説明

加熱調理器

【課題】火力設定キーの長押しで火力を複数段階変更できる機能を有すると共に、安全性を確保しつつ、火力設定キーの異常を検知すること。
【解決手段】加熱部1の火力を複数段階に設定できる火力設定キー4を含む複数の入力キーを有し、複数の入力キーのいずれかに多重押しあるいは単独で一定時間継続してキー押下が行われるなどのキー異常が生じたことを検知するキー異常検知機能を有し、火力設定キー4は、加熱部1の火力を上昇させる火力アップキー4aと、加熱部の出力を低下させる火力ダウンキー4bから構成され、火力設定キー4を所定時間受け付けると加熱部1の火力を一段階変更すると共に、火力ダウンキー4bを所定時間以上受け付けた場合のみ、加熱部1の火力を複数段階低下させると共に、キー異常を検知するまでの検知時間を通常より長く設定する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭やレストラン及びオフィスなどで使用される操作表示部を備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は、図3に示すように、鍋などの負荷を加熱する加熱部101と、加熱部101の動作を設定すると共に、この設定内容を表示する操作表示部102とが備えられている。
【0003】
この操作表示部102には、加熱部のオン・オフを制御する加熱キー103、加熱部101の火力を複数段階に設定でき、火力を強くする火力アップキー104a、火力を弱くする火力ダウンキー104bを有した火力設定キー104、及び、火力設定キー104にて設定した火力の表示を行う火力表示素子105と、火力表示素子105の近傍に配置され、加熱部101に設定可能な設定火力を文字または記号により表示する火力段階表示素子106が設けられている。
【0004】
これらにより、加熱部101に設定可能な火力段階及び使用中の火力を視覚的に把握できるようになっている。
【0005】
前記構成において、利用者は加熱キー103を押す毎に加熱部101のオン・オフを制御できると共に、火力アップキー104aを押す毎に加熱部101の火力を1段階ずつ強くでき、火力ダウンキー104bを押す毎に加熱部101の火力を1段階ずつ弱くできる。
【0006】
また、現在、加熱部101に設定されている設定火力を、火力段階表示素子106に表示する。
【0007】
また、加熱動作中に加熱キー103が異常状態(加熱キー103を含む複数キーの多重押し、或いはキーの単独押しで一定時間入力が継続した状態)になった場合には、安全性を配慮し加熱動作を停止するものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−279055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来の構成では、火力アップキー104aあるいは火力ダウンキー104bを1度押す毎に加熱部101の火力を1段階強くあるいは弱くすることができる。
【0010】
しかしながら、加熱部101にて設定可能な設定火力が「1・2・3・4・5」の5段階であり、火力設定「1」の状態から、火力設定「5」に変更するためには、火力ダウンキー104bを4回押さなければならず、逆もまた、然りである。そのため、利用者にとって煩わしく、素早く火力変更をするのが困難である。
【0011】
前記のように、加熱部101の火力を大幅に変更したい場合などにおいて、火力設定キーを何度も押さなければならず、利用者にとって煩わしく、調理ミスをしてしまう恐れが
あるという課題を有していた。
【0012】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、利用している火力設定を大幅に変更したい場合でも、素早く火力変更ができ、利用者に、より使い勝手の良い加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、加熱部と、前記加熱部の動作を設定すると共に、この設定内容を表示する操作表示部と、前記加熱部の火力を複数段階に設定できる火力設定キーを含む複数の入力キーを有し、前記複数の入力キーのいずれかに多重押しあるいは単独で一定時間継続してキー押下が行われるなどのキー異常が生じたことを検知するキー異常検知機能を有し、前記火力設定キーは、前記加熱部の火力を上昇させる火力アップキーと、前記加熱部の出力を低下させる火力ダウンキーから構成され、前記火力設定キーを所定時間受け付けると前記加熱部の火力を一段階変更すると共に、前記火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた場合のみ、前記加熱部の火力を複数段階低下させると共に、前記キー異常を検知するまでの検知時間を通常より長く設定する構成としたものである。
【0014】
