説明

加熱装置およびそれを用いた水素分析装置

【課題】遅れ破壊の発生メカニズムを解明することに寄与するとともに、遅れ破壊の発生予測精度を向上させるために、常温から鋼の融点以上に至る温度域で、試料金属からの水素の放出量と放出温度の相関特性を求め、それと同時に、試料金属に含まれる全水素量を測定することができる測定装置を提供する。
【解決手段】低温域では、低温加熱部10aにおいて、試料20の温度を低温炉7によって試料20の温度が予め設定した低温域の最高温度(約500℃)に達するまで等速で緩慢昇温させて、試料20の温度が予め設定した低温域の最高温度(約500℃)に達するとき、変位機構21によって、試料20を高温加熱部10bに変位させて、その後高温域では、高温加熱部10bにおいて、試料20の温度を高温炉8によって試料20の温度が予め設定した試料20の融点(1573℃)以上の温度(約1600℃)に達するまで等速で緩慢昇温させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇温脱離法による水素分析の技術に関し、より詳しくは、常温から鋼の融点以上の温度域において、昇温脱離法による金属の水素分析を可能とする水素分析装置およびそれに用いる加熱装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高強度鋼ボルト等の金属製部品で発生する遅れ破壊(水素脆化割れともいう)が問題となって久しく、遅れ破壊を防止する技術の研究・開発が種々行われている。遅れ破壊とは、当該金属製部品が静的な負荷応力を受けた状態で、ある期間が経過した後に、外見上はほとんど塑性変形を伴うことなく突然脆性的に当該金属製部品に破壊が生じる現象をいう。遅れ破壊が発生する原因は、金属中に入り込む水素が亀裂の進展を助長し、金属の脆化を引き起こすためと考えられているが、その発生メカニズムは未だ完全には解明されていない。また、遅れ破壊が発生する原因は、金属中に拡散して存在する拡散性水素の 量だけが問題となるわけではなく、金属中に固溶して存在する非拡散性水素の量にも強く依存していると考えられている。このため、拡散性水素や非拡散性水素の量を測定するための技術が開発されている。
【0003】
従来、昇温脱離法によって、拡散性水素量を測定し、金属中における水素の居所を特定し、当該金属が有している欠陥を把握する技術が知られている。この昇温脱離法による水素分析方法は広く用いられており、例えば、以下の特許文献1に示す如く周知となっている。昇温脱離法は、分析対象の金属を100℃/h程度の速度によって等速で緩慢昇温させながら、このとき当該金属から放出される拡散性水素の量をガスクロマトグラフによって測定し、水素の放出速度と放出温度の相関特性を求めるものである。
【0004】
ここで、従来の昇温脱離法による水素分析結果について、図5を用いて説明をする。図5は従来の水素分析装置による測定結果(水素放出速度−温度特性)を示すグラフ図である。
従来昇温離脱法による水素分析を行うと、図5に示すような水素の放出速度と放出温度の相関を表すグラフを得ることができる。例えば、図5に示すグラフに現れている一つ目のピーク(図5中のP1)は、当該金属中の格子、格子欠陥(転位等)に捕捉されていた拡散性水素の放出を示しており、このピーク部(P1)のグラフ形状から拡散性水素の量を把握することができる。また、二つ目のピーク(図5中のP2)は、当該金属中に含まれる不純物や介在物等に捕捉されていた非拡散性水素の放出を示しており、このピーク部(P2)のグラフ形状から非拡散性水素の量を把握することができる。
【0005】
しかしながら、従来昇温脱離法に用いる測定装置では、被検対象物の温度を等速で緩慢昇温させるために必要な装置の構成上、炉内の温度を検出するための温度センサ(熱電対)に測定精度が求められるが、常温から金属の融点付近(例えば、1600℃付近)に至る温度域において、正確に等速緩慢昇温するために必要な測定精度を確保することができる単一の温度センサが存在していなかった。また、常温から金属の融点付近に至る温度域において正確に等速緩慢昇温するために必要な温度制御特性が確保できる単一の加熱源も存在していなかった。このため、従来の昇温脱離法に用いる測定装置では、測定できる温度域(即ち、等速緩慢昇温することができる温度域)が常温〜1400℃程度までに限定されていた。
つまり、従来の昇温脱離法に用いる測定装置では、試料たる金属を1400℃以上に加熱し溶融させることができないため、融点が1400℃を越える金属(例えば、鋼の融点は1573℃である)に対しては、昇温脱離法による全水素量の測定を行うことができなかった。
【0006】
また従来、溶融法によって、試料たる金属を常温〜2000℃程度にまで急速に加熱して当該金属を溶融させて、この際に当該金属から放出される水素(拡散性水素と非拡散性水素の両方を含む)の量を非分散赤外吸収法または熱伝導度法によって測定して、当該金属に含まれている全水素量を測定する技術が知られている。また、この溶融法による全水素量の測定を容易に実現するための測定装置が開発されている。係る測定装置を用いれば、金属に含まれている全水素量を短時間で測定することができ、当該金属に遅れ破壊が発生する可能性を簡易に評価することができるため、広く用いられている。
