加熱調理器
【課題】収納性に優れ、無駄な加熱を行なわずに様々なバリエーションの調理に対応することができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】取外し自在のプレート5は、片面側半分の加熱領域Z1に穴部31が設けられ、この穴部31に別プレートであるきせかえプレート21が載るようになっている。きせかえプレート21の平面形状は、ハーフヒータ4Aがちょうど収まる程度の大きさに形成される。オールヒータ4Bを通電するとプレート5全体が加熱されるいわゆる全面加熱となり、プレート5全体で加熱調理が可能となる。一方、ハーフヒータ4Aを通電すると、プレート5の片面側半分にあるきせかえプレート21が直接加熱される加熱領域Z1となる一方で、プレート5の残り半分は、片側半分からの熱伝導を受ける保温領域Z2となる。
【解決手段】取外し自在のプレート5は、片面側半分の加熱領域Z1に穴部31が設けられ、この穴部31に別プレートであるきせかえプレート21が載るようになっている。きせかえプレート21の平面形状は、ハーフヒータ4Aがちょうど収まる程度の大きさに形成される。オールヒータ4Bを通電するとプレート5全体が加熱されるいわゆる全面加熱となり、プレート5全体で加熱調理が可能となる。一方、ハーフヒータ4Aを通電すると、プレート5の片面側半分にあるきせかえプレート21が直接加熱される加熱領域Z1となる一方で、プレート5の残り半分は、片側半分からの熱伝導を受ける保温領域Z2となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート上に被調理物を載置して加熱調理を行なう、例えばホットプレートのような加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器としてのホットプレートは、例えば特許文献1に開示されるように、誘導加熱コイルやシーズヒータなどの加熱手段と、プレート収納部に着脱自在に設置された調理容器としてのプレートとを備え、加熱手段によりプレート上の被調理物を加熱して調理を行なうようにしている。しかし、加熱手段で単にプレートの全面を加熱すると、例えば少量の被調理物を加熱する場合には、プレート上に何も載せられていない領域にも加熱が行われて、無駄な電力消費を伴う。また、焼きあがった肉などをその都度プレートの外部に取出さないと、プレート上の肉が直ぐに焦げ付いてしまうという不満があった。
【特許文献1】特開2001−340227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような不満を解消するために提案されたのが、図21および図22に示す構造のH&A(ハーフアンドオール機能付き)ホットプレートである。同図において、1はホットプレートの外郭をなす有底状の枠,2は枠1の内底部にスペーサ(図示せず)を介して固定された遮熱板で、この遮熱板2の内底面上に立設するヒータ押え3に支持されるように、2本のシーズヒータ、すなわちハーフヒータ4Aとオールヒータ4Bがそれぞれ設けられる。そして、これらの枠1,遮熱板2,ヒータ押え3およびハーフヒータ4Aとオールヒータ4Bとにより、ホットプレートの本体が構成される。
【0004】
5は遮熱板2の上に載置される皿状のプレートで、このプレート5の肉厚はほぼ均一で、ハーフヒータ4Aおよびオールヒータ4Bの上部に接するようになっている。また、ハーフヒータ4Aおよびオールヒータ4Bは、プレート5の上面から見ていずれも蛇曲状に形成されているが、一方のハーフヒータ4Aはプレート5の片面側半分の領域にのみ配置され、他方のオールヒータ4Bはプレート5のほぼ全面領域にわたり配置される。
【0005】
6は枠1の一側面に差し込まれる着脱可能なヒートマスタで、ヒートマスタ6の装着時には、このヒートマスタ6の先端に突出する棒状の感熱部7がプレート5の下面に接触し、プレート5の温度を検出するようになっている。ヒートマスタ6は感熱部7からの温度情報に基づき、プレート5が設定温度になるようにハーフヒータ4Aおよびオールヒータ4Bを通断電して、プレート5上の被調理物を加熱調理するが、ここでは枠1の一側面に突出する切換スイッチ8を操作することにより、ハーフヒータ4Aまたはオールヒータ4Bのいずれか一方を通断電する構成になっている。
【0006】
そしてこの場合は、オールヒータ4Bを通電するとプレート5全体が加熱されるいわゆる全面加熱となるが、ハーフヒータ4Aを通電すると、プレート5の片面側半分が直接加熱される加熱領域となる一方で、プレート5の残り半分は、片側半分からの熱伝導を受ける保温領域となる。したがって、被加熱物が少ない場合や、焼き上がった肉などを焦がさず保温したい場合には、切換スイッチ8を適宜操作して、好ましいハーフヒータ4Aの通断電運転に切換えることができる。
【0007】
しかし、上記構成では、加熱手段であるヒータが2本ある上に、切換スイッチ8を必要とし、その他中継のリード線もヒータの本数に合せて多く必要であるなど、複雑な構成でコストの増加を招いていた。
【0008】
また別な問題として、図23や図24に示すようなH&Aホットプレートは、特に焼肉の油分などが被調理物に付着しないように、一方向に沿って複数の溝10を付けるための凸部11がプレート5の表面上に設けられているが、プレート5がいわゆる一体式であるため、プレート5の側壁部やフランジなどの余計な部分にまで熱が伝わって不必要な電力消費を招き、加熱時間も余分に掛かっていた。また、調理目的に合せて多種類のプレート5を交換して使用する場合、前述のようにプレート5がホットプレートのほぼ全面を占有する一体式であるため、サイズが大きくコストも増大し、収納時にも大きな複数枚のプレート5があって不便であった。
【0009】
こうした問題に対し、図25や図26に示すように、プレート5の一部分の領域を複数種の別プレートであるきせかえプレート21で取り換えられるようにしたものが提案されている。きせかえプレート21は、同様に複数の溝部22を付けるための凸部23がその表面に設けられており、プレート5のほぼ中央に設けられた段付きの穴部31に着脱自在に設けられる。一方、ここでの加熱手段は単独のヒータ4により構成され、きせかえプレート21の部分と、それ以外のプレート5の部分に跨って配置されている。きせかえプレート21は、プレート5の一部を占有しているに過ぎないため、その分収納性がよく、コストの低減も図ることはできるが、やはり一般的な一体式プレートとほぼ同じ加熱時間を必要とし、無駄な電気代も掛かっていた。
【0010】
