060と、通知監視部7070と、設定管理部7080から構成される。通知監視部7070には例えば、接続性監視部7110が内蔵されている。イーサOAM分離・終端部7020やイーサOAM挿入・多重部7030には例えば、フレームバッファ部7090、7100が内蔵されている。コントローラ/マスタテーブル管理部7050は例えば、コントローラ/マスタDB7055が内蔵されている。
コントローラ/マスタテーブル管理部7050とコントローラ/マスタDB7055以外の各ブロックの詳細は、図6のBox―M40のブロック図と同様なので、詳細な説明は省く。コントローラ/マスタテーブル管理部7050は、図6の接続先テーブル管理部6050に代わるものである。コントローラ/マスタテーブル管理部7050は、対向装置であるコントローラ50やBox―M40のMACアドレスを管理する機能を持つ。コントローラ/マスタDB7055については、図13で後述する。
【0041】
また、Box―S30からコントローラ50に通知情報やEth―CC信号を送信する場合、Box―S30はコントローラ50へ個別に送信すればよいので、Box―M40と同様に、宛先MACアドレス3000はコントローラ50のMACアドレスに設定して、ユニキャストMACアドレスにて送信する。その他、従属先のBox―M40との接続性監視を行うためにEth―CC信号を送信する場合も、Box―S30は、従属先のBox―M40のみに送信すればよいので、宛先MACアドレス3000はBox―M40のMACアドレスに設定して、ユニキャストMACアドレスにて送信する。
【0042】
図8は網1において、コントローラ50とセンタ側終端装置Box―M40との間で実施される通常運用までの立ち上げに関するシーケンス図である。
コントローラ50には予めオペレータが設定したBox―M40に関する設定情報が登録情報DB5055に登録されている(S−8000)。オペレータがどのような情報を予め登録情報DB5055に登録するかについては、図11(A)にて後述する。
コントローラ50は登録情報DB5055に情報が登録されたことを契機に、イーサOAM生成部5030が定期的にL2―VPN網に対してEth―CC信号を送信する(S−8010)。この時、Eth―CC信号内の宛先MACアドレス3000は、マルチキャストMACアドレスとする。宛先MACアドレス3000をマルチキャストMACアドレスに設定することで、後述する拠点側終端装置Box―S30にも該Eth―CC信号を一括して届けることが可能になる。
【0043】
なお、Eth−CC信号の送信をマルチキャストで行なう場合には、例えば非特許文献1で規定されたOAMフレーム用のマルチキャストMACアドレスを利用することができる。このマルチキャストMACアドレスを使用すれば、Eth−CC信号を受信する終端装置は宛先MACアドレス3000に、規格で規定されたマルチキャストMACアドレスが格納されていることを確認して処理をすることができる。
【0044】
また非特許文献1では、MEGレベルによって、イーサOAM信号で用いるマルチキャストMACアドレスが異なる。前述の例では、MEGレベルが「3」であれば、マルチキャストMACアドレスは「0x01−0x80−0xC2―0x00−0x00−0x33」であり、MEGレベルが「4」であれば、マルチキャストMACアドレスは「0x01−0x80−0xC2―0x00−0x00−0x34」である。このマルチキャストMACアドレスは、Eth―CC信号にも適用される。ただし、MEGレベルの設定値は前述に拘ったものではなく、一例として挙げるものである。この実施例では、Eth−CCフレームを送受信する区間の広狭によって、使用するマルチキャストMACアドレスが異なる場合もある。
【0045】
また、上記のような規格で規定されたMACアドレスではなく、ユーザやキャリアが任意に決定したマルチキャストMACアドレスを用いても良い。任意のマルチキャストMACアドレスを用いる場合には、どのようなマルチキャストMACアドレスを用いてEth−CC信号を送受信するのかを、コントローラ50、Box−M40、Box―S30に予め設定しておく必要がある。
【0046】
コントローラ50からEth―CC信号を受信したBox―M40は、イーサOAM分離・終端部6020にて該当信号がイーサOAM信号であると判定する(S−8020)。その後、イーサOAM処理部6060が該当信号をEth―CC信号であり、さらに制御/ユーザ回線判定領域4061を参照することで、コントローラ50からのEth―CC信号と判定する。
Box―M40やBox―S30は、立ち上げ後にコントローラ50からEth−CC信号を受信する時点で(S―8020)、コントローラや自装置以外の終端装置に関する情報を取得していない。そこで、Box―M40やBox―S30は、受信するEth―CC信号の送信元種別を判別するのに制御/ユーザ回線判定領域4061を用いる。
図4で説明したとおり、コントローラ50はマルチキャストMACアドレスを宛先MACアドレス3000としてEth−CC信号を送信するときに、制御/ユーザ回線判定領域4061に「1」を設定する。また、終端装置がEth−CC信号を送信するときは、制御/ユーザ回線判定領域4061には「0」が設定されている。このため、Box−M40は送信元MACアドレス3010に自装置が知らないMACアドレスが格納されたEth−CC信号を受信しても、制御/ユーザ回線判定領域4061に「1」が格納されていることを確認すれば、この信号がコントローラ50からのものであると判断できる。
【0047】
Box―M40が、コントローラ50からのEth―CC信号を確認すると、該Eth―CC信号からの送信元MACアドレス3010を接続先DB6055へ登録する(S−8020、S―8030)。この処理によって、Box―M40は、コントローラ50のMACアドレスを認識可能になる。同時に、Box―M40は受信したEth―CC信号内のVLANタグ3020から、コントローラ50との間に構成されたVLAN IDが認識可能である。
【0048】
コントローラ50のMACアドレスを接続先DB6055へ登録すると、Box―M40の端末制御部6040は、イーサOAM挿入・多重部6030に、宛先MACアドレス3000に該コントローラ50のMACアドレス(ユニキャストMACアドレス)を設定したEth―CC信号を定期的に送信するように指示を出す(S−8040)。Box―M40は、コントローラ50からのEth―CC信号において、送信元MACアドレス3010を取得することで、前述のコントローラ50へのEth―CC信号送信が可能になる。
なお、Box−M40がコントローラ50に送信するEth−CC信号には、シリアルナンバー4062にBox−M40のシリアルナンバーが格納されている。
【0049】
Box―M40からEth―CC信号を受信したコントローラ50のイーサOAM終端・処理部5040は、該信号をEth―CC信号と認識して、該信号を登録情報管理部5050へ転送する。登録情報管理部5050は、該信号内のシリアルナンバー4062を登録情報DB5055へ照会をかける。登録情報管理部5050は、照会したシリアルナンバー4062を登録情報内に登録されたBox―M40のシリアルナンバー1102と一致させると、該Eth―CC信号の送信元MACアドレス3010をBox―MのMACアドレス1103として登録情報DB5055へ登録する(S−8050、S―8060)。
前述のMACアドレスの登録後、コントローラ50は引き続き該当のBox―M40に対して通常運用に必要な設定を実施していく(S−8070)。
【0050】
Box―M40は、コントローラ50から送信される設定情報を設定管理部6080に登録し、通常運用へ必要な処理を実施していく。通常運用に必要な設定が完了すると、Box―M40は通常運用に移行する(S−8080、S−8090、S−8100、S―8110)。
【0051】
その後、Box―M40とコントローラ50との間で互いに定期的に送受信するEth―CC信号を使用して、コントローラ50とBox―M40は、互いに接続性監視を実施していく。また、詳細は後述するが、コントローラ50から受信する設定情報(S−8070)には、Box−M40が他の終端装置に対して上位装置(マスタ)であるとの情報も含まれているため、通常運用に移行したBox―M40はBox―S30に対してEth―CC信号を定期的に送信する(S―8110)。この時Box―M40は、まだ配下の全てのBox―S30との接続性が確認できていないので、配下の全てのBox―S30との接続性について、接続性異常と判定した状態で通常運用に移行している。
【0052】
ここで、網1において、Box―M40は、VLAN IDがVLAN A、VLAN Bに従属したネットワークにそれぞれ接続されている。また、コントローラ50は登録情報DB5055を基にVLANタグ3020がVLAN A、VLAN Bの2種類のEth―CC信号を定期的に送信している。よって、Box―M40は、コントローラ50から前述の2種類のEth―CC信号を受信し、それぞれのVLAN IDを学習する。そして、それぞれのVLAN IDをVLANタグ3020に格納した2種類のEth―CC信号を生成し、コントローラ50へ送信している。この時、コントローラ50は以後のBox―M40への登録情報の通知には、前述のどちらのVLAN IDを用いて登録情報を転送しても構わないし、所属するVLAN内の登録情報をVLAN毎に転送しても構わない。
【0053】
また、Box―M40への設定情報の転送(S−8070)には例えば、OpCode3070が0x33と設定された、ベンダが独自に設定可能であるVSM(Vendor Specific OAM Message)信号の適切な領域に設定情報を格納させ、コントローラ50がBox―M40へ送信することで可能となる。また、他にも外部からBox−M40に設定情報を登録しても構わない。例えば、工事業者がBox―M40を設置する際に工事業者の所有する登録専用端末からBox―M40へ設定情報を転送しても構わない。
【0054】
図9は網1において、コントローラ50と拠点側終端装置Box―S30との間で実施される、通常運用までの立ち上げに関するシーケンス図である。
この時の処理内容については、上述のコントローラ50とセンタ側終端装置Box―M40との間で実施されるシーケンスと同様の処理のため詳しい説明は省略する。ただし、Box−S30に対し通常運用に必要な設定が完了した後の動作は、Box―S30とBox−M40とで異なる。コントローラ50から受信する設定情報(S−9070)には、Box−S30が他の終端装置に対して下位装置(スレーブ)であるとの情報も含まれているため、Box−S30は、通常運用に移行する際、他の終端装置に対してEth―CC信号を送信するのでは無く、マスタの終端装置(この実施例ではBox―M40)からのEth―CC信号を待機する動きをとる(S―9110)。
【0055】
コントローラ50とBox―S30との通信に対しては、互いに定期的にEth―CC信号を送受信することで接続性監視を開始する。なお、Box−M40がコントローラ50に送信するEth−CC信号には、シリアルナンバー4062にBox−S30のシリアルナンバーが格納されている。コントローラ50は、Box−S30から初めてEth−CC信号を受信するとき、Box−S30のMACアドレスを知らないため、このシリアルナンバー4062と登録情報DB5055のシリアルナンバー1102とを比較して、どのBox−S30から信号を受信したのかを特定することは、Box−M40との間の処理と同様である。
【0056】
Box−S30は、Box−M40からのEth−CC信号を待っている間は、まだ従属先のBox―M40との接続性が確認できていないので、Box―M40との接続性について、接続性異常と判定した状態で通常運用に移行している。
また、Box―S30への設定情報の転送には、コントローラ50からの通信を利用しているが、他にも外部から設定情報を登録しても構わない。例えば、工事業者がBox―S30を設置する際に工事業者の所有する登録専用端末からBox―S30へ設定情報を転送しても構わない。
【0057】
図10は網1において、センタ側終端装置Box―M40と拠点側終端装置Box―S30との間で実施される、接続性確認実施までのシーケンス図である。前述したように、Box―M40、Box―S30は互いにEth―CC信号を受信できていないので、両者とも対向装置との接続性に異常があると判定して通常運用に移行している。
【0058】
前述のように通常運用に移行したBox―M40は、コントローラ50から自装置がマスタであると通知されているため(図8のS−8070)、Box―S30に対して、VLAN ID毎に定期的なEth―CC信号の送信を開始している(図8のS―8110)。一方、通常運用に移行したBox―S30は、前述のようにBox―M40からのEth―CC信号を受信するまで待機している(図9のS―9110)。
この時、該当のEth―CC信号の宛先MACアドレス3000は規格により、もしくはキャリアやユーザによってあらかじめ定められたマルチキャストMACアドレスが設定されている。よって網1では、VLAN IDがVLAN Aに設定されたEth−CC信号をBox―S―1(30A)とBox―S―2(30B)が受信し、VLAN IDがVLAN Bに設定されたEth−CC信号をBox―S―3(30C)とBox―S―4(30D)が受信する。
また、Box−M40がマルチキャストMACアドレスを用いて送信するEth−CC信号のユニットID4063には、コントローラ50から設定されたBox−M40のユニットIDが格納されている。
【0059】
Box―M40からEth―CC信号を受信したBox―S30は、イーサOAM終端・分離部7020にて該信号をEth―CC信号と判定し、イーサOAM処理部7060にて該信号をBox―M40からのEth―CC信号と判定する(S―10000)。
イーサOAM処理部7060は、受信するEth―CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061を確認することで、コントローラ50とBox−M40のどちらが送信したEth―CC信号かを判定できる。該信号をBox−M40からのEth―CC信号と判定したイーサOAM処理部7060は、続いて該信号内のユニットIDの情報と送信元MACアドレス3010の情報をコントローラ/マスタテーブル管理部7050へ転送する。コントローラ/マスタテーブル管理部7050は、コントローラ/マスタDB7055を用いて、送信元のBox−M40を特定する。送信元のBox−M40の特定には、転送されたユニットIDの情報を利用する。
【0060】
コントローラ/マスタDB7055には通常運用立ち上がり時に作成した自身との接続先に関するテーブル情報が作成されており(図9のS―9070でコントローラ50が送信する設定情報を利用してテーブルを作成している)、Box−S30はBox−M40のユニットIDをコントローラ50から設定されていて、これを基に送信元の終端装置を特定することが可能である。終端装置の特定の結果、コントローラ/マスタテーブル管理部7050は、該Eth−CC信号が従属先であるBox―M40からのEth―CC信号と判定する。その後、コントローラ/マスタテーブル管理部7050はコントローラ/マスタDB7055に該信号の送信元MACアドレス3010を登録する(S―10010)。この時、Box―S30は、対向Box―M40との間に接続が確立されたと判定して、接続性異常を解消する(S―10020)。その後Box―S30は、Box―M40へ定期的にEth―CC信号を送信し始める(S―10030)。
【0061】
この、Box−S30がBox−M40へ送信するEth−CC信号のユニットID4063には、Box−S30のユニットIDが格納されている。
【0062】
この時、Box―S30は、前述にて登録した、Box―M40から受信したEth―CC信号の送信元MACアドレス3010を、Box―M40宛のEth―CC信号の宛先MACアドレス3000に使用している。つまり、Box―S30が送信するEth―CC信号の宛先MACアドレスは、Box―M40が送信するEth―CC信号と違い、ユニキャストMACアドレスであり、該当のBox―M40のみが受信可能である。
【0063】
Box―S30から送信された前述のEth―CC信号は、Box―M40のイーサOAM分離・終端部6020で受信される(S―10040)。該信号は、イーサOAM分離・終端部6020でイーサOAM信号と判定され、イーサOAM処理部6060へ転送される。イーサOAM処理部6060は、該信号をEth―CC信号と確認すると、引き続き制御/ユーザ回線判定領域を確認して、コントローラ50ではなく終端装置からのEth―CC信号と判定する。イーサOAM処理部6060は、前述の判定を実施すると、該信号から取り出した送信元である終端装置のユニットIDの情報と送信元MACアドレス3010の情報を接続先テーブル管理部6050へ展開する。
接続先テーブル管理部6050はBox―S30と同様、前述のユニットIDを検索キーにして、接続先DB6055を検索して送信元装置を特定する。送信元装置を特定したBox―M40は、該信号の送信元のMACアドレス3010を接続先DB6055へ登録する(S―10050)。Box―M40は、この時、該Box―S30との接続が確立されたと判定して、接続性異常を解消する(S―10060)。
