説明

加工機及びその加工機の未加工製品特定方法

【課題】ワークの加工中の未加工製品をスキップし加工後に確認する。
【解決手段】ワークWを加工するレーザ加工機1である。そして該レーザ加工機1は、ワークWの加工中に加工不良が生じたことを検知する検知手段59と、検知手段59の検知に基づき未加工製品を特定する未加工製品特定手段63と、未加工製品特定手段63により未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップするスキップ処理手段61と、未加工製品特定手段63により特定された未加工製品を登録する未加工製品情報登録手段65とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工機及びその加工機における未加工製品特定方法に係り、詳しくは、検知手段の検知に基づき未加工製品を特定し、未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップする加工機及びその加工機の未加工製品特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に何らかの装置によりワークの加工中に加工不良等を検出すると、該装置を一時停止してから手動で加工を続行していた。あるいは、一時停止してから、自動で加工を続行していた。
【0003】
レーザ加工においては、一度ノズルを材料から離して、再度トレースし直して切断加工を続行している。この際、速度及びレーザ出力などの条件を変化させ切断加工の続行を行うようにしている。さらに、レーザ光を止めて残りの経路をスキップし(製品の加工のスキップではない)、次の経路から切断続行している。
【0004】
そして、加工不良を検出したことをメッセージとして残し、一連の加工中に加工不良があったことを認識することができるようにしている。
【0005】
また、特許文献1を参照。
【特許文献1】特開平03−106588号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の装置には下記のような問題があった。切断を止めて次の経路へスキップ(製品ののスキップではない)するだけであり、加工不良発生後も同じ製品の残りの部分を加工するため無駄な加工を行うという問題があった。
【0007】
例えば、製品が含む一つめの穴の途中で不良が発生しても、該製品の二つめの穴、三つめの穴、製品外周と続けて加工してしまうという問題があった。該製品は正規の製品になならないため無駄な加工であり、時間とエネルギーの無駄になるという問題があった。
【0008】
また、途中で加工を失敗しても製品を抜いてしまって追加工で仕上げる方法もあるが、現在はレーザ加工機の能力の向上により、加工時間、コスト、製品品質、材料費などとの兼ね合いから、該製品を初めからレーザで加工し直す方が多くなっている。
【0009】
さらに、加工不良であることのメッセージだけでは、どの製品が不良であるか、または、何回加工不良が発生したかは分からないとう問題があった。そして、不良製品は除外(もう一度加工)する必要があるため、全製品を入念にチェックして製品を特定しなければならない。特にスケジュール運転で何枚も加工した後ではある製品を抽出することは非常に困難になるという問題がある。
【0010】
一方、加工不良の製品を特定し適切な後処理をしないまま製品仕分けをテイクアウトローダなどを使い自動で行う場合は、不良切断やスキップにより取り外せない製品があると何回も製品取り出しのリトライをする動作が必要となり時間の無駄となる課題があった。場合によっては無理矢理製品を引き上げることでスケルトンごと材料を曲げてしまい、材料が詰まって機械停止させる原因にもなりうるという問題があった。
【0011】
加工不良により不足となった製品は、作業の上流に戻して次の工程に追加して補うか、加工機のオペレータがプログラムを駆使して加工するが、いずれにしろどの製品であるかその製品名を特定しなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、ワークを加工する加工機において、前記ワークの加工中に加工不良が生じたことを検知する検知手段と、前記検知手段の検知に基づき未加工製品を特定する未加工製品特定手段と、前記未加工製品特定手段により未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップするスキップ処理手段と、前記未加工製品特定手段により特定された未加工製品を登録する未加工製品情報登録手段とを備えた加工機が望ましい。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記未加工製品情報登録手段に登録された未加工製品を確認するため報知する未加工製品確認手段を備えた上記加工機が望ましい。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記未加工製品特定手段は、前記検知手段が加工不良を検出した場合に加工のリトライを行うとともに、前記リトライの回数が所定の回数に達した場合に未加工製品として特定する上記加工機が望ましい。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記未加工製品特定手段で特定された未加工製品の情報を複数の加工工程のうち上流の加工工程へ伝達する上流伝達手段を備えた上記加工機が望ましい。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記未加工製品特定手段で特定された未加工製品の情報を複数の加工工程のうち下流の加工工程へ伝達する下流伝達手段を備えた加工機が望ましい。
