説明

動力回収

本発明は酸化反応により製造される気体流から動力を回収するための方法および装置に関する。とりわけ、本発明は酸化反応からの気体流を少なくとも800℃の温度に加熱しそしてガスタービンを通してエネルギーを回収することに基づく。ガスタービンの圧縮器段階が反応器への酸化剤原料を圧縮し、それにより反応器内の高い温度および圧力の反応条件を与える費用を少なくとも部分的に補う。本発明はまた気体を気体流に供給してタービンへの気体流を圧縮器放出流に関して調整して反応器内の酸化剤の消費を補うことによりガスタービンの効率を最適化することによる動力回収システムの改良された調節も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロス−リファレンス
本出願は2008年10月24日に出願された暫定出願第61/108233号明細書および2008年5月6日に出願された英国特許出願第0808200.0号明細書からの優先権の特典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は酸化反応、例えばパラ−キシレン(PX)からテレフタル酸(TA)およびテレフタル酸ジメチル(DMT)へのまたはシクロヘキサンからシクロヘキサノン/シクロヘキサノールへの酸化、により製造される気体流(オフガス)からの動力(power)を回収する方法に関する。本発明はまた動力回収システムを含んでなる反応器にも関する。さらに、本発明はそれによりエネルギーが回収される芳香族カルボン酸前駆体の液相酸化により芳香族カルボン酸を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
多くの工業的合成化学工程、例えばパラ−キシレン(PX)からテレフタル酸(TA)への合成酸化、および分解化学工程、例えば有機廃棄物の酸化、は高い温度および圧力において起きる。TAの製造は、例えば、典型的には例えば特許文献1に開示されているように一般的には例えば臭素の如き促進剤を加える溶解した重金属触媒系の存在下における酢酸中での分子状酸素を用いるPX供給原料の液相酸化を含む。一般的に、酢酸、空気の形態の分子状酸素、パラ−キシレンおよび触媒が高められた温度および圧力、典型的には約150℃〜約250℃の温度および約600kPa〜約2500kPaの圧力、において酸化反応器内に連続的に供給される。
【0004】
パラ−キシレン酸化は、窒素、反応していない酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、および臭素が促進剤として使用される時には臭化メチルを含んでなる高圧気体流(すなわち「オフガス」)を製造する。さらに、反応が発熱性であるため、酢酸溶媒はしばしば蒸発して反応温度を抑制しそして気体流から除去される。この蒸気は典型的には凝縮されそして凝縮物のほとんどは反応器に還流され、一部の凝縮物は反応器水濃度を調節するために取り出される。凝縮されない気体流の部分は排気されるか、または特許文献2に開示されているように接触燃焼装置(CCU)の中に通されて環境的に許容可能な流出物を生ずる。接触燃焼器は典型的には膨張器の上流にあるTAプラント上に配置される。それらの機能は揮発性有機化合物(VOC類)および一酸化炭素を接触燃焼させることである。
【0005】
反応器からの気体流は有意量のエネルギーを含有する。このエネルギーを回収して酸化反応器内で要求される高い温度および圧力を得るための費用を、少なくとも部分的に、補うことができる。例えば、特許文献3および特許文献4は発電機または例えば圧縮器の如き機械的作業を必要とする他の装置に連結されているエネルギーを回収するための手段、例えば膨張器、に高圧気体流を向けることを開示している。(例えば特許文献2に開示されているような)膨張器を用いる動力回収は従来から約150−750℃、典型的には450℃、の温度において行われる。しかしながら、例えば非特許文献1に開示されているような製造工程の構成に対する変更および工程からの動力を回収するための手段により膨張器を使用する動力回収を改良する余地がある。
【0006】
TA製造工程は精製プラント水素化反応器への原料流を加熱するために摂氏300度より高い熱源を必要とする。この作業は典型的には高圧(HP)流(100バール、311
℃)の源を用いて行われる。通常は、この工程用のHP流はユーティリティー供給業者から持ち込まれるかまたはパッケージされたボイラー組み立て品の設置後にその場で生じさせる。
【0007】
同様に、PTA工程に関する一部の動力は典型的にはユーティリティー供給業者により供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2,833,816号明細書
【特許文献2】国際公開第96/39595号パンフレット
【特許文献3】国際公開第96/11899号パンフレット
【特許文献4】日本特許第8−155265号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】API 616 Gas Turbines for the Petroleum,Chemical and Gas Industry Services
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的はプラントHP流処置減少に関する可能性を有する改良された動力回収システムおよび酸化反応の気体流からHP流を発生させながらさらに動力を回収する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
本発明によると、酸化反応からの気体流をより高い温度(例えば少なくとも800℃)に加熱しそして膨張器(タービン)を通してエネルギーを回収することにより酸化反応器からの動力回収を改良する方法が見出された。そのような温度においては膨張器は約450℃における膨張器と比べて有意に改良された動力回収を与え、改良された動力回収はオフガスを加熱する追加費用を補うものより多い。より高い温度の気体流から回収される追加の動力は酸化工程の別の場所で使用することができる。本発明は