Box―M40、Box―S30は、互いにMACアドレスを学習した以後、互いに定期的に送受信するEth―CC信号を利用することで、接続性監視が実施可能になる。
【0064】
図11は、コントローラ50の登録情報DB5055に格納されるテーブル情報の一例である。
例えば、網1において、Box―M40のMACアドレスをM、シリアルナンバーを0001、所属するVLAN IDをVLAN A、VLAN B、VLAN AでのユニットIDを1、VLAN BでのユニットIDを1とする。またBox―S―1(30A)のMACアドレスをS―1、シリアルナンバーを0002、所属するVLAN IDをVLAN A、VLAN AでのユニットIDを2とする。またBox―S―2(30B)のMACアドレスをS―2、シリアルナンバーを0003、所属するVLAN IDをVLAN A、VLAN AでのユニットIDを3とする。またBox―S―3(30C)のMACアドレスをS―3、シリアルナンバーを0004、所属するVLAN IDをVLAN B、VLAN BでのユニットIDを2とする。またBox―S―4(30D)のMACアドレスをS―4、シリアルナンバーを0005、所属するVLAN IDをVLAN B、VLAN BでのユニットIDを3とする。
【0065】
コントローラ50は前述のように、オペレータから終端装置Box―M40、Box―S30の登録情報を受ける(図8のS―8000、図9のS―9000)。図11(A)は、このときオペレータ50が登録情報DB5055に予め登録する情報の一例である。最初の設定情報としてオペレータからは例えば、接続されるBox―M40やBox―S30の所属するVLAN ID1100や、VLAN内でのユニットID1101や、シリアルナンバー1102や、終端装置種別1105や接続先終端装置のユニットID1106の情報が登録される。
ここで終端装置種別とは、例えばBox−M40であれば、他の終端装置であるBox−S30からのEth−CC信号を統べる上位装置、つまりマスタであるという情報であり、図11では“Box−M”として登録されている。同様にBox−S30であれば他の終端装置であるBox−M40に従属する下位装置、つまりスレーブであるという情報であり、図11では“Box−S”として登録されている。
【0066】
コントローラ50は、終端装置からEth―CC信号を受信すると(図8のS−8050、図9のS−9050)、図11(A)の設定内容から送信元の装置を特定する。すなわちコントローラ50は前述したように、受信したEth―CC信号に含まれる、終端装置のシリアルナンバー4062を検索キーとして登録情報DB5055を検索し、いずれの装置からEth−CC信号を受信したのかを特定できる。送信元の終端装置が判明すると、コントローラ50はそのEth−CC信号の送信元MACアドレス3010を、登録情報DB5055中で特定したシリアルナンバー1102に対応するMACアドレス1103の領域に登録する。
【0067】
その後、コントローラ50はMACアドレスを登録した終端装置に対して、その終端装置のVLAN ID毎のユニットID1101や、終端装置種別1105、接続先装置のユニットID1106、接続先装置の装置種別1105等の設定情報を転送し、終端装置を通常運用へ移行させる(図8のS−8070、図9のS9070)。
例えば、コントローラ50がBox―M40に設定情報を転送する場合、Box―M40のシリアルナンバー「0001」を検索キーとして、所属するVLAN ID1100としてVLAN A、VLAN Bを通知し、ユニットID1101としてVLAN Aでは1、VLAN Bでは1を通知し、終端装置種別情報1105としてVLAN A、B共にセンタ側終端装置(Box―M)を通知し、接続先装置のユニットID1106としてVLAN AではユニットID 2、3、VLAN BではユニットID 2、3を通知し、接続先装置種別としてVLAN AではユニットID 2は拠点側終端装置(Box―S)、ユニット ID 3は拠点側終端装置(Box―S)、VLAN BではユニットID 2は拠点側終端装置(Box―S)、ユニット ID 3は拠点側終端装置(Box―S)と通知することが可能である。
【0068】
Box−M40ではコントローラ50から通知された接続先に関する情報が接続先DB6055に登録され、Box−S30ではコントローラ/マスタDB7055に格納される。コントローラ50は、配下の全ての終端装置を順次通常運用に移行させると、図11(B)の情報を登録情報DB5055にて持つ。つまり、初期状態の図11(A)と比べると、図11(B)ではMACアドレス1103、運用状態1104に新たな情報が登録されている。
コントローラ50は、通常運用に移行したBox―M40やBox―S30からのEth―CC信号を受け取る際、該Eth―CC信号の送信元MACアドレスを該テーブル情報に照会することで、該当装置との接続正常性を判定する。
【0069】
また、例えばBox―M40又はBox―S30が故障などにより機器交換された場合、例えば、オペレータが該テーブル情報における、ユニットID1101は変更せずに既存の情報をそのまま引き継ぎ、該装置のシリアルナンバーを変更(上書き)し、該装置のMACアドレスを消去すれば良い。前述の処理を実施することで、コントローラ50は、改めて交換後のBox―M40又はBox―S30からMACアドレスを取得し、該装置へ改めて登録情報(交換前の終端装置へ登録した内容と同様の登録情報)の転送を行うことで、該当装置を通常運用へ移行させ、該装置との接続性監視を開始する。前述の処理によって、コントローラ50は、交換前のBox―M40又はBox―S30からのEth―CC信号が届かなくなることによる、誤った接続性異常の判定を下すことがなくなる。
【0070】
なお、図11はあくまで一例であり、例えば、該当装置に適用する帯域情報等、該ネットワーク構築に必要な情報を適宜追加・修正をしても構わない。
【0071】
図12は、接続性判定のためにBox―M40が作成する接続先DB6055のテーブル情報の一例である。接続先DB6055には例えば、VLAN ID1200毎に接続されるコントローラ50や配下のBox―S30の、ユニットID1201やMACアドレス1202や接続先種別1203や接続状態1204の情報が格納される。
【0072】
Box―M40は立ち上がり後、初めてコントローラ50からEth―CC信号を受信し(図8のS−8020)、該Eth―CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061を判定することで、該Eth―CC信号をコントローラ50からのEth―CC信号と特定し、このEth−CC信号の送信元MACアドレス3010をコントローラ50のMACアドレス1202(「C」とする)として登録する(図8のS−8030)。また、コントローラ50から受信したEth−CC信号のVLANタグ3020から、コントローラ50との間のVLAN ID1200も登録可能である。また、Eth−CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061から、接続先種別1203がコントローラである、という情報も登録できる。
【0073】
その後、コントローラ50から設定情報を受信することで(図8のS−8070)、Box―M40は通常運用に移行する(図8のS−8110)。図12における設定情報のうち配下のBox−S30に関する情報は、Box−S30が接続先でありスレーブであること(1203)、Box−S30のユニットID1201やVLAN ID1200である。また、図12には記載されていないが、コントローラ50はBox−M40に、Box−M40の装置種別1105も送信しているため、Box−M40は自装置が終端装置の中で上位装置(マスタ)であることを把握する。
このとき、移行直後はBox−M40は図12(A)のようなテーブル情報を持つ。つまり、移行直後のBox−M40はコントローラ50についてはEth−CC信号の受信(図8のS−8020)と設定情報の受信(図8のS−8070)により十分な情報を得ているが、配下のBox−S30については、コントローラ50からの設定情報の受信(図8のS−8070)によって接続先1203であることやVLAN ID1200、ユニットID1201、接続先種別1203はコントローラ50からの情報を提供されているものの、MACアドレス1202は未登録であり、接続状態1204はMACアドレスが登録されていないので「未接続」であり、接続性異常と検出されている。
【0074】
なお、図12ではコントローラ50のユニットID1201は0となっているが、この情報はコントローラ50が送信するEth―CC信号内に搭載されていても構わないし、コントローラ50からBox−M40に送信する設定情報(図8のS−8070)に含まれていても構わないし、又はシステムとして予め定義されていてBox−M40が事前に知っている(登録されている)ものでも構わない。いずれにしろ、ユニットID1201はVLAN内でユニークに設定されたIDであれば構わない。
【0075】
その後Box−M40は、収容する各Box―S30からEth―CC信号を受信すると(図10のS−10040)、Eth―CC信号内のユニットID4063を利用して、終端装置を特定するために接続先DB6055を照会する。接続先DB6055のユニットID1201と照会した結果、送信元の終端装置が確定すると、Box−M40は、該Eth―CC信号の送信元MACアドレス3010を該テーブル情報のMACアドレス1202に登録処理する(図10のS−10050)。前述の登録処理完了によって、Box―M40は該Box―S30との接続が完了したと判定し、接続状態を「未接続」から「接続」へ移行させ、接続性異常の判定を変更し、接続性正常と判定する(図10のS−10060)。
【0076】
図12(B)は、Box―M40が網1において、全ての接続先のMACアドレスの登録処理を完了した状態の接続先DB6055のテーブル情報である。Box―M40は、コントローラ50や通常運用に移行したBox―S30からのEth―CC信号を受け取る際、該Eth―CC信号の送信元MACアドレスを該テーブル情報に照会することで、接続正常性を判定している。
【0077】
また、例えばコントローラ50が故障などにより機器交換された場合、コントローラ50のMACアドレスが変更されてしまう。Box―M40は制御/ユーザ回線判定領域4061からコントローラ50からのEth―CC信号が判別可能である。よって、Box―M40は、コントローラ50からのEth―CC信号内の送信元MACアドレスが変更されていると、該テーブル情報にて、前述のMACアドレスをコントローラ50のMACアドレスとして変更(上書き)することで、オペレータからの特別な操作も必要無く、Box―M40はコントローラ50の変更(交換)にも対応可能となる。
このようにMACアドレスを書き換えることで、Box―M40は、交換前のコントローラ50からEth―CC信号が届かなくなっても、接続先DB6055から照会すべき故障したコントローラ50のMACアドレスが無くなっているので、誤って接続性異常の判定を下すことがなくなる。なお、Unit ID1201は機器交換の前後で同じ値を使用することができる。
【0078】
また、自身と接続されているBox―S30(例えばBox―S―1(30A))が故障などにより機器交換された場合、Box―M40は交換後のBox―S―1(30A)から、ユニットIDは以前と変わらないが、送信元MACアドレスが異なったEth―CC信号を受信するようになる。これは、機器交換の場合、終端装置自体は交換されるが、該終端装置における設定情報は交換前と同様の情報が交換後の終端装置に適用(コントローラ50から交換後の終端装置へ転送)されるためである。
この場合、Box―M40は、図12(B)のテーブル情報において、該ユニットID1201(図12(B)のユニットIDが2)に対応するMACアドレス1203を変更(上書き)することで、オペレータからの特別な操作も必要無く、対応可能となる。つまり、ユニットID1201は「2」を流用したまま、MACアドレス1203を書き換えるだけで良い。この処理により、Box―M40は、交換前のBox―S30からEth―CC信号が届かなくなるが、交換前のBox−S30のMACアドレスは接続先DB6055から無くなっているため、誤って接続性異常の判定を下すことがなくなる。
【0079】
なお、図12はあくまで一例であり、該テーブル情報に必要な情報を適宜追加・修正をしても構わない。
【0080】
図13は、接続性判定のためにBox―S30のコントローラ/マスタDB7055のテーブル情報の一例である。図13には特に網1のVLAN Aに属するBox―S―1(30A)もしくはBox―S―2(30B)のコントローラ/マスタDB7055の構成例について記載している。該テーブル情報は例えば、VLAN ID1300毎に接続されるコントローラ50や従属先のBox―M40の、ユニットID1301やMACアドレス1302や接続先種別1303や接続状態1304の情報が格納される。
【0081】
Box―S30は立ち上がり直後、Box―M40と同様、コントローラ50からEth―CC信号を受信し(図9のS−9020)、該Eth―CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061を判定することで、該Eth―CC信号をコントローラ50からのEth―CC信号と特定し、このEth−CC信号の送信元MACアドレス3010をコントローラ50のMACアドレス1302として登録する(図9のS−9030)。また、コントローラ50から受信したEth−CC信号のVLANタグ3020から、コントローラ50との間のVLAN ID1300も登録可能である。また、Eth−CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061から、接続先種別1303がコントローラである、という情報も登録できる。
【0082】
その後、コントローラ50から設定情報を受信することで(図9のS−9070)、Box―S30は通常運用に移行する(図9のS−9110)。図13における設定情報のうち従属先であるBox−M40に関する情報は、Box−M40が接続先でありマスタであること(1303)、Box−M40のユニットID1301やVLAN ID1300である。また、図13には記載されていないが、コントローラ50はBox−S30に、Box−S30の装置種別1105も送信しているため、Box−S30は自装置が終端装置の中で下位装置(スレーブ)であることを把握する。
【0083】
このとき、移行直後はBox−S30は図13(A)のようなテーブル情報を持つ。つまり、移行直後のBox−S30はコントローラ50についてはEth−CC信号の受信(図9のS−9020)と設定情報の受信(図9のS−9070)により十分な情報を得ているが、従属先のBox−M40については、コントローラ50からの設定情報の受信(図9のS−9070)によってVLAN ID1300やユニットID1301、接続先種別1303はコントローラ50から情報を提供されているものの、MACアドレス1302は未登録であり、接続状態1304はMACアドレスが登録されていないので「未接続」であり、接続性異常と検出されている。
【0084】
なお、図13でも図12と同様に、コントローラ50のユニットID1301は0となっているが、この情報はコントローラ50が送信するEth―CC信号内に搭載されていても構わないし、コントローラ50からBox−S30に送信する設定情報(図9のS−9070)に含まれていても構わないし、又はシステムとして予め定義されていてBox−S30が事前に知っている(登録されている)ものでも構わない。いずれにしろ、ユニットID1301はVLAN内でユニークに設定されたIDであれば構わない。
【0085】
その後も、Box―M40と同様なので簡略するが、Box―S30は、Box―M40からEth―CC信号を受信すると(図10のS−10000)、制御/ユーザ回線判定領域4061を確認し、該信号を終端装置からのEth―CC信号と判定し、該信号に含まれるユニットID4063をコントローラ/マスタDB7055のユニットID1301と比較してBox―M40からのEth―CC信号であると特定する。
Box―S30は、Eth−CC信号の送信元をBox―M40と特定すると、該Eth―CC信号の送信元MACアドレス3010をコントローラ/マスタDB7055のMACアドレス1302の領域に登録する(図10のS−10010)。前述の登録処理完了によって、Box―S30は該Box―M40との接続が完了したと判定し、接続状態を「未接続」から「接続」へ移行させ、接続性異常の判定を変更し、接続性正常と判定する(図10のS−10020)。
以後、Box−S30はBox−M40のMACアドレス1302を用いて、定期的にBox−M40に対してEth−CC信号を送信する。またBox−S30はコントローラ50のMACアドレスが登録されると、そのMACアドレス1302を用いて、定期的にコントローラ50に対してEth−CC信号を送信する。これらEth−CC信号のユニットID4063には、Box−S30のユニットIDが格納されている。
【0086】
図13(B)は、Box―S―1(30A)もしくはBox―S―2(30B)が網1のVLAN Aにおいて、全ての接続先のMACアドレスの登録処理が完了した状態のテーブル情報である。Box―S30は、コントローラ50や通常運用に移行したBox―M40からのEth―CC信号を受け取る際、該Eth―CC信号の送信元MACアドレスを該テーブル情報に照会することで、接続正常性を判定している。
