説明

動物臭抑制方法、および動物臭抑制薬剤

【課題】小動物から発せられる皮脂由来の動物臭を抑制する技術を提供すること。
【解決手段】本発明の動物臭抑制方法においては、小動物の皮膚を洗浄剤を用いて洗浄した後に、動物由来の油脂(馬油)、水溶性コラーゲン、柔軟剤、乳化安定剤、および帯電防止剤を含有した薬剤を前記洗浄後の皮膚に塗布することによって、前記小動物の皮膚からの皮脂の分泌を抑制し、皮脂に由来する動物臭を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内で飼われている犬などの小動物から発せられる動物臭を抑制する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
愛玩動物として小型犬などの小動物を室内で飼育することがある。その場合、室内には前記小動物から発せられる動物臭がするが、その動物臭は、飼い主は慣れていて違和感はなくても、慣れていない来客や家族には違和感がある場合がある。
前記動物臭の主な原因は、皮膚を守るために分泌される皮脂や老廃物に雑菌が繁殖することと言われている。そこで、小動物の皮膚をこまめに洗浄してあげることが、動物臭を抑制することに効果的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、小動物の皮膚を洗浄して皮脂や老廃物を除去すると、洗浄直後は皮脂と老廃物が無いので雑菌の繁殖も抑制されるが、皮脂を除去された皮膚は、皮膚自身を守るために、分泌作用が盛んになって再び皮脂を補うように機能する。そのため、短期間の内に再び動物臭が発生することになる。
【0004】
そこで、本発明は、皮膚を洗浄した後に、再び皮脂が活発に分泌されないように、皮脂の代わりに雑菌が繁殖しにくい油脂を皮膚に補給することによって、動物臭の発生を抑制することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1にかかる動物臭抑制方法においては、
小動物の皮膚を洗浄剤を用いて洗浄した後に、動物由来の油脂を含有した薬剤を前記洗浄後の皮膚に塗布することによって、前記小動物の皮膚から発せられる動物臭を抑制することを特徴としている。
請求項2では、
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油を含有している。
請求項3では、
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油、水溶性コラーゲン、柔軟剤、乳化安定剤、および帯電防止剤を含有している。
そして、本発明の請求項4にかかる動物臭抑制用薬剤は、
小動物の皮膚を洗浄剤を用いて洗浄した後に、動物由来の油脂を含有した薬剤を前記洗浄後の皮膚に塗布することによって、前記小動物の皮膚から発せられる動物臭の発生を抑制することを特徴とする動物臭抑制方法に用いる薬剤であって、
動物由来の油脂として馬油を含有していることを特徴としている。
請求項5では、
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油、水溶性コラーゲン、柔軟剤、乳化安定剤、および帯電防止剤を含有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1にかかる動物臭抑制方法、および動物臭抑制薬剤によれば、
小動物の皮膚を洗浄して皮脂や老廃物を除去した後に、
動物由来の油脂を含有した薬剤を前記洗浄後の皮膚に塗布することによって、
前記小動物の皮膚からの皮脂の分泌を抑制するので、
皮脂に起因する動物臭が抑制される。
請求項2では、
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油を含有している。
馬油は、皮脂に近い油脂として、肌の角質層まで浸透させる効果が高い。そして、肌の角質層まで浸透させた上で、角質層での抗菌・抗酸化・消炎の効能がある。そのため、雑菌では分解されにくく、皮脂に起因する動物臭が抑制されるのである。
請求項3では、
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油、水溶性コラーゲン、柔軟剤、乳化安定剤、および帯電防止剤を含有しているので、
馬油による上記効果に加えて、
水溶性コラーゲンによる皮膚の乾燥を抑える効果と、毛根を守る効果がある。
さらに、柔軟剤、乳化安定剤によって、皮膚を保護し且つ、滑らかにすることで、温和なべとつかない光沢を与える効能がある。
さらに、帯電防止剤によって、体毛の帯電を防止する効果がある。
請求項4では、
小動物の皮膚を洗浄剤を用いて洗浄した後に、動物由来の油脂を含有した薬剤を前記洗浄後の皮膚に塗布することによって、前記小動物の皮膚から発せられる動物臭の発生を抑制することを特徴とする動物臭抑制方法に用いる薬剤が、動物由来の油脂として馬油を含有している。
薬剤が含有している馬油は、皮脂に近い油脂として、肌の角質層まで浸透させる効果が高い。そして、肌の角質層まで浸透させた上で、角質層での抗菌・抗酸化・消炎の効能がある。そのため、雑菌では分解されにくく、皮脂に起因する動物臭が抑制される効果が得られる。
請求項5では、
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油、水溶性コラーゲン、柔軟剤、乳化安定剤、および帯電防止剤を含有しているので、馬油による上記効果に加えて、水溶性コラーゲンによる皮膚の乾燥を抑える効果と、毛根を守る効果がある。
さらに、柔軟剤、乳化安定剤によって、皮膚を保護し且つ、滑らかにすることで、温和なべとつかない光沢を与える効能がある。
さらに、帯電防止剤によって、体毛の帯電を防止する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明にかかる動物臭抑制方法、および動物臭抑制薬剤を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
本発明にかかる方法で小動物の一例として小型犬の動物臭を抑制する場合を、図1のフロー図を参照して説明する。なお、小動物は小型犬に限らず、中型犬や大型犬でもよく、さらには、犬に限らず、猫や種々の動物を室内で飼育する場合に適用できる。
まず、小型犬の身体(皮膚を含む)を一般のシャンプー液等の洗浄液を利用して従来どおりに普通に洗浄する。このような洗浄によって、前記小型犬の皮膚の表面から皮脂や老廃物を除去する。
