説明

動物における病気を制御する組成物および方法

本明細書において、サッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物、バチルス・リケニフォルミスまたはバチルス・ズブチリス胞子、および、キャリアーを含む、動物における病気を治療するための組成物を開示する。さらに、動物における病気を予防、制御および/または治療するための組成物、および、動物用の食物/飼料を含む動物用飼料組成物も含まれる。本組成物は、イオノフォア系抗コクシジウム剤、または、コクシジウム症ワクチンと組み合わせて用いれば、トリにおける壊死性腸炎のような病気を予防、制御および治療するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、合衆国法典第35巻第119条(e)に基づき、2009年6月3日付けで出願された米国仮特許出願第61/187,316号、2009年3月3日付けで出願された米国仮特許出願第61/156,902号、および、2008年12月10日付けで出願された米国仮特許出願第61/121,258号の利点を請求する。
【背景技術】
【0002】
[0001]ブタおよびトリ、特に集約飼育された、または、大規模な操業で飼育されたものは、様々な病気および感染に罹る傾向、または、それらを取り込む危険を有しており、このような病気および感染としては、例えばブタおよびトリにおけるマイコプラスマ病、ブタにおけるローソニア感染症(回腸炎)およびブタ赤痢、および、トリにおける壊死性腸炎が挙げられる。これらのタイプの病気または感染それぞれを治療するための医薬品が提唱されているか、または、使用されている。
【0003】
[0002]豚増殖性腸炎(PPE;または、いわゆるブタの回腸炎)の原因因子であるL.イントラセルラリス(L.intracellularis)は、例えばウサギ、フェレット、ハムスター、キツネ、ウマなど実質的に全ての動物に影響を与え、加えてダチョウおよびエミューのような多種多様なその他の動物にも影響を与える。PPEは、食肉用の豚と若い飼育されたブタの下痢を伴う一般的な病気であり、これは、回腸および結腸の過形成および炎症を特徴とする。これらは軽度で自己制御されることが多いが、時々、高い死亡率の持続的な下痢、重度の壊死性腸炎または出血性腸炎を引き起こす。
【0004】
[0003]トリにおける壊死性腸炎(NE)は、グラム陽性の嫌気性細菌クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)によって引き起こされる。この病気は急性腸毒血症の状態をもたらし、主として2〜5週齢のブロイラーのニワトリ、および、7〜12週齢のシチメンチョウに影響を及ぼす。この疾患の持続時間は極めて短く、病気の唯一の兆候は、典型的には鳥の死亡率の突然の増加である。
【0005】
[0004]C.パーフリンジェンスは、土壌、ほこり、便、飼料、および、使用済みの養鶏用敷きわらに見出されるほぼ至る所に存在する細菌であり、さらに健康なニワトリの腸の定住菌でもある。壊死性腸炎を引き起こす腸毒血症は、腸のミクロフローラが変化した後に発生するか、または、腸粘膜へのダメージを引き起こす状態(例えば、コクシジウム症、マイコトキシン症、サルモネラ症、回虫の幼虫)から発生するかのいずれかである。餌中の動物副産物、コムギ、大麦、オートムギまたはライの量が多いと、トリをこのような病気に罹りやすくなる。壊死性腸炎の出現を高める要因は、過剰な細菌増殖や毒素産生の促進、または、小腸での飼料の通過速度の低下などの可能性がある。
【0006】
[0005]壊死性腸炎の診断は、肉眼的病変、および、大きいグラム陽性桿菌を示す粘膜擦過物の塗抹標本のグラム染色に基づく。肉眼的病変は主として小腸に見出され、このような小腸は膨脹しており、もろく、悪臭のする茶色の流体を含むこともある。このような粘膜は、通常、黄褐色〜黄色の偽膜で覆われており、これは「トルコタオル」のような様相と称されることが多い。この偽膜は、小腸中に張り巡らされている場合もあるし、または、局部的な領域にしか存在しない場合もある。この病気は群れのなかで5〜10日間留まり、死亡率は2〜50%である。トリにおける壊死性腸炎を予防するための従来の製品は、バージニアマイシン(20g/トン(飼料))、バシトラシン(50g/トン)、および、リンコマイシン(2g/トン)を含む薬用飼料である。またイオノフォア系の抗コクシジウム化合物を含む薬用飼料も、壊死性腸炎予防に有用であった。壊死性腸炎の治療は、典型的には、飲用水中のバシトラシン、ペニシリンおよびリンコマイシンを5〜7日間投与することによる。NEが、直接給与生菌(DFM)製品の使用が禁じられているか、または、制御されている可能性がある病気の状態であると証明されており、これはなぜなら、それらは腸のミクロフローラに作用するためである。
【0007】
[0006]コクシジウム症は、鶏肉産業において顕著な経済的損失を引き起こす。この病気は、E.テネラ(E.tenella)、E.ネカトリックス(E.necatrix)、E.アセルブリナ(E.acervulina)、E.ブルネッテイ(E.brunetti)、および、E.マキシマ(E.maxima)などの数種のアイメリア属(Eimeria)によって引き起こされる。ニワトリにおけるコクシジウム症の段階は、宿主内と宿主の外側との両方に現れる。ニワトリの発生段階で顕微鏡レベルの卵(オーシストと呼ばれる)が生じ、これは糞中に排出される。通常、ほとんどのトリは、病的な作用を引き起こすことなく糞中に少数のオーシストを排出するが、家禽の集約飼育は、その環境で感染性オーシストの形成を許容する状態をもたらし、それによってコクシジウム症感染の可能性を高めてしまう。コクシジウム症感染は、感染から三日目に顕在化する可能性がある。症状としては、ニワトリの衰弱、餌を食べなくなること、および、一緒になって群がることが挙げられる。4日目には糞中に血液が見え始め、8日目には、ニワトリは死亡するか、または回復し始める。
【0008】
[0007]コクシジウム症の予防としては、飼料に抗コクシジウム剤を混合することが挙げられる。米国で、コクシジウム症予防に最も一般的に用いられる薬物は、サリノマイシンのようなイオノフォアである。サリノマイシンおよびそれらの塩は、典型的には、約40〜約60グラム/トン(動物用飼料)(0.0044%〜0.0066%)の濃度で動物用飼料に添加される。サリノマイシンナトリウムは、米国で用いられているサリノマイシンの好ましい形態である。ナラシンは、最も一般的に報告されているイオノフォアであり、NE予防の補助剤として販売促進されている。また、特に抗生物質未使用のニワトリを市販したい人は、コクシジウム症ワクチン(コクシバック(Coccivac(登録商標))−B)を用いてもよい。コクシバック−Bは、E.アセルブリナ、E.ミバチ(mivati)、E.マキシマ、および、E.テネラを含む、弱毒化していない生きた胞子形成オーシストのコクシジウム症ワクチンである。
