説明

動画像通信装置、デジタルビデオカメラ、記録媒体および半導体集積回路

【課題】共有する動画像データの注目すべきシーンの画質を良好に保ちつつ、リアルタイム性を確保することができる動画像通信装置を提供する。
【解決手段】動画像通信装置(1)は、第1の動画像データを出力する撮像装置(201)と、第2の動画像データとデコード情報とを出力するデコーダ(202)と、第1および第2の動画像データのいずれかを選択する選択装置(203)と、メタデータとデコード情報とを得るサイド情報取得装置(204)と、伝送路の帯域状態と第2のフォーマットとを得る伝送路情報取得装置(205)と、第2のストリームデータを生成するエンコーダ(206)と、デコード情報、メタデータ、帯域状態および第2のフォーマットに従って、エンコーダを制御する制御装置(207)と、第2の動画像データと第2のストリームデータとを保持するメモリ(208)と、メモリ内のデータを伝送路に送信する通信装置(209)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像通信装置に関し、特に、記録した動画像データを伝送路を介して伝送する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラなどの撮像手段を持つ動画像通信装置をインターネットに接続可能なパソコンなどの情報端末に接続することで、テレビ電話機能を実現することが可能である。このテレビ電話機能を利用して、動画像通信装置で過去に撮像した動画像データを通話者間で共有し、互いに同じ動画像データを見ながら通話することが求められている。通話者間で動画像データを共有する場合には、その動画像データのフォーマットやビットレートなどを通信環境に合わせて変更し、再エンコード(トランスコード)する必要がある。また、共有する動画像データのリアルタイム性を保つためにネットワークトラフィックにおけるレート制御を行う必要がある。
【0003】
従来、レート制御を行う技術として、ネットワークトラフィックの状態を監視し、トラフィック状態に応じてエンコーダの制御を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−171725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された技術は、ネットワークトラフィックの状態のみに応じてレート制御を実施するものである。つまり、共有する動画像データのシーンに関係なくレート制御が実施されることになる。その結果、共有する動画像データの中でも特に送信者が受信者に見てほしいシーンのビットレートが低下してしまい、注目すべきシーンであるにもかかわらず、そのシーンの画質が劣化してしまうことがある。
【0006】
かかる点に鑑みて、本発明は、共有する動画像データの注目すべきシーンの画質を良好に保ちつつ、リアルタイム性を確保することができる動画像通信装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明によって次のような解決手段を講じた。例えば、第1のフォーマットでエンコードされた第1のストリームデータを伝送路を介して送信することが可能な動画像通信装置は、画像を撮像して第1の動画像データを出力する撮像装置と、第1のストリームデータをデコードして第2の動画像データを生成するとともに、当該デコードを行った際に得られるデコード情報を取得するデコーダと、第1および第2の動画像データのうちいずれか一方を選択する選択装置と、第1のストリームデータに含まれるフレームのうちどのフレームが注目すべきフレームであるのかを示す第1のメタデータとデコード情報とを取得するサイド情報取得装置と、伝送路の帯域状態と伝送路に伝送可能なストリームデータのフォーマットに相当する第2のフォーマットとを取得する伝送路情報取得装置と、少なくとも第1および第2のフォーマットのいずれか一方で選択装置で選択された動画像データをエンコードして第2のストリームデータを生成するエンコーダと、サイド情報取得装置によって得られたデコード情報および第1のメタデータと、伝送路情報取得装置によって得られた帯域状態および第2のフォーマットとに従って、エンコーダを制御する制御装置と、デコーダによって生成された第2の動画像データと、エンコーダによって生成された第2のストリームデータとを保持するメモリと、メモリに保持された第2の動画像データおよび第2のストリームデータを伝送路に送信する通信装置とを備えている。
【0008】
これによると、制御装置は、デコード情報および第2のフォーマットに基づいて、エンコーダで生成されるストリームデータのフォーマットの制御が可能であるとともに、そのストリームデータを帯域状態に応じてレート制御することが可能である。さらに、制御装置は、メタデータに基づいて、ストリームデータに含まれるフレームのうち注目すべきフレームを検出することができる。そして、制御装置が注目すべきフレームのみをエンコードするようにエンコーダに指示することで、エンコードされるフレーム数が削減される。つまり、ストリームデータ内に注目すべきでないフレームが含まれている場合に、エンコーダで生成されるストリームデータのデータ量が減少するため、通信装置から送信されるストリームデータのデータ量も減少する。したがって、ストリームデータを送信する場合に、リアルタイム性を維持することができる。また、ストリームデータ内に注目すべきフレームを残しつつストリームデータのデータ量を減少させることで、ストリームデータのビットレートを低下させずに済む。つまり、ストリームデータ内の注目すべきフレームの画質を良好に保つことができる。
