加工品に被膜を設けるための方法および被膜設備
本発明は、加工品(106)を被膜する方法に関する。該方法は、前記加工品(106)を被膜するステップと、前記加工品(106)を、乾燥装置(189)で乾燥するステップと、を備える。本発明は、長い加工品に特に適していて且つ大きな容量を有する、方法を提供する。前記加工品(106)の被膜工程が開始した後で、且つ前記加工品(106)の乾燥工程が終了する前に、前記加工品(106)が、前記乾燥装置(189)に対して移動させられる、方法により、本発明の目的は実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工品に被膜を設ける方法に関し、下記の処理ステップを備える。
加工品を被膜するステップ、および
乾燥装置で加工品を乾燥するステップ。
【背景技術】
【0002】
被膜される加工品を処理ブースに導入すること、および加工品を、手動または自動被膜装置により被膜している間、処理ブースに静的に配置することが知られている。その後、処理ブースは、被膜された加工品を乾燥するために加熱される。加工品が乾燥された後、処理ブースは冷却され、加工品は処理ブースから取り除かれる。前処理段階と蒸発段階を含むことができる操作の全段階を通して、加工品は処理ブースに対して移動せず、処理ブースはまた、特に乾燥装置としても働く。
【0003】
この既知の方法においては、加工品に対する総処理時間は、加工品の被膜と、処理ブースの加熱と、加工品の乾燥と、処理ブースの冷却に必要な時間の組み合わせとなり、被膜設備の能力と、被膜設備において行われる被膜工程をこのように制限している。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上記に言及したタイプの加工品に被膜を設ける方法を作成することであり、能力が高められ、非常に長い加工品に対しても特に適切な方法である。
【0005】
本発明によれば、この目的は、加工品の被膜工程が開始した後で、且つ加工品の乾燥工程が終了する前に、加工品を乾燥装置に対して移動するという、請求項1の前文に係る特徴を組み込んでいる方法の場合に達成される。
【0006】
本発明はこのように、加工品の被膜および乾燥工程を備える操作の全段階の間に、加工品を乾燥装置に対して静止させておかず、少なくとも被膜を加工品に塗布する工程の開始と、加工品を乾燥する工程の終了の間は、乾燥装置に対して移動するという概念に基づいている。
それにより、加工品の処理に必要な時間総量を相当に削減できる。
それに関連して、加工品と乾燥装置の間の相対移動は、乾燥装置が静止している間の加工品の移動、加工品が静止している間の乾燥装置の移動、または加工品と乾燥装置の同時移動により生み出される。
【0007】
本発明に係る方法の特別な実施の形態においては、加工品は被膜工程の間および乾燥工程の間の両者において移動される。
それに関連して、特に、間歇的に、または好ましくは連続的に、被膜ゾーンと、加工品の前進方向において被膜ゾーンの背後に位置する乾燥ゾーンを通して、加工品が連続工程において前進するようにしてもよい。それにより、加工品の被膜および乾燥工程を加工品の異なる部分において同時に行うことが可能であり、そのため、各加工品に必要な総処理時間が相当に削減される。
更に、連続工程により、被膜ゾーンと乾燥ゾーンを、被膜対象の加工品よりも相当に短くすることが可能になる。
【0008】
被膜工程と乾燥工程に加えて、更に、例えば、前処理工程および/または蒸発工程のような処理ステップが加工品に対して行われるときは、これらの追加的工程もまた同様に分離したゾーン、例えば、被膜対象の加工品の長さよりも短くてよい長さを有する前処理ゾーンと蒸発ゾーンで行うことができる。
個々のゾーンの、より小さいブースサイズのため、およびその結果としてのこれらのゾーンを通して流れる空気量の削減のために、相当なエネルギーが節約される。
【0009】
更に、加工品を乾燥する目的で全処理ブースを加熱し、加工品が乾燥した後に冷却する必要はもはやなく、これもまた同様に相当なエネルギーの節約に貢献する。
更に、この方法を行うために使用される被膜設備は、加工品がサイズによって決まる寸法を有する必要はなく、所望の処理能力に基づいて設計できる。
【0010】
本方法の更なる実施の形態においては、加工品の被膜処理が終了した後で、加工品が乾燥中に、好ましくは連続的に移動されるようにしている。
この場合、特に、加工品を乾燥する工程は、加工品が静止している間に行われる加工品の被膜工程の間に、連続操作モードにおいて行われるようにしてもよい。
この場合、前処理工程および、特に蒸発工程のような更なる処理ステップを、加工品が静止している間に行うこともできる。
【0011】
本方法の更なる実施の形態においては、加工品の乾燥中に乾燥装置を、好ましくは連続的に移動するようにしている。
この場合、被膜工程は、静止した加工品で行うことができる。
この場合も、例えば、前処理工程および蒸発工程のような更なる処理ステップもまた、加工品が静止中に行うことができる。
【0012】
加工品は、乾燥工程の間、静止状態を維持することができる。この場合、加工品は、処理ブースで処理されている間は、連続操作モードでは前進されないので、より簡単な構成の搬送装置を使用して加工品を前進させることができるが、これは、加工品搬送工程の静かな運転に対して課せられる要求が少ないからである。
【0013】
本方法の更なる実施の形態においては、加工品の被膜工程が完了した後で、加工品の乾燥工程が開始する前に、加工品を乾燥装置に対して移動するようにしてもよい。
この場合、加工品の被膜工程と加工品の乾燥工程の両者を、加工品の静止中に行うことができる。加工品が、被膜工程と乾燥工程の間に、被膜ゾーンから乾燥ゾーンに移動しさえすればよい。この場合、移動中の加工品には何らの処理ステップが行われないので、加工品を前進させる搬送装置は連続操作の場合よりも、より簡単な構成であってよく、これは、加工品移動工程の滑らかな運転に対して課せられる要求は少ないという事実のためである。
【0014】
本発明の好適な実施の形態においては、加工品は、被膜工程の間および/または乾燥工程の間、被膜設備の処理ブースを実質的に連続的に前進させられる。
これに関連して、加工品が搬送される速度は、好ましくは、0.2m/分と1m/分の間である。
特に、加工品はトラック誘導加工品キャリッジにより、乾燥装置に対して移動できる。
【0015】
本発明に係る方法を行うために使用される被膜設備における搬送装置は、好ましくは、加工品キャリッジが前進縦方向に移動可能な縦方向搬送トラックと、加工品キャリッジが前進縦方向に対して横方向に走る前進横方向に移動可能な横方向搬送トラックを備える。
加工品キャリッジが、被膜設備の処理ブースの外側で移動して、処理ブースの出口から処理ブースの入口まで戻ることを可能にするために、搬送装置は好ましくは、戻り搬送トラックを備え、その上を加工品キャリッジが、縦方向搬送トラックの最後尾から縦方向搬送トラックの開始部まで移動可能である。
好ましくは、戻り搬送トラックは、被膜設備の処理ブースの外側を通っている。
特に、戻り搬送トラックは、縦方向搬送トラックに実質的に平行に伸びることができる。
【0016】
本発明に係る方法の好適な実施の形態においては、加工品が、自走式加工品キャリッジにより移動されるようにしている。
必要な電気エネルギーを、自走式加工品キャリッジの駆動装置に供給するために、被膜設備の搬送装置に、非接触方法で加工品キャリッジにエネルギーを伝達する装置を設けるようにしてもよい。
非接触方法でエネルギーを伝達するそのような工程の代替として、またはその工程に追加して、加工品キャリッジが電気エネルギーの備蓄装置、特に、アキュムレータを有するようにしてもよい。
【0017】
加工品キャリッジを前進縦方向と、その方向に対して横方向に伸びる前進横方向の両者において移動することを可能にするために、加工品キャリッジが、第1方向において走行ホイールの第1セットにより移動され、第1方向に対して横方向に伸びる第2方向において、走行ホイールの第2セットにより移動されると好都合である。
特に、加工品キャリッジは、前進縦方向における縦方向輸送工程に対して縦方向走行ホイールを有し、前進縦方向に対して横方向に伸びる前進横方向における横方向輸送工程に対して横方向走行ホイールを有することができる。
【0018】
好ましくは、縦方向走行ホイールおよび/または横方向走行ホイールは、高さが調整可能な方法で加工品キャリッジ上に配置され、それにより、加工品キャリッジが、縦方向輸送モードから横方向輸送モードに、または横方向輸送モードから縦方向輸送モードへ、これらの走行ホイールを降下または上昇することに切り替えることができる。
加工品キャリッジが可能な限り滑らかに走行する効果を達成するために、加工品キャリッジを、曲面、好ましくは凸形支持表面を有する少なくとも1つのレール上を誘導するようにしてもよい。
特に、そのようなレールは丸いレールの形状であってよい。
【0019】
この場合、加工品キャリッジは好ましくは、レールの曲面支持表面と相補関係にある、加工品キャリッジの周辺に沿う曲面、好ましくは凹形の走行表面を有する少なくとも1つの走行ホイールを有する。
加工品キャリッジが誘導されるレールが汚染されることを防止するために、被膜設備の被膜ゾーンにおけるレールは好ましくは、遮断要素、例えばケースにより、被膜材料が加工品に塗布される被膜ゾーンの塗布エリアから分離される。
【0020】
本発明の好適な実施の形態においては、被膜対象の加工品の表面を活性化するために、被膜工程の前に加工品を前処理するようにしている。
これに関連して、好ましくはロボット誘導または自動キャリッジユニット上に固定されている真空吸引噴射装置により、被膜工程の前に前処理するようにしてもよい。
そのような真空吸引噴射装置においては、摩耗媒体が、加工品の表面上に吹き付けられ、吸引により加工品上に保持されているフードの下方で直ちに再び吸引され、フードの外部で埃が生成されないようにしている。
【0021】
これの代替として、またはこれに追加して、加工品を、吸引装置を組み込んでいるロボット誘導ブラッシングシステムにより、被膜工程の前に前処理するようにしてもよい。
加工品の被膜工程は、原則的には、任意の形状の被膜材料を使用して行うことができる。
好ましくは、ラッカー、特に、例えば、水性ラッカーのような無溶媒ラッカーが被膜工程において使用される。
【0022】
加工品の被膜工程は好ましくは、余剰被膜材料が空気ストリームにより拾い上げられる被膜ゾーンにおいて行われ、それにより、分離装置により余剰被膜材料は空気ストリームから外部に分離される。
この分離装置は好ましくは、乾燥分離装置の形状である。
特に、そのような乾燥分離装置は、前処理用被膜材料により覆うことができるフィルター要素を備えることができる。
そのような前処理用被膜材料から構成される前処理被膜層の上には、被膜材料中における粘着性粒子である、例えば石埃が堆積する可能性がある。
【0023】
それの代替として、またはそれに追加するものとして、乾燥分離装置は、被膜材料の分離用の迷路(又は、ラビリンスとも言う)フィルターを備えてもよい。
加工品の乾燥工程は、例えば、暖気を加工品に供給することで行うことができる。
加工品を乾燥させる乾燥装置は、例えば、対流式乾燥器の形状であってよい。
【0024】
その代替として、またはそれに追加するものとして、加工品上に生成された被膜を、照射ユニットにより少なくとも部分的に乾燥および/または硬化するようにしてもよい。
それに関連して、照射ユニットは、例えば、赤外線放射および/または紫外線放射(紫外線照射により硬化可能な被膜の場合)を出射することができる。
更に、少なくとも1つの照射装置を冷却する冷却装置を設けることができる。
少なくとも1つの照射ユニットは、乾燥ゾーンにおいて適切な場所に固定できる。
【0025】
それに対する代替として、少なくとも1つの照射ユニットを、好ましくは被膜設備の処理ブースの縦方向において可動にし、それにより、加工品の表面の大きな面積が、加工品自身を照射ユニットに対して移動する必要なく、この照射ユニットによりまんべんなく照射できるようにしてもよい。
【0026】
特に、加工品の断面幾何学形状が、その縦方向において変化する場合は、照射ユニットが、加工品の被膜された表面に対して可動な少なくとも1つの照射装置を備え、それにより、加工品の被膜された表面からの照射装置の距離が可変に調整できると有利である。このようにして、照射装置の位置を、加工品の変化する断面幾何学形状に適合でき、それにより、加工品のすべての表面上で一様な照射強度が達成される。
被膜設備の処理ブースに供給される空気は、好ましくは空気再循環システムを通して供給され、それにより、相当なエネルギーの節約が達成される。この理由は、新鮮な空気を、処理ブース内で必要な温度に常に暖める必要がないからである。
【0027】
更に、被膜設備が複数の空気再循環システムを備え、それにより、ブース内の雰囲気が、必要条件により決まる異なる空気再循環システムにおいて異なる方法で調節できると好都合である。
特に、前処理ゾーンに空気を供給する第1空気再循環システムと、被膜ゾーンに空気を供給する第2空気再循環システムを備え、それにより、前処理ゾーンへの空気の供給と、被膜ゾーンへの空気の供給が異なる方法で調節可能であると好都合である。
【0028】
更に、処理ブースが、複数の相互に分離したゾーンを備え、それぞれのゾーンに空気が、それ自身の空気供給ラインを介して供給されると好都合である。その理由は、このようにして特別のゾーンに供給される空気の量が、その特別な必要条件に正確に適合できるからである。そのような区分された空気供給システムにより、更なるエネルギーの節約がもたらされる。
加工品を乾燥する工程は、好ましくは、加工品が乾燥装置に対して移動される方向において縦方向の長さを有している乾燥ゾーンにおいて行われ、この乾燥装置はこの方向における加工品の縦方向の長さよりも小さい。
【0029】
同様な方法で、加工品を被膜する工程が、加工品が乾燥装置に対して移動される方向において縦方向の長さを有している乾燥ゾーンにおいて行われると好都合であり、この乾燥装置はこの方向における加工品の縦方向の長さよりも小さい。
好ましくは、被膜設備において加工品に対して行われるすべての処理ステップは、設備が正常に稼働しているときは、完全に自動で行われる。
しかし、被膜設備の処理ブースが、少なくとも1つの予備ゾーンまたはバックアップゾーンを備え、そこにおいて加工品の手動処理が実現可能であるようにしてもよい。
【0030】
このようにすれば、加工品の前進方向において先行する自動操作処理ゾーンが故障しても、または、欠陥製品が製造され、それにより手動修正処理が必要な場合でも、加工品を適切に被膜することが可能である。
特に、そのような予備ゾーンまたはバックアップゾーンを、被膜設備の前処理ゾーンと被膜ゾーンの間に配置するようにしてもよい。
それに対する代替として、またはそれに対する追加として、そのような予備ゾーンとバックアップゾーンを、被膜設備の被膜ゾーンと乾燥ゾーンの間に設置するようにしてもよい。
【0031】
本発明に係る被膜工程は、特に、非常に長い加工品および特別に細長い加工品の被膜に対して適切であり、その加工品縦方向の長さは、加工品の縦方向に対して直交する横方向におけるその最大の長さよりも相当に長い。
好ましくは、加工品の縦方向の長さは、加工品の最大横方向の長さの少なくとも5倍よりも長い。
被膜対象の加工品は、所与の縦方向の長さの個々の部分であることが好ましく、つまり、不定の長さのテープ状の材料ではないことが好ましい。
【0032】
更に、本発明は加工品に被膜を設ける被膜設備に関し、前記設備は少なくとも1つの被膜ユニットを備え、それにより加工品に被膜を設けることができ、また、少なくとも1つの乾燥装置を備え、それにより加工品上の被膜を乾燥可能である。
【0033】
本発明の更なる目的は、処理能力が増大され、非常に長い加工品の被膜に特に適切な被膜設備を提供することである。
【0034】
本発明によれば、この目的は、被膜設備は少なくとも1つの移動装置を備え、それにより加工品と乾燥装置の間の相対移動を、加工品の被膜工程開始後、且つ加工品の乾燥工程の終了前に生成することが可能である請求項16の前文の特徴を組み込んでいる被膜設備の場合に達成される。
そのような被膜設備は、本発明に係る方法を行うために特に適切である。
移動装置は、加工品を移動および/または乾燥装置を移動するように構成できる。
特に、移動装置は、加工品キャリッジおよび/または加工品乾燥用の可動照射ユニットを備えることができる。
【0035】
本発明の更なる特徴と利点は、下記の記載および例としての実施の形態の図の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】縦方向に延伸する処理ブースと、処理ブースを通して伸びている縦方向搬送トラックを組み込んでいる被膜設備と、処理ブースの外側で伸び、縦方向搬送トラックに平行な戻り搬送トラックと、戻り搬送トラックと縦方向搬送トラックをお互いに接続する横方向搬送トラックの模式平面図である。
【図2】図1に示されている被膜設備における処理ブースの模式図であり、前処理ゾーンと、第1バックアップゾーンと、エアロックゾーンと、被膜ゾーンと、更なるバックアップゾーンと、蒸発ゾーンと、乾燥ゾーンを備えており、これらのゾーンは、処理ブースの縦方向においてお互いに連続している。
【図3】図2に示されている処理ブースへの空気の供給および、処理ブースからの空気の排気を示している空気供給図である。
【図4】加工品の縦方向にお互いに連続する加工品の部分が、処理ブースの異なるゾーンにおいて同時に処理されている間に、非常に長い加工品(例えば、風力タービン用の回転翼羽根の形状)を支え、前進縦方向において加工品を処理ブースを通して前進させる加工品キャリッジを組み込んでいる処理ブースの更なる模式図である。
【図5】加工品キャリッジと、加工品キャリッジ上に保持されている加工品の模式側面図である。
【図6】加工品キャリッジと、加工品キャリッジの縦方向搬送走行ホイールがその上で回転する縦方向搬送レールの部分模式垂直断面図である。
【図7】被膜設備を通しての前進縦方向における視線に沿う、加工品キャリッジと、加工品キャリッジの上に保持されている加工品と、加工品に対して調整可能な照射装置の模式図である。
【図8】前処理ゾーンにおいて加工品の前処理に使用される真空吸引噴射装置の模式断面図である。
【図9】加工品が静止し、その後、加工品が乾燥ゾーンを通して前進させられる間に、前処理と、加工品の被膜と、蒸発処理が共通作業ゾーンにおいて行われる被膜設備の第2実施の形態における処理ブースの模式図である。
【図10】加工品が静止し、その後、乾燥装置が加工品が静止している間に加工品に沿って前進させられる間に、前処理と、加工品の被膜と、蒸発処理が共通作業ブースにおいて行われる被膜設備の第3実施の形態における処理ブースの模式図である。
【図11】加工品が静止し、その後、加工品が乾燥ゾーンに前進され、乾燥ゾーンで静止状態で乾燥される間に、前処理と、加工品の被膜と、蒸発処理が共通作業ゾーンにおいて行われる被膜設備の第4実施の形態における処理ブースの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
すべての図において、類似または機能的に等価な構成要素は、同じ参照符号によって示される。
【0038】
全体を参照番号100とされている被膜設備が図1から図8に例示されており、処理ブース102と搬送装置104を備え、搬送装置104により、被膜対象の加工品106(図4と5参照)が前進縦方向108において、処理ブース102を通して搬送可能である(図1参照)。
【0039】
本発明によれば、被膜対象の加工品は、風力発電所の回転翼羽根、船体、自動車の車体、航空機の翼、または尾翼ユニットにおける使用が意図されている単一体であることがよくある。
【0040】
本発明による被膜設備は、以下により詳細に記述するように、10m以上の縦方向の長さを有する基板(又は、基礎構造)の場合に特別な利点を示す。
【0041】
搬送装置104は、前進縦方向108に伸びる縦方向搬送トラック110であり、前進縦方向108に平行に延伸し、前進縦方向108に直交する方向において相互に間隔を置いて配置されている2つの縦方向搬送レール112を有する縦方向搬送トラック110を備える。
【0042】
更に、加工品106を、処理ブース102における第1被膜工程の後に、第2被膜工程のために処理ブース102の出口から処理ブース102の入口に戻すことを可能にするために、搬送装置104は、前進縦方向108に平行であるが、前進縦方向108とは反対方向の、前進反転方向116に伸びる戻り搬送トラック114を備える。
【0043】
戻り搬送トラック114は、前進反転方向116に平行に伸び、前進反転方向116に直交する方向において相互に間隔を置いて配置されている2つの戻り搬送レール118を備える。
【0044】