【0009】
[0008]動物における複数の病気、特に細菌由来の病気を治療するための組成物および方法の必要性がある。これらの組成物は、その他の病気の治療に用いられるその他の治療および/または組成物と組み合わせても使用できると予想される。最も有利には、病気を治療するための組成物が、その他の組成物またはその他の治療計画のいずれかと併用されると相乗効果を有すると予想される。
【発明の概要】
【0010】
[0009]本発明は、動物、具体的にはトリにおける病気を治療するための組成物および方法に関する。本発明の一実施態様は、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)由来の酵母抽出物、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)の胞子、および任意にキャリアーを含む、動物における病気を治療するための組成物を対象とする。本発明の実施態様はまた、動物に、サッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物、バチルス・リケニフォルミスの胞子、および任意にキャリアーを含む組成物を投与することを含む、動物における病気を予防する方法も対象とする。
【0011】
[0010]また本発明は、サッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物、および、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)QST−713株、ならびに任意にキャリアーを含む、動物における病気を予防および/または制御するための組成物も対象とする。本発明の実施態様はまた、動物に、サッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物、および、バチルス・ズブチリスQST−713株、および任意にキャリアーを含む組成物の有効量を投与することを含む、動物における病気を予防および/または制御する方法も対象とする。
【0012】
[0011]本発明はさらに、約50質量%〜約90質量%のサッカロミセス・セレビジエ由来の細胞壁分画;約5質量%〜約50質量%のバチルス・リケニフォルミスの胞子(約4.5×10〜約2.5×1010胞子/グラムを含む);および、イオノフォア系抗コクシジウム剤を含む組成物に関する。本発明の実施態様はまた、動物にコクシジウム症ワクチンを接種させること、および、動物に、約50質量%〜約90質量%のサッカロミセス・セレビジエ由来の細胞壁分画;約5質量%〜約50質量%のバチルス・リケニフォルミスの胞子(約4.5×10〜約2.5×1010胞子/グラムを含む);および、約0質量%〜45質量%のキャリアーを含む組成物を投与することを含む、動物における病気を予防する方法も対象とする。本発明の実施態様は、加えてC.パーフリンジェンスに攻撃された動物における死亡率を低減させる方法にも関し、本方法は、動物にコクシジウム症ワクチンを接種させること、および、動物に、約50質量%〜約90質量%のサッカロミセス・セレビジエ由来の細胞壁分画;約5質量%〜約50質量%のバチルス・リケニフォルミスの胞子(約4.5×10〜約2.5×1010胞子/グラムを含む);および、約0質量%〜45質量%のキャリアーを含む組成物を投与することを含む。本発明の実施態様はさらに、C.パーフリンジェンスに攻撃された動物における壊死性腸炎の病変を低減させる方法を対象とし、本方法は、動物にコクシジウム症ワクチンを接種させること、および、動物に、約50質量%〜約90質量%のサッカロミセス・セレビジエ由来の細胞壁分画;約5質量%〜約50質量%のバチルス・リケニフォルミスの胞子(約4.5×10〜約2.5×1010胞子/グラムを含む);および、約0質量%〜45質量%のキャリアーを含む組成物を投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0012]本明細書において、コクシジウム抑制薬またはコクシジウム症ワクチンと併用されるB.リケニフォルミス(B.licheniformis)のようなプロバイオティック細菌と、壊死性腸炎の予防、制御および治療に用いられるβ−グルカンおよびマンナンを含む免疫を高める酵母細胞壁抽出物との予想外の相乗効果を示す組み合わせを開示する。動物における病気を治療するのに適したこれらの組成物(一方で、動物用飼料添加剤とも称する)は、L.イントラセルラリス、または、C.パーフリンジェンスのような細菌での感染によって引き起こされる病気の治療に特に有用である。
【0014】
[0013]直接給与生菌(DFM)は、動物の腸内環境を調節することによって、および、消化を改善することによって生産高を改善するために動物に供給される生きた微生物である。これは、正常な消化管内のフローラの適切なバランスの維持を助ける。科学者はDFMの作用機序を完全に理解していないが、DFMは、それ自身が消化管表面に付着して、有害生物が消化管表面に付着して定着することを減少させるか、または予防し;腸の免疫を刺激することによって、病気に対する防御を提供し;消化に役立つ酵素を放出し;消化管のpHを変更し、有益な生物を刺激する有機酸を生産し;および、ビタミンのような栄養素を生産することによって作用する可能性があると考えられる。アルケア(AlCareTM)(アルファーマ社(Alpharma Inc.),ニュージャージー州ブリッジウォーター)は、B.リケニフォルミスの改変株(NCTC13123)を含むDFMである。アルケアTMは、70質量%の炭酸カルシウムキャリアー中に、B.リケニフォルミスの胞子を1×1010個/グラム含む。飼料1トン当たり1ポンドのアルケアTMは、飼料1ポンド当たり2.2×10コロニー形成単位(cfu)のB.リケニフォルミスを供給する。
【0015】