【0017】
請求項6に係る発明は、ワークを加工する加工機の未加工製品特定方法において、前記ワークの加工中に加工不良が生じたことを検知する検知工程と、前記検知工程の検知に基づき未加工製品を特定する未加工製品特定工程と、前記未加工製品特定工程により未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップするスキップ処理工程と、前記未加工製品特定工程により特定された未加工製品を登録する未加工製品情報登録工程とを含む加工機の未加工製品特定方法が好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検知手段の検知に基づき未加工製品を特定し、未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップするので、不良品発生後の無駄な加工を無くせるとともに、不良製品の特定を容易にするという効果を奏する。
【0019】
また、不良製品の情報は複数の加工工程の下流に送られ、後加工での無駄な動作を無くすことができ、不良製品の情報を上流に戻し、速やかに不足を補うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1を参照する。この発明に係る加工機の例としてのレーザ加工機1の一実施の形態を示す。
【0021】
前記レーザ加工機1はコの字形のフレーム3を備えている。フレーム3は、下部フレーム5と、上部フレーム7と、下部フレーム5と上部フレーム7とを連結するサイドフレーム9とで構成されている。
【0022】
上部フレーム7にはレーザ加工ヘッド11がZ軸方向(垂直方向)に軸移動可能に設けられている。レーザ加工ヘッド11には図示省略のレーザ発振装置よりレーザビームを与えられ、図示省略のアシストガス供給源よりアシストガスを供給される。
【0023】
下部フレーム5上にはワーク支持移動装置13が設けられている。ワーク支持移動装置13は、下部フレーム5上に固定配置されたセンタテーブル15と、センタテーブル15の両側に配置されてY軸方向に移動自在なサイドテーブル17と、センタテーブル15を跨いでX軸方向に延在して両側のサイドテーブル17に固定連結されたキャレッジベース19とを含んでいる。
【0024】
キャレッジベース19にはキャレッジ21がX軸方向に移動可能に設けられており、キャレッジ21にはテーブル上においてワーク(板材)Wをクランプするワーククランプ23が取り付けられている。
【0025】
ワーククランプ23によってクランプされたワークWは、キャレッジ21のX軸方向の軸移動によってX軸方向へ移動し、サイドテーブル17のY軸方向の軸移動によってY軸方向移動する。このX軸移動とY軸移動により、ワークWの被加工位置をレーザ加工ヘッド11の真下位置に移動させることができ、レーザ加工ヘッド11の先端ノズル25(図2参照)よりレーザビームがアシストガス噴射と共にワークWの被加工位置に向けて照射されることにより、レーザ切断が行われる。
【0026】
サイドフレーム9側にはレーザ加工機1の制御を行う数値制御装置(NC装置:図2参照)31のキャビネット33がプレス本体に隣接して設けられている。キャビネット33には、NC操作盤35、タッチセンサパネル付きのディスプレイ装置37が取り付けられている。
【0027】
レーザ加工機1の制御系を図2を参照して説明する。レーザ加工機1は、キャレッジ21をX軸方向に駆動するX軸サーボモータ39と、サイドテーブル17をY軸方向に駆動するY軸サーボモータ41と、レーザ加工ノズル11をZ軸方向に駆動するZ軸サーボモータ43とを有している。各軸のサーボモータ39、41、43には、ロータリエンコーダ等によるモータ位置検出器45、47、49が取り付けられている。
【0028】
数値制御装置(NC装置)31は、モータ位置検出器45、47、49の各々よりモータ位置信号を入力し、加工プログラムに従ってフィードバック制御式に各制御軸(X軸、Y軸、Z軸)の軸制御を行うと共に、レーザ出力制御手段51、アシストガス制御手段53へ制御信号を出力する。
【0029】
レーザ加工ヘッド11の先端ノズル25には先端ノズル25とワーク上面とのZ軸方向の距離を静電容量や渦電流等によって非接触式に計測する距離センサ55、加工箇所の輝度を検知する検知手段59が取り付けられている。数値制御装置(NC装置)31は、制御手段57を備えている。
【0030】