【0007】
しかしながら、このような従来の全水素量の測定装置では、誘導加熱方式の加熱源によって、短時間で常温〜2000℃程度にまで加熱する(言い換えれば、緩慢昇温をすることができない)ため、水素の放出量と放出温度の相関特性を求めることはできなかった。つまり、溶融法による全水素量の測定では、水素の挙動(拡散性水素および非拡散性水素の居所やその存在割合等)を把握することはできないため、溶融法による全水素量の測定は、金属に遅れ破壊が発生する可能性を精度良く評価する必要がある用途には適用することができなかった。
【0008】
つまり従来は、常温〜鋼の融点(1573℃)以上の温度域において、等速で緩慢昇温を行うことができる加熱装置が存在していなかったため、常温〜鋼の融点(1573℃)以上の温度域で昇温脱離法による水素分析測定を行うことができなかった。また、言い換えれば、従来昇温脱離法によって、鋼の全水素量を測定することができる水素分析装置は存在していなかった。
【特許文献1】特開2007−192781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、係る現状を鑑みて成されたものであり、遅れ破壊の発生メカニズムを解明することに寄与するとともに、遅れ破壊の発生予測精度を向上させるために、常温から鋼の融点以上の温度に至る温度域で、試料金属からの水素の放出量と放出温度の相関特性を求め、かつ、試料金属に含まれる全水素量を測定することができる水素分析装置およびそれに用いる加熱装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、低温炉と高温炉を有する加熱炉と、試料を加熱するための加熱部を形成する炉芯管と、前記加熱部において前記試料を変位させる変位機構と、を備え、前記炉芯管は、前記加熱炉を貫通させる配置とし、前記加熱部を、前記低温炉に内包される部分の前記炉芯管に対応する低温加熱部と、前記高温炉に内包される部分の前記炉芯管に対応する高温加熱部に分割し、前記低温加熱部において、前記試料を、前記低温炉によって前記試料の温度が予め設定した所定温度に達するまで等速で緩慢昇温させて、前記試料の温度が予め設定した前記所定温度に達したとき、前記変位機構によって、前記試料を前記高温加熱部に変位させて、その後、前記高温加熱部において、前記試料を、前記高温炉によって前記試料の温度が鋼の融点以上の温度に達するまで等速で緩慢昇温させるものである。
【0012】
請求項2においては、前記低温炉は、低温用電熱ヒータと低温用温度センサを備え、かつ、前記高温炉は、高温用電熱ヒータと高温用温度センサを備えるものである。
【0013】
請求項3においては、前記試料は、試料ボートに装填された状態で前記加熱部に配置されるものである。
【0014】
請求項4においては、前記変位機構は、伸縮可能なシリンダ部を備え、前記低温加熱部に配置される前記試料ボートを、伸長する前記シリンダ部によって押圧して前記高温加熱部に変位させて、前記試料を前記低温加熱部から前記高温加熱部に変位させるものである。
【0015】
請求項5においては、前記低温用電熱ヒータは、フェライト合金系抵抗発熱体による電熱方式とし、かつ、前記高温用電熱ヒータは、二珪化モリブデン系抵抗発熱体による電熱方式とするものである。
【0016】
請求項6においては、前記低温用温度センサは、R熱電対とし、かつ、前記高温用温度センサは、B熱電対とするものである。
【0017】
請求項7においては、昇温脱離法により試料に含まれる水素量を測定する水素分析装置であって、加熱装置と、ガス導入装置と、ガスクロマトグラフと、を有し、前記加熱装置は、低温炉と高温炉を有する加熱炉と、前記試料を加熱するための加熱部を形成する炉芯管と、前記加熱部において前記試料を変位させる変位機構と、を備え、前記炉芯管は、前記加熱炉を貫通させる配置とし、前記加熱部を、前記低温炉に内包される部分の前記炉芯管に対応する低温加熱部と、前記高温炉に内包される部分の前記炉芯管に対応する高温加熱部に分割し、前記低温加熱部において、前記試料を、前記低温炉によって前記試料の温度が予め設定した所定温度に達するまで等速で緩慢昇温させて、前記試料の温度が予め設定した前記所定温度に達したとき、前記変位機構によって、前記試料を前記高温加熱部に変位させて、その後、前記高温加熱部において、前記試料を、前記高温炉によって前記試料の温度が鋼の融点以上の温度に達するまで等速で緩慢昇温させるものである。
【0018】
請求項8においては、前記低温炉は、低温用電熱ヒータと低温用温度センサを備え、かつ、前記高温炉は、高温用電熱ヒータと高温用温度センサを備えるものである。
【0019】
請求項9においては、前記試料は、試料ボートに装填された状態で前記加熱部に配置されるものである。