[0014]ビール酵母は、S.セレビジエとして知られている真菌の一種である。アルファミューン(Alphamune(登録商標))(アルファーマ社,ニュージャージー州ブリッジウォーター)は、食品グレードのビール酵母の細胞壁から生産された架橋された天然多糖類繊維である。またアルファミューン(登録商標)の成分は、ベータモス(Beta Mos(登録商標))(アルファーマ社,ニュージャージー州ブリッジウォーター)の名称でも製造されており、これは、細胞を可溶化して、自己分解後に細胞内から生物学的な活性物質を抽出した後のS.セレビジエの細胞壁分画である。アルファミューン(登録商標)は、β−グルカンとマンナンとの組み合わせである。アルファミューン(登録商標)中に存在するβ−グルカンは側鎖(1,3−1,6)を有し、それによりグルカナーゼで壊すことのできない特異的な複雑な構造が生じる。β−グルカンは、動物において強い免疫増強作用を有しており、これは、マクロファージに結合してマクロファージを活性化することによってサイトカインを分泌させる。S.セレビジエのマンナンは、部分的にリン酸化されたD−マンノース残基を含む多糖類−ポリペプチド複合体である。マンナンは、免疫刺激作用を有することが示されている。アルファミューン(登録商標)は、一般的に、約24質量%より多いまたはそれに等しいβ−グルカン、および、約15質量%未満またはそれに等しいマンナンを含む。
【0016】
[0015]驚くべきことに、バイオ系殺真菌剤(biofungicide)として販売されているバチルス・ズブチリスQST−713株と、酵母抽出物、例えばβ−グルカンおよびマンナンを含むサッカロミセス・セレビジエ、すなわちビール酵母由来の酵母抽出物の組み合わせおよびそれらの組成物が、例えばL.イントラセルラリスまたはクロストリジウム・パーフリンジェンスのような細菌によって引き起こされる動物における感染などの病気を予防および/または制御するのに用いられる可能性がある。
【0017】
[0016]上記で説明されているように、本発明はさらに、例えば感染、具体的にはトリにおける壊死性腸炎、および、ブタにおけるブタ回腸炎のような動物における病気を予防および/または制御するための、バチルス・ズブチリスQST−713株、および、酵母抽出物(例えばサッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物)、ならびに任意にキャリアーを含む組成物を提供する。
【0018】
[0017]バチルス・ズブチリスQST−713株は、セレナーデ(登録商標)マックス(Serenade(登録商標)MAX,アグラクエスト社(AgraQuest Inc.),カリフォルニア州デービス)という商標名でバイオ系殺真菌剤として市販されている。セレナーデ(登録商標)マックスは、天然に存在するバチルス・ズブチリスQST−713株をベースとした微生物殺虫剤である。これは、相乗的に作用して発芽管、菌糸体および細菌細胞を阻害するイツリン(iturin)、アグラスタチン(agrastatin)/プリパスタチン(plipastatin)、および、サーファクチンという3群のリポペプチドを生産する。セレナーデ(登録商標)マックスは、不活性で非反応性の成分の混合物を含むキャリアー中に10〜15質量%の乾燥バチルス・ズブチリスQST−715を含み、混合物1グラムあたり最低限で7.3×10cfuのバチルス・ズブチリスQST−715を提供する。セレナーデ(登録商標)マックスは、その他のあらゆる葉面散布する殺真菌剤のように適用される水和剤、可溶性の顆粒、および、水性懸濁液として配合が可能である。セレナーデ(登録商標)マックスは標的および有益な生物以外には毒性ではない。セレナーデの複雑な作用機序、環境への適合性、および、広域スペクトルの制御のために、セレナーデは、総合的害虫管理に使用するのに非常によく適している。
【0019】
[0018]上記で示したように、本発明の組成物は、バチルス・ズブチリスQST−713株、および、酵母抽出物(例えばサッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物)、ならびに任意にキャリアーを含む。好ましくは、本発明の組成物は、バチルス・ズブチリスQST−713株を、組成物の総質量に基づき約5質量%〜約50質量%の範囲の量で、より好ましくは約10質量%〜約15質量%の範囲の量で含む。好ましくは、本発明の組成物の構成要素であるバチルス・ズブチリスQST−713株は、約4.5×10〜約2.5×1010cfuのバチルス・ズブチリスQST−713株/グラムを含み、より好ましくは、最低限で約7.3×10cfuのバチルス・ズブチリスQST−713株/グラムを含む。上記で説明したように、本発明はさらに、例えば動物における感染、具体的にはトリにおける壊死性腸炎、および、ブタにおけるブタ回腸炎のような病気を予防および/または制御するための、バチルス・ズブチリスQST−713株と、酵母抽出物(例えばサッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物)との組み合わせを含む動物用飼料組成物を提供する。
【0020】
[0019]本発明の一実施態様は、酵母(例えばS.セレビジエ)由来の酵母抽出物、プロバイオティック細菌、および、イオノフォア系抗コクシジウム剤を含む、動物における病気を予防するための組成物を含む。イオノフォア系抗コクシジウム剤としては、これらに限定されないが、サリノマイシン、モネンジン、ナイジェリシン、ナラシン、ライドロマイシン、ノボリトマイシン(noboritomycin)、grisorixin、mutalomycin、alborixin、ラノマイシン(lonomycin)、ラサロシド、マデュラマイシン(maduramicin)アンモニウム、センデュラマイシン、および、リセセリン(lysecellin)が挙げられる。好ましい本発明の実施態様は、サリノマイシン(バイオ−コックス(Bio−Cox(登録商標));アルファーマ社,ニュージャージー州ブリッジウォーター)を含む。イオノフォア系抗コクシジウム剤は、約0.0033質量%〜約0.0099質量%の範囲の量で、好ましくは約0.0044質量%〜約0.0066質量%の範囲の量で存在する。
【0021】
[0020]本発明の実施態様は、動物にコクシジウム症ワクチンを接種させること、および、動物に、酵母(例えばS.セレビジエ)、プロバイオティック細菌、および、キャリアーを含む組成物を投与することを含む、動物における病気を予防する方法を対象とする。好ましいコクシジウム症ワクチンは、コクシバック(登録商標)−B(シェリング・プラウ・アニマルヘルス社(Schering Plough Animal Health Corporation))、E.アセルブリン(E.acervuline)、E.ミバチ、E.マキシマおよびE.テネラを含む弱毒化していない生きた胞子形成オーシストのコクシジウム症ワクチンである。
【0022】