【0009】
具体的に、エンコーダは、選択装置により第1の動画像データが選択された場合、第1のフォーマットで第1の動画像データをエンコードする際に、第1の動画像データに含まれるフレームのうちどのフレームを間引き対象とするのかを示すフレーム情報を生成してもよい。
【0010】
好ましくは、制御装置は、帯域状態が閾値よりも小さいと判断した場合に、選択装置によって選択された動画像データのフレームレートを下げるようにエンコーダを制御する。あるいは、制御装置は、帯域状態が閾値よりも小さいと判断し、且つ、フレーム情報に基づいて、第1の動画像データに含まれるフレームのうち間引き対象でないフレームを検出した場合に、当該フレームの圧縮率を高めるようにエンコーダを制御してもよい。
【0011】
また、サイド情報取得装置は、選択装置により第1の動画像データが選択された場合に、当該動画像通信装置と通信を行う通信先から送信された第3のストリームデータに含まれるフレームのうちどのフレームが注目すべきフレームであるのかを示す第2のメタデータを取得してもよい。そして、制御装置は、第2のメタデータに基づいて、第3のストリームデータに注目すべきフレームが一定期間連続して含まれていると判断した場合、一定期間において、第1の動画像データのフレームレートを下げる、あるいは、第1の動画像データの圧縮率を高めるようにエンコーダを制御してもよい。
【0012】
これによると、通信先からのストリームデータに注目すべきフレームが一定期間連続して含まれる場合に、エンコード対象の動画像データのフレームレートを下げたり、圧縮率を高めたりすることで、エンコーダで生成されるストリームデータのデータ量が削減される。したがって、一定期間において、動画像通信装置から送信されるストリームデータのデータ量が減少する。これにより、一定期間、データ量が減少した分だけ伝送路の帯域に空きができるため、その空いた帯域を通信先から送信されるストリームデータのビットレートに優先的に割り当てることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、動画像データに含まれる注目すべきフレームを残したまま送信データ量を削減することができるため、注目すべきシーンの画質を良好に保ちつつ、リアルタイム性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る動画像通信装置を用いたテレビ電話システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る動画像通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る動画像通信装置がメタデータを生成するときの処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る動画像通信装置で生成されるメタデータの構成例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る動画像通信装置が記録済みのストリームデータを送信するときの処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る動画像通信装置がストリームデータを送信するときの別の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の別の実施形態に係る動画像通信装置が記録済みのストリームデータを送信するときの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る動画像通信装置をインターネットに接続可能なパソコンなどの情報端末に接続することで、テレビ電話システムを実現した場合の構成を示した図である。
【0016】
図1に示すテレビ電話システムは、動画像通信装置1と、情報端末10と、動画像通信装置2と、情報端末20とから構成される。動画像通信装置1および動画像通信装置2はそれぞれ、デジタルビデオカメラなどの撮像手段を持つ動画像通信装置である。
【0017】
動画像通信装置1は、伝送路を介して情報端末10とデータの送受信をすることが可能である。動画像通信装置1と情報端末10とが通信する際の伝送路として、例えばUSB(Universal Serial Bus)が使用される。動画像通信装置1は、過去に撮影した記録済みのストリームデータと、記録済みのストリームデータをデコードした動画像データとを送信する。ここで、記録済みのストリームデータとは、例えば、H.264(MPEG(Moving Picture Experts Group)-4 Part 10 Advanced Video Coding)およびMPEG2などのコーデック規格により符号化されたデータである。また、記録済みのストリームデータをデコードした動画像データとは、例えばYUV形式のデータである。