続いて、皮膚に残存している洗浄液を湯水で洗い流す。
小型犬としては、ミニチュアダックスフンド、チワワ、トイプードル、ヨークシャーテリア、マルチーズ等、種々の犬種がある。
【0008】
次に、本発明にかかる動物臭抑制薬剤(薬液)を前記小型犬の皮膚全体に塗布する。そして、マッサージするようにして皮膚にすり込ませてから、よく洗い流し、最後に水分を拭き取って乾かす。
以上の本発明の方法に使用する前記薬液は、動物由来の油脂を含有した薬液であり、動物由来の油脂としては、馬油を含有した油脂が好ましい。
馬油は、皮脂に近い油脂として知られている。そして、馬油の特質としては、皮膚の肌の角質層まで浸透させる効果が高い。そして、肌の角質層まで浸透させた上で、角質層での抗菌・抗酸化・消炎の効能がある。そのため、雑菌では分解されにくく、皮脂に起因する動物臭が抑制されるのである。
【0009】
前記薬液は、動物由来の油脂としての馬油に加えて、水溶性コラーゲン、柔軟剤、乳化安定剤、および帯電防止剤を含有している。そのため、馬油による上記効果に加えて、
水溶性コラーゲンによる皮膚の乾燥を抑える効果と、毛根を守る効果が得られる。さらに、柔軟剤、乳化安定剤によって、皮膚を保護し且つ、滑らかにすることで、温和なべとつかない光沢を与える効能が得られる。さらに、帯電防止剤によって、体毛の帯電を防止する効果が得られる。
【0010】
前記薬液に含有されている成分としては、柔軟剤として、例えば、セトリモニウムクロリドや、ステアルトリモニウムクロリド、乳酸ミリスチルの内の少なくとも何れか1つを含むとよい。
前記セトリモニウムクロリドは、脂肪酸と塩化セチルから作られたもので、被毛を柔軟にする効果が高い。
前記ステアルトリモニウムクロリドは、天然油脂から作られる脂肪酸と塩化アルキルから作られたもので、被毛に対する柔軟効果が高い。
前記乳酸ミリスチルは、皮膚へのエモリエント(皮膚軟化)作用があり、皮膚や被毛に光沢を与え、柔軟性を向上させ、優れた感触を与える効果がある。
【0011】
また、前記薬液に含有されている成分としては、乳化安定剤として、例えば、セタノール、エタノールなどの少なくとも何れか1つを含むとよい。
前記セタノールは、乳化安定剤としての性質があり、抱水性に優れ、皮膚を保護し、且つ、滑らかにすることで、温和でべとつかない光沢を与える効能がある。
前記エタノールは、乳化作用剤として一般に使用されている。
【0012】
また、前記薬液に含有されている成分としては、殺菌作用や油の乳化作用と発泡作用をもたらすものとして、例えば、ラウリルアルコールなどの陰イオン界面活性剤を含むとよい。
また、イソプロパノールを含んでもよい。イソプロパノールは、殺菌効果が強いが、粘膜への刺激が強いので、使用に際しては考慮が必要である。
【0013】
また、前記薬液に含有されている成分としては、帯電防止作用が期待できるものとして、例えば、ジアルキル (C12-18) ジモニウムクロリドや、ベヘントリモニウムクロリドなどの少なくとも何れか一方を含むとよい。
前記ジアルキル (C12-18) ジモニウムクロリドは、帯電を防止する作用がある。これは、水に溶けてプラスイオンになるので、マイナスイオンを帯びた、被毛には吸着しやすい効果がある。さらに、柔軟性やすべりやすさを与える作用がある。
また、前記ベヘントリモニウムクロリドは、被毛保護の作用があり、静電気防止の効果がある。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1においては、使用する薬液は、乳酸、乳酸ミリスチル、イソプロパノール、水溶性コラーゲン、セトリモニウムクロリド、馬油、ジアルキルジモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、メチルパラベン、プロピルパラベン、エタノール、セタノール、ラウリルアルコール、フェノキシエタノール、ジメチコン、水、香料を含んでいる。
【0015】
室内犬(小型犬、中型犬)の12匹を対象に、本発明にかかる動物臭抑制方法、および動物臭抑制薬剤を試用し、使用後のアンケートを集計した結果、3日後においても「何も匂わない」という感想が11匹において得られた。また、被毛が「さらさら」しているという感想が12匹全てにおいて得られた。
以上の試用アンケートの結果によれば、本発明による動物臭抑制方法、および動物臭抑制薬剤によって、小動物の動物臭を抑制できることが実証されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる動物臭抑制方法の手順を説明するフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小動物の皮膚を洗浄剤を用いて洗浄した後に、動物由来の油脂を含有した薬剤を前記洗浄後の皮膚に塗布することによって、前記小動物の皮膚から発せられる動物臭を抑制することを特徴とする動物臭抑制方法。
【請求項2】
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油を含有していることを特徴とする請求項1に記載の動物臭抑制方法。
【請求項3】
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油、水溶性コラーゲン、柔軟剤、乳化安定剤、および帯電防止剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の動物臭抑制方法。
【請求項4】
小動物の皮膚を洗浄剤を用いて洗浄した後に、動物由来の油脂を含有した薬剤を前記洗浄後の皮膚に塗布することによって、前記小動物の皮膚から発せられる動物臭の発生を抑制することを特徴とする動物臭抑制方法に用いる薬剤であって、
動物由来の油脂として馬油を含有していることを特徴とする請求項1に記載の動物臭抑制用薬剤。
【請求項5】
前記薬剤は、動物由来の油脂として馬油、水溶性コラーゲン、柔軟剤、乳化安定剤、および帯電防止剤を含有していることを特徴とする請求項4に記載の動物臭抑制用薬剤。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−263304(P2009−263304A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117177(P2008−117177)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(508130096)
【Fターム(参考)】