【0087】
また、例えばコントローラ50が故障などにより機器交換された場合、コントローラ50のMACアドレスが変更されてしまう。この時、Box―S30は前述のBox―M40と同様の処理を行うことで、オペレータからの特別な操作も必要無く、Box―S40はコントローラ50の変更(交換)にも対応可能となる。この場合、Box―S30は、交換前のコントローラ50からEth―CC信号が届かなくなるが、誤って接続性異常の判定を下すことがなくなる。
【0088】
また、自身と接続されているBox―M40が故障などにより機器交換された場合、Box―S30は交換後のBox―M40から、ユニットIDは以前と変わらないが、送信元MACアドレス3010が異なったEth―CC信号を受信するようになる。これは、機器交換の場合、終端装置は交換されるが、該終端装置における設定情報は交換前と同様の情報が交換後の終端装置に適用(コントローラ50から交換後の終端装置へ転送)されるためである。この場合、Box―S30は、図13(B)のテーブル情報において、該ユニットID1301(図13(B)のユニットIDが1)に対応するMACアドレス1302を変更(上書き)することで、オペレータからの特別な操作も必要無く、対応可能となる。前述の処理によって、Box―S30は、交換前のBox―M40からEth―CC信号が届かなくなるが、誤って接続性異常の判定を下すことがなくなる。
【0089】
また、図13はあくまで一例であり、該テーブル情報に必要な情報を適宜追加・修正をしても構わない。
【0090】
図14は拠点側終端装置Box―M40、センタ側終端装置Box―S30において、通常運用開始後にL2―PVN網10から信号を受信した場合の受信処理に関するシーケンス図である。
【0091】
Box―M40、Box―S30はL2―VPN網10から信号が転送された場合は、イーサOAM分離・終端部6020、7020のフレームバッファ部6090、7090にその信号を格納する(S―14000)。その後、イーサOAM分離・終端部6020、7020が該信号をユーザフレームかイーサOAM信号か判定する(S―14010)。
イーサOAM分離・終端部6020、7020は、該信号をユーザフレームと判定した場合、該信号をL2―VPN網へ転送させる(S―14020)。一方、イーサOAM分離・終端部6020、7020は、該信号をイーサOAM信号と判定した場合、該信号をイーサOAM処理部6060、7060へ転送させて、必要な処理を継続する(S―14030)。イーサOAM処理部6060、7060は、転送された信号を解析し、該信号がEth―CC信号かそれ以外のイーサOAM信号かを判定する(S―14040)。
【0092】
イーサOAM処理部6060、7060は、該信号をEth―CC信号と判定した場合、その情報を接続性監視部6110、7110に通知する。接続性監視部6110、7110は、通知された情報に含まれるEth−CC信号の送信元MACアドレス3010と、接続先DB6055のMACアドレス1202もしくはコントローラ/マスタDB7055のMACアドレス1302とを参照し、送信元MACアドレス3010の該当装置との接続性正常を判定する(S―14050、S―14060)。
【0093】
また、例えば、網1においてBox―S30が新設された場合、新設されたBox―S30から送信されたEth―CC信号の送信元MACアドレスは、Box―M40の接続先DB6055に登録されていない。ただし、新設されたBox−S30のユニットID等の設定情報は、例えばコントローラ50から転送されるなどしてBox−M40に登録されているので、Box―M40は、該Eth−CC信号のユニットIDから該信号が新設されたBox―S30からのEth―CC信号だと判定可能である。
よって、Box―M40は、新設されたBox―S30からのEth−CC信号の送信元MACアドレス3010を接続先DB6055の該当するユニットID1201に対応するMACアドレス1202のエントリに新規登録し、該Box―S30との接続性判定を「異常」から「正常」と判定する(S―14050、S―14070、S―14080)。なお、該Box―S30側の動作は、図10や図13で説明した動作と同様なので、省略する。
【0094】
イーサOAM処理部6060、7060は、該信号をEth―CC信号以外のイーサOAM信号と判定した場合、該信号がコントローラ50からの設定変更情報かそれ以外のイーサOAM信号かを判定する(S―14090)。イーサOAM処理部6060、7060は、該信号をコントローラ50からの設定変更情報と判定した場合、設定管理部6080、7080へ設定変更情報を転送する。設定管理部6080、7080は転送された情報を格納して、自装置への設定変更を反映させる(S―14100)。一方、イーサOAM処理部6060、7060は、該信号をEth―CC信号やコントローラからの設定変更信号以外のイーサOAM信号と判定した場合、自ブロック内で必要な処理を実施する(S―14090、S―14110、S―14120)。
【0095】
図15は、コントローラ50が行う、Box−M40やBox−S30との間の接続性判定を実施するシーケンスの一例である。コントローラ50とBox−M40やBox−S30との間におけるEth−CC信号を用いた接続性の確認は、主にコントローラ50とBox30、40間の制御信号が通る経路の正常性を確認するためのものである。
【0096】
コントローラ50は、Box―M40やBox―S30への通常運用移行への設定が完了すると(図8のS−8100、図9のS−9100)、該当装置との接続性監視を開始する(S―15000、S―15010)。
接続性監視については、前述までの該当装置から受信するEth―CC信号を利用する。つまり、コントローラ50は宛先MACアドレス3000にあらかじめ定められたマルチキャストMACアドレスを設定したEth−CC信号を送信し、このEth−CC信号を受信できたBox−M40やBox−S30は、コントローラ50との接続が正常であると確認する。また、コントローラ50はBox−M40やBox−S30からのEth−CC信号を受信することで、これら終端装置との接続性を確認するが、このEth−CC信号の宛先MACアドレス3000は、コントローラ50のMACアドレスであり、これはユニキャストアドレスである。
【0097】
コントローラ50は通常運用に移行した終端装置、つまり登録情報DB5055にMACアドレスが登録された終端装置を判別可能である。よって、コントローラ50は、通常運用に移行した、Box―M40やBox―S30から一定時間内にEth―CC信号を受信すると、該当装置との接続性が正常と判定する(S―15020、S―15030)。
一方、コントローラ50は、一定時間内に前述のEth―CC信号を受信できなかった場合、該当装置との接続性に異常が発生したと判定し、オペレータや必要な通知先に接続性異常を通知する(S―15040、S―15050)。
【0098】
また、通常運用に移行していないBox―M40やBox―S30からは、当然Eth―CC信号をコントローラ50は受信できない。よって前述のシーケンスを用いることで、通信事業者や加入者による該当装置の設置工事が完了するまで、コントローラ50は、該当装置との接続性を異常と判断しないという処理も可能である。
【0099】
図16は、Box―M40やBox―S30といった終端装置が接続性判定を実施するシーケンスの一例である。コントローラ50との間の接続性確認は上述のとおり制御信号の中継経路の正常性を判断することを主な目的としているが、Box−M40とBox−S30との間でEth−CC信号をやり取りすることによる疎通確認は、主にユーザのデータや信号が通る経路の正常性を確認するためのものである。Box―M40やBox―S30による接続性監視は、これら自身が通信を実施する、制御区間の中継経路とユーザのデータや信号が通る経路の正常性を確認することを目的とする。
【0100】
Box―M40やBox―S30は通常運用後(図8のS−8110や図9のS9110の後)に、コントローラ50や他の終端装置との接続性の監視を開始する(S―16000)。接続性監視については、コントローラと同様、該当装置から受信するEth―CC信号を利用する。この時、Box―M40やBox―S30は、接続先DB6055やコントローラ/マスタDB7065に登録された接続先情報が監視対象に設定されている。よって、Box―M40やBox―S30は、対向装置が通常運用に移行しているかは自身では判別できないので、接続先DB6055やコントローラ/マスタDB7065に登録された全ての接続先について、一定時間内に該当のEth―CC信号の到着を待つ。Box―M40やBox―S30は、一定時間内に該Eth―CC信号を受信すると、該装置との接続性が正常と判定する(S―16010、S―16020)。
【0101】
一方、Box―M40やBox―S30は、一定時間内に該装置からEth―CC信号を受信できなかった場合、該当装置との接続性に異常が発生したと判定し、オペレータや必要な通知先に接続性異常を通知する(S―16030、S―16040)。この時、接続先DB6055やコントローラ/マスタDB7065内にMACアドレスが未登録の終端装置が存在する場合、Box―M40やBox―S30は、該装置とは接続性が異常であると判定する。
【0102】
前述のシーケンスにおいて、コントローラ50は、各終端装置が通常運用に移行しているか判別可能なので、通常運用に移行していない終端装置との接続性異常を申告してきた対向側の終端装置からの通知については、その旨を併せてオペレータに通知することも可能である。
【0103】
また、Box―M40やBox―S30がコントローラ50との制御区間の中継経路にて接続性異常を判定した場合、Box―M40やBox―S30はその旨を通知する信号を対向の終端装置を経由して通知することで、障害が発生している自身とコントローラ50との制御区間の中継経路を使用せずにコントローラ50へ通知することも可能である。
【0104】
上述のように、本実施例では終端装置をマスタであるBox−M40とスレーブであるBox−S30の2種類に分けたネットワーク構成を構築する。即ち、複数の拠点に配置される終端装置について、中継網の先に設置されるBox−M40にて複数のBox−S30を集約するネットワーク構成とする。前述のネットワーク構成によって、接続性監視の区間は、集約される側のスレーブの終端装置(下位の終端装置)と集約する側のマスタの終端装置(上位の終端装置)との間になり、障害検出区間の特定が容易になる。
また、上位の終端装置は複数の終端装置を配下に収めるので、上位の終端装置からはマルチキャストMACアドレスを利用したCCMフレームを送信する。一方、下位の終端装置は、宛先MACアドレスを上位の終端装置のMACアドレス、つまりユニキャストMACアドレスに設定したCCMフレームを上位の終端装置へ送信する。このように上位の終端装置から送信するCCMフレームと下位の終端装置から送信するCCMフレームにおいて、宛先MACアドレスをマルチキャストMACアドレス、ユニキャストMACアドレスと使い分けることで、ネットワークに対する接続性監視の負荷を低減できる。
【0105】
前述の接続性監視方法は、上位の終端装置と下位の終端装置を纏めて制御する通信事業者の制御装置(コントローラ)にも適用した。即ち、制御装置からは、上位の終端装置又は下位の終端装置へのCCMフレームでも宛先MACアドレスにマルチキャストMACアドレスを利用して接続性監視を実施する。一方、上位の終端装置又は下位の終端装置は制御装置に対して、宛先MACアドレスをユニキャストMACアドレスである、制御装置のMACアドレスに設定したCCMフレームを送信する。制御装置から送信するCCMフレームと、上位の終端装置又は下位の終端装置から送信するCCMフレームにおいて、宛先MACアドレスをマルチキャストMACアドレス、ユニキャストMACアドレスと使い分けることで、ネットワークに対する接続性監視の負荷を低減できる。
【0106】
ネットワークを構成する制御装置や上位の終端装置や下位の終端装置は、それぞれCCMフレームを受信することで対向側装置のMACアドレスを認識する。制御装置や上位の終端装置や下位の終端装置の接続性監視は、CCMフレームの送受信によって実施する。
【0107】
以上で説明したように、本実施例のコントローラ50、Box―M40、Box―S30の構成と動作により、既存のL2―VPN網を利用しつつ、ユーザ拠点間の新しい接続性監視を容易に提供できるようになる。また、ユーザ拠点間の接続性監視において、終端点同士を親局―子局のような従属関係を用いることにより、複数の拠点間の接続性監視を同時に実施でき、その監視フレームに用いる帯域の最小化を可能としている。本発明により、複数の地域網を経由するユーザ拠点間の通信において、障害発生時に明確に障害回線の特定や障害区間の特定が可能になる。
【0108】
なお、本実施例ではイーサOAM信号の場合について説明を行なったが、これはあくまでも一例である。装置間の接続性を監視するためのフレームやパケット等の信号を、マルチキャストアドレスを用いて複数の装置に送信できる保守監視システムであれば、上記実施例と同様に本発明を実施できる。また、Eth−CC信号は受信した装置が送信した装置との接続性を確認するものであり、Eth−CC信号を送信した装置は相手装置がEth−CC信号を正常に受信したかどうかは関知しない。送信側の装置は、逆に受信側の信号が別途送信してくるEth−CC信号を受信することで、相手装置との疎通確認をする。しかし、このEth−CC信号のように送信側が信号を送信した後で何ら返信を待たない信号の他、送信側が送信した信号に対する受信側からの返信を得ることで接続性を確認するようなOAM用の信号に対しても、この発明は同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
30 Box―S
40 Box―M
50 コントローラ
5050 登録情報管理部
5070 接続性監視部(コントローラ)
6050 接続先テーブル管理部
6060 イーサOAM処理部(Box―M)
6110 接続性監視部(Box―M)
7050 コントローラ/マスタ管理部
7060 イーサOAM処理部(Box―S)
7110 接続性監視部(Box―S)
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理者の異なるパケット通信網を跨る通信回線の接続性を監視するためのネットワーク構成ならびに監視に使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イーサネット(登録商標)はLAN(Local Area Network)領域だけにとどまらず、広域イーサネットサービスなどのキャリアネットワークにおいても急速に普及してきた。しかし、ATM(Asynchronous Transfer Mode)など従来の伝送網に用いられてきた他プロトコルと比べて、イーサネットを初めとするパケット通信プロトコルに対してはOAM(Operation Administration and Maintenance)機能が定義されていなかったため、その品質管理が課題とされてきた。
近年、標準化団体ITU−T (International Telecommunication Union Telecommunication Standardization )及びIEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)においてこれらの議論が行われたことにより、ITU−T勧告Y.1731(非特許文献1)やIEEE 802.1ag(非特許文献2)が規定され、イーサネットのためのOAM機能が導入された。また、OAM機能を用いた経路切り替え(プロテクション)方式G.8031(非特許文献3)も規格化が完了している。
【0003】
これらにより、イーサネット網での通信サービスに関する保守管理が可能となることから、イーサネットを含むパケット通信網におけるOAM機能の実用化が始まっている。イーサネットは通常、個人又は法人ユーザが所有するLANに適用されることが多いが、品質管理機能を備えたことにより、キャリアが提供するインフラサービスに於いても、その運用が注目されている。ユーザ宅に設置する宅内装置についても、イーサネットOAM(以下、イーサOAMと言う。)の導入が検討されている。
【0004】
従来、キャリアは専用線やL2―VPNサービスによる、ユーザサイト間の中継網を構築するサービスを提供してきた。この場合のユーザとは、主に企業などの法人ユーザを指すことが多い。これは企業ユーザが、災害回避やサーバ等の負荷分散を目的として、それぞれ異なる場所に複数のサイトを持つこと、また本社と支社など企業規模に応じて複数のサイトを所有する場合などに、サイト間の相互通信が必要とされてきたためである。
これら地理的に離れた場所に存在するユーザのサイト同士を接続するための中継網を構築するサービスでは、キャリアが提供する中継網内において、ユーザとの契約に応じた帯域保証が行われている。互いに距離の離れたサイト間の通信にはユーザに近いインフラを提供するアクセス網プロバイダや、それらアクセス網同士を接続するコア網を提供するキャリアなど、管理者の異なる複数の網を跨ぐ形となり、ユーザが使用する装置間のEnd−to−Endの帯域保証は困難であった。そのため、MPLS(Multi Protocol Label Switching)などを用いたL2―VPNサービスなど、上位プロトコルを用いた暗号化通信が主に利用されている。
