説明

加熱調理器

【課題】アルミ箔を適切に取り付けることができる焼網を有するロースターを備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】本体内に前面が開口され天面側と底面側の両者又はいずれか一方にヒータ23a、23bが設けられた加熱室20と、加熱室20の前面開口部21を開閉する扉30、及び扉30に連結されて加熱室20に出し入れ自在な汁受け皿31と、汁受け皿31上に載置する焼き網40とを有し、焼き網40の前後にそれぞれアルミ箔50を巻き付ける巻き付け部48、49を設けた。この巻き付け部48、49は、線材または板金によって形成されており、焼き網40の前後の斜め下方に凸状に突出する。そして、アルミ箔50は、前後部をほぼU字状に折り返して焼き網40の下方より巻き付け部48、49に巻き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理器に係り、より詳しくは、アルミ箔を適切に取り付けることができる焼網を有するロースターを備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器は、本体内にグリル庫を備え、グリル庫の前面の開口部を通してグリル庫に出し入れ自在なグリル皿と、このグリル皿上に載置された焼き網と、この焼き網の上方に設けた上ヒータと、焼き網とグリル皿の間に設けた下ヒータと、グリル皿に接続して設けたグリル庫の開口部を塞ぐドアとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、使用時に調理対象物から落ちる油などの汚れが、直接グリル皿に付着するのを防止するために、焼網のフレームの下部に、左右に渡ってアルミ箔を巻き付けて用いるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−312799号公報(第3頁−第4頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の加熱調理器においては、焼き網にアルミ箔を巻き付けて使用すると、アルミ箔の端面を上方に折り曲げて内側方向に巻き付けることから、アルミ箔が上側に突出してヒータと接触し、発火する恐れがあった。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、アルミ箔を適切に取り付けることができる焼網を有するロースターを備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、本体内に前面が開口され天面側と底面側の両者又はいずれか一方にヒータが設けられた加熱室と、加熱室の前面開口部を開閉する扉及びこの扉に連結されて加熱室に出し入れ自在な汁受け皿と、汁受け皿上に載置する焼き網とを有し、
焼き網の前後にそれぞれアルミ箔を巻き付ける巻き付け部を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
焼き網の前後にアルミ箔を巻き付ける巻き付け部を設けたので、アルミ箔を焼き網に適切に取り付けることができ、ヒータと接触して発火することはない。また、焼き網の巻き付け部は汁受け皿の底面の前後に当接するので、焼き網のガタツキを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の設置状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
【図3】図2の加熱調理器の縦断面図である。
【図4】図2の加熱調理器の要部の分解斜視図である。
【図5】図2の加熱調理器の要部の分解斜視図、及びその正面図である。
【図6】図2の加熱調理器の要部の上面図、及びその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1、図2において、キッチンキャビネット1は、前面に扉2を有するキャビネット本体3と、この上面部に設けたキッチンカウンタートップ4とからなっている。
また、キッチンキャビネット1にビルトインされた例えば電磁誘導式の加熱調理器5は、天板組立体6を有する上部ユニット7と、ロースター8及び操作部9を有しキッチンキャビネット1内に収容される下部ユニット10とからなり、天板組立体6をキッチンカウンタートップ4の上面とほぼ面一に露出させ、ロースター8の前部及び操作部9をキャビネット本体3の前面とほぼ面一に露出させている。
【0011】