【0020】
請求項10においては、前記変位機構は、伸縮可能なシリンダ部を備え、前記低温加熱部に配置される前記試料ボートを、伸長する前記シリンダ部によって押圧して前記高温加熱部に変位させて、前記試料を前記低温加熱部から前記高温加熱部に変位させるものである。
【0021】
請求項11においては、前記低温用電熱ヒータは、フェライト合金系抵抗発熱体による電熱方式とし、かつ、前記高温用電熱ヒータは、二珪化モリブデン系抵抗発熱体による電熱方式とするものである。
【0022】
請求項12においては、前記低温用温度センサは、R熱電対とし、かつ、前記高温用温度センサは、B熱電対とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0024】
請求項1においては、昇温脱離法によって、鋼等の1600℃近傍が融点である試料について、該試料に含まれる全水素量を求めることができる。
【0025】
請求項2においては、常温から1600℃近傍の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できる。
【0026】
請求項3においては、低温加熱部から高温加熱部への試料の変位をスムーズに行うことができる。また、溶融した試料が炉芯管に付着することを防止し、加熱装置の劣化を防止することができる。
【0027】
請求項4においては、簡易な構成で、試料を低温加熱部から高温加熱部に変位させることができる。
【0028】
請求項5においては、低温域で低温用電熱ヒータのヒータ温度の制御精度を確保し、かつ、高温域で高温用電熱ヒータのヒータ温度の制御精度を確保することができる。これにより、常温から1600℃近傍の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できる。
【0029】
請求項6においては、低温域で低温加熱部の温度の測定精度を確保し、かつ、高温域で高温加熱部の温度の測定精度を確保することができる。これにより、常温から1600℃近傍の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できる。
【0030】
請求項7においては、昇温脱離法によって、鋼等の1600℃近傍が融点である試料について、該試料に含まれる全水素量を求めることができる。
【0031】
請求項8においては、常温から1600℃近傍の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できる。
【0032】
請求項9においては、低温加熱部から高温加熱部への試料の変位をスムーズに行うことができる。また、溶融した試料が炉芯管に付着することを防止し、加熱装置の劣化を防止することができる。
【0033】
請求項10においては、簡易な構成で、試料を低温加熱部から高温加熱部に変位させることができる。
【0034】
請求項11においては、低温域で低温用電熱ヒータのヒータ温度の制御精度を確保し、かつ、高温域で高温用電熱ヒータのヒータ温度の制御精度を確保することができる。これにより、常温から1600℃近傍の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できる。
【0035】
請求項12においては、低温域で低温加熱部の温度の測定精度を確保し、かつ、高温域で高温加熱部の温度の測定精度を確保することができる。これにより、常温から1600℃近傍の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施例に係る水素分析装置の全体構成について、図1を用いて説明をする。図1は本発明の一実施例に係る水素分析装置の全体構成を示す模式図である。
【0037】
図1に示す如く、本発明の一実施例に係る水素分析装置1は、加熱装置2、ガス導入装置3、ガスクロマトグラフ4、ガス供給設備5等により構成している。
加熱装置2は、被検対象物たる試料20を加熱し、加熱された試料20から水素等のガスを放出させるための装置である。
そして、加熱装置2によって加熱され試料20から放出した水素等のガスは、ガス導入装置3を介してガスクロマトグラフ4に導入される。
【0038】
ガス導入装置3は、サンプリングバルブ3a、計量管3b等により構成しており、サンプリングバルブ3aによって、ガスの流路をガスクロマトグラフ4側と大気放出側に一定周期で切替えることができる。そして、ガスをサンプリングするタイミングでガスの流路をガスクロマトグラフ4側に切替えて、計量管3b内のガスをガスクロマトグラフ4に導入する構成としている。
【0039】
ガスクロマトグラフ4は、分析カラム4a、検出器4b等を備えており、ガス導入装置3を介してガスクロマトグラフ4に導入されたガスを分析カラム4aで水素や他のガス成分に分離して、検出器4bによって分離した各ガス成分について分析を行うようにしている。
【0040】
