説明

動作玩具

【課題】オルゴールに設けられたゼンマイを動力とし、オルゴールの回転軸に多層カムやカム付き冠歯車を備えることによって、オルゴールを正常に鳴奏させると共に、玩具に種々の動作を行わせることができる動作玩具を提供することを課題とする。
【解決手段】ゼンマイを用いたオルゴールを有する動作玩具であって、前記オルゴールの回転軸に軸着した冠歯車とカムで形成されたカム付き冠歯車と、前記カムと係合する複数の継手と、前記冠歯車と係合する歯車と、前記各継手及び各々歯車と係合する複数の動作部を設けて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルゴールを内蔵する動作玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オルゴールを内蔵する動作玩具において特開平08−238384号公報「オルゴールユニット」のように、回転伝達軸に応力が加わってもオルゴール機構を損傷しない強度を持つオルゴールがあった。
【0003】
しかしながら、従来技術の玩具は動作部が頭部のみであった。そこで、複数の動作部をオルゴールの動作によって動作させ、遊技者に対して趣向の高い玩具が求められていた。
【特許文献1】特開平08−238384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に斯かる実情に鑑みなされたもので、オルゴールに設けられたゼンマイを動力とし、オルゴールの回転軸に多層カムやカム付き冠歯車を備えることによって、オルゴールを正常に鳴奏させると共に、玩具に種々の動作を行わせることができる動作玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、ゼンマイを用いたオルゴールを有する動作玩具であって、前記オルゴールの回転軸に軸着した冠歯車とカムで形成されたカム付き冠歯車と、前記カムと係合する複数の継手と、前記冠歯車と係合する歯車と、前記各継手及び各々歯車と係合する複数の動作部を備え、ゼンマイの駆動によって、オルゴールを鳴奏し且つ、動作部を動作させることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、ゼンマイを用いたオルゴールを有する動作玩具であって、前記オルゴールの回転軸に軸着した複数のカムで形成された多層カムと、前記多層カムの各々のカムと係合する複数の継手と、前記複数の各継手と係合する複数の各々動作部を備え、ゼンマイの駆動によって、オルゴールを鳴奏し且つ、動作部を動作させることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、動作玩具には、形象体が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項3において、形象体は、人形を模して形成され、複数の動作部の一つである第一動作部は、前記形象体の両手を模して形成され、ゼンマイの駆動に伴って形象体の両手が動作させることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項4において、動作玩具には、ピアノを模して形成された形象物を備え、第一動作部の動作によって動作する第二動作部は、前記ピアノを模して形成された形象物の鍵盤部であり、第一動作部の動作によって、鍵盤部が動作し、形象体が恰もピアノを演奏しているかの如く動作させることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、形象体は、人形を模して形成され、複数の動作部の一つである第三動作部は、前記形象体の頭部を模して形成され、ゼンマイの駆動に伴って形象体の頭部が左右方向に回動させることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項3乃至6のいずれかにおいて、動作玩具には、メトロノームを模した形象物を備え、複数の動作部の一つである第四動作部は、前記メトロノームの振り子を模して形成し、ゼンマイの駆動に伴って振り子を揺動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、オルゴールに設けられたゼンマイを動力とし、オルゴールの回転軸にカム付き冠歯車と継手を備えることによって、オルゴールを正常に鳴奏すると共に、玩具自体が複数の動作を行うことができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、オルゴールに設けられたゼンマイを動力