説明

動き検出装置

【課題】測定対象物の移動方向が変化した場合であっても、これを即時に検出して測定対象物の移動速度を求めることが可能な動き検出装置を提供する。
【解決手段】特徴領域に対応する画素の投票値のうち、中央の画素にピークが存在する場合には、測定対象物の移動方向が反転したものと判断する。そして、移動方向が反転した場合には、各特徴領域に対応する画素の投票値のうち、方向変化前の影響による投票値と方向変化後の影響による投票値に分類する。そして、方向変化後の影響による投票値に基づき、これを補正して測定対象物の速度を算出する。従って、測定対象物の移動方向が変化した場合には、これを即時に認識し、測定対象物の移動速度検出に反映させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺画像を時系列的に複数撮像し、撮像した画像に含まれる対象物の動きを検出する動き検出装置に係り、特に、対象物の移動方向が変化した場合であっても対象物の動きを高精度に検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における動き検出装置として例えば、特開2010−144474号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。この特許文献1では、測距センサにより測定される障害物のオプティカルフローを検出することにより、障害物の動きを検出しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−244474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例は、例えば、横断歩道を歩行中の歩行者が反対方向に向きを代えた場合等、測定対象物の動きの方向が変化した場合には、これを検知することができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、測定対象物の移動方向が変化した場合であっても、これを即時に検出して測定対象物の移動速度を求めることが可能な動き検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、車両周辺の画像を時系列的に複数撮像する撮像手段と、撮像手段にて撮像された複数の画像からそれぞれ測定対象物の特徴点を抽出する特徴抽出手段と、特徴抽出手段で抽出された特徴点の大きさを、画像の画素に対応して規格化し、規格化された特徴点を特徴領域として設定する特徴点規格化手段とを有する。更に、特徴点規格化手段にて設定された特徴領域が、前記複数の画像に含まれる各画素について、特徴領域が存在した場合に1つの投票値を付与し、更に、複数の画像に対して付与される投票値を各画素毎に積算する特徴領域投票手段と、特徴領域の、中央に存在する画素である内部画素の投票値と、この内部画素周辺の画素の投票値を比較し、内部画素に最大投票値が存在するか否かを判断する投票値比較手段と、投票値評価手段による比較結果に基づいて、特徴領域に対応する各画素の投票値を補正する投票値補正手段と、特徴領域に対応する各画素の補正後の投票値に基づいて、特徴領域の移動速度を算出する移動速度算出手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る動き検出装置では、特徴領域に対応する画素の投票値の増減に基づいて、測定対象物の移動方向が変化しているか否かを判断し、移動方向が変化していると判断された場合には、各特徴領域に対応する画素の投票値のうち、方向変化前の影響による投票値と方向変化後の影響による投票値に分類する。そして、方向変化後の影響による投票値に基づき、これを補正して測定対象物の速度を算出する。従って、測定対象物の移動方向が変化した場合には、これを即時に認識し、測定対象物の移動速度検出に反映させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る動き検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】測定対象物が等速で移動している場合の、各画素の投票値の変化を示す説明図である。
【図3】測定対象物の移動方向が反転した場合の、各画素の投票値の変化を示す説明図である。
【図4】測定対象物の移動方向が反転した場合の、各画素の投票値の変化を示す説明図である。