加工品106が、縦方向搬送トラック110の最後尾から、戻り搬送トラック114の開始部に搬送されることを可能にするために、縦方向搬送トラック110の最後尾は、戻り搬送トラック114の開始部に、第1横方向搬送トラック120により接続され、第1横方向搬送トラック120は、前進縦方向108に直交し、前進反転方向116に直交する第1前進横方向122に伸びている。
【0045】
第1横方向搬送トラック120は2つの横方向搬送レール124を備える。この2つの横方向搬送レール124は、第1前進横方向122に平行に伸び、第1前進横方向122に直交する方向において相互に間隔を置いて配置され、縦方向搬送トラック110の縦方向搬送レール112と第1レール交差部126を形成し、戻り搬送トラック114の戻り搬送レール118と第2レール交差部128を形成する。
【0046】
更に、加工品106を、戻り搬送トラック114の最後尾から縦方向搬送トラック110の開始部に搬送することを可能にするために、搬送装置104は第2横方向搬送トラック130を備える。第2横方向搬送トラック130は、前進反転方向116に対して直交し、前進縦方向108に対して直交する第2前進横方向132に伸び、戻り搬送トラック114の最後尾を縦方向搬送トラック110の開始部に接続する。
【0047】
第2横方向搬送トラック130は2つの横方向搬送レール134を備える。この2つの横方向搬送レール134は、第2前進横方向132と平行に伸び、戻り搬送トラック114の戻り搬送レール118と第3レール交差部136を形成し、縦方向搬送トラック110の縦方向搬送レール112と第4レール交差部138を形成する。
【0048】
被膜設備100の処理ブース102を図2と図3において、より詳細に例示する。
【0049】
処理ブース102は、完全自動前処理ゾーン140と、手動前処理を行うための第1予備ゾーンまたはバックアップゾーン142と、エアロックゾーン144と、完全自動被膜ゾーン146と、手動前処理を行うための第2予備ゾーンまたはバックアップゾーン148と、蒸発ゾーン150と、乾燥ゾーン152を備える。
【0050】
前述したゾーンは、前進縦方向108に対応する、処理ブース102の縦方向153において順番にお互いに続いている。
【0051】
前処理ゾーン140は、自己支持フレーム枠構成要素から構成されている閉鎖ブースの形状であり、自己支持フレーム枠構成要素は、ガラス充填パネルと、フレーム枠構成要素に統合されているシートメタル充填パネルを有するシート鋼鉄部から構成されている。
【0052】
これらのフレーム枠構成要素から形成されている、前処理ゾーン140の側壁154は、上部から底部へ順番に、上部シートメタルパネルと、照明器具配置用の上部ガラスパネル(例えば、約1mの高さを有する)と、中央シートメタルパネルと、下部ガラスパネル(例えば、約1.6mの高さを有する)と、下部シートメタルパネルを備える。
【0053】
側壁154のガラス充填パネルは好ましくは、単一窓枠安全ガラスから構成される。
【0054】
ガラス充填パネルとシートメタル充填パネルは、ブースを洗浄するために使用される洗浄媒体が、それらの充填パネルを通過して外に出ることができないように、そして充填パネルが火事の場合に落下することを防止するようにシール(封止材)にネジ留めまたは締結固定されている。
【0055】
側壁45の上部ガラスパネル用に想定されている照明器具は、対称反射器と、外部からガラスパネル上に押し付けられているシートメタルハウジングを備える。
【0056】
照明器具ハウジングには、ガラスシートに対するシートと共に、安全鎖または吊り下げ装置を有する、調整可能な固定装置および締結装置を設けることができる。
【0057】
ブース用照明器具は、照明器具キャビネットにより局所的に制御可能である。
【0058】
前進縦方向108に平行に可動な自動前処理ユニット158用の、前進縦方向108に平行に延伸する駆動レール156が、下部シートメタルパネル上に配置されている。
【0059】
自動前処理ユニット158は、特に、前処理ロボットの形状であってよい。
【0060】
側壁154はこのために、前処理ユニット158を統合できるように準備されている。
【0061】
側壁154にはドアが設けられており、保守員または清掃員がブースの内部に入ることができる。
【0062】
ドアは、例えば、視認窓を組み込んでいる鋼鉄ドアの形状であってよい。
【0063】
ドアを操作するために、好ましくは、プッシュプレートがブースの内部においてドアに取り付けられ、ドアの外側にはハンドルが設けられる。
【0064】
好ましくは、ドアは外側に向けて開く。
【0065】
ブースの開始部と最後尾において、パネル状構成の端壁160がそれぞれ設けられており、設備の更なる部分、特に、更なるブースを取り付けられるように準備されている。
【0066】
端壁160は、例えば、亜鉛被膜メタルシートの形状であってよい。
【0067】
端壁160は好ましくは滑らかであり、二重壁構造として構築され、それにより、隠れたケーブルが延びることを可能にする。
【0068】
加工品106を1つのブースから次に続くブースへ前進できるようにするために、端壁160には、好ましくは剛性輪郭を有する通路開口部が設けられている。
【0069】
加工品106がこの輪郭を通過するとき、輪郭から加工品の表面までの距離は、好ましくは少なくとも0.5mである。
【0070】
通路開口部を通過するときの加工品106の不整列を検出し、検出した場合に、被膜設備100の電源を切ることができるようにするために、通路開口部には、不正な方向を向いている加工品106が接触すると静止位置からずれる吊り下がりスクリーンが設けられている。そのような吊り下がりスクリーンのずれは、吊り下がりスクリーンに連結されている近接スイッチにより登録され、近接スイッチは信号を被膜設備100のコントロールセンターに送り、被膜設備100の非常時シャットダウンとなる。
【0071】
吊り下がりスクリーンの近接スイッチは、好ましくは、それぞれの端壁160に統合されている。
【0072】
ブースの底部は、可動格子を組み込んでいる自己支持構造鋼鉄製品の形状である。
【0073】
好ましくは傾斜のない、ハイグレード鋼鉄から製造されたドリップトレーが格子の下方に設置される。
【0074】
ブースの入口ドアは、格子のレベルにあるか、またはプラットフォームを介して格子のレベルから階段によりアクセス可能であり、プラットフォームは好ましくは、滑らかなシートメタルのプラットフォームである。
【0075】
ブースの作業空間は、上方が天井フィルター162(図3参照)により閉じられている。
【0076】
天井フィルターは、統合されたラッカーを塗ったワイヤ格子を有する亜鉛メッキおよび/またはラッカーを塗ったシートメタル構成要素から形成できる。
【0077】
天井フィルター162のフレーム枠は、好ましくは、通路として構成される。
【0078】
天井フィルター162のフィルターが汚染される量は、差圧計により監視される。
【0079】
差圧計は、好ましくは、ブースの特定の場所において読み取ることができるディスプレイを有している。
【0080】
天井フィルター162にかかる差圧は、フィルター汚染を代表するブースのゾーンにおいて判定される。
【0081】
フィルター空間は、天井フィルター162の上方に位置しており、それにより、前進縦方向108において連続するブースのフィルター空間が、仕切り壁166によりお互いから同じように分離され、それにより、作業ゾーンに従って区分された方法で、空気を処理ブース102のゾーンに別々に供給することが可能になる。
【0082】
フィルター空間164には、好ましくは、パイロットランプを組み込んでいるスイッチにより、フィルター空間164の中心位置から電源を入れることができる照明システムが設けられている。
【0083】
フィルター空間164は、保守要員または清掃要員により、機密に維持されたドアを通してアクセス可能である。
【0084】
前処理ゾーン140のブースは、空気再循環システムにより換気される。ブースの換気は、図3を参照して、以下に詳細に記載する。
【0085】
加工品106を前処理する目的のために、各可動自動前処理ユニット158には、図8において模式的に示されている真空吸引噴射装置168が設けられている。
【0086】
真空吸引噴射装置168は噴射フード170を備え、噴射フード170は加工品106に向けて開口し、加工品106に面している噴射フード170の縁上に配置されているシールによりほぼ機密状態で加工品106の表面172上で位置決め可能である。
【0087】
吹き付けランス(円筒管)176が、噴射フード170の内部空間174内に開口しており、この吹き付けランス176により、摩耗媒体178を、内部空間174と境を接する加工品106の表面172に塗布できる。
【0088】
被膜対象の表面172は、加工品106の表面172上の摩耗媒体178の効果により活性化される。
【0089】
摩耗媒体は、噴射フード170の内部空間174から、排出パイプ180を通して外部に吸引される。
【0090】
排出パイプ180は、負の圧力源に取り付けられ、それにより、負の圧力が噴射フード170の内部空間174に生成され、噴射フード170は、加工品106の表面172に対して押し付けられる。
【0091】
被膜対象の加工品106の全表面172を覆うために、噴射フード170は、それぞれが前処理ユニット158に結合されている可動ロボットの形状の前処理ユニット158により、被膜対象の加工品106の全表面172上を移動される。
【0092】
摩耗媒体178と、摩耗媒体178が塗布される加工品106の表面172の各部分は、噴射フード170により周囲環境から分離されているという事実により、真空吸引噴射装置168による活性化工程の間に、前処理ゾーン140に埃が蓄積されることはない。
【0093】
真空吸引噴射装置168の代替として、吸引装置を組み込んでいるロボット誘導ブラッシングシステムもまた、被膜対象の加工品106の表面172を活性化する目的のために採用できる。
【0094】
前進縦方向108において前処理ゾーン140に続く第1バックアップゾーン142は、前処理ゾーン140と同様に閉じたブースの形状であり、その構成は、前処理ゾーン140のブースの構成に対応しているので、この範囲において、その前述した先行記載を参照されたい。
【0095】
しかし、第1バックアップゾーン142には、自動前処理ユニット158は設けられていない。第1バックアップゾーン142は、故障時、または前処理ゾーン140における自動前処理ユニット158により行われた作業の結果が満足されるものではないときに、加工品106の前処理を、作業員181(図4参照)による手動で行うことを許可するように働く。
【0096】
エアロックゾーン144が、前進縦方向108において第1バックアップゾーン142に続き、垂直作用エアカーテンをエアロックゾーン144内に製造可能であり、それにより前処理ゾーン140と第1バックアップゾーン142の雰囲気が、エアロックゾーン144上で続く被膜ゾーン146における雰囲気から分離され、それにより、前処理ゾーン140または第1バックアップゾーン142からの不純物が被膜ゾーン146に到達することが防止され、また、被膜ゾーン146からの被膜材料が前処理ゾーン140または第1バックアップゾーン142に到達することが防止される。
【0097】
前処理ゾーン140と同様に、前進縦方向108においてエアロックゾーン144に続く被膜ゾーン146は、閉じたブースの形状であり、その、格子のレベルの上方での構造は、前処理ゾーン140のブースの構造と同一であるので、この範囲において、その先行記載を参照されたい。
【0098】
しかし、前処理ユニット158の代わりに、被膜ユニット182が前処理ゾーン140において使用され、前記被膜ユニットは、ブースの側壁内に統合されている駆動レール156上で前進縦方向108に平行に可動である。
【0099】
被膜ユニット182は被膜ロボットの形状、特に、例えば、7軸ロボットの形状であることができる。
【0100】
被膜ユニット182には、被膜材料を、加工品106の表面172に塗布するための適切な塗布装置が設けられている。
【0101】
特に、ラッカー、好ましくは、無溶剤ラッカーと特殊な水性ラッカーを被膜材料として使用できる。
【0102】
随意的に、被膜ゾーン146の2つの長辺上に位置する被膜ユニット182に追加して、更なる被膜ユニットを、被膜ゾーン146への入口上方および/または被膜ゾーン146からの出口上方のゾーンの端部に配置できる。
【0103】
その可動性により、被膜ユニット182は被膜材料を、特に、ラッカーを、加工品106に連続的に塗布することを可能にする。
【0104】
分離装置184(図3参照)が、余剰被膜材料を、被膜ゾーン146を通して下方に流れる空気ストリームから分離するために、被膜ゾーン146の下方に設けられている。
【0105】
分離装置184は好ましくは、乾燥分離装置の形状であり、前処理被膜材料で被膜されるフィルター要素を備え、前処理被膜材料の前処理された被膜層上に、被膜材料からの粘着性粒子が堆積する。
【0106】
例えば、石埃を、前処理被膜材料として使用できる。
【0107】
供給用の前処理被膜材料は、フィルター要素の下部に位置する格納容器(例えば、漏斗形状)に保管され、この容器は、フィルター要素を新鮮な前処理被膜材料で被膜するために、間隔を置いてエア噴射により回転される。
【0108】
フィルター要素上の前処理被膜材料から構成されている前処理被膜層が、所与の量を超えて被膜材料により飽和されると、被膜材料により飽和された前処理被膜層は、フィルター要素の清浄ガス側からの圧縮空気の噴出により、フィルター要素から解放され、その後に、前処理被膜材料と被膜材料から構成される混合物は、格納容器内に落下し、そこから外部に吸引される。
【0109】
そのような乾燥分離装置は、例えばDE 10 2007 040 901 A1により知られており、そのような乾燥分離装置の構成および機能に関しては参照すべきであり、ここにおいて本出願にこれらの点に関して組み込まれる。
【0110】
そのような乾燥分離装置は、被膜ゾーン146の格子レベルの下方に配置され、前進縦方向108に平行に整列されているブースの垂直縦方向中央面の両側のフィルター要素用のケースを特に備え、同じく、フィルター要素を含むフィルターモジュールと、フィルタハウジングの間に配置されているアクセス可能な通路と、フィルター要素の下方に位置する格納容器への新鮮な前処理用被膜材料の供給のための供給ユニットと、前処理用被膜材料と被膜材料から構成される混合物を、格納容器から除去するための抽出ユニットを備えることができる。
【0111】
上述した、前処理で被膜されたフィルター要素を組み込んでいる乾燥分離装置の代替として、またはそれに追加して、被膜材料を含む空気ストリームからの被膜材料が堆積する、ボール紙の迷路(又は、ラビリンス)フィルターを備える乾燥分離装置を使用することができる。
【0112】
更に、乾燥分離装置の代わりに、分離装置184として、湿式洗浄装置を使用することもできる。
【0113】
被膜ゾーン146と同様に、前進縦方向108において被膜ゾーン146に続く第2バックアップゾーン148は閉じたブースの形状であり、格子レベルの上方のその構造は被膜ゾーン146のブースの構造と同一であるので、この範囲において、その先行記載を参照されたい。
【0114】
しかし、第2バックアップゾーン148は自動被膜ユニット182を備えていない。第2バックアップゾーン148は、故障のとき、または自動被膜ゾーン146において被膜ユニット182により行われた作業の結果が満足すべきものではないときに、適切な被膜装置を使用して、作業員181(図4参照)により加工品106の被膜を手動で行うことを許可するように働く。
【0115】
第2バックアップゾーン148の下方には、余分な被膜材料を、被膜ゾーン146と同様に、上方から第2バックアップゾーン148を通して下方に向けて流れる空気ストリームから分離するための分離装置186が設けられている。
【0116】
しかし、第2バックアップゾーン148においては、簡単な緊急時被膜動作のみが行われることが想定されているので、この分離装置186は、より程度の低い分離用に設計できる。
【0117】
従って、一般的には、分離装置186は、ボール紙の迷路システムを使用する乾燥分離装置の形状であれば十分である。
【0118】
そのようなボール紙の迷路システムは、例えば、格子レベルの下方に配置され、垂直に配置された、被膜媒体分離器用のヒンジ式支持枠が設けられている抽出ダクトを備える。被膜材料の分離は、グラスファイバーフリースフィルターと、下流のボール紙の迷路システムにより行われる。
【0119】
前進縦方向108において第2バックアップゾーン148に続く蒸発ゾーン150は、前述したゾーンと同様に閉じたブースの形状であり、好ましくは、内部照明システムと、密接にフィットするドアが設けられている亜鉛メッキの鋼鉄シートのハウジングを備える。
【0120】
下方から交換可能なフィルター枠を組み込んでいる空気供給ダクトは、蒸発ゾーン150の天井領域に設けられる。
【0121】
蒸発ゾーン150に供給された空気の排出工程は、蒸発ゾーン150の床領域において行われる。
【0122】
前進縦方向108において蒸発ゾーン150に続く乾燥ゾーン152は、前述したゾーンと同様に閉じたブースの形状であり、好ましくは、プレハブ式のハウジングセグメントから構成される自己支持構造の方法で設置される。
【0123】
乾燥ゾーン152の全内部輪郭は、好ましくは、清掃し易く、保守し易い方法で提供される。
【0124】
清掃操作の間に、乾燥ゾーン152においてフラフ(糸くずのようなもの)が堆積することを防止するために、乾燥ゾーン152の作業エリアにおけるシートと溶接シームのすべてのエッジは、好ましくはバリ取りされており、乾燥器トンネルは、好ましくは、滑らかな構造として提供される。
【0125】
乾燥ゾーン152においては、照射ユニット188は、加工品106の搬送経路の両側に配置され、その1つが図7に詳細に示されている。
【0126】
照射ユニット188は、複数の、例えば、3台の照射装置192が保持される台座またはスタンド190を備える。
【0127】
照射装置192により加工品106の被膜された表面172を照射することができ、それにより被膜を乾燥および/または硬化させる。
【0128】
この照射は、例えば、赤外線照射および/または紫外線照射(被膜が、紫外線照射工程で硬化可能な場合)であってよい。
【0129】
乾燥ゾーン152は、その中に含まれる照射ユニット188と共に乾燥装置189を形成し、加工品106が被膜されている間、および加工品106が乾燥されている間に、乾燥装置189に対して加工品106は移動される。
【0130】
照射装置192は、その垂直位置に関して、且つ乾燥ゾーン152の横方向194におけるその位置に関して、独立して調整可能であり(好ましくは、モーター、油圧、または空気圧式手段により)、それにより、それぞれの照射装置192と、照射されている加工品106の表面172の一部との間に所望の間隔が自動的に設定される。
【0131】
加工品106の断面は、その縦方向196において変化するので、照射装置192は、加工品106が通過する間に、加工品106に向けて移動されるか、または加工品106から遠ざけられる。
【0132】
それにより、加工品106の被膜された表面172上の平均照射量は、照射装置192の位置が加工品106の幾何学形状に自動的に適合されるので、加工品106の変化する断面に拘わらず、ほぼ一定に留まるという効果が達成される。
【0133】
更に、加工品の表面上に所望の照射量を生成するために、照射装置192を個々にスイッチの入/切ができ、および/または照射装置192のパワー出力を変更できる。
【0134】
加工品106の表面上において一様な表面温度を生成するために、加工品表面の温度が検出され、各照射装置192により放射される照射パワーが規制され、また、加工品106の表面172からの照射装置192の距離も、温度検出工程の結果に従って規制される。
【0135】
温度の検出は、特に高温計により行うことができる。そのような高温計は、非接触方法で対象物から放射された放射熱を検出し、対象物の温度を判定するために数値化し、それにより、対象物から放射された放射熱の強度は、その温度に依存するという事実が利用される。
【0136】
照射装置192は、柔軟ホースにより冷却される、照射装置192の表面上に吹き付けられる冷却空気により冷却可能である。
【0137】
処理ブース102の個々のゾーンのこの記載に続いて、空気を処理ブース102を通して供給するシステムを、図3に示されている空気供給図を参照して、以下に記載する。
【0138】
被膜設備100は、前処理ゾーン140と、第1バックアップゾーン142と、エアロックゾーン144に空気供給ライン200を介して空気を供給する第1空気再循環ユニット198と、被膜ゾーン146と、第2バックアップゾーン148と、蒸発ゾーン150に空気供給ライン204を介して空気を供給する第2空気再循環ユニット202を備える。