とし、オルゴールの回転軸に多層カムと継手を備えることによって、オルゴールを正常に鳴奏すると共に、玩具自体が複数の動作を行うことができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、動作玩具に形象体を設けることによって、使用者に対して趣向の高い動作玩具を提供することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、形象体は、人形を模して形成され、複数の動作部の一つを該形象体の両手とすることによって、該人形に様々な動作を行なわせることができ、使用者に対して趣向の高い動作玩具とすることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、動作玩具にピアノを模した形象物を設け、該形象物のピアノの鍵盤部が前記形象体の両手の動作に合わせて、動作することによって、形象体が恰もピアノを演奏しているかの如く動作させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、形象体の人形の頭部を左右方向へ回動させる動作を行わせることによって、使用者に対して趣向の高い動作玩具とすることができる。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、他の形象物としてメトロノームを模して形成し、該メトロノームの振り子をオルゴールの鳴奏にあわせ動作させることによって、恰もメトロノームの動作と鳴奏に合わせた形象体の動作をさせることができ、使用者に対して趣向の高い動作玩具とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ゼンマイを用いたオルゴールを有する動作玩具であって、前記オルゴールの回転軸に軸着した冠歯車とカムで形成されたカム付き冠歯車と、前記カムと係合する複数の継手と、前記冠歯車と係合する歯車と、前記各継手及び各々歯車と係合する複数の動作部と、形象体を備え、前記形象体は、人形を模して形成され、複数の動作部の一つである第一動作部は、前記形象体の両手を模して形成し、複数の動作部の一つである第三動作部は、前記形象体の頭部を模して形成されている。また、前記動作玩具には、ピアノを模して形成された形象物を備え、前記ピアノを模して形成された形象物は鍵盤部を備え、この鍵盤部を第一動作部の動作によって動作する第二動作部とし、且つ動作玩具には、メトロノームを模した形象物を備え、複数の動作部の一つである第四動作部は、前記メトロノームの振り子を模して形成されている。
【0020】
また、上述のゼンマイを用いたオルゴールを有する動作玩具において、カム付き冠歯車を多層カムに換えて、前記オルゴールの回転軸に複数のカムで形成された多層カムと軸着し、前記多層カムの各々のカムと係合する複数の継手を設け、前記複数継手と係合する複数の動作部を設けることとしてもよい。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の一実施例の動作玩具である玩具本体10の外観を示す図である。実施例の玩具本体10は、ピアノ及び椅子を模した形象物30と該ピアノを操作するキャラクター人形を模した形象体20を備え、該キャラクター人形がピアノを弾いているかのように形成されている。また該ピアノ上部には、メトロノームを模した形象物30が形成され、該メトロノームがピアノに載置されている。
【0022】
玩具本体10は、玩具本体10内に組み込んだオルゴール52により音楽を鳴奏しながらキャラクター人形の頭部22、腕部24が動作すると共に、該腕部24の動作に伴ってピアノの鍵盤部32が押圧され動作するようになっている。またピアノ上部に載置されたメトロノームの振り子40もオルゴール52の音楽に合わせて振り子動作を行うようになっている。
【0023】
図2〜図5の玩具本体10の分解斜視図面を用いて機構の説明を行う。玩具本体10の機構は、駆動部と第一動作部、第二動作部、第三動作部、第四動作部と、各動作部と駆動部の駆動を伝達する各種継手によって構成されている。形象体20であるキャラクター人形の頭部22、腕部24がそれぞれ動作するようになっており、キャラクター人形の腕部24が、第一動作部、キャラクター人形の頭部22が、第三動作部となっている。また、形象物30であるピアノの鍵盤部32が動作するようになっており、該鍵盤部32が、第二動作部である。そして、ピアノ上部に載置されている形象物30であるメトロノームの振り子40が動作するようになっており、該振り子40が第四動作部である。
【0024】