【図5】測定対象物の移動方向が反転した場合の、各画素の投票値の補正手順を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る動き検出装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る動き検出装置の構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、この動き検出装置100は、車両に搭載して車両外部に存在する測定対象物(例えば、歩行者)の動きを検出するものであり、車両外部に存在する測定対象物を撮像する撮像部(撮像手段)11と、該撮像部11で撮像された映像から特徴点を抽出する特徴抽出部(特徴抽出手段)12と、特徴点を規格化して特徴領域を設定する特徴規格部(特徴点規格化手段)13と、特徴領域が存在する画素に投票値を加算する特徴投票部(特徴領域投票手段)14と、各画素の投票値を評価する投票値比較部(投票値比較手段)15と、評価結果に基づいて投票値を補正する投票値補正部(投票値補正手段)16と、補正後の投票値に基づいて測定対象物の速度を求める速度算出部(移動速度算出手段)17と、を備えている。
【0011】
撮像部11は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子によって構成され、車両周囲の画像を時系列的に撮像する。例えば、30[フレーム/秒]の一定の間隔で周囲の画像を撮像し、撮像した画像データを特徴抽出部12に出力する。
【0012】
特徴抽出部12は、撮像部11で撮像された画像を取得し、この画像を画像処理して動き検出の対象となる対象物(例えば、歩行者)の特徴点を抽出する。特徴点は、例えば画像の濃淡が急激に変化する点であり、対象物のエッジ等である。また、特徴点の抽出方法としては、測定対象物のエッジを検出して特徴点とするエッジ検出フィルタ、測定対象物のコーナエッジを検出して特徴点とするコーナエッジ検出フィルタ、或いは測定対象物の形状特徴成分を特徴点として抽出する手法等を採用することができる。
【0013】
特徴規格化部13は、特徴抽出部12にて抽出された特徴点を基準として、特徴領域の大きさを規格化する。例えば、特徴点を含む周囲の9画素を特徴領域として規格化する。従って、特徴抽出部12で抽出された特徴点を含む特徴領域が一定の大きさとなるように設定されることになる。
【0014】
特徴投票部14は、特徴規格化部13により規格化された特徴領域が検出された位置に対応する画素の投票値を積算する処理、及び、特徴領域が検出されなくなった位置に対応する画素の投票値をリセットする処理を実行する。詳細については、後述する。
【0015】
投票値比較部15は、特徴投票部14で投票された投票値の積算値に基づいて、測定対象物の移動方向が変化したか否かを判断する。詳細には、特徴領域に対応する画素の、周囲以外に存在する画素(例えば、中央の画素)に投票値のピーク(最大投票値)が存在する場合には、測定対象物の移動方向が変化しているものと判断する。
【0016】
投票値補正部16は、投票値比較部15にて測定対象物の移動方向が変化しているものと判断された場合には、特徴領域に対応する各画素の投票値を、方向変化前の影響による投票値と方向変化後の影響による投票値に分類し、方向変化後の影響による投票値に基づいて、各画素の投票値を補正する。具体的には、後述するように、測定対象物の移動方向が変化した場合には、移動方向変化前の影響による投票値をリセットし(後述の図5のA2に示す投票値を削除)、移動方向変化後の移動元となる特徴領域に対応する画素の補正値を加算する(後述の図5のq1,q2を加算する)。そして、この補正値は、移動元側の方が大きくなるように設定する。詳細については後述する。
【0017】
速度算出部17は、特徴投票部14で投票された投票値に基づいて測定対象物の移動速度を算出すると共に、測定対象物の移動方向が変化した場合には、投票値補正部16で補正された各画素の投票値に基づき、各画素の投票値の変化から特徴領域(測定対象物)の移動速度を算出する。
【0018】
次に、測定対象物が等速で移動する場合、及び移動方向が変化する場合における特徴投票部14、投票値比較部15、及び投票値補正部16による処理を、図2〜図5を参照して説明する。
【0019】
[対象物が等速で移動する場合]
図2(a)〜(c)に示す各マスは、撮像部11で撮像される画像の画素を模式化して示しており、斜線で示す画素は、特徴領域が検出されている領域を示している。図2の例では、説明を簡単にするため特徴領域を3つの画素としている。また、撮像部11は、時刻t1,t2,t3,・・・の順に所定の時間間隔で時系列的に周囲画像を撮像するものとする。
【0020】