【0018】
動画像通信装置2は、伝送路を介して情報端末20とデータの送受信をすることが可能である。動画像通信装置2と情報端末20とが通信する際の伝送路として、例えばUSBが使用される。動画像通信装置2は、例えば、撮影した動画像データと、撮影した動画像データをエンコードしたストリームデータとを送信する。ここで、ストリームデータとは、例えば、H.264やMPEG2などのコーデック規格により符号化されたデータである。また、動画像データは、例えばYUV形式のデータである。
【0019】
情報端末10および情報端末20はそれぞれ、例えば、インターネットに接続可能なパソコンなどの電子機器であり、インターネットを介して相互にデータの送受信が可能である。
【0020】
情報端末10は、動画像通信装置1から受信したストリームデータをインターネットを介して情報端末20に送信するとともに、動画像通信装置1から受信した動画像データをサブ画面に表示する。
【0021】
情報端末20は、動画像通信装置2から受信したストリームデータをインターネットを介して情報端末10に送信するとともに、動画像通信装置2から受信した動画像データをサブ画面に表示する。
【0022】
情報端末10および情報端末20はそれぞれ、インターネットを介して受信したストリームデータをデコードする。そして、情報端末10および情報端末20は、デコードした結果を、それぞれのメイン画面に表示する。
【0023】
次に、本実施形態に係る動画像通信装置の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る動画像通信装置の構成を示すブロック図である。動画像通信装置は、撮像装置201と、デコーダ202と、選択装置203と、サイド情報取得装置204と、伝送路情報取得装置205と、エンコーダ206と、制御装置207と、メモリ208と、通信装置209とから構成される。入力ストリーム保持部210には、撮像装置201で過去に撮像されたストリームデータ211とストリームデータ211についてのメタデータ212とが保持されている。ここで、メタデータとは、ストリームデータ211に含まれるフレームのうちどのフレームが注目すべきフレームであるのかを示すデータである。
【0024】
撮像装置201は、デジタルビデオカメラなどの電子機器に搭載されており、ズーム調整用のズームレンズを備えた撮像用光学系と、この撮像用光学系により得られた光情報を電気信号に変換するCCDあるいはCMOSなどの光電変換素子を備える撮像デバイスと、撮像デバイスから出力された電気信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号処理を施す画像信号処理デバイスとから構成される。
【0025】
デコーダ202は、例えばH.264やMPEG2などのコーデック規格により符号化されたストリームデータ211をデコードし、動画像データを生成する。また、デコーダ202は、ストリームデータ211をデコードした際に得ることができるデコード情報を出力することができる。このデコード情報には、ストリームデータ211に含まれるフレームについての、画像サイズとピクチャタイプとが少なくとも含まれる。なお、デコード情報に動きベクトルおよびタイムスタンプが含まれていてもよい。
【0026】
選択装置203は、撮像装置201から入力された動画像データおよびデコーダ202から入力された動画像データのいずれかを選択し、出力することが可能である。選択装置203の選択は、例えば外部スイッチにより任意に切り替えることができる。
【0027】
サイド情報取得装置204は、デコーダ202から出力されたデコード情報と、入力ストリーム保持部210内のメタデータ212とを取得し、保持しておくことが可能である。また、サイド情報取得装置204は、動画像通信装置に接続されている情報端末がインターネットなどのネットワークを介して他の情報端末と通信を行う場合に、他の情報端末から送信されたメタデータを通信装置209を介して取得し、保持しておくことが可能である。
【0028】
伝送路情報取得装置205は、動画像通信装置に接続されている情報端末がインターネットなどのネットワークに接続されている場合に、ネットワークの帯域情報を通信装置209を介して取得することが可能である。また、伝送路情報取得装置205は、動画像通信装置に接続されている情報端末がインターネットなどのネットワークを介して他の情報端末と通信を行う場合に、動画像通信装置に接続されている情報端末と他の情報端末との間で相互に取り扱うことができるストリームデータのフォーマット情報を通信装置209を介して取得することが可能である。このフォーマット情報には、通信装置209を介して取得したストリームデータに含まれるフレームについての、画像サイズと、ピクチャタイプとが少なくとも含まれる。なお、伝送路情報取得装置205は、通信装置209を介して、動画像通信装置と情報端末との間の伝送路の帯域情報、および当該伝送路に伝送可能なストリームデータのフォーマット情報を取得してもよい。