形象体20である該キャラクター人形は、例えば、動物・ロボット・仮想のキャラクターなど、どのような形象体20であっても構わない。また、第一動作部及び第三動作部は、該形象体20の足などの一部を模して形成してもよい。ロボットなどの場合においては、スクリュー、ハンドルなどを模して形成し動作させるようにしてもよい。
【0025】
また、形象物30として、実施例では、ピアノ及びメトロノームなどを模して形成されているが、ピアノの他にもギター、ドラム、トランペットなどの楽器を模して形成すると、オルゴール52の鳴奏と合い好適であるが、どのような形象物30であってもよい。
【0026】
次に駆動部の構成は、オルゴール52のゼンマイ53により回転するシリンダ軸56及びこの回転軸であるシリンダ軸56の先端に取付けたカム付き冠歯車58によって構成されている。オルゴール52は一般的なゼンマイ53、シリンダ54、コーム57を備えている。
【0027】
まずオルゴール52の説明を行う。オルゴール52には、シリンダ式とディスク式の2種のオルゴール52の種類が有るが、どちら種類のオルゴール52でも動作可能である。実施例では、シリンダ式のオルゴール52を例としている。
【0028】
ゼンマイ53は金属製の帯のような形をし、渦巻きのように巻かれているスプリング状のもので、巻き上げられることによって力が貯えられるようになっており、図示しないがレバー操作によって、ゼンマイ53の回転を作動させたり止めたりすることが可能となっている。
【0029】
またゼンマイ53の巾と厚みはゼンマイ53の発生するトルクに大きく影響を及ぼすようになっており、ゼンマイ53の巾が2倍になれば2倍のトルクを発生し、厚みが2倍になると8倍のトルクを発生するようになる。また、ゼンマイ53の持続時間は、ゼンマイ53の長さが長くなるほど力の発生する持続時間が伸びるようになっている。
【0030】
次にシリンダ54は、シリンダ軸56に軸着し円筒形に設けられ、円筒外周面にピンが突設して形成されている。またコーム57は、櫛形状となっており、該櫛の1本1本の歯は、その長さや、重さなどで振動する周波数が変わり、音階を奏でるようになっている。ゼンマイ53の回転力によって、該シリンダ54が回転し、ピンが歯を持ち上げてはじくことによって、音を発生するようになっており、連続してピンが歯をはじくことによって音楽を出力するようになっている。このピンの配置と歯の構成を変えることによって、様々な音楽を奏でることが可能となっている
【0031】
駆動部のカム付き冠歯車58を説明する。カム60と冠歯車62の2層からなるカム付き冠歯車58で、1層目は、複数の凹凸を有するカム60、2層目は、回転角度を直角に変更する冠歯車62に形成されている。1層目のカム60の回転によって、第四動作部であるメトロノームの振り子40を動作させる。また、第2層目の冠歯車62の回転によって、第一〜第三動作部である頭部22、腕部24、鍵盤部32を動作させるものである。
【0032】
まず第四動作部の動作説明を行う。カム付き冠歯車58の回転は、カム60と係合するL字型継手64と平板継手70を介して、第四動作部に伝達され、第四動作部を動作させるようになっている。
【0033】
まずカム付き冠歯車58の1層目となる複数の凹凸を有するカム60に係合するL字型継手64は、玩具本体10内にL字型継手64の中央に設けられた軸穴66を中心に回動自在に軸支されている。L字型継手64の形状は、L字型に形成され、L字の一端が凸形状に形成され、凸形状に形成された端部が該カム60と係合し、他端は平板継手70と係合する。
【0034】
また、L字型継手64は、該軸穴66に近接した位置に、ねじりバネ76を係合する穴68が穿設されている。ねじりバネ76は、筒型形状に形成され、L字型継手64を軸支する軸の外周面を覆うように配設されている。各々端部は、該穴68と玩具本体内の壁面に当接している。すなわちL字型継手64は、ねじりバネ76の力によって、L字型継手64の凸形状に形成された端部が、カム60の外周面を押圧し続けるようになっている。このことから、カム60の凸部が回転することによって、L字型継手64の外周面の凹凸に応じて、L字型継手64は、軸穴66を中心に回動するようになる。
【0035】
平板継手70は、方形状に形成され、長手方向の各々端部に凹部72が形成されている。また、平板継手70には、軸穴74が形成され、玩具本体内に該軸穴74を中心に回動自在に軸支されている。平板継手70の各々端部に形成された凹部72は、L字型継手64の端部と、第四動作部である振り子40の端部と係合し、L字型継手64の回動に応じて、平板継手70も、回動を行うようなり、L字型継手64の水平方向の回動は、平板継手の垂直方向回動へと変換されるようになる。