前記検知手段59は、ワークWの加工中に加工不良が生じたことを検知する。レーザのエラーには、例えば、ノズルとワークが接触する場合、ワークWが錆びている場合、ワークWに不要物が付着している場合等が含まれる。このような場合では加工箇所の輝度が高くなる。すなわち、加工中に輝度が閾値より高くなるとエラーと判断する。検知手段59は、波長で識別を行うフォトセンサ等が望ましい。
【0031】
すなわち、検知手段59としてフォトセンサを使用した場合に、ワークWに錆びが発生している箇所を加工する際に発生する光を検知することに異常と特定することが可能である。光の波長を検出できるセンサであるためである。
【0032】
また、入射する光の強度が増加すると電気抵抗が低下するフォトレジスタの電子部品を利用し、輝度の閾値を境に異常を認識するものであってもよい。
【0033】
図3を参照し、レーザ加工機1の数値制御装置(NC装置)31等の各制御手段の機能を説明する。
【0034】
前記制御手段57は、スキップ処理手段61と、未加工製品特定手段63と、未加工製品情報登録手段65と、未加工製品確認手段67と、編集手段69と、上流伝達手段71と、下流伝達手段73とを備えている。
【0035】
前記未加工製品特定手段63は、検知手段59の加工中の加工箇所の輝度等の変化の検知に基づき(閾値を越えたか否かの判断)異常加工を認識し該加工箇所を含む製品を未加工製品として特定する。
【0036】
前記スキップ処理手段61は、未加工製品特定手段63により未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップする。すなわち、製品の加工中に検知手段59により異常が検知された場合に加工中の製品の加工を中止し次の製品の加工へ移動する制御を行う。より詳細には、加工中の製品の一部の加工箇所に加工不良が検知された場合に該加工箇所を含む製品全体の加工をスキップ(加工を行わないで次へ移行)する。
【0037】
前記未加工製品情報登録手段65は、未加工製品特定手段63により特定された未加工製品を登録する。
【0038】
前記未加工製品確認手段67は、前記未加工製品情報登録手段65に登録された未加工製品を確認するため報知する。例えば、NCプログラムから、板取り図形を描画し、未加工製品と特定された製品を色を変えてタッチセンサパネル付きのディスプレイ装置37に表示する。
【0039】
前記編集手段69は、前記未加工製品確認手段67により報知された製品に対し、オペレータにより入力された処置等を読み込み再加工のための編集を行う。
【0040】
前記上流伝達手段71は、未加工製品特定手段63で特定された未加工製品の情報を複数の加工工程のうち上流の加工工程へ伝達する。
【0041】
上流では生産管理システムがあり、何を、何個、いつまでなど生産計画を作成し、製品と部品管理や、今どこの工程で何が加工されているかなどの進捗を管理している。
【0042】
一方、自動プログラミング装置では、生産管理の指示に従い、製造する製品をワーク形状上に配置(ネスティング)したプログラムと加工スケジュールを作成し、加工機はそれに従い加工を行う。
【0043】
加工途中で加工できない製品(不良製品)があると欠品となり後工程での狂いが生じるため、できるだけ早く不良製品(未加工製品)を上流の生産管理、自動プログラミング装置へ通知して再スケジュールする必要がある。
【0044】
従来はどの製品が不良製品であるかはオペレータが判断して再スケジュールを行っていたが、不良製品を検出して自動的に通知することでオペレータが行っていた作業を自動化ができるのである。
【0045】
前記下流伝達手段73は、未加工製品特定手段63で特定された未加工製品の情報を複数の加工工程のうち下流の加工工程へ伝達する。
【0046】
下流の工程ではワークW上に切断された製品はワークWから取り出さなければならない。オペレータが取り出す場合と、テイクアウト装置で自動的に取り出す場合がある。
【0047】
加工不良によりワークWから引き離すことができない製品があると、人力の場合はオペレータの判断により取り出せないことがわかるが、テイクアウト装置では取り出せる/出せないの判断は難しく、各種センサや取り出しリトライ処理などにより取り出せないことを検出する仕組みが必要となる。
【0048】
不良製品は取り出せない、または、たとえ取り出しても使うことができないため取り出す必要がない。不良製品を後工程であるテイクアウト装置に事前に連絡することで、その製品の取り出し動作は不要となり、また、検出する仕組みは持たなくても良くなる。
【0049】
なお、上述において、加工プログラムには製品の概念が必要である。すなわち、単品製品の場合は切断コードの始まる前に、つまり、切断条件の直前を単品部品に区切りと判断する。一方、多数個取りの場合は、複数製品を1まとめにした固定サイクルの直前を区切りとして出力する。なお、CAD装置により、製品をネスティングする時点で判断するようにしてもよい。
【0050】
図4を参照し、上述のように構成されたレーザ加工機1の動作を説明する。
【0051】
初めに、ステップS01では、レーザ加工機1においてレーザ加工が開始する。すなわち、ワークWの被加工位置をレーザ加工ヘッド11の真下位置に移動させることができ、レーザ加工ヘッド11の先端ノズル25(図2参照)よりレーザビームがアシストガス噴射と共にワークWの被加工位置に向けて照射されることにより、レーザ切断が行われる。