ガス供給設備5は、ガスボンベ5a、マスフローコントローラ5b等により構成している。本実施例では、ガスボンベ5aにはアルゴンガスが封入されており、ガスボンベ5aからアルゴンガスが供給される構成としており、水素分析装置1による測定中は、マスフローコントローラ5bによって、常時一定流量のアルゴンガスを加熱装置2(より詳しくは、後述する炉芯管9)内に供給するようにしている。
【0041】
ここで、本発明の要部である加熱装置2の構成について、図1および図2を用いて、さらに詳述する。図2(a)は本発明の一実施例に係る加熱装置(低温域での加熱状態)を示す模式図、図2(b)は本発明の一実施例に係る加熱装置(高温域での加熱状態)を示す模式図である。
加熱装置2は、加熱炉6、炉芯管9、変位機構21等により構成している。加熱炉6は、隔壁11によって低温炉7と高温炉8に分割されており、炉芯管9が隔壁11を貫通して配置される構成としている。これにより、炉芯管9は低温炉7に内包される部分と高温炉8に内包される部分が存在している。
【0042】
加熱装置2では、炉芯管9の内部空間によって、試料20を加熱する空間たる加熱部10を形成している。そして、水素分析装置1による分析を行う際には、炉芯管9内(即ち、加熱部10)に試料ボート19を挿入し、該試料ボート19に試料20を装填して、加熱部10内の各種条件(温度、圧力、雰囲気等)を制御しつつ、試料20を加熱するようにしている。
【0043】
また加熱部10のうち、炉芯管9が低温炉7に内包される部分に対応する加熱部10が低温加熱部10aを形成し、炉芯管9が高温炉8に内包される部分に対応する加熱部10が高温加熱部10bを形成している。
【0044】
試料ボート19は、ボート(トレイ)状に形成したセラミック製の容器であり、試料20を装填するための凹部を形成している。試料20を炉芯管9内に直接載置するのではなく、試料ボート19に装填した状態で炉芯管9内に配置することにより、試料20が溶解しても、溶解した試料20が炉芯管9内に付着することを防止している。これにより、炉芯管9の劣化を防止することができる。
【0045】
低温炉7は、筐体7a、低温用コントローラ13、低温用電熱ヒータ14、低温用温度センサ15等により構成している。
本実施例では、低温用電熱ヒータ14として、フェライト合金系抵抗発熱体を採用している。フェライト合金系抵抗発熱体は、およそ1400℃程度にまで発熱体の温度を昇温させることが可能である。また、低温炉7には、低温用コントローラ13を備えており、高温炉8とは独立して炉内の温度を制御することができる。このため、低温炉7内部の温度は、高温炉8の温度に関わらず、常温〜1400℃近傍の温度域で制御することができる。
【0046】
また本実施例では、低温用温度センサ15として、JIS規格(JIS C1602)によって定められているR熱電対を採用している。R熱電対は、+脚をPt・13%Rh合金により構成し、−脚をPtにより構成するものであり、還元性雰囲気での使用に適さないという性質がある。また、R熱電対の常用温度は1400℃(加熱使用限度は1600℃)であり、鋼の融点(1573℃)以上の温度域(およそ1600℃以上)では、R熱電対を使用することができない。
【0047】
筐体7aに内包される炉芯管9(即ち、低温加熱部10a)の周囲には低温用電熱ヒータ14の発熱部14aを配置し、炉芯管9と発熱部14aの間に低温用温度センサ15を配置する構成としている。
【0048】
高温炉8は、筐体8a、高温用コントローラ16、高温用電熱ヒータ17、高温用温度センサ18等により構成している。
本実施例では、高温用電熱ヒータ17として、二珪化モリブデン系抵抗発熱体を採用している。二珪化モリブデン系抵抗発熱体は、およそ1700℃程度にまで発熱体の温度を昇温させることが可能である。また、高温炉8には、高温用コントローラ16を備えており、低温炉7とは独立して炉内の温度を制御することができる。このため、高温炉8内部の温度は、低温炉7の温度に関わらず、常温〜1700℃近傍の温度域で制御することができる。
【0049】
また本実施例では、高温用温度センサ18として、JIS規格(JIS C1602)によって定められているB熱電対を採用している。B熱電対は、+脚をPt・30%Rh合金により構成し、−脚をPt・6%Rh合金により構成するものであり、また、B熱電対の常用温度は1500℃(加熱使用限度は1700℃)である。このため、鋼の融点(1573℃)以上の温度域(およそ1600℃以上)でも、測定に要する時間(およそ16時間)程度であればB熱電対を使用することができる。
【0050】
筐体8aに内包される炉芯管9(即ち、高温加熱部10b)の周囲には高温用電熱ヒータ17の発熱部17aを配置し、炉芯管9と発熱部17aの間に高温用温度センサ18を配置する構成としている。
【0051】
このように本実施例に係る加熱装置2では、炉芯管9の内部(加熱部10)では水素が放出され、加熱部10が還元性雰囲気になることを考慮し、炉芯管9の外部に各温度センサ15・18を配置し、間接的に加熱部10の温度を測定する構成としている。尚、本実施例では、炉芯管9内部の温度と各温度センサ15・18による測定点での温度を同時に測定し、その温度差を予め確認しておき、その予め確認した温度差に基づき各温度センサ15・18による測定結果を補正するようにしている。