上部ユニット7は、上部が開口された本体ケース11の上面に天板組立体6が設けられており、天板組立体6の下方、すなわち本体ケース11内の左右及び後方中央には例えば誘導加熱コイルの如き加熱手段(図示せず)が配設され、天板組立体6の上面の加熱手段に対応した位置には調理容器の載置部12、13、14が設けられている。
なお、天板組立体6の後方には吸気口と排気口が設けられており、この上面にはこれを覆うようにスリット形状のカバー15が設置されている。
【0012】
下部ユニット10は、本体ケース11の前部左右に操作部9を設けると共に、本体ケース11内にはロースター8を構成する加熱室20(図3参照)を備えている。なお、操作部9は、加熱手段による加熱調理等を行うときに操作するもので、複数の操作スイッチや表示部が設けられている。
【0013】
図3において、加熱室20は、本体ケース11内に設けられて前面が開口された前面開口部21を有し、天面側と底面側には上ヒータ23a及び下ヒータ23bが設けられている。そして、加熱室20の前面開口部21には後述の汁受け皿31と連結されて前面開口部21を開閉する扉30が設けられている。
【0014】
加熱室20内には、前面開口部21を通して出し入れ可能な磁性材からなる汁受け皿(グリル皿)31が設けられており、扉30の背面下部に着脱可能に取り付けられて扉30の開閉と共に加熱室20内を前後方向に移動するようになっている。
汁受け皿31は、図4に詳述するように、底面31aと周壁31bとからなり、周壁31bの上方縁部には外側に張り出したフランジ31cが設けられている。
【0015】
この汁受け皿31の上には、これに載置して被調理物を載せる焼き網40が設けられている。焼き網40は、図4に詳述するように、磁性材からなる線材をほぼコ字状に折り曲げた載置部42、垂直部43及び脚部44からなる一対の主枠41a、41bと、この主枠41a、41bをほぼ平行に対向させて左右の載置部42を複数の第1の線材45で連結して被調理物を載置する載置部46を形成し、また、左右の載置枠部42と、脚部44のほぼ中央を第2の線材47a、47aで連結し、さらに左右の脚部44のほぼ中央を第3の線材45aで連結して形成したものである。
【0016】
そして、焼き網40の前後に、それぞれ後述するアルミ箔(アルミホイル)50を巻き付けるための巻き付け部、すなわち前巻き付け部48及び後巻き付け部49が設けられている。前巻き付け部48は前側の斜め下方に舌状(凸状)に突出した線材によって構成されており、図5、図6に詳述するように、第1の線材45と平行な直線状のアルミ箔係止部48aと、アルミ箔係止部48aの左右を後側にほぼ直角に折り曲げた肩部48bと、左右の肩部48bからほぼ直角に外側に折り曲げた支持部48cとによって形成され、左右の支持部48cの端部がそれぞれ左右の主枠41a、41bの垂直部43と脚部44との折り曲げ部に連結されている。
【0017】
同様にして、後巻き付け部49は後側の斜め下方に舌状(凸状)に突出した線材によって構成されており、第1の線材45と平行な直線状のアルミ箔係止部49aと、アルミ箔係止部49aの左右を前面側にほぼ直角に折り曲げた肩部49bと、左右の肩部49bからほぼ直角に外側に折り曲げた支持部49cとによって形成され、左右の支持部49cの端部がそれぞれ左右の主枠41a、41bの脚部44の後端部に連結されている。
【0018】
こうして、前巻き付け部48及び後巻き付け部49は前側及び後側の斜め下方に舌状(凸状)に突出しているため、左右の肩部48b、49bの外側は焼き網40を汁受け皿31に載置したときでも汁受け皿31と接触せず、干渉しない。
上記の説明では、前巻き付け部48及び後巻き付け部49はともに線材で形成したが、板金等により形成してもよい。
なお、焼き網40を汁受け皿31に載置した場合、下ヒータ23bは焼き網40の間、すなわち載置部46と脚部44との間に配設される。
【0019】
焼き網40の下部にはアルミ箔(アルミホイル)50が取り付けられており、焼き網40を使用しているときに、調理対象物から落ちる油などの汚れが、直接汁受け皿31に付着しないようにしてある。
このアルミ箔50は、前後部を上側にほぼU字状に折り返した折り返し部50a、50bを、焼き網40の前巻き付け部48のアルミ箔係止部48a、及び後巻き付け部49のアルミ箔係止部49aに巻き付けたもので、この状態で焼き網40を汁受け皿31に載置してある。この場合、焼き網40の前後の斜め下方に突出した前巻き付け部48のアルミ箔係止部48a、及び後巻き付け部49のアルミ箔係止部49aが、焼き網の汁受け皿31の底面31a前後(側面31bとの境)に当接し、焼き網40のガタツキを防止している。
【0020】
上記のように構成した加熱調理器の作用について説明する。