(a)気体流を少なくとも800℃の温度に加熱し、
(b)気体流を圧縮器に連結されたタービンを含んでなるガスタービンに供給して、そこで圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮する
ことを含んでなる、反応が気体酸化剤が供給される連続的酸化反応器内で実施される気体流を製造する酸化反応からの動力を回収する方法により特徴づけられうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な記述
図面は本発明の種々の態様(配置および方式)の例を記述する。
【図1】図1は本発明の1つの態様を示す図式的工程図であり、空気はガスタービンの圧縮器内で圧縮されそして酸化反応器に供給されてそこでそれは反応する。反応器からの気体流は凝縮されて凝縮物を除去し、加熱されそして次に接触燃焼装置内で反応する。水蒸気または気体は間接加熱器内で加熱されそして次にそれが間接加熱器内で加熱される前に接触燃焼された気体流に加えられる。間接加熱器内で予備加熱された燃料および空気は加熱器に供給されて熱源を与える。生じた熱い気体流は次にきれいな燃料および圧縮器放出口からの補給水と接触しそして直接−燃焼される燃焼器内で反応して所望する気体温度を生ずる。燃焼器オフガスは次にタービンに供給され、そこから動力が回収される。タービンからの熱い排気は冷却されて熱を回収しそして次に大気に放出される。
【図2】図2は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、空気はガスタービンの圧縮器内で圧縮され、次に補助圧縮器内でさらに圧縮される。圧縮された空気は酸化反応器に供給されてそこでそれは反応する。反応器からの気体流は凝縮されて凝縮物を除去し、加熱されそして次に接触燃焼装置内で反応する。水蒸気または気体は間接加熱器内で加熱されそして次にそれが間接加熱器内で加熱される前に接触燃焼された気体流に加えられる。間接加熱器内で予備加熱された燃料および空気は加熱器に供給されて熱源を与える。生じた熱い気体流は次にきれいな燃料および圧縮器放出口からの補給水と接触しそして直接−燃焼される燃焼器内で反応して所望する気体温度を生ずる。燃焼器オフガスは次にタービンに供給され、そこから動力が回収される。タービンからの熱い排気は冷却されて熱を回収しそして次に大気に放出される。
【図3】図3は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、空気はガスタービンの圧縮器内で圧縮されそして酸化反応器に供給されてそこでそれは反応する。反応器からの気体流は凝縮されて凝縮物を除去し、加熱され、次に接触燃焼装置内で反応する。気体流は冷却されそして、例えばHBrおよびBrの如き反応性成分を除去するためのスクラッバーにより処理されそして次に補助圧縮器内で圧縮される。補助圧縮器は気体処理による反応器からタービンへの気体流の要求される圧力を維持するために使用される。水蒸気または気体は間接加熱器内で加熱されそして間接加熱器内で加熱される前に処理され且つ再加熱された気体流に加えられる。生じた熱い気体流は次にきれいな燃料および圧縮器放出口からの補給水と接触しそして直接−燃焼される燃焼器内で反応して所望する気体温度を生ずる。燃焼器オフガスは次にタービンに供給され、そこから動力が回収される。タービンからの熱い排気は冷却されて熱を回収しそして次に大気に放出される。
【図4】図4は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、空気はガスタービンの圧縮器内で圧縮されそして補助圧縮器内でさらに圧縮される。圧縮された空気は酸化反応器に供給されてそこでそれは反応する。反応器からの気体流は凝縮されて凝縮物を除去し、加熱されそして次に接触燃焼装置内で反応する。流または圧力調節下で原料からタービンへ供給される水蒸気または気体は間接加熱器内で加熱されそして次にそれが間接加熱器内で加熱される前に接触燃焼された気体流に加えられる。燃料および空気は間接加熱器内で予備加熱され、次に加熱器に供給されて熱源を与える。生じた熱い気体流は次にきれいな燃料および圧縮器放出口からの補給水と接触しそして直接−燃焼される燃焼器内で反応して所望する気体温度を生ずる。燃焼器オフガスは次にタービンに供給され、そこから動力が回収される。タービンからの熱い排気はさらに冷却されて熱を回収しそして次に大気に放出される。
【図5】図5は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、空気はガスタービンの圧縮器内で圧縮され、次に酸化反応器に供給されてそこでそれは反応する。反応器からの気体流は凝縮されて凝縮物を除去し、加熱されそして次に接触燃焼装置内で反応する。水蒸気または気体が気体流に加えられ、きれいな燃料および圧縮器放出口からの補給水と接触しそして直接−燃焼される燃焼器内で反応して所望する気体温度を生ずる。燃焼器オフガスは次にタービンに供給され、そこから動力が回収される。熱い排気はさらに冷却されて熱を回収しそして次に大気に放出される。
【図6】図6は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、タービンからの熱い排気を精製プラントへの原料と交換して作業からの高圧水蒸気条件を置換することにより図1が改変されている。
【図7】図7は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、タービンからの熱い排気を使用して高温水蒸気(例えば300−500℃)でありうる水蒸気を生ずることにより図1が改変されている。