【0052】
即ち、本発明の一実施例に係る加熱装置2において、低温炉7は、低温用電熱ヒータ14と低温用温度センサ15を備え、かつ、高温炉8は、高温用電熱ヒータ17と高温用温度センサ18を備える構成としている。
このような構成とすることにより、単一の電熱ヒータと温度センサの組合せではカバーすることができない温度域をカバーすることが可能となり、常温から1600℃近傍(鋼の融点である1573℃以上)の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できるのである。
【0053】
また、本発明の一実施例に係る加熱装置2において、低温用電熱ヒータ14は、フェライト合金系抵抗発熱体による電熱方式とし、かつ、高温用電熱ヒータ17は、二珪化モリブデン系抵抗発熱体による電熱方式としている。
このような構成とすることにより、低温域で低温用電熱ヒータ14のヒータ温度の制御精度を確保し、かつ、高温域で高温用電熱ヒータ17のヒータ温度の制御精度を確保することができるのである。これにより、常温から1600℃近傍(鋼の融点である1573℃以上)の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できるのである。
【0054】
さらに、本発明の一実施例に係る加熱装置2において、低温用温度センサ15は、R種熱電対とし、かつ、高温用温度センサ18は、B種熱電対としている。
このような構成とすることにより、低温域で低温加熱部10aの温度の測定精度を確保し、かつ、高温域で高温加熱部10bの温度の測定精度を確保することができるのである。これにより、常温から1600℃近傍(鋼の融点である1573℃以上)の温度域において、等速で緩慢昇温することを実現できるのである。
【0055】
また、従来の加熱装置では、加熱源となるヒータの方式は、誘導加熱や赤外線ランプ加熱等が採用されていた。誘導加熱では等速で緩慢昇温を行うことが難しく、また、均熱帯が狭いという問題があった。また、赤外線ランプ加熱でも、均熱帯が狭いという問題があった。このため、従来の加熱装置では、少量の試料しか測定できないという問題があった。
【0056】
そこで、本実施例に係る加熱装置2では、加熱源として電熱方式のヒータを採用するようにしている。電熱方式のヒータであれば、等速で緩慢昇温を行うことが可能であり、また、従来に比して広範囲の均熱帯を確保することが可能となる。例えば、本実施例に係る加熱装置2では、外径30φの炉芯管9に対して、低温加熱部10aおよび高温加熱部10bにおいて、それぞれ100mm程度の均熱帯を確保することができた。これにより、試料ボート19が均熱帯(100mm程度)に納まる大きさであれば、試料ボート19に充填可能な範囲で、従来に比して多量の試料を測定することが可能となっている。
【0057】
変位機構21は、伸縮可能なシリンダ部21aを備えている。また変位機構21は、低温用コントローラ13および高温用コントローラ16と接続されており、低温加熱部10aおよび高温加熱部10bの温度が予め定めた条件となるときに作動する構成としている。
【0058】
シリンダ部21aは、炉芯管9の軸心に対して平行な方向に伸縮可能な構成としており、炉芯管9の低温炉7側の端部9aから炉芯管9内に挿入され、シリンダ部21aを短縮させた状態で、当接部21bを低温加熱部10aに臨ませるようにして配置される。そして変位機構21が作動すると、シリンダ部21aを伸長させる構成としている。シリンダ部21aを伸長させると、シリンダ部21aは、炉芯管9の軸心に対して平行に高温加熱部10bに向かって伸長する構成としている。
【0059】
図2(a)に示す如く、炉芯管9内の低温加熱部10aに試料ボート19が配置された状態で変位機構21が作動すると、図2(b)に示すように、シリンダ部21aが伸長し、シリンダ部21aの当接部21bにおいて試料ボート19と当接し、シリンダ部21aの伸長量に応じて試料ボート19に装填された試料20を高温加熱部10b側にスムーズに変位させることができる。本実施例では、変位機構21が作動したときのシリンダ部21aの伸長量を、試料ボート19が正確に高温加熱部10bに配置される伸長量としている。
【0060】
即ち、本発明の一実施例に係る加熱装置2において、変位機構21は、伸縮可能なシリンダ部21aを備え、低温加熱部10aに配置される試料ボート19を、伸長するシリンダ部21aによって押圧して高温加熱部10bに変位させて、試料20を低温加熱部10aから高温加熱部10bに変位させる構成としている。
このような構成とすることにより、簡易な構成で、試料20を低温加熱部10aから高温加熱部10bに変位させることができるのである。
【0061】
また、本発明の一実施例に係る加熱装置2において、試料20は、試料ボート19に装填された状態で加熱部10に配置される構成としている。