【0029】
エンコーダ206は、制御装置207の指示に従って、選択装置203から出力された動画像データを、例えば、H.264やMPEG2などのコーデック規格に準じてエンコードし、ストリームデータを生成することが可能である。また、エンコーダ206は、選択装置203の出力が撮像装置201から出力された動画像データである場合に、メタデータ212を生成することが可能である。
【0030】
制御装置207は、サイド情報取得装置204から出力されたデコード情報およびメタデータ212と、伝送路情報取得装置205から出力されたネットワークの帯域情報およびフォーマット情報とに従って、エンコード方法を決定し、エンコーダ206を制御することが可能である。また、動画像通信装置に接続されている情報端末が他の情報端末からストリームデータを受信する場合に、制御装置207は、サイド情報取得装置204が通信装置209を介して取得したメタデータに従って、エンコード方法を決定し、エンコーダ206を制御してもよい。
【0031】
メモリ208は、デコーダ202から出力された動画像データを表示画像として保持することが可能である。また、メモリ208は、エンコーダ206から出力されたストリームデータを保持することが可能である。
【0032】
通信装置209は、例えば、USBなどの伝送路に接続可能な通信デバイスであり、メモリ208から表示画像とストリームデータ(動画像データの圧縮データとメタデータ)とを取得し、伝送路に送出することが可能である。また、通信装置209は、動画像通信装置に接続されている情報端末がインターネットなどのネットワークに接続されている場合に、ネットワークの帯域情報、動画像通信装置に接続されている情報端末と他の情報端末との間で相互に取り扱うことができるストリームデータのフォーマット情報、および他の情報端末から送信されたメタデータとを伝送路を介して取得することが可能である。
【0033】
なお、図1に示す動画像通信装置1および動画像通信装置2のうち少なくとも一方が、図2に示すような構成の動画像通信装置であってもよい。
【0034】
<動画像通信装置におけるメタデータ生成処理>
次に、図2に示す動画像通信装置がメタデータを生成するときの処理について説明する。図3は、図2に示す動画像通信装置がメタデータを生成するときのフローチャートである。
【0035】
図3において、選択装置203によって撮像装置201から入力された動画像データが選択された場合(S301の撮像装置201の動画像データの場合)、エンコーダ206はエンコード処理(S302)を開始する。エンコーダ206は、エンコード処理において、エンコード対象のフレーム内に注目すべき対象物が含まれているかどうか、例えば人物の顔情報が含まれているかどうかの判定を行う(S303)。エンコード対象のフレーム内に顔情報が含まれている場合(S303のYes肢)、エンコーダ206は、メタデータ生成処理を行う(S304)。具体的に、エンコーダ206は、エンコード対象のフレームの番号とそのフレームのタイムスタンプ情報(DTS(Decoding Time Stamp)値、PTS(Presentation Time Stamp)値)との組み合わせで構成されるフレーム情報を生成する(S304)。そして、エンコーダ206は、顔情報が含まれる各フレームについて同様の処理を行い、1つ以上のフレーム情報からなるメタデータとして、例えば図4に示すようなメタデータ212を生成する。
【0036】
一方、選択装置203によってデコーダ202から入力された動画像データが選択された場合(S301のデコーダ202の動画像データの場合)、あるいは、エンコード対象のフレーム内に顔情報が含まれていない場合(S303のNo肢)、エンコーダ206は、フレーム情報を生成せずにエンコード処理(S302,S305)のみを実施する。
【0037】
なお、注目すべき対象物が人物の顔である場合を例に挙げて説明したが、人物の顔だけでなく、動物や建築物など特定の被写体を注目すべき対象物としてもよい。また、エンコーダ206は、エンコード対象のフレーム内に注目すべき対象物が含まれていない場合に、そのフレームの番号とタイムスタンプ情報以外の例えば空データとの組み合わせを、フレーム情報として生成してもよい。
【0038】
<動画像通信装置が記録済みストリームデータを送信するときの処理>
次に、図2に示す動画像通信装置が記録済みのストリームデータを通信先に送信するときの処理について説明する。図5は、動画像通信装置が記録済みのストリームデータを送信するときの処理を示すフローチャートである。
【0039】
