説明

動きを検知する揮発性物質用の蒸発装置

本発明は、好ましくは自動車のための揮発性物質用の、実際の装置の運動によって起動し、それにより、ユーザが自動車に入っているときだけ揮発性物質の蒸発を開始することが補償された蒸発装置に関する。装置は、ケース(1)および少なくとも1つの運動センサ(8)を含み、センサによって放散手段が運転可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、閉鎖空間のための揮発性物質用の蒸発装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、自動車が使用中または乗車中であるときだけに装置が揮発性物質を蒸発させることを保証する目的で、実際の装置の運動によって起動する、好ましくは自動車のための揮発性物質用の蒸発装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に消臭剤および/または殺虫剤である揮発性物質用の様々なタイプの蒸発装置があり、それらは、芯、スプレー、浸透膜、ジェルまたは含浸紙を、前記物質の蒸発のための媒体として利用する。
【0004】
それらの機器は、ユーザによる起動を可能にする手段、および、ある機器では、自動で起動または停止する手段を必要とする。そのような理由で、それらの機器は、昼夜で装置の異なる使用を選択するため、或いは、例えばユーザがいるときだけ蒸発器を起動するために、光センサを備える。
【0005】
例えば、自動車に揮発性物質を放散するためのある適用例では、公知のセンサを備える装置は、自動車内の動きの存在または照明状態を検出するだけでなく、自動車の外の動きまたは照明状態、例えば自動車の側を歩いて通る人にも反応するので、満足な効果を示さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、自動運転する公知の装置は、単に自動車の近くにいる人が、物質の蒸発を開始して、それらの不必要な廃棄および自動車内に不快な程に香りが充満することを引き起こし得る自動車内での使用には相応しくない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の局面は、ケースと、前記ケースにより支持された活性物質の放散手段とを含む揮発性物質用の蒸発装置に関する。装置は、少なくとも前記ケースの運動センサを含み、前記放散手段は、前記センサによって、前記放散手段を運転状態にするように、或いは、ファンの速度を増加させるか、ヒータ温度を上げるか、パルスの頻度を変えるか、第2の放散手段を起動するかのいずれかによってその効果を増大させるように運転可能である。
【発明の効果】
【0008】
運動センサは、機器または装置の動きを追跡および検出し、近くで動く対象物の運動を追跡および検出しない機能を有し、それにより、ユーザが自動車内にいるときだけ揮発性物質の放散が行われ、それにより、不必要な揮発性物質の消費を節約し、自動車内の飽和を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この説明を補足するために、本発明の特徴のよりよい理解を助ける目的で、その現実的実施形態の好ましい例にしたがう、前記説明の不可欠な部分として添付され、説明の方法であって限定的ではない図面として、以下のものが示されている。
【図1】本発明に係る蒸発装置の好ましい実施形態の平面図であって、上側のケースの一部がその内部を視認可能にするために図示されていない。
【図2】図1の装置の斜視図である。
【図3】同じ装置の分解斜視図である。
【図4】同じ装置の別の分解斜視図である。
【図5】本装置の電気的構成図である。
【図6】本発明の他の実施形態の分解斜視図である。
【図7】図6の装置を閉じた状態の個別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい実施形態において、放散手段は、ファンと、浸透膜を備えるカートリッジの中に配置された揮発性物質とからなる。あるプログラム可能な電子手段は、運動センサの検出を考慮して、放散要素、この場合はファンの起動を制御する。
【0011】
このため、ユーザが自動車に入ってそれを動かしたとき、運動センサは、自動車の動きを検出し、そして、センサに接続された電子手段は、ファンに作用し、ファンを作動またはその速度を増加させる。
【0012】
電子手段は、プログラム可能であり、ファンをある時間だけ運転状態に維持、或いは、予め設定した周期の時間またはユーザが選択した時間だけ運転を許可する。
【0013】
ファンは、バッテリにより作動させられ、そのために、装置は、バッテリの電荷が消費されたときに動作、例えばそのような場合に発光または点滅する、LEDのような表示手段をも有する。
【0014】
自動車が移動するとき、運動センサは、そのような状況を検出し、センサに接続された電子手段は、前記検出に応じて起動され、放散手段に揮発性物質の蒸発を許可、開始または促進させる機能を果たす電気信号を生成する。
【0015】
運動または振動センサは、例えば加速時計からなることができる。
【0016】
電子手段は、運動センサが自動車の運動の検出を終えて、放散手段との接続を切った後も、放散要素の動作状態を所定時間の間維持するようにプログラムされている。
【0017】
揮発性物質は、例えば浸透膜を備える容器、または、その中に部分的に浸漬した芯を備える瓶のような、あらゆる公知のタイプの容器の中に保持できる。放散手段もまた、例えば、ヒータエレメント、ファン、電磁弁を備えるスプレー、圧電ミスト発生器等のような、あらゆる公知のタイプのものでよい。ケースは、浸透膜または芯との接触を防止する手段を有する。