【0036】
第四動作部である振り子40は、玩具本体10のメトロノームを模した形象物30内に、回動自在に軸支されている。振り子40の一端は、メトロノームの振り子40を模して形成され、他端は、平板継手70と係合する。第四動作部である振り子40は、平板継手70の回動に応じて、揺動動作を行うものである。すなわち、カム付き冠歯車58の回転によって、L字型継手64、平板継手70を介して、揺動動作が伝達され、この揺動動作によって恰もメトロノームの如く、振り子40を動作させることが可能となる。
【0037】
第一及び第三動作部の動作説明を行う。カム付き冠歯車58の回転は、第一伝達軸78を介して、図3に示す多層カム88が軸着している第二伝達軸84回転させ、多層カム88の回転に応じて、第一動作部及び第三動作部が動作を行うようなっている。また第二動作部は、第一動作部の動作によって動作するものである。
【0038】
カム付き冠歯車58の2層目となる冠歯車62に係合する第一伝達軸78は、図2に示したように、玩具本体10内に軸支されている。第一伝達軸78は、軸80の両端に歯車82を備え、一方の歯車82が、カム付き冠歯車58の冠歯車62と係合し、他端の歯車82が、D字型穿孔98を有する冠歯車96と係合するようになっており、カム付き冠歯車58の回転は、D字型穿孔98を有する冠歯車96へと伝達される。2つの冠歯車を介することによって、垂直方向から水平方向へと回転方向が変換され、再び垂直方向への回転方向となるようになる。
【0039】
図3に示したように、D字型穿孔98を有する冠歯車96は、円筒形状に形成され、円筒の下端部は、冠歯車が形成され、また円筒の上端部には、D字型の穿孔が形成されている。該D字型の穿孔は、第二伝達軸84の端部に軸着したD字型係合部94と嵌着するようになっており、第二伝達軸84へと、回転を伝達するようになる。
【0040】
第二伝達軸84には、2層のカムからなる多層カム88が軸着している。また第二伝達軸84の軸の一端には、円筒の側面を削ったように形成されたD字型係合部94が軸着し、他端には、図4に示すように首振軸100が回動自在に軸支されている。多層カム88は、第一動作部を動作させ多層カム88の上方方向に複数の凹凸を有する第一カム90と、第三動作部を動作させ多層カム88の水平方向に複数の凹凸を有する第二カム92で形成されている。
【0041】
第一カム90の凹凸は、180度で凹凸が逆になるように形成され、図3に示すように第一動作部である腕部24を動作させる2つの作動片106が第一カム90の180度ずれた位置でそれぞれ係合しており、一方の作動片106は、第一カム90の凸部で係合している場合においては、他方の作動片106は、凹部で係合するものである。
【0042】
作動片106は、方形状で、一端は、鋭角状に形成され第一カム90と係合し、他端には、軸穴108が形成されている。該軸穴108は、腕部24に形成されているクランク26と係合するようになっている。また作動片106は、長手方向に摺動可能に形象体20内に内設され、該腕部24による自重によって、第一カム90の凹凸を押圧するようになり、第一カム90の凹凸に応じて摺動する。
【0043】
腕部24は、形象体20の腕部24を模して形成され、その一端には、クランク26が形成されており、該クランク26の軸28が形象体20に回動自在に軸支されている。また、クランク26の他端は、作動片106に形成された軸穴108と係合し、作動片106が上下に摺動動作を行うと、該クランク26の軸28を中心に、揺動動作を行うようになる。すなわちクランク26が形成されている形象体20の腕部24を模した第一動作部も揺動動作を行うものである。
【0044】
多層カム88の水平方向に複数の凹凸を有する第二カム92は、図4に示すように、形象体20内に摺動可能に備えられた摺動板110と係合する。摺動板110は、方形の板形状に形成され、第二伝達軸84の軸86への衝突を回避すると共に、摺動方向を制限する長穴112と、首振軸100に形成されたクランク102が係合する係合溝114がある。また、摺動板110の側面には、摺動軸116が形成され、形象体20内に摺動可能に軸支されている。さらに底面には三角凸部118が形成され、該三角凸部118が、第二カム92と係合するものである。
【0045】