まず、選択装置203によってデコーダ202から入力された動画像データが選択された場合(S501のデコーダ202の動画像データの場合)について説明する。制御装置207は、サイド情報取得装置204からメタデータ212およびデコード情報と、伝送路情報取得装置205からフォーマット情報とを取得する。制御装置207は、デコード情報に含まれる画像サイズおよびピクチャタイプと、フォーマット情報に含まれる画像サイズおよびピクチャタイプとを比較し、比較結果に基づいて、ストリームデータ211を、動画像通信装置と通信先との間で相互に取り扱うことができるようにエンコード方法を決定する(S502)。そして、制御装置207は、エンコーダ206にエンコード方法を指示する。エンコーダ206は、指示されたエンコード方法でエンコード処理を開始する(S503)。また、制御装置207は、メタデータ212の中に、エンコード対象のフレームについてのフレーム情報があるか否かを確認する(S504)。フレーム情報がない場合(S504のNo肢)、制御装置207は、そのフレームは注目すべきフレームでなく間引き対象のフレームであると判断し、エンコーダ206に対して、そのフレームを間引くように指示する。
【0040】
そして、エンコーダ206は、制御装置207の指示に従って、そのフレームの間引き処理を行う(S505)。エンコーダ206で生成されるストリームデータから注目すべきでないフレームが間引きされることで、フレームレートを下げることが可能となる。
【0041】
一方、メタデータ212の中に、エンコード対象のフレームについてのフレーム情報がある場合(S504のYes肢)、制御装置207は、そのフレームは注目すべきフレームであり、間引き対象ではないと判断し、エンコーダ206に対して、そのフレームの間引き処理(S505)をスキップするように指示する。
【0042】
次に、選択装置203によって撮像装置201から入力された動画像データが選択された場合(S501の撮像装置201の信号の場合)について説明する。制御装置207は、サイド情報取得装置204からデコード情報と、伝送路情報取得装置205からフォーマット情報とを取得し、エンコード方法を決定する(S506)。そして、制御装置207は、エンコード方法をエンコーダ206に指示する。エンコーダ206は、指示されたエンコード方法でエンコードを開始する(S507)。
【0043】
以上、本実施形態に係る動画通信装置から記録済みのストリームデータを送信する場合、ストリームデータ内の注目すべきでないシーンについてはフレームが間引きされるため、ストリームデータのデータ量が削減される。したがって、データ量が少なくて済むため、リアルタイム性を維持しつつ、動画像通信装置と通信先との間でストリームデータを共有することができる。
【0044】
動画像通信装置と通信先との間のネットワークの帯域幅は限られているため、送信するストリームデータのデータ量が多い場合、ストリームデータのビットレートを下げる必要がある。ストリームデータのビットレートを下げるとストリームデータ内のシーン全体の画質が劣化することがある。ところが、本実施形態によれば、ストリームデータ内の注目すべきシーンを残しつつストリームデータのデータ量が少なくなるためストリームデータのビットレートを下げる必要がない。つまり、ストリームデータ内の注目すべきシーンについての画質の劣化を防ぐことが可能となる。
【0045】
なお、制御装置207は、ネットワークの帯域情報が閾値よりも小さいと判断した場合に、エンコーダ206に対して、選択装置203で選択された動画像データのフレームレートを下げるように指示してもよい。あるいは、制御装置207は、ネットワークの帯域情報が閾値よりも小さいと判断し、且つ、メタデータ212の中に、エンコード対象のフレームのフレーム情報がある場合に、そのフレームの圧縮率を高めるようにエンコーダ206を制御してもよい。
【0046】
<動画像通信装置がストリームデータを送信するときの別の処理>
次に、図2に示す動画像通信装置に接続された情報端末が、通信先である他の情報端末からストリームデータを受信している場合において、動画像通信装置がストリームデータを送信するときの処理について説明する。図6は、その処理を示すフローチャートである。なお、通信先からは、ストリームデータとそのストリームデータについてのメタデータが送信されるものとする。
【0047】
まず、選択装置203によって撮像装置201から入力された動画像データが選択された場合(S601の撮像装置201の動画像データの場合)について説明する。制御装置207は、通信先から送信されたメタデータと、そのストリームデータのフォーマット情報とを取得する。制御装置207は、フォーマット情報に基づいて、撮像装置201から入力された動画像データを、動画像通信装置と通信先との間で相互に取り扱うことができるようにエンコード方法を決定する(S602)。そして、制御装置207は、エンコーダ206にエンコード方法を指示する。エンコーダ206は、指示されたエンコード方法でエンコード処理を開始する(S603)。また、制御装置207は、通信先から送信されたメタデータに基づいて、そのストリームデータに注目すべきフレームが一定期間連続して含まれているかどうかを確認する(S604)。具体的に、メタデータの中に、フレームの番号が一定数分連続するフレーム情報が存在するどうかを確認する。ストリームデータに注目すべきフレームが一定期間連続して含まれている場合(S604のYes肢)、制御装置207は、撮像装置201から入力される動画像データのフレームレートを下げるか、あるいは、撮像装置201から入力される動画像データの圧縮率を上げるようにエンコーダ206に指示する(S605)。なお、一定期間とは、例えば、15フレーム以上である。