これによって、火力設定キーを増加させることなく、加熱部の火力を1段階だけ変更したい場合と、複数段階低下させたい場合の両方のケースを同時に満足することができ、また、火力を低下させる場合のみとすると共に、キー異常検知を有することで安全性を保ちながら、火力変更を素早く行うことができる。さらに、火力設定キーが煩雑でないため、利用者に直感的に分かりやすい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の加熱調理器は、加熱部の火力設定を変更するとき、同一の火力設定キーの受け付け方のみを変更することにより、加熱部の火力を一段階変更する場合と、複数段階低下させる場合とを同時に満足する操作を行うことができ、火力設定キーを煩雑にすることなく、安全性を確保しつつ、利用者により使い勝手の良い加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における加熱調理器の外観図
【図3】従来の加熱調理器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、加熱部と、前記加熱部の動作を設定すると共に、この設定内容を表示する操作表示部と、前記加熱部の火力を複数段階に設定できる火力設定キーを含む複数の入力キーを有し、前記複数の入力キーのいずれかに多重押しあるいは単独で一定時間継続してキー押下が行われるなどのキー異常が生じたことを検知するキー異常検知機能を有し、前記火力設定キーは、前記加熱部の火力を上昇させる火力アップキーと、前記加熱部の出力を低下させる火力ダウンキーから構成され、前記火力設定キーを所定時間受け付けると前記加熱部の火力を一段階変更すると共に、前記火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた場合のみ、前記加熱部の火力を複数段階低下させると共に、前記キー異常を検知するまでの検知時間を通常より長く設定する構成としたものである。これにより、新たな火力設定キーを設けることなく、加熱部の火力を一段階変更する場合と、複数段階変更する場合の両方の操作を行うことができ、かつ、加熱部の火力を複数段階変更する操作として、火力ダウンキーのみを対象とすることにより、誤使用や誤動作にて加熱部の火力を異常に上昇させてしまうことを防止できるため、安全性を維持しながら、操作性の向上を図ること
ができる。
【0018】
第2の発明は、特に、第1の発明において、操作表示部は、火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた場合に、加熱部の火力を複数段階一気に低下させる構成としたものである。これにより、加熱部の火力調節を素早く行うことができるため、操作性を向上させることができる。
【0019】
第3の発明は、特に、第1または第2いずれか1つの発明において、操作表示部は、火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた場合に、加熱部の火力を一段階ずつ徐々に低下させる構成としたものである。これにより、加熱部の火力調節を利用者が任意に素早く行うことができるため、使い勝手を向上させることができる。
【0020】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、操作表示部は、火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた時間の長さに応じて、加熱部の火力を変更する段階を決定する構成としたものである。これにより、加熱部の火力を低下させたい程、火力ダウンキーを長く押せば良いといったように、利用者にとって直感的に分かりやすい操作が可能となる。
【0021】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、操作表示部は、火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた時間の長さに応じて、加熱部の火力を変更する時間間隔を決定する構成としたものである。これにより、加熱部の火力を大幅に変更したい場合などにおいても、素早く火力の変更が可能となり、利便性を向上させることができる。
【0022】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明において、操作部は、本体の天面に設けられたトッププレートに配し、静電容量式タッチパネルキーの構成としたものである。これにより、多重押しまたは単独押しを一定時間押下した状態などの天面に備わるタッチパネルに対する不用意なキー入力が行われやすい構造に対するキー異常時でも、安全性を高めつつ使用勝手を向上することができ、また、ふきこぼれや水の付着などによるキー異常時の対処(操作部分の汚れを拭き取るなど)をし易くすることができる。また、キッチンに対するスタイリッシュな外観デザインを実現あるいは向上することができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のブロック図を示すものである。