【0139】
乾燥ゾーン152は、蒸発ゾーン150から間接的に空気の供給を受ける。乾燥ゾーン152からの排出空気は、乾燥ゾーン152から、排出空気ダクト206を通して周囲に排出される。
【0140】
個々のフィルター空間164と個々の天井フィルター162を介して前処理ゾーン140と第1バックアップゾーン142に供給されたブースの空気は、例えば、個々の側壁154の床領域に配置された余剰空気開口部を通してブースから外部に吸引され、主要排出空気ダクト210内に繋がる排出空気ダクト208を通って、第1空気再循環ユニット198に供給されて戻される。
【0141】
空気がブースの外部に吸引される余剰空気開口部は、ヒンジ式支持枠を備えることができる。
【0142】
例えば、グラスファイバーフリースから構成されるファイバーフィルターを、これらの支持枠に締結することができる。
【0143】
前処理ゾーン140と第1バックアップゾーン142からの排出空気を吸引し、その排出空気を第1空気再循環ユニット198に供給するファン212は、主要排出空気ダクト210内に配置され、それにより、空気再循環システムは、第1空気再循環ユニット198および前処理ゾーン140または第1バックアップゾーン142により閉鎖される。
【0144】
第1空気再循環ユニット198において、循環空気は、調節装置(例えば、加熱装置、冷却装置、加湿装置、および/または脱湿装置)により所望の空気条件に合うように改質され、必要であれば、新鮮空気供給ライン214を通って第1空気再循環ユニット198に供給される新鮮空気が補充される。
【0145】
ブース雰囲気の調節に必要なエネルギー(加熱、冷却、加湿、および/または脱湿のための)は、空気循環システムにより最小限度に抑えられる。
【0146】
被膜ゾーン146と、第2バックアップゾーン148と、蒸発ゾーン150の換気は、空気循環システムにより同様に行われる。
【0147】
これに関連して、分離装置184において余剰被膜材料から放出された、被膜ゾーン146からの排出空気は、排出空気ダクト216を通して、ファン218により主要排出空気ダクト220内に吸引され、そこから第2空気再循環ユニット202に供給される。
【0148】
分離装置186において、余剰被膜材料から放出された可能性のある、第2バックアップゾーン148からの排出空気と、蒸発ゾーン150の床領域から吸引された、蒸発ゾーン150からの排出空気は、ファン224により排出空気ダクト222を通して主要排出空気ダクト220内に吸引され、そこから同様に、第2空気再循環ユニット202に供給される。
【0149】
このように、空気循環システムは、第2空気再循環ユニット202と被膜ゾーン146、第2バックアップゾーン148または蒸発ゾーン150により閉鎖される。
【0150】
第2空気再循環ユニット202においても、循環空気は、調節装置(例えば、加熱装置、冷却装置、加湿装置、および/または脱湿装置)により所望の空気条件に合うように改質され、必要であれば、新鮮空気供給ライン226を通って第2空気再循環ユニット202に供給される新鮮空気が補充される。
【0151】
被膜ゾーン146と、第2バックアップゾーン148および蒸発ゾーン150用の循環システムにより、空気調節工程(特に、加熱、冷却、加湿、および/または脱湿工程)に必要なエネルギーは、更に削減される。
【0152】
処理ブース102のゾーンを、2つの異なる空気再循環ユニット198と202に割り当てることにより、ブースにおける雰囲気は、要求に従って異なるように調節でき、特に、一方では前処理ゾーン140に対して、他方では被膜ゾーン146に対して異なるように雰囲気を調節できる。
【0153】
各ブースに対する空気の供給は、自身の空気供給ライン200と204により行われるという事実のため、各ブースに供給される空気の量は、そのそれぞれの必要性に正確に整合して供給できる。この区分された空気供給システム(処理ブース102の個々のゾーンの選択的換気)の結果、エネルギーの更なる節約が得られる。
【0154】
エアロックゾーン144は、被膜設備100の2つの空気再循環システムの間の結合リンクを示している(として機能している)。その理由は、エアロックゾーン144は第1空気再循環ユニット198からの空気の供給を受けるが、被膜ゾーン146からの余剰被膜材料を含んでいる可能性のある、エアロックゾーン144からの排出空気は、第1空気再循環ユニット198には供給して戻すことはできず、分離装置184を通して第2空気再循環ユニット202に供給されるためである。それにも拘わらず、エアロックゾーン144への空気の供給は、常に空気循環システムを介して行われ、それによりエネルギーの節約をもたらす。
【0155】
第1空気再循環ユニット198の空気循環システムからの余剰空気は、第1空気循環システムの空気供給ライン200に取り付けられている外に向かう空気ライン228を通して周囲に放出される。
【0156】
第2空気再循環ユニット202の空気循環システムからの余剰空気は、第2空気循環システムの空気供給ライン204に取り付けられている外に向かう空気ライン230を通して周囲に放出される。
【0157】
被膜対象の加工品106の、処理ブース102を通しての輸送は、図4から7に示されている加工品キャリッジ232により行われる。
【0158】
加工品キャリッジ232は、加工品キャリッジ232の縦方向238に直交して伸びている横方向ビーム236によりお互いに接続されている2つの箱形状の側部材234から構成される、ほぼ四角形のフレーム枠233を備える。
【0159】
縦方向238においてお互いに続いている横方向ビーム236の間に残っているスペースは、ブースに対する空気流を、垂直方向において加工品キャリッジ232を通して通過させるのに十分である。
【0160】
その前端部において、2つの側部材134は共に、加工品ホルダー240を支持している。
【0161】
被膜対象の加工品、例えば、風力タービン用の回転翼羽根は、一方の端において、例えば、ボルト、または締結装置により加工品ホルダー240に固定されている。
【0162】
これにより、加工品106は加工品キャリッジ232上に、加工品106の縦方向196が、加工品キャリッジ232の縦方向238にほぼ対応するように配置される。
【0163】
図4と5から分かるように、共通縦方向における加工品106の縦方向の長さLは、加工品キャリッジ232の縦方向の長さIよりも相当に長い。
【0164】
このように、加工品106は、加工品キャリッジ232の後端を超えて相当の長さで突出している。
【0165】
特に、加工品106の加工品キャリッジ232を超えての突出を、加工品106の縦方向196における縦方向の長さLの少なくとも半分に、好ましくは、少なくとも2/3にするようにしてもよい。
【0166】
図5において最もよく分かるように、前進縦方向108における前進移動の目的のために、加工品キャリッジ232の各側部材234は、加工品キャリッジ232の横方向244に平行に伸びている軸の周りに回転可能な2つの縦方向走行ホイール242を有している。
【0167】
加工品キャリッジ232は、均一な被膜が得られることを確実にするために非常に滑らかに伸びていなければならないので、縦方向走行ホイール242がその上で回転する縦方向搬送レール112は、凸状曲線支持表面246(図6参照)を有する丸いレールの形状である。
【0168】
好適な方法で、縦方向走行ホイール242は、硬化鋼鉄、アルミニウム合金、または熱硬化合成材料から製造され、それらの凹状曲線延伸表面248の周辺は、縦方向搬送レール112の凸状曲線支持表面246と相補的である。
【0169】
縦方向搬送レール112と、縦方向搬送レール112に対して相補的な基盤となっている縦方向走行ホイール242の滑らかな表面により、前進縦方向108における加工品キャリッジ232の非常に滑らかな走行が達成される。
【0170】
代替の例としての実施の形態においては、縦方向走行ホイールは、ソリッドラバータイヤまたは気体充填タイヤを備えている。
【0171】
縦方向搬送レール112の直径は、例えば、約60mmであってよく、縦方向走行ホイール242の直径は、約250mmであってよい。
【0172】
戻り搬送トラック114の戻り搬送レール118は、縦方向搬送トラック110の縦方向搬送レール112と類似の方法で構築されている。
【0173】
加工品キャリッジ232の、縦方向搬送トラック110から戻り搬送トラック114への、または戻り搬送トラック114から縦方向搬送トラック110への横方向の輸送のために、個々の横方向走行ホイール250が、加工品キャリッジ232の各側部材234の各端面上に配置されている(図5参照)。
【0174】
横方向走行ホイール250は、高さを調整可能な方法で、加工品キャリッジ232のフレーム枠上に保持され、フレーム枠233に対するその高さ、従って、縦方向走行ホイール242に対する高さは調整可能である(例えば、モーターまたは油圧式手段により)。他のすべての形態において、横方向走行ホイールの詳細は、縦方向走行ホイールの詳細と類似(または同一)であってよい。
【0175】
前進縦方向108、または前進反転方向116における加工品キャリッジ232の移動の間、横方向走行ホイール250は、下に横たわる基盤から横方向走行ホイール250が上昇された上方位置に位置しており、それにより、加工品キャリッジ232は、縦方向搬送レール112または戻り搬送レール118上に、縦方向走行ホイール242により支持される。
【0176】
加工品キャリッジ232が第1レール交差部126または第3レール交差部136の近くに到達すると、加工品キャリッジ232が横方向搬送レール124または134上で横方向走行ホイール250により支持され、更に縦方向走行ホイール242が、縦方向搬送レール112または戻り搬送レール118から上昇されるまで、端面上の横方向走行ホイール250は、降下される。横方向走行ホイール250のこの位置において、加工品キャリッジ232は第1前進横方向122または第2前進横方向132において、横方向輸送工程に対して自由である。
【0177】
原則として、横方向搬送レール124および134には、縦方向搬送レール112と同様に、凸状曲線支持表面を設けることができ、横方向走行ホイール250には、凹状曲線延伸表面を設けることができる。
【0178】
しかし、処理ブース102の外側における加工品106の横方向輸送に対する滑らかな走行工程に対する要求は、より緩やかであり、そのため、横方向搬送レール124および132は、ほぼ平坦な支持表面を有する平坦レールの形状であることができ、横方向走行ホイール250には、円筒形延伸表面を設けることができる。
【0179】
円筒形延伸表面を有する横方向走行ホイール250の使用は、凹状曲線延伸表面を有する走行ホイールより狭くてもよく、従って、必要なホイールの負荷を達成するためにより小さな空間しか必要としないという利点がある。
【0180】
横方向走行ホイール250の直径は、例えば、約400mmであってよい。
【0181】
加工品キャリッジ232は好ましくは、自走式である。
【0182】
好ましくは、一台のキャリッジ当たり少なくとも2つの縦方向走行ホイール242と少なくとも2つの横方向走行ホイール250はモーター駆動である。これにより、すべての縦方向走行ホイール242とすべての横方向走行ホイール250が駆動されることは特に好適である。
【0183】
この目的のために必要な駆動装置は、好ましくは、加工品キャリッジ232の箱形側部材234の内部空間に収納され、それにより、垂直方向におけるブースを通る空気の貫通流が利用できる加工品キャリッジ232の自由断面は、可能な限り大きく留まる。
【0184】
駆動装置からそれぞれの被駆動走行ホイールへの動きの伝達は、駆動ベルト252(図6参照)により行うことができ、特に、例えば、歯付きベルトにより行うことができる。
【0185】
走行ホイール用の駆動装置は、好ましくは、少なくとも1つの電気モーターを含む。しかし随意的に、各被駆動ホイールは、個々に連結されているギヤレス電気モーターを有してもよい。
【0186】
電気モーターへの供給に必要な電気エネルギーは、好ましくは、電気誘導により、搬送トラックの搬送レールの間のコンダクターシステム254から、加工品キャリッジ232上のピックアップコイル256に非接触で伝達される(図6参照)。
【0187】
このエネルギー伝達の誘導工程を可能にするために、ピックアップコイル256とコンダクターシステム254の環境は鉄が使用されていない(無鉄)環境でなければならない。
【0188】
この必要な無鉄空間は、格子のレベルを、コンダクターシステム254の近くで、床のレベルの上方に、例えば少なくとも約20cm上昇することにより、処理ブース102のすべてのゾーンで達成される。ピックアップコイル256は、格子のレベルの下方に導かれる。
【0189】
ピックアップコイル256は、高さが調整できる方法(例えば、モーターまたは油圧手段により)で、加工品キャリッジ232のフレーム枠233上に保持され、それにより、ピックアップコイル256を、縦方向輸送モードから横方向輸送モードへの遷移中に、縦方向輸送工程の間と同じ距離にコンダクターシステム254からの距離を維持するために、フレーム枠233に対して降下することができる。
【0190】
コンダクターシステム254のコンダクター258は、処理ブース102内のプラスチックチューブを通して供給され、処理ブース102の交叉ビーム上に、例えば、プラスチックブロックにより支持できる。
【0191】
加工品キャリッジ232へのエネルギーの伝達用の非接触システムを使用するときは、無溶媒被膜材料、特に、無溶媒ラッカーを利用すると好適である。
【0192】
例えば、25kHzの周波数を有する高周波数パネルが、好ましくは、非接触の、特に誘導によるエネルギー伝達のために使用される。
【0193】
加工品キャリッジ232へのエネルギー伝達のために非接触システムを利用する代わりに、加工品キャリッジ232に電気エネルギーの備蓄手段、特にアキュムレータを設けるようにすることもできる。この駆動手段の変形例に必要な駆動要素は、防爆(耐爆発)形態で利用できる。
【0194】
被膜設備200において複数の加工品キャリッジ232、例えば、少なくとも3つの加工品キャリッジ232が使用される特別な場合は、戻りトラック114に沿って加工品キャリッジ232が戻る間に、アキュムレータを充電するために利用できる十分な時間がある。
【0195】
処理ブース102において、縦方向搬送レールが汚染されることを防止するために、縦方向走行ホイール242を備えた加工品キャリッジ232の縦方向搬送レール112と側部材234は、例えば、シートメタル被覆の形状のケース260により、少なくとも被膜ゾーン146と第2バックアップゾーン148においては、被膜材料が加工品106に塗布される塗布エリアからは分離され、それにより、縦方向搬送レール112と縦方向走行ホイール242は、被膜材料のオーバースプレーによる汚染から守られ、また、余剰被膜材料を含む、ブースからの排気ストリームとの接触から守られる。図6から分かるように、ケース260は狭い通路ギャップ262を有するのみで、通路ギャップ262を通して、加工品キャリッジ232の交叉ビーム236が、ケース260の外側の塗布エリアからケース260の保護されている内部に延伸している。それにより、加工品キャリッジ232と通路ギャップ262の縁の間には小さなギャップのみが残り、それにより、ほとんどの被膜材料は、この狭いギャップを通してケース260の内部に入り込むことはできない。
【0196】
加工品キャリッジ232の縦方向搬送レール112と、縦方向走行ホイール242と、側部材234は、その全体が保護ケース260に収納されている。
【0197】
前述した被膜設備100は、特に、長い加工品および、縦方向196に直交して伸びる横方向における最大の長さBよりも相当に長い縦方向の長さLを有する特別に細長い加工品の被膜に対して適切である(図5参照)。
【0198】
好ましくは、加工品106の縦方向の長さLは、最大横方向の長さBの少なくとも5倍を超える長さである。
【0199】
特に、被膜設備100は、例えば、少なくとも10m、好ましくは少なくとも30mまたは約50mの長さを有する加工品の被膜に適切である。
【0200】
適切な加工品106は、例えば、風力タービンの回転翼羽根の形状であってよい。
【0201】
加工品に被膜を設ける方法は、前述した被膜設備100を使用して、次のようにして行われる。
【0202】
被膜対象の加工品106は、加工品キャリッジ232の加工品ホルダー240に、加工品106の縦方向196、つまり、加工品106の最大の縦方向の長さの方向が、被膜設備100における加工品キャリッジ232の縦方向238と、前進縦方向108にほぼ対応するように固定される。
【0203】
加工品キャリッジ232は、加工品キャリッジ232上に保持され、縦方向搬送トラック110の縦方向搬送レール112上の縦方向走行ホイール242により支持されている加工品106と共に、第1レール交差部126の領域から移動できる状態にされ、処理ブース102の前処理ゾーン140に入り、処理ブース102の他のゾーンすべてを連続して通過する。
【0204】
加工品キャリッジ232の搬送速度は、加工品106が処理ブース102内で処理されている間は、好ましくは、1m/分以下である。
【0205】
加工品106の処理の間、搬送速度は、好ましくは、約0.8m/分である。
【0206】
加工品106が処理ブース102を完全に去ると同時に、搬送速度は、特に戻りトラック114に沿う搬送速度は、1m/分を超える搬送速度、例えば、約12m/分まで増大することができる。
【0207】
加工品キャリッジ232は、可変速度で処理ブース102を通して移動でき、特に、一時的に停止し、再び移動を開始することができる。しかし、好ましくは、加工品キャリッジ232は、連続した方法で、好ましくは、ほぼ一定の速度で処理ブース102を通して移動する。
【0208】
加工品106が、処理ブース102の連続するゾーンをこのように通過する間、加工品106の表面172の各部分は、それぞれにスケジュールされた方法で、これらのゾーンにおいて連続して処理される。
【0209】
現時点で現在前処理ゾーン140内にある加工品106の表面172の部分は、加工品106のこの部分が、前処理ゾーン140を通して移動している間に、可動前処理ユニット158により活性化される。
【0210】
被膜ゾーン146に現在位置している加工品106の表面172の部分には、加工品106の該当部分が被膜ゾーン146を通して移動している間に、可動被膜ユニット182により被膜材料が供給される。
【0211】
加工品106の該当部分が蒸発ゾーン150を通して移動している間に、被膜材料の揮発成分は、蒸発ゾーン150に現在位置している加工品106の表面172の部分から蒸発する。
【0212】
それぞれの場合に乾燥ゾーン152に位置している加工品106の表面172の部分は、加工品106の該当部分が乾燥ゾーン152を通して移動している間に、照射ユニット188により乾燥および/または硬化される。
【0213】
図4により最もよく分かるように、加工品106の縦方向の長さLは、前処理ゾーン140と、被膜ゾーン146と、蒸発ゾーン150と、乾燥ゾーン152の縦方向の長さよりも相当に長い。
【0214】
特に、加工品106の縦方向の長さはそのように長いので、加工品106の表面172の異なる部分は、処理ブース102の異なるゾーンで、少なくとも随意的には、そして同時に、異なる方法で処理されている。
【0215】
このため、加工品106の前端(例えば、風力タービン用の回転翼羽根の回転翼羽根の根本)はすでに蒸発ゾーン150の中にあり、同時に一方では、加工品106の中央部は、被膜ゾーン146において被膜されており、加工品106の後端(例えば、回転翼羽根の先端)は、前処理ゾーン140において同時に活性化されている。
【0216】
これらの工程が同時に加工品106に対して行われる結果、処理ブース102における加工品106に対する全処理時間、つまり、加工品106が処理ブース102を通して通過するのに必要な時間は相当に短縮される。
【0217】
使用されている連続運転の原則のため、処理ブース102の個々の処理ゾーンは、その中で処理される加工品106よりも相当に短くてよい。
【0218】
このように、約50mの、加工品106の例としての縦方向の長さLの場合は、前処理ゾーン140は、前進縦方向108において約6mの縦方向の長さを有し、第1バックアップゾーン142は約3mの縦方向の長さ、エアロックゾーン144は約3mの縦方向の長さ、被膜ゾーン146は約6mの縦方向の長さ、第2バックアップゾーン148は約3mの縦方向の長さ、蒸発ゾーン150は約24mの縦方向の長さ、および乾燥ゾーン152は約10mの縦方向の長さを有する。
【0219】