[0021]本組成物は、任意にキャリアーを含んでいてもよい。多数の適切な乾燥キャリアーは、有機物質でもよいし、または無機物質でもよい。典型的な無機キャリアーとしては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの塩が挙げられる。適切な有機キャリアーとしては、ラクトースなどが挙げられる。また、例えばシリカのような少量のその他の流れ調整剤も使用できる。また、これら上述したものの1種またはそれより多くを含む混合物も使用できる。
【0023】
[0022]本組成物は、酵母抽出物、例えばS.セレビジエ由来の酵母抽出物を含む。具体的に言えば、細胞壁分画は、β−グルカンおよびマンナンを含む。細胞壁分画は、例えば機械的に破壊した細胞から生産される。酵母抽出物は、組成物の総質量に基づき、約50質量%〜約90質量%、具体的には約50質量%〜約85質量%、より具体的には約50質量%〜約55質量の量で存在する。一実施態様において、β−グルカンは(1,3−1,6)側鎖を有し、グルカナーゼによる切断に対して耐性を有する。その他の実施態様において、マンナンは、部分的にリン酸化されたD−マンノース残基を含む多糖類−ポリペプチド複合体である。酵母抽出物は、約40質量%〜約85質量%の細胞壁、具体的には約40質量%〜約45質量%の細胞壁を含む。
【0024】
[0023]B.リケニフォルミスは、組成物の総質量に基づき、約5質量%〜約50質量%、および、具体的には約7.5質量%〜約12.5質量%の量で存在する。構成要素であるB.リケニフォルミスは、組成物の総質量に基づき、約4.5×10〜約2.5×1010cfu/グラム、具体的には約5×10〜約1.25×1010cfu/グラムを含む。
【0025】
[0024]キャリアーは、組成物の総質量に基づき、0質量%〜45質量%、具体的には約5質量%〜約40質量%、および、より具体的には約37.5質量%〜約42.5質量%の量で存在する。
【0026】
[0025]一実施態様において、動物における病気の治療に適した本組成物は、動物用食糧中に投与される。通常、ウシ、ブタおよびトリのような加工された動物用食糧はペレットまたは類似の微粒子材料の形態で提供される。ペレットは、典型的には、穀類のベースを油およびタンパク質のような成分と組み合わせ、このような混合物の状態を水蒸気で整え(例えば、70℃で5分間)、この混合物を円形の型(典型的には、直径2mm〜15mm)で押出し成形し、適切なサイズの長さ(例えば5〜20mm)に切断し、乾燥させることによって製造される。完成したペレットは、一般的に、円柱状に成型され、比較的滑らかな表面を有する。
【0027】
[0026]一実施態様において、動物用飼料組成物は、動物用食糧に動物用飼料添加剤組成物を添加することによって製造される。動物用飼料添加剤組成物は、様々な方法で食物に添加することができる。所定量の飼料に、所定量の活性成分を含む動物用飼料添加剤組成物を添加して、混合またはブレンドして、実質的に均一な薬用飼料組成物を提供することもできる。この方式で、多数の動物を治療するための大規模な試料のロットを製造することもできる。あるいは、1匹の動物または1回の食事のための飼料を含む飼料のバッチは、予め決められた量の動物用飼料添加剤組成物と、動物用飼料とを混合することによって製造してもよいし、または、動物の飼料に追加して添加するもの(top dressing)として予め決められた量の予備混合物を添加することによって製造してもよい。
【0028】
[0027]その他の実施態様において、動物用飼料組成物は、動物における病気を治療するのに適した組成物、および、動物用食糧を含み、ここで、動物における病気の治療に適した本組成物は、動物用食糧(マッシュまたはペレット状)1トンあたり、約0.5ポンド〜約10ポンド、具体的には約1ポンド〜約5ポンド、より具体的には約1.5ポンド〜約2.5ポンド、および、最も具体的には2ポンドの量の動物における病気の治療に適した本組成物を含む。一実施態様において、動物用食糧は、トリ用食糧であり得る。その他の実施態様において、動物用食糧は、ブタ用食糧であり得る。
【0029】
[0028]以下の非限定的な実施例で、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0030】
[0029]実施例1.
[0030]1日齢の健康なブロイラーの雄のニワトリ(Cobb×Cobb)ニワトリを、ジョージア州クリーブランドのコッブ−バントレス孵化場(Cobb−Vantress Hatchery)から得た。ニワトリが到着したら、それらをピーターサイム(Petersime)のバッテリーケージで飼育した。各ケージに8匹のトリを入れた。温度制御されたガス炉/空気調節装置で一定の温度を維持し、むらのない継続的な照明を提供した。試験中ずっと水を適宜利用できるようにした。ニワトリを48匹のニワトリを含む群に分けた。2つのコントロール処理群に、薬用成分の入っていない市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料を供給した。1つの群(アルケア0.5群と名付けられた)に、アルケアTM(アルファーマ,ニュージャージー州ブリッジウォーター)、1グラムあたり1.0×1010個のB.リケニフォルミス胞子を含むDFM製品を、0.5ポンド/トンの割合で供給した。その他の群(アルケア1群)に、アルケアTMを1.0ポンド/トンの割合で供給した。2つの別の群に、アルファミューン(登録商標)(アルファーマ,ニュージャージー州ブリッジウォーター)、動物飼料に使用するためのビール酵母(サッカロミセス・セレビジエ)抽出物を、それぞれ1ポンド/トン(アルファミューン1群)、および、2ポンド/トン(アルファミューン2群)の割合で供給した。追加の群に、アルケアおよびアルファミューンの両方を、アルケア0.5ポンド/トン+アルファミューン1ポンド/トン、アルケア1ポンド/トン+アルファミューン1ポンド/トン、アルケア0.5ポンド/トン+アルファミューン2ポンド/トン、および、アルケア1ポンド/トン+アルファミューン2ポンド/トンの割合で供給した。
【0031】
[0031]ニワトリに28日間餌を与えた。実験中に死亡した全てのトリの体重を量り、壊死性腸炎(NE)病変の存在に関して解剖して調べた。14日目に、全ての群をアイメリア・マキシマ(トリ1羽あたり5,000個のオーシスト)を経口投与し攻撃した。19、20および21日目に、コントロール(NC)を除く全ての処理群を、C.パーフリンジェンス(C.パーフリンジェンスの液体培地での培養物,108cfu/ml)で攻撃した。22日目に、各ケージから3羽のトリの病変をNEに関してスコア付けした。28日目に試験を止めた。表1に試験結果を示す。
【0032】
【表1】