また、摺動軸116を覆うように圧縮バネ120が備られ、該圧縮バネ120の力によって第二カム92の凹凸に摺動板110の三角凸部118が押圧するようになり、第二カム92の凹凸に応じて、摺動板110が摺動動作を行うようになっている。この摺動板110の摺動動作によって、該摺動板110の係合溝114に係合する首振軸100のクランク102が軸回転するようになる。すなわち摺動板110の摺動動作に応じて首振軸100は、左右方向に回動するようになる。
【0046】
首振軸100は、円筒形状に形成され、底面部には、第二伝達軸84の軸86を軸支する軸穴104が穿孔されている。また、底面部の側面には、係合溝114と係合するクランク102が形成されている。また、首振軸100の上部を覆うように、形象体20の頭部22を模した第三動作部である頭部22が形成されている。すなわち、首振軸100が回転することにより、第三動作部である頭部22が左右方向へと回転するようになる。
【0047】
次に第二動作部の説明を行う。第二動作部は、図5に示すように、ピアノの鍵盤の一部を模した鍵盤部32である。ピアノの鍵盤を模して形成し、2つの開口部44を有する外装部品42と、外装部品42と同様に、ピアノの鍵盤の一部を模して形成した第二動作部としての鍵盤部32で構成されている。ピアノの鍵盤を模した外装部品42には、鍵盤の一部を開口した開口部44が2つ形成されている。該開口部44の中央には、掛架された軸46がそれぞれ形成されている。また、該軸46と並行面となる開口部44の側面に鉤止可能な突板48が形成されている。
【0048】
鍵盤部32の外形は、ピアノの鍵盤の一部を模した形状に形成されている。また鍵盤部32の長手方向の側面部には、凹部34が形成され、該凹部34が、外装部品42の開口部44に掛架された軸46に回動自在に軸架されている。また、鍵盤部32の一端には、開口部44の突板48に鉤止する為の凸部36が形成され、鍵盤部32の他端の底面には、錘(図示しない)となる部品が設けられている。
【0049】
すなわち、外装部品42の開口部44に掛架された軸46に、鍵盤部32を軸架し、該鍵盤部32の凸部36付近を上方より押圧すると、該鍵盤部32が、該軸46を中心に回転し、鍵盤部32が沈み込む動作を行うようになる。また、上方からの押圧する力が無くなると、鍵盤部32に設けられた錘によって先の回転とは逆の回転を行うようになる。そして、鍵盤部32の凸部36が、開口部44の突板48に当接し、鍵盤部32の回転が抑止され、該鍵盤部32が元の位置に復帰するようになる。
【0050】
また、この第二動作部である鍵盤部32は、第一動作部である腕部24が上下に揺動動作を行うことによって、該鍵盤部32と当接するようなり、第一動作部である腕部24の動きに応じて動作するようになる。この動作によって、形象体20であるキャラクター人形が、恰もピアノを演奏しているかの如く動作させることができる。
【0051】
上述のようにゼンマイ53からの駆動は、カム付き冠歯車58と、各動作部を繋ぐ継手及び歯車を介して、複数の動作部を動作させることによって、オルゴール52より音楽を鳴奏しながらキャラクター人形の頭部22、腕部24が動作すると共に、該腕部24の動作に伴ってピアノの鍵盤が押圧され動作するようになっている。またピアノ上部に載置されたメトロノームの振り子40もオルゴール52の音楽に合わせて振り子動作を行うようになっている。
【0052】
次に、図6〜図8を用いて第二実施例の説明を行う。上述の第一実施例と異なるのは、玩具本体10内の機構であり、動作部の動作量や動作パターンに変化はなく、外観も第一実施例と同様である。また、第二動作部である鍵盤部32は、第一実施例と同様であり、説明割愛する。
【0053】
第二実施例の駆動部は、第一実施例のカム付き冠歯車58を多層カム122に置き換えたものであり、オルゴール52のゼンマイ53により回転する回転軸としてのシリンダ軸56及びこのシリンダ軸56の先端に取付けた多層カム122によって構成されている。複数の層からなる多層カム122は、それぞれ第一カム124、第二カム126、第三カム128、第四カム130の4つの層で形成されている。第一カム124及び第三カム128は、第一動作部である腕部24を動かし、第二カム126は、第三動作部である頭部22を回転させる。第四カム130は、第四動作部であるメトロノームの振り子40を動作させるようしている。
【0054】
また、第一カム124と第三カム128は、同一であり、凹凸の間隔及び凹凸の高さは同じとなっている。第一カム124と第三カム128は、その凹凸が逆になるように軸着されている。例えば、第一カム124が凸部である回転軸の位置では、第三カム128が凹部となるようになっている。また、第一カム124には、第一継手134が係合し、第二カム126には第二継手136が係合し、第三カム128には第三継手138が係合し、第四カム130には第四継手140が係合している。また、第一継手134と第三継手138の形状は同一の物である。また、各継手の一端は、多層カム122と係合し、その形状は三角の凸形状に形成されている。三角の凸形状に形成された各継手の端部が多層カム122の凹凸を常に押圧するように玩具本体は、圧縮バネ132が設けられている。