【0052】
ステップS03では、検知手段59が異常の検出を行う。例えば、検知手段59の1例としてフォトセンサを使用した場合に、ワークWに錆びが発生している箇所を加工する際に発生する光の輝度を検知することにより異常と特定する。光の波長を検出できるセンサであるためである。
【0053】
ステップS05では、スキップ処理手段61が、スキップ数が未達(スキップ数が所定の回数に達していない場合)であるか否かを判断する。スキップ数が未達の場合にステップS07に進む。スキップ数が未達でない場合、すなわちスキップ数が所定の回数に達した場合にステップS09に進む。ここで、スキップとは、加工の異常が発生した箇所をとばし次ぎの加工へ進むことをいう。より詳細には、製品に含まれる一部の加工箇所が加工不良の場合でも該製品の加工を省略し次へ処理を進めることをいう。
【0054】
ステップS07では、スキップ処理手段61が未加工製品に対しスキップを行う。これにより、加工が迅速に進むようになる。
【0055】
ステップS09では、アラーム停止を行う。すなわち、アラーム手段がアラームを発声させ加工の中断を行う。
【0056】
ステップS11では、オペレータが加工不良個所の目視確認を行う。これにより、オペレータが異常加工の原因等を確認することができる。
【0057】
ステップS13では、オペレータがステップS11で目視確認した結果に基づいて、加工継続可能か否かを判断する。加工継続可能とオペレータが判断した場合に処理はステップS15に進む。加工継続不可能と判断した場合に処理はステップS17に進む。
【0058】
ステップS15では、オペレータにより手動スタートが行われる。
【0059】
ステップS17では、未加工製品情報登録手段65により、未加工製品データベースDBへ未加工製品情報の登録が行われる。
【0060】
ステップS19では、加工中断が行われる。これにより、オペレータは加工再開のための処理を実行し、準備が整うことにより加工を再開することができる。
【0061】
ステップS21では、未加工製品情報登録手段65により、未加工製品データベースDBへ未加工製品情報の登録が行われる。ここで、未加工製品の情報は未加工製品の製品名、形状、ワークWへの配置位置等を含む情報である。
【0062】
以下にワークWの加工が終了した後の処理を示す。
【0063】
ステップS23では、ワークWに対しての加工が終了する。
【0064】
ステップS25では、未加工製品確認手段67が、未加工製品の有無を判断する。未加工製品確認手段67が、未加工製品が有ると判断した場合に処理はステップS27に進む。未加工製品確認手段67が未加工製品が無いと判断した場合に処理は終了する。
【0065】
ステップS27では、未加工製品確認手段67が未加工製品の確認を行うとともに未加工製品の編集を行う。前記未加工製品確認手段67は、前記未加工製品情報登録手段65に登録された未加工製品を確認するため報知する。例えば、加工プログラムから、板取り図形を描画し、未加工製品と特定された製品を色を変えてタッチセンサパネル付きのディスプレイ装置37に表示する。そして、前記編集手段69は、前記未加工製品確認手段67により報知された製品に対し、オペレータにより入力された加工指示等を読み込み加工のための編集を行う。
【0066】
このように、プログラム運転、スケジュール運転終了後に不良検出した製品が存在することが認知できる。不良検出した製品とは、不良検出続行したものと不良検出停止しスキップしたものを含む。どの製品が不良検出続行(不良切断の可能性がある)またはスキップされたか(抜けていないか、未加工か)がワーク形状の描画に表現する。また、製品の名称も前記ワークWの製品形状と関連付けて表示することが望ましい。
【0067】
また、不良品検出続行かスキップかの区別もできることが望ましい。スケジュール運転では、どのジョブ(プログラム)のどのワークW(何枚目)のどの製品かを特定できる。
【0068】
さらに、複数回のスキップ後に停止し再度手動続行した場合も、手動続行前および手動続行後の未加工製品がわかるように構成されている。つまり、未加工製品の数はほぼ無制限であり、スケジュール運転では[製品数×ワーク数]の全ジョブ数が未加工製品数の最大値となる。
【0069】
また、これらの情報を削除する機能を有し、また、ある一定期間保持された後に自動的に削除される。一定期間とは最低1日(24時間)以上であり、最高期間はデータ量との兼ね合いになる。スケジュール運転をやりながら、直前に加工したものを仕分けるときにこれらの情報を使用する。
【0070】
ステップS29では、未加工製品データベースDBより未加工製品に関する情報を読み込み複数の加工工程のうち上流の加工工程へ情報伝達を行う。一つの製品を完成させるためには抜き、曲げ、塗装など複数の工程を経る。上流では生産管理システムがあり、何を、何個、いつまでなど生産計画を作成し、製品と部品管理や、今どこの工程で何が加工されているかなどの進捗を管理している。
【0071】