【図8】図8は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、LPタービンの下流に燃焼装置を加えることにより図1が改変されている。NOx還元触媒と一緒になった追加のアンモニア注入が示されている。「加熱器」の下流にあった図1における接触燃焼装置は除かれた。
【図9】図9は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、炉が除かれている図8が記述されている。
【図10】図10は本発明の別の代わりの態様を示す図式的工程図であり、CCU装置を除去することにより図5が改変されている。
【0013】
これらの配置のいずれにおいても発電機をタービンに取り付けることができる。発生した正味の動力を使用してPTAプラントの動力必要量を補うことができる。余分の動力はプラントから排出できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な記述
本発明は、
(a)気体流を少なくとも800℃の温度に加熱し、
(b)気体流を圧縮器に連結されたタービンを含んでなるガスタービンに供給して、そこで圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮する
ことを含んでなる、反応が気体酸化剤が供給される連続的酸化反応器内で実施される気体流を製造する酸化反応からの動力を回収する方法により特徴づけられうる。
【0015】
気体を気体流に、タービンへの気体流の供給前にまたはそれと同時に、加えることができる。気体流に加えられる気体のマスフローは気体の添加前の気体流のマスフローの約0%〜約25%の、例えば約6%〜約15%、の範囲内でありうる。気体流に加えられる気体は水蒸気または空気でありうる。気体流は800℃〜約1300℃、例えば800℃〜約1100℃、の範囲内または約1050℃の温度に加熱することができる。膨張器または補助圧縮器をガスタービン圧縮器の下流に酸化反応器への気体酸化剤入口上に装備することができる。加熱器を装備して気体流を加熱することができそして補助圧縮器を酸化反応器の下流に且つ加熱器の上流に装備することができる。気体流は直接加熱器または間接加熱器で加熱することができる。加熱器は交換器であることができる。気体流を直接加熱器、間接加熱器または交換器で加熱する前に接触燃焼装置で加熱することができる。気体流をスクラッバーで処理することができる。工程は段階(b)後に気体流から水蒸気を発生させることをさらに含んでなりうる。工程は段階(b)後に気体流から電気を発生させることをさらに含んでなりうる。工程は段階(b)後に気体流からCOおよびNOxを除去することをさらに含んでなりうる。
【0016】
本発明の別の態様は、
(a)気体流を少なくとも800℃の温度に加熱し、
(b)気体流を圧縮器に連結されたタービンを含んでなるガスICOCGTのタービン段階に供給して、そこで圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮し、
(c)ICOCGTのタービン段階で圧力を監視し、
(d)気体を気体流に加えることによりICOCGTのタービン段階内の圧力を酸化反応器への気体酸化剤原料を圧縮するための圧縮器の動力必要量に相当する最小値より上で且つガスタービンの動力または圧力限界により設定された最大値より下の圧力範囲内に維持する
ことを含んでなる、反応が気体酸化剤が供給される連続的酸化反応器内で実施される気体流を製造する酸化反応からの動力回収を監視する方法により特徴づけられうる。
【0017】
加えられる気体の流れを変えてガスタービンのタービン段階における圧力およびタービン段階の出力を調節することができる。気体を気体流に、タービンへの気体流の供給前にまたはそれと同時に、加えることができる。気体流に加えられる気体のマスフローは気体の添加前の気体流のマスフローの約0%〜約25%の、例えば約6%〜約15%、の範囲内でありうる。気体流に加えられる気体は水蒸気または空気でありうる。気体流は800
℃〜約1300℃、例えば800℃〜約1100℃、の範囲内または約1050℃の温度に加熱することができる。膨張器または補助圧縮器をガスタービン圧縮器の下流に酸化反応器への気体酸化剤入口上に装備することができる。加熱器を装備して気体流を加熱することができそして補助圧縮器を酸化反応器の下流に且つ加熱器の上流に装備することができる。気体流を直接加熱器または間接加熱器で加熱することができる。加熱器は交換器であることができる。気体流を直接加熱器、間接加熱器または交換器で加熱する前に接触燃焼装置で加熱することができる。気体流をスクラッバーで処理することができる。工程は段階(d)後に気体流から水蒸気を発生させることをさらに含んでなりうる。工程は段階(d)後に気体流から電気を発生させることをさらに含んでなりうる。工程は段階(d)後に気体流からCOおよびNOxを除去することをさらに含んでなりうる。
【0018】
本発明の別の態様は、
(a)酸化剤入口および気体流出口を含んでなる容器、並びに
(b)(b1)気体流出口の下流に連結された気体流を加熱するための加熱器、および
(b2)圧縮器に連結されたタービンを含んでなる加熱器の下流に連結されたガスタービンであって、そこで圧縮器が酸化剤入口に連結されているために反応器が使用中である時には圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮するようなガスタービン
を含んでなる気体流出口に連結された動力回収システム
を含んでなる、気体流を製造する酸化反応用の連続的反応器により特徴づけられうる。
【0019】
気体流をタービンに供給する前にまたはそれと同時に、気体(例えば、水蒸気または空気)を気体流に加えることができる。従って、本発明の反応器内では、動力回収システムは気体を気体流に加えるための気体入口を含んでなりうる。加熱器は直接加熱器または間接加熱器であることができる。接触燃焼装置を加熱器の上流に装備することができる。スクラッバーを接触燃焼装置および加熱器の間に装備することができる。動力回収システムは膨張器または補助圧縮器をガスタービン圧縮器の下流に酸化反応器への気体酸化剤入口上にさらに含んでなりうる。動力回収システムは段階(b2)後に気体流から水蒸気を発生させることをさらに含んでなりうる。動力回収システムは段階(2b)後に気体流から電気を発生させることをさらに含んでなりうる。動力回収システムは段階(2b)後に気体流からCOおよびNOxを除去することをさらに含んでなりうる。