またこうした無駄を省くために、ヒータ4を配置した部分のほぼ全体にわたって、きせかえプレート21が載せられる構造にすればよいと考えられるが、その場合はきせかえプレート21以外の部分である保温領域がほとんど無くなってしまい、実用性に乏しいものであった(図27,図28参照)。
【0011】
本発明は、上記した諸事情を考慮してなされたものであり、収納性に優れ、無駄な加熱を行なわずに様々なバリエーションの調理に対応することができる加熱調理器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1の加熱調理器では、調理目的に合せて、プレートの加熱領域において様々なプレートを使用できるので、様々なバリエーションの調理に対応することができる。しかも、プレートは穴部の部分しか占有せず、収納性にも優れる。
【0013】
本発明の請求項2の加熱調理器では、加熱手段の通電部が直接対向していない部分が生じるため、プレートの外側の部分ではプレートとの接触部からの熱と、加熱手段の僅かな輻射熱しか伝わらなくなる。よって、プレートの外側の部分で余分な熱が伝わらず、無駄な加熱を行なわずにプレート上で調理を行なうことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明における請求項1の構成によれば、収納性に優れ、様々なバリエーションの調理に対応することが可能な加熱調理器を提供できる。
【0015】
本発明における請求項2の構成によれば、収納性に優れ、無駄な加熱を行なわずに様々なバリエーションの調理に対応することが可能な加熱調理器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明における加熱調理器の各実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各実施例における加熱調理器はいずれもホットプレートである。また、従来例と同一部分には同一符号を付し、同一箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0017】
図1〜図5は本発明の第1実施例を示すもので、本体を構成する遮熱板2には、第1のプレート5(図1〜図3参照)または第2のプレート5A(図4および図5)のいずれか一方が着脱自在に設けられる。これらの各プレート5,5Aの平面形状は同一であるが、底面形状は異なっている。すなわち保温付きプレートとなる第1のプレート5は、上方から見て片面側の加熱領域Z1から残りの面側の保温領域Z2に至るまで、底面全体が段差のない平坦状に形成されているが、全面加熱プレートとなる第2のプレート5Aはその底面が平坦ではなく、片面側の加熱領域Z1の底面に対し、残りの面側の加熱領域Z1の底面に段差となる垂下部41が形成される。この垂下部41は第2のプレート5Aと一体に、かつ後述するヒータ4の段差部42のほぼ全体にわたって下端が当接する形状に形成される。
【0018】
一方、本実施例における加熱手段は単一のヒータ4で構成され、従来例の図21に示すような切換スイッチ8は設けられていない。このヒータ4は、プレート5,5Aの上面から見て、プレート5,5Aのほぼ全面領域にわたり配置されているが、側面から見ると、プレート5,5Aの残りの面側に対応して、例えば約5mm程度下方に落ち込んだ段差部42が形成される。そして、第1のプレート5を遮熱板2上に装着した場合には、第1のプレート5の底面全体が平坦状であるため、その片面側ではヒータ4と近接または接触する加熱領域Z1が形成され、残りの面側ではヒータ4との間に隙間43を形成した保温領域Z2が形成される。これに対して、第2のプレート5Aを遮熱板2上に装着した場合には、残りの面側に位置して底面に形成した垂下部41によって、片面側のみならず残りの面側にもヒータ4と近接または接触する加熱領域Z1が形成される。なお、プレート5,5Aのいずれにおいても、本体である遮熱板2に装着する場合にプレート5,5Aが左右反対に取付けられないように、図示しない方向規制部が設けられている。これにより、例えば第2のプレート5Aを左右反対に装着したときに、垂下部41によってヒータ4が無理やり押し込まれることを防止できる。
【0019】
次に上記構成についてその作用を説明すると、プレート上の一部で被調理物を保温させたい場合には、第1のプレート5を本体の遮熱板2に載置する。このとき、第1のプレート5の底面はその全面が平坦に形成されているため、片面側においてヒータ4に接触する加熱領域Z1が形成され、残りの面側においてヒータ4に接触しない保温領域Z2が形成される。そのため、ヒータ4を通電すると、加熱領域Z1では接触するヒータ4からの熱が直接伝導して高温になる一方で、保温領域Z2ではヒータ4からの熱が隙間43や加熱領域Z1を経由して間接的にしか伝導せず、その分だけ加熱領域Z1よりも低温になる。したがって、加熱領域Z1に置かれた被調理物は高温に加熱調理され、保温領域Z2に置かれた被調理物は焦げ付かない程度に保温される。
【0020】
一方、プレート上の全面で加熱調理を行ないたい場合は、第2のプレート5Aを本体の遮熱板2に載置する。このとき、ヒータ4の段差部42に第2のプレート5Aの垂下部41が接触して、ヒータ4のほぼ全体に第2のプレート5Aの底面が接触する加熱領域Z1が、第2のプレート5Aのほぼ全面を占有する。そのため、ヒータ4を通電すると、第2のプレート5Aのほぼ全面でヒータ4からの熱が直接伝導し、第2のプレート5Aのどの位置に置かれた被調理物であっても、被調理物は高温に加熱調理される。
【0021】
以上のように本実施例では、加熱手段であるヒータ4により底面が平坦なプレート5を加熱して調理を行なう加熱調理器において、プレート5の下部にあるヒータ4に段差部41を部分的に設けて、ヒータ4とプレート5との間に保温機能を持たせるための隙間43を形成している。
【0022】
このようにすれば、ヒータ4を通電すると、このヒータ4に設けた段差部41により、プレート5はヒータ5に近接(または接触)した部分では高温となり、加熱手段との間に隙間43を有する部分ではヒータ4からの熱が十分に伝わらず低温になって、双方の部位間で温度差を生じる。そのため、単一のヒータ4でありながら、ヒータ4に近接したプレート5の部分を加熱調理に適した加熱領域Z1とし、ヒータ4との間に隙間43を有するプレート5の部分を保温に適した保温領域Z2として同時に使用できる。したがって、ヒータ4を調理加熱および保温用にそれぞれ設ける必要がなく、部品点数の削減と構造の簡素化を実現でき、コストダウンを図ることができる。
【0023】
また、ヒータ4のほぼ全体に底面が近接または当接する第2のプレート5Aを、第1のプレート5と交換可能に設けることで、第2のプレート5A全体を加熱領域Z1とした加熱調理を行なうことも可能になる。