【0025】
図1において、鍋などの負荷を加熱する加熱部1を有し、操作表示部2は、加熱部1の動作設定状態を設定し、その設定状態に対応した表示を行い、スイッチ、LEDやLCDで構成したものである。
【0026】
前記構成において、その動作を説明する。使用者が操作表示部2のスイッチを操作することにより操作表示部2は、加熱部1に動作開始あるいは設定火力の信号を出力する。これを受けた加熱部1は加熱動作を開始し、あるいは加熱動作中のものに対しては火力の設定を変更するなどの動作を行う。
【0027】
これと同時に操作表示部2は設定した加熱部の状態を表示している。この時、操作表示部2はLEDやLCDで構成された動作表示要素を有しているため、使用者は加熱部1がどのような設定状態で動作しているかを容易に視認することができる。
【0028】
例えば、加熱部1を加熱し、鍋などの負荷を加熱する場合には、図1に示す操作表示部2の加熱キー3及び、火力アップキー4a、火力ダウンキー4bから構成させる火力設定キー4により、加熱開始と停止は加熱キー3を押す毎に設定でき、加熱動作中に火力アップキー4aまたは火力ダウンキー4bを押せば、加熱火力を変更する。
【0029】
また、加熱火力の設定は、火力「5」の2500W、火力「4」の2000W、火力「3」の1500W、火力「2」の1000W、火力「1」の500Wの5段階に変更可能である。
【0030】
これと同時に加熱部の加熱状態を示す加熱表示素子5、火力設定状態を示す火力表示素子6にてそれぞれ、設定されている状態を点灯・消灯により表示する。
【0031】
加熱動作中であれば加熱状態を示す加熱表示素子5を点灯させ、加熱停止中であれば消灯させる。
【0032】
また、火力設定状態を示す火力表示素子6には、設定されている火力、本実施の形態では「5」・「4」・「3」・「2」・「1」といった火力に対応したLEDを点灯させる。
【0033】
上記構成において、加熱部1を加熱動作させるために、加熱キー3を所定時間A(例えば0.2秒)押すことにより、操作表示部2にてその入力を受け付け、加熱部1に加熱動作信号を出力すると共に、加熱状態を示す加熱表示素子5を点灯させ、火力設定状態を示す火力表示素子6に加熱部1の初期火力「3」を表示する。
【0034】
すなわち、操作表示部2は加熱キー3が所定時間A(例えば0.2秒)押されることにより、その入力を受け付け、また、操作表示部2から加熱動作信号を受けた加熱部1は、初期火力「3」にて、加熱動作を開始する。
【0035】
さらに、加熱部1の設定火力を変更するために、火力アップキー4aあるいは火力ダウンキー4bを所定時間A(例えば0.2秒)押すことにより、操作表示部2にてその入力を受け付け、加熱部1に火力一段階変更信号(火力上昇信号あるいは、火力低下信号)を出力すると共に、火力設定状態を示す火力表示素子6に加熱部1の変更後の火力「4」(火力アップキー4aを押した場合)あるいは「2」(火力ダウンキー4bを押した場合)を表示する。
【0036】
すなわち、操作表示部2は火力設定キー4が所定時間A(例えば0.2秒)押される毎に、その入力を受け付け、また、加熱部1は操作表示部2から火力一段階変更信号(上昇あるいは低下)を受け付け、変更後の火力に火力を変更し、加熱動作を継続する。
【0037】
また、操作表示部2に設置されている入力キー(加熱キー3、火力アップキー4aまたは火力ダウンキー4b)のいずれかが、多重押しあるいは単独押しで、入力キーの入力を受け付ける所定時間A(例えば0.2秒)以上の所定時間B(例えば、0.6秒)以上押されたと判断した場合には、入力キーに異常が生じたと判断し、キー異常検知機能が動作する。
【0038】
キー異常検知機能が動作すると、加熱部1が加熱動作中の場合は、加熱動作を停止し、操作表示部2に設置されているキー異常表示素子7を点灯させる。なお、加熱部1が加熱停止中に、キー異常検知機能が動作すると、キー異常表示素子7を点灯させ、入力キー(特に加熱キー3)が押されてもその入力を受け付けず、加熱部1は加熱停止状態を維持す
る。
【0039】
このとき、火力ダウンキー4bを所定時間A(例えば、0.2秒)押され、キーの入力を受け付けた後にも火力ダウンキー4bの押下が続いていれば、押下の時間の長さに応じて、火力を変更する段階を設定する。
【0040】
すなわち、加熱部1が設定火力「5」にて動作中(火力設定状態を示す火力表示素子6に火力「5」が表示された状態)に、火力ダウンキー4bが所定時間A(例えば0.2秒)押されると、火力設定を1段階低下させる処理を行うが、キー入力を受け付けた後も火力ダウンキー4bの押下が続いており、その長さが例えば0.1秒以上0.2秒未満であれば2段階、0.2秒以上0.3秒未満であれば3段階、0.3秒以上0.4秒未満であれば4段階というように、操作表示部2が、火力ダウンキー4bが押されている時間を検知し、その時間の長さに応じて変更する火力の段階を決定する。
【0041】