【0020】
本発明の別の態様は、
(a)触媒および液相溶媒の存在下において、芳香族カルボン酸および気体流を製造するための気体酸化剤が供給される連続的反応器内で、芳香族カルボン酸の1種もしくはそれ以上の前駆体を酸化剤と接触させ、
(b)気体流を少なくとも800℃の温度に加熱し、
(c)気体流を圧縮器に連結されたタービンを含んでなるガスタービンに供給して、そこで圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮する
ことを含んでなる、それによりエネルギーが酸化反応から回収される前駆体を液相反応混合物中で芳香族カルボン酸またはそのエステルに酸化する方法により特徴づけられうる。
【0021】
気体を気体流に、タービンへの気体流の供給前にまたはそれと同時に、加えることができる。気体流に加えられる気体のマスフローは気体の添加前の気体流のマスフローの約0%〜約25%の、例えば約6%〜約15%、の範囲内でありうる。気体流に加えられる気体は水蒸気または空気でありうる。気体流は800℃〜約1300℃、例えば800℃〜約1100℃、の範囲内または約1050℃の温度に加熱することができる。膨張器または補助圧縮器をガスタービン圧縮器の下流に酸化反応器への気体酸化剤入口上に装備することができる。加熱器を装備して気体流を加熱することができそして補助圧縮器を酸化反応器の下流に且つ加熱器の上流に装備することができる。気体流を直接加熱器または間接加熱器で加熱することができる。加熱器は交換器であることができる。気体流を直接加熱
器、間接加熱器または交換器で加熱する前に接触燃焼装置で加熱することができる。気体流をスクラッバーで処理することができる。工程は段階(c)後に気体流から水蒸気を発生させることをさらに含んでなりうる。工程は段階(c)後に気体流から電気を発生させることをさらに含んでなりうる。工程は段階(c)後に気体流からCOおよびNOxを除去することをさらに含んでなりうる。
【0022】
本発明の別の態様はガスタービンを用いて燃料から動力を発生させる方法により特徴づけられうる。発生したこの動力を使用してプラント動力必要量を補うことができる。しかしながら、PTAプラント自体に関して要求されるものより多い動力を発生させることができる。ガスタービンから発生した余分の動力を別の化学プラントまたはユーティリティー会社に移すことができる。
【0023】
本発明の別の態様は精製プラント水素化反応器への原料を加熱する方法により特徴づけられ、例えばこれは
(a)直接的熱交換器、すなわち精製プラント水素化反応器原料流を直接的に加熱するための熱いタービン排気、の使用、
(b)HP流を発生させるための熱いタービン排気の使用
のいずれかにより行うことができる。
【0024】
API 616 Gas Turbines for the Petroleum,Chemical and Gas Industry Servicesに開示されているような、内燃オープンサイクルガスタービン(Internal Combustion Open Cycle Gas Turbine)(ICOCGT)は圧縮器、燃焼器およびタービンを含んでなりそして動力を発生させるように最適化される。本発明の態様は酸化反応により製造される気体流から動力を有利に回収するためにICOCGTを使用する。
【0025】
ICOCGTの圧縮器段階は反応器への酸化剤原料を(大気圧より高く)圧縮し、それにより反応器内の高い温度および圧力の反応条件を与える費用を少なくとも部分的に補う。
【0026】
ICOCGTのタービン段階は酸化反応器からの加熱された気体流を膨張させて圧縮器および熱い気体流に動力を与えるために、例えばICOCGTの下流で水蒸気を発生させるために、エネルギーを回収する。発生した正味の動力を使用してPTAプラントの動力必要量を補うことができる。余分の動力はプラントから移すことができる。
【0027】
本発明の別の態様は動力回収システムの改良された調節により特徴づけられうる。発明者は、気体(例えば水蒸気または空気)を気体流に供給してタービンへの気体の流れを圧縮器放出流に対して調整して反応器内の酸化剤の消費を補うことによりICOCGTの性能を改良しうることを発見した。従って、本発明のこの態様はガスタービンのタービン段階において圧力を監視することにより動力回収を最適化する簡便な方法を提供する。水蒸気は容易に入手可能でありそして一般的に反応工程の副生物であるため、水蒸気をこの方法で使用することができる。
【0028】
本発明の別の態様では、膨張器または補助圧縮器をガスタービン圧縮器の下流に酸化反応器への酸化剤入口上にまたは酸化反応器の下流に装備してガスタービン圧縮器放出を調整して反応器内の気体酸化剤の最適な圧力に合わせることができる。それと共に、気体流および膨張器または補助圧縮器内の水蒸気の流れの調整が化学反応器と連結されたICOCGTの使用を可能にし、それにより反応器およびガスタービン操作を別々に最適化することができる。従って、この態様は動力回収システムに関する最適な性質をそれ自体では
有していないかもしれない標準的ガスタービンを効率的な動力回収用に最適に組み合わせ可能にする。
【0029】
本発明のこれらのおよび他の面を以下に詳細に記述する。
【0030】
気体流の加熱
気体流の加熱または気体流と水蒸気の混合前に、気体流中の溶媒(例えばTA製造における酢酸)を例えば蒸留カラムまたはオーバーヘッド凝縮器の如き分離装置を用いて凝縮することができる。一般的には、凝縮物のほとんどは反応器に還流され、反応器水濃度を調節するために凝縮物の一部は取り出される(TA製造において反応した1モルのPX当たり2モルの水が生成する)。