【0005】
このような上位プロトコルを用いた帯域保証サービスに加えて、先に述べたイーサOAMの標準化に伴い、Layer 2(以下、L2と言う。)のような下位プロトコルでの通信管理が可能となった。また、アクセス網プロバイダは、コストの高い専用線装置からパケット通信装置へ移行しつつある。このように、ユーザ網、アクセス網、コア網がともにパケット通信装置により接続されると、従来は困難であった、アクセス網とコア網を一貫して管理するためのコネクション確立が容易となる。
具体的には、コア網を提供するキャリアが、ユーザサイト内に遠隔装置を設置し、アクセス網プロバイダを跨いでユーザサイト間の通信全体を管理する方法が導入されつつある。この場合、アクセス網プロバイダはコア網を所有するキャリアに対して回線を提供する立場となる。従来、伝送網の下位レイヤ(コア網)に近いキャリアが、アクセス網プロバイダにリソースを提供する立場であったが、パケット通信網の機能が拡充されるに従い、ビジネスモデルが変化してきている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ITU−T Recommendation Y.1731
【非特許文献2】IEEE 802.1ag
【非特許文献3】ITU−T Recommendation G.8031/Y.1342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまでキャリア等の通信事業者が規模の大きなユーザ間ネットワークを提供する場合、通信事業者はネットワークの規模に応じて相応のコスト負担を実施してネットワークを構築してきた。近年は、アクセス網プロバイダ等の地域業者が構築しているL2―VPNネットワーク等の地域網も中継網として活用することで、前述のコスト低減を図る動きがある。この時、サービスを提供する通信事業者は、自身が管理するネットワーク以外に、別事業者が管理する地域網のネットワークも加入者への保守・監視対象とすることで、ネットワーク全体の管理を行う。
【0008】
障害発生時に通信事業者は、故障区間の特定や影響を受けるサービス収容回線の特定を行うため、ネットワークを構成している装置毎の警報状態の把握や疎通試験を実施する必要がある。しかし、規模の大きなネットワーク網や複数の地域網を中継網として利用している場合、状況の把握に時間を要する場合がある。
【0009】
そのため、前述の保守・監視では、サービスを提供する通信事業者が素早く障害状況の把握を行うため、ユーザ装置からサービス回線が収容される各終端装置間での接続性監視が効果的となる。この場合、イーサOAMにて接続性監視に利用されるCCM(Continuity Check Message)フレームの適用が候補に挙がるが、以下の2点に考慮が必要となる。1点目は、単純な各終端装置間での接続性監視では、障害発生箇所によっては、複数の終端装置から障害検出が不必要に通知される恐れがあることである。2点目は、なるべく本来のユーザトラフィックへの負担を低減するため、各終端装置間でCCMフレームの送受信を最小限に実施する必要があることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ユーザの拠点内でCCMフレーム等のOAM信号を終端する装置に従属関係を設定し、上位側(マスタ)終端装置と複数の下位側(スレーブ)終端装置との間で接続性監視を実施することで障害検知区間の明確化を実現する。
【0011】
また、上位側終端装置から複数の下位側終端装置へは、宛先をマルチキャストMACアドレスに設定したCCMフレームを送信し、下位側終端装置から上位側(センタ側)終端装置へは、宛先をユニキャストMACアドレスに設定したCCMフレームを送信する。
各終端装置を制御する制御装置(以下、制御装置もしくはコントローラとも称する)から上位側終端装置や下位側終端装置へは、宛先をマルチキャストMACアドレスに設定したCCMフレーム(以下、Eth―CC信号とも称する)を送信し、上位側終端装置や下位側終端装置からコントローラへは、宛先をユニキャストMACアドレスに設定したCCMフレームを送信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、接続性監視を実施する区間が制御装置と各終端装置との間、上位の終端装置と下位の終端装置との間になり、監視区間の明確化が可能になる。このことにより、通信事業者は障害発生時の接続性異常通知に対して、即座にサービス影響範囲の把握と対応が可能になる。また、制御装置から各終端装置へのCCMフレーム送信と上位の終端装置から下位の終端装置へのCCMフレーム送信について、宛先にマルチキャストMACアドレスを利用することで、送信元は複数の送信先に対してCCMフレームを一括して送信できる。このことにより、通信事業者はネットワーク設計において、接続性監視に用いるCCMフレームの送受信により消費される帯域を必要最低限に設定でき、ユーザトラフィックへの負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態によるL2―VPN網を示す網構成例である。
【図2】終端装置を経由してユーザ拠点間を送受信するユーザフレームのフレーム構成例である。
【図3】終端装置間や終端装置とコントローラの間を通信するイーサネットOAMフレームの構成例である。
【図4】接続性監視に利用するEth―CC信号を示すフレーム構成例である。
【図5】終端装置を制御するコントローラの一実施例を示すブロック構成図である。
【図6】センタ側終端装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【図7】拠点側終端装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【図8】終端装置を制御するコントローラがセンタ側終端装置へ登録情報を通知するシーケンスの一例である。
【図9】終端装置を制御するコントローラが拠点側終端装置へ登録情報を通知するシーケンスの一例である。
【図10】センタ側終端装置と拠点側終端装置が互いにMACアドレス学習を実施するシーケンスの一例である。
【図11】終端装置を制御するコントローラで管理される登録情報を示すテーブルの一例である。
【図12】センタ側終端装置で管理される接続情報を示すテーブルの一例である。
【図13】拠点側終端装置で管理される接続情報を示すテーブルの一例である。
【図14】終端装置がL2―VPN網から転送されるフレームの処理フローの一例である。
【図15】終端装置を制御するコントローラが接続状態を判定する処理フローの一例である。
【図16】終端装置が接続状態を判定する処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明によるネットワークの構成と動作を、ITU−T勧告Y.1731(非特許文献1)で規定されるイーサOAM構成及びその動作を例として説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の一例を説明するための網構成図である。
網1では、例えば、拠点間を接続するサービスに加入しているユーザ(加入者)の端末(以下、ユーザ装置と言う。)が各地に配置されており、同じく各地に配備された終端装置であるBox−S30やBox−M40がこれらユーザ装置を、L2―VPN(Layer 2 Virtual Private Network)網10に接続させている様子を示している。ここで、Box−M40は例えばユーザが各拠点を集約する大都市部などのセンタ側に配置する終端装置であり、Box−S30は例えばユーザが地方などの拠点側に配置する終端装置である。この終端装置は、単体の装置でも良いし、またはユーザ宅や加入者の局に設置されるEdge用ホームゲートウェイ等の装置や、ルータやスイッチ等の中継装置に組み込まれていても良い。
【0016】
各地に設置された終端装置は、中継するL2―VPN網10のエッジに配置されたL2スイッチなどのエッジ装置20と接続されており、必要に応じてVLAN(Virtual Local Area Network)設定されたネットワークにて通信を行う。
【0017】
ここで、エッジ装置20やBox−M40、Box−S30は、例えば通信事業者であるキャリアが所有する装置であり、Box−M40やBox−S30はキャリアがユーザに貸与して、ユーザの宅内や局内に設置される使用形態が想定される。また、Box−M40やBox−S30等の終端装置とエッジ装置20との間のネットワークは、アクセス網プロバイダ等のキャリア以外の地域業者が管理するネットワークで構成されていても良い。また、エッジ装置で挟まれるネットワークは、キャリアが管理するネットワークと考えても良い。なお、図1のネットワークのどの部分を誰が管理するかについては上述の例以外にも様々なバリエーションがあるが、本実施例は網1がどのように管理区分されていても実施することができる。
【0018】
図1では、地方などの拠点側の終端端末として、Box―S―1(30A)、Box―S―2(30B)、Box―S―3(30C)、Box―S―4(30D)の4台のBox―Sが配置されている。またセンタ側の終端端末として、1台のBox―M40が配置されている。その他、各終端装置を遠隔制御するコントローラ50もL2―VPN網10とL2スイッチなどのエッジ装置20Fを介して接続されている。
また、コントローラ50とBox―M40とBox―S30はL2―VPN網10を介し、VLANにてネットワークを構成している。具体的には、コントローラ50とBox―M40とBox―S―1(30A)とBox―S―2(30B)がVLAN IDがVLAN Aに設定されたネットワークを構築しており、コントローラ50とBox―M40とBox―S―3(30C)とBox―S―4(30D)がVLAN IDがVLAN Bに設定されたネットワークを構築している。
【0019】
コントローラ50とBox―M40又はBox―S30との間は、コントローラ50がBox―M40又はBox―S30を制御するため、主にイーサOAM信号を送受信するために構築された通信路である。各終端装置の間は、ユーザが拠点―センタ間の通信に用いるユーザフレームや後述する終端装置間の接続性監視等を行うイーサOAM信号を転送するための通信路である。
また各終端装置の間は、1台のセンタ側Box―M40の配下に複数の拠点側Box―S30が従属している形態をとる。一例をあげると、ある企業ネットワークにおいて、拠点側Box―S30の先に接続されるユーザ装置には各支店に設置された端末があり、センタ側Box―M40の先に接続されるユーザ装置には各支店を統括するデータセンタが設置されており、相互に送受信するネットワークである。前述の例はあくまで一例であり、本実施例が必ずしも前述の例に限定したものではない。
【0020】
図2は、ユーザ装置から転送され、Box―M40とBox―S30との間で送受信される、ユーザのデータを運ぶためのユーザフレームのフレーム構成例である。
ユーザフレームは例えば、宛先MACアドレス2000、送信元MACアドレス2010、VLANタグ2020、Type2030、ペイロード2040から構成される。VLANタグ2020は、IEEE 802.1Qで標準化されている。VLANタグ2020は、VLANタグであることを示すTP ID2050、フレームの優先度を示すCos2060、トークンリングのカプセル化フラグCFI2070、VLANの識別に使用するVID2080より構成される。VID2080により、L2―VPN網内の経路が決定する。Type2030は上位層のプロトコルを識別する番号である。例えば、IPv4であれば0x0800である。ペイロード2040は、ユーザフレームのデータ本体を示す。
【0021】
図3はBox―M40やBox―S30やコントローラ50が送受信する、イーサOAM信号のフレーム構成例である。
イーサOAM信号は例えば、宛先MACアドレス3000、送信元MACアドレス3010、VLANタグ3020、Type3030、ペイロード3040から構成される。イーサOAM信号のType3030は0x8902である。ペイロード3040はイーサOAMのデータであり、IEEE 802.1ag、ITU―T Y.1731でフォーマットが規定されている。ペイロード3040は、MEL3050、Version3060、OpCode3070、Flags3080、TLV Offset3090、OAMデータ3100から構成される。MEL3050はイーサOAM信号の管理レベル(MEGレベル)を示す。Version3060はイーサOAM信号のバージョンを識別するための識別子である。OpCode3070はイーサOAM信号の機能を識別するための識別子である。例えば、イーサOAM信号が接続性監視に利用されるCCMフレームであるEth―CC信号であれば0x01である。Flags3080は、Eth―CC信号ではOAM終端ノードでの通信警報検知や送信周期を示す。TLV Offset3090は、TLV(Type Length Value)までの固定フィールドのByte数を示す。OAMデータ3100は、OpCode3070別に規定されたデータを示す。
【0022】
イーサOAM信号を送受信する際、コントローラ50やBox―M40やBox―S30は送信先によって、イーサOAM信号内のMEL3050を変更することでMEGレベルを変える。即ち、コントローラ50とBox―M40やBox―S30との間に用いるイーサOAM信号のMEGレベルに対して、Box―M40とBox―S30との間に用いるイーサOAM信号のMEGレベルは、より大きい値が設定される。例えば、コントローラ50と、Box―M40やBox―S30との間のイーサOAM信号のMEGレベルを「3」と設定した場合、Box―M40とBox―S30との間のイーサOAM信号のMEGレベルは「4」と設定される。これは、通信区間の種別が、ユーザ装置が送受信する回線の終端点同士を通信するBox―M40とBox―S30との通信と、終端装置を制御するための制御区間を通信するコントローラ50とBox―M40やBox―S30との通信が異なるためである。
なお、MEGレベルはユーザ拠点間を保守管理の対象とする場合は高い数値に設定されるのが一般的である。そして、アクセス網プロバイダの網間や、キャリアのコア網と、保守管理の対象となるネットワークが狭くなるにつれて、MEGレベルは低い数値に設定されるのが一般的な取り決めである。
【0023】
図4は、イーサOAM信号が接続性監視に利用されるEth―CC信号である場合のOAMデータ3100を示すフレーム構成例である。
Eth―CC信号の場合、イーサOAMのOAMデータ3100は例えば、Sequence Number4000、MEP ID4010、MEG ID4020、TxFCf4030、RxFCb4040、TxFCb4050、Reserved4060、End TLV4070から構成される。各項目はITU―T Y.1731で規定されている。Sequence Number4000は本信号のシーケンス番号を示している。MEP ID4010は宛先MEP IDを示す。MEG ID4020は本信号が属するMEG IDを示す。TxFCf4030は本Eth―CC信号の送信までに対向MEPに送出したユーザフレームの総数を表す。RxFCb4040は前回Eth―CC信号と本Eth―CC信号の受信の間に対向MEPから受信したユーザフレーム数を表す。TxFCb4050は、前回Eth―CC信号と本Eth―CC信号の送出の間に対向MEPに送出したユーザフレーム数を表す。Reserved4060は未使用領域を示す。End TLV4070はOAMデータ3100の終端を示す。
【0024】
本実施例では、Reserved4060の領域を利用して、コントローラ50、Box−M40、Box−S30間でEth−CC信号を効率的に送受信するのに必要な情報の送受信を行う。このため、本実施例ではReserved4060の領域に制御/ユーザ回線判定領域4061と、シリアルナンバー4062と、ユニットID4063を設けている。
【0025】
制御/ユーザ回線判定領域4061は、Box−M40やBox−S30等の終端装置が最初のEth−CC信号を受信した場合に、そのEth−CC信号がコントローラ50からのものであるのか、もしくは他の終端装置からのものであるのかを判断するための情報を格納する。具体的にはReserved4060の領域は48ビット存在するが、例えば先頭の1ビットを制御/ユーザ回線判定領域4061と定義する。例えば制御/ユーザ回線判定領域4061が「1」の場合は該当のEth―CC信号はコントローラ50からのEth―CC信号とする一方、制御/ユーザ回線判定領域4061が「0」の場合は該当のEth―CC信号は終端装置(Box―M40やBox―S30)からのEth―CC信号とする。
【0026】
シリアルナンバー4062には、ベンダが各終端装置の出荷時にユニークに設定した番号、例えばBox―M40やBox―S30の製造番号等であるシリアルナンバーが格納される。ただし、このシリアルナンバーについては一例であり、コントローラ50が任意の終端装置を他の終端装置と区別して一意に識別することができる識別情報であれば良い。このシリアルナンバー4062は、例えばReserved4060の領域において、先頭から、2ビット目から15ビット目(14ビット分)に格納されている。14ビット分では、1〜16383のシリアルナンバーをそれぞれユニークに設定可能となる。