【0018】
ケースは、自動車の例えばドアの内側部分、日よけまたは座席のようなどんな内面にも取り付けられる手段を備える。
【0019】
図1には、本発明の好ましい実施形態が示されている。そこでは、装置のケース(1)は、揮発性物質の容器(2)を収容し、容器(2)は、揮発性物質の蒸発を許すための膜(不図示)を備える。フィルム(3)が、製品の保管および移動の間、物質の望まざる揮発を防止するために、前記膜を覆う。
【0020】
電子手段は、いくつかのバッテリ(5)、例えばボタン電池または普通の電池によって電力供給されているプリント回路基板(4)の上に配設されている。スイッチ(6)は、ユーザが装置を接続または切断することを可能にする。
【0021】
この好ましい実施形態において、放散手段は、前記膜の上に空気を吹き付けるように配置され、さらに運動センサ(8)により起動される電子手段によって制御されて、揮発性物質の蒸発を起動または開始するファン(7)からなる。発光ダイオードまたはLED(15)は、装置の運転状態を表示する。
【0022】
特に、図3には、ケース(1)の一端に配置され、ファン(7)に駆り立てられて揮発した製品を含む気流の放出を可能にする開口(16)が見て取れる。
【0023】
ファン(7)は、直流モータ(17)によって運転され、ケース(1)の内側に設置され、ファンにより形成された気流を容器(2)の底部に向かって導くように配置されたアーチ形状を有する偏向バッファ(18,18’)の間に位置する。
【0024】
図5には、装置の電気的構成が示されている。そこでは、電子手段は、運動センサ(8)および電池低下検出器(12)からからの信号を入力として受け取るマイクロコントローラ(10)によって実行される。このマイクロコントローラ(10)の出力としては、ファンのモータ(11)、装置の運転状態の発光表示器(13)およびバッテリ低下表示器(14)がある。
【0025】
バッテリ(5)はマイクロコントローラおよびバッテリ低下検出器(12)に給電する。
【0026】
図6の実施形態において、装置への電力供給は、セダンタイプの自動車に通常存在する電気ソケットに差し込まれる電気コネクタ(19)によって実現されており、装置はこのタイプの自動車に使用できる。ファンに代えて、前記実施形態について説明したような電子手段に依存するヒータエレメント(20)が存在する。
【0027】
揮発性物質の容器(2)は、例えば、浸透膜を備える容器のような、いかなるタイプの公知の容器でもよい。
【0028】
本発明の現実的実施形態の変形可能性は、添付の従属請求項に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースにより保持された揮発性物質を放散させる放散手段とを含み、
前記ケースの運動を検出するように配置された少なくとも1つの運動センサを含み、且つ、前記放散手段が前記運動センサによって運転可能であることを特徴とする揮発性物質用の蒸発装置。
【請求項2】
前記放散手段は、前記揮発性物質の蒸発を活性化させ、且つ、i)ファン、ii)発熱抵抗、iii)膜または芯を閉鎖または開放する膜または芯の隠蔽手段、iv)電磁弁を有するスプレー、v)ミスト発生器、および、vi)それらの組み合わせの中から選択されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記運動センサは、加速時計、振動センサ、全方向振動センサ、運動センサ、傾斜センサ、角度センサおよび位置センサの中から選択しされていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記揮発性物質を蒸発させるための芯または浸透膜を備える揮発性物質容器を包含することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記運動センサの検出に基づいて前記放散手段に作用できるように、前記運動センサおよび前記放散手段に接続された電子手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記電子手段は、設定時間の間、前記放散手段を駆動するようにプログラムされていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記運動センサは、前記放散手段の起動を引き起こすことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記運動センサは、前記放散手段の作用の増進を引き起こすことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記ケースは、自動車の内側表面に固定する手段を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−535660(P2010−535660A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519344(P2010−519344)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058816
【国際公開番号】WO2009/018862
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(500185472)ツォベーレ・エスパーニャ・ソシエダッド・アノニマ (2)
【Fターム(参考)】