このように、火力設定キー4が押されている時間の長さに応じて、変更する火力の段階を決定することにより、利用者は少ない操作で素早く火力を変更することができ、操作性を向上させることができる。
【0042】
さらに、火力ダウンキー4bが長押しされる時間に応じて、火力を1段階低下させてから、次に1段階低下させるまでの時間を徐々に長く設定しても良い。すなわち、加熱部1が設定火力「5」にて動作中(火力設定状態を示す火力表示素子6に火力「5」が表示された状態)に、火力ダウンキー4bが所定時間A(例えば0.2秒)押されると、火力設定を1段階低下させる処理を行い、火力ダウンキー4bの押下が継続されていると、その継続時間が、例えば0.1秒以上0.2秒未満であれば2段階、0.2秒以上0.4秒未満であれば3段階、0.4秒以上0.8秒未満であれば4段階というように、操作表示部2が、火力ダウンキー4bが押されている時間を検知し、その時間の長さに応じて変更する火力の段階を決定する。
【0043】
このように、変更する火力の段階が多ければ多いほど、より火力ダウンキー4bの長押しが必要になるようにすることで、利用者にとって、任意の火力への火力ダウン操作が行いやすく、操作ミスを低減させることができる。
【0044】
なお、このとき、キー異常検知機能は、火力ダウンキー4bが長押しされ、火力を複数段階低下させる処理を行った後、動作する。
【0045】
すなわち、加熱部1が設定火力「5」にて動作中に火力ダウンキー4bが長押しされたとき、まず、所定時間A(例えば0.2秒)経過後に、火力を4に低下させる処理を行い、引き続き長押しされているため、さらに一定時間経過するごとに1段階火力を低下する処理が行われ、最終的には火力を4段階低下させる処理が行われる。
【0046】
この火力を4段階低下させる処理が行われた後も引き続き火力ダウンキー4bが所定時間D(例えば、1.0秒)以上押されている状態であれば、キー異常検知機能が動作し、加熱を停止させる。
【0047】
このとき、キー異常検知機能が動作するまでの時間(所定時間D)を、入力キー(加熱キー3、火力アップキー4aまたは火力ダウンキー4b)のいずれかが、多重押しあるいは単独押しの状態で、キー異常検知機能が動作するまでの時間(所定時間C)よりも長く設定する。
【0048】
すなわち、初期状態あるいは加熱状態にて、入力キー(加熱キー3、火力アップキー4
aまたは火力ダウンキー4b)のいずれかの多重押しあるいは単独押しを、所定時間C(例えば、0.6秒)以上検知すると、キー以上検知機能が動作するが、加熱状態にて、火力ダウンキー4bが長押され、設定火力が複数段階変更されている場合には、設定火力が最低火力まで変更された後、さらに火力ダウンキー4bが所定時間D(例えば、1.0秒)以上長押しされている状態を検知するまで、キー異常検知機能は動作しない。
【0049】
このように、火力ダウンキー4bの長押しなどにより火力が変更されている場合には、キー異常を検知するまでの時間を通常より長く設定することにより、通常時の安全性を確保しつつ、火力ダウンキー4bの長押しなどにより火力が変更されている場合においても、キー異常検知が頻繁に動作することがないため、利用者にとって利便性が高い。
【0050】
図2は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の外観図である。
【0051】
図2において、操作表示部2は、図2に示す本体8の天面に設けられたトッププレート9に配し、静電容量式タッチパネルキー10の構成とする。このように、静電容量式タッチパネルキーとすることにより、利用者は操作表示部2などの清掃を容易に行うことができ、利便性が良い。
【0052】
以上のように本実施の形態によれば、火力の段階を1段階のみ変更する火力設定キー4が、長押しされている場合には火力を複数段階変更するという付加価値を備えると共に、キーの多重押しや長押しを検知するキー異常検知機能は、火力設定キー4の長押しにより火力が複数段階変更されている場合には、キー異常を検知するまでの時間を通常時よりも長く設定することにより、安全性を維持しつつ、利用者の使い勝手を向上することができる。
【0053】
(実施の形態2)
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。加熱調理器の基本構成は、図1に示す実施の形態1のブロック図と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
加熱部1の設定火力を変更するために、火力アップキー4aあるいは火力ダウンキー4bを所定時間A(例えば0.2秒)押すことにより、操作表示部2にてその入力を受け付け、加熱部1に火力一段階変更信号(火力上昇信号あるいは、火力低下信号)を出力すると共に、火力設定状態を示す火力表示素子6に加熱部1の変更後の火力「4」(火力アップキー4aを押した場合)あるいは「2」(火力ダウンキー4bを押した場合)を表示する。
【0055】