調理時には、図3に示す扉30の取っ手30aに手を掛けて汁受け皿31及び汁受け皿31に載置された焼き網40を引き出す。
そして、アルミ箔50の前に設けたほぼU字状に折り返して折り返し部50a、50bを、前巻き付け部48のアルミ箔係止部48a、及び後巻き付け部49のアルミ箔係止部49aに巻き付ける。
【0021】
こうして、焼き網40の下にアルミ箔50を取り付けたのち、焼き網40の載置部46に調理対象物である例えば魚を載置し、扉30を閉じる。
この状態で、操作部9の操作スイッチを操作し、調理対象物である魚を、天面と底面に設けた上、下のヒータ23a、23bによって加熱して、調理する。
この際、焼き網40は、焼き網40に巻き付けられるアルミ箔50の巻き付け側の端が、下ヒータ23bと干渉しない位置にあるため、アルミ箔50が下ヒータ23bと接触することがなく、このため発火するおそれがない。
調理後、扉30を引いて汁受け皿31及び焼き網40を引き出す。焼き網40は、前巻き付け部48のアルミ箔係止部48a、及び後巻き付け部49のアルミ箔係止部49aにより汁受け皿31の底面31a前後に当接されているので、焼き網40の使用時や、扉30の開閉時にガタツキがない。
【0022】
本実施の形態によれば、焼き網40の前後に斜め下方に突出する前巻き付け部48及び後巻き付け部49を設けたので、焼き網40に巻き付けられるアルミ箔50の巻き付け側の端がヒータ(下ヒータ23b)と干渉せず、このためアルミ箔が発火するおそれがない。
また、前後の斜め下方に突出した前巻き付け部48のアルミ箔係止部48a、及び後巻き付け部49のアルミ箔係止部49aを、焼き網40の汁受け皿31の底面31aの前後端に線状に当接したので、焼き網40が前後方向に移動するのを阻止してガタツキを抑えることができ、焼き網40とグリル皿31との干渉音を小さくすることができる。
さらに、前巻き付け部48及び後巻き付け部49の左右の肩部48b、49bの外側は汁受け皿31と接触しないので、汁受け皿31と干渉することはなく、グリル皿31の角部に傷が発生したり、割れたりすることもない。
【符号の説明】
【0023】
5 加熱調理器、20 加熱室、21 前面開口部、23a、23b 上、下ヒータ、30 扉、31 汁受け皿、40 焼き網、48、49 巻き付け部、48a、49a アルミ箔係止部、48b、49b 肩部、48c、49c 支持部、50 アルミ箔、50a、50b 折り返し部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に前面が開口され天面側と底面側の両者又はいずれか一方にヒータが設けられた加熱室と、
該加熱室の前面開口部を開閉する扉、及び該扉に連結されて前記加熱室に出し入れ自在な汁受け皿と、
該汁受け皿上に載置する焼き網とを有し、
前記焼き網の前後にそれぞれアルミ箔を巻き付ける巻き付け部を設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記アルミ箔を巻き付ける巻き付け部は、前記焼き網の前後の斜め下方に突出することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記巻き付け部は前記焼き網の前後の斜め下方に凸状に突出することを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記巻き付け部は、前記焼き網の前後方向と直交するアルミ箔係止部と、該アルミ箔係止部の左右をそれぞれ前側と後側にほぼ直角に折り曲げた肩部と、該左右の肩部にほぼ直角に外側に折り曲げた支持部とによって形成され、前記支持部の端部を前記焼き網の前端部及び後端部に連結することを特徴とする請求項3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記アルミ箔を巻き付ける巻き付け部は、線材または板金によって形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記アルミ箔は、前記焼き網の巻き付け部に、前記アルミ箔の前後部をほぼU字状に折り返して前記焼き網の下方より巻き付けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−217794(P2011−217794A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86946(P2010−86946)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】