【0033】
[0032]実施例2.
[0033]1日齢の健康なブロイラーの雄ニワトリ(Cobb×Cobb)ニワトリを、ジョージア州クリーブランドのコッブ−バントレス孵化場から得た。トリが到着したら、トリを50羽ずつ各処理用の畜舎にブロックで割り振った。環境制御のために、周囲湿度にして、24時間照明した。主要な熱源はガスヒーターであり、卵を孵化させる期間中は必要に応じ補足の熱源として、各畜舎に加熱ランプを置いた。ファンおよび側壁のカーテンを操作することによって、換気してトリを冷やした。試験中ずっと水を適宜利用できるようにした。2つのコントロール処理群に、薬用成分の入っていない市販タイプの、米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用、育成用および仕上げ用(finisher)飼料を供給した。SM群と名付けた1つの群に、セレナーデ(登録商標)マックスを91g/トン(食糧)の割合で供給した。SM+アルファミューン(登録商標)(AM)群と名付けたその他の群に、セレナーデ(登録商標)マックスを91g/トン(食糧)の割合で、および、アルファミューン(登録商標)を1lb/トン(食糧)の割合で供給した。この処理を6ブロックで繰り返し、ランダム化した。
【0034】
[0034]ニワトリの到着日付から実験42日目まで、ニワトリに適宜餌を与えた。実験中に死亡した全てのトリの体重を量り、壊死性腸炎(NE)病変の存在に関して解剖して調べた。14日目に、全ての群をアイメリア・マキシマ(トリ1羽あたり5,000個のオーシスト)を経口投与し攻撃した。19、20および21日目に、コントロール群(NC)の1つを除く全ての処理群を、C.パーフリンジェンス(CP,C.パーフリンジェンスの液体培地での培養物,108cfu/ml)で攻撃した。22日目に、各畜舎からのトリ5羽の病変をNEに関してスコア付けした。42日目に試験を終結させ、結果を表2に示した。
【0035】
【表2】