【0031】
それが反応器から出る時に、気体流は典型的には150〜220℃の温度および600kPa〜2500kPaの圧力を有する。反応器の温度および圧力を選択して反応器および下流工程の操作を最適化することができる。
【0032】
場合により、反応器を出る気体流の温度および圧力を最適化するために、補助圧縮器内の気体流圧力を補助することが必要でありうる。
【0033】
反応器を出る気体流はいずれかの適当な加熱器、例えば気体流の直接加熱器、例えば天然ガスもしくは燃料油が供給される燃焼器、または気体流の間接加熱器、例えば天然ガスもしくは燃料油が供給される炉、を用いて少なくとも800℃に加熱することができる。1つの態様では、燃料および酸化剤(例えば反応器酸化剤原料からのもの)を燃焼器内で気体流と混合しそして気体流の温度を直接的に上昇させるために燃焼する。しかしながら、典型的には、炉が気体流を間接的に加熱し、すなわち、燃料および酸化剤(例えば空気)を気体流と混合せずに炉の中で燃焼させそして気体流はそれが炉を通りながら間接的な熱交換により加熱される。間接的な加熱はそれが追加の酸化剤を大気圧より上で気体流に供給して燃料を燃焼させる必要がないため有利でありうる。その代わりに、間接的な加熱は大気圧を使用する燃料の燃焼を意味する。
【0034】
場合により、気体流を加熱するための加熱器に加えて他の補助加熱器を使用することができる。加熱前に(すなわち、加熱器の上流に)、気体流を接触燃焼装置(CCU)に供給することができる。CCUは典型的には環境上の理由のために使用されて気体流中の有機化合物および反応器副生物を除去しそして有機化合物など(例えばMeBr)の無炎酸化により操作される。典型的には、CCUを出る気体流は約450℃〜約600℃の温度を有する。場合により、気体流を交換器、すなわち熱を工程流および気体流の間に移す熱交換器、を用いて加熱することができる。
【0035】
CCU内の安定な燃焼を確実にするために、CCUに入る気体流の温度は約250℃〜約400℃、例えば約300℃、でありうる。CCUを用いる処理の前に、気体流を約200℃〜約350℃、例えば約300℃〜約350℃、に加熱することができる。CCUの上流に装備された水蒸気加熱器を使用してそのような加熱を行うことができる。水蒸気加熱器は酸化反応の副生物として製造される水蒸気を使用して気体流を加熱することができる。
【0036】
CCU後に、例えばHBrおよびBrの如き反応性成分を除去するために、気体加熱器に供給する前に場合により例えばこする(例えばスクラッバーによる)ことにより気体を処理できる。CCUへの気体原料流を加熱する1つの方法は熱をCCU出口流と交換することでありうる。
【0037】
気体流への気体の添加
気体流をタービン入口に供給する前にまたはそれと同時に、気体(例えば水蒸気または空気)を気体流に加えることができる。従って、本発明の反応器内では、動力回収システムは気体を気体流に加えるための気体入口を含んでなりうる。気体流の加熱段階の前もしくは後に(または加熱が1つより多い段階を含む場合には段階の間に)、気体、例えば水蒸気または空気、を気体流に加えることができる。気体流の加熱段階前に(すなわち、加熱器の上流に)気体を加えることができる。気体流は、タービンに供給される直前に、少なくとも800℃の、例えば800℃〜約1300℃、もしくは800℃〜約1100℃、の範囲内、または適切には約1050℃、の温度を有する。
【0038】
気体を気体流に加えてタービンへの気体のマスフローを調整して酸化反応器内で消費された酸化剤を補うことができる。経済的性能を最適化するために、反応器内の酸化剤の消費を補うのに必要なものを越える追加の気体を気体流にさらに加えることができる。これはガスタービン内で回収される動力を増加させうるため、それは有利でありうる。ガスタービン特性の計算によって、気体流に加えられる追加気体、すなわちスガスタービンの動力または圧力限度により設定される上方値および圧縮器を駆動するのに充分な動力を発生させることにより設定される下方値、を決めることができる。しかしながら、典型的には、気体流に加えられる気体のマスフローは(気体の添加前の)気体流のマスフローの約0%〜約25%、例えば約6%〜約15%、の範囲内でありうる。
【0039】
或いは、追加の気体の流れは(ガスタービンからの同等の動力回収を行いながら)タービン内に流れる気体流の温度を低下させて、気体流を加熱しなければならない温度を低めそして燃料費用を節約することを可能にする。一般的に、ガスタービン内への適切な気体流(これは水蒸気または空気により調整できる)およびタービン内の気体流の温度の選択によりガスタービンによる動力回収を最適化することができる。
【0040】
ガスタービン
ここで使用される際には、「ガスタービン」は1個もしくはそれ以上の軸によりタービンに連結される圧縮器を含んでなる標準的ガスタービン、例えばAPI 616 Gas
Turbines for the Petroleum,Chemical and
Gas Industry ServicesおよびGas Industry Services and Turbomachinery International Handbook 2006,vol.46,no.6に記述されそして挙げられているもの、をさす。タービンは加熱器の下流で気体流に連結される。圧縮器は反応器の酸化剤入口に連結されそして反応器に供給される気体酸化剤を圧縮する。典型的には、タービン動力は圧縮器動力消費より大きくなるであろう。
【0041】
酸化剤(これは反応器内で有意な量で使用される)の圧縮は反応工程における費用のかかる段階であるため、この費用が気体流からの動力回収により少なくとも部分的に相殺されることは有利である。
【0042】