【0055】
図8(A)に示すように第一継手134と第三継手138の形状は平板状であり、その中央付近が僅かに屈曲した形状となっている。第一及び第三継手138の他端の側面は、第一継手棒142、第三継手棒146の一端と当接し、第一継手棒142及び第三継手棒146を上下方向に摺動動作させる。また、第一及び第三継手138の中央付近には、玩具本体10に軸支された軸穴が設けられ、該軸穴を中心に回動するようになっている。
【0056】
第一継手棒142及び第三継手棒146は、図7に示すように、形象体20内に摺動可能に内設している。第一継手棒142及び、第三継手棒146の他端は、それぞれ第一実施例の第一動作部である腕部24と同様に、腕部24に設けられたクランク26と係合するようになっている。第一継手棒142及び第三継手棒146の摺動動作によって、腕部24に設けられたクランク26が、その軸28を中心に回動動作を行い、第一動作部である腕部24が、揺動動作を行うものである。
【0057】
また第二継手136の形状も第一及び第三継手138とほぼ同一の形状に形成されているが、第二継手136の他端は、L字型継手154と係合するようになっている。L字型継手154は、L字状に形成され、その一端は、第二継手136の端部と係合し、他端は凹部形状に形成され、第二継手棒144の一端と係合するようになっている。また、L字型継手154の中央部は、玩具本体10に軸支され、第二継手136の回動に伴って、L字型継手154も回動動作を行うものである。すなわち、図8の(B)に示すように、第二継手136が回動して端部が上下動すると、L字型継手154は回動して第二継手棒144との係合端を前後に往復動作させる。そして、第二継手棒144は、形象体20内に回動自在に軸支されている。第二継手棒144の他端は、第三動作部である頭部22に軸着しており、該第二継手棒144が、L字型継手154によって、回転動作されることによって、第三動作部である頭部22が左右に回転するようになる。
【0058】
第四継手140の形状は、第一及び第三継手138の軸穴部より先端がない形状となっている。また、図6に示すように、第四継手140の側面には、摺動継手152が係合しており、第四継手140の回転運動を摺動動作へと変換している。摺動継手152は、玩具本体10内に摺動自在に内設し、摺動継手152は、L字型継手148と係合する。L字型継手148は、玩具本体10内に回動自在に軸支され、L字型継手148の一端は、第四動作部であるメトロノームの振り子40と係合し、他端には、摺動継手152の係合する長穴150が形成されている。第一実施例の第四動作部と同様にL字型継手148が揺動動作を行うことによって、メトロノームの振り子40を模した第四動作部が揺動動作を行うようになる。
【0059】
上述のようにゼンマイ53からの駆動は、多層カム122と、各動作部を繋ぐ継手を介して、各動作部を動作させることによって、オルゴール52より音楽を鳴奏しながらキャラクター人形の頭部22、腕部24が動作すると共に、該腕部24の動作に伴ってピアノの鍵盤が押圧され動作するようになっている。またピアノ上部に載置されたメトロノームの振り子40もオルゴール52の音楽に合わせて振り子動作を行うようになっており、第一実施例とは異なる駆動部で構成できる。
【0060】
以上2つの実施例を説明したように構成することにより、オルゴールに設けられたゼンマイを動力とし、ゼンマイにより駆動するオルゴールの回転軸に多層カムやカム付き冠歯車を備えることによって、オルゴールを正常に鳴奏させると共に、玩具自体が動作を行うことができる動作玩具を提供することができる。また、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲内で種々に改変できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例である動作玩具の外観を示す図である。
【図2】本発明の一実施例である動作玩具の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施例である動作玩具の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施例である動作玩具の分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施例である動作玩具の分解斜視図である。