そして、撮像部11で撮像される画像中の、左側から右側に向けて等速で移動する測定対象物が存在すると、図2(a)に示すように、時刻t1,t2において、測定対象物の特徴領域はP1〜P3に示す3つの画素にて検出され、図2(b)に示すように、時刻t3,t4において、測定対象物の特徴領域はP2〜P4に示す画素にて検出され、図2(c)に示すように、時刻t5,t6において、測定対象物の特徴領域はP3〜P5に示す画素にて検出される。換言すれば、時刻t1,t2の間は特徴領域は画素P1〜P3に停滞し、時刻t3,t4の間は特徴領域は画素P2〜P4に停滞し、時刻t5,t6の間は特徴領域は画素P3〜P5に停滞する。
【0021】
そして、図1に示した特徴投票部では、各画素に対し特徴領域が停滞した回数分の投票値を付与し、この投票値を積算する。従って、画素P1〜P3には、図2(a)に示すように時刻t1,t2の2画像分の投票値が付与されるので、それぞれ投票値は「2」となる。次いで、図2(b)に示すように時刻t3,t4では、画素P2〜P4に対して、2画像分の投票値が付与されるので、それぞれに投票値「2」が加算されて、画素P2〜P4の投票値はそれぞれ「4」「4」「2」となる。この際、特徴領域の外側となる画素P1は、投票値がリセットされる。即ち、図2(b)に示す画素P1の投票値は「0」とされる。
【0022】
更に、図2(c)に示すように時刻t5,t6では、画素P3〜P5に対して、2画像分の投票値が付与されるので、それぞれに投票値「2」が加算されて、画素P3〜P5の投票値はそれぞれ「6」「4」「2」となる。また、画素P2の投票値はリセットされるので「0」となる。
【0023】
その後、測定対象物が等速で移動する場合には、この状況が継続されるので、投票値が「6」「4」「2」となる画素が左側から右側に順次移動することになる。そして、速度算出部17は、この傾斜(変化)に基づいて測定対象物の速度を求めることができる。具体的には、左端の投票値である「6」と右端の投票値である「2」の差分を求め、この差分である「4」の逆数が速度に対応する数値となるので、この数値に基づいて対象物の速度を求める。
【0024】
[対象物が移動方向を反転する場合]
次に、図3,図4を参照して、測定対象物の移動方向が反転した場合について説明する。図3(a)〜(c)、図4(a),(b)に示す各マスは、前述と同様に、撮像部11で撮像される画像の画素を模式化して示しており、斜線で示す画素は、特徴領域が検出されている領域を示している。図3,図4の例では、説明を簡単にするため特徴領域を3つの画素としている。また、撮像部11は、時刻t1,t2,t3,・・・の順に所定の時間間隔で時系列的に周囲画像を撮像するものとする。
【0025】
そして、撮像部11で撮像される画像中の、左側から右側に向けて移動する測定対象物が存在すると、図3(a)に示すように、時刻t1,t2において、測定対象物の特徴領域はP1〜P3に示す3つの画素にて検出され、図3(b)に示すように、時刻t3,t4において、測定対象物の特徴領域はP2〜P4に示す画素にて検出され、図3(c)に示すように、時刻t5,t6において、測定対象物の特徴領域はP3〜P5に示す画素にて検出される。
【0026】
更に、測定対象物が移動方向を反転する場合には、該測定対象物の特徴領域は一時的に停滞するので、図4(d)に示すように、時刻t7,t8において、P3〜P5に示す画素にて検出される。その後、測定対象物は左方向に移動するので、図4(e)に示すように、時刻t9において、P2〜P4に示す画素で検出される。
【0027】
換言すれば、時刻t1,t2の間は特徴領域は画素P1〜P3に停滞し、時刻t3,t4の間は特徴領域は画素P2〜P4に停滞し、時刻t5,t6の間及び時刻t7,t8の間は特徴領域は画素P3〜P5に停滞し、時刻t9の間は特徴領域は画素P2〜P4に停滞する。
【0028】
そして、図1に示した特徴投票部14では、各画素に対し特徴領域が停滞した回数分の投票値を付与し、この投票値を積算する。従って、画素P1〜P3には、図3(a)に示すように時刻t1,t2の2画像分の投票値が付与されるので、それぞれ投票値は「2」となる。次いで、図3(b)に示すように時刻t3,t4では、画素P2〜P4に対して、2画像分の投票値が付与されるので、それぞれに投票値「2」が加算されて、画素P2〜P4の投票値はそれぞれ「4」「4」「2」となる。この際、特徴領域の外側となる画素P1は、投票値がリセットされる。即ち、図3(b)に示す画素P1の投票値は「0」とされる。
【0029】
更に、図3(c)に示すように時刻t5,t6では、画素P3〜P5に対して、2画像分の投票値が付与されるので、それぞれに投票値「2」が加算されて、画素P3〜P5の投票値はそれぞれ「6」「4」「2」となる。また、画素P2の投票値はリセットされるので「0」となる。
【0030】
