説明

動作プログラムの入力が簡単なダンス人形

【課題】曲のイメージにあったダンスを簡単にプログラムすることができるダンス人形。
【解決手段】前記課題を解決するため、本発明に係るダンス人形は、以下の要件を備えることを特徴とする。
イ)駆動用モーター1個に対応する1個の入力スイッチを持ち、押すごとに駆動モーターを「A押して正転→B離して停止→C押して逆転→D離して停止」を繰り返す制御回路を持つこと。ロ)上記AからDまでの入力動作サイクルを予め設定された複数回数nを行い、その複数回数nの入力動作サイクルすべてのAからD個々の測定時間を時系列に記憶させる制御回路を持つこと。ハ)上記入力動作が終了後にその記憶させた動作パターンにおいて駆動モーターを繰り返して駆動させる制御回路を持つこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲のイメージにあったダンスを簡単にプログラムすることができるダンス人形に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術としては音や音楽をマイクで拾って駆動装置に伝え、音楽や音に反応させて動かす方式1か、又は初めからその音楽用にプログラムしておく方法2が主流であった。
【0003】
又、簡単に入力する方法としては、リズムを入力して、そのリズムに予めプログラムされている動作を割り振って動作させる方式3は存在した。
【0004】
しかし、方式1、方式3は音楽のイメージに合わせたダンスプログラムは不可能であり、方式2は曲に対し個々にプログラムする必要があり、一般消費者が曲に合わせたプログラムを作成することは不可能である。
【特許文献1】特許公開2004−267531 特許公開2002−331175
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、ダンス人形に曲のイメージにあったダンスを簡単にプログラムすることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プログラムの入力スイッチを手や足用などの駆動モーター1個に対応して1個設け、その入力スイッチを押すごとに駆動モーターを「押して正転→離して停止→押して逆転→離して停止」を1ステップ動作として、それを音楽に合わせて複数回数繰り返し入力し、そのスイッチの押されている時間及び押されていない時間をそれぞれ計測し、時系列に記憶させることにより、その音楽にあったリズム及びイメージを記憶させ、教え込むことができる。
【0007】
ステップ動作を入力する回数nは予め設定しておき、その回数が終了すると同時に記憶させたその動作を繰り返して行わせることにより、曲のリズムが変わらない限り、曲にあったダンス動作を行わせることができる。
【0008】
予め設定しておくステップ動作を入力する回数nは、音楽の拍子として基本的な4拍子と3拍子の最小公倍数12の倍数又は2拍子と3拍子の最小公倍数6の倍数に設定することにより、繰り返し動作をした時に比較的円滑に動作が行われる。
【0009】
更に、個々の押している時間の長さに比例して、それに対応した駆動時の駆動モーターの回転数を変化させることにより、曲のイメージに合ったダンスをさせることができる。
【0010】
たとえば、その時間の長さに比例して、短ければ駆動モーターを速く回転させ、長ければ遅く回転させることにより、テンポの速い曲はリズミカルなダンスになり、テンポの遅い曲はゆったりとしたダンスになる。
【0011】
「押している時間」に変わり、「押している時間とその直後の離している時間を加えた時間」としても同様の効果が得られる。
【0012】
また、駆動モーターを2個使用し、それぞれを独立させてステップ動作をそれぞれ複数回数入力することにより、複雑な動きをさせることができる。
【0013】
たとえば、手の動きを上下に動かす駆動モーターPと手の動きを左右に動かす駆動モーターQをそれぞれ個別に入力し、それぞれの動作パターンを記憶させ、動作プログラムを同時に動かすことにより、記憶された動作パターンの総時間のサイクルがそれぞれ異なるため、動きがずれていき、組み合わせた動きが複雑になっていく。
【0014】
また、その時の入力スイッチは複数の駆動モーターの入力を切り替えることによって順次、入力することも可能なので入力スイッチを1個にまとめ、入力を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
従来の音楽に合わせてダンスをする人形はリズムを入力する程度の参加性はあったが、ほとんどは音に反応して動くものであり、参加性はほとんどなく、音楽のイメージにあったダンスをさせることが簡単にできるものはなかった。
【0016】
本発明はダンスさせたい曲を好みに合わせて自由に選曲することができ、人形にその曲のイメージにあったダンスを一般消費者自らが参加して簡単にプログラムを行うことができるということが特徴である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下の要件を備えることを特徴とするダンス人形。