【図6】本発明の一実施例である動作玩具の第二実施例の分解斜視図である。
【図7】本発明の一実施例である動作玩具の第二実施例の分解斜視図である。
【図8】本発明の一実施例である動作玩具の第一〜第三継手の側面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 玩具本体
20 形象体
22 頭部
24 腕部
26 クランク
28 軸
30 形象物
32 鍵盤部
34 凹部
36 凸部
40 振り子
42 外装部品
44 開口部
46 軸
48 突板
52 オルゴール
53 ゼンマイ
54 シリンダ
56 シリンダ軸
57 コーム
58 カム付き冠歯車
60 カム
62 冠歯車
64 L字型継手
66 軸穴
68 穴
70 平板継手
72 凹部
74 軸穴
76 ねじりバネ
78 第一伝達軸
80 軸
82 歯車
84 第二伝達軸
86 軸
88 多層カム
90 第一カム
92 第二カム
94 D字型係合部
96 冠歯車
98 D字型穿孔
100 首振軸
102 クランク
104 軸穴
106 作動片
108 軸穴
110 摺動板
112 長穴
114 係合溝
116 摺動軸
118 三角凸部
120 圧縮バネ
122 多層カム
124 第一カム
126 第二カム
128 第三カム
130 第四カム
132 圧縮バネ
134 第一継手
136 第二継手
138 第三継手
140 第四継手
142 第一継手棒
144 第二継手棒
146 第三継手棒
148 L字型継手
150 長穴
152 摺動継手
154 L字型継手


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼンマイを用いたオルゴールを有する動作玩具であって、前記オルゴールの回転軸に軸着した冠歯車とカムで形成されたカム付き冠歯車と、前記カムと係合する複数の継手と、前記冠歯車と係合する歯車と、前記各継手及び各々歯車と係合する複数の動作部を備え、ゼンマイの駆動によって、オルゴールを鳴奏し且つ、動作部を動作させることを特徴とした動作玩具。
【請求項2】
ゼンマイを用いたオルゴールを有する動作玩具であって、前記オルゴールの回転軸に軸着した複数のカムで形成された多層カムと、前記多層カムの各々のカムと係合する複数の継手と、前記複数の各継手と係合する複数の各々動作部を備え、ゼンマイの駆動によって、オルゴールを鳴奏し且つ、動作部を動作させることを特徴とした動作玩具。
【請求項3】
請求項1又は2において、動作玩具には、形象体が設けられていることを特徴とした動作玩具。
【請求項4】
請求項3において、形象体は、人形を模して形成され、複数の動作部の一つである第一動作部は、前記形象体の両手を模して形成され、ゼンマイの駆動に伴って形象体の両手が動作させることを特徴とした動作玩具。
【請求項5】
請求項4において、動作玩具には、ピアノを模して形成された形象物を備え、第一動作部の動作によって動作する第二動作部は、前記ピアノを模して形成された形象物の鍵盤部であり、第一動作部の動作によって、鍵盤部が動作し、形象体が恰もピアノを演奏しているかの如く動作させることを特徴とした動作玩具。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかにおいて、形象体は、人形を模して形成され、複数の動作部の一つである第三動作部は、前記形象体の頭部を模して形成され、ゼンマイの駆動に伴って形象体の頭部が左右方向に回動させることを特徴とした動作玩具。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれかにおいて、動作玩具には、メトロノームを模した形象物を備え、複数の動作部の一つである第四動作部は、前記メトロノームの振り子を模して形成し、ゼンマイの駆動に伴って振り子を揺動させることを特徴とした動作玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−149980(P2006−149980A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349017(P2004−349017)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(591200287)株式会社やのまん (12)
【Fターム(参考)】