後述するように、本実施例では、コントローラ50がオペレータから登録情報を入手した後に最初のEth−CC信号を終端装置から受信したときに、コントローラ50はそれら終端装置のシリアルナンバーは知っているが、MACアドレスは知らない状態である。このためコントローラ50は、このシリアルナンバー4062を確認することで、どの終端装置からEth−CC信号が送信されたのかを判断する。
【0027】
ユニットID4063には、通信事業者が構築するネットワーク内において、各終端装置へユニークに設定するIDが格納される。例えば、網1において、VLAN毎に各終端装置を一意に識別するために、各終端装置へユニークに設定するIDである。ただし、このIDについては一例であり、終端装置が自身が属するネットワーク(例えばVLANなど)において、他の終端装置を一意に識別することができる識別情報であれば良い。前述のユニットIDは、例えばReserved4060の領域において、先頭から、16ビット目から23ビット目(8ビット分)に格納されている。8ビット分では、1〜255のユニットIDをそれぞれユニークに設定可能となる。
後述するように、本実施例では、Box―M40やBox―S30が通常運用移行後に最初のEth−CC信号を他の終端装置から受信したときに、Eth−CC信号を送信した他の終端装置のユニットIDは知っているが、MACアドレスを知らない状態である。このためこれらEth−CC信号を初めて受信した終端装置は、このユニットID4063を確認することで、どの終端装置からEth−CC信号が送信されたのかを判断する。
【0028】
本実施例では上述のように、Reserved4060の領域を加工して必要な情報を送受信するようにしているが、これは本手法に拘ったものではなく、あくまで一例として挙げたものであり、Eth―CC信号内のReserved4060以外の領域を使用するよう装置間で定義して、これら情報を格納しても良い。例えばシリアルナンバーやユニットIDについては、MEG ID4020などIDを格納可能な適切な領域を用いても構わない。
【0029】
図5はコントローラ50のブロック図の一例である。
コントローラ50は、例えば、IF部5000、5010と、コントローラ制御部5020と、イーサOAM生成部5030と、イーサOAM終端・処理部5040から構成されている。コントローラ制御部5020は例えば、登録情報管理部5050と、通知監視部5060から構成されている。登録情報管理部5050は例えば、登録情報DB5055を内蔵する。通知監視部5060には例えば、接続性監視部5070が内蔵されている。
【0030】
コントローラ50は、オペレータとの情報の送受信を、外部とのインタフェースであるIF部5010を経由してコントローラ制御部5020にて行う。登録情報管理部5050内の登録情報DB5055は、オペレータから通知された各終端装置Box―M40やBox―S30の登録情報が格納されるデータベースである。この登録情報は、Box―M40やBox―S30を通常運用に移行させるために必要なだけでなく、該当装置との接続性監視にも利用される。イーサOAM生成部5030は、登録情報管理部5050の指示に従い、Box―M40やBox―S30に向けた制御のためのイーサOAM信号を生成・送信する機能を持つ。イーサOAM生成部5030にて生成されたイーサOAM信号は、IF部5000を経由してL2―VPN網10へ送信される。登録情報DB5055については図11で後述する。
イーサOAM終端・処理部5040は、L2―VPN網10から送信される信号を自宛のイーサOAM信号か否か判定する機能を持つ。イーサOAM終端・処理部5040は、該当信号を自宛のイーサOAM信号と判定すると、該信号を通知監視部5060や登録情報管理部5050へ転送する。通知監視部5060はイーサOAM終端・処理部5040から転送される信号を解析し、通知信号ならば、必要に応じてオペレータにBox―M40やBox―S30の状態を通知する。また、接続性監視部5070はBox―M40やBox―S30からのEth―CC信号を監視しており、一定時間Eth―CC信号を受信しない場合、該当装置との接続性に異常が発生したと判定して、オペレータへの通知を実施する。
【0031】
コントローラ50は、Box−M40やBox―S30との接続性監視を行うためにEth―CC信号をそれら終端装置に送信する場合、宛先MACアドレスをマルチキャストMACアドレスに設定して、自装置に登録されたVLAN ID毎に各終端装置へ送信する。コントローラ50は宛先MACアドレス3000をマルチキャストMACアドレスに設定したEth―CC信号を送信することで、複数の終端装置に一括送信することが可能になる。
【0032】
図6はセンタ側終端装置Box―M40のブロック図の一例である。
Box―M40は、例えば、IF部6000、6010と、イーサOAM分離・終端部6020と、イーサOAM挿入・多重部6030と、端末制御部6040から構成される。端末制御部6040は例えば、接続先テーブル管理部6050と、イーサOAM処理部6060と、通知監視部6070と、設定管理部6080から構成される。通知監視部6070には例えば、接続性監視部6110が内蔵されている。イーサOAM分離・終端部6020やイーサOAM挿入・多重部6030には例えば、フレームバッファ部6090、6100が内蔵されている。接続先テーブル管理部6050は例えば、接続先DB6055が内蔵されている。
【0033】
Box―M40は、L2―VPN網10からの信号を外部とのインタフェース部であるIF部6000を経由し、イーサOAM分離・終端部6020内のフレームバッファ部6090で受信する。イーサOAM分離・終端部6020は、受信した信号をイーサOAM信号かユーザフレームかを判定する機能を持つ。イーサOAM分離・終端部6020は、受信した信号をユーザフレームと判定すると、外部とのインタフェース部であるIF部6010を経由し、ユーザ装置へ転送する。イーサOAM分離・終端部6020は、受信した信号をイーサOAM信号と判定すると、ユーザ装置へ転送せずに端末制御部6040内のイーサOAM処理部6060へ転送する。イーサOAM処理部6060では、受信したイーサOAM信号の内容を確認して、必要な処理を実施する。
【0034】
イーサOAM処理部6060は、受信したイーサOAM信号のMEL3050から当該信号のMEGレベルを読み取り、イーサOAM信号の透過または終端を判断する。イーサOAM信号のMEGレベルが、イーサOAM処理部6060の保持する終端MEGレベル、つまりBox−M40が処理すべきMEGレベルよりも大きい場合、イーサOAM処理部6060は、イーサOAM信号を透過処理する。この透過処理とは、イーサOAM分離・終端部6020から転送されたイーサOAM信号を、イーサOAM分離・終端部6020へそのまま折り返し、イーサOAM挿入・多重部6030から送られてきたイーサOAM信号は、イーサOAM挿入・多重部6030へそのまま折り返す処理である。
イーサOAM信号のMEGレベルが、イーサOAM処理部6060の保持する終端MEGレベルより小さい場合、イーサOAM処理部6060はイーサOAM信号を破棄する。
【0035】
イーサOAM信号のMEGレベルが、イーサOAM処理部6060の保持する終端MEGレベルと同じ場合、イーサOAM処理部6060はイーサOAM信号を終端し、イーサOAM信号の処理を行う。この時、L2―VPN網10から受信したイーサOAM信号がEth―CC信号であれば、イーサOAM処理部6060は、送信元MACアドレスやユニットIDや制御/ユーザ回線判定領域4061の情報を確認して、該情報を接続先テーブル管理部6050に展開する。接続先テーブル管理部6050は必要に応じて、接続先DB6055に送信元MACアドレス等を登録する。接続先テーブル管理部管理部6050は、コントローラ50から転送される自身に従属するBox―S30の状態の把握や、受信したEth―CC信号などから取得した送信元MACアドレスを基に自身と接続されている対向装置の状態を把握している。接続先DB6055は、接続されている対向措置のユニットIDやMACアドレス等を格納するためのデータベースであり、図12で後述する。
【0036】
設定管理部6080は、コントローラ50から転送された自装置への登録情報を格納・管理している。設定管理部6080が格納・管理する登録情報は例えば、網1では、Box―M40はVLAN AとVLAN Bの2種類のVLAN IDに収容されているので、VLAN A、VLAN B毎の対向装置であるBox−S30のユニットIDなどが格納される。設定管理部6080は、コントローラ50から転送される情報から、自身に従属するBox―S30についての情報等、必要な情報を接続先テーブル管理部6050へ展開する。通知監視部6070は、他装置からの障害通知や自装置内の障害状況を監視しており、必要に応じてコントローラ50や対向するBox−S30などに自装置が検出した情報を通知する機能を備える。該通知には、例えばイーサOAM処理部6060に指示を出し、イーサOAM処理部6060にて必要なイーサOAM通知信号を生成してもよい。
【0037】
接続性監視部6110は、通知監視部6070内で、コントローラ50や他の終端装置との接続性を監視している。接続性監視部6070は、接続先テーブル管理部6050とイーサOAM処理部6060を利用して接続性監視を実施する。即ち、接続性監視部6110は、接続先DB6055に登録されているデータベースを参考に、イーサOAM処理部6060がコントローラ50や対向の終端装置からEth―CC信号を一定時間内に受信するか否かで、該当装置との接続性を監視している。
【0038】
Box―M40は、ユーザ装置から信号が送信されると、IF部6010を経由し、イーサOAM挿入・多重部6030内のフレームバッファ部6100で受信する。イーサOAM挿入・多重部6030は受信した信号をイーサOAM信号かユーザフレームかを判定する機能を持つ。イーサOAM挿入・多重部6030は、受信した信号をユーザフレームと判定すると、外部とのインタフェース部であるIF部6000を経由し、L2―VPN網10へ転送する。イーサOAM挿入・多重部6030は、受信した信号をイーサOAM信号と判定すると、L2―VPN網10へ転送せずに端末制御部6040内のイーサOAM処理部6060へ転送する。このように、この実施例の終端装置は必要に応じてOAM信号を終端するものである。
端末制御部6040は、接続先テーブル管理部6050と、設定管理部6080と、通知監視部6070と、イーサOAM処理部6060を統括して、自装置全体の制御を行う。
【0039】
Box―M40からコントローラ50に通知情報やEth―CC信号を送信する場合、Box―M40はコントローラ50へ個別に送信すればよいので、宛先MACアドレス3000はコントローラ50のMACアドレスに設定して、ユニキャストMACアドレスにて送信する。
一方、Box―M40は、配下のBox―S30との接続性監視を行うためにEth―CC信号を送信する場合、宛先MACアドレス3000をマルチキャストMACアドレスに設定して、自装置に登録されたVLAN ID毎に各終端装置へ送信する。Box―M40はマルチキャストMACアドレスに設定したEth―CC信号を送信することで、配下の複数のBox―S30に一括送信することが可能になる。
【0040】
図7は拠点側終端装置Box―S30のブロック図の一例である。
Box―S30は例えば、IF部7000、7010と、イーサOAM分離・終端部7020と、イーサOAM挿入・多重部7030と、端末制御部7040から構成される。端末制御部7040は例えば、コントローラ/マスタテーブル管理部7050と、イーサOAM処理部7060と、通知監視部7070と、設定管理部7080から構成される。通知監視部7070には例えば、接続性監視部7110が内蔵されている。イーサOAM分離・終端部7020やイーサOAM挿入・多重部7030には例えば、フレームバッファ部7090、7100が内蔵されている。コントローラ/マスタテーブル管理部7050は例えば、コントローラ/マスタDB7055が内蔵されている。
コントローラ/マスタテーブル管理部7050とコントローラ/マスタDB7055以外の各ブロックの詳細は、図6のBox―M40のブロック図と同様なので、詳細な説明は省く。コントローラ/マスタテーブル管理部7050は、図6の接続先テーブル管理部6050に代わるものである。コントローラ/マスタテーブル管理部7050は、対向装置であるコントローラ50やBox―M40のMACアドレスを管理する機能を持つ。コントローラ/マスタDB7055については、図13で後述する。
【0041】
また、Box―S30からコントローラ50に通知情報やEth―CC信号を送信する場合、Box―S30はコントローラ50へ個別に送信すればよいので、Box―M40と同様に、宛先MACアドレス3000はコントローラ50のMACアドレスに設定して、ユニキャストMACアドレスにて送信する。その他、従属先のBox―M40との接続性監視を行うためにEth―CC信号を送信する場合も、Box―S30は、従属先のBox―M40のみに送信すればよいので、宛先MACアドレス3000はBox―M40のMACアドレスに設定して、ユニキャストMACアドレスにて送信する。
【0042】
図8は網1において、コントローラ50とセンタ側終端装置Box―M40との間で実施される通常運用までの立ち上げに関するシーケンス図である。
コントローラ50には予めオペレータが設定したBox―M40に関する設定情報が登録情報DB5055に登録されている(S−8000)。オペレータがどのような情報を予め登録情報DB5055に登録するかについては、図11(A)にて後述する。
コントローラ50は登録情報DB5055に情報が登録されたことを契機に、イーサOAM生成部5030が定期的にL2―VPN網に対してEth―CC信号を送信する(S−8010)。この時、Eth―CC信号内の宛先MACアドレス3000は、マルチキャストMACアドレスとする。宛先MACアドレス3000をマルチキャストMACアドレスに設定することで、後述する拠点側終端装置Box―S30にも該Eth―CC信号を一括して届けることが可能になる。
【0043】
なお、Eth−CC信号の送信をマルチキャストで行なう場合には、例えば非特許文献1で規定されたOAMフレーム用のマルチキャストMACアドレスを利用することができる。このマルチキャストMACアドレスを使用すれば、Eth−CC信号を受信する終端装置は宛先MACアドレス3000に、規格で規定されたマルチキャストMACアドレスが格納されていることを確認して処理をすることができる。
【0044】
また非特許文献1では、MEGレベルによって、イーサOAM信号で用いるマルチキャストMACアドレスが異なる。前述の例では、MEGレベルが「3」であれば、マルチキャストMACアドレスは「0x01−0x80−0xC2―0x00−0x00−0x33」であり、MEGレベルが「4」であれば、マルチキャストMACアドレスは「0x01−0x80−0xC2―0x00−0x00−0x34」である。このマルチキャストMACアドレスは、Eth―CC信号にも適用される。ただし、MEGレベルの設定値は前述に拘ったものではなく、一例として挙げるものである。この実施例では、Eth−CCフレームを送受信する区間の広狭によって、使用するマルチキャストMACアドレスが異なる場合もある。
【0045】
また、上記のような規格で規定されたMACアドレスではなく、ユーザやキャリアが任意に決定したマルチキャストMACアドレスを用いても良い。任意のマルチキャストMACアドレスを用いる場合には、どのようなマルチキャストMACアドレスを用いてEth−CC信号を送受信するのかを、コントローラ50、Box−M40、Box―S30に予め設定しておく必要がある。
【0046】
コントローラ50からEth―CC信号を受信したBox―M40は、イーサOAM分離・終端部6020にて該当信号がイーサOAM信号であると判定する(S−8020)。その後、イーサOAM処理部6060が該当信号をEth―CC信号であり、さらに制御/ユーザ回線判定領域4061を参照することで、コントローラ50からのEth―CC信号と判定する。
Box―M40やBox―S30は、立ち上げ後にコントローラ50からEth−CC信号を受信する時点で(S―8020)、コントローラや自装置以外の終端装置に関する情報を取得していない。そこで、Box―M40やBox―S30は、受信するEth―CC信号の送信元種別を判別するのに制御/ユーザ回線判定領域4061を用いる。
図4で説明したとおり、コントローラ50はマルチキャストMACアドレスを宛先MACアドレス3000としてEth−CC信号を送信するときに、制御/ユーザ回線判定領域4061に「1」を設定する。また、終端装置がEth−CC信号を送信するときは、制御/ユーザ回線判定領域4061には「0」が設定されている。このため、Box−M40は送信元MACアドレス3010に自装置が知らないMACアドレスが格納されたEth−CC信号を受信しても、制御/ユーザ回線判定領域4061に「1」が格納されていることを確認すれば、この信号がコントローラ50からのものであると判断できる。
【0047】
Box―M40が、コントローラ50からのEth―CC信号を確認すると、該Eth―CC信号からの送信元MACアドレス3010を接続先DB6055へ登録する(S−8020、S―8030)。この処理によって、Box―M40は、コントローラ50のMACアドレスを認識可能になる。同時に、Box―M40は受信したEth―CC信号内のVLANタグ3020から、コントローラ50との間に構成されたVLAN IDが認識可能である。