その後、図4(d)に示すように時刻t7,t8では、画素P3〜P5に対して、2画像分の投票値が付与されるので、それぞれに投票値「2」が加算されて、画素P3〜P5の投票値はそれぞれ「8」「6」「4」となる。また、図4(e)に示すように時刻t9では、画素P2〜P4に対して、1画像分の投票値が付与されるので、それぞれに投票値「1」が加算されて、画素P2〜P4の投票値はそれぞれ「1」「9」「7」となる。また、画素P5の投票値はリセットされるので「0」となる。
【0031】
そして、速度算出部17は、投票値の傾斜(変化)に基づいて測定対象物の速度を求める。具体的には、測定対象物は右側から左側に移動するので、右端の投票値である「7」と左端の投票値である「1」の差分を求め、この差分の逆数が速度に対応する数値となるので、この数値に基づいて測定対象物の速度を求める。この際、「7」と「1」の差分は「6」であり、実際の移動速度を反映した数値となっていない。即ち、測定対象物が移動方向を反転させたことにより、投票値のピーク(最大投票値)が中央の画素(図4(e)の例では画素P3)に来ているので、移動方向が反転(変化)した直後においては正確な速度検出ができないことになる。
【0032】
本実施形態では、図1に示した投票値比較部15、及び投票値補正部16により、測定対象物の実際の速度が反映するように投票値を補正する。以下、投票値を補正する処理について、図5を参照して説明する。
【0033】
図5は、3画素分の特徴領域の投票値の変化を模式的に示す説明図であり、図5(a)は測定対象物(特徴領域)が方向反転のため、停滞している場合を示している。即ち、図4(e)に示す状態を示している。また、図5(b)は、測定対象物が方向を反転し、反転した方向に移動を開始した場合を示し、図5(c),(d)は投票値を補正する様子を示している。また、図5(a)〜(d)に示すマスは、積算された投票値を示している。
【0034】
図5(a)に示すように、測定対象物が等速で右方向に移動し、その後方向を反転するために停滞した場合には、3つの特徴領域Q1〜Q3の投票値は前述した図4(d)にて示したようにそれぞれ「8」「6」「4」となる。また、図5(b)に示すように、測定対象物が反転した方向に移動を開始した場合には、3つの特徴領域Q1〜Q3の投票値は図4(e)に示したようにそれぞれ「1」「9」「7」となる。
【0035】
そして、投票値比較部15は、各特徴領域Q1〜Q3の投票値の変化に基づいて、測定対象物の移動方向が反転しているか否かを判断する。具体的には、3つの特徴領域のうち中央の特徴領域に投票値のピークが存在する場合には、この特徴領域は移動方向を反転しているものと判断する。図5に示す例では、同図(b)に示すように、3つの特徴領域Q1〜Q3の投票値はそれぞれ「1」「9」「7」であり、中央の特徴領域Q2(内部画素)にピークが存在するので、この特徴領域、即ち、移動対象物は移動方向が反転したものと判断する。この場合は、右側への移動から、左側への移動に反転したものと判断する。
【0036】
そして、投票値補正部16は、測定対象物の移動方向が反転していると判断された場合には、反転後の影響による投票値の増加分に基づいて、各特徴領域Q1〜Q3の投票値を補正する。
【0037】
以下、具体的に説明すると、測定対象物の移動方向が反転したことにより、各特徴領域Q1〜Q3の投票値は、特徴領域が停滞した分と、反対方向に移動した分が加算されたことになる。即ち、図4(d)に示したように、方向反転時に特徴領域が停滞したことにより投票値「2」が加算され、更に、図4(e)に示したように、反対方向に移動したことにより投票値「1」が加算される。従って、図5(a)のA1及び同図(b)のA2に示す投票値は、方向反転前(方向変化前)の影響による投票値であり、それ以外の投票値が方向反転後(方向変化後)の影響による投票値ということになる。
【0038】
投票値補正部16は、図5(c)に示すように方向反転前の影響による投票値を削除し、更に、方向反転後の影響による投票値に基づいて、各特徴領域Q1〜Q3の投票値を補正する。具体的には、図5(d)に示すように、特徴領域Q2とQ1の投票値の差分を算出し、この差分、即ち「2」を特徴領域Q3の投票値に加算する。その結果、図5(d)に示すように、特徴領域Q3の投票値に、符号q1,q2に示す投票値が加算されることになり、速度算出部17では、特徴領域Q3とQ1の差分に基づいて、測定対象物の速度を算出するので、実際の速度を反映した速度の算出が可能となる。
【0039】
即ち、投票値補正部16により補正された投票値を採用して速度を求めることにより、測定対象物の移動方向が反転した場合であっても、この速度を正確に求めることが可能となる。なお、図5(d)に示す例では、特徴領域が3画素である場合を例に示しているので、最も右側(移動元)の特徴領域Q3の投票値に2つ分の補正値(q1,q2)を加算しているが、特徴領域がより多くの画素を有する場合には、移動元となる特徴領域(図中右側)により多くの補正値を加算して投票値を補正すれば良い。