【0036】
[0035]実施例3.
[0036]1日齢の健康なブロイラーの雄ニワトリ(Cobb×Cobb)を孵化場から得て、それらの性別を分け、慣例的なワクチン(HVTSB1)を接種させた。この研究では見た目が健康なニワトリを用いた。研究の経過中にトリの交換は無かった。ニワトリが到着したら、それらを床がわら敷きの畜舎で飼育した。畜舎ごとに50羽のトリを置いた。屋内で畜舎を場所ごとにブロックで仕切った。各ブロック内で処理はそれぞれ一回行われた。温度制御されたガス炉を一定の温度に維持した。試験中ずっと水を適宜利用できるようにした。
【0037】
[0037]0、21および42日目に、畜舎で全てのトリの体重を量った。幼鳥用、育成用および仕上げ用飼料の、それぞれ0〜21日間、21〜35日間および35〜42日間の消費を測定した。42日目に研究を終結させた。22日目に、各畜舎からのトリ5羽の病変をNEに関してスコア付けした。スコア付けは0〜3のスコアに基づき行われ、ここで0は正常であり、3は最も重度である。スコア付けは以下の通りであった:正常な腸は0、粘液での被覆がわずかであり正常な状態が失われている場合は1、重度の壊死性腸炎の場合は2、および、内腔で出血している最も重症な壊死性腸炎の場合は3とした。実験中に死亡したトリの体重を量り、NEの存在に関して解剖して調べた。これらの研究による全てのトリを調査施設で処分した。死亡率を、全体の死亡率と、および、NEに起因する死亡率としてまとめた。
【0038】
[0038]合計で8種の異なる処方計画を試験した。14日目に、全ての群をアイメリア・マキシマ(トリ1羽あたり5,000個のオーシスト)を経口投与し攻撃した。19、20および21日目に、コントロール(NC)を除く全ての処理、および、アルケアおよびアルファミューン(AA〜NC群)を用いた処理群を、C.パーフリンジェンス(C.パーフリンジェンスの液体培地での培養物,108cfu/ml)で攻撃した。コントロール飼料は、アルケアTM(AC)、アルファミューン(登録商標)(AM)、または、サリノマイシン(S)を含んでいなかった。コントロール群には、孵化した日に、ラベルで推奨している投与量でスプレーコックス(Spraycox(登録商標))(シェリング・プラウ・アニマルヘルス社)装置を用いた噴霧によるワクチン接種を行わなかった。この群を以下のように名付けた:
[0039]NC群(攻撃を受けていないコントロール):NC群に、薬用成分の入っていない市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料を供給し、C.パーフリンジェンスでの攻撃を行わなかった。
【0039】
[0040]CP群(攻撃を受けたコントロール):CP群に、薬用成分の入っていない市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料を供給し、上述したようにこれをC.パーフリンジェンスで攻撃した。
【0040】
[0041]AA、NC群(アルケアTMおよびアルファミューン(登録商標)を供給;攻撃しなかった):AA、NC群に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+アルケアTMを1.0ポンド/トンの割合で、および、アルファミューン(登録商標)を1ポンド/トンの割合で供給した。この群には攻撃を行わなかった。
【0041】
[0042]AA、CP群(アルケアTMおよびアルファミューン(登録商標)を供給;攻撃あり)に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+アルケアTMを1.0ポンド/トンの割合で、および、アルファミューン(登録商標)を1ポンド/トンの割合で供給した。この群を上述したように攻撃した。
【0042】
[0043]S、CP群(サリノマイシンで処理;攻撃した)に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+サリノマイシン(66ppm)を供給し、上述のようにして攻撃した。
【0043】
[0044]S、AA、CP群(サリノマイシンで処理;アルケアTMおよびアルファミューン(登録商標)を供給;攻撃あり)に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+アルケアTMを1.0ポンド/トンの割合で、および、アルファミューン(登録商標)を1ポンド/トン+サリノマイシン(66ppm)の割合で供給した。この群を上述したように攻撃した。
【0044】
[0045]CV、CP群(コクシバック(登録商標)−Bで処理;攻撃あり)に、孵化した日に、スプレーコックス(登録商標)装置(シェリング・プラウ・アニマルヘルス社)を用いてラベルで推奨している投与量で噴霧によるワクチン接種を行い、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料を供給した。この群を上述したように攻撃した。
【0045】
[0046]CV、AA、CP群(コクシバック(登録商標)−Bで処理;攻撃あり)に、孵化した日に、ラベルで推奨している投与量で、スプレーコックス(登録商標)装置を用いて噴霧によるワクチン接種を行い、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+アルケアTMを1.0ポンド/トンの割合で、および、アルファミューン(登録商標)を1ポンド/トンの割合で供給した。この群を上述したように攻撃した。
【0046】
[0047]データ解析でSAS(登録商標)(SASインスティテュート社(SAS Institute, Inc.)、ケアリー,ノースカロライナ州,米国,2002)を用いて統計を行った。AA使用および不使用の抗コクシジウムのプログラムでAAを比較する追加の解析を行った。
【0047】
[0048]SASを用いて統計分析で用いられた畜舎データの計算を行った。0〜21、0〜42および21〜42日の期間におけるトリの平均体重増加を計算した。NE病変スコアに関して、22日目でのNE病変スコア付けに関して選択された5羽のトリの畜舎平均を計算した。基準として畜舎ごとに、0〜21、0〜42および21〜42日の期間における飼料要求率(FCR)を計算した(ここで、死亡したトリおよび除去されたトリに関して調整が行われた)。全体の死亡率とNEによって引き起こされる死亡率との比率を計算した。ニワトリの性能について述べられる場合は全て、体重増加および/またはFCRに対する作用を意味することとする。
【0048】
[0049]この研究は、無作為の完備ブロック計画を用いて行われた。これは6ブロックで行われた。実験単位はトリの畜舎とした。このモデルは、ブロックモデルおよび処理モデルを含む。ブロックは、ランダム効果である。処理は固定効果であり、従ってこのモデルを混合した。
【0049】
[0050]まとめた変数は、畜舎ごとの性能データ、および、NE攻撃に関するデータを含む。これらのデータに対して、SASのPROC MIXED法を用いて混合モデル解析を行った。
【0050】
[0051]表3−8に試験結果を示す。
表では以下の略語を用いた:
AA=アルケア+アルファミューン
S=サリノマイシン
CV=コクシバック(登録商標)−B
CP=攻撃あり
NC=攻撃なし
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
【表5】