【0024】
次に、本発明の第2実施例を図6〜図10に基づき説明する。本実施例における加熱手段は、第1実施例と同様に単独のヒータ4で構成されるが、側面から見て段差部はなく、平坦な直線状に形成されている。その代わりに、保温と加熱を兼用する第1のプレート5の底面は、加熱領域Z1を形成する片面側に対し、例えば約5mm程度上方に浮き上がった段差部45を、保温領域Z2を形成する残りの面側に形成している。一方、全面を加熱領域Z1とする別の第2のプレート5Aは、片面側のみならず残りの面側にもヒータ4と近接または接触するように、前記段差部45に垂下部46が形成される。この垂下部46は第2のプレート5Aと一体に、かつ後述するヒータ4のほぼ全体にわたって下端が当接する形状に形成される。
【0025】
そして、第1のプレート5を遮熱板2上に装着すると、第1のプレート5の片面側はヒータ4と近接または接触し、残りの面側はヒータ4との間に隙間43が形成される。これに対して、第2のプレート5Aを遮熱板2上に装着すると、残りの面側に位置して底面に形成した垂下部46によって、片面側のみならず残りの面側にもヒータ4と近接または接触するようになる。なお本実施例でも、本体である遮熱板2に装着する場合にプレート5,5Aが左右反対に取付けられないように、図示しない方向規制部が設けられている。
【0026】
そして、第1のプレート5を本体の遮熱板2に載置すると、第1のプレート5はその片面側においてヒータ4に接触する加熱領域Z1が形成され、残りの面側においてヒータ4に接触しない保温領域Z2が形成される。そのため、ヒータ4を通電すると、加熱領域Z1では接触するヒータ4からの熱が直接伝導して高温になる一方で、保温領域Z2ではヒータ4からの熱が隙間43や加熱領域Z1を経由して間接的にしか伝導せず、その分だけ加熱領域Z1よりも低温になる。したがって、加熱領域Z1に置かれた被調理物は高温に加熱調理され、保温領域Z2に置かれた被調理物は焦げ付かない程度に保温される。
【0027】
一方、第2のプレート5Aを本体の遮熱板2に載置すると、ヒータ4に第2のプレート5Aの垂下部46が接触し、第2のプレート5Aのほぼ全面を加熱領域Z1が占有する。そのためヒータ4を通電すると、第2のプレート5Aのほぼ全面でヒータ4からの熱が直接伝導し、第2のプレート5Aのどの位置に置かれた被調理物であっても、被調理物は高温に加熱調理される。
【0028】
以上のように本実施例では、加熱手段であるヒータ4によりプレート5を加熱して調理を行なう加熱調理器において、プレート5の底部に段差部45を設けて、ヒータ4とプレート5との間に保温機能を持たせるための隙間43を形成している。
【0029】
このようにすれば、ヒータ4を通電すると、プレート5の底部に段差部45により、プレート5はヒータ5に近接(または接触)した部分では高温となり、加熱手段との間に隙間43を有する部分ではヒータ4からの熱が十分に伝わらず低温になって、双方の部位間で温度差を生じる。そのため、単一のヒータ4でありながら、ヒータ4に近接したプレート5の部分を加熱調理に適した加熱領域Z1とし、ヒータ4との間に隙間43を有するプレート5の部分を保温に適した保温領域Z2として同時に使用できる。したがって、ヒータ4を調理加熱および保温用にそれぞれ設ける必要がなく、部品点数の削減と構造の簡素化を実現でき、コストダウンを図ることができる。
【0030】
また、ヒータ4のほぼ全体に底面が近接または当接する第2のプレート5Aを、第1のプレート5と交換可能に設けることで、第2のプレート5A全体を加熱領域Z1とした加熱調理を行なうことも可能になる。なお、本実施例の第2のプレート5Aは、段差部45に垂下部46を形成していたが、底面全体が平坦なプレートをそのまま利用してもよく、既存の加熱手段に段差部を設けていない加熱調理器に対し、第1のプレート5を付加するだけで実現できる利点がある。
【0031】
また、上記第1実施例や第2実施例では、図11や図12に示すように、ヒータ4が近接する第1のプレート5の加熱領域に穴部31を設け、この穴部31に対応する大きさの取り換え可能なプレートであるきせかえプレート21を設けてもよい。ここでのきせかえプレート21は、焼肉の油分などが被調理物に付着しないように、一方向に沿って複数の溝部22を付けるための凸部23がその表面に設けられている。きせかえプレート21は何種類か用意されていて、そのいずれかを自在に取り換えながら使用することができる。例えば、図11や図12に示す焼肉用の溝付きプレートの他に、油の飛び散りを防止する穴あきプレートや、たこ焼き用プレートや、網焼きプレートなどである。これらの形状については後ほど説明する。さらに穴部31の全周には、この穴部31に被調理物からの汁などが流れ落ちないように突起35が形成されている。
【0032】
このように、第1のプレート5の加熱領域Z1に、取り換え可能なきせかえプレート21を設けることで、調理目的に合せて、加熱領域Z1において様々なきせかえプレート21を使用することができる。それと同時に、保温領域Z2では被調理物の保温を行なうことができる。
【0033】
次に、本発明の第3実施例を図13〜図20に基づき説明する。本実施例における加熱手段は、図21〜図24に示すような2本のヒータ、すなわちハーフヒータ4Aとオールヒータ4Bとにより構成される。そして、ヒートマスタ6は感熱部7からの温度情報に基づき、プレート5が設定温度になるようにハーフヒータ4Aおよびオールヒータ4Bを通断電して、プレート5上の被調理物を加熱調理するとともに、切換スイッチ8を操作することにより、ハーフヒータ4Aまたはオールヒータ4Bのいずれか一方を通断電する構成になっている。
【0034】
取外し自在のプレート5は、片面側半分の加熱領域Z1に穴部31が設けられ、この穴部31に別プレートであるきせかえプレート21が載るようになっている。きせかえプレート21の平面形状は、ハーフヒータ4Aがちょうど収まる程度の大きさに形成される。すなわち、プレート5の片面を加熱する際に使用する加熱手段(ハーフヒータ4A)の通電部分は、きせかえプレート21よりも小さい領域に設けられていて、きせかえプレート21から穴部31を介して保温領域Z2に熱伝導が行なわれるようになっている。なお、本実施例においても、本体である遮熱板2に装着する場合にプレート5,5Aが左右反対に取付けられないように、図示しない方向規制部が設けられている。
【0035】