一方、自動プログラミング装置では、生産管理の指示に従い、製造する製品をワーク形状上に配置(ネスティング)したプログラムと加工スケジュールを作成し、加工機はそれに従い加工を行う。
【0072】
加工途中で加工できない製品(不良製品)があると欠品となり後工程での狂いが生じるため、できるだけ早く不良製品(未加工製品)を上流の生産管理、自動プログラミング装置へ通知して再スケジュールする必要がある。
【0073】
従来はどの製品が不良製品であるかはオペレータが判断して再スケジュールを行っていたが、不良製品を検出して自動的に通知することでオペレータが行っていた作業を自動化するものである。
【0074】
ステップS31では、未加工製品データベースDBより未加工製品に関する情報を読み込み複数の加工工程のうち下流の加工工程へ情報伝達を行う。ワークW上に切断された製品はワークWから取り出さなければならない。オペレータが取り出す場合と、テイクアウト装置で自動的に取り出す場合がある。
【0075】
加工不良によりワークWから引き離すことができない製品があると、人力の場合はオペレータの判断により取り出せないことがわかるが、テイクアウト装置では取り出せる/出せないの判断は難しく、各種センサや取り出しリトライ処理などにより取り出せないことを検出する仕組みが必要となる。
【0076】
不良製品は取り出せない、または、たとえ取り出しても使うことができないため取り出す必要がない。不良製品を後工程であるテイクアウト装置に事前に連絡することで、その製品の取り出し動作は不要となり、また、検出する仕組みは持たなくても良くなる。
【0077】
図5乃至図8を参照し、上述で説明したスキップについての種々な態様を説明する。初めに、図5を参照する。図4におけるレーザ加工機1の動作において、(a)〜(c)のような動作を実行してもよい(上記ステップS03の異常検出)。
【0078】
(a)複数回リトライ後の加工機アラーム停止の倣いトライの場合、加工位置がPaからPbへ移動し、Pcにおいて異常が検出された場合、複数回PbからPcへの経路で加工を行い異常が回避できたかどうかを判断し加工を停止後にスキップするようにしてもよい。
【0079】
(b)複数回リトライ後の空送りの場合の加工モニタリングは、加工位置がPdからPe、pfの複数のリトライを行った後に異常が解消されない場合にPfからPg、Phと空送りを実行するようにスキップしてもよい。
【0080】
(c)ZA312機能の場合を説明する。ワークWを保持するクランプおよびその周囲は加工不可領域(デッドゾーン)となっている。加工プログラムや操作のミスにより、デッドゾーンを加工するような状況になると(レーザヘッドがデッドゾーンへ入ると)アラームとして機械(レーザ加工機)を停止させる方法がある。ZA312機能では機械の移動は停止させず、レーザ光はオフして、レーザヘッドがクランプに衝突しないようにZ軸を上昇させて加工プログラムに従ってデッドゾーンを通過させる。デッドゾーンを抜けた次の加工経路の先頭では再度レーザ光を出して、加工を継続させる。デッドゾーンのアラームで機械を止めずに、製品は不良となるが、運転を優先し次の加工を継続させるための機能を実行させるようにしてもよい。すなわち、加工位置がPiからPjに移動し加工ヘッドを上昇させ、PkからPlへと移動するようにスキップを行うようにしてもよい。
【0081】
図6を参照し上述のスキップにおいて一方の製品S1−1から他方の製品S1−2へスキップする例を説明する。製品S1−1で不良検出で停止したら、その製品S1−1の切断を中断し、自動的に次の製品S1−2へと移動する(自動スキップ)。すなわち、製品S1−1の加工位置P1から移動し製品S1−1の加工位置P2で異常が発生した場合に次ぎの製品S1−2の加工開始位置P3へスキップする。
【0082】
図7を参照する。多数個取り製品の場合は、その多数個の製品に対し順次スキップする。すなわち、製品S2−1、製品S2−2、製品S2−3へとスキップする。
【0083】
図8を参照する。スキップ数には制限数があり、該制限数を越えたところで加工機をアラームで停止させる。この時の停止位置は不良検出位置とする。
【0084】
加工機アラーム停止後に手動操作により再スタートすることは可能にする(手動続行)。再スタート時にスキップ数累積は自動的の”0”に戻す。例えば、スキップ数の制限数がn回と定められている場合に、製品S3−1から製品S3−2、製品S3−nへスキップした場合に加工機はアラーム停止を行う。
【0085】
図9乃至図11を参照し複数のジョブの場合の未加工製品の報知を説明する。スケジュールにはジョブ1〜3まで登録されている。図9に示すようにジョブ1にはワークW1、ワークW2の加工が含まれる。図10に示すように、ジョブ2には、ワークW3、ワークW4、ワークW5の加工が含まれる。図11に示すようにジョブ3には、ワークW6、ワークW7、ワークW8、ワークW9の加工が含まれる。
【0086】
上記スケジュールにおいて、ジョブ2のワークW5において、製品S5−2、製品S5−8が未加工製品として登録されている場合は、タッチセンサパネル付きのディスプレイ装置37に製品S5−2、製品S5−8が強調されて表示される。