【0054】
【表6】

【0055】
【表7】

【0056】
【表8】

【0057】
[0052]表3、4および5中のデータは、それぞれAA使用および不使用のAACP処理とSおよびCV処理との比較である。概して、S+AAの組み合わせが全ての処理に関して最良の性能を示した。S+AAの組み合わせは、S処理およびAACP処理の両方と比較したところ、0〜21、0〜42、21〜42日間でより大きい体重増加を示し、0〜21、0〜42および21〜42日間でより優れたFCRを示し、より低いNE死亡率を示した。またS+AAの組み合わせは、AACP処理と比較したところ、より低いNE病変スコアも示した。
【0058】
[0053]CV+AAの組み合わせが、CVおよびAACP処理の両方と比較したところ(表3および4)、0〜21、0〜42、21〜42日間でより大きい体重増加を示し、0〜21、0〜42および21〜42日間でより優れたFCRを示した。CV+AAの組み合わせは、CVおよびAACP処理と比較したところ(表5)、0〜42日間でより低い全体の死亡率を示し、より低いNE死亡率を示した。
【0059】
[0054]AA使用および不使用のサリノマイシンが投与されたトリは、全般的に、最良の性能およびより低いNE病変スコアを示し、NCに匹敵する、またはそれよりもより優れた死亡率を示した。サリノマイシンが供給されたトリ飼料にAAを添加すると、性能を改善する傾向が見られたが、NE病変スコアまたは死亡率をさらに減少させることななかった。一般的に、CV単独で処理したトリと比較したところ、CVで処理したトリの飼料へAAを添加することによって性能が改善され、死亡率が減少した。NEで攻撃し、従来のコクシジウム抑制薬プログラム、または、コクシジウム症ワクチンプログラムで処理したトリは、それらの飼料にAAを添加することによって利益を得る可能性がある。表6、7および8中のデータによれば、コクシジウム症コントロールプログラム(AA使用および不使用)を互いに直接比較することができ、さらにコントロール(攻撃あり、および、攻撃なし)と直接比較することができる。0〜21の期間中に、S+AAを供給したトリは、その他の処理と比較したところ(表6)、より大きい体重増加を示した。0〜21の期間中に、Sが供給されたトリは、NCに匹敵するが、CPよりも大きい体重増加を示した。0〜21の期間中に、CVでワクチン接種されたトリは、体重増加を示した(これは、NCまたはCPトリと違いはなかった)。0〜42および21〜42日の期間中に、CVで処理したトリは、CPトリと比較したところ、より大きい体重増加を有していた。
【0060】
[0055]0〜21の期間中に、S+AAが供給されたトリは、NCおよびCPトリよりも優れたFCRを有していた(表7)。0〜21の期間中に、S、CVおよびCV+AAが投与されたトリは、CPトリよりも優れたFCRを有していた。0〜42および21〜42日の期間中に、S、S+AA、CV、および、CV+AAで処理したトリは、NCおよびCPトリよりも優れたFCRを有していた(表7)。0〜42の期間中に、SおよびCVで処理したトリの食物へAAを添加することによって、それぞれSおよびCV単独と比較したところ、FCRが改善された。21〜42の期間中に、CVでワクチン接種されたトリの食物にAAを添加することによって、CV単独と比較したところ、FCRが改善された。
【0061】
[0056]SおよびCVトリ(AA使用および不使用)のNE病変スコアは、NCに匹敵する程度であったが、CPトリよりも低かった(表8)。この処理は、0〜21の期間中の死亡率に影響を与えなかった(表8)。S、S+AAおよびCV+AAトリの死亡率(全体およびNE)は、NCに匹敵する程度であったが、CPトリよりも低かった(表6)。CVトリの死亡率(全体およびNE)は、CPトリよりも低かったが、NCトリよりも高かった。CV+AAで処理したトリの死亡率(全体およびNE)は、CV単独よりも低かった。
【0062】
[0057]実施例4.
[0058]1日齢の健康なブロイラーの雄ニワトリ(Cobb×Cobb)を孵化場から得て、それらの性別を分け、慣例的なワクチン(HVTSB1)を接種させた。この研究では見た目が健康なニワトリだけを用いた。研究の経過中にトリの交換は無かった。ニワトリが到着したら、それらを床がわら敷きの畜舎で飼育した。畜舎ごとに50羽のトリを置いた。屋内で畜舎を場所によってブロックした。各ブロック内で処理はそれぞれ一回行われた。温度制御されたガス炉を一定の温度に維持した。試験中ずっと水を適宜利用できるようにした。
【0063】
[0059]0、21および42日目に、畜舎で全てのトリの体重を量った。0〜21、21〜35、および、35〜42日間それぞれにわたり、幼鳥用、育成用および仕上げ用飼料の消費を測定した。42日目に研究を終結させた。22日目に、各畜舎からのトリ5羽の病変をNEに関してスコア付けした。スコア付けは0〜3のスコアに基づき行われ、ここで0は正常であり、3は最も重度である。スコア付けは以下の通りであった:正常な腸は0、粘液での被覆がわずかであり正常な状態が失われている場合は1、重度の壊死性腸炎の場合は2、および、内腔で出血している最も重症な壊死性腸炎の場合は3とした。実験中に死亡したトリの体重を量り、NEの存在に関して解剖して調べた。これらの研究による全てのトリを調査施設で処分した。死亡率を、全体の死亡率と、および、NEに起因する死亡率としてまとめた。
【0064】
[0060]9種の異なる処方計画の全てを試験した。14日目に、全ての群をアイメリア・マキシマ(トリ1羽あたり5,000個のオーシスト)を経口投与し攻撃した。19、20および21日目に、攻撃を受けていないコントロール(NC)を除く全ての処理群を、C.パーフリンジェンス(C.パーフリンジェンスの液体培地での培養物,108cfu/ml)で攻撃した。コントロール飼料は、セレナーデ(登録商標)マックス(QST)、アルファミューン(登録商標)(AM)、または、サリノマイシン(S)を含んでいなかった。コントロール群には、孵化した日に、ラベルで推奨している投与量でスプレーコックス(登録商標)装置を用いて噴霧によるワクチン接種を行わなかった。これらの群を以下のように名付けた:
[0061]NC群(攻撃を受けていないコントロール):NC群に、薬用成分の入っていない市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料を供給し、C.パーフリンジェンスでの攻撃を行わなかった。
【0065】
[0062]CP群(攻撃を受けたコントロール):CP群に、薬用成分の入っていない市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料を供給し、上述したようにこれをC.パーフリンジェンスで攻撃した。
【0066】
[0063]AM、CP群(アルファミューン(登録商標)を供給;攻撃あり):AM、CP群に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+アルファミューン(登録商標)を1ポンド/トンの割合で供給した。この群は攻撃した。
【0067】
[0064]QST、CP群(セレナーデ(登録商標)マックスを供給;攻撃あり)に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+セレナーデ(登録商標)マックスを0.25ポンド/トンの割合で供給した。この群を上述したように攻撃した。
【0068】
[0065]AQST、CP群(アルファミューン(登録商標)およびセレナーデ(登録商標)マックスを供給;攻撃あり)に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+アルファミューン(登録商標)を1ポンド/トンの割合で、および、セレナーデ(登録商標)マックスを0.25ポンド/トンの割合で供給し、これを上述のようにして攻撃した。
【0069】
[0066]S、CP群(サリノマイシンで処理;攻撃あり)に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+サリノマイシン(66ppm)を供給した。この群を上述したように攻撃した。
【0070】
[0067]S、AQST、CP群(サリノマイシンで処理;アルファミューン(登録商標)およびセレナーデ(登録商標)マックスを供給;攻撃あり)に、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+アルファミューン(登録商標)およびセレナーデ(登録商標)マックスを1.25ポンド/トンの割合で供給し、サリノマイシン(66ppm)で処理した。この群を上述したように攻撃した。
【0071】
[0068]CV、CP群(コクシバック(登録商標)−Bで処理;攻撃あり)に、孵化した日に、ラベルで推奨している投与量で、スプレーコックス(登録商標)装置を用いて噴霧によるワクチン接種を行い、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料を供給した。この群を上述したように攻撃した。
【0072】
[0069]CV、AQST、CP群(コクシバック(登録商標)−Bで処理した、アルファミューン(登録商標)およびセレナーデ(登録商標)マックスを供給;攻撃あり)に、孵化した日に、ラベルで推奨している投与量で、スプレーコックス(登録商標)装置を用いて噴霧によるワクチン接種を行い、市販タイプの米国で一般的に使用されている食糧を配合した幼鳥用飼料+アルファミューン(登録商標)およびセレナーデ(登録商標)マックスを1.25ポンド/トンの割合で供給した。この群を上述したように攻撃した。
【0073】
[0070]データ解析で、SAS(登録商標)(SASインスティテュート社,ケアリー,ノースカロライナ州,米国, 2002)を用いて統計を行った。AA使用および不使用の抗コクシジウムのプログラムでAAを比較する追加の解析を行った。
【0074】
[0071]SASを用いて統計分析で用いられた畜舎データの計算を行った。0〜21、0〜42および21〜42日の期間におけるトリの平均体重増加を計算した。NE病変スコアに関して、22日目でのNE病変スコア付けに関して選択された5羽のトリの畜舎平均を計算した。基準として畜舎ごとに、0〜21、0〜42および21〜42日の期間における飼料要求率(FCR)を計算した(ここで、死亡したトリおよび除去されたトリに関して調整が行われた)。全体の死亡率とNEによって引き起こされる死亡率との比率を計算した。ニワトリの性能についてなされるあらゆる言及は、体重増加および/またはFCRに対する作用を参照することとする。
【0075】
[0072]この研究は、無作為の完備ブロック計画を用いて行われた。これは6ブロックで行われた。実験単位はトリの畜舎とした。このモデルは、ブロックモデルおよび処理モデルを含む。ブロックは、ランダム効果である。処理は固定効果であり、従ってこのモデルを混合した。
【0076】
[0073]まとめた変数は、畜舎ごとの性能データ、および、NE攻撃に関するデータを含む。これらのデータに対して、SASのPROC MIXED法を用いて混合モデル解析を行った。
【0077】
[0074]表9−17に試験結果を示す。
表では以下の略語を用いた:
AM=アルファミューン(登録商標)
QST= セレナーデ(登録商標)マックス
AQST= アルファミューン+セレナーデ(登録商標)マックス
S=サリノマイシン
CV=コクシバック(登録商標)−B
CP=攻撃あり
NC=攻撃なし
【0078】
【表9】