個々のゾーンのブースサイズがより小さいことと、処理ブース102のほとんどのゾーンにおいて使用される空気循環システムと共に、区分化されている空気の供給の結果として、エネルギーの相当な節約が達成される。
【0220】
被膜設備100は加工品のサイズに従って寸法を決める必要はなく、所望するスループット(処理能力)に従って設計できる。
【0221】
加工品106は、その全体が処理ブース102を通過したときは、加工品106の後端は乾燥ゾーン152を離れ、加工品キャリッジ232は第1レール交差部126に到達しており、加工品キャリッジ232は、横方向走行ホイール250を降下させることにより、縦方向輸送モードから横方向輸送モードに変更される。
【0222】
その後、加工品キャリッジ232の横方向走行ホイール250は、加工品キャリッジ232を、縦方向搬送トラック110から戻り搬送トラック114に第1前進横方向122において移動するために駆動される。
【0223】
第2レール交差部128に到達後、加工品キャリッジ232は、横方向走行ホイール250を上昇することにより横方向輸送モードから縦方向輸送モードに変更され、縦方向走行ホイール242を前進戻り方向116において駆動することにより、加工品キャリッジ232は戻り搬送トラック114に沿って第3レール交差部136まで移動されて戻される。
【0224】
第3レール交差部136に到達後、加工品キャリッジ232は、横方向走行ホイール250を降下することにより縦方向輸送モードから横方向輸送モードに変更され、横方向走行ホイール250を駆動することにより加工品キャリッジ232は、戻り搬送トラック114から縦方向搬送トラック110へ、第2前進横方向132において第2横方向搬送トラック130に沿って移動される。
【0225】
第4レール交差部138に到達後、加工品キャリッジ232は横方向走行ホイール250を上昇することにより、横方向輸送モードから縦方向輸送モードへ再び変更され、縦方向走行ホイール242を駆動することにより、加工品106に第2被膜工程を行うために、加工品キャリッジ232は、その上に保持されている加工品106と共に、処理ブース102を通して再び移動される。
【0226】
処理ブース102を通してのその第2走行の後、加工品106は、例えば、加工品キャリッジ232が第1レール交差部126に到達したときに、加工品キャリッジ232から取り除くことができる。
【0227】
しかし、加工品キャリッジ232を、その上に保持されている加工品106と共に、第4レール交差部138の開始点に、前述した方法で移動して戻すことも可能で、加工品106は、この点においてのみ加工品キャリッジ232から取り除くことができる。
【0228】
更に、中間乾燥工程なしで、加工品106に単一の被膜層を塗布することのみが意図されているときは、加工品106を、処理ブース102を通してのその第1通過の直後に、加工品キャリッジ232から取り除くことも可能である。
【0229】
図9に示されている被膜設備100の第2実施の形態は、図1から8に示されている前述した第1実施の形態とは、第2実施の形態の処理ブース102は1つの作業ゾーン264のみを乾燥ゾーン152の前に有していることが異なり、前進縦方向108における前記作業ゾーンの縦方向の長さは、少なくとも加工品106の縦方向の長さLに対応し、それにより、加工品106はその全体を作業ゾーン264内に駆動できる。
【0230】
作業ゾーン264は、加工品106を前処理および被膜すると同時に、被膜工程の後の蒸発工程を行うように機能する。
【0231】
この目的のため、加工品キャリッジ232の上に配置されている加工品106は、加工品106が作業ゾーン264内に完全に収納されて停止されるまで、前進縦方向108において作業ゾーン264内に駆動される。
【0232】
作業ゾーン264の基本的構成は、被膜設備100の第1実施の形態における処理ブース102の被膜ゾーン146の構成に対応している。
【0233】
しかし、前進縦方向108に平行に伸びている駆動レール156上で可動である被膜ユニット182に加えて、作業ゾーン264はまた、同じ駆動レール156上、または前進縦方向108に平行に同じように伸びている他の駆動レール上を可動な前処理ユニット158も備える。
【0234】
作業ゾーン264に加工品106が到達後、前処理ユニット158は、加工品106の全表面172の活性化前処理を行うために加工品106の全長にわたって駆動される。被膜ユニット182は前処理ユニット158に近接して追従し、直前に活性化された加工品106の表面172のエリアを完全に被膜する工程を連続して行う。
【0235】
前処理ユニット158と被膜ユニット182の両者が、加工品106の全長にわたって移動すると(例えば、図9において右から左へ)、加工品106の前処理と被膜が完了し、加工品キャリッジ232は、完全に被膜された加工品106を、好ましくは連続的に、加工品106の縦方向の長さLよりも相当に短い乾燥ゾーン152を通して移動するために、前進縦方向108において移動状態にされる。
【0236】
このように乾燥ゾーン152は乾燥装置189を形成し、乾燥装置189に対して、加工品106は、加工品106の被膜工程が完了後に、加工品106の乾燥中に移動される。
【0237】
作業ゾーン264内で、乾燥ゾーン152にまだ到達していない加工品106の部分から、被膜材料の揮発性成分が蒸発する。
【0238】
加工品106の全体が乾燥ゾーン152を通過し、加工品106の全被膜が、照射ユニット188により、乾燥ゾーン152において乾燥および/または硬化されると、加工品106の第1被膜工程は完了し、加工品を、第1実施の形態に関連して上述した方法で、第2被膜工程を行うために、処理ブース102の入口まで移動して戻すことができる。
【0239】
被膜設備100の本第2実施の形態は、加工品106が被膜工程の間に移動されないという利点を有し、それにより、被膜を特に一様に塗布することが可能になる。
【0240】
第1実施の形態に対し、本実施の形態の意味のある形態は、加工品106全体を収納できる長い作業ゾーン264を利用することである。
【0241】
更に、可動前処理ユニット158用と可動被膜ユニット182用の非常に長い駆動レール156が使用され、それにより、これらのユニットは、加工品106の全表面172をまんべんなく移動できる。
【0242】
バックアップゾーンがない場合は、本実施の形態においては限られた長さに対してのみ手動非常時動作が可能である。
【0243】
前処理と被膜工程は、好ましくは、同時に同じブース内で行われ、それにより、前処理工程と被膜工程に対する空気の供給が同じ方法で調節できる。
【0244】
前処理被膜フィルターを組み込んでいる乾燥分離装置の使用は、被膜工程で使用される作業ゾーン264の長さが10m未満のときに想定される。
【0245】
加工品106が乾燥ゾーン152を通して前進させられるときの搬送速度は、好ましくは少なくとも1m/分で、例えば、約1.6m/分である。
【0246】
他のすべての形態において、図9に示されている被膜設備100の第2実施の形態は、図1から8に示されている第1実施の形態に、その構成および機能に関して対応しているので、この範囲において、第1実施の形態の先行記載を参照されたい。
【0247】
図10に示されている被膜設備100の第3実施の形態は、図9に示されている第2実施の形態と、前進縦方向112に平行に可動な乾燥器入口266が、本第3実施の形態の処理ブース102における作業ゾーン264に配置され、加工品106の被膜された表面172の照射のための照射装置192が、前記乾燥器入口上に保持されていることが異なる。従って、好適な方法で作業ゾーン264に隣接している乾燥ゾーン152を不要とすることができる。
【0248】
乾燥器入口266は、前処理ユニット158と被膜ユニット182と同じ駆動レール156上で移動でき、または、乾燥器入口266用の、前進縦方向108に平行に延伸している分離した駆動レールを設けることが可能である。
【0249】
本実施の形態においては、作業ゾーン264は加工品106よりも相当に長いが、これは、乾燥器入口266を、加工品106の前端と、作業ゾーン264の後端壁の間に停止させるために利用できる十分な空間がなければならないからである。
【0250】
被膜設備100の本実施の形態においては、加工品106は、前進縦方向108において加工品キャリッジ232上の作業ゾーン264内に完全に駆動され、その中で停止される。
【0251】
その後、加工品106は、前進縦方向108に平行に駆動されている前処理ユニット158により全体が前処理され、前進縦方向108に平行に駆動されている被膜ユニット182により被膜される。
【0252】
被膜工程の終了後、乾燥器入口266は、加工品106の全長上を前進縦方向108に平行に駆動され、それにより、乾燥器入口266上に配置されている照射装置192が加工品106を照射して被膜を乾燥および/または硬化する。
【0253】
このように乾燥器入口266は乾燥装置189を形成し、乾燥装置189は、加工品106が乾燥中に加工品106に対して移動される。
【0254】
加工品106は作業ゾーン264内に、前処理から乾燥工程の完了まで固定して保持でき、または0.1m/分未満の特に遅い速度で駆動できる。
【0255】
乾燥工程の完了後、加工品106が不動状態を続けている間に、作業ゾーン264において第2被膜工程を行うことができ、これに続いて、乾燥器入口266を移動することにより乾燥工程が行われる。
【0256】
第2乾燥工程を含む第2被膜工程の完了後、加工品106は前進反転方向116において加工品キャリッジ232上の作業ゾーン264から外部に移動され、それにより処理ブース102から外部に移動され、その後、加工品106を加工品キャリッジ232から取り除くことができる。
【0257】
本実施の形態においては、加工品106を、処理ブース102の外側の処理ブース102の入口まで移動して戻す必要なく加工品106の第2被膜を行うことができるので、被膜設備100の本実施の形態の場合は、戻り搬送トラック114と横方向搬送トラック120および130を不要とすることができる。
【0258】
更に、本実施の形態における加工品キャリッジ232は、縦方向輸送工程に対してのみ適切であればよいので、高さを調整可能な横方向走行ホイール250を不要とすることができる。
【0259】
本実施の形態の場合は、加工品106は、両方の被膜工程の間静止状態に留まることができ、被膜の2回の塗布の間に移動する必要はない。
【0260】
第2実施の形態の場合と同様に、被膜設備100の第3実施の形態における加工品106は、被膜材料の塗布工程の間に移動されず、そのため、被膜材料を特に一様に塗布することが可能になる。
【0261】
本実施の形態の意味のある形態は、乾燥器入口266が停止できる特に長い作業ゾーン264を利用することである。
【0262】
更に、乾燥器入口266が、被膜の塗布が行われる作業ゾーン264のエリアを通して移動されるということもまた意味がある。
【0263】
前処理ユニット158と、被膜ユニット182と、乾燥器入口266を移動するために非常に長い駆動レール156が使用され、そのため、これらの装置は、加工品106の全長上を移動できる。
【0264】
加工品106の前処理と被膜が、処理ブース102の同じゾーンで行われる場合は、共通且つ同一な、および/または単一の空気供給の調節が、前処理工程と被膜工程に対して行われる。
【0265】
他のすべての形態においては、図10に示されている被膜設備100の第3実施の形態は、図9に示されている第2実施の形態と、構成および機能に関して対応しているので、この範囲において、第2実施の形態の先行記載を参照されたい。
【0266】
図11に示されている被膜設備100の第4実施の形態は、図9に示されている第2実施の形態とは、加工品106が連続的に移動される短い乾燥ゾーン152の代わりに、加工品106の全体を収納できる長い対流式乾燥ゾーン268が設けられていることが異なる。
【0267】
この対流式乾燥ゾーン268においては、加工品106は照射装置192による照射で乾燥されるのではなく、空気循環システムにより対流式乾燥ゾーン268を通過する暖気により乾燥される。
【0268】
本実施の形態においては、加工品106の全体は、最初に、前進縦方向108において加工品キャリッジ232上の作業ゾーン264内に駆動され、その中で停止される。
【0269】
その後、加工品106全体の前処理が、可動前処理ユニット158により行われ、加工品106全体の被膜は、可動被膜ユニット182により行われる。
【0270】
加工品106の被膜工程が完全に完了した後、加工品106は加工品キャリッジ232上で、作業ゾーン264から対流式乾燥ゾーン268内に移動され、その中で再び停止される。
【0271】
このように対流式乾燥ゾーン268は乾燥装置189を形成し、乾燥装置189に対して加工品106は、加工品106の被膜工程完了後、および加工品106の乾燥工程開始前に移動される。
【0272】
暖気による乾燥工程に必要な乾燥時間後、加工品106は前進縦方向108において加工品キャリッジ232上の対流式乾燥ゾーン268から外部に移動され、加工品106の全体が処理ブース102から外部に移動され、その後、加工品106は、第1横方向搬送トラック120と、戻り搬送トラック114と、第2横方向搬送トラック130により、被膜設備100の第1実施の形態に関連して上述した方法で、処理ブース102の入口まで戻され、その後、加工品106は、更なる被膜工程のために、作業ゾーン264内に再び駆動することができる。
【0273】
加工品106が対流式乾燥ゾーン268の中で静止している間の、第2乾燥工程を含む第2被膜工程の後、加工品106は再び、加工品キャリッジ232上の処理ブース102から完全に外部に駆動され、その後、加工品106を加工品キャリッジ232から取り除くことができる。
【0274】
本実施の形態は、加工品106を、被膜材料を塗布する工程の間に移動する必要がなく、そのため、被膜材料の特に一様な塗布が達成可能であるという利点を有する。
【0275】
対流式乾燥ゾーン268における加工品106の乾燥工程のために、循環暖気および/またはIRエミッタ(赤外線エミッタ)が設けられる。
【0276】
本実施の形態に係る被膜設備100が、利用できる十分な空間を有している場合は、お互いに前後する2つのゾーン、つまり、作業ゾーン264と対流式乾燥ゾーン268それぞれは、加工品106の少なくとも全長を呈示できる。
【0277】
駆動レール156が、加工品106の全長にわたって前処理ユニット158と被膜ユニット182を移動するために、設備の全長にわたって設けられる。
【0278】
バックアップゾーンがないときは、本実施の形態の場合は、限られた長さに対してのみ手動非常時動作が可能である。
【0279】
加工品106の前処理と被膜が、処理ブース102の同じゾーンにおいて同時に行われる場合は、前処理用の空気の供給と、被膜用の空気の供給は、単一の方法で調節されるようにしてある。
【0280】
更に、前処理被膜フィルター要素を組み込んでいる乾燥分離装置の使用は、被膜の塗布に使用されるゾーンの長さが10m未満であることを想定している。
【0281】
他のすべての形態において、図11に示されている被膜設備100の第4実施の形態は、図9に示されている第2実施の形態と、その構成と機能に関して対応しているので、この範囲において、第2実施の形態の先行記載を参照されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工品に被膜を設ける方法に関し、下記の処理ステップを備える。
加工品を被膜するステップ、および
乾燥装置で加工品を乾燥するステップ。
【背景技術】
【0002】
被膜される加工品を処理ブースに導入すること、および加工品を、手動または自動被膜装置により被膜している間、処理ブースに静的に配置することが知られている。その後、処理ブースは、被膜された加工品を乾燥するために加熱される。加工品が乾燥された後、処理ブースは冷却され、加工品は処理ブースから取り除かれる。前処理段階と蒸発段階を含むことができる操作の全段階を通して、加工品は処理ブースに対して移動せず、処理ブースはまた、特に乾燥装置としても働く。
【0003】
この既知の方法においては、加工品に対する総処理時間は、加工品の被膜と、処理ブースの加熱と、加工品の乾燥と、処理ブースの冷却に必要な時間の組み合わせとなり、被膜設備の能力と、被膜設備において行われる被膜工程をこのように制限している。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上記に言及したタイプの加工品に被膜を設ける方法を作成することであり、能力が高められ、非常に長い加工品に対しても特に適切な方法である。
【0005】
本発明によれば、この目的は、加工品の被膜工程が開始した後で、且つ加工品の乾燥工程が終了する前に、加工品を乾燥装置に対して移動するという、請求項1の前文に係る特徴を組み込んでいる方法の場合に達成される。
【0006】
本発明はこのように、加工品の被膜および乾燥工程を備える操作の全段階の間に、加工品を乾燥装置に対して静止させておかず、少なくとも被膜を加工品に塗布する工程の開始と、加工品を乾燥する工程の終了の間は、乾燥装置に対して移動するという概念に基づいている。
それにより、加工品の処理に必要な時間総量を相当に削減できる。
それに関連して、加工品と乾燥装置の間の相対移動は、乾燥装置が静止している間の加工品の移動、加工品が静止している間の乾燥装置の移動、または加工品と乾燥装置の同時移動により生み出される。
【0007】
本発明に係る方法の特別な実施の形態においては、加工品は被膜工程の間および乾燥工程の間の両者において移動される。
それに関連して、特に、間歇的に、または好ましくは連続的に、被膜ゾーンと、加工品の前進方向において被膜ゾーンの背後に位置する乾燥ゾーンを通して、加工品が連続工程において前進するようにしてもよい。それにより、加工品の被膜および乾燥工程を加工品の異なる部分において同時に行うことが可能であり、そのため、各加工品に必要な総処理時間が相当に削減される。
更に、連続工程により、被膜ゾーンと乾燥ゾーンを、被膜対象の加工品よりも相当に短くすることが可能になる。
【0008】
被膜工程と乾燥工程に加えて、更に、例えば、前処理工程および/または蒸発工程のような処理ステップが加工品に対して行われるときは、これらの追加的工程もまた同様に分離したゾーン、例えば、被膜対象の加工品の長さよりも短くてよい長さを有する前処理ゾーンと蒸発ゾーンで行うことができる。
個々のゾーンの、より小さいブースサイズのため、およびその結果としてのこれらのゾーンを通して流れる空気量の削減のために、相当なエネルギーが節約される。
【0009】
更に、加工品を乾燥する目的で全処理ブースを加熱し、加工品が乾燥した後に冷却する必要はもはやなく、これもまた同様に相当なエネルギーの節約に貢献する。
更に、この方法を行うために使用される被膜設備は、加工品がサイズによって決まる寸法を有する必要はなく、所望の処理能力に基づいて設計できる。
【0010】
本方法の更なる実施の形態においては、加工品の被膜処理が終了した後で、加工品が乾燥中に、好ましくは連続的に移動されるようにしている。
この場合、特に、加工品を乾燥する工程は、加工品が静止している間に行われる加工品の被膜工程の間に、連続操作モードにおいて行われるようにしてもよい。
この場合、前処理工程および、特に蒸発工程のような更なる処理ステップを、加工品が静止している間に行うこともできる。
【0011】
本方法の更なる実施の形態においては、加工品の乾燥中に乾燥装置を、好ましくは連続的に移動するようにしている。
この場合、被膜工程は、静止した加工品で行うことができる。
この場合も、例えば、前処理工程および蒸発工程のような更なる処理ステップもまた、加工品が静止中に行うことができる。
【0012】
加工品は、乾燥工程の間、静止状態を維持することができる。この場合、加工品は、処理ブースで処理されている間は、連続操作モードでは前進されないので、より簡単な構成の搬送装置を使用して加工品を前進させることができるが、これは、加工品搬送工程の静かな運転に対して課せられる要求が少ないからである。
【0013】
本方法の更なる実施の形態においては、加工品の被膜工程が完了した後で、加工品の乾燥工程が開始する前に、加工品を乾燥装置に対して移動するようにしてもよい。
この場合、加工品の被膜工程と加工品の乾燥工程の両者を、加工品の静止中に行うことができる。加工品が、被膜工程と乾燥工程の間に、被膜ゾーンから乾燥ゾーンに移動しさえすればよい。この場合、移動中の加工品には何らの処理ステップが行われないので、加工品を前進させる搬送装置は連続操作の場合よりも、より簡単な構成であってよく、これは、加工品移動工程の滑らかな運転に対して課せられる要求は少ないという事実のためである。
【0014】