このような構成とすることにより、低温加熱部10aから高温加熱部10bへの試料20の変位をスムーズに行うことができるのである。また、溶融した試料20が炉芯管9に付着することを防止し、加熱装置2(詳しくは炉芯管9)の劣化を防止することができるのである。
【0062】
炉芯管9内の高温加熱部10b側の端部近傍には、インサート管22を配置している。インサート管22は、例えば螺旋状の羽根部を有するような形状としており、炉芯管9内を流通するガスがインサート管22に接触することにより、ガスを攪拌させる作用が生じる構成としている。
これにより、炉芯管9内を常時一定流量で流されるアルゴンガスと、試料20から放出される水素等を含むガスが、均一に混合された状態でガスクロマトグラフ4に導入されるようにしている。
【0063】
次に、本発明の一実施例に係る水素分析装置による水素分析方法および分析結果について、図1〜図4を用いて説明をする。図3は本発明の一実施例に係る加熱装置による緩慢昇温時における加熱部の温度変化の一例を示すグラフ図、図4は本発明の一実施例に係る加熱装置を用いた水素分析装置による測定結果の一例を示すグラフ図である。
尚、本実施例では、試料20の加熱が低温加熱部10aにて行われる常温〜約500℃の温度域を低温域としており、試料20の加熱が高温加熱部10bにて行われる約500〜約1700℃の温度域を高温域としているが、低温域および高温域の温度範囲は、試料の材質に応じて適宜変更することができる。また、本実施例でいう常温は、約25℃の温度を指すものとしている。
【0064】
まず、図1および図2(a)に示す如く、炉芯管9内の低温加熱部10aに試料20を装填した試料ボート19を配置する。この状態で、ガス供給設備5によって、炉芯管9内(即ち、加熱部10)に一定流量でアルゴンガスを供給し、加熱部10にアルゴンガスが充満した状態とする。このとき、加熱部10は未だ常温である。
【0065】
加熱部10がアルゴンガスで充満したことを確認した後に、加熱部10に対する加熱を開始するようにしている。この加熱は、低温炉7と高温炉8によって行われる。
加熱方法についてさらに詳述すると、低温加熱部10aは低温炉7によって加熱され、高温加熱部10bは高温炉8によって加熱される。
【0066】
そして、低温加熱部10aで試料20から放出された水素等を含むガスは、ガス導入装置3のサンプリングバルブ3aが放出側に切替られているときには、加熱部10に供給されるアルゴンガスとともに大気に放出され、サンプリングバルブ3aがガスクロマトグラフ4側に切替られているときには、加熱部10に供給されるアルゴンガスとともガスクロマトグラフ4に導入される。尚、サンプリングバルブ3aは、一定周期でサンプリング時間の間だけガスクロマトグラフ4側に切替られるように予め設定している。
【0067】
次に、低温加熱部10aにある試料20は、低温炉7によって温度制御されながら、精度良く等速で緩慢昇温される。ここでいう等速での緩慢昇温とは、100℃/h程度の昇温速度による加熱状態を指しており、試料20の温度は加熱部10の温度に等しいものと仮定している。またこのとき、高温加熱部10bには試料20は存在していないが、高温加熱部10bも低温加熱部10aと等温を保持するように等速で緩慢昇温するように高温炉8を温度制御している。尚、低温域においては、高温炉8の制御精度は、低温炉7の制御精度に比して劣るため、高温加熱部10bと低温加熱部10aに温度差が生じるが、この温度差は低温炉7の温度制御によって吸収することができる。これにより、高温加熱部10bの温度が低温加熱部10aの温度制御に対する外乱とならないようにしている。
【0068】
そして、低温加熱部10a(即ち、試料20)の温度が、低温域の最高温度である約500℃となるまで、低温炉7による温度制御を主とした等速での緩慢昇温を継続する。
【0069】
次に、図2(a)・(b)に示す如く、低温加熱部10aの温度(即ち、試料20の温度)が、予め設定された所定温度、すなわち低温域の最高温度である約500℃にまで達すると、低温用コントローラ13および高温用コントローラ16からの信号により変位装置21を作動させて、試料ボート19を高温加熱部10bに移動させるようにしている。そして、試料ボート19(即ち、試料20)が高温加熱部10bに移動されると同時に、温度制御の主体を高温炉8に切替えるようにしている。つまり高温域では、高温炉8による温度制御を主とした等速での緩慢昇温を行うようにしている。尚、高温域においては、低温炉7の制御精度は、高温炉8の制御精度に比して劣るため、高温加熱部10bと低温加熱部10aに温度差が生じる。また、低温炉7では、最高1400℃程度まで昇温することが限界である。しかし、ここで生じる温度差は高温炉8の温度制御によって吸収するようにしている。
【0070】