上記構成において、オールヒータ4Bを通電するとプレート5全体が加熱されるいわゆる全面加熱となり、プレート5全体で加熱調理が可能となる。一方、ハーフヒータ4Aを通電すると、プレート5の片面側半分にあるきせかえプレート21が直接加熱される加熱領域Z1となる一方で、プレート5の残り半分は、片側半分からの熱伝導を受ける保温領域Z2となる。特にこのプレート5の残り半分は、きせかえプレート21の平面形状が、ハーフヒータ4Aにちょうど収まる程度の大きさに形成されている関係で、きせかえプレート21の接触部からの熱、またはハーフヒータ4Aからの僅かな輻射熱しか伝わらず、余分な熱を伝えにくい構造となっている。そのため、省エネルギー性に優れ、きせかえプレート21の加熱スピードも、一体式のプレートよりも早くなる。
【0036】
図13および図14に示すきせかえプレート21は、焼肉用の溝付きプレートであり、これは前述のように、一方向に沿って複数の溝部22を付けるための凸部23がその表面に設けられている。その他、きせかえプレート21は何種類か用意されていて、そのいずれかを自在に取り換えながら使用することができる。図15および図16に示すきせかえプレート21Aは、油の飛び散りを防止する穴あきプレートであって、ここには複数の穴51が開口形成される。また、図17および図18に示すきせかえプレート21Bは、たこ焼きを作るに適した複数の椀状部52を有したたこ焼き用プレートである。さらに、図19および図20に示すきせかえプレート21Cは、こんがり直火風の網焼きプレートである。プレート5の穴部31には、調理目的に応じて、これらのきせかえプレート21,21A〜21Cのいずれかが装着される。
【0037】
このように、きせかえプレート21,21A〜21Cは、プレート5の一部を占有しているに過ぎないため、その分収納性がよく、コストの低減も図ることができる。また、ハーフヒータ4Aを通電すると、ほぼきせかえプレート21,21A〜21Cの部分だけが加熱されるため、省エネルギー性に優れ、余熱時間が短縮する。そのため、加熱調理器としての使い勝手が向上する。さらに、きせかえプレート21,21A〜21Cと、プレート5の全面加熱/片面加熱の選択ができるので、様々なバリエーションの調理ができ、その幅を広げることができる。
【0038】
以上のように本実施例では、加熱手段であるハーフヒータ4Aとオールヒータ4Bとによりプレート5の片面または全面を加熱して調理を行なう加熱調理器において、プレート5の片面に穴部31を設け、この穴部31に複数種の別プレートであるきせかえプレート21,21A〜21Cを取り換え可能に設けている。
【0039】
このように、オールヒータ4Bによりプレート5の全面を加熱すると、プレート5全体が加熱調理に適した加熱領域Z1として使用でき、またハーフヒータ4Aによりプレート5の片面を加熱すると、その片面は加熱調理に適した加熱領域Z1として使用できる一方で、残りの面は保温に適した保温領域Z2として使用できる。その上、調理目的に合せて、プレート5の加熱領域Z1において様々なきせかえプレート21,21A〜21Cを使用できるので、様々なバリエーションの調理に対応することができる。しかも、きせかえプレート21,21A〜21Cはプレートの片面しか占有せず、収納性にも優れる。
【0040】
また本実施例では、プレート5の片面を加熱する際のハーフヒータ4Aの通電部が、きせかえプレート21,21A〜21Cよりも小さい領域に設けられている。
【0041】
このように、ハーフヒータ4Aによりプレート5の片面を加熱すると、ハーフヒータ4Aの通電部がプレート5の部分に直接対向していないため、プレート5の残りの面はきせかえプレート21,21A〜21Cとの接触部からの熱と、ハーフヒータ4Aの僅かな輻射熱しか伝わらなくなる。よって、プレート5に余分な熱が伝わらず、無駄な加熱を行なわずにきせかえプレート21,21A〜21C上で調理を行なうことができる。
【0042】
なお本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で適宜変更が可能である。例えば、各実施例の特徴部分をそれぞれ組み合わせて構成してもよい。また、加熱手段としてプレートを電磁誘導加熱する加熱コイルを利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例における第1のプレートを装着した状態の加熱調理器の平面図である。
【図2】同上、図1における加熱調理器の縦断面図である。
【図3】同上、図2における加熱調理器のA−A線断面図である。
【図4】同上、第2のプレートを装着した状態の要部側面図である。
【図5】同上、図4のA−A線断面図である。
【図6】本発明の第2実施例における第1のプレートを装着した状態の加熱調理器の平面図である。
【図7】同上、図6における加熱調理器の縦断面図である。
【図8】同上、図7における加熱調理器のA−A線断面図である。
【図9】同上、第2のプレートを装着した状態の要部側面図である。
【図10】同上、図9のA−A線断面図である。
【図11】同上、別の変形例を示す要部の平面図である。
【図12】同上、図11における縦断面図である。
【図13】本発明の第3実施例におけるプレートを装着した状態の加熱調理器の平面図である。
【図14】同上、図13における加熱調理器の縦断面図である。
【図15】同上、きせかえプレートとして穴あきプレートを装着した状態の要部平面図である。
【図16】同上、図15におけるプレートの縦断面図である。
【図17】同上、きせかえプレートとしてたこ焼きプレートを装着した状態の要部平面図である。
【図18】同上、図17におけるプレートの縦断面図である。
【図19】同上、きせかえプレートとして網焼きプレートを装着した状態の要部平面図である。
【図20】同上、図19におけるプレートの縦断面図である。
【図21】従来例を示す加熱調理器の平面図である。
【図22】図21における加熱調理器の縦断面図である。
【図23】別の従来例を示す加熱調理器の平面図である。
【図24】図23における加熱調理器の縦断面図である。
【図25】別の従来例を示す加熱調理器の平面図である。
【図26】図25における加熱調理器の縦断面図である。
【図27】別の従来例を示す加熱調理器の平面図である。
【図28】図27における加熱調理器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
4 ヒータ(加熱手段)
4A ハーフヒータ(加熱手段)
4B オールヒータ(加熱手段)
5 第1のプレート(プレート)
21,21A〜21C きせかえプレート(プレート)
31 穴部
42 段差部
43 隙間
45 段差部