【0048】
一方、通信先から送信されたストリームデータに注目すべきフレームが一定期間連続して含まれていない場合(S604のNo肢)、制御装置207は、エンコーダ206に対して、S605の処理をスキップするように指示する。
【0049】
次に、選択装置203によって、デコーダ202から入力された動画像データが選択された場合(S601のデコーダ202の動画像データの場合)について説明する。制御装置207は、通信先から送信されたストリームデータのフォーマット情報を取得し、フォーマット情報に基づいてエンコード方法を決定する(S606)。そして、制御装置207は、エンコーダ206にエンコード方法を指示する。エンコーダ206は、指示されたエンコード方法でエンコードを開始する(S607)。
【0050】
以上、通信先から送信されたストリームデータに注目すべきシーンが含まれている場合に、本実施形態に係る動画通信装置が送信するストリームデータのデータ量を削減することができる。したがって、動画通信装置が送信するストリームデータのデータ量が減少した分だけ、動画通信装置と通信先との間のネットワークの帯域に空きができる。つまり、通信先は、この帯域の空きの分だけ、注目すべきシーンに含まれるフレームのビットレートを高くしてストリームデータを送信することができるため、そのシーンの画質を良好に保つことができる。
【0051】
なお、図1において、情報端末10として本発明の別の実施形態に係る動画像通信装置3を用いてもよい。図1に示すように、動画像通信装置3は、ネットワーク機能を有し、撮影機能がない動画像通信装置であってもよく、デジタルテレビやDVDレコーダなどの電子機器に搭載されるものであってもよい。つまり、動画像通信装置3は、図2に示す動画像通信装置から撮像装置201を省略した構成である。
【0052】
動画像通信装置3は、動画像通信装置1に記録されているストリームデータを、例えば、SD(Secure Digital)カードなどのストレージメディア、あるいは、USBなどを介して取得する。また、動画像通信装置3は、インターネットを介して情報端末20とデータの送受信が可能である。動画像通信装置3は、動画像通信装置1から取得したストリームデータを情報端末20に送信するとともに、当該ストリームデータをデコードして動画像データを生成し、動画像データをサブ画面に表示する。
【0053】
<動画像通信装置3が記録済みストリームデータを送信するときの処理>
以下、図1において、動画像通信装置3が動画像通信装置1から記録済みのストリームデータを取得し、通信先に送信するときの処理について説明する。
【0054】
図7は、動画像通信装置3が動画像通信装置1から記録済みのストリームデータを取得して、通信先に送信するときの処理を示すフローチャートである。
【0055】
まず、制御装置207は、動画像通信装置1から取得したストリームデータ211についてのメタデータ212およびデコード情報と、通信先から送信されたストリームデータのフォーマット情報とを取得する。制御装置207は、デコード情報に含まれる画像サイズおよびピクチャタイプと、フォーマット情報に含まれる画像サイズおよびピクチャタイプとを比較し、比較結果に基づいて、ストリームデータ211を、動画像通信装置3と通信先との間で相互に取り扱うことができるようにエンコード方法を決定する(S701)。そして、制御装置207は、エンコーダ206にエンコード方法を指示する。
【0056】
エンコーダ206は、指示されたエンコード方法でエンコード処理を開始する(S702)。また、制御装置207は、メタデータ212の中に、エンコード対象のフレームについてのフレーム情報があるか否かを確認する(S703)。フレーム情報がない場合(S703のNo肢)、制御装置207は、そのフレームは注目すべきでなく間引き対象のフレームであると判断し、エンコーダ206に対して、そのフレームを間引くように指示する。
【0057】
そして、エンコーダ206は、制御装置207の指示に従って、そのフレームの間引き処理を行う(S704)。エンコーダ206で生成されるストリームデータから注目すべきでないフレームが間引きされることで、フレームレートを下げることが可能となる。
【0058】
一方、メタデータ212の中に、エンコード対象のフレームについてのフレーム情報がある場合(S703のYes肢)、制御装置207は、そのフレームは注目すべきであり、間引き対象ではないと判断し、エンコーダ206に対して、そのフレームの間引き処理(S704)をスキップするように指示する。
【0059】
このように、撮像装置を持たない別の実施形態に係る動画通信装置3と上述したデジタルビデオカメラなどの撮像装置を備えた動画像通信装置とを組み合わせてもよい。
【0060】