【0048】
コントローラ50のMACアドレスを接続先DB6055へ登録すると、Box―M40の端末制御部6040は、イーサOAM挿入・多重部6030に、宛先MACアドレス3000に該コントローラ50のMACアドレス(ユニキャストMACアドレス)を設定したEth―CC信号を定期的に送信するように指示を出す(S−8040)。Box―M40は、コントローラ50からのEth―CC信号において、送信元MACアドレス3010を取得することで、前述のコントローラ50へのEth―CC信号送信が可能になる。
なお、Box−M40がコントローラ50に送信するEth−CC信号には、シリアルナンバー4062にBox−M40のシリアルナンバーが格納されている。
【0049】
Box―M40からEth―CC信号を受信したコントローラ50のイーサOAM終端・処理部5040は、該信号をEth―CC信号と認識して、該信号を登録情報管理部5050へ転送する。登録情報管理部5050は、該信号内のシリアルナンバー4062を登録情報DB5055へ照会をかける。登録情報管理部5050は、照会したシリアルナンバー4062を登録情報内に登録されたBox―M40のシリアルナンバー1102と一致させると、該Eth―CC信号の送信元MACアドレス3010をBox―MのMACアドレス1103として登録情報DB5055へ登録する(S−8050、S―8060)。
前述のMACアドレスの登録後、コントローラ50は引き続き該当のBox―M40に対して通常運用に必要な設定を実施していく(S−8070)。
【0050】
Box―M40は、コントローラ50から送信される設定情報を設定管理部6080に登録し、通常運用へ必要な処理を実施していく。通常運用に必要な設定が完了すると、Box―M40は通常運用に移行する(S−8080、S−8090、S−8100、S―8110)。
【0051】
その後、Box―M40とコントローラ50との間で互いに定期的に送受信するEth―CC信号を使用して、コントローラ50とBox―M40は、互いに接続性監視を実施していく。また、詳細は後述するが、コントローラ50から受信する設定情報(S−8070)には、Box−M40が他の終端装置に対して上位装置(マスタ)であるとの情報も含まれているため、通常運用に移行したBox―M40はBox―S30に対してEth―CC信号を定期的に送信する(S―8110)。この時Box―M40は、まだ配下の全てのBox―S30との接続性が確認できていないので、配下の全てのBox―S30との接続性について、接続性異常と判定した状態で通常運用に移行している。
【0052】
ここで、網1において、Box―M40は、VLAN IDがVLAN A、VLAN Bに従属したネットワークにそれぞれ接続されている。また、コントローラ50は登録情報DB5055を基にVLANタグ3020がVLAN A、VLAN Bの2種類のEth―CC信号を定期的に送信している。よって、Box―M40は、コントローラ50から前述の2種類のEth―CC信号を受信し、それぞれのVLAN IDを学習する。そして、それぞれのVLAN IDをVLANタグ3020に格納した2種類のEth―CC信号を生成し、コントローラ50へ送信している。この時、コントローラ50は以後のBox―M40への登録情報の通知には、前述のどちらのVLAN IDを用いて登録情報を転送しても構わないし、所属するVLAN内の登録情報をVLAN毎に転送しても構わない。
【0053】
また、Box―M40への設定情報の転送(S−8070)には例えば、OpCode3070が0x33と設定された、ベンダが独自に設定可能であるVSM(Vendor Specific OAM Message)信号の適切な領域に設定情報を格納させ、コントローラ50がBox―M40へ送信することで可能となる。また、他にも外部からBox−M40に設定情報を登録しても構わない。例えば、工事業者がBox―M40を設置する際に工事業者の所有する登録専用端末からBox―M40へ設定情報を転送しても構わない。
【0054】
図9は網1において、コントローラ50と拠点側終端装置Box―S30との間で実施される、通常運用までの立ち上げに関するシーケンス図である。
この時の処理内容については、上述のコントローラ50とセンタ側終端装置Box―M40との間で実施されるシーケンスと同様の処理のため詳しい説明は省略する。ただし、Box−S30に対し通常運用に必要な設定が完了した後の動作は、Box―S30とBox−M40とで異なる。コントローラ50から受信する設定情報(S−9070)には、Box−S30が他の終端装置に対して下位装置(スレーブ)であるとの情報も含まれているため、Box−S30は、通常運用に移行する際、他の終端装置に対してEth―CC信号を送信するのでは無く、マスタの終端装置(この実施例ではBox―M40)からのEth―CC信号を待機する動きをとる(S―9110)。
【0055】
コントローラ50とBox―S30との通信に対しては、互いに定期的にEth―CC信号を送受信することで接続性監視を開始する。なお、Box−M40がコントローラ50に送信するEth−CC信号には、シリアルナンバー4062にBox−S30のシリアルナンバーが格納されている。コントローラ50は、Box−S30から初めてEth−CC信号を受信するとき、Box−S30のMACアドレスを知らないため、このシリアルナンバー4062と登録情報DB5055のシリアルナンバー1102とを比較して、どのBox−S30から信号を受信したのかを特定することは、Box−M40との間の処理と同様である。
【0056】
Box−S30は、Box−M40からのEth−CC信号を待っている間は、まだ従属先のBox―M40との接続性が確認できていないので、Box―M40との接続性について、接続性異常と判定した状態で通常運用に移行している。
また、Box―S30への設定情報の転送には、コントローラ50からの通信を利用しているが、他にも外部から設定情報を登録しても構わない。例えば、工事業者がBox―S30を設置する際に工事業者の所有する登録専用端末からBox―S30へ設定情報を転送しても構わない。
【0057】
図10は網1において、センタ側終端装置Box―M40と拠点側終端装置Box―S30との間で実施される、接続性確認実施までのシーケンス図である。前述したように、Box―M40、Box―S30は互いにEth―CC信号を受信できていないので、両者とも対向装置との接続性に異常があると判定して通常運用に移行している。
【0058】
前述のように通常運用に移行したBox―M40は、コントローラ50から自装置がマスタであると通知されているため(図8のS−8070)、Box―S30に対して、VLAN ID毎に定期的なEth―CC信号の送信を開始している(図8のS―8110)。一方、通常運用に移行したBox―S30は、前述のようにBox―M40からのEth―CC信号を受信するまで待機している(図9のS―9110)。
この時、該当のEth―CC信号の宛先MACアドレス3000は規格により、もしくはキャリアやユーザによってあらかじめ定められたマルチキャストMACアドレスが設定されている。よって網1では、VLAN IDがVLAN Aに設定されたEth−CC信号をBox―S―1(30A)とBox―S―2(30B)が受信し、VLAN IDがVLAN Bに設定されたEth−CC信号をBox―S―3(30C)とBox―S―4(30D)が受信する。
また、Box−M40がマルチキャストMACアドレスを用いて送信するEth−CC信号のユニットID4063には、コントローラ50から設定されたBox−M40のユニットIDが格納されている。
【0059】
Box―M40からEth―CC信号を受信したBox―S30は、イーサOAM終端・分離部7020にて該信号をEth―CC信号と判定し、イーサOAM処理部7060にて該信号をBox―M40からのEth―CC信号と判定する(S―10000)。
イーサOAM処理部7060は、受信するEth―CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061を確認することで、コントローラ50とBox−M40のどちらが送信したEth―CC信号かを判定できる。該信号をBox−M40からのEth―CC信号と判定したイーサOAM処理部7060は、続いて該信号内のユニットIDの情報と送信元MACアドレス3010の情報をコントローラ/マスタテーブル管理部7050へ転送する。コントローラ/マスタテーブル管理部7050は、コントローラ/マスタDB7055を用いて、送信元のBox−M40を特定する。送信元のBox−M40の特定には、転送されたユニットIDの情報を利用する。
【0060】
コントローラ/マスタDB7055には通常運用立ち上がり時に作成した自身との接続先に関するテーブル情報が作成されており(図9のS―9070でコントローラ50が送信する設定情報を利用してテーブルを作成している)、Box−S30はBox−M40のユニットIDをコントローラ50から設定されていて、これを基に送信元の終端装置を特定することが可能である。終端装置の特定の結果、コントローラ/マスタテーブル管理部7050は、該Eth−CC信号が従属先であるBox―M40からのEth―CC信号と判定する。その後、コントローラ/マスタテーブル管理部7050はコントローラ/マスタDB7055に該信号の送信元MACアドレス3010を登録する(S―10010)。この時、Box―S30は、対向Box―M40との間に接続が確立されたと判定して、接続性異常を解消する(S―10020)。その後Box―S30は、Box―M40へ定期的にEth―CC信号を送信し始める(S―10030)。
【0061】
この、Box−S30がBox−M40へ送信するEth−CC信号のユニットID4063には、Box−S30のユニットIDが格納されている。
【0062】
この時、Box―S30は、前述にて登録した、Box―M40から受信したEth―CC信号の送信元MACアドレス3010を、Box―M40宛のEth―CC信号の宛先MACアドレス3000に使用している。つまり、Box―S30が送信するEth―CC信号の宛先MACアドレスは、Box―M40が送信するEth―CC信号と違い、ユニキャストMACアドレスであり、該当のBox―M40のみが受信可能である。
【0063】
Box―S30から送信された前述のEth―CC信号は、Box―M40のイーサOAM分離・終端部6020で受信される(S―10040)。該信号は、イーサOAM分離・終端部6020でイーサOAM信号と判定され、イーサOAM処理部6060へ転送される。イーサOAM処理部6060は、該信号をEth―CC信号と確認すると、引き続き制御/ユーザ回線判定領域を確認して、コントローラ50ではなく終端装置からのEth―CC信号と判定する。イーサOAM処理部6060は、前述の判定を実施すると、該信号から取り出した送信元である終端装置のユニットIDの情報と送信元MACアドレス3010の情報を接続先テーブル管理部6050へ展開する。
接続先テーブル管理部6050はBox―S30と同様、前述のユニットIDを検索キーにして、接続先DB6055を検索して送信元装置を特定する。送信元装置を特定したBox―M40は、該信号の送信元のMACアドレス3010を接続先DB6055へ登録する(S―10050)。Box―M40は、この時、該Box―S30との接続が確立されたと判定して、接続性異常を解消する(S―10060)。
Box―M40、Box―S30は、互いにMACアドレスを学習した以後、互いに定期的に送受信するEth―CC信号を利用することで、接続性監視が実施可能になる。
【0064】
図11は、コントローラ50の登録情報DB5055に格納されるテーブル情報の一例である。
例えば、網1において、Box―M40のMACアドレスをM、シリアルナンバーを0001、所属するVLAN IDをVLAN A、VLAN B、VLAN AでのユニットIDを1、VLAN BでのユニットIDを1とする。またBox―S―1(30A)のMACアドレスをS―1、シリアルナンバーを0002、所属するVLAN IDをVLAN A、VLAN AでのユニットIDを2とする。またBox―S―2(30B)のMACアドレスをS―2、シリアルナンバーを0003、所属するVLAN IDをVLAN A、VLAN AでのユニットIDを3とする。またBox―S―3(30C)のMACアドレスをS―3、シリアルナンバーを0004、所属するVLAN IDをVLAN B、VLAN BでのユニットIDを2とする。またBox―S―4(30D)のMACアドレスをS―4、シリアルナンバーを0005、所属するVLAN IDをVLAN B、VLAN BでのユニットIDを3とする。
【0065】
コントローラ50は前述のように、オペレータから終端装置Box―M40、Box―S30の登録情報を受ける(図8のS―8000、図9のS―9000)。図11(A)は、このときオペレータ50が登録情報DB5055に予め登録する情報の一例である。最初の設定情報としてオペレータからは例えば、接続されるBox―M40やBox―S30の所属するVLAN ID1100や、VLAN内でのユニットID1101や、シリアルナンバー1102や、終端装置種別1105や接続先終端装置のユニットID1106の情報が登録される。
ここで終端装置種別とは、例えばBox−M40であれば、他の終端装置であるBox−S30からのEth−CC信号を統べる上位装置、つまりマスタであるという情報であり、図11では“Box−M”として登録されている。同様にBox−S30であれば他の終端装置であるBox−M40に従属する下位装置、つまりスレーブであるという情報であり、図11では“Box−S”として登録されている。
【0066】
コントローラ50は、終端装置からEth―CC信号を受信すると(図8のS−8050、図9のS−9050)、図11(A)の設定内容から送信元の装置を特定する。すなわちコントローラ50は前述したように、受信したEth―CC信号に含まれる、終端装置のシリアルナンバー4062を検索キーとして登録情報DB5055を検索し、いずれの装置からEth−CC信号を受信したのかを特定できる。送信元の終端装置が判明すると、コントローラ50はそのEth−CC信号の送信元MACアドレス3010を、登録情報DB5055中で特定したシリアルナンバー1102に対応するMACアドレス1103の領域に登録する。
【0067】
その後、コントローラ50はMACアドレスを登録した終端装置に対して、その終端装置のVLAN ID毎のユニットID1101や、終端装置種別1105、接続先装置のユニットID1106、接続先装置の装置種別1105等の設定情報を転送し、終端装置を通常運用へ移行させる(図8のS−8070、図9のS9070)。
例えば、コントローラ50がBox―M40に設定情報を転送する場合、Box―M40のシリアルナンバー「0001」を検索キーとして、所属するVLAN ID1100としてVLAN A、VLAN Bを通知し、ユニットID1101としてVLAN Aでは1、VLAN Bでは1を通知し、終端装置種別情報1105としてVLAN A、B共にセンタ側終端装置(Box―M)を通知し、接続先装置のユニットID1106としてVLAN AではユニットID 2、3、VLAN BではユニットID 2、3を通知し、接続先装置種別としてVLAN AではユニットID 2は拠点側終端装置(Box―S)、ユニット ID 3は拠点側終端装置(Box―S)、VLAN BではユニットID 2は拠点側終端装置(Box―S)、ユニット ID 3は拠点側終端装置(Box―S)と通知することが可能である。
【0068】
Box−M40ではコントローラ50から通知された接続先に関する情報が接続先DB6055に登録され、Box−S30ではコントローラ/マスタDB7055に格納される。コントローラ50は、配下の全ての終端装置を順次通常運用に移行させると、図11(B)の情報を登録情報DB5055にて持つ。つまり、初期状態の図11(A)と比べると、図11(B)ではMACアドレス1103、運用状態1104に新たな情報が登録されている。
コントローラ50は、通常運用に移行したBox―M40やBox―S30からのEth―CC信号を受け取る際、該Eth―CC信号の送信元MACアドレスを該テーブル情報に照会することで、該当装置との接続正常性を判定する。
【0069】
また、例えばBox―M40又はBox―S30が故障などにより機器交換された場合、例えば、オペレータが該テーブル情報における、ユニットID1101は変更せずに既存の情報をそのまま引き継ぎ、該装置のシリアルナンバーを変更(上書き)し、該装置のMACアドレスを消去すれば良い。前述の処理を実施することで、コントローラ50は、改めて交換後のBox―M40又はBox―S30からMACアドレスを取得し、該装置へ改めて登録情報(交換前の終端装置へ登録した内容と同様の登録情報)の転送を行うことで、該当装置を通常運用へ移行させ、該装置との接続性監視を開始する。前述の処理によって、コントローラ50は、交換前のBox―M40又はBox―S30からのEth―CC信号が届かなくなることによる、誤った接続性異常の判定を下すことがなくなる。
【0070】
なお、図11はあくまで一例であり、例えば、該当装置に適用する帯域情報等、該ネットワーク構築に必要な情報を適宜追加・修正をしても構わない。
【0071】