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート上に被調理物を載置して加熱調理を行なう、例えばホットプレートのような加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器としてのホットプレートは、例えば特許文献1に開示されるように、誘導加熱コイルやシーズヒータなどの加熱手段と、プレート収納部に着脱自在に設置された調理容器としてのプレートとを備え、加熱手段によりプレート上の被調理物を加熱して調理を行なうようにしている。しかし、加熱手段で単にプレートの全面を加熱すると、例えば少量の被調理物を加熱する場合には、プレート上に何も載せられていない領域にも加熱が行われて、無駄な電力消費を伴う。また、焼きあがった肉などをその都度プレートの外部に取出さないと、プレート上の肉が直ぐに焦げ付いてしまうという不満があった。
【特許文献1】特開2001−340227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような不満を解消するために提案されたのが、図21および図22に示す構造のH&A(ハーフアンドオール機能付き)ホットプレートである。同図において、1はホットプレートの外郭をなす有底状の枠,2は枠1の内底部にスペーサ(図示せず)を介して固定された遮熱板で、この遮熱板2の内底面上に立設するヒータ押え3に支持されるように、2本のシーズヒータ、すなわちハーフヒータ4Aとオールヒータ4Bがそれぞれ設けられる。そして、これらの枠1,遮熱板2,ヒータ押え3およびハーフヒータ4Aとオールヒータ4Bとにより、ホットプレートの本体が構成される。
【0004】
5は遮熱板2の上に載置される皿状のプレートで、このプレート5の肉厚はほぼ均一で、ハーフヒータ4Aおよびオールヒータ4Bの上部に接するようになっている。また、ハーフヒータ4Aおよびオールヒータ4Bは、プレート5の上面から見ていずれも蛇曲状に形成されているが、一方のハーフヒータ4Aはプレート5の片面側半分の領域にのみ配置され、他方のオールヒータ4Bはプレート5のほぼ全面領域にわたり配置される。
【0005】
6は枠1の一側面に差し込まれる着脱可能なヒートマスタで、ヒートマスタ6の装着時には、このヒートマスタ6の先端に突出する棒状の感熱部7がプレート5の下面に接触し、プレート5の温度を検出するようになっている。ヒートマスタ6は感熱部7からの温度情報に基づき、プレート5が設定温度になるようにハーフヒータ4Aおよびオールヒータ4Bを通断電して、プレート5上の被調理物を加熱調理するが、ここでは枠1の一側面に突出する切換スイッチ8を操作することにより、ハーフヒータ4Aまたはオールヒータ4Bのいずれか一方を通断電する構成になっている。
【0006】
そしてこの場合は、オールヒータ4Bを通電するとプレート5全体が加熱されるいわゆる全面加熱となるが、ハーフヒータ4Aを通電すると、プレート5の片面側半分が直接加熱される加熱領域となる一方で、プレート5の残り半分は、片側半分からの熱伝導を受ける保温領域となる。したがって、被加熱物が少ない場合や、焼き上がった肉などを焦がさず保温したい場合には、切換スイッチ8を適宜操作して、好ましいハーフヒータ4Aの通断電運転に切換えることができる。
【0007】
しかし、上記構成では、加熱手段であるヒータが2本ある上に、切換スイッチ8を必要とし、その他中継のリード線もヒータの本数に合せて多く必要であるなど、複雑な構成でコストの増加を招いていた。
【0008】
また別な問題として、図23や図24に示すようなH&Aホットプレートは、特に焼肉の油分などが被調理物に付着しないように、一方向に沿って複数の溝10を付けるための凸部11がプレート5の表面上に設けられているが、プレート5がいわゆる一体式であるため、プレート5の側壁部やフランジなどの余計な部分にまで熱が伝わって不必要な電力消費を招き、加熱時間も余分に掛かっていた。また、調理目的に合せて多種類のプレート5を交換して使用する場合、前述のようにプレート5がホットプレートのほぼ全面を占有する一体式であるため、サイズが大きくコストも増大し、収納時にも大きな複数枚のプレート5があって不便であった。
【0009】
こうした問題に対し、図25や図26に示すように、プレート5の一部分の領域を複数種の別プレートであるきせかえプレート21で取り換えられるようにしたものが提案されている。きせかえプレート21は、同様に複数の溝部22を付けるための凸部23がその表面に設けられており、プレート5のほぼ中央に設けられた段付きの穴部31に着脱自在に設けられる。一方、ここでの加熱手段は単独のヒータ4により構成され、きせかえプレート21の部分と、それ以外のプレート5の部分に跨って配置されている。きせかえプレート21は、プレート5の一部を占有しているに過ぎないため、その分収納性がよく、コストの低減も図ることはできるが、やはり一般的な一体式プレートとほぼ同じ加熱時間を必要とし、無駄な電気代も掛かっていた。
【0010】
またこうした無駄を省くために、ヒータ4を配置した部分のほぼ全体にわたって、きせかえプレート21が載せられる構造にすればよいと考えられるが、その場合はきせかえプレート21以外の部分である保温領域がほとんど無くなってしまい、実用性に乏しいものであった(図27,図28参照)。
【0011】
本発明は、上記した諸事情を考慮してなされたものであり、収納性に優れ、無駄な加熱を行なわずに様々なバリエーションの調理に対応することができる加熱調理器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1の加熱調理器では、調理目的に合せて、プレートの加熱領域において様々なプレートを使用できるので、様々なバリエーションの調理に対応することができる。しかも、プレートは穴部の部分しか占有せず、収納性にも優れる。
【0013】
本発明の請求項2の加熱調理器では、加熱手段の通電部が直接対向していない部分が生じるため、プレートの外側の部分ではプレートとの接触部からの熱と、加熱手段の僅かな輻射熱しか伝わらなくなる。よって、プレートの外側の部分で余分な熱が伝わらず、無駄な加熱を行なわずにプレート上で調理を行なうことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明における請求項1の構成によれば、収納性に優れ、様々なバリエーションの調理に対応することが可能な加熱調理器を提供できる。
【0015】