動力回収システムの資本費用を最少にするためには、本発明で使用されるガスタービンは最少だけの改変を伴う標準設計および構造を有することができる。一般的に、本発明は気体流の温度、圧力および流速、並びに酸化剤原料を圧縮するための圧縮器の動力必要量に関して設計されたガスタービンを選択する。膨張器または補助圧縮器はガスタービン圧縮器の下流に気体酸化剤原料上に装備することができる。ガスタービンと動力回収システムおよび反応器の残りの部品との一体化を助けるためにそして動力回収の最適化を可能にするために、この膨張器または補助圧縮器はタービン圧縮器放出を調節して反応器内の気体酸化剤の最適圧力に合わせることができる。この態様はガスタービンおよび反応器の条件の緩和を可能にし、それにより反応器およびガスタービンの操作を別々に最適化させう
るため、それは特に有利である。或いは、補助圧縮器を酸化反応器の下流に且つ加熱器の上流に配置してタービン内の気体流の圧力を調整しそして最適化することができる。
【0043】
気体流をタービン入口へ供給する前にまたはそれと同時に、気体(例えば水蒸気または空気)を気体流に加えることができる。1つの態様では、気体流をタービン入口に供給する前に(すなわち、タービンの上流に)気体を気体流に加えることができ、そしてそのために、本発明の動力回収システム内で水蒸気入口はタービンの上流にある。これは圧縮器およびタービン負荷を適合させるために有利であり、標準的ガスタービンの使用を可能にする。
【0044】
ガスタービンの下流
本発明の1つの技術的問題は、オフガス放出をますます厳しくなるNOxおよびCOの法規に確実に合わせることである。タービンバーナー設計に関すると、一般的には、より高い燃焼温度およびより長い滞在時間はNOxの生成増加の犠牲のもとで良好なCO燃焼を促進する。逆も適用され、低い燃焼温度または滞在時間は低いNOxだけでなく高いCOももたらす。許容不能な高いCOまたはNOxがオフガス内に残る場合には気体流を処理する必要があるであろう。適切な設計項目の結論は、正確な条件に対する設計の不正確さまたは操作適応性に関するPTAプラントの要望のいずれかにより操作プラントがその環境操作目標の少なくとも1つに合致しないという有意な危険性を与える。
【0045】
この危険性を軽減するために、タービンの下流にある気体流を以下の通りにして処理することができる:
1. 当該技術で従来から既知であるように気体流を燃焼装置(接触または非接触)に供給してCOを除去する。
2. 燃焼装置後に、アンモニアを気体流に注入しそして触媒床上に向けてNOxをN2気体に還元することができる。この流を次に大気に放出して関連する環境基準に合致させることができる。
【0046】
これらのスキームの一方または両方を要求される特定地方の環境基準によって使用することができる。
【0047】
反応器、酸化反応剤および条件
反応器は連続流反応器、すなわちバッチ−タイプ反応器と対照したものとして連続方法で反応剤が加えられそして混合されそれと同時に生成物が除去される反応器、である。本発明では、例えば米国特許第7,153,480号明細書に開示されているような標準的な酸化反応器を使用することができる。例えば米国特許第7,153,480号明細書に開示されているような標準的な反応剤および操作条件を使用することもできる。
【0048】
本発明は気体流、すなわち気体反応生成物、を製造するいずれの酸化反応にも適する。例えば、酸化反応はシクロヘキサン酸化、TAまたはテレフタル酸ジメチルへのPX酸化、イソフタル酸へのメタキシレン酸化などを包含する。しかしながら、PXからTAへの酸化が本発明では特に興味がある。
【0049】
本発明における酸化剤は分子状酸素、例えば空気(酸素が枯渇した空気および酸素に富んだ空気を包含する)、でありうる。
【0050】
酸化反応は典型的には発熱性でありそして反応温度を調節するために揮発性成分を除去し、それらを凝縮し、そして凝縮物を反応器に戻すことにより熱を除去することができる。或いはまたはそれに加えて、当業者に既知である従来技術に従い、熱−受容流体を用いる熱交換により反応の熱を反応から除去することができる。
【0051】
上記のように、反応器は一般的に連続方式で操作される。工程を連続流反応器内で実施することにより、分解生成物の有意な製造を伴わずに反応に関する滞在時間を前駆体から所望する生成物への転化の達成と両立させることができる。
【0052】
気体流を800℃〜約1300℃、例えば800℃〜約1100℃、の範囲内、または適切には約1050℃、の温度に加熱することができる。
【0053】
ここで使用される際には、カルボン酸の製造に関する言及はそのエステルの製造に対する言及も包含する。当業者にとって自明であるように、カルボン酸またはそのエステルのいずれが製造されるかは反応器内の条件および/または生成物を精製するために使用される条件に依存するであろう。
【0054】
ここで使用される際には、「芳香族カルボン酸前駆体」または「前駆体」は、特定の芳香族カルボン酸に過半数の収率で選択的な酸化条件の存在下において酸化されうる有機化合物、好ましくは炭化水素、を意味する。テレフタル酸前駆体の例はパラキシレンである。イソフタル酸前駆体の例はメタキシレンである。
【0055】
本発明は約150℃〜約250℃、例えば約175℃〜約225℃、の範囲内の温度、および約100kPa〜約500kPa、例えば約1000kPa〜約3000kPa、の範囲内の圧力に維持される酸化反応器内への溶媒、酸化剤、前駆体および触媒の供給を含んでなりうる。
【0056】