そして、高温加熱部10bの温度(即ち、試料20の温度)が、予め設定した所定温度に達するまで、高温炉8による温度制御を主とした等速での緩慢昇温を継続する。尚、本実施例に示す加熱装置2では、高温加熱部10bの温度は最高で約1700℃まで昇温させることが可能である。つまり、本実施例に係る加熱装置2では、高温加熱部10bにおいて、約500℃〜鋼の融点(1573℃)以上の温度域まで、等速で緩慢昇温を行うことが可能である。
【0071】
ここで、加熱装置2によって加熱した試料20の温度測定結果を示す。
加熱装置2によって、常温(約25℃)〜約500℃までは、低温加熱部10aにおいて、低温炉7によって試料20を加熱し、その後、試料20を高温加熱部10bに変位させてから、約500℃〜1625℃までは、引き続き高温加熱部10bにおいて、高温炉8によって試料20を加熱したときの、試料20の温度測定結果を、図3に示している。
【0072】
この測定結果によれば、加熱装置2によって、試料20を常温〜約1600℃の範囲で精度良く等速で緩慢昇温できていることが判る。言い換えれば、加熱装置2によれば、等速で緩慢昇温しながら、試料20の温度を鋼の融点(1573℃)以上に昇温することも可能であると言える。つまり、加熱装置2を用いることによって、従来の水素分析装置では困難であった、鋼に対する昇温脱離法による全水素量の測定が可能となるのである。
【0073】
次に、本発明の一実施例に係る水素分析装置1による昇温脱離法による全水素量の測定結果を示す。
加熱装置2を備える水素分析装置1による鋼の水素分析結果を図4に示している。
この測定結果によれば、加熱装置2によって、試料20を常温〜約1600℃の範囲で精度良く等速で緩慢昇温させながら昇温脱離法による水素分析を行うことによって、試料20が鋼である場合であっても、昇温脱離法によって全水素量を求めることができ、かつ、常温〜鋼の融点の温度域で水素放出速度と放出温度の相関特性を求めることが可能であることが判る。
【0074】
即ち、本発明の一実施例に係る加熱装置2は、昇温脱離法により試料20に含まれる水素量を測定する水素分析装置1に用いる加熱装置であって、低温炉7と高温炉8を有する加熱炉6と、試料20を加熱するための加熱部10を形成する炉芯管9と、加熱部10において試料20を変位させる変位機構21と、を備え、炉芯管9は、加熱炉6を貫通させる配置とし、加熱部10を、低温炉7に内包される部分の炉芯管9に対応する低温加熱部10aと、高温炉8に内包される部分の炉芯管9に対応する高温加熱部10bに分割し、低温域では、低温加熱部10aにおいて、試料20の温度を低温炉7によって試料20の温度が予め設定した所定温度である低温域の最高温度(本実施例では、約500℃としている)に達するまで等速で緩慢昇温させて、試料20の温度が予め設定した所定温度である低温域の最高温度(約500℃)に達するとき、変位機構21によって、試料20を高温加熱部10bに変位させて、その後高温域では、高温加熱部10bにおいて、試料20の温度を高温炉8によって試料20の温度が予め設定した試料20の融点(1573℃)以上の温度(本実施例では、約1600℃としている)に達するまで等速で緩慢昇温させる構成としている。
このように、加熱炉6を低温炉7と高温炉8を備えた2段炉の構成とすることにより、加熱装置2によって、試料20に対して常温〜1600℃近傍(鋼の融点1573℃以上)まで等速で緩慢昇温を行うことが可能となる。そして、加熱装置2を有する水素分析装置1を用いて、昇温脱離法によって、鋼の融点近傍(約1600℃)が融点である試料20について、該試料20に含まれる全水素量を求めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施例に係る水素分析装置の全体構成を示す模式図。
【図2】(a)本発明の一実施例に係る加熱装置(低温域での加熱状態)を示す模式図、(b)本発明の一実施例に係る加熱装置(高温域での加熱状態)を示す模式図。
【図3】本発明の一実施例に係る加熱装置による緩慢昇温時における加熱部の温度変化の一例を示すグラフ図。
【図4】本発明の一実施例に係る加熱装置を用いた水素分析装置による測定結果の一例を示すグラフ図。
【図5】従来の水素分析装置による測定結果(水素放出速度−温度特性)を示すグラフ図。
【符号の説明】
【0076】
1 水素分析装置
2 加熱装置
4 ガスクロマトグラフ
7 低温炉
8 高温炉
9 炉芯管
10 加熱部
10a 低温加熱部
10b 高温加熱部
13 低温用コントローラ
14 低温用電熱ヒータ
15 低温用温度センサ
16 高温用コントローラ
17 高温用電熱ヒータ
18 高温用温度センサ
20 試料
21 変位機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温炉と高温炉を有する加熱炉と、
試料を加熱するための加熱部を形成する炉芯管と、
前記加熱部において前記試料を変位させる変位機構と、
を備え、
前記炉芯管は、
前記加熱炉を貫通させる配置とし、
前記加熱部を、
前記低温炉に内包される部分の前記炉芯管に対応する低温加熱部と、
前記高温炉に内包される部分の前記炉芯管に対応する高温加熱部に分割し、