すなわち、操作表示部2は火力設定キー4が所定時間A(例えば0.2秒)押される毎に、その入力を受け付け、また、加熱部1は操作表示部2から火力一段階変更信号(上昇あるいは低下)を受け付け、変更後の火力に火力を変更し、加熱動作を継続する。
【0056】
また、操作表示部2に設置されている入力キー(加熱キー3、火力アップキー4aまたは火力ダウンキー4b)のいずれかが、多重押しあるいは単独押しで、入力キーの入力を受け付ける所定時間A(例えば0.2秒)以上の所定時間B(例えば、0.6秒)以上押されたと判断した場合には、入力キーに異常が生じたと判断し、キー異常検知機能が動作する。
【0057】
キー異常検知機能が動作すると、加熱部1が加熱動作中の場合は、加熱動作を停止し、操作表示部2に設置されているキー異常表示素子7を点灯させる。なお、加熱部1が加熱停止中に、キー異常検知機能が動作すると、キー異常表示素子7を点灯させ、入力キー(特に加熱キー3)が押されてもその入力を受け付けず、加熱部1は加熱停止状態を維持す
る。
【0058】
このとき、火力ダウンキー4bを所定時間A(例えば、0.2秒)押され、キーの入力を受け付けた後にも火力ダウンキー4bの押下が続いていれば、押下の時間の長さに応じて、火力を徐々に変更する。
【0059】
すなわち、加熱部1が設定火力「5」にて動作中(火力設定状態を示す火力表示素子6に火力「5」が表示された状態)に、火力ダウンキー4bが所定時間A(例えば0.2秒)押されると、火力設定を1段階低下させる処理を行い、操作表示部2は加熱部1に火力を1段階低下させる信号(この場合設定火力「4」)を送信すると共に、火力設定状態を示す火力表示素子6の表示を1段階変更する(この場合火力「4」)。
【0060】
さらに、キー入力を受け付けた後も火力ダウンキー4bの押下が続いていれば、押下が0.1秒経過する度に、火力設定を1段階低下させる処理を行い、操作表示部2は加熱部1に火力を1段階低下させる信号を送信すると共に、火力設定状態を示す火力表示素子6の表示を1段階変更する。
【0061】
すなわち、押下された時間が0.1秒経過すると設定火力「3」に、さらに押下された時間が0.1秒経過すると設定火力「2」に、さらに押下された時間が0.1秒経過すると設定火力「1」に変更される。
【0062】
このように、火力設定キー4が長押しされ続けるのを検知して、段階的に設定火力を変更することにより、利用者は少ない操作で簡単に火力を変更することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0063】
さらに、火力ダウンキー4bが長押しされる時間に応じて、火力を1段階低下させてから、次に1段階低下させるまでの時間を徐々に長く設定しても良い。
【0064】
すなわち、加熱部1が設定火力「5」にて動作中(火力設定状態を示す火力表示素子6に火力「5」が表示された状態)に、火力ダウンキー4bが所定時間A(例えば0.2秒)押されると、操作表示部2は加熱部1に火力を1段階低下させる信号(この場合設定火力「4」)を送信すると共に、火力設定状態を示す火力表示素子の表示を1段階変更する(この場合火力「4」)。
【0065】
さらに、火力ダウンキー4bの押下が継続されていると、押下された時間が0.1秒経過すると設定火力「3」に、さらに押下された時間が0.2秒経過すると設定火力「2」に、さらに押下された時間が0.4秒経過すると設定火力「1」に変更される。
【0066】
このように、変更する火力の段階が多ければ多いほど、より火力ダウンキー4bの長押しが必要になるようにすることで、利用者にとって、任意の火力への火力ダウン操作が行いやすく、操作ミスを低減させることができる。
【0067】
なお、このとき、キー異常検知機能は、火力ダウンキー4bが長押しされ、火力を段階的に低下させる処理を行った後、動作する。すなわち、加熱部1が設定火力「5」にて動作中に火力ダウンキー4bが長押しされたとき、まず、所定時間A(例えば0.2秒)経過後に、火力を4に低下させる処理を行い、引き続き長押しされているため、さらに一定時間経過するごとに1段階ずつ火力を低下する処理が行われ、最終的には火力を4段階低下させる処理が行われる(設定火力は最低火力の「1」となる)。
【0068】
この火力を4段階低下させる処理が行われた後も引き続き火力ダウンキー4bが所定時
間D(例えば、1.0秒)以上押されている状態であれば、キー異常検知機能が動作し、加熱を停止させる。
【0069】
このとき、キー異常検知機能が動作するまでの時間(所定時間D)を、入力キー(加熱キー3、火力アップキー4aまたは火力ダウンキー4b)のいずれかが、多重押しあるいは単独押しの状態で、キー異常検知機能が動作するまでの時間(所定時間C)よりも長く設定する。
【0070】
すなわち、初期状態あるいは加熱状態にて、入力キー(加熱キー3、火力アップキー4aまたは火力ダウンキー4b)のいずれかの多重押しあるいは単独押しを、所定時間C(例えば、0.6秒)以上検知すると、キー以上検知機能が動作するが、加熱状態にて、火力ダウンキー4bが長押され、設定火力が段階的に変更されている場合には、設定火力が最低火力まで変更された後、さらに火力ダウンキー4bが所定時間D(例えば、1.0秒)以上長押しされている状態を検知するまで、キー異常検知機能は動作しない。