図12は、接続性判定のためにBox―M40が作成する接続先DB6055のテーブル情報の一例である。接続先DB6055には例えば、VLAN ID1200毎に接続されるコントローラ50や配下のBox―S30の、ユニットID1201やMACアドレス1202や接続先種別1203や接続状態1204の情報が格納される。
【0072】
Box―M40は立ち上がり後、初めてコントローラ50からEth―CC信号を受信し(図8のS−8020)、該Eth―CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061を判定することで、該Eth―CC信号をコントローラ50からのEth―CC信号と特定し、このEth−CC信号の送信元MACアドレス3010をコントローラ50のMACアドレス1202(「C」とする)として登録する(図8のS−8030)。また、コントローラ50から受信したEth−CC信号のVLANタグ3020から、コントローラ50との間のVLAN ID1200も登録可能である。また、Eth−CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061から、接続先種別1203がコントローラである、という情報も登録できる。
【0073】
その後、コントローラ50から設定情報を受信することで(図8のS−8070)、Box―M40は通常運用に移行する(図8のS−8110)。図12における設定情報のうち配下のBox−S30に関する情報は、Box−S30が接続先でありスレーブであること(1203)、Box−S30のユニットID1201やVLAN ID1200である。また、図12には記載されていないが、コントローラ50はBox−M40に、Box−M40の装置種別1105も送信しているため、Box−M40は自装置が終端装置の中で上位装置(マスタ)であることを把握する。
このとき、移行直後はBox−M40は図12(A)のようなテーブル情報を持つ。つまり、移行直後のBox−M40はコントローラ50についてはEth−CC信号の受信(図8のS−8020)と設定情報の受信(図8のS−8070)により十分な情報を得ているが、配下のBox−S30については、コントローラ50からの設定情報の受信(図8のS−8070)によって接続先1203であることやVLAN ID1200、ユニットID1201、接続先種別1203はコントローラ50からの情報を提供されているものの、MACアドレス1202は未登録であり、接続状態1204はMACアドレスが登録されていないので「未接続」であり、接続性異常と検出されている。
【0074】
なお、図12ではコントローラ50のユニットID1201は0となっているが、この情報はコントローラ50が送信するEth―CC信号内に搭載されていても構わないし、コントローラ50からBox−M40に送信する設定情報(図8のS−8070)に含まれていても構わないし、又はシステムとして予め定義されていてBox−M40が事前に知っている(登録されている)ものでも構わない。いずれにしろ、ユニットID1201はVLAN内でユニークに設定されたIDであれば構わない。
【0075】
その後Box−M40は、収容する各Box―S30からEth―CC信号を受信すると(図10のS−10040)、Eth―CC信号内のユニットID4063を利用して、終端装置を特定するために接続先DB6055を照会する。接続先DB6055のユニットID1201と照会した結果、送信元の終端装置が確定すると、Box−M40は、該Eth―CC信号の送信元MACアドレス3010を該テーブル情報のMACアドレス1202に登録処理する(図10のS−10050)。前述の登録処理完了によって、Box―M40は該Box―S30との接続が完了したと判定し、接続状態を「未接続」から「接続」へ移行させ、接続性異常の判定を変更し、接続性正常と判定する(図10のS−10060)。
【0076】
図12(B)は、Box―M40が網1において、全ての接続先のMACアドレスの登録処理を完了した状態の接続先DB6055のテーブル情報である。Box―M40は、コントローラ50や通常運用に移行したBox―S30からのEth―CC信号を受け取る際、該Eth―CC信号の送信元MACアドレスを該テーブル情報に照会することで、接続正常性を判定している。
【0077】
また、例えばコントローラ50が故障などにより機器交換された場合、コントローラ50のMACアドレスが変更されてしまう。Box―M40は制御/ユーザ回線判定領域4061からコントローラ50からのEth―CC信号が判別可能である。よって、Box―M40は、コントローラ50からのEth―CC信号内の送信元MACアドレスが変更されていると、該テーブル情報にて、前述のMACアドレスをコントローラ50のMACアドレスとして変更(上書き)することで、オペレータからの特別な操作も必要無く、Box―M40はコントローラ50の変更(交換)にも対応可能となる。
このようにMACアドレスを書き換えることで、Box―M40は、交換前のコントローラ50からEth―CC信号が届かなくなっても、接続先DB6055から照会すべき故障したコントローラ50のMACアドレスが無くなっているので、誤って接続性異常の判定を下すことがなくなる。なお、Unit ID1201は機器交換の前後で同じ値を使用することができる。
【0078】
また、自身と接続されているBox―S30(例えばBox―S―1(30A))が故障などにより機器交換された場合、Box―M40は交換後のBox―S―1(30A)から、ユニットIDは以前と変わらないが、送信元MACアドレスが異なったEth―CC信号を受信するようになる。これは、機器交換の場合、終端装置自体は交換されるが、該終端装置における設定情報は交換前と同様の情報が交換後の終端装置に適用(コントローラ50から交換後の終端装置へ転送)されるためである。
この場合、Box―M40は、図12(B)のテーブル情報において、該ユニットID1201(図12(B)のユニットIDが2)に対応するMACアドレス1203を変更(上書き)することで、オペレータからの特別な操作も必要無く、対応可能となる。つまり、ユニットID1201は「2」を流用したまま、MACアドレス1203を書き換えるだけで良い。この処理により、Box―M40は、交換前のBox―S30からEth―CC信号が届かなくなるが、交換前のBox−S30のMACアドレスは接続先DB6055から無くなっているため、誤って接続性異常の判定を下すことがなくなる。
【0079】
なお、図12はあくまで一例であり、該テーブル情報に必要な情報を適宜追加・修正をしても構わない。
【0080】
図13は、接続性判定のためにBox―S30のコントローラ/マスタDB7055のテーブル情報の一例である。図13には特に網1のVLAN Aに属するBox―S―1(30A)もしくはBox―S―2(30B)のコントローラ/マスタDB7055の構成例について記載している。該テーブル情報は例えば、VLAN ID1300毎に接続されるコントローラ50や従属先のBox―M40の、ユニットID1301やMACアドレス1302や接続先種別1303や接続状態1304の情報が格納される。
【0081】
Box―S30は立ち上がり直後、Box―M40と同様、コントローラ50からEth―CC信号を受信し(図9のS−9020)、該Eth―CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061を判定することで、該Eth―CC信号をコントローラ50からのEth―CC信号と特定し、このEth−CC信号の送信元MACアドレス3010をコントローラ50のMACアドレス1302として登録する(図9のS−9030)。また、コントローラ50から受信したEth−CC信号のVLANタグ3020から、コントローラ50との間のVLAN ID1300も登録可能である。また、Eth−CC信号の制御/ユーザ回線判定領域4061から、接続先種別1303がコントローラである、という情報も登録できる。
【0082】
その後、コントローラ50から設定情報を受信することで(図9のS−9070)、Box―S30は通常運用に移行する(図9のS−9110)。図13における設定情報のうち従属先であるBox−M40に関する情報は、Box−M40が接続先でありマスタであること(1303)、Box−M40のユニットID1301やVLAN ID1300である。また、図13には記載されていないが、コントローラ50はBox−S30に、Box−S30の装置種別1105も送信しているため、Box−S30は自装置が終端装置の中で下位装置(スレーブ)であることを把握する。
【0083】
このとき、移行直後はBox−S30は図13(A)のようなテーブル情報を持つ。つまり、移行直後のBox−S30はコントローラ50についてはEth−CC信号の受信(図9のS−9020)と設定情報の受信(図9のS−9070)により十分な情報を得ているが、従属先のBox−M40については、コントローラ50からの設定情報の受信(図9のS−9070)によってVLAN ID1300やユニットID1301、接続先種別1303はコントローラ50から情報を提供されているものの、MACアドレス1302は未登録であり、接続状態1304はMACアドレスが登録されていないので「未接続」であり、接続性異常と検出されている。
【0084】
なお、図13でも図12と同様に、コントローラ50のユニットID1301は0となっているが、この情報はコントローラ50が送信するEth―CC信号内に搭載されていても構わないし、コントローラ50からBox−S30に送信する設定情報(図9のS−9070)に含まれていても構わないし、又はシステムとして予め定義されていてBox−S30が事前に知っている(登録されている)ものでも構わない。いずれにしろ、ユニットID1301はVLAN内でユニークに設定されたIDであれば構わない。
【0085】
その後も、Box―M40と同様なので簡略するが、Box―S30は、Box―M40からEth―CC信号を受信すると(図10のS−10000)、制御/ユーザ回線判定領域4061を確認し、該信号を終端装置からのEth―CC信号と判定し、該信号に含まれるユニットID4063をコントローラ/マスタDB7055のユニットID1301と比較してBox―M40からのEth―CC信号であると特定する。
Box―S30は、Eth−CC信号の送信元をBox―M40と特定すると、該Eth―CC信号の送信元MACアドレス3010をコントローラ/マスタDB7055のMACアドレス1302の領域に登録する(図10のS−10010)。前述の登録処理完了によって、Box―S30は該Box―M40との接続が完了したと判定し、接続状態を「未接続」から「接続」へ移行させ、接続性異常の判定を変更し、接続性正常と判定する(図10のS−10020)。
以後、Box−S30はBox−M40のMACアドレス1302を用いて、定期的にBox−M40に対してEth−CC信号を送信する。またBox−S30はコントローラ50のMACアドレスが登録されると、そのMACアドレス1302を用いて、定期的にコントローラ50に対してEth−CC信号を送信する。これらEth−CC信号のユニットID4063には、Box−S30のユニットIDが格納されている。
【0086】
図13(B)は、Box―S―1(30A)もしくはBox―S―2(30B)が網1のVLAN Aにおいて、全ての接続先のMACアドレスの登録処理が完了した状態のテーブル情報である。Box―S30は、コントローラ50や通常運用に移行したBox―M40からのEth―CC信号を受け取る際、該Eth―CC信号の送信元MACアドレスを該テーブル情報に照会することで、接続正常性を判定している。
【0087】
また、例えばコントローラ50が故障などにより機器交換された場合、コントローラ50のMACアドレスが変更されてしまう。この時、Box―S30は前述のBox―M40と同様の処理を行うことで、オペレータからの特別な操作も必要無く、Box―S40はコントローラ50の変更(交換)にも対応可能となる。この場合、Box―S30は、交換前のコントローラ50からEth―CC信号が届かなくなるが、誤って接続性異常の判定を下すことがなくなる。
【0088】
また、自身と接続されているBox―M40が故障などにより機器交換された場合、Box―S30は交換後のBox―M40から、ユニットIDは以前と変わらないが、送信元MACアドレス3010が異なったEth―CC信号を受信するようになる。これは、機器交換の場合、終端装置は交換されるが、該終端装置における設定情報は交換前と同様の情報が交換後の終端装置に適用(コントローラ50から交換後の終端装置へ転送)されるためである。この場合、Box―S30は、図13(B)のテーブル情報において、該ユニットID1301(図13(B)のユニットIDが1)に対応するMACアドレス1302を変更(上書き)することで、オペレータからの特別な操作も必要無く、対応可能となる。前述の処理によって、Box―S30は、交換前のBox―M40からEth―CC信号が届かなくなるが、誤って接続性異常の判定を下すことがなくなる。
【0089】
また、図13はあくまで一例であり、該テーブル情報に必要な情報を適宜追加・修正をしても構わない。
【0090】
図14は拠点側終端装置Box―M40、センタ側終端装置Box―S30において、通常運用開始後にL2―PVN網10から信号を受信した場合の受信処理に関するシーケンス図である。
【0091】
Box―M40、Box―S30はL2―VPN網10から信号が転送された場合は、イーサOAM分離・終端部6020、7020のフレームバッファ部6090、7090にその信号を格納する(S―14000)。その後、イーサOAM分離・終端部6020、7020が該信号をユーザフレームかイーサOAM信号か判定する(S―14010)。
イーサOAM分離・終端部6020、7020は、該信号をユーザフレームと判定した場合、該信号をL2―VPN網へ転送させる(S―14020)。一方、イーサOAM分離・終端部6020、7020は、該信号をイーサOAM信号と判定した場合、該信号をイーサOAM処理部6060、7060へ転送させて、必要な処理を継続する(S―14030)。イーサOAM処理部6060、7060は、転送された信号を解析し、該信号がEth―CC信号かそれ以外のイーサOAM信号かを判定する(S―14040)。
【0092】
イーサOAM処理部6060、7060は、該信号をEth―CC信号と判定した場合、その情報を接続性監視部6110、7110に通知する。接続性監視部6110、7110は、通知された情報に含まれるEth−CC信号の送信元MACアドレス3010と、接続先DB6055のMACアドレス1202もしくはコントローラ/マスタDB7055のMACアドレス1302とを参照し、送信元MACアドレス3010の該当装置との接続性正常を判定する(S―14050、S―14060)。
【0093】
また、例えば、網1においてBox―S30が新設された場合、新設されたBox―S30から送信されたEth―CC信号の送信元MACアドレスは、Box―M40の接続先DB6055に登録されていない。ただし、新設されたBox−S30のユニットID等の設定情報は、例えばコントローラ50から転送されるなどしてBox−M40に登録されているので、Box―M40は、該Eth−CC信号のユニットIDから該信号が新設されたBox―S30からのEth―CC信号だと判定可能である。
よって、Box―M40は、新設されたBox―S30からのEth−CC信号の送信元MACアドレス3010を接続先DB6055の該当するユニットID1201に対応するMACアドレス1202のエントリに新規登録し、該Box―S30との接続性判定を「異常」から「正常」と判定する(S―14050、S―14070、S―14080)。なお、該Box―S30側の動作は、図10や図13で説明した動作と同様なので、省略する。
【0094】
イーサOAM処理部6060、7060は、該信号をEth―CC信号以外のイーサOAM信号と判定した場合、該信号がコントローラ50からの設定変更情報かそれ以外のイーサOAM信号かを判定する(S―14090)。イーサOAM処理部6060、7060は、該信号をコントローラ50からの設定変更情報と判定した場合、設定管理部6080、7080へ設定変更情報を転送する。設定管理部6080、7080は転送された情報を格納して、自装置への設定変更を反映させる(S―14100)。一方、イーサOAM処理部6060、7060は、該信号をEth―CC信号やコントローラからの設定変更信号以外のイーサOAM信号と判定した場合、自ブロック内で必要な処理を実施する(S―14090、S―14110、S―14120)。
【0095】
図15は、コントローラ50が行う、Box−M40やBox−S30との間の接続性判定を実施するシーケンスの一例である。コントローラ50とBox−M40やBox−S30との間におけるEth−CC信号を用いた接続性の確認は、主にコントローラ50とBox30、40間の制御信号が通る経路の正常性を確認するためのものである。
【0096】
コントローラ50は、Box―M40やBox―S30への通常運用移行への設定が完了すると(図8のS−8100、図9のS−9100)、該当装置との接続性監視を開始する(S―15000、S―15010)。