本発明の好適な実施の形態においては、加工品は、被膜工程の間および/または乾燥工程の間、被膜設備の処理ブースを実質的に連続的に前進させられる。
これに関連して、加工品が搬送される速度は、好ましくは、0.2m/分と1m/分の間である。
特に、加工品はトラック誘導加工品キャリッジにより、乾燥装置に対して移動できる。
【0015】
本発明に係る方法を行うために使用される被膜設備における搬送装置は、好ましくは、加工品キャリッジが前進縦方向に移動可能な縦方向搬送トラックと、加工品キャリッジが前進縦方向に対して横方向に走る前進横方向に移動可能な横方向搬送トラックを備える。
加工品キャリッジが、被膜設備の処理ブースの外側で移動して、処理ブースの出口から処理ブースの入口まで戻ることを可能にするために、搬送装置は好ましくは、戻り搬送トラックを備え、その上を加工品キャリッジが、縦方向搬送トラックの最後尾から縦方向搬送トラックの開始部まで移動可能である。
好ましくは、戻り搬送トラックは、被膜設備の処理ブースの外側を通っている。
特に、戻り搬送トラックは、縦方向搬送トラックに実質的に平行に伸びることができる。
【0016】
本発明に係る方法の好適な実施の形態においては、加工品が、自走式加工品キャリッジにより移動されるようにしている。
必要な電気エネルギーを、自走式加工品キャリッジの駆動装置に供給するために、被膜設備の搬送装置に、非接触方法で加工品キャリッジにエネルギーを伝達する装置を設けるようにしてもよい。
非接触方法でエネルギーを伝達するそのような工程の代替として、またはその工程に追加して、加工品キャリッジが電気エネルギーの備蓄装置、特に、アキュムレータを有するようにしてもよい。
【0017】
加工品キャリッジを前進縦方向と、その方向に対して横方向に伸びる前進横方向の両者において移動することを可能にするために、加工品キャリッジが、第1方向において走行ホイールの第1セットにより移動され、第1方向に対して横方向に伸びる第2方向において、走行ホイールの第2セットにより移動されると好都合である。
特に、加工品キャリッジは、前進縦方向における縦方向輸送工程に対して縦方向走行ホイールを有し、前進縦方向に対して横方向に伸びる前進横方向における横方向輸送工程に対して横方向走行ホイールを有することができる。
【0018】
好ましくは、縦方向走行ホイールおよび/または横方向走行ホイールは、高さが調整可能な方法で加工品キャリッジ上に配置され、それにより、加工品キャリッジが、縦方向輸送モードから横方向輸送モードに、または横方向輸送モードから縦方向輸送モードへ、これらの走行ホイールを降下または上昇することに切り替えることができる。
加工品キャリッジが可能な限り滑らかに走行する効果を達成するために、加工品キャリッジを、曲面、好ましくは凸形支持表面を有する少なくとも1つのレール上を誘導するようにしてもよい。
特に、そのようなレールは丸いレールの形状であってよい。
【0019】
この場合、加工品キャリッジは好ましくは、レールの曲面支持表面と相補関係にある、加工品キャリッジの周辺に沿う曲面、好ましくは凹形の走行表面を有する少なくとも1つの走行ホイールを有する。
加工品キャリッジが誘導されるレールが汚染されることを防止するために、被膜設備の被膜ゾーンにおけるレールは好ましくは、遮断要素、例えばケースにより、被膜材料が加工品に塗布される被膜ゾーンの塗布エリアから分離される。
【0020】
本発明の好適な実施の形態においては、被膜対象の加工品の表面を活性化するために、被膜工程の前に加工品を前処理するようにしている。
これに関連して、好ましくはロボット誘導または自動キャリッジユニット上に固定されている真空吸引噴射装置により、被膜工程の前に前処理するようにしてもよい。
そのような真空吸引噴射装置においては、摩耗媒体が、加工品の表面上に吹き付けられ、吸引により加工品上に保持されているフードの下方で直ちに再び吸引され、フードの外部で埃が生成されないようにしている。
【0021】
これの代替として、またはこれに追加して、加工品を、吸引装置を組み込んでいるロボット誘導ブラッシングシステムにより、被膜工程の前に前処理するようにしてもよい。
加工品の被膜工程は、原則的には、任意の形状の被膜材料を使用して行うことができる。
好ましくは、ラッカー、特に、例えば、水性ラッカーのような無溶媒ラッカーが被膜工程において使用される。
【0022】
加工品の被膜工程は好ましくは、余剰被膜材料が空気ストリームにより拾い上げられる被膜ゾーンにおいて行われ、それにより、分離装置により余剰被膜材料は空気ストリームから外部に分離される。
この分離装置は好ましくは、乾燥分離装置の形状である。
特に、そのような乾燥分離装置は、前処理用被膜材料により覆うことができるフィルター要素を備えることができる。
そのような前処理用被膜材料から構成される前処理被膜層の上には、被膜材料中における粘着性粒子である、例えば石埃が堆積する可能性がある。
【0023】
それの代替として、またはそれに追加するものとして、乾燥分離装置は、被膜材料の分離用の迷路(又は、ラビリンスとも言う)フィルターを備えてもよい。
加工品の乾燥工程は、例えば、暖気を加工品に供給することで行うことができる。
加工品を乾燥させる乾燥装置は、例えば、対流式乾燥器の形状であってよい。
【0024】
その代替として、またはそれに追加するものとして、加工品上に生成された被膜を、照射ユニットにより少なくとも部分的に乾燥および/または硬化するようにしてもよい。
それに関連して、照射ユニットは、例えば、赤外線放射および/または紫外線放射(紫外線照射により硬化可能な被膜の場合)を出射することができる。
更に、少なくとも1つの照射装置を冷却する冷却装置を設けることができる。
少なくとも1つの照射ユニットは、乾燥ゾーンにおいて適切な場所に固定できる。
【0025】
それに対する代替として、少なくとも1つの照射ユニットを、好ましくは被膜設備の処理ブースの縦方向において可動にし、それにより、加工品の表面の大きな面積が、加工品自身を照射ユニットに対して移動する必要なく、この照射ユニットによりまんべんなく照射できるようにしてもよい。
【0026】
特に、加工品の断面幾何学形状が、その縦方向において変化する場合は、照射ユニットが、加工品の被膜された表面に対して可動な少なくとも1つの照射装置を備え、それにより、加工品の被膜された表面からの照射装置の距離が可変に調整できると有利である。このようにして、照射装置の位置を、加工品の変化する断面幾何学形状に適合でき、それにより、加工品のすべての表面上で一様な照射強度が達成される。
被膜設備の処理ブースに供給される空気は、好ましくは空気再循環システムを通して供給され、それにより、相当なエネルギーの節約が達成される。この理由は、新鮮な空気を、処理ブース内で必要な温度に常に暖める必要がないからである。
【0027】
更に、被膜設備が複数の空気再循環システムを備え、それにより、ブース内の雰囲気が、必要条件により決まる異なる空気再循環システムにおいて異なる方法で調節できると好都合である。
特に、前処理ゾーンに空気を供給する第1空気再循環システムと、被膜ゾーンに空気を供給する第2空気再循環システムを備え、それにより、前処理ゾーンへの空気の供給と、被膜ゾーンへの空気の供給が異なる方法で調節可能であると好都合である。
【0028】
更に、処理ブースが、複数の相互に分離したゾーンを備え、それぞれのゾーンに空気が、それ自身の空気供給ラインを介して供給されると好都合である。その理由は、このようにして特別のゾーンに供給される空気の量が、その特別な必要条件に正確に適合できるからである。そのような区分された空気供給システムにより、更なるエネルギーの節約がもたらされる。
加工品を乾燥する工程は、好ましくは、加工品が乾燥装置に対して移動される方向において縦方向の長さを有している乾燥ゾーンにおいて行われ、この乾燥装置はこの方向における加工品の縦方向の長さよりも小さい。
【0029】
同様な方法で、加工品を被膜する工程が、加工品が乾燥装置に対して移動される方向において縦方向の長さを有している乾燥ゾーンにおいて行われると好都合であり、この乾燥装置はこの方向における加工品の縦方向の長さよりも小さい。
好ましくは、被膜設備において加工品に対して行われるすべての処理ステップは、設備が正常に稼働しているときは、完全に自動で行われる。
しかし、被膜設備の処理ブースが、少なくとも1つの予備ゾーンまたはバックアップゾーンを備え、そこにおいて加工品の手動処理が実現可能であるようにしてもよい。
【0030】
このようにすれば、加工品の前進方向において先行する自動操作処理ゾーンが故障しても、または、欠陥製品が製造され、それにより手動修正処理が必要な場合でも、加工品を適切に被膜することが可能である。
特に、そのような予備ゾーンまたはバックアップゾーンを、被膜設備の前処理ゾーンと被膜ゾーンの間に配置するようにしてもよい。
それに対する代替として、またはそれに対する追加として、そのような予備ゾーンとバックアップゾーンを、被膜設備の被膜ゾーンと乾燥ゾーンの間に設置するようにしてもよい。
【0031】
本発明に係る被膜工程は、特に、非常に長い加工品および特別に細長い加工品の被膜に対して適切であり、その加工品縦方向の長さは、加工品の縦方向に対して直交する横方向におけるその最大の長さよりも相当に長い。
好ましくは、加工品の縦方向の長さは、加工品の最大横方向の長さの少なくとも5倍よりも長い。
被膜対象の加工品は、所与の縦方向の長さの個々の部分であることが好ましく、つまり、不定の長さのテープ状の材料ではないことが好ましい。
【0032】
更に、本発明は加工品に被膜を設ける被膜設備に関し、前記設備は少なくとも1つの被膜ユニットを備え、それにより加工品に被膜を設けることができ、また、少なくとも1つの乾燥装置を備え、それにより加工品上の被膜を乾燥可能である。
【0033】
本発明の更なる目的は、処理能力が増大され、非常に長い加工品の被膜に特に適切な被膜設備を提供することである。
【0034】
本発明によれば、この目的は、被膜設備は少なくとも1つの移動装置を備え、それにより加工品と乾燥装置の間の相対移動を、加工品の被膜工程開始後、且つ加工品の乾燥工程の終了前に生成することが可能である請求項16の前文の特徴を組み込んでいる被膜設備の場合に達成される。
そのような被膜設備は、本発明に係る方法を行うために特に適切である。
移動装置は、加工品を移動および/または乾燥装置を移動するように構成できる。
特に、移動装置は、加工品キャリッジおよび/または加工品乾燥用の可動照射ユニットを備えることができる。
【0035】
本発明の更なる特徴と利点は、下記の記載および例としての実施の形態の図の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】縦方向に延伸する処理ブースと、処理ブースを通して伸びている縦方向搬送トラックを組み込んでいる被膜設備と、処理ブースの外側で伸び、縦方向搬送トラックに平行な戻り搬送トラックと、戻り搬送トラックと縦方向搬送トラックをお互いに接続する横方向搬送トラックの模式平面図である。
【図2】図1に示されている被膜設備における処理ブースの模式図であり、前処理ゾーンと、第1バックアップゾーンと、エアロックゾーンと、被膜ゾーンと、更なるバックアップゾーンと、蒸発ゾーンと、乾燥ゾーンを備えており、これらのゾーンは、処理ブースの縦方向においてお互いに連続している。
【図3】図2に示されている処理ブースへの空気の供給および、処理ブースからの空気の排気を示している空気供給図である。
【図4】加工品の縦方向にお互いに連続する加工品の部分が、処理ブースの異なるゾーンにおいて同時に処理されている間に、非常に長い加工品(例えば、風力タービン用の回転翼羽根の形状)を支え、前進縦方向において加工品を処理ブースを通して前進させる加工品キャリッジを組み込んでいる処理ブースの更なる模式図である。
【図5】加工品キャリッジと、加工品キャリッジ上に保持されている加工品の模式側面図である。
【図6】加工品キャリッジと、加工品キャリッジの縦方向搬送走行ホイールがその上で回転する縦方向搬送レールの部分模式垂直断面図である。
【図7】被膜設備を通しての前進縦方向における視線に沿う、加工品キャリッジと、加工品キャリッジの上に保持されている加工品と、加工品に対して調整可能な照射装置の模式図である。
【図8】前処理ゾーンにおいて加工品の前処理に使用される真空吸引噴射装置の模式断面図である。
【図9】加工品が静止し、その後、加工品が乾燥ゾーンを通して前進させられる間に、前処理と、加工品の被膜と、蒸発処理が共通作業ゾーンにおいて行われる被膜設備の第2実施の形態における処理ブースの模式図である。
【図10】加工品が静止し、その後、乾燥装置が加工品が静止している間に加工品に沿って前進させられる間に、前処理と、加工品の被膜と、蒸発処理が共通作業ブースにおいて行われる被膜設備の第3実施の形態における処理ブースの模式図である。
【図11】加工品が静止し、その後、加工品が乾燥ゾーンに前進され、乾燥ゾーンで静止状態で乾燥される間に、前処理と、加工品の被膜と、蒸発処理が共通作業ゾーンにおいて行われる被膜設備の第4実施の形態における処理ブースの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
すべての図において、類似または機能的に等価な構成要素は、同じ参照符号によって示される。
【0038】
全体を参照番号100とされている被膜設備が図1から図8に例示されており、処理ブース102と搬送装置104を備え、搬送装置104により、被膜対象の加工品106(図4と5参照)が前進縦方向108において、処理ブース102を通して搬送可能である(図1参照)。
【0039】
本発明によれば、被膜対象の加工品は、風力発電所の回転翼羽根、船体、自動車の車体、航空機の翼、または尾翼ユニットにおける使用が意図されている単一体であることがよくある。
【0040】
本発明による被膜設備は、以下により詳細に記述するように、10m以上の縦方向の長さを有する基板(又は、基礎構造)の場合に特別な利点を示す。
【0041】
搬送装置104は、前進縦方向108に伸びる縦方向搬送トラック110であり、前進縦方向108に平行に延伸し、前進縦方向108に直交する方向において相互に間隔を置いて配置されている2つの縦方向搬送レール112を有する縦方向搬送トラック110を備える。
【0042】
更に、加工品106を、処理ブース102における第1被膜工程の後に、第2被膜工程のために処理ブース102の出口から処理ブース102の入口に戻すことを可能にするために、搬送装置104は、前進縦方向108に平行であるが、前進縦方向108とは反対方向の、前進反転方向116に伸びる戻り搬送トラック114を備える。
【0043】
戻り搬送トラック114は、前進反転方向116に平行に伸び、前進反転方向116に直交する方向において相互に間隔を置いて配置されている2つの戻り搬送レール118を備える。
【0044】
加工品106が、縦方向搬送トラック110の最後尾から、戻り搬送トラック114の開始部に搬送されることを可能にするために、縦方向搬送トラック110の最後尾は、戻り搬送トラック114の開始部に、第1横方向搬送トラック120により接続され、第1横方向搬送トラック120は、前進縦方向108に直交し、前進反転方向116に直交する第1前進横方向122に伸びている。
【0045】
第1横方向搬送トラック120は2つの横方向搬送レール124を備える。この2つの横方向搬送レール124は、第1前進横方向122に平行に伸び、第1前進横方向122に直交する方向において相互に間隔を置いて配置され、縦方向搬送トラック110の縦方向搬送レール112と第1レール交差部126を形成し、戻り搬送トラック114の戻り搬送レール118と第2レール交差部128を形成する。
【0046】
更に、加工品106を、戻り搬送トラック114の最後尾から縦方向搬送トラック110の開始部に搬送することを可能にするために、搬送装置104は第2横方向搬送トラック130を備える。第2横方向搬送トラック130は、前進反転方向116に対して直交し、前進縦方向108に対して直交する第2前進横方向132に伸び、戻り搬送トラック114の最後尾を縦方向搬送トラック110の開始部に接続する。
【0047】
第2横方向搬送トラック130は2つの横方向搬送レール134を備える。この2つの横方向搬送レール134は、第2前進横方向132と平行に伸び、戻り搬送トラック114の戻り搬送レール118と第3レール交差部136を形成し、縦方向搬送トラック110の縦方向搬送レール112と第4レール交差部138を形成する。
【0048】
被膜設備100の処理ブース102を図2と図3において、より詳細に例示する。
【0049】
処理ブース102は、完全自動前処理ゾーン140と、手動前処理を行うための第1予備ゾーンまたはバックアップゾーン142と、エアロックゾーン144と、完全自動被膜ゾーン146と、手動前処理を行うための第2予備ゾーンまたはバックアップゾーン148と、蒸発ゾーン150と、乾燥ゾーン152を備える。
【0050】
前述したゾーンは、前進縦方向108に対応する、処理ブース102の縦方向153において順番にお互いに続いている。
【0051】
前処理ゾーン140は、自己支持フレーム枠構成要素から構成されている閉鎖ブースの形状であり、自己支持フレーム枠構成要素は、ガラス充填パネルと、フレーム枠構成要素に統合されているシートメタル充填パネルを有するシート鋼鉄部から構成されている。
【0052】
これらのフレーム枠構成要素から形成されている、前処理ゾーン140の側壁154は、上部から底部へ順番に、上部シートメタルパネルと、照明器具配置用の上部ガラスパネル(例えば、約1mの高さを有する)と、中央シートメタルパネルと、下部ガラスパネル(例えば、約1.6mの高さを有する)と、下部シートメタルパネルを備える。
【0053】
側壁154のガラス充填パネルは好ましくは、単一窓枠安全ガラスから構成される。
【0054】
ガラス充填パネルとシートメタル充填パネルは、ブースを洗浄するために使用される洗浄媒体が、それらの充填パネルを通過して外に出ることができないように、そして充填パネルが火事の場合に落下することを防止するようにシール(封止材)にネジ留めまたは締結固定されている。
【0055】
側壁45の上部ガラスパネル用に想定されている照明器具は、対称反射器と、外部からガラスパネル上に押し付けられているシートメタルハウジングを備える。
【0056】
照明器具ハウジングには、ガラスシートに対するシートと共に、安全鎖または吊り下げ装置を有する、調整可能な固定装置および締結装置を設けることができる。
【0057】
ブース用照明器具は、照明器具キャビネットにより局所的に制御可能である。
【0058】
前進縦方向108に平行に可動な自動前処理ユニット158用の、前進縦方向108に平行に延伸する駆動レール156が、下部シートメタルパネル上に配置されている。
【0059】
自動前処理ユニット158は、特に、前処理ロボットの形状であってよい。
【0060】
側壁154はこのために、前処理ユニット158を統合できるように準備されている。
【0061】
側壁154にはドアが設けられており、保守員または清掃員がブースの内部に入ることができる。
【0062】
ドアは、例えば、視認窓を組み込んでいる鋼鉄ドアの形状であってよい。
【0063】
ドアを操作するために、好ましくは、プッシュプレートがブースの内部においてドアに取り付けられ、ドアの外側にはハンドルが設けられる。
【0064】
好ましくは、ドアは外側に向けて開く。
【0065】
ブースの開始部と最後尾において、パネル状構成の端壁160がそれぞれ設けられており、設備の更なる部分、特に、更なるブースを取り付けられるように準備されている。
【0066】
端壁160は、例えば、亜鉛被膜メタルシートの形状であってよい。
【0067】
端壁160は好ましくは滑らかであり、二重壁構造として構築され、それにより、隠れたケーブルが延びることを可能にする。
【0068】
加工品106を1つのブースから次に続くブースへ前進できるようにするために、端壁160には、好ましくは剛性輪郭を有する通路開口部が設けられている。
【0069】
加工品106がこの輪郭を通過するとき、輪郭から加工品の表面までの距離は、好ましくは少なくとも0.5mである。
【0070】
通路開口部を通過するときの加工品106の不整列を検出し、検出した場合に、被膜設備100の電源を切ることができるようにするために、通路開口部には、不正な方向を向いている加工品106が接触すると静止位置からずれる吊り下がりスクリーンが設けられている。そのような吊り下がりスクリーンのずれは、吊り下がりスクリーンに連結されている近接スイッチにより登録され、近接スイッチは信号を被膜設備100のコントロールセンターに送り、被膜設備100の非常時シャットダウンとなる。
【0071】
吊り下がりスクリーンの近接スイッチは、好ましくは、それぞれの端壁160に統合されている。
【0072】