【0040】
[処理手順の説明]
次に、上述のように構成された本実施形態に係る動き検出装置の処理動作を図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0041】
初めに、ステップS11において、撮像部11は、車両の周辺画像を時系列的に撮像し、撮像した画像データを出力する。ステップS12において、特徴抽出部12は、取得した画像についてエッジ検出を行う。更に、ステップS13において、エッジの画素を255とし、エッジ以外の画素を0とする処理、即ち2値化処理を実行する。ステップS14において、特徴抽出部12は、エッジ幅が1画素となるように細線化する。
【0042】
更に、ステップS15において、特徴規格化部13は、エッジ幅が均一となるように膨張させ、エッジ幅を規格化する。この処理では、エッジ幅を例えば3画素とする。このエッジ幅が特徴領域に対応する。
【0043】
ステップS16において、特徴投票部14は、エッジに該当する画素の投票値に「1」を加算し、エッジに該当しない画素の投票値をリセットする。
【0044】
ステップS17において、投票値比較部15は、エッジに該当する領域を特徴領域とし、該特徴領域に対応する画素の投票値を参照して、特徴領域の中心となる画素の投票値とこの中心画素に隣接する画素の投票値を比較し、中心画素にピーク値が存在するか否かを判断する。そして、中心画素にピーク値が存在する場合には測定対象物が移動方向を反転したものと判断してステップS18に処理を進め、中心画素にピークが存在しない場合には移動方向は反転していないものと判断してステップS22に処理を進める。
【0045】
ステップS18において、投票値補正部16は、特徴領域に対応する画素の投票値を、方向反転前の影響による投票値と、方向反転後の影響による投票値とに分類する。即ち、前述した図5で示したように、方向反転前の影響による投票値(A1,A2)と、方向反転後の影響による投票値(A1,A2以外)とに分類する。
【0046】
ステップS20において、投票値補正部16は、方向反転前の影響による投票値をクリアする。即ち、図5(c)に示したように、方向反転前の影響による投票値を削除して方向反転後の影響による投票値のみとする。
【0047】
ステップS19において、投票値補正部16は、方向反転後の影響による投票値に基づいて、各特徴領域に対応する画素の投票値を補正し、更に速度算出部17は、補正後投票値に基づいて、測定対象物の速度を算出する。即ち、図5(d)にて示したように、特徴領域Q3の投票値にq1,q2を加算する補正を行い、補正後の投票値に基づいて速度を算出する。
【0048】
ステップS21において、特徴投票部14は、反転後の移動方向に対して投票値を加算する処理を行う。
【0049】
ステップS22において、速度算出部17は、ステップS21の処理で求められた投票値、或いはステップS16の処理で投票された投票値に基づいて、測定対象物の速度を算出する。
【0050】
ステップS23において、速度算出部17は、全てのエッジについて速度を算出したか否かを判定し、算出していなければ(ステップS23でNO)、ステップS17に処理を戻し、算出していれば(ステップS23でYES)、ステップS24に処理を進める。
【0051】
ステップS24において、イグニッションがオフであるか否かを判断し、オフでなければ(ステップS24でNO)、ステップS11に処理を戻し、オフであれば(ステップS24でYES)、本処理を終了する。
【0052】
このようにして、本実施形態に係る動き検出装置では、各特徴領域の投票値に基づいて、測定対象物の移動方向が変化したか否かを判断し、移動方向が変化していると判断された場合には、各画素の投票値を方向変化前の影響による投票値と、方向変化後の影響による投票値に分類し、このうち方向変化後の影響による投票値を用いて、各特徴領域に対応する画素の投票値を補正する。
【0053】
そして、補正後の投票値に基づいて、方向変化後の移動速度を算出する。従って、方向変化前の投票値の影響を受けることが無いので、方向変化をいち早く検出し、更に方向変化後の移動速度を高精度に求めることが可能となる。
【0054】
更に、測定対象物の特徴抽出の手法として、コーナエッジ成分を検出することにより、高精度な特徴点の検出が可能となり、特徴領域の移動状況を確実に認識することが可能となる。また、他の手法として測定対象物の形状特徴成分、例えば、歩行者の頭部や眼等を抽出して特徴領域とすることにより、特徴領域の移動状況を高精度に認識することが可能となる。