なお、図2に示す、デコーダ202、選択装置203、サイド情報取得装置204、伝送路情報取得装置205、エンコーダ206、制御装置207、メモリ208および通信装置209を同一の半導体集積回路上に配置してもよい。
【0061】
また、コンピュータに、撮像装置201に動画像データを撮像させるステップと、デコーダ202に、ストリームデータ211をデコードさせるとともに、デコード情報を取得させるステップと、選択装置203に撮像装置201の出力およびデコーダ202の出力のいずれか一方を選択させるステップと、サイド情報取得装置204にメタデータとデコード情報とを取得させるステップと、伝送路情報取得装置205に帯域情報とフォーマット情報とを取得させるステップと、エンコーダ206に、選択装置203で選択された動画像データをエンコードさせてストリームデータを生成させるステップと、制御装置207に、デコード情報、メタデータ、帯域状態およびフォーマットに従って、エンコード方法を制御させるステップと、メモリ208に、デコーダ202の出力とエンコーダ206の出力を保持させるステップと、通信装置209に、メモリ208に保持されたデータを伝送路に送信させるステップとを実行させるためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。また、このプログラムをインターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0062】
以上、動画像通信装置について、2つの実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これら実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施形態に施したものや、上記実施形態に異なる実施形態の構成要素を組合わせた形態も、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る動画像通信装置は、特にデジタルビデオカメラや携帯電話などの撮像機能を備える電子機器、あるいはデジタルテレビやDVDレコーダなどのネットワークに接続可能な電子機器一般に有用である。
【符号の説明】
【0064】
1,2,3 動画像通信装置
201 撮像装置
202 デコーダ
203 選択装置
204 サイド情報取得装置
205 伝送路情報取得装置
206 エンコーダ
207 制御装置
208 メモリ
209 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフォーマットでエンコードされた第1のストリームデータを伝送路を介して送信することが可能な動画像通信装置であって、
動画像を撮像して第1の動画像データを出力する撮像装置と、
前記第1のストリームデータをデコードして第2の動画像データを生成するとともに、当該デコードを行った際に得られるデコード情報を取得するデコーダと、
前記第1および第2の動画像データのうちいずれか一方を選択する選択装置と、
前記第1のストリームデータに含まれるフレームのうちどのフレームが注目すべきフレームであるのかを示す第1のメタデータと前記デコード情報とを取得するサイド情報取得装置と、
前記伝送路の帯域状態と前記伝送路に伝送可能なストリームデータのフォーマットに相当する第2のフォーマットとを取得する伝送路情報取得装置と、
少なくとも前記第1および第2のフォーマットのいずれか一方で前記選択装置で選択された動画像データをエンコードして第2のストリームデータを生成するエンコーダと、
前記サイド情報取得装置によって得られた前記デコード情報および前記第1のメタデータと、前記伝送路情報取得装置によって得られた前記帯域状態および前記第2のフォーマットとに従って、前記エンコーダを制御する制御装置と、
前記デコーダによって生成された前記第2の動画像データと、前記エンコーダによって生成された前記第2のストリームデータとを保持するメモリと、
前記メモリに保持された前記第2の動画像データおよび前記第2のストリームデータを前記伝送路に送信する通信装置とを備えている
ことを特徴とする動画像通信装置。
【請求項2】
請求項1の動画像通信装置において、
前記制御装置は、前記選択装置により前記第2の動画像データが選択されている場合に、前記第1のメタデータに基づいて、前記第1のストリームデータに含まれるフレームのうち注目すべきでないフレームを検出し、前記第2のストリームデータから当該注目すべきでないフレームに相当するフレームを間引くように前記エンコーダを制御する
ことを特徴とする動画像通信装置。
【請求項3】
請求項1の動画像通信装置において、
前記デコード情報は、前記第1のストリームデータに含まれるフレームについての、画像サイズ、ピクチャタイプ、動きベクトル、およびタイムスタンプを含む
ことを特徴とする動画像通信装置。
【請求項4】
請求項1の動画像装置において、
前記エンコーダは、前記選択装置により前記第1の動画像データが選択された場合、前記第1のフォーマットで前記第1の動画像データをエンコードする際に、前記第1の動画像データに含まれるフレームのうちどのフレームを間引き対象とするのかを示すフレーム情報を生成する