前記低温加熱部において、
前記試料を、前記低温炉によって前記試料の温度が予め設定した所定温度に達するまで等速で緩慢昇温させて、
前記試料の温度が予め設定した前記所定温度に達したとき、
前記変位機構によって、
前記試料を前記高温加熱部に変位させて、
その後、前記高温加熱部において、
前記試料を、前記高温炉によって前記試料の温度が鋼の融点以上の温度に達するまで等速で緩慢昇温させる、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記低温炉は、
低温用電熱ヒータと低温用温度センサを備え、かつ、
前記高温炉は、
高温用電熱ヒータと高温用温度センサを備える、
ことを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
前記試料は、
試料ボートに装填された状態で前記加熱部に配置される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記変位機構は、
伸縮可能なシリンダ部を備え、
前記低温加熱部に配置される前記試料ボートを、
伸長する前記シリンダ部によって押圧して前記高温加熱部に変位させて、
前記試料を前記低温加熱部から前記高温加熱部に変位させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記低温用電熱ヒータは、
フェライト合金系抵抗発熱体による電熱方式とし、かつ、
前記高温用電熱ヒータは、
二珪化モリブデン系抵抗発熱体による電熱方式とする、
ことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記低温用温度センサは、
R熱電対とし、かつ、
前記高温用温度センサは、
B熱電対とする、
ことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項7】
昇温脱離法により試料に含まれる水素量を測定する水素分析装置であって、
加熱装置と、
ガス導入装置と、
ガスクロマトグラフと、
を有し、
前記加熱装置は、
低温炉と高温炉を有する加熱炉と、
前記試料を加熱するための加熱部を形成する炉芯管と、
前記加熱部において前記試料を変位させる変位機構と、
を備え、
前記炉芯管は、
前記加熱炉を貫通させる配置とし、
前記加熱部を、
前記低温炉に内包される部分の前記炉芯管に対応する低温加熱部と、
前記高温炉に内包される部分の前記炉芯管に対応する高温加熱部に分割し、
前記低温加熱部において、
前記試料を、前記低温炉によって前記試料の温度が予め設定した所定温度に達するまで等速で緩慢昇温させて、
前記試料の温度が予め設定した前記所定温度に達したとき、
前記変位機構によって、
前記試料を前記高温加熱部に変位させて、
その後、前記高温加熱部において、
前記試料を、前記高温炉によって前記試料の温度が鋼の融点以上の温度に達するまで等速で緩慢昇温させる、
ことを特徴とする水素分析装置。
【請求項8】
前記低温炉は、
低温用電熱ヒータと低温用温度センサを備え、かつ、
前記高温炉は、
高温用電熱ヒータと高温用温度センサを備える、
ことを特徴とする請求項7記載の水素分析装置。
【請求項9】
前記試料は、
試料ボートに装填された状態で前記加熱部に配置される、
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の水素分析装置。
【請求項10】
前記変位機構は、
伸縮可能なシリンダ部を備え、
前記低温加熱部に配置される前記試料ボートを、
伸長する前記シリンダ部によって押圧して前記高温加熱部に変位させて、
前記試料を前記低温加熱部から前記高温加熱部に変位させる、
ことを特徴とする請求項9に記載の水素分析装置。
【請求項11】
前記低温用電熱ヒータは、
フェライト合金系抵抗発熱体による電熱方式とし、かつ、
前記高温用電熱ヒータは、
二珪化モリブデン系抵抗発熱体による電熱方式とする、
ことを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか一項に記載の水素分析装置。
【請求項12】
前記低温用温度センサは、
R熱電対とし、かつ、
前記高温用温度センサは、
B熱電対とする、
ことを特徴とする請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載の水素分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−257921(P2009−257921A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107110(P2008−107110)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(508116975)株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ (7)
【Fターム(参考)】