ブースの底部は、可動格子を組み込んでいる自己支持構造鋼鉄製品の形状である。
【0073】
好ましくは傾斜のない、ハイグレード鋼鉄から製造されたドリップトレーが格子の下方に設置される。
【0074】
ブースの入口ドアは、格子のレベルにあるか、またはプラットフォームを介して格子のレベルから階段によりアクセス可能であり、プラットフォームは好ましくは、滑らかなシートメタルのプラットフォームである。
【0075】
ブースの作業空間は、上方が天井フィルター162(図3参照)により閉じられている。
【0076】
天井フィルターは、統合されたラッカーを塗ったワイヤ格子を有する亜鉛メッキおよび/またはラッカーを塗ったシートメタル構成要素から形成できる。
【0077】
天井フィルター162のフレーム枠は、好ましくは、通路として構成される。
【0078】
天井フィルター162のフィルターが汚染される量は、差圧計により監視される。
【0079】
差圧計は、好ましくは、ブースの特定の場所において読み取ることができるディスプレイを有している。
【0080】
天井フィルター162にかかる差圧は、フィルター汚染を代表するブースのゾーンにおいて判定される。
【0081】
フィルター空間は、天井フィルター162の上方に位置しており、それにより、前進縦方向108において連続するブースのフィルター空間が、仕切り壁166によりお互いから同じように分離され、それにより、作業ゾーンに従って区分された方法で、空気を処理ブース102のゾーンに別々に供給することが可能になる。
【0082】
フィルター空間164には、好ましくは、パイロットランプを組み込んでいるスイッチにより、フィルター空間164の中心位置から電源を入れることができる照明システムが設けられている。
【0083】
フィルター空間164は、保守要員または清掃要員により、機密に維持されたドアを通してアクセス可能である。
【0084】
前処理ゾーン140のブースは、空気再循環システムにより換気される。ブースの換気は、図3を参照して、以下に詳細に記載する。
【0085】
加工品106を前処理する目的のために、各可動自動前処理ユニット158には、図8において模式的に示されている真空吸引噴射装置168が設けられている。
【0086】
真空吸引噴射装置168は噴射フード170を備え、噴射フード170は加工品106に向けて開口し、加工品106に面している噴射フード170の縁上に配置されているシールによりほぼ機密状態で加工品106の表面172上で位置決め可能である。
【0087】
吹き付けランス(円筒管)176が、噴射フード170の内部空間174内に開口しており、この吹き付けランス176により、摩耗媒体178を、内部空間174と境を接する加工品106の表面172に塗布できる。
【0088】
被膜対象の表面172は、加工品106の表面172上の摩耗媒体178の効果により活性化される。
【0089】
摩耗媒体は、噴射フード170の内部空間174から、排出パイプ180を通して外部に吸引される。
【0090】
排出パイプ180は、負の圧力源に取り付けられ、それにより、負の圧力が噴射フード170の内部空間174に生成され、噴射フード170は、加工品106の表面172に対して押し付けられる。
【0091】
被膜対象の加工品106の全表面172を覆うために、噴射フード170は、それぞれが前処理ユニット158に結合されている可動ロボットの形状の前処理ユニット158により、被膜対象の加工品106の全表面172上を移動される。
【0092】
摩耗媒体178と、摩耗媒体178が塗布される加工品106の表面172の各部分は、噴射フード170により周囲環境から分離されているという事実により、真空吸引噴射装置168による活性化工程の間に、前処理ゾーン140に埃が蓄積されることはない。
【0093】
真空吸引噴射装置168の代替として、吸引装置を組み込んでいるロボット誘導ブラッシングシステムもまた、被膜対象の加工品106の表面172を活性化する目的のために採用できる。
【0094】
前進縦方向108において前処理ゾーン140に続く第1バックアップゾーン142は、前処理ゾーン140と同様に閉じたブースの形状であり、その構成は、前処理ゾーン140のブースの構成に対応しているので、この範囲において、その前述した先行記載を参照されたい。
【0095】
しかし、第1バックアップゾーン142には、自動前処理ユニット158は設けられていない。第1バックアップゾーン142は、故障時、または前処理ゾーン140における自動前処理ユニット158により行われた作業の結果が満足されるものではないときに、加工品106の前処理を、作業員181(図4参照)による手動で行うことを許可するように働く。
【0096】
エアロックゾーン144が、前進縦方向108において第1バックアップゾーン142に続き、垂直作用エアカーテンをエアロックゾーン144内に製造可能であり、それにより前処理ゾーン140と第1バックアップゾーン142の雰囲気が、エアロックゾーン144上で続く被膜ゾーン146における雰囲気から分離され、それにより、前処理ゾーン140または第1バックアップゾーン142からの不純物が被膜ゾーン146に到達することが防止され、また、被膜ゾーン146からの被膜材料が前処理ゾーン140または第1バックアップゾーン142に到達することが防止される。
【0097】
前処理ゾーン140と同様に、前進縦方向108においてエアロックゾーン144に続く被膜ゾーン146は、閉じたブースの形状であり、その、格子のレベルの上方での構造は、前処理ゾーン140のブースの構造と同一であるので、この範囲において、その先行記載を参照されたい。
【0098】
しかし、前処理ユニット158の代わりに、被膜ユニット182が前処理ゾーン140において使用され、前記被膜ユニットは、ブースの側壁内に統合されている駆動レール156上で前進縦方向108に平行に可動である。
【0099】
被膜ユニット182は被膜ロボットの形状、特に、例えば、7軸ロボットの形状であることができる。
【0100】
被膜ユニット182には、被膜材料を、加工品106の表面172に塗布するための適切な塗布装置が設けられている。
【0101】
特に、ラッカー、好ましくは、無溶剤ラッカーと特殊な水性ラッカーを被膜材料として使用できる。
【0102】
随意的に、被膜ゾーン146の2つの長辺上に位置する被膜ユニット182に追加して、更なる被膜ユニットを、被膜ゾーン146への入口上方および/または被膜ゾーン146からの出口上方のゾーンの端部に配置できる。
【0103】
その可動性により、被膜ユニット182は被膜材料を、特に、ラッカーを、加工品106に連続的に塗布することを可能にする。
【0104】
分離装置184(図3参照)が、余剰被膜材料を、被膜ゾーン146を通して下方に流れる空気ストリームから分離するために、被膜ゾーン146の下方に設けられている。
【0105】
分離装置184は好ましくは、乾燥分離装置の形状であり、前処理被膜材料で被膜されるフィルター要素を備え、前処理被膜材料の前処理された被膜層上に、被膜材料からの粘着性粒子が堆積する。
【0106】
例えば、石埃を、前処理被膜材料として使用できる。
【0107】
供給用の前処理被膜材料は、フィルター要素の下部に位置する格納容器(例えば、漏斗形状)に保管され、この容器は、フィルター要素を新鮮な前処理被膜材料で被膜するために、間隔を置いてエア噴射により回転される。
【0108】
フィルター要素上の前処理被膜材料から構成されている前処理被膜層が、所与の量を超えて被膜材料により飽和されると、被膜材料により飽和された前処理被膜層は、フィルター要素の清浄ガス側からの圧縮空気の噴出により、フィルター要素から解放され、その後に、前処理被膜材料と被膜材料から構成される混合物は、格納容器内に落下し、そこから外部に吸引される。
【0109】
そのような乾燥分離装置は、例えばDE 10 2007 040 901 A1により知られており、そのような乾燥分離装置の構成および機能に関しては参照すべきであり、ここにおいて本出願にこれらの点に関して組み込まれる。
【0110】
そのような乾燥分離装置は、被膜ゾーン146の格子レベルの下方に配置され、前進縦方向108に平行に整列されているブースの垂直縦方向中央面の両側のフィルター要素用のケースを特に備え、同じく、フィルター要素を含むフィルターモジュールと、フィルタハウジングの間に配置されているアクセス可能な通路と、フィルター要素の下方に位置する格納容器への新鮮な前処理用被膜材料の供給のための供給ユニットと、前処理用被膜材料と被膜材料から構成される混合物を、格納容器から除去するための抽出ユニットを備えることができる。
【0111】
上述した、前処理で被膜されたフィルター要素を組み込んでいる乾燥分離装置の代替として、またはそれに追加して、被膜材料を含む空気ストリームからの被膜材料が堆積する、ボール紙の迷路(又は、ラビリンス)フィルターを備える乾燥分離装置を使用することができる。
【0112】
更に、乾燥分離装置の代わりに、分離装置184として、湿式洗浄装置を使用することもできる。
【0113】
被膜ゾーン146と同様に、前進縦方向108において被膜ゾーン146に続く第2バックアップゾーン148は閉じたブースの形状であり、格子レベルの上方のその構造は被膜ゾーン146のブースの構造と同一であるので、この範囲において、その先行記載を参照されたい。
【0114】
しかし、第2バックアップゾーン148は自動被膜ユニット182を備えていない。第2バックアップゾーン148は、故障のとき、または自動被膜ゾーン146において被膜ユニット182により行われた作業の結果が満足すべきものではないときに、適切な被膜装置を使用して、作業員181(図4参照)により加工品106の被膜を手動で行うことを許可するように働く。
【0115】
第2バックアップゾーン148の下方には、余分な被膜材料を、被膜ゾーン146と同様に、上方から第2バックアップゾーン148を通して下方に向けて流れる空気ストリームから分離するための分離装置186が設けられている。
【0116】
しかし、第2バックアップゾーン148においては、簡単な緊急時被膜動作のみが行われることが想定されているので、この分離装置186は、より程度の低い分離用に設計できる。
【0117】
従って、一般的には、分離装置186は、ボール紙の迷路システムを使用する乾燥分離装置の形状であれば十分である。
【0118】
そのようなボール紙の迷路システムは、例えば、格子レベルの下方に配置され、垂直に配置された、被膜媒体分離器用のヒンジ式支持枠が設けられている抽出ダクトを備える。被膜材料の分離は、グラスファイバーフリースフィルターと、下流のボール紙の迷路システムにより行われる。
【0119】
前進縦方向108において第2バックアップゾーン148に続く蒸発ゾーン150は、前述したゾーンと同様に閉じたブースの形状であり、好ましくは、内部照明システムと、密接にフィットするドアが設けられている亜鉛メッキの鋼鉄シートのハウジングを備える。
【0120】
下方から交換可能なフィルター枠を組み込んでいる空気供給ダクトは、蒸発ゾーン150の天井領域に設けられる。
【0121】
蒸発ゾーン150に供給された空気の排出工程は、蒸発ゾーン150の床領域において行われる。
【0122】
前進縦方向108において蒸発ゾーン150に続く乾燥ゾーン152は、前述したゾーンと同様に閉じたブースの形状であり、好ましくは、プレハブ式のハウジングセグメントから構成される自己支持構造の方法で設置される。
【0123】
乾燥ゾーン152の全内部輪郭は、好ましくは、清掃し易く、保守し易い方法で提供される。
【0124】
清掃操作の間に、乾燥ゾーン152においてフラフ(糸くずのようなもの)が堆積することを防止するために、乾燥ゾーン152の作業エリアにおけるシートと溶接シームのすべてのエッジは、好ましくはバリ取りされており、乾燥器トンネルは、好ましくは、滑らかな構造として提供される。
【0125】
乾燥ゾーン152においては、照射ユニット188は、加工品106の搬送経路の両側に配置され、その1つが図7に詳細に示されている。
【0126】
照射ユニット188は、複数の、例えば、3台の照射装置192が保持される台座またはスタンド190を備える。
【0127】
照射装置192により加工品106の被膜された表面172を照射することができ、それにより被膜を乾燥および/または硬化させる。
【0128】
この照射は、例えば、赤外線照射および/または紫外線照射(被膜が、紫外線照射工程で硬化可能な場合)であってよい。
【0129】
乾燥ゾーン152は、その中に含まれる照射ユニット188と共に乾燥装置189を形成し、加工品106が被膜されている間、および加工品106が乾燥されている間に、乾燥装置189に対して加工品106は移動される。
【0130】
照射装置192は、その垂直位置に関して、且つ乾燥ゾーン152の横方向194におけるその位置に関して、独立して調整可能であり(好ましくは、モーター、油圧、または空気圧式手段により)、それにより、それぞれの照射装置192と、照射されている加工品106の表面172の一部との間に所望の間隔が自動的に設定される。
【0131】
加工品106の断面は、その縦方向196において変化するので、照射装置192は、加工品106が通過する間に、加工品106に向けて移動されるか、または加工品106から遠ざけられる。
【0132】
それにより、加工品106の被膜された表面172上の平均照射量は、照射装置192の位置が加工品106の幾何学形状に自動的に適合されるので、加工品106の変化する断面に拘わらず、ほぼ一定に留まるという効果が達成される。
【0133】
更に、加工品の表面上に所望の照射量を生成するために、照射装置192を個々にスイッチの入/切ができ、および/または照射装置192のパワー出力を変更できる。
【0134】
加工品106の表面上において一様な表面温度を生成するために、加工品表面の温度が検出され、各照射装置192により放射される照射パワーが規制され、また、加工品106の表面172からの照射装置192の距離も、温度検出工程の結果に従って規制される。
【0135】
温度の検出は、特に高温計により行うことができる。そのような高温計は、非接触方法で対象物から放射された放射熱を検出し、対象物の温度を判定するために数値化し、それにより、対象物から放射された放射熱の強度は、その温度に依存するという事実が利用される。
【0136】
照射装置192は、柔軟ホースにより冷却される、照射装置192の表面上に吹き付けられる冷却空気により冷却可能である。
【0137】
処理ブース102の個々のゾーンのこの記載に続いて、空気を処理ブース102を通して供給するシステムを、図3に示されている空気供給図を参照して、以下に記載する。
【0138】
被膜設備100は、前処理ゾーン140と、第1バックアップゾーン142と、エアロックゾーン144に空気供給ライン200を介して空気を供給する第1空気再循環ユニット198と、被膜ゾーン146と、第2バックアップゾーン148と、蒸発ゾーン150に空気供給ライン204を介して空気を供給する第2空気再循環ユニット202を備える。
【0139】
乾燥ゾーン152は、蒸発ゾーン150から間接的に空気の供給を受ける。乾燥ゾーン152からの排出空気は、乾燥ゾーン152から、排出空気ダクト206を通して周囲に排出される。
【0140】
個々のフィルター空間164と個々の天井フィルター162を介して前処理ゾーン140と第1バックアップゾーン142に供給されたブースの空気は、例えば、個々の側壁154の床領域に配置された余剰空気開口部を通してブースから外部に吸引され、主要排出空気ダクト210内に繋がる排出空気ダクト208を通って、第1空気再循環ユニット198に供給されて戻される。
【0141】
空気がブースの外部に吸引される余剰空気開口部は、ヒンジ式支持枠を備えることができる。
【0142】
例えば、グラスファイバーフリースから構成されるファイバーフィルターを、これらの支持枠に締結することができる。
【0143】
前処理ゾーン140と第1バックアップゾーン142からの排出空気を吸引し、その排出空気を第1空気再循環ユニット198に供給するファン212は、主要排出空気ダクト210内に配置され、それにより、空気再循環システムは、第1空気再循環ユニット198および前処理ゾーン140または第1バックアップゾーン142により閉鎖される。
【0144】
第1空気再循環ユニット198において、循環空気は、調節装置(例えば、加熱装置、冷却装置、加湿装置、および/または脱湿装置)により所望の空気条件に合うように改質され、必要であれば、新鮮空気供給ライン214を通って第1空気再循環ユニット198に供給される新鮮空気が補充される。
【0145】
ブース雰囲気の調節に必要なエネルギー(加熱、冷却、加湿、および/または脱湿のための)は、空気循環システムにより最小限度に抑えられる。
【0146】
被膜ゾーン146と、第2バックアップゾーン148と、蒸発ゾーン150の換気は、空気循環システムにより同様に行われる。
【0147】
これに関連して、分離装置184において余剰被膜材料から放出された、被膜ゾーン146からの排出空気は、排出空気ダクト216を通して、ファン218により主要排出空気ダクト220内に吸引され、そこから第2空気再循環ユニット202に供給される。
【0148】
分離装置186において、余剰被膜材料から放出された可能性のある、第2バックアップゾーン148からの排出空気と、蒸発ゾーン150の床領域から吸引された、蒸発ゾーン150からの排出空気は、ファン224により排出空気ダクト222を通して主要排出空気ダクト220内に吸引され、そこから同様に、第2空気再循環ユニット202に供給される。
【0149】
このように、空気循環システムは、第2空気再循環ユニット202と被膜ゾーン146、第2バックアップゾーン148または蒸発ゾーン150により閉鎖される。
【0150】
第2空気再循環ユニット202においても、循環空気は、調節装置(例えば、加熱装置、冷却装置、加湿装置、および/または脱湿装置)により所望の空気条件に合うように改質され、必要であれば、新鮮空気供給ライン226を通って第2空気再循環ユニット202に供給される新鮮空気が補充される。
【0151】
被膜ゾーン146と、第2バックアップゾーン148および蒸発ゾーン150用の循環システムにより、空気調節工程(特に、加熱、冷却、加湿、および/または脱湿工程)に必要なエネルギーは、更に削減される。
【0152】
処理ブース102のゾーンを、2つの異なる空気再循環ユニット198と202に割り当てることにより、ブースにおける雰囲気は、要求に従って異なるように調節でき、特に、一方では前処理ゾーン140に対して、他方では被膜ゾーン146に対して異なるように雰囲気を調節できる。
【0153】
各ブースに対する空気の供給は、自身の空気供給ライン200と204により行われるという事実のため、各ブースに供給される空気の量は、そのそれぞれの必要性に正確に整合して供給できる。この区分された空気供給システム(処理ブース102の個々のゾーンの選択的換気)の結果、エネルギーの更なる節約が得られる。
【0154】
エアロックゾーン144は、被膜設備100の2つの空気再循環システムの間の結合リンクを示している(として機能している)。その理由は、エアロックゾーン144は第1空気再循環ユニット198からの空気の供給を受けるが、被膜ゾーン146からの余剰被膜材料を含んでいる可能性のある、エアロックゾーン144からの排出空気は、第1空気再循環ユニット198には供給して戻すことはできず、分離装置184を通して第2空気再循環ユニット202に供給されるためである。それにも拘わらず、エアロックゾーン144への空気の供給は、常に空気循環システムを介して行われ、それによりエネルギーの節約をもたらす。
【0155】
第1空気再循環ユニット198の空気循環システムからの余剰空気は、第1空気循環システムの空気供給ライン200に取り付けられている外に向かう空気ライン228を通して周囲に放出される。
【0156】
第2空気再循環ユニット202の空気循環システムからの余剰空気は、第2空気循環システムの空気供給ライン204に取り付けられている外に向かう空気ライン230を通して周囲に放出される。
【0157】
被膜対象の加工品106の、処理ブース102を通しての輸送は、図4から7に示されている加工品キャリッジ232により行われる。
【0158】
加工品キャリッジ232は、加工品キャリッジ232の縦方向238に直交して伸びている横方向ビーム236によりお互いに接続されている2つの箱形状の側部材234から構成される、ほぼ四角形のフレーム枠233を備える。
【0159】
縦方向238においてお互いに続いている横方向ビーム236の間に残っているスペースは、ブースに対する空気流を、垂直方向において加工品キャリッジ232を通して通過させるのに十分である。
【0160】
その前端部において、2つの側部材134は共に、加工品ホルダー240を支持している。
【0161】