ことを特徴とする動画像通信装置。
【請求項5】
請求項1の動画像通信装置において、
前記制御装置は、前記帯域状態が閾値よりも小さいと判断した場合に、前記選択装置によって選択された動画像データのフレームレートを下げるように前記エンコーダを制御する
ことを特徴とする動画像通信装置。
【請求項6】
請求項4の動画像通信装置において、
前記制御装置は、前記帯域状態が閾値よりも小さいと判断し、且つ、前記フレーム情報に基づいて、前記第1の動画像データに含まれるフレームのうち間引き対象でないフレームを検出した場合に、当該フレームの圧縮率を高めるように前記エンコーダを制御する
ことを特徴とする動画像通信装置。
【請求項7】
請求項1の動画像通信装置において、
前記サイド情報取得装置は、前記選択装置により前記第1の動画像データが選択されている場合に、当該動画像通信装置と通信を行う通信先から送信された第3のストリームデータに含まれるフレームのうちどのフレームが注目すべきフレームであるのかを示す第2のメタデータを取得する
ことを特徴とする動画像通信装置。
【請求項8】
請求項7の動画像通信装置において、
前記制御装置は、前記第2のメタデータに基づいて、前記第3のストリームデータに注目すべきフレームが一定期間連続して含まれていると判断した場合、前記一定期間において、前記第1の動画像データのフレームレートを下げる、あるいは、前記第1の動画像データの圧縮率を高めるように前記エンコーダを制御する
ことを特徴とする動画像通信装置。
【請求項9】
請求項1の動画通信装置を備えている
ことを特徴とするデジタルビデオカメラ。
【請求項10】
コンピュータに、第1のフォーマットでエンコードされた第1のストリームデータを伝送路を介して送信するステップを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
第1の動画像データを撮像装置に撮像させるステップと、
前記第1のストリームデータをデコードして第2の動画像データを生成するとともに、当該デコードを行った際に得られるデコード情報を取得するステップと、
前記第1および第2の動画像データのうちいずれか一方を選択装置に選択させるステップと、
前記第1のストリームデータに含まれるフレームのうちどのフレームが注目すべきフレームであるのかを示すメタデータと前記デコード情報とを取得するステップと、
前記伝送路の帯域状態および前記伝送路に伝送可能なストリームデータのフォーマットに相当する第2のフォーマットを取得するステップと、
少なくとも前記第1および第2のフォーマットのいずれか一方で前記選択装置に選択された動画像データをエンコードして第2のストリームデータを生成するステップと、
前記デコード情報、前記メタデータ、前記帯域状態および前記第2のフォーマットに従って、前記エンコードの方法を制御するステップと、
前記第2の動画像データと前記第2のストリームデータとをメモリに保持させるステップと、
前記メモリに保持された前記第2の動画像データおよび前記第2のストリームデータを前記伝送路に送信するステップを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
第1のフォーマットでエンコードされた第1のストリームデータを伝送路を介して送信することが可能な半導体集積回路であって、
前記第1のストリームデータをデコードして第2の動画像データを生成するとともに、当該デコードを行った際に得られるデコード情報を取得するデコーダと、
撮像装置から得られる第1の動画像データおよび前記第2の動画像データのうちいずれか一方を選択する選択装置と、
前記第1のストリームデータに含まれるフレームのうちどのフレームが注目すべきフレームであるのかを示すメタデータと前記デコード情報とを取得するサイド情報取得装置と、
前記伝送路の帯域状態と前記伝送路に伝送可能なストリームデータのフォーマットに相当する第2のフォーマットとを取得する伝送路情報取得装置と、
少なくとも前記第1および第2のフォーマットのいずれか一方で前記選択装置で選択された動画像データをエンコードして第2のストリームデータを生成するエンコーダと、
前記サイド情報取得装置によって前記デコード情報および前記メタデータと、前記伝送路情報取得装置によって得られた前記帯域状態および前記第2のフォーマットとに従って、前記エンコーダを制御する制御装置と、
前記デコーダによって生成された前記第2の動画像データと、前記エンコーダによって生成された前記第2のストリームデータとを保持するメモリと、
前記メモリに保持された前記第2の動画像データおよび前記第2のストリームデータを前記伝送路に送信する通信装置とを備えている
ことを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−120011(P2012−120011A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269029(P2010−269029)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】