イ)駆動用モーター1個に対応する1個の入力スイッチを持ち、押すごとに駆動モーターを「A押して正転→B離して停止→C押して逆転→D離して停止」を繰り返す制御回路を持つこと。ロ)上記AからDまでの入力動作サイクルを予め設定された複数回数nを行い、その複数回数nの入力動作サイクルすべてのAからD個々の測定時間を時系列に記憶させる制御回路を持つこと。ハ)上記入力動作が終了後にその記憶させた動作パターンにおいて駆動モーターを繰り返して駆動させる制御回路を持つこと。
【0018】
また、上記制御回路において、記憶されたAの時間又はAとBの合計時間、及びCの時間又はCとDの合計時間のそれぞれの長さに比例して、それぞれに対応した駆動時の駆動モーターの回転数を変更する制御回路を持ってもよい。
【0019】
また、1駆動系統の個々に記憶された総時間の長さを異ならせることにより、駆動系統個々に時間的な動きのずれが生じることを利用し、組み合わせた動きを非画一的にするために、独立した駆動系統を複数系統持たせてもよい。
【0020】
AからDの入力動作サイクルを入力する時の複数回数nを、音楽の拍子として基本的である4拍子と3拍子の最小公倍数12の倍数又は2拍子と3拍子の最小公倍数6の倍数とした制御回路を持ってもよい。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明装置の両手を上下に振って踊る人形の1実施例である。1は腕上下駆動用回転板5を左右に回転させるための左右回転にリミッター付きの腕上下駆動モーターユニット部である。
【0022】
腕上下駆動用回転板5が左右に回転することにより、7,8を支点にして両手が上下する。
【0023】
腕上下駆動モーターユニット部1は2の制御回路部に組み込まれた、図2のフローチャートによるプログラムで制御される。
【0024】
3は手のダンスプログラムを入力するための、人形11の足部に組み込まれた入力スイッチAである。
【0025】
図2は図1の実施例1のフローチャート例であり、入力スイッチAを入切することにより、駆動モーターPを正回転、停止、逆回転、停止を順次させ、その4行程を予め設定した回数n回行うことにより、正回転の時間TP1〜TPn、その直後の停止時間TQ1〜TQn、逆回転の時間TR1〜TRn、その直後の停止時間TS1〜TSnを順次記憶し、その入力がn回終了したと同時に動作ステップに移行し、記憶した順であるTP1〜TSnを繰り返して実行し、駆動モーターPを駆動する。
【0026】
また、入力中にも駆動モーターPを駆動させることにより、動きを確認しながら入力することができ、更に、駆動中に入力スイッチAを押すとプログラムが再入力できるように工夫されている。
【0027】
図3は図1実施例のシステムブロック図でであり、制御回路部のCPU、メモリー、モータードライブは最低必要要素であり、同一LSIに納めても、また別パーツを組み合わせても良い。
【0028】
図4は図1実施例の入力スイッチAを赤外線又は電波によるリモコンスイッチに置き換えたものであり、走行する人形などの入力システムに適している。
【実施例2】
【0029】
図5は実施例1に更に人形の脚部の駆動系統を加え、駆動系統及び制御系統を2系統にし、手と脚を動かすことにより、動きを複雑にした実施例である。
【0030】
12は回転リミッター付きの脚駆動モーターユニット部であり、14の脚駆動用回転アームを左右回転させることにより、15,16の脚部を上下させ、身体を左右に揺らす。
【0031】
13は脚部駆動系のプログラムを入力するための、人形11の足部に組み込まれた入力スイッチBである。
【0032】
図6は図5の実施例2のフローチャート例であり、実施例1の手の駆動系入力に並列で脚部駆動系の入力を入力スイッチBで行い、脚部駆動系も実施例1の手の駆動系入力と同様に駆動モーターQを正回転、停止、逆回転、停止を順次させ、その4行程を予め設定した回数m回行うことにより、正回転の時間TW1〜TWm、その直後の停止時間TX1〜TXm、逆回転の時間TY1〜TYm、その直後の停止時間TZ1〜TZmを順次記憶し、手脚両方の入力が終了次第、動作ステップに移行する
【0033】
動作ステップは手、脚の入力が終了直後に手、脚同時にそれぞれTP1、TW1から駆動を初め、TP1〜TSn、TW1〜TZmを繰り返して実行、駆動する。
【0034】
入力スイッチA及び入力スイッチBは駆動中に押すことによりそれぞれ再入力が可能である。
【0035】
図7は実施例2において、手と脚の入力を順次行うことにより、入力スイッチA、Bを共用することが可能となり、入力スイッチを1個にした例である。
【0036】
図8は図5の実施例2のシステムブロック図であり、2つの駆動系統を1個のCPUで制御した1例であるが、実施例1の図3システムブロック図の駆動系統を2系統用いてもよい。
【0037】
図9は自動車玩具や車輪付き人形などに本発明の制御回路を応用したダンスをする車輪付き移動体の実施例3である。
【0038】
17は制御回路部、18は前進後進用の後輪駆動モーターユニット部、19は左右舵用の前輪操舵モーターユニット部、20は前輪、後輪用共用の入力スイッチA、22、23は車輪である。
【0039】
図10は図9の実施例3のフローチャート例であり、入力中は駆動しないようにし、また、直前に入力した駆動モーターのTP1〜TSn又はTW1〜TZmの1サイクル時間を空けてから動作ステップに入るようにすることにより、入力終了直後に駆動しないようにし、また、それによってリズムのサイクルが狂わず、連続するように工夫した。