本発明における請求項2の構成によれば、収納性に優れ、無駄な加熱を行なわずに様々なバリエーションの調理に対応することが可能な加熱調理器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明における加熱調理器の各実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各実施例における加熱調理器はいずれもホットプレートである。また、従来例と同一部分には同一符号を付し、同一箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0017】
図1〜図5は本発明の第1実施例を示すもので、本体を構成する遮熱板2には、第1のプレート5(図1〜図3参照)または第2のプレート5A(図4および図5)のいずれか一方が着脱自在に設けられる。これらの各プレート5,5Aの平面形状は同一であるが、底面形状は異なっている。すなわち保温付きプレートとなる第1のプレート5は、上方から見て片面側の加熱領域Z1から残りの面側の保温領域Z2に至るまで、底面全体が段差のない平坦状に形成されているが、全面加熱プレートとなる第2のプレート5Aはその底面が平坦ではなく、片面側の加熱領域Z1の底面に対し、残りの面側の加熱領域Z1の底面に段差となる垂下部41が形成される。この垂下部41は第2のプレート5Aと一体に、かつ後述するヒータ4の段差部42のほぼ全体にわたって下端が当接する形状に形成される。
【0018】
一方、本実施例における加熱手段は単一のヒータ4で構成され、従来例の図21に示すような切換スイッチ8は設けられていない。このヒータ4は、プレート5,5Aの上面から見て、プレート5,5Aのほぼ全面領域にわたり配置されているが、側面から見ると、プレート5,5Aの残りの面側に対応して、例えば約5mm程度下方に落ち込んだ段差部42が形成される。そして、第1のプレート5を遮熱板2上に装着した場合には、第1のプレート5の底面全体が平坦状であるため、その片面側ではヒータ4と近接または接触する加熱領域Z1が形成され、残りの面側ではヒータ4との間に隙間43を形成した保温領域Z2が形成される。これに対して、第2のプレート5Aを遮熱板2上に装着した場合には、残りの面側に位置して底面に形成した垂下部41によって、片面側のみならず残りの面側にもヒータ4と近接または接触する加熱領域Z1が形成される。なお、プレート5,5Aのいずれにおいても、本体である遮熱板2に装着する場合にプレート5,5Aが左右反対に取付けられないように、図示しない方向規制部が設けられている。これにより、例えば第2のプレート5Aを左右反対に装着したときに、垂下部41によってヒータ4が無理やり押し込まれることを防止できる。
【0019】
次に上記構成についてその作用を説明すると、プレート上の一部で被調理物を保温させたい場合には、第1のプレート5を本体の遮熱板2に載置する。このとき、第1のプレート5の底面はその全面が平坦に形成されているため、片面側においてヒータ4に接触する加熱領域Z1が形成され、残りの面側においてヒータ4に接触しない保温領域Z2が形成される。そのため、ヒータ4を通電すると、加熱領域Z1では接触するヒータ4からの熱が直接伝導して高温になる一方で、保温領域Z2ではヒータ4からの熱が隙間43や加熱領域Z1を経由して間接的にしか伝導せず、その分だけ加熱領域Z1よりも低温になる。したがって、加熱領域Z1に置かれた被調理物は高温に加熱調理され、保温領域Z2に置かれた被調理物は焦げ付かない程度に保温される。
【0020】
一方、プレート上の全面で加熱調理を行ないたい場合は、第2のプレート5Aを本体の遮熱板2に載置する。このとき、ヒータ4の段差部42に第2のプレート5Aの垂下部41が接触して、ヒータ4のほぼ全体に第2のプレート5Aの底面が接触する加熱領域Z1が、第2のプレート5Aのほぼ全面を占有する。そのため、ヒータ4を通電すると、第2のプレート5Aのほぼ全面でヒータ4からの熱が直接伝導し、第2のプレート5Aのどの位置に置かれた被調理物であっても、被調理物は高温に加熱調理される。
【0021】
以上のように本実施例では、加熱手段であるヒータ4により底面が平坦なプレート5を加熱して調理を行なう加熱調理器において、プレート5の下部にあるヒータ4に段差部41を部分的に設けて、ヒータ4とプレート5との間に保温機能を持たせるための隙間43を形成している。
【0022】
このようにすれば、ヒータ4を通電すると、このヒータ4に設けた段差部41により、プレート5はヒータ5に近接(または接触)した部分では高温となり、加熱手段との間に隙間43を有する部分ではヒータ4からの熱が十分に伝わらず低温になって、双方の部位間で温度差を生じる。そのため、単一のヒータ4でありながら、ヒータ4に近接したプレート5の部分を加熱調理に適した加熱領域Z1とし、ヒータ4との間に隙間43を有するプレート5の部分を保温に適した保温領域Z2として同時に使用できる。したがって、ヒータ4を調理加熱および保温用にそれぞれ設ける必要がなく、部品点数の削減と構造の簡素化を実現でき、コストダウンを図ることができる。
【0023】
また、ヒータ4のほぼ全体に底面が近接または当接する第2のプレート5Aを、第1のプレート5と交換可能に設けることで、第2のプレート5A全体を加熱領域Z1とした加熱調理を行なうことも可能になる。
【0024】
次に、本発明の第2実施例を図6〜図10に基づき説明する。本実施例における加熱手段は、第1実施例と同様に単独のヒータ4で構成されるが、側面から見て段差部はなく、平坦な直線状に形成されている。その代わりに、保温と加熱を兼用する第1のプレート5の底面は、加熱領域Z1を形成する片面側に対し、例えば約5mm程度上方に浮き上がった段差部45を、保温領域Z2を形成する残りの面側に形成している。一方、全面を加熱領域Z1とする別の第2のプレート5Aは、片面側のみならず残りの面側にもヒータ4と近接または接触するように、前記段差部45に垂下部46が形成される。この垂下部46は第2のプレート5Aと一体に、かつ後述するヒータ4のほぼ全体にわたって下端が当接する形状に形成される。
【0025】
そして、第1のプレート5を遮熱板2上に装着すると、第1のプレート5の片面側はヒータ4と近接または接触し、残りの面側はヒータ4との間に隙間43が形成される。これに対して、第2のプレート5Aを遮熱板2上に装着すると、残りの面側に位置して底面に形成した垂下部46によって、片面側のみならず残りの面側にもヒータ4と近接または接触するようになる。なお本実施例でも、本体である遮熱板2に装着する場合にプレート5,5Aが左右反対に取付けられないように、図示しない方向規制部が設けられている。
【0026】