被膜対象の加工品、例えば、風力タービン用の回転翼羽根は、一方の端において、例えば、ボルト、または締結装置により加工品ホルダー240に固定されている。
【0162】
これにより、加工品106は加工品キャリッジ232上に、加工品106の縦方向196が、加工品キャリッジ232の縦方向238にほぼ対応するように配置される。
【0163】
図4と5から分かるように、共通縦方向における加工品106の縦方向の長さLは、加工品キャリッジ232の縦方向の長さIよりも相当に長い。
【0164】
このように、加工品106は、加工品キャリッジ232の後端を超えて相当の長さで突出している。
【0165】
特に、加工品106の加工品キャリッジ232を超えての突出を、加工品106の縦方向196における縦方向の長さLの少なくとも半分に、好ましくは、少なくとも2/3にするようにしてもよい。
【0166】
図5において最もよく分かるように、前進縦方向108における前進移動の目的のために、加工品キャリッジ232の各側部材234は、加工品キャリッジ232の横方向244に平行に伸びている軸の周りに回転可能な2つの縦方向走行ホイール242を有している。
【0167】
加工品キャリッジ232は、均一な被膜が得られることを確実にするために非常に滑らかに伸びていなければならないので、縦方向走行ホイール242がその上で回転する縦方向搬送レール112は、凸状曲線支持表面246(図6参照)を有する丸いレールの形状である。
【0168】
好適な方法で、縦方向走行ホイール242は、硬化鋼鉄、アルミニウム合金、または熱硬化合成材料から製造され、それらの凹状曲線延伸表面248の周辺は、縦方向搬送レール112の凸状曲線支持表面246と相補的である。
【0169】
縦方向搬送レール112と、縦方向搬送レール112に対して相補的な基盤となっている縦方向走行ホイール242の滑らかな表面により、前進縦方向108における加工品キャリッジ232の非常に滑らかな走行が達成される。
【0170】
代替の例としての実施の形態においては、縦方向走行ホイールは、ソリッドラバータイヤまたは気体充填タイヤを備えている。
【0171】
縦方向搬送レール112の直径は、例えば、約60mmであってよく、縦方向走行ホイール242の直径は、約250mmであってよい。
【0172】
戻り搬送トラック114の戻り搬送レール118は、縦方向搬送トラック110の縦方向搬送レール112と類似の方法で構築されている。
【0173】
加工品キャリッジ232の、縦方向搬送トラック110から戻り搬送トラック114への、または戻り搬送トラック114から縦方向搬送トラック110への横方向の輸送のために、個々の横方向走行ホイール250が、加工品キャリッジ232の各側部材234の各端面上に配置されている(図5参照)。
【0174】
横方向走行ホイール250は、高さを調整可能な方法で、加工品キャリッジ232のフレーム枠上に保持され、フレーム枠233に対するその高さ、従って、縦方向走行ホイール242に対する高さは調整可能である(例えば、モーターまたは油圧式手段により)。他のすべての形態において、横方向走行ホイールの詳細は、縦方向走行ホイールの詳細と類似(または同一)であってよい。
【0175】
前進縦方向108、または前進反転方向116における加工品キャリッジ232の移動の間、横方向走行ホイール250は、下に横たわる基盤から横方向走行ホイール250が上昇された上方位置に位置しており、それにより、加工品キャリッジ232は、縦方向搬送レール112または戻り搬送レール118上に、縦方向走行ホイール242により支持される。
【0176】
加工品キャリッジ232が第1レール交差部126または第3レール交差部136の近くに到達すると、加工品キャリッジ232が横方向搬送レール124または134上で横方向走行ホイール250により支持され、更に縦方向走行ホイール242が、縦方向搬送レール112または戻り搬送レール118から上昇されるまで、端面上の横方向走行ホイール250は、降下される。横方向走行ホイール250のこの位置において、加工品キャリッジ232は第1前進横方向122または第2前進横方向132において、横方向輸送工程に対して自由である。
【0177】
原則として、横方向搬送レール124および134には、縦方向搬送レール112と同様に、凸状曲線支持表面を設けることができ、横方向走行ホイール250には、凹状曲線延伸表面を設けることができる。
【0178】
しかし、処理ブース102の外側における加工品106の横方向輸送に対する滑らかな走行工程に対する要求は、より緩やかであり、そのため、横方向搬送レール124および132は、ほぼ平坦な支持表面を有する平坦レールの形状であることができ、横方向走行ホイール250には、円筒形延伸表面を設けることができる。
【0179】
円筒形延伸表面を有する横方向走行ホイール250の使用は、凹状曲線延伸表面を有する走行ホイールより狭くてもよく、従って、必要なホイールの負荷を達成するためにより小さな空間しか必要としないという利点がある。
【0180】
横方向走行ホイール250の直径は、例えば、約400mmであってよい。
【0181】
加工品キャリッジ232は好ましくは、自走式である。
【0182】
好ましくは、一台のキャリッジ当たり少なくとも2つの縦方向走行ホイール242と少なくとも2つの横方向走行ホイール250はモーター駆動である。これにより、すべての縦方向走行ホイール242とすべての横方向走行ホイール250が駆動されることは特に好適である。
【0183】
この目的のために必要な駆動装置は、好ましくは、加工品キャリッジ232の箱形側部材234の内部空間に収納され、それにより、垂直方向におけるブースを通る空気の貫通流が利用できる加工品キャリッジ232の自由断面は、可能な限り大きく留まる。
【0184】
駆動装置からそれぞれの被駆動走行ホイールへの動きの伝達は、駆動ベルト252(図6参照)により行うことができ、特に、例えば、歯付きベルトにより行うことができる。
【0185】
走行ホイール用の駆動装置は、好ましくは、少なくとも1つの電気モーターを含む。しかし随意的に、各被駆動ホイールは、個々に連結されているギヤレス電気モーターを有してもよい。
【0186】
電気モーターへの供給に必要な電気エネルギーは、好ましくは、電気誘導により、搬送トラックの搬送レールの間のコンダクターシステム254から、加工品キャリッジ232上のピックアップコイル256に非接触で伝達される(図6参照)。
【0187】
このエネルギー伝達の誘導工程を可能にするために、ピックアップコイル256とコンダクターシステム254の環境は鉄が使用されていない(無鉄)環境でなければならない。
【0188】
この必要な無鉄空間は、格子のレベルを、コンダクターシステム254の近くで、床のレベルの上方に、例えば少なくとも約20cm上昇することにより、処理ブース102のすべてのゾーンで達成される。ピックアップコイル256は、格子のレベルの下方に導かれる。
【0189】
ピックアップコイル256は、高さが調整できる方法(例えば、モーターまたは油圧手段により)で、加工品キャリッジ232のフレーム枠233上に保持され、それにより、ピックアップコイル256を、縦方向輸送モードから横方向輸送モードへの遷移中に、縦方向輸送工程の間と同じ距離にコンダクターシステム254からの距離を維持するために、フレーム枠233に対して降下することができる。
【0190】
コンダクターシステム254のコンダクター258は、処理ブース102内のプラスチックチューブを通して供給され、処理ブース102の交叉ビーム上に、例えば、プラスチックブロックにより支持できる。
【0191】
加工品キャリッジ232へのエネルギーの伝達用の非接触システムを使用するときは、無溶媒被膜材料、特に、無溶媒ラッカーを利用すると好適である。
【0192】
例えば、25kHzの周波数を有する高周波数パネルが、好ましくは、非接触の、特に誘導によるエネルギー伝達のために使用される。
【0193】
加工品キャリッジ232へのエネルギー伝達のために非接触システムを利用する代わりに、加工品キャリッジ232に電気エネルギーの備蓄手段、特にアキュムレータを設けるようにすることもできる。この駆動手段の変形例に必要な駆動要素は、防爆(耐爆発)形態で利用できる。
【0194】
被膜設備200において複数の加工品キャリッジ232、例えば、少なくとも3つの加工品キャリッジ232が使用される特別な場合は、戻りトラック114に沿って加工品キャリッジ232が戻る間に、アキュムレータを充電するために利用できる十分な時間がある。
【0195】
処理ブース102において、縦方向搬送レールが汚染されることを防止するために、縦方向走行ホイール242を備えた加工品キャリッジ232の縦方向搬送レール112と側部材234は、例えば、シートメタル被覆の形状のケース260により、少なくとも被膜ゾーン146と第2バックアップゾーン148においては、被膜材料が加工品106に塗布される塗布エリアからは分離され、それにより、縦方向搬送レール112と縦方向走行ホイール242は、被膜材料のオーバースプレーによる汚染から守られ、また、余剰被膜材料を含む、ブースからの排気ストリームとの接触から守られる。図6から分かるように、ケース260は狭い通路ギャップ262を有するのみで、通路ギャップ262を通して、加工品キャリッジ232の交叉ビーム236が、ケース260の外側の塗布エリアからケース260の保護されている内部に延伸している。それにより、加工品キャリッジ232と通路ギャップ262の縁の間には小さなギャップのみが残り、それにより、ほとんどの被膜材料は、この狭いギャップを通してケース260の内部に入り込むことはできない。
【0196】
加工品キャリッジ232の縦方向搬送レール112と、縦方向走行ホイール242と、側部材234は、その全体が保護ケース260に収納されている。
【0197】
前述した被膜設備100は、特に、長い加工品および、縦方向196に直交して伸びる横方向における最大の長さBよりも相当に長い縦方向の長さLを有する特別に細長い加工品の被膜に対して適切である(図5参照)。
【0198】
好ましくは、加工品106の縦方向の長さLは、最大横方向の長さBの少なくとも5倍を超える長さである。
【0199】
特に、被膜設備100は、例えば、少なくとも10m、好ましくは少なくとも30mまたは約50mの長さを有する加工品の被膜に適切である。
【0200】
適切な加工品106は、例えば、風力タービンの回転翼羽根の形状であってよい。
【0201】
加工品に被膜を設ける方法は、前述した被膜設備100を使用して、次のようにして行われる。
【0202】
被膜対象の加工品106は、加工品キャリッジ232の加工品ホルダー240に、加工品106の縦方向196、つまり、加工品106の最大の縦方向の長さの方向が、被膜設備100における加工品キャリッジ232の縦方向238と、前進縦方向108にほぼ対応するように固定される。
【0203】
加工品キャリッジ232は、加工品キャリッジ232上に保持され、縦方向搬送トラック110の縦方向搬送レール112上の縦方向走行ホイール242により支持されている加工品106と共に、第1レール交差部126の領域から移動できる状態にされ、処理ブース102の前処理ゾーン140に入り、処理ブース102の他のゾーンすべてを連続して通過する。
【0204】
加工品キャリッジ232の搬送速度は、加工品106が処理ブース102内で処理されている間は、好ましくは、1m/分以下である。
【0205】
加工品106の処理の間、搬送速度は、好ましくは、約0.8m/分である。
【0206】
加工品106が処理ブース102を完全に去ると同時に、搬送速度は、特に戻りトラック114に沿う搬送速度は、1m/分を超える搬送速度、例えば、約12m/分まで増大することができる。
【0207】
加工品キャリッジ232は、可変速度で処理ブース102を通して移動でき、特に、一時的に停止し、再び移動を開始することができる。しかし、好ましくは、加工品キャリッジ232は、連続した方法で、好ましくは、ほぼ一定の速度で処理ブース102を通して移動する。
【0208】
加工品106が、処理ブース102の連続するゾーンをこのように通過する間、加工品106の表面172の各部分は、それぞれにスケジュールされた方法で、これらのゾーンにおいて連続して処理される。
【0209】
現時点で現在前処理ゾーン140内にある加工品106の表面172の部分は、加工品106のこの部分が、前処理ゾーン140を通して移動している間に、可動前処理ユニット158により活性化される。
【0210】
被膜ゾーン146に現在位置している加工品106の表面172の部分には、加工品106の該当部分が被膜ゾーン146を通して移動している間に、可動被膜ユニット182により被膜材料が供給される。
【0211】
加工品106の該当部分が蒸発ゾーン150を通して移動している間に、被膜材料の揮発成分は、蒸発ゾーン150に現在位置している加工品106の表面172の部分から蒸発する。
【0212】
それぞれの場合に乾燥ゾーン152に位置している加工品106の表面172の部分は、加工品106の該当部分が乾燥ゾーン152を通して移動している間に、照射ユニット188により乾燥および/または硬化される。
【0213】
図4により最もよく分かるように、加工品106の縦方向の長さLは、前処理ゾーン140と、被膜ゾーン146と、蒸発ゾーン150と、乾燥ゾーン152の縦方向の長さよりも相当に長い。
【0214】
特に、加工品106の縦方向の長さはそのように長いので、加工品106の表面172の異なる部分は、処理ブース102の異なるゾーンで、少なくとも随意的には、そして同時に、異なる方法で処理されている。
【0215】
このため、加工品106の前端(例えば、風力タービン用の回転翼羽根の回転翼羽根の根本)はすでに蒸発ゾーン150の中にあり、同時に一方では、加工品106の中央部は、被膜ゾーン146において被膜されており、加工品106の後端(例えば、回転翼羽根の先端)は、前処理ゾーン140において同時に活性化されている。
【0216】
これらの工程が同時に加工品106に対して行われる結果、処理ブース102における加工品106に対する全処理時間、つまり、加工品106が処理ブース102を通して通過するのに必要な時間は相当に短縮される。
【0217】
使用されている連続運転の原則のため、処理ブース102の個々の処理ゾーンは、その中で処理される加工品106よりも相当に短くてよい。
【0218】
このように、約50mの、加工品106の例としての縦方向の長さLの場合は、前処理ゾーン140は、前進縦方向108において約6mの縦方向の長さを有し、第1バックアップゾーン142は約3mの縦方向の長さ、エアロックゾーン144は約3mの縦方向の長さ、被膜ゾーン146は約6mの縦方向の長さ、第2バックアップゾーン148は約3mの縦方向の長さ、蒸発ゾーン150は約24mの縦方向の長さ、および乾燥ゾーン152は約10mの縦方向の長さを有する。
【0219】
個々のゾーンのブースサイズがより小さいことと、処理ブース102のほとんどのゾーンにおいて使用される空気循環システムと共に、区分化されている空気の供給の結果として、エネルギーの相当な節約が達成される。
【0220】
被膜設備100は加工品のサイズに従って寸法を決める必要はなく、所望するスループット(処理能力)に従って設計できる。
【0221】
加工品106は、その全体が処理ブース102を通過したときは、加工品106の後端は乾燥ゾーン152を離れ、加工品キャリッジ232は第1レール交差部126に到達しており、加工品キャリッジ232は、横方向走行ホイール250を降下させることにより、縦方向輸送モードから横方向輸送モードに変更される。
【0222】
その後、加工品キャリッジ232の横方向走行ホイール250は、加工品キャリッジ232を、縦方向搬送トラック110から戻り搬送トラック114に第1前進横方向122において移動するために駆動される。
【0223】
第2レール交差部128に到達後、加工品キャリッジ232は、横方向走行ホイール250を上昇することにより横方向輸送モードから縦方向輸送モードに変更され、縦方向走行ホイール242を前進戻り方向116において駆動することにより、加工品キャリッジ232は戻り搬送トラック114に沿って第3レール交差部136まで移動されて戻される。
【0224】
第3レール交差部136に到達後、加工品キャリッジ232は、横方向走行ホイール250を降下することにより縦方向輸送モードから横方向輸送モードに変更され、横方向走行ホイール250を駆動することにより加工品キャリッジ232は、戻り搬送トラック114から縦方向搬送トラック110へ、第2前進横方向132において第2横方向搬送トラック130に沿って移動される。
【0225】
第4レール交差部138に到達後、加工品キャリッジ232は横方向走行ホイール250を上昇することにより、横方向輸送モードから縦方向輸送モードへ再び変更され、縦方向走行ホイール242を駆動することにより、加工品106に第2被膜工程を行うために、加工品キャリッジ232は、その上に保持されている加工品106と共に、処理ブース102を通して再び移動される。
【0226】
処理ブース102を通してのその第2走行の後、加工品106は、例えば、加工品キャリッジ232が第1レール交差部126に到達したときに、加工品キャリッジ232から取り除くことができる。
【0227】
しかし、加工品キャリッジ232を、その上に保持されている加工品106と共に、第4レール交差部138の開始点に、前述した方法で移動して戻すことも可能で、加工品106は、この点においてのみ加工品キャリッジ232から取り除くことができる。
【0228】
更に、中間乾燥工程なしで、加工品106に単一の被膜層を塗布することのみが意図されているときは、加工品106を、処理ブース102を通してのその第1通過の直後に、加工品キャリッジ232から取り除くことも可能である。
【0229】
図9に示されている被膜設備100の第2実施の形態は、図1から8に示されている前述した第1実施の形態とは、第2実施の形態の処理ブース102は1つの作業ゾーン264のみを乾燥ゾーン152の前に有していることが異なり、前進縦方向108における前記作業ゾーンの縦方向の長さは、少なくとも加工品106の縦方向の長さLに対応し、それにより、加工品106はその全体を作業ゾーン264内に駆動できる。
【0230】
作業ゾーン264は、加工品106を前処理および被膜すると同時に、被膜工程の後の蒸発工程を行うように機能する。
【0231】
この目的のため、加工品キャリッジ232の上に配置されている加工品106は、加工品106が作業ゾーン264内に完全に収納されて停止されるまで、前進縦方向108において作業ゾーン264内に駆動される。
【0232】
作業ゾーン264の基本的構成は、被膜設備100の第1実施の形態における処理ブース102の被膜ゾーン146の構成に対応している。
【0233】
しかし、前進縦方向108に平行に伸びている駆動レール156上で可動である被膜ユニット182に加えて、作業ゾーン264はまた、同じ駆動レール156上、または前進縦方向108に平行に同じように伸びている他の駆動レール上を可動な前処理ユニット158も備える。
【0234】
作業ゾーン264に加工品106が到達後、前処理ユニット158は、加工品106の全表面172の活性化前処理を行うために加工品106の全長にわたって駆動される。被膜ユニット182は前処理ユニット158に近接して追従し、直前に活性化された加工品106の表面172のエリアを完全に被膜する工程を連続して行う。
【0235】
前処理ユニット158と被膜ユニット182の両者が、加工品106の全長にわたって移動すると(例えば、図9において右から左へ)、加工品106の前処理と被膜が完了し、加工品キャリッジ232は、完全に被膜された加工品106を、好ましくは連続的に、加工品106の縦方向の長さLよりも相当に短い乾燥ゾーン152を通して移動するために、前進縦方向108において移動状態にされる。
【0236】
このように乾燥ゾーン152は乾燥装置189を形成し、乾燥装置189に対して、加工品106は、加工品106の被膜工程が完了後に、加工品106の乾燥中に移動される。
【0237】
作業ゾーン264内で、乾燥ゾーン152にまだ到達していない加工品106の部分から、被膜材料の揮発性成分が蒸発する。
【0238】
加工品106の全体が乾燥ゾーン152を通過し、加工品106の全被膜が、照射ユニット188により、乾燥ゾーン152において乾燥および/または硬化されると、加工品106の第1被膜工程は完了し、加工品を、第1実施の形態に関連して上述した方法で、第2被膜工程を行うために、処理ブース102の入口まで移動して戻すことができる。
【0239】
被膜設備100の本第2実施の形態は、加工品106が被膜工程の間に移動されないという利点を有し、それにより、被膜を特に一様に塗布することが可能になる。
【0240】
第1実施の形態に対し、本実施の形態の意味のある形態は、加工品106全体を収納できる長い作業ゾーン264を利用することである。