酸化反応は酸化触媒の存在下で行うことができる。触媒は溶媒および芳香族カルボン酸前駆体を含んでなる反応媒体中に実質的に可溶性でありうる。触媒は1種もしくはそれ以上の重金属化合物、例えばコバルトおよび/またはマンガン化合物、を含んでなることができ、そして場合により酸化促進剤を包含しうる。例えば、触媒は脂肪族芳香族カルボン酸溶媒中の芳香族カルボン酸前駆体、例えばテレフタル酸前駆体、の液相酸化において使用されるいずれかの形態、例えばコバルトおよび/またはマンガンの臭化物、ブロモアルカン酸エステル類またはアルカン酸エステル類(普通はC−Cアルカン酸エステル類、例えば酢酸エステル類)、をとることができる。他の重金属、例えばバナジウム、クロム、鉄、モリブデン、ランタニド、例えばセリウム、ジルコニウム、ハフニウム、および/またはニッケル、の化合物をコバルトおよび/またはマンガンの代わりに或いはそれに加えて使用することができる。有利には、触媒システムは臭化マンガン(MnBr)および/または臭化コバルト(CoBr)を包含しうる。使用される場合には、酸化促進剤は元素状臭素、イオン性臭化物(例えばHBr、NaBr、KBr、NH4Br)および/または有機臭化物(例えばブロモベンゼン類、臭化ベンジル、モノ−およびジ−ブロモ酢酸、臭化ブロモアセチル、テトラブロモエタン、二臭化エチレン、など)の形態でありうる。
【0057】
酸化反応が内部で起きうるいずれかの適当な溶媒を使用することができる。酸化反応が芳香族カルボン酸を製造するための前駆体の接触液相酸化である場合には、溶媒は炭素数2〜6の脂肪族モノカルボン酸であることができ、例えば、溶媒は酢酸でありうる。酢酸は他の溶媒に比べて酸化に対して比較的耐性がありそして触媒経路の活性を増加させるために、それは特に有用でありうる。
【0058】
前駆体、触媒および溶媒混合物を加熱しそして加圧し、引き続き酸化剤を酸化剤入口を介して反応器に加えることにより、反応を行うことができる。
【0059】
酸化反応器からの流出物、すなわち反応生成物、は芳香族カルボン酸結晶のスラリーで
あることができ、それはスラリーから濾過およびその後の洗浄により回収される。それらをその後に分離精製段階にまたは直接的に重合工程に供給することができ、例えば、粗製TPA中の主要な不純物は完全に酸化されたパラキシレンである4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)であるが、他の酸化生成物およびテレフタル酸への前駆体、例えばp−トルアルデヒドおよびp−トルイル酸、も不純物として存在しうる。
【0060】
始動および停止
動力回収システムの始動方法はガスタービンを内燃ガスタービン操作に関する全ての標準仕様に従いその標準始動装置(例えばスターターモーター)を用いて始動することでありうる。始動のこの段階は、反応器システム全体および加熱系統(炉などを含んでなる)を簡略化するプラントバイパスを使用する。ガスタービンが部分負荷において定常状態になったら、空気を補助圧縮器または膨張器(存在するなら)および加熱系統の中を徐々に通しそしてガスタービンのガスタービン燃焼器および膨張段階に戻す。同様に、補助圧縮器が燃焼器の上流に位置する場合には、ガスタービンが部分負荷において定常状態になったらこれが始動される。始動のこの段階は酸化反応器を一周する空気バイパスを使用する。ガスタービンの圧縮器から全ての空気が加熱系統を通して供給された後に、最初のバイパスは完全に閉鎖される。次に反応を開始するために空気が酸化反応器に供給される。水蒸気が加熱系統に供給されてガスタービン出力を所望する水準に維持する。反応器に供給される空気の割合は反応器バイパス弁の調整により調節される。反応器バイパスが閉じられたら動力回収システムは完全にオンライン状態である。
【0061】
酸化反応器引きはずし装置上で、圧縮器段階からの空気の流れは反応器バイパスを通ってガスタービンの膨張段階に分岐される。反応器はこの状態から容易に再始動することができる。ガスタービンの停止もこの状態から進めることができる。
【0062】
一般原則
用語「含んでなる」は「包含する」並びに「よりなる」を包括し、例えばXを「含んでなる」組成物はXだけからなることもできまたは例えばX+Yのように何らかの追加成分を包含することもできる。
【0063】
数値xに関する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0064】
本発明を例示だけのために記述してきたが発明の範囲および精神内である限り変更を行えることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)気体流を少なくとも800℃の温度に加熱し、
(b)気体流を圧縮器に連結されたタービンを含んでなるガスタービンのタービン段階に供給して、そこで圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮する
ことを含んでなる、反応が気体酸化剤が供給される連続的酸化反応器内で実施される気体流を製造する酸化反応からの動力を回収する方法。
【請求項2】
気体流をタービンに供給する前にまたはそれと同時に、気体が気体流に加えられる請求項1の方法。
【請求項3】
膨張器または補助圧縮器が酸化反応器への気体酸化剤入口上のガスタービン圧縮器の下流に装備される請求項1または請求項2の方法。
【請求項4】
気体流を加熱するために加熱器が装備されそして補助圧縮器が酸化反応器の下流に且つ加熱器の上流に装備される請求項1〜3のいずれか1項の方法。
【請求項5】
(a)気体流を少なくとも800℃の温度に加熱し、
(b)気体流を圧縮器に連結されたタービンを含んでなるガスICOCGTのタービン段階に供給して、そこで圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮し、
(c)ICOCGTのタービン段階で圧力を監視し、
(d)気体を気体流に加えることによりICOCGTのタービン段階内の圧力を酸化反応器への気体酸化剤原料を圧縮するための圧縮器の動力必要量に相当する最小値より上で且つガスタービンの動力または圧力限界により設定された最大値より下の圧力範囲内に維持する
ことを含んでなる、反応が気体酸化剤が供給される連続的酸化反応器内で実施される気体流を製造する酸化反応からの動力回収を監視する方法。
【請求項6】
気体流に加えられる気体のマスフローが気体の添加前の気体流のマスフローの約0%〜約25%の範囲内である請求項2〜5のいずれか1項の方法。
【請求項7】
気体流に加えられる気体のマスフローが気体の添加前の気体流のマスフローの約6%〜約15%の範囲内である請求項2〜6のいずれか1項の方法。