【0087】
なお、この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0088】
例えば、コンピュータプログラムとして、以下のように構成される。
【0089】
ワークを加工する加工機を制御するコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、前記ワークの加工中に加工不良が生じたことを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知に基づき未加工製品を特定する未加工製品特定手段と、
前記未加工製品特定手段により未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップするスキップ処理手段と、
前記未加工製品特定手段により特定された未加工製品を登録する未加工製品情報登録手段と、して実行させるためのコンピュータプログラム。
【0090】
また、上記コンピュータプログラムを記録媒体に記録させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】レーザ加工機の概略構成を示す概略図である。
【図2】レーザ加工機の制御構成を示す概略図である。
【図3】レーザ加工機の制御手段を説明する説明図である。
【図4】レーザ加工機の動作を示すフローチャートである。
【図5】不良検知停止の場合を説明する説明図である。
【図6】スキップ処理を説明する説明図である。
【図7】多数個取りのスキップを説明する説明図である。
【図8】スキップの回数による制限を説明する説明図である。
【図9】ジョブ1の加工を説明する説明図である。
【図10】ジョブ2の加工を説明する説明図である。
【図11】ジョブ3の加工を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1 レーザ加工機
3 フレーム
11 レーザ加工ヘッド
31 数値制御装置(NC装置)
35 NC操作盤
37 ディスプレイ装置
43 Z軸サーボモータ
55 距離センサ
57 制御手段
59 フォトセンサ
61 スキップ処理手段
63 未加工製品特定手段
65 未加工製品情報登録手段
67 未加工製品確認手段
69 編集手段
71 上流伝達手段
73 下流伝達手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する加工機において、
前記ワークの加工中に加工不良が生じたことを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知に基づき未加工製品を特定する未加工製品特定手段と、
前記未加工製品特定手段により未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップするスキップ処理手段と、
前記未加工製品特定手段により特定された未加工製品を登録する未加工製品情報登録手段と、を備えたことを特徴とする加工機。
【請求項2】
前記未加工製品情報登録手段に登録された未加工製品を確認するため報知する未加工製品確認手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の加工機。
【請求項3】
前記未加工製品特定手段は、前記検知手段が加工不良を検出した場合に加工のリトライを行うとともに、前記リトライの回数が所定の回数に達した場合に未加工製品として特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工機。
【請求項4】
前記未加工製品特定手段で特定された未加工製品の情報を複数の加工工程のうち上流の加工工程へ伝達する上流伝達手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加工機。
【請求項5】
前記未加工製品特定手段で特定された未加工製品の情報を複数の加工工程のうち下流の加工工程へ伝達する下流伝達手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加工機。
【請求項6】
ワークを加工する加工機の未加工製品特定方法において、
前記ワークの加工中に加工不良が生じたことを検知する検知工程と、
前記検知工程の検知に基づき未加工製品を特定する未加工製品特定工程と、
前記未加工製品特定工程により未加工製品が特定された場合に該未加工製品に対する加工をスキップするスキップ処理工程と、
前記未加工製品特定工程により特定された未加工製品を登録する未加工製品情報登録工程と、を含むことを特徴とする加工機の未加工製品特定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−120071(P2010−120071A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297960(P2008−297960)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】