そして、第1のプレート5を本体の遮熱板2に載置すると、第1のプレート5はその片面側においてヒータ4に接触する加熱領域Z1が形成され、残りの面側においてヒータ4に接触しない保温領域Z2が形成される。そのため、ヒータ4を通電すると、加熱領域Z1では接触するヒータ4からの熱が直接伝導して高温になる一方で、保温領域Z2ではヒータ4からの熱が隙間43や加熱領域Z1を経由して間接的にしか伝導せず、その分だけ加熱領域Z1よりも低温になる。したがって、加熱領域Z1に置かれた被調理物は高温に加熱調理され、保温領域Z2に置かれた被調理物は焦げ付かない程度に保温される。
【0027】
一方、第2のプレート5Aを本体の遮熱板2に載置すると、ヒータ4に第2のプレート5Aの垂下部46が接触し、第2のプレート5Aのほぼ全面を加熱領域Z1が占有する。そのためヒータ4を通電すると、第2のプレート5Aのほぼ全面でヒータ4からの熱が直接伝導し、第2のプレート5Aのどの位置に置かれた被調理物であっても、被調理物は高温に加熱調理される。
【0028】
以上のように本実施例では、加熱手段であるヒータ4によりプレート5を加熱して調理を行なう加熱調理器において、プレート5の底部に段差部45を設けて、ヒータ4とプレート5との間に保温機能を持たせるための隙間43を形成している。
【0029】
このようにすれば、ヒータ4を通電すると、プレート5の底部に段差部45により、プレート5はヒータ5に近接(または接触)した部分では高温となり、加熱手段との間に隙間43を有する部分ではヒータ4からの熱が十分に伝わらず低温になって、双方の部位間で温度差を生じる。そのため、単一のヒータ4でありながら、ヒータ4に近接したプレート5の部分を加熱調理に適した加熱領域Z1とし、ヒータ4との間に隙間43を有するプレート5の部分を保温に適した保温領域Z2として同時に使用できる。したがって、ヒータ4を調理加熱および保温用にそれぞれ設ける必要がなく、部品点数の削減と構造の簡素化を実現でき、コストダウンを図ることができる。
【0030】
また、ヒータ4のほぼ全体に底面が近接または当接する第2のプレート5Aを、第1のプレート5と交換可能に設けることで、第2のプレート5A全体を加熱領域Z1とした加熱調理を行なうことも可能になる。なお、本実施例の第2のプレート5Aは、段差部45に垂下部46を形成していたが、底面全体が平坦なプレートをそのまま利用してもよく、既存の加熱手段に段差部を設けていない加熱調理器に対し、第1のプレート5を付加するだけで実現できる利点がある。
【0031】
また、上記第1実施例や第2実施例では、図11や図12に示すように、ヒータ4が近接する第1のプレート5の加熱領域に穴部31を設け、この穴部31に対応する大きさの取り換え可能なプレートであるきせかえプレート21を設けてもよい。ここでのきせかえプレート21は、焼肉の油分などが被調理物に付着しないように、一方向に沿って複数の溝部22を付けるための凸部23がその表面に設けられている。きせかえプレート21は何種類か用意されていて、そのいずれかを自在に取り換えながら使用することができる。例えば、図11や図12に示す焼肉用の溝付きプレートの他に、油の飛び散りを防止する穴あきプレートや、たこ焼き用プレートや、網焼きプレートなどである。これらの形状については後ほど説明する。さらに穴部31の全周には、この穴部31に被調理物からの汁などが流れ落ちないように突起35が形成されている。
【0032】
このように、第1のプレート5の加熱領域Z1に、取り換え可能なきせかえプレート21を設けることで、調理目的に合せて、加熱領域Z1において様々なきせかえプレート21を使用することができる。それと同時に、保温領域Z2では被調理物の保温を行なうことができる。
【0033】
次に、本発明の第3実施例を図13〜図20に基づき説明する。本実施例における加熱手段は、図21〜図24に示すような2本のヒータ、すなわちハーフヒータ4Aとオールヒータ4Bとにより構成される。そして、ヒートマスタ6は感熱部7からの温度情報に基づき、プレート5が設定温度になるようにハーフヒータ4Aおよびオールヒータ4Bを通断電して、プレート5上の被調理物を加熱調理するとともに、切換スイッチ8を操作することにより、ハーフヒータ4Aまたはオールヒータ4Bのいずれか一方を通断電する構成になっている。
【0034】
取外し自在のプレート5は、片面側半分の加熱領域Z1に穴部31が設けられ、この穴部31に別プレートであるきせかえプレート21が載るようになっている。きせかえプレート21の平面形状は、ハーフヒータ4Aがちょうど収まる程度の大きさに形成される。すなわち、プレート5の片面を加熱する際に使用する加熱手段(ハーフヒータ4A)の通電部分は、きせかえプレート21よりも小さい領域に設けられていて、きせかえプレート21から穴部31を介して保温領域Z2に熱伝導が行なわれるようになっている。なお、本実施例においても、本体である遮熱板2に装着する場合にプレート5,5Aが左右反対に取付けられないように、図示しない方向規制部が設けられている。
【0035】
上記構成において、オールヒータ4Bを通電するとプレート5全体が加熱されるいわゆる全面加熱となり、プレート5全体で加熱調理が可能となる。一方、ハーフヒータ4Aを通電すると、プレート5の片面側半分にあるきせかえプレート21が直接加熱される加熱領域Z1となる一方で、プレート5の残り半分は、片側半分からの熱伝導を受ける保温領域Z2となる。特にこのプレート5の残り半分は、きせかえプレート21の平面形状が、ハーフヒータ4Aにちょうど収まる程度の大きさに形成されている関係で、きせかえプレート21の接触部からの熱、またはハーフヒータ4Aからの僅かな輻射熱しか伝わらず、余分な熱を伝えにくい構造となっている。そのため、省エネルギー性に優れ、きせかえプレート21の加熱スピードも、一体式のプレートよりも早くなる。
【0036】
図13および図14に示すきせかえプレート21は、焼肉用の溝付きプレートであり、これは前述のように、一方向に沿って複数の溝部22を付けるための凸部23がその表面に設けられている。その他、きせかえプレート21は何種類か用意されていて、そのいずれかを自在に取り換えながら使用することができる。図15および図16に示すきせかえプレート21Aは、油の飛び散りを防止する穴あきプレートであって、ここには複数の穴51が開口形成される。また、図17および図18に示すきせかえプレート21Bは、たこ焼きを作るに適した複数の椀状部52を有したたこ焼き用プレートである。さらに、図19および図20に示すきせかえプレート21Cは、こんがり直火風の網焼きプレートである。プレート5の穴部31には、調理目的に応じて、これらのきせかえプレート21,21A〜21Cのいずれかが装着される。
【0037】