【請求項8】
気体が水蒸気または空気である請求項2〜7のいずれか1項の方法。
【請求項9】
気体流を800℃〜約1350℃の範囲内の温度に加熱することを含んでなる請求項1〜8のいずれか1項の方法。
【請求項10】
気体流を800℃〜約1100℃の範囲内の温度に加熱することを含んでなる請求項9の方法。
【請求項11】
気体流を約1050℃の範囲内の温度に加熱することを含んでなる請求項1〜8のいずれか1項の方法。
【請求項12】
気体流が直接加熱器で加熱される請求項1〜11のいずれか1項の方法。
【請求項13】
気体流が間接加熱器で加熱される請求項1〜11のいずれか1項の方法。
【請求項14】
気体流が直接加熱器での加熱前に接触燃焼装置で加熱される請求項12の方法。
【請求項15】
気体流が間接加熱器での加熱前に接触燃焼装置で加熱される請求項13の方法。
【請求項16】
気体流が交換器で加熱される請求項1〜15のいずれか1項の方法。
【請求項17】
気体流がスクラッバーにより処理される請求項1〜16のいずれか1項の方法。
【請求項18】
(a)酸化剤入口および気体流出口を含んでなる容器、並びに
(b)(b1)気体流出口の下流に連結された気体流を加熱するための加熱器、および
(b2)圧縮器に連結されたタービンを含んでなる加熱器の下流に連結されたガスタービンであって、ここで圧縮器が酸化剤入口に連結されているために反応器が使用中である時には圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮するようなガスタービン
を含んでなる気体流出口に連結された動力回収システム
を含んでなる、気体流を製造する酸化反応用の連続的反応器。
【請求項19】
動力回収システムが気体を気体流に加えるための気体入口を含んでなる請求項18の反応器。
【請求項20】
反応器が直接加熱器である請求項18または請求項19の反応器。
【請求項21】
反応器が間接加熱器である請求項18または請求項19の方法。
【請求項22】
接触燃焼装置が加熱器の上流に装備される請求項18〜21のいずれか1項の反応器。
【請求項23】
スクラッバーが接触燃焼装置および加熱器の間に装備される請求項22の反応器。
【請求項24】
動力回収システムが酸化反応器への気体酸化剤入口上のガスタービン圧縮器の下流に装備された膨張器または補助圧縮器を含んでなる請求項18〜23のいずれか1項の反応器。
【請求項25】
動力回収システムが酸化反応器の下流で且つ加熱器の上流に補助圧縮器を含んでなる請求項18〜24のいずれか1項の反応器。
【請求項26】
(a)触媒および液相溶媒の存在下において、芳香族カルボン酸および気体流を製造するための気体酸化剤が供給される連続的反応器内で、芳香族カルボン酸の1種もしくはそれ以上の前駆体を酸化剤と接触させ、
(b)気体流を少なくとも800℃の温度に加熱し、
(c)気体流を圧縮器に連結されたタービンを含んでなるガスタービンに供給して、そこで圧縮器が反応器に供給された気体酸化剤を圧縮する
ことを含んでなる、それによりエネルギーが酸化反応から回収される前駆体を液相反応混合物中で芳香族カルボン酸またはそのエステルに酸化する方法。
【請求項27】
(d)段階(c)後に気体流から水蒸気を発生させることをさらに含んでなる請求項26の方法。
【請求項28】
(d)段階(c)後に気体流から電気を発生させることをさらに含んでなる請求項26の方法。
【請求項29】
(d)段階(c)後にCOおよびNOxを気体流から除去することをさらに含んでなる請求項26の方法。
【請求項30】
(c)段階(b)後に気体流から水蒸気を発生させることをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項31】
(c)段階(b)後に気体流から電気を発生させることをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項32】
(c)段階(b)後にCOおよびNOxを気体流から除去することをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項33】
(e)段階(b)後に気体流から水蒸気を発生させることをさらに含んでなる請求項5の方法。
【請求項34】
(e)段階(b)後に気体流から電気を発生させることをさらに含んでなる請求項5の方法。
【請求項35】
(e)段階(b)後にCOおよびNOxを気体流から除去することをさらに含んでなる請求項5の方法。
【請求項36】
(e)別の反応器への原料をガスタービンからの気体原料との直接的な熱交換により加熱することをさらに含んでなる請求項5の方法。
【請求項37】
(e)別の反応器への原料をガスタービンからの気体流を使用して高圧流を発生させることにより加熱することをさらに含んでなる請求項5の方法。
【請求項38】
動力回収システムが(b3)段階(b2)後に気体流から水蒸気を発生させることをさらに含んでなる請求項18の反応器。
【請求項39】
動力回収システムが(b3)段階(b2)後に気体流から電気を発生させることをさらに含んでなる請求項18の反応器。
【請求項40】
動力回収システムが(b3)段階(b2)後にCOおよびNOxを気体流から除去することをさらに含んでなる請求項18の反応器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−528276(P2011−528276A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507981(P2011−507981)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001117
【国際公開番号】WO2009/136146
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】