【0071】
このように、火力ダウンキー4bの長押しなどにより火力が変更されている場合には、キー異常を検知するまでの時間を通常より長く設定することにより、通常時の安全性を確保しつつ、火力ダウンキー4bの長押しなどにより火力が変更されている場合においてもキー異常検知が頻繁に動作することがないため、利用者にとって使いやすい。
【0072】
また、操作表示部2は、図2に示す本体の天面に設けられたトッププレートに配し、静電容量式タッチパネルキーの構成とする。このように、静電容量式タッチパネルキーとすることにより、利用者は操作表示部2などの清掃を容易に行うことができ、利便性が良い。
【0073】
以上のように本実施の形態によれば、火力の段階を1段階のみ変更する火力設定キー4が、長押しされている場合には火力を段階的に変更するという付加価値を備えると共に、キーの多重押しや長押しを検知するキー異常検知機能は、火力設定キー4の長押しにより火力が段階的に変更されている場合には、キー異常を検知するまでの時間を通常時よりも長く設定することにより、安全性を維持しつつ、利用者の使い勝手を向上することができる。
【0074】
尚、本実施の形態では加熱部が1つ存在する場合について述べているが、2つ以上存在する場合でも、各加熱部に対応する操作表示部にて、各火力設定キーの長押しを検知することにより同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、マイクロコンピュータ等を用いたシステムで構築され、操作表示部を有した加熱調理器にて、操作表示部のキー配置を煩雑にすることなく操作性を向上させることが可能となるので、家庭用の加熱調理器だけでなく、レストランの厨房などで使用される業務用の操作表示部を有した加熱調理器にも有効である。
【符号の説明】
【0076】
1 加熱部
2 操作表示部
3 加熱キー
4 火力設定キー
4a 火力アップキー
4b 火力ダウンキー
5 加熱表示素子
6 火力表示素子
7 キー異常表示素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、前記加熱部の動作を設定すると共に、この設定内容を表示する操作表示部と、前記加熱部の火力を複数段階に設定できる火力設定キーを含む複数の入力キーを有し、前記複数の入力キーのいずれかに多重押しあるいは単独で一定時間継続してキー押下が行われるなどのキー異常が生じたことを検知するキー異常検知機能を有し、前記火力設定キーは、前記加熱部の火力を上昇させる火力アップキーと、前記加熱部の出力を低下させる火力ダウンキーから構成され、前記火力設定キーを所定時間受け付けると前記加熱部の火力を一段階変更すると共に、前記火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた場合のみ、前記加熱部の火力を複数段階低下させると共に、前記キー異常を検知するまでの検知時間を通常より長く設定した加熱調理器。
【請求項2】
操作表示部は、火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた場合に、加熱部の火力を複数段階一気に低下させる請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
操作表示部は、火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた場合に、加熱部の火力を一段階ずつ徐々に低下させる請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
操作表示部は、火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた時間の長さに応じて、加熱部の火力を変更する段階を決定する構成とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
操作表示部は、火力ダウンキーを所定時間以上受け付けた時間の長さに応じて、加熱部の火力を変更する時間間隔を決定する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
操作部は、本体の天面に設けられたトッププレートに配し、静電容量式タッチパネルキーの構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−88015(P2012−88015A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237007(P2010−237007)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】