このように、きせかえプレート21,21A〜21Cは、プレート5の一部を占有しているに過ぎないため、その分収納性がよく、コストの低減も図ることができる。また、ハーフヒータ4Aを通電すると、ほぼきせかえプレート21,21A〜21Cの部分だけが加熱されるため、省エネルギー性に優れ、余熱時間が短縮する。そのため、加熱調理器としての使い勝手が向上する。さらに、きせかえプレート21,21A〜21Cと、プレート5の全面加熱/片面加熱の選択ができるので、様々なバリエーションの調理ができ、その幅を広げることができる。
【0038】
以上のように本実施例では、加熱手段であるハーフヒータ4Aとオールヒータ4Bとによりプレート5の片面または全面を加熱して調理を行なう加熱調理器において、プレート5の片面に穴部31を設け、この穴部31に複数種の別プレートであるきせかえプレート21,21A〜21Cを取り換え可能に設けている。
【0039】
このように、オールヒータ4Bによりプレート5の全面を加熱すると、プレート5全体が加熱調理に適した加熱領域Z1として使用でき、またハーフヒータ4Aによりプレート5の片面を加熱すると、その片面は加熱調理に適した加熱領域Z1として使用できる一方で、残りの面は保温に適した保温領域Z2として使用できる。その上、調理目的に合せて、プレート5の加熱領域Z1において様々なきせかえプレート21,21A〜21Cを使用できるので、様々なバリエーションの調理に対応することができる。しかも、きせかえプレート21,21A〜21Cはプレートの片面しか占有せず、収納性にも優れる。
【0040】
また本実施例では、プレート5の片面を加熱する際のハーフヒータ4Aの通電部が、きせかえプレート21,21A〜21Cよりも小さい領域に設けられている。
【0041】
このように、ハーフヒータ4Aによりプレート5の片面を加熱すると、ハーフヒータ4Aの通電部がプレート5の部分に直接対向していないため、プレート5の残りの面はきせかえプレート21,21A〜21Cとの接触部からの熱と、ハーフヒータ4Aの僅かな輻射熱しか伝わらなくなる。よって、プレート5に余分な熱が伝わらず、無駄な加熱を行なわずにきせかえプレート21,21A〜21C上で調理を行なうことができる。
【0042】
なお本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で適宜変更が可能である。例えば、各実施例の特徴部分をそれぞれ組み合わせて構成してもよい。また、加熱手段としてプレートを電磁誘導加熱する加熱コイルを利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例における第1のプレートを装着した状態の加熱調理器の平面図である。
【図2】同上、図1における加熱調理器の縦断面図である。
【図3】同上、図2における加熱調理器のA−A線断面図である。
【図4】同上、第2のプレートを装着した状態の要部側面図である。
【図5】同上、図4のA−A線断面図である。
【図6】本発明の第2実施例における第1のプレートを装着した状態の加熱調理器の平面図である。
【図7】同上、図6における加熱調理器の縦断面図である。
【図8】同上、図7における加熱調理器のA−A線断面図である。
【図9】同上、第2のプレートを装着した状態の要部側面図である。
【図10】同上、図9のA−A線断面図である。
【図11】同上、別の変形例を示す要部の平面図である。
【図12】同上、図11における縦断面図である。
【図13】本発明の第3実施例におけるプレートを装着した状態の加熱調理器の平面図である。
【図14】同上、図13における加熱調理器の縦断面図である。
【図15】同上、きせかえプレートとして穴あきプレートを装着した状態の要部平面図である。
【図16】同上、図15におけるプレートの縦断面図である。
【図17】同上、きせかえプレートとしてたこ焼きプレートを装着した状態の要部平面図である。
【図18】同上、図17におけるプレートの縦断面図である。
【図19】同上、きせかえプレートとして網焼きプレートを装着した状態の要部平面図である。
【図20】同上、図19におけるプレートの縦断面図である。
【図21】従来例を示す加熱調理器の平面図である。
【図22】図21における加熱調理器の縦断面図である。
【図23】別の従来例を示す加熱調理器の平面図である。
【図24】図23における加熱調理器の縦断面図である。
【図25】別の従来例を示す加熱調理器の平面図である。
【図26】図25における加熱調理器の縦断面図である。
【図27】別の従来例を示す加熱調理器の平面図である。
【図28】図27における加熱調理器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
4 ヒータ(加熱手段)
4A ハーフヒータ(加熱手段)
4B オールヒータ(加熱手段)
5 第1のプレート(プレート)
21,21A〜21C きせかえプレート(プレート)
31 穴部
42 段差部
43 隙間
45 段差部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理を行なう加熱調理器において、穴部を設け、プレートを取り換え可能に設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
加熱手段の通電部が、前記プレートよりも小さい領域に設けられることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項1】
調理を行なう加熱調理器において、穴部を設け、プレートを取り換え可能に設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
加熱手段の通電部が、前記プレートよりも小さい領域に設けられることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2006−142042(P2006−142042A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3476(P2006−3476)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【分割の表示】特願2002−272102(P2002−272102)の分割
【原出願日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【分割の表示】特願2002−272102(P2002−272102)の分割
【原出願日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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