【0079】
【表10】

【0080】
【表11】

【0081】
【表12】

【0082】
【表13】

【0083】
【表14】

【0084】
【表15】

【0085】
【表16】

【0086】
【表17】

【0087】
ブロイラーのニワトリ用飼料にAM、QSTおよびAQSTを添加することによって、CCと比較したところ性能が改善された。AQSTを含む、および、AQSTを含まないサリノマイシンが投与されたトリは、全般的に、最良の性能を示し、より低いNE病変、およびNCに匹敵する、またはそれよりもより優れた死亡率を示した。一般的に、コクシバックで処理したトリの飼料にAQSTを添加することによって、コクシバック単独で処理したトリと比較したところ、性能が改善され、死亡率が低くなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物、バチルス・リケニフォルミスの胞子、および、任意にキャリアーを含む、動物における病気を治療するための組成物。
【請求項2】
(a)約50質量%〜約90質量%の前記サッカロミセス・セレビジエ由来の細胞壁分画、
(b)約4.5×10〜約2.5×1010胞子/グラムを含む、約5質量%〜約50質量%の前記バチルス・リケニフォルミスの胞子、および、
(c)約0質量%〜約45質量%の前記キャリアー、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)50質量%の前記サッカロミセス・セレビジエ由来の細胞壁分画、
(b)約5×10〜約1.25×1010胞子/グラムを含む、10質量%の前記バチルス・リケニフォルミスの胞子、および、
(c)40質量%の前記キャリアー
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記キャリアーが、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、または、それらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の動物における病気を治療するための組成物、および、動物用食糧を含む動物用飼料組成物であって、ここで前記動物における病気を治療するための組成物が、該動物用食糧1トンあたり約0.5ポンド〜約10ポンドの量で存在する、上記組成物。
【請求項6】
前記動物における病気を治療するための組成物が、該動物用食糧1トンあたり約1ポンド〜約5ポンドの量で存在する、請求項5に記載の動物用飼料組成物。
【請求項7】
前記動物における病気を治療するための組成物が、該動物用食糧1トンあたり約2ポンドの量で存在する、請求項6に記載の動物用飼料組成物。
【請求項8】
前記動物用食糧が、トリ用食糧、または、ブタ用食糧である、請求項7に記載の動物用飼料組成物。
【請求項9】
動物に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の動物における病気を治療するための組成物を投与することを含む、動物における病気を予防する方法。
【請求項10】
前記動物がトリであり、前記病気が壊死性腸炎である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動物がブタであり、前記病気がブタ回腸炎である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
サッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物、および、バチルス・ズブチリスQST−713株、および任意にキャリアーを含む、動物における病気を予防および/または制御するための組成物。
【請求項13】
約75質量%〜約99質量%の前記サッカロミセス・セレビジエ由来の酵母抽出物;約1質量%〜約3質量%の前記バチルス・ズブチリスQST−713株;および、約0質量%〜約24質量%の前記キャリアーを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
80質量%の前記サッカロミセス・セレビジエ由来の細胞壁分画;2.5質量%の前記バチルス・ズブチリスQST−713株;および、17.5質量%の前記キャリアーを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記キャリアーが、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、または、それらの組み合わせを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項に記載の組成物、および、動物用食糧を含む動物用飼料組成物であって、ここで前記動物における病気を予防および/または制御するための組成物は、動物用食糧1トンあたり約0.5ポンド〜約10ポンドの範囲の量で存在する、上記組成物。
【請求項17】
前記動物における病気を予防および/または制御するための組成物が、該動物用食糧1トンあたり約1.25ポンドの量で存在する、請求項16に記載の動物用飼料組成物。
【請求項18】
前記動物用食糧が、トリ用食糧、または、ブタ用食糧である、請求項16に記載の動物用飼料組成物。
【請求項19】
動物に、請求項12〜18のいずれか一項に記載の組成物の有効量を投与することを含む、動物における病気を予防および/または制御する方法。
【請求項20】
前記動物がトリであり、前記病気が壊死性腸炎である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記動物がブタであり、前記病気がブタ回腸炎である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
イオノフォア系抗コクシジウム剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物を含む組成物。
【請求項23】
前記イオノフォア系抗コクシジウム剤が、サリノマイシンである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記サリノマイシンが、前記組成物の約66ppmのレベルで存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか一項に記載の動物における壊死性腸炎を治療するための組成物、および、動物用食糧を含む動物用飼料組成物であって、ここで該動物における病気を治療するための組成物は、該動物用食糧1トンあたり約0.5ポンド〜約10ポンドの量で存在する、上記組成物。
【請求項26】
動物に、請求項22〜25のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、動物における壊死性腸炎の治療におけるイオノフォアの性能を改善する方法。
【請求項27】
前記イオノフォアが、サリノマイシンである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
動物における病気を予防する方法であって、該方法は、
動物にコクシジウム症ワクチンを接種させること;および、
動物に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物を含む組成物を投与すること、
を含む、上記方法。
【請求項29】
前記動物がトリであり、前記病気が壊死性腸炎である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ワクチンが、弱毒化していない生きた胞子形成オーシストのコクシジウム症ワクチンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記コクシジウム症ワクチンが、コクシバック(登録商標)である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
C.パーフリンジェンスに攻撃された動物における死亡率を低減させる方法であって、該方法は、動物にコクシジウム症ワクチンを接種させること;および、
動物に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物を含む組成物を投与すること、
を含む、上記方法。
【請求項33】
前記動物が、トリである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ワクチンが、弱毒化していない生きた胞子形成オーシストのコクシジウム症ワクチンを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記コクシジウム症ワクチンが、コクシバック(登録商標)である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
C.パーフリンジェンスに攻撃された動物における壊死性腸炎の病変を低減させる方法であって、該方法は、動物にコクシジウム症ワクチンを接種させること;および、動物に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物を含む組成物を投与することを含む、上記方法。
【請求項37】
前記動物が、トリである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ワクチンが、弱毒化していない生きた胞子形成オーシストのコクシジウム症ワクチンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
イオノフォア系抗コクシジウム剤をさらに含む、請求項12〜18のいずれか一項に記載の組成物を含む組成物。
【請求項40】
前記イオノフォア系抗コクシジウム剤が、サリノマイシンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記サリノマイシンが、前記組成物の約66ppmのレベルで存在する、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
請求項39〜41のいずれか一項に記載の動物における壊死性腸炎を治療するための組成物、および、動物用食糧を含む動物用飼料組成物であって、ここで前記動物における病気を治療するための組成物が、該動物用食糧1トンあたり約0.5ポンド〜約10ポンドの量で存在する、上記組成物。
【請求項43】
動物に、請求項39〜41のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、動物における壊死性腸炎の治療におけるイオノフォアの性能を改善する方法。
【請求項44】
前記イオノフォアが、サリノマイシンである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
動物における病気を予防する方法であって、該方法は、
動物にコクシジウム症ワクチンを接種させること;および、
動物に、請求項12〜18のいずれか一項に記載の組成物を含む組成物を投与すること、
を含む、上記方法。
【請求項46】
前記動物がトリであり、前記病気が壊死性腸炎である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ワクチンが、弱毒化していない生きた胞子形成オーシストのコクシジウム症ワクチンを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記コクシジウム症ワクチンが、コクシバック(登録商標)である、請求項45に記載の方法。

【公表番号】特表2012−511572(P2012−511572A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540677(P2011−540677)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/005303
【国際公開番号】WO2010/068231
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511140460)アルファーマ,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】