【0055】
以上、本発明の動き検出装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0056】
例えば、上述した実施形態では、測定対象物の移動方向が反転した場合を検出する例について説明したが、本発明は、移動方向の反転に限定されるものではなく、移動方向が変化した場合について適用することができる。また、上述した実施形態では、3つの特徴領域のうち、中央の特徴領域にピークが存在する場合に、測定対象物の方向が変化しているものと判断する例について説明したが、特徴領域は、3画素に限定されるものでなく、4画素以上とすることも可能である。この場合、特徴領域の周辺以外の画素にピークが存在する場合に、測定対象物の移動方向が変化したものと判断して、上記の補正処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、測定対象物が移動方向を変化させた場合であっても対象物の動きを高精度に検出することに利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
11 撮像部
12 特徴抽出部
13 特徴規格化部
14 特徴投票部
15 投票値比較部
16 投票値補正部
17 速度算出部
100 動き検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺の画像を時系列的に複数撮像する撮像手段と、
前記撮像手段にて撮像された複数の画像からそれぞれ測定対象物の特徴点を抽出する特徴抽出手段と、
前記特徴抽出手段で抽出された特徴点の大きさを、前記画像の画素に対応して規格化し、規格化された特徴点を特徴領域として設定する特徴点規格化手段と、
前記特徴点規格化手段にて設定された特徴領域が、前記複数の画像に含まれる各画素について、前記特徴領域が存在した場合に1つの投票値を付与し、更に、複数の画像に対して付与される前記投票値を各画素毎に積算する特徴領域投票手段と、
前記特徴領域の、中央に存在する画素である内部画素の投票値と、この内部画素周辺の画素の投票値を比較し、前記内部画素に最大投票値が存在するか否かを判断する投票値比較手段と、
前記投票値評価手段による比較結果に基づいて、前記特徴領域に対応する各画素の投票値を補正する投票値補正手段と、
前記特徴領域に対応する各画素の補正後の投票値に基づいて、前記特徴領域の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
を備えたことを特徴とする動き検出装置。
【請求項2】
前記投票値比較手段は、前記内部画素に最大投票値が存在する場合には、前記測定対象物の移動方向が変化したものと判断し、
前記投票値補正手段は、前記測定対象物の移動方向が変化したと判断された場合には、前記特徴領域に存在する画素の投票値を、方向変化前の影響による投票値と、方向変化後の影響による投票値に分類し、方向変化後の影響による投票値に基づいて、前記特徴領域に対応する画素の投票値に補正値を加算することを特徴とする請求項1に記載の動き検出装置。
【請求項3】
前記投票値補正手段は、前記測定対象物の移動方向が変化した場合には、方向変化前の影響による投票値をリセットすることを特徴とする請求項2に記載の動き検出装置。
【請求項4】
前記投票値補正手段は、前記測定対象物の移動方向が変化した場合には、前記方向変化後の影響による投票値に対し、方向変化後の移動方向の移動元となる特徴領域に対応する画素の補正値が大きくなるように設定することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の動き検出装置。
【請求項5】
前記特徴抽出手段は、前記測定対象物のコーナエッジ成分を、前記特徴領域として抽出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の動き検出装置。
【請求項6】
前記特徴抽出手段は、前記測定対象物の形状特徴成分を、前記特徴領域として抽出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の動き検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−50798(P2013−50798A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187536(P2011−187536)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】