接続性監視については、前述までの該当装置から受信するEth―CC信号を利用する。つまり、コントローラ50は宛先MACアドレス3000にあらかじめ定められたマルチキャストMACアドレスを設定したEth−CC信号を送信し、このEth−CC信号を受信できたBox−M40やBox−S30は、コントローラ50との接続が正常であると確認する。また、コントローラ50はBox−M40やBox−S30からのEth−CC信号を受信することで、これら終端装置との接続性を確認するが、このEth−CC信号の宛先MACアドレス3000は、コントローラ50のMACアドレスであり、これはユニキャストアドレスである。
【0097】
コントローラ50は通常運用に移行した終端装置、つまり登録情報DB5055にMACアドレスが登録された終端装置を判別可能である。よって、コントローラ50は、通常運用に移行した、Box―M40やBox―S30から一定時間内にEth―CC信号を受信すると、該当装置との接続性が正常と判定する(S―15020、S―15030)。
一方、コントローラ50は、一定時間内に前述のEth―CC信号を受信できなかった場合、該当装置との接続性に異常が発生したと判定し、オペレータや必要な通知先に接続性異常を通知する(S―15040、S―15050)。
【0098】
また、通常運用に移行していないBox―M40やBox―S30からは、当然Eth―CC信号をコントローラ50は受信できない。よって前述のシーケンスを用いることで、通信事業者や加入者による該当装置の設置工事が完了するまで、コントローラ50は、該当装置との接続性を異常と判断しないという処理も可能である。
【0099】
図16は、Box―M40やBox―S30といった終端装置が接続性判定を実施するシーケンスの一例である。コントローラ50との間の接続性確認は上述のとおり制御信号の中継経路の正常性を判断することを主な目的としているが、Box−M40とBox−S30との間でEth−CC信号をやり取りすることによる疎通確認は、主にユーザのデータや信号が通る経路の正常性を確認するためのものである。Box―M40やBox―S30による接続性監視は、これら自身が通信を実施する、制御区間の中継経路とユーザのデータや信号が通る経路の正常性を確認することを目的とする。
【0100】
Box―M40やBox―S30は通常運用後(図8のS−8110や図9のS9110の後)に、コントローラ50や他の終端装置との接続性の監視を開始する(S―16000)。接続性監視については、コントローラと同様、該当装置から受信するEth―CC信号を利用する。この時、Box―M40やBox―S30は、接続先DB6055やコントローラ/マスタDB7065に登録された接続先情報が監視対象に設定されている。よって、Box―M40やBox―S30は、対向装置が通常運用に移行しているかは自身では判別できないので、接続先DB6055やコントローラ/マスタDB7065に登録された全ての接続先について、一定時間内に該当のEth―CC信号の到着を待つ。Box―M40やBox―S30は、一定時間内に該Eth―CC信号を受信すると、該装置との接続性が正常と判定する(S―16010、S―16020)。
【0101】
一方、Box―M40やBox―S30は、一定時間内に該装置からEth―CC信号を受信できなかった場合、該当装置との接続性に異常が発生したと判定し、オペレータや必要な通知先に接続性異常を通知する(S―16030、S―16040)。この時、接続先DB6055やコントローラ/マスタDB7065内にMACアドレスが未登録の終端装置が存在する場合、Box―M40やBox―S30は、該装置とは接続性が異常であると判定する。
【0102】
前述のシーケンスにおいて、コントローラ50は、各終端装置が通常運用に移行しているか判別可能なので、通常運用に移行していない終端装置との接続性異常を申告してきた対向側の終端装置からの通知については、その旨を併せてオペレータに通知することも可能である。
【0103】
また、Box―M40やBox―S30がコントローラ50との制御区間の中継経路にて接続性異常を判定した場合、Box―M40やBox―S30はその旨を通知する信号を対向の終端装置を経由して通知することで、障害が発生している自身とコントローラ50との制御区間の中継経路を使用せずにコントローラ50へ通知することも可能である。
【0104】
上述のように、本実施例では終端装置をマスタであるBox−M40とスレーブであるBox−S30の2種類に分けたネットワーク構成を構築する。即ち、複数の拠点に配置される終端装置について、中継網の先に設置されるBox−M40にて複数のBox−S30を集約するネットワーク構成とする。前述のネットワーク構成によって、接続性監視の区間は、集約される側のスレーブの終端装置(下位の終端装置)と集約する側のマスタの終端装置(上位の終端装置)との間になり、障害検出区間の特定が容易になる。
また、上位の終端装置は複数の終端装置を配下に収めるので、上位の終端装置からはマルチキャストMACアドレスを利用したCCMフレームを送信する。一方、下位の終端装置は、宛先MACアドレスを上位の終端装置のMACアドレス、つまりユニキャストMACアドレスに設定したCCMフレームを上位の終端装置へ送信する。このように上位の終端装置から送信するCCMフレームと下位の終端装置から送信するCCMフレームにおいて、宛先MACアドレスをマルチキャストMACアドレス、ユニキャストMACアドレスと使い分けることで、ネットワークに対する接続性監視の負荷を低減できる。
【0105】
前述の接続性監視方法は、上位の終端装置と下位の終端装置を纏めて制御する通信事業者の制御装置(コントローラ)にも適用した。即ち、制御装置からは、上位の終端装置又は下位の終端装置へのCCMフレームでも宛先MACアドレスにマルチキャストMACアドレスを利用して接続性監視を実施する。一方、上位の終端装置又は下位の終端装置は制御装置に対して、宛先MACアドレスをユニキャストMACアドレスである、制御装置のMACアドレスに設定したCCMフレームを送信する。制御装置から送信するCCMフレームと、上位の終端装置又は下位の終端装置から送信するCCMフレームにおいて、宛先MACアドレスをマルチキャストMACアドレス、ユニキャストMACアドレスと使い分けることで、ネットワークに対する接続性監視の負荷を低減できる。
【0106】
ネットワークを構成する制御装置や上位の終端装置や下位の終端装置は、それぞれCCMフレームを受信することで対向側装置のMACアドレスを認識する。制御装置や上位の終端装置や下位の終端装置の接続性監視は、CCMフレームの送受信によって実施する。
【0107】
以上で説明したように、本実施例のコントローラ50、Box―M40、Box―S30の構成と動作により、既存のL2―VPN網を利用しつつ、ユーザ拠点間の新しい接続性監視を容易に提供できるようになる。また、ユーザ拠点間の接続性監視において、終端点同士を親局―子局のような従属関係を用いることにより、複数の拠点間の接続性監視を同時に実施でき、その監視フレームに用いる帯域の最小化を可能としている。本発明により、複数の地域網を経由するユーザ拠点間の通信において、障害発生時に明確に障害回線の特定や障害区間の特定が可能になる。
【0108】
なお、本実施例ではイーサOAM信号の場合について説明を行なったが、これはあくまでも一例である。装置間の接続性を監視するためのフレームやパケット等の信号を、マルチキャストアドレスを用いて複数の装置に送信できる保守監視システムであれば、上記実施例と同様に本発明を実施できる。また、Eth−CC信号は受信した装置が送信した装置との接続性を確認するものであり、Eth−CC信号を送信した装置は相手装置がEth−CC信号を正常に受信したかどうかは関知しない。送信側の装置は、逆に受信側の信号が別途送信してくるEth−CC信号を受信することで、相手装置との疎通確認をする。しかし、このEth−CC信号のように送信側が信号を送信した後で何ら返信を待たない信号の他、送信側が送信した信号に対する受信側からの返信を得ることで接続性を確認するようなOAM用の信号に対しても、この発明は同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
30 Box―S
40 Box―M
50 コントローラ
5050 登録情報管理部
5070 接続性監視部(コントローラ)
6050 接続先テーブル管理部
6060 イーサOAM処理部(Box―M)
6110 接続性監視部(Box―M)
7050 コントローラ/マスタ管理部
7060 イーサOAM処理部(Box―S)
7110 接続性監視部(Box―S)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーサネット用のOAM信号を終端する終端装置であって、
同じVLAN IDで識別されるVLANに属する複数の他の終端装置を、前記VLAN内で一意に識別するための識別情報を記憶し、
前記複数の他の終端装置に、マルチキャストMACアドレスを用いてCCMフレームを送信し、
前記複数の他の終端装置それぞれから、自装置のMACアドレスを宛先MACアドレスとしたCCMフレームを受信すると、前記CCMフレームに含まれる、当該CCMフレームを送信した前記他の終端装置の前記識別情報が、前記記憶している識別情報に含まれているかどうかを調べ、前記CCMフレームに含まれる識別情報が前記記憶している識別情報に含まれている場合は、当該CCMフレームの送信元MACアドレスを、前記識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする終端装置。
【請求項2】
請求項1に記載の終端装置であって、
前記CCMフレームを送信した前記他の終端装置から再びCCMフレームを受信すると、当該CCMフレームに含まれる送信元MACアドレスが記憶されているか否かを調べ、
前記送信元MACアドレスが記憶されている場合は前記他の終端装置との接続は正常であると判断することを特徴とする終端装置。
【請求項3】
イーサネット用のOAM信号を終端する終端装置であって、
同じVLAN IDで識別されるVLANに属する他の終端装置を、前記VLAN内で一意に識別するための識別情報を記憶し、
前記他の終端装置から、マルチキャストMACアドレスを宛先MACアドレスとしたCCMフレームを受信すると、前記CCMフレームに含まれる、前記他の終端装置の前記識別情報が、前記記憶している識別情報に含まれているかどうかを調べ、前記CCMフレームに含まれる識別情報が前記記憶している識別情報に含まれている場合は、当該CCMフレームの送信元のMACアドレスを、前記識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする終端装置。
【請求項4】
請求項3に記載の終端装置であって、
前記識別情報と対応付けて記憶した、前記他の終端装置のMACアドレスを宛先アドレスとしたCCMフレームを送信することを特徴とする終端装置。
【請求項5】
請求項3に記載の終端装置であって、
前記他の終端装置から前記マルチキャストMACアドレスを宛先としたCCMフレームを再び受信すると、当該CCMフレームに含まれる送信元MACアドレスが記憶されているか否かを調べ、
前記送信元MACアドレスが記憶されている場合は前記他の終端装置との接続は正常であると判断することを特徴とする終端装置。
【請求項6】
イーサネット用のOAM信号を終端する複数の終端装置との間の接続を監視する制御装置であって、
前記複数の終端装置と、同じVLAN IDで識別されるVLANに属しており、
前記複数の終端装置をそれぞれ一意に識別するための複数の第1の識別情報と、前記複数の終端装置を前記VLAN内で一意に識別するための複数の第2の識別情報とを記憶し、
前記複数の終端装置の中の第1の終端装置に、当該第1の終端装置がマルチキャストMACアドレスを用いてCCMフレームを送信するべき複数の他の第2の終端装置の前記第2の識別情報を通知することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記第2の終端装置に、前記第1の終端装置の前記第2の識別情報を通知することを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記複数の終端装置に、マルチキャストMACアドレスを用いてCCMフレームを送信し、
前記複数の終端装置の中の1台の終端装置から、自装置のMACアドレスを宛先MACアドレスとしたCCMフレームを受信すると、前記CCMフレームに含まれる、当該CCMフレームを送信した前記1台の終端装置の前記第1の識別情報を記憶しているか否かを調べ、前記1台の終端装置の前記第1の識別情報を記憶している場合には、当該CCMフレームの送信元MACアドレスを、前記1台の終端装置の前記第1の識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする終端装置。
【請求項1】
イーサネット用のOAM信号を終端する終端装置であって、
同じVLAN IDで識別されるVLANに属する複数の他の終端装置を、前記VLAN内で一意に識別するための識別情報を記憶し、
前記複数の他の終端装置に、マルチキャストMACアドレスを用いてCCMフレームを送信し、
前記複数の他の終端装置それぞれから、自装置のMACアドレスを宛先MACアドレスとしたCCMフレームを受信すると、前記CCMフレームに含まれる、当該CCMフレームを送信した前記他の終端装置の前記識別情報が、前記記憶している識別情報に含まれているかどうかを調べ、前記CCMフレームに含まれる識別情報が前記記憶している識別情報に含まれている場合は、当該CCMフレームの送信元MACアドレスを、前記識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする終端装置。
【請求項2】
請求項1に記載の終端装置であって、
前記CCMフレームを送信した前記他の終端装置から再びCCMフレームを受信すると、当該CCMフレームに含まれる送信元MACアドレスが記憶されているか否かを調べ、
前記送信元MACアドレスが記憶されている場合は前記他の終端装置との接続は正常であると判断することを特徴とする終端装置。
【請求項3】
イーサネット用のOAM信号を終端する終端装置であって、
同じVLAN IDで識別されるVLANに属する他の終端装置を、前記VLAN内で一意に識別するための識別情報を記憶し、
前記他の終端装置から、マルチキャストMACアドレスを宛先MACアドレスとしたCCMフレームを受信すると、前記CCMフレームに含まれる、前記他の終端装置の前記識別情報が、前記記憶している識別情報に含まれているかどうかを調べ、前記CCMフレームに含まれる識別情報が前記記憶している識別情報に含まれている場合は、当該CCMフレームの送信元のMACアドレスを、前記識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする終端装置。
【請求項4】
請求項3に記載の終端装置であって、
前記識別情報と対応付けて記憶した、前記他の終端装置のMACアドレスを宛先アドレスとしたCCMフレームを送信することを特徴とする終端装置。
【請求項5】
請求項3に記載の終端装置であって、
前記他の終端装置から前記マルチキャストMACアドレスを宛先としたCCMフレームを再び受信すると、当該CCMフレームに含まれる送信元MACアドレスが記憶されているか否かを調べ、
前記送信元MACアドレスが記憶されている場合は前記他の終端装置との接続は正常であると判断することを特徴とする終端装置。
【請求項6】
イーサネット用のOAM信号を終端する複数の終端装置との間の接続を監視する制御装置であって、
前記複数の終端装置と、同じVLAN IDで識別されるVLANに属しており、
前記複数の終端装置をそれぞれ一意に識別するための複数の第1の識別情報と、前記複数の終端装置を前記VLAN内で一意に識別するための複数の第2の識別情報とを記憶し、
前記複数の終端装置の中の第1の終端装置に、当該第1の終端装置がマルチキャストMACアドレスを用いてCCMフレームを送信するべき複数の他の第2の終端装置の前記第2の識別情報を通知することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記第2の終端装置に、前記第1の終端装置の前記第2の識別情報を通知することを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記複数の終端装置に、マルチキャストMACアドレスを用いてCCMフレームを送信し、
前記複数の終端装置の中の1台の終端装置から、自装置のMACアドレスを宛先MACアドレスとしたCCMフレームを受信すると、前記CCMフレームに含まれる、当該CCMフレームを送信した前記1台の終端装置の前記第1の識別情報を記憶しているか否かを調べ、前記1台の終端装置の前記第1の識別情報を記憶している場合には、当該CCMフレームの送信元MACアドレスを、前記1台の終端装置の前記第1の識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする終端装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−182760(P2012−182760A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45850(P2011−45850)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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