【0040】
図11は動作ステップにおいて、入力時間の差によって駆動モーターの回転数(出力)を変化させる制御回路の実施例4のフローチャート例である。
【0041】
例えば、入力したTP1、TQ1、TR1、TS1、TP2、TQ2、TP2、TQ2・・・・の時間がそれぞれ、0.2秒、0.3秒、0.1秒、0.2秒、0.4秒、0.3秒、0.6秒、1.0秒・・・の場合、「TP1+TQ1」の時間が0.5秒、「TR1+TS1」の時間が0.3秒、「TP2+TQ2」の時間が0.7秒、「TR2+TS2」の時間が1.6秒となり、図11の表「駆動モーター回転数(出力)の設定例」に当てはめると、「80%の出力で0.2秒正転」、「0.3秒停止」、「90%の出力で0.1秒逆転」、「0.2秒停止」、「70%の出力で0.4秒正転」、「0.3秒停止」、「40%の出力で0.6秒逆転」、「1.0秒停止」・・・・とn回までの出力が設定され、入力する音の長さ、またリズムに合わせて出力を変化させることにより、動きに変化を持たせることができる。
【0042】
図11の実施例4は「TPn+TQn」及び「TRm+TSm」に比例して出力を設定したが、TPn及びTRmの時間に比例した出力設定でも同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
どのような曲にも即座に対応してダンスプログラムが簡単に入力できるので、玩具やイベント用のロボットなど幅広く、本発明技術を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施方法を示した構造説明図である。(実施例1)
【図2】実施例1の制御部フローチャート例である。
【図3】実施例1のブロック図の1例である。
【図4】実施例1のブロック図の1例である。
【図5】実施方法を示した構造説明図である。(実施例2)
【図6】実施例2の制御部フローチャートの1例である。
【図7】実施例2の制御部フローチャートの1例である。
【図8】実施例2のブロック図の1例である。
【図9】実施方法を示した構造説明図である。(実施例3)
【図10】実施例3の制御部フローチャートの1例である。
【図11】モーター回転数を制御する制御部フローチャートの1例である。(実施例4)
【符号の説明】
【0045】
1 腕上下駆動モーターユニット部
2 制御回路部
3 入力スイッチA
4 リード線
5 腕上下駆動用回転板
6 腕上下駆動用アーム
7 右腕駆動支点
8 左腕駆動支点
9 右腕部
10 左腕部
11 人形
12 脚駆動モーターユニット部
13 入力スイッチB
14 脚駆動用回転アーム
15 右脚部
16 左脚部
17 車輪付き移動体制御部
18 後輪駆動モーターユニット部
19 前輪操舵モーターユニット部
20 入力スイッチA
21 リード線
22 後輪
23 前輪
24 シャーシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とするダンス人形。
イ)駆動モーター1個に対応する1個の入力スイッチを持ち、押すごとに駆動モーターを「A押して正転→B離して停止→C押して逆転→D離して停止」を繰り返す制御回路を持つこと。ロ)上記AからDまでの入力動作サイクルを予め設定された複数回数nを行い、その複数回数nの入力動作サイクルすべてのAからD個々の測定時間を時系列に記憶させる制御回路を持つこと。ハ)上記入力動作が終了後にその記憶させた動作パターンにおいて駆動モーターを繰り返して駆動させる制御回路を持つこと。
【請求項2】
上記の記憶されたAの時間又はAとBの合計時間、及びCの時間又はCとDの合計時間のそれぞれの長さに比例して、それぞれに対応した駆動時の駆動モーターの回転数を変更する制御回路を持つことを特徴とする請求項1記載のダンス人形。
【請求項3】
請求項1の独立した駆動系統を複数系統持たせ、駆動系統個々に記憶された総時間の長さを異ならせることにより、駆動系統個々に時間的な動きのずれが生じることを利用し、組み合わせた動きを非画一的にすることを特徴とする請求項1又は2記載のダンス人形。
【請求項4】
請求項3において複数駆動系の1駆動系入力終了後、他の駆動系の入力に切り替えることにより、1個の入力スイッチで複数の駆動系を入力することができる制御回路を持つことを特徴とする請求項1、2、又は3記載のダンス人形。
【請求項5】
請求項1のAからDの入力動作サイクルを入力する時の複数回数nを、音楽の拍子として基本的な4拍子と3拍子の最小公倍数12の倍数又は2拍子と3拍子の最小公倍数6の倍数とした制御回路を持つことを特徴としたダンス人形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−345897(P2006−345897A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172094(P2005−172094)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(302033850)有限会社オフィスエス (3)
【Fターム(参考)】