【0241】
更に、可動前処理ユニット158用と可動被膜ユニット182用の非常に長い駆動レール156が使用され、それにより、これらのユニットは、加工品106の全表面172をまんべんなく移動できる。
【0242】
バックアップゾーンがない場合は、本実施の形態においては限られた長さに対してのみ手動非常時動作が可能である。
【0243】
前処理と被膜工程は、好ましくは、同時に同じブース内で行われ、それにより、前処理工程と被膜工程に対する空気の供給が同じ方法で調節できる。
【0244】
前処理被膜フィルターを組み込んでいる乾燥分離装置の使用は、被膜工程で使用される作業ゾーン264の長さが10m未満のときに想定される。
【0245】
加工品106が乾燥ゾーン152を通して前進させられるときの搬送速度は、好ましくは少なくとも1m/分で、例えば、約1.6m/分である。
【0246】
他のすべての形態において、図9に示されている被膜設備100の第2実施の形態は、図1から8に示されている第1実施の形態に、その構成および機能に関して対応しているので、この範囲において、第1実施の形態の先行記載を参照されたい。
【0247】
図10に示されている被膜設備100の第3実施の形態は、図9に示されている第2実施の形態と、前進縦方向112に平行に可動な乾燥器入口266が、本第3実施の形態の処理ブース102における作業ゾーン264に配置され、加工品106の被膜された表面172の照射のための照射装置192が、前記乾燥器入口上に保持されていることが異なる。従って、好適な方法で作業ゾーン264に隣接している乾燥ゾーン152を不要とすることができる。
【0248】
乾燥器入口266は、前処理ユニット158と被膜ユニット182と同じ駆動レール156上で移動でき、または、乾燥器入口266用の、前進縦方向108に平行に延伸している分離した駆動レールを設けることが可能である。
【0249】
本実施の形態においては、作業ゾーン264は加工品106よりも相当に長いが、これは、乾燥器入口266を、加工品106の前端と、作業ゾーン264の後端壁の間に停止させるために利用できる十分な空間がなければならないからである。
【0250】
被膜設備100の本実施の形態においては、加工品106は、前進縦方向108において加工品キャリッジ232上の作業ゾーン264内に完全に駆動され、その中で停止される。
【0251】
その後、加工品106は、前進縦方向108に平行に駆動されている前処理ユニット158により全体が前処理され、前進縦方向108に平行に駆動されている被膜ユニット182により被膜される。
【0252】
被膜工程の終了後、乾燥器入口266は、加工品106の全長上を前進縦方向108に平行に駆動され、それにより、乾燥器入口266上に配置されている照射装置192が加工品106を照射して被膜を乾燥および/または硬化する。
【0253】
このように乾燥器入口266は乾燥装置189を形成し、乾燥装置189は、加工品106が乾燥中に加工品106に対して移動される。
【0254】
加工品106は作業ゾーン264内に、前処理から乾燥工程の完了まで固定して保持でき、または0.1m/分未満の特に遅い速度で駆動できる。
【0255】
乾燥工程の完了後、加工品106が不動状態を続けている間に、作業ゾーン264において第2被膜工程を行うことができ、これに続いて、乾燥器入口266を移動することにより乾燥工程が行われる。
【0256】
第2乾燥工程を含む第2被膜工程の完了後、加工品106は前進反転方向116において加工品キャリッジ232上の作業ゾーン264から外部に移動され、それにより処理ブース102から外部に移動され、その後、加工品106を加工品キャリッジ232から取り除くことができる。
【0257】
本実施の形態においては、加工品106を、処理ブース102の外側の処理ブース102の入口まで移動して戻す必要なく加工品106の第2被膜を行うことができるので、被膜設備100の本実施の形態の場合は、戻り搬送トラック114と横方向搬送トラック120および130を不要とすることができる。
【0258】
更に、本実施の形態における加工品キャリッジ232は、縦方向輸送工程に対してのみ適切であればよいので、高さを調整可能な横方向走行ホイール250を不要とすることができる。
【0259】
本実施の形態の場合は、加工品106は、両方の被膜工程の間静止状態に留まることができ、被膜の2回の塗布の間に移動する必要はない。
【0260】
第2実施の形態の場合と同様に、被膜設備100の第3実施の形態における加工品106は、被膜材料の塗布工程の間に移動されず、そのため、被膜材料を特に一様に塗布することが可能になる。
【0261】
本実施の形態の意味のある形態は、乾燥器入口266が停止できる特に長い作業ゾーン264を利用することである。
【0262】
更に、乾燥器入口266が、被膜の塗布が行われる作業ゾーン264のエリアを通して移動されるということもまた意味がある。
【0263】
前処理ユニット158と、被膜ユニット182と、乾燥器入口266を移動するために非常に長い駆動レール156が使用され、そのため、これらの装置は、加工品106の全長上を移動できる。
【0264】
加工品106の前処理と被膜が、処理ブース102の同じゾーンで行われる場合は、共通且つ同一な、および/または単一の空気供給の調節が、前処理工程と被膜工程に対して行われる。
【0265】
他のすべての形態においては、図10に示されている被膜設備100の第3実施の形態は、図9に示されている第2実施の形態と、構成および機能に関して対応しているので、この範囲において、第2実施の形態の先行記載を参照されたい。
【0266】
図11に示されている被膜設備100の第4実施の形態は、図9に示されている第2実施の形態とは、加工品106が連続的に移動される短い乾燥ゾーン152の代わりに、加工品106の全体を収納できる長い対流式乾燥ゾーン268が設けられていることが異なる。
【0267】
この対流式乾燥ゾーン268においては、加工品106は照射装置192による照射で乾燥されるのではなく、空気循環システムにより対流式乾燥ゾーン268を通過する暖気により乾燥される。
【0268】
本実施の形態においては、加工品106の全体は、最初に、前進縦方向108において加工品キャリッジ232上の作業ゾーン264内に駆動され、その中で停止される。
【0269】
その後、加工品106全体の前処理が、可動前処理ユニット158により行われ、加工品106全体の被膜は、可動被膜ユニット182により行われる。
【0270】
加工品106の被膜工程が完全に完了した後、加工品106は加工品キャリッジ232上で、作業ゾーン264から対流式乾燥ゾーン268内に移動され、その中で再び停止される。
【0271】
このように対流式乾燥ゾーン268は乾燥装置189を形成し、乾燥装置189に対して加工品106は、加工品106の被膜工程完了後、および加工品106の乾燥工程開始前に移動される。
【0272】
暖気による乾燥工程に必要な乾燥時間後、加工品106は前進縦方向108において加工品キャリッジ232上の対流式乾燥ゾーン268から外部に移動され、加工品106の全体が処理ブース102から外部に移動され、その後、加工品106は、第1横方向搬送トラック120と、戻り搬送トラック114と、第2横方向搬送トラック130により、被膜設備100の第1実施の形態に関連して上述した方法で、処理ブース102の入口まで戻され、その後、加工品106は、更なる被膜工程のために、作業ゾーン264内に再び駆動することができる。
【0273】
加工品106が対流式乾燥ゾーン268の中で静止している間の、第2乾燥工程を含む第2被膜工程の後、加工品106は再び、加工品キャリッジ232上の処理ブース102から完全に外部に駆動され、その後、加工品106を加工品キャリッジ232から取り除くことができる。
【0274】
本実施の形態は、加工品106を、被膜材料を塗布する工程の間に移動する必要がなく、そのため、被膜材料の特に一様な塗布が達成可能であるという利点を有する。
【0275】
対流式乾燥ゾーン268における加工品106の乾燥工程のために、循環暖気および/またはIRエミッタ(赤外線エミッタ)が設けられる。
【0276】
本実施の形態に係る被膜設備100が、利用できる十分な空間を有している場合は、お互いに前後する2つのゾーン、つまり、作業ゾーン264と対流式乾燥ゾーン268それぞれは、加工品106の少なくとも全長を呈示できる。
【0277】
駆動レール156が、加工品106の全長にわたって前処理ユニット158と被膜ユニット182を移動するために、設備の全長にわたって設けられる。
【0278】
バックアップゾーンがないときは、本実施の形態の場合は、限られた長さに対してのみ手動非常時動作が可能である。
【0279】
加工品106の前処理と被膜が、処理ブース102の同じゾーンにおいて同時に行われる場合は、前処理用の空気の供給と、被膜用の空気の供給は、単一の方法で調節されるようにしてある。
【0280】
更に、前処理被膜フィルター要素を組み込んでいる乾燥分離装置の使用は、被膜の塗布に使用されるゾーンの長さが10m未満であることを想定している。
【0281】
他のすべての形態において、図11に示されている被膜設備100の第4実施の形態は、図9に示されている第2実施の形態と、その構成と機能に関して対応しているので、この範囲において、第2実施の形態の先行記載を参照されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工品(106)に被膜を設ける方法であって、
前記加工品(106)を被膜するステップと、
前記加工品(106)を、乾燥装置(189)で乾燥するステップと、を備え、
前記加工品(106)は、前記加工品(106)の被膜工程が開始した後で、且つ前記加工品(106)の乾燥工程が終了する前に、前記乾燥装置(189)に対して移動されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記加工品(106)は、前記被膜工程の間と前記乾燥工程の間に移動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加工品(106)は、前記加工品(106)の前記被膜工程の完了後に、且つ前記加工品(106)の乾燥中に移動されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥装置(189)は、前記加工品(106)の乾燥中に移動されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記加工品(106)は、前記加工品(106)の前記被膜工程の完了後に、且つ前記加工品(106)の前記乾燥工程の開始前に、前記乾燥装置(189)に対して移動されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記加工品(106)は、トラック誘導加工品キャリッジ(232)により前記乾燥装置(189)に対して移動されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記加工品(106)は、自走式加工品キャリッジ(232)により移動されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記加工品キャリッジ(232)は、走行ホイール(242)の第1セットにより第1方向(108)において移動され、且つ前記第1方向に対して横方向の第2方向(122)において走行ホイール(250)の第2セットにより移動されることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記加工品キャリッジ(203)は、曲線支持表面(246)を有する少なくとも1つのレール(112)上を誘導されることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記加工品(106)は、前記被膜工程に先行して、真空吸引噴射装置(168)により前処理されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記加工品(106)の前記被膜工程は、余剰被膜材料が空気ストリームにより回収される被膜ゾーン(146)において行われ、前記余剰被膜材料は、乾燥分離装置により前記空気ストリームから分離されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記加工品(106)上に製造された被膜は、照射ユニット(188)により少なくとも部分的には、乾燥および/または硬化されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記照射ユニット(188)は、前記加工品(106)の被膜された表面(172)に対して移動可能な少なくとも1つの照射装置(192)を備え、それにより、前記照射装置(192)の、前記加工品(106)の前記被膜された表面(172)からの距離が、可変な方法で調整できることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加工品(106)の前記乾燥工程は乾燥ゾーン(152)において行われ、前記乾燥ゾーン(152)は、前記加工品(106)が前記乾燥装置(189)に対して移動される方向において縦方向の長さを有し、前記乾燥装置(189)は、前記方向において前記加工品(106)の前記縦方向の長さ(L)よりも短いことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記加工品(106)の前記被膜工程は前記被膜ゾーン(146)において行われ、前記加工品(106)が前記乾燥装置(189)に対して移動される前記方向における前記被膜ゾーンの前記縦方向の長さは、前記方向において前記加工品(106)の前記縦方向の長さ(L)よりも短いことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
加工品(106)に被膜を設ける被膜設備であって、特に、請求項1から15のいずれか1項に記載の前記方法を行う被膜設備であて、
前記加工品(106)に被膜を設けることができる、少なくとも1つの被膜ユニット(182)と、
前記加工品(106)上の前記被膜を乾燥可能な少なくとも1つの乾燥装置(189)と、を備え、
前記被膜設備(100)は、前記加工品(106)の前記被膜工程の開始後で、且つ前記加工品(106)の前記乾燥工程の終了前に、前記加工品(106)と前記乾燥装置(189)の間において相対移動を生成可能な少なくとも1つの移動装置(232;266)を備えることを特徴とする被膜設備。
【請求項1】
加工品(106)に被膜を設ける方法であって、
前記加工品(106)を被膜するステップと、
前記加工品(106)を、乾燥装置(189)で乾燥するステップと、を備え、
前記加工品(106)は、前記加工品(106)の被膜工程が開始した後で、且つ前記加工品(106)の乾燥工程が終了する前に、前記乾燥装置(189)に対して移動されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記加工品(106)は、前記被膜工程の間と前記乾燥工程の間に移動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加工品(106)は、前記加工品(106)の前記被膜工程の完了後に、且つ前記加工品(106)の乾燥中に移動されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥装置(189)は、前記加工品(106)の乾燥中に移動されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記加工品(106)は、前記加工品(106)の前記被膜工程の完了後に、且つ前記加工品(106)の前記乾燥工程の開始前に、前記乾燥装置(189)に対して移動されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記加工品(106)は、トラック誘導加工品キャリッジ(232)により前記乾燥装置(189)に対して移動されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記加工品(106)は、自走式加工品キャリッジ(232)により移動されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記加工品キャリッジ(232)は、走行ホイール(242)の第1セットにより第1方向(108)において移動され、且つ前記第1方向に対して横方向の第2方向(122)において走行ホイール(250)の第2セットにより移動されることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記加工品キャリッジ(203)は、曲線支持表面(246)を有する少なくとも1つのレール(112)上を誘導されることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記加工品(106)は、前記被膜工程に先行して、真空吸引噴射装置(168)により前処理されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記加工品(106)の前記被膜工程は、余剰被膜材料が空気ストリームにより回収される被膜ゾーン(146)において行われ、前記余剰被膜材料は、乾燥分離装置により前記空気ストリームから分離されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記加工品(106)上に製造された被膜は、照射ユニット(188)により少なくとも部分的には、乾燥および/または硬化されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記照射ユニット(188)は、前記加工品(106)の被膜された表面(172)に対して移動可能な少なくとも1つの照射装置(192)を備え、それにより、前記照射装置(192)の、前記加工品(106)の前記被膜された表面(172)からの距離が、可変な方法で調整できることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加工品(106)の前記乾燥工程は乾燥ゾーン(152)において行われ、前記乾燥ゾーン(152)は、前記加工品(106)が前記乾燥装置(189)に対して移動される方向において縦方向の長さを有し、前記乾燥装置(189)は、前記方向において前記加工品(106)の前記縦方向の長さ(L)よりも短いことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記加工品(106)の前記被膜工程は前記被膜ゾーン(146)において行われ、前記加工品(106)が前記乾燥装置(189)に対して移動される前記方向における前記被膜ゾーンの前記縦方向の長さは、前記方向において前記加工品(106)の前記縦方向の長さ(L)よりも短いことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
加工品(106)に被膜を設ける被膜設備であって、特に、請求項1から15のいずれか1項に記載の前記方法を行う被膜設備であて、
前記加工品(106)に被膜を設けることができる、少なくとも1つの被膜ユニット(182)と、
前記加工品(106)上の前記被膜を乾燥可能な少なくとも1つの乾燥装置(189)と、を備え、
前記被膜設備(100)は、前記加工品(106)の前記被膜工程の開始後で、且つ前記加工品(106)の前記乾燥工程の終了前に、前記加工品(106)と前記乾燥装置(189)の間において相対移動を生成可能な少なくとも1つの移動装置(232;266)を備えることを特徴とする被膜設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−527343(P2012−527343A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511275(P2012−511275)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056869
【国際公開番号】WO2010/133624
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056869
【国際公開番号】WO2010/133624
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】
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