説明

動的反射器アレイ及びその作成方法

動的微細構造反射器は、概して平面の主要面と、主要平面上の複数の空洞と、を有する基板を含む。各空洞は、少なくとも、主要平面から偏位した角度に設定された第1及び第2側壁を有する。第1側壁は、静止光学面であり、第2側壁は、動的光学面である。動的光学面は、第1位置と第2位置との間で偏向可能である。第1位置の動的光学面は、第2位置の動的光学面よりも多くの光を光源に戻す。動的微細構造反射器を作成する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に動的反射器の分野に関する。より詳細には、本発明は、微細構造動的光反射器に関する。
【背景技術】
【0002】
逆反射器は、トランスポンダとしてしばしば使用される周知の装置である。逆反射器は、光を受け、入射方向に光を反射する。受動逆反射器は、入射光と同一の一般的特性、好ましくは入射光ビームの比較的高い指向性利得及び比較的低い拡散で、光を返す。一方、能動逆反射器は、入射放射ビームに応答してユーザ定義可能信号を生成することのできる放射装置を含むことができる。
【0003】
逆反射器には、通信システムと、監視システムと、空中給油システムとを含む多くの分野で多種多様な応用例が見出されている。様々なタイプの逆反射器構造の例には、コーナ・キューブ・リフレクタと、ホーン・リフレクタと、放物面反射器と、放物柱反射器とが含まれる。
【0004】
逆反射器の別の応用例は、戦場での敵味方識別(IFF、identifying fiend−or−foe)の作業である。敵対する軍隊が、距離を置いて戦闘手段を交えることを可能にした兵器の発達により、味方への誤攻撃が、問題となっている。IFF作業は、ステルス位置の安全であいまいな識別と保守との間のデリケートなコンプライズである。典型的なIFFシステムでは、飛行機や戦車などの照会ユニットによって無線又はマイクロ波周波数要求が行われ、対応する信号が、対象のユニットによって返される。これは、通常、照会要求が受信されたときに符号化戻り信号を放射する、対象のユニット上のトランスポンダによって、達成される。他のシステムは、単に入射照会要求を再放射又は反射するだけであり、一部のシステムは、再放射信号又は反射信号を特有の方式で変調する。次いで、照会ユニットは、受信信号を暗号解読し、対象のユニットが味方か、それとも敵かを判定する。しかし、照会ユニットに到達するように十分な強度を有するように設計される、広い範囲に向けられた応答を放射(即ち反射)することにより、放射の一部が、敵軍の他のユニットによって検出される可能性があり、それにより、対象のユニットの位置が明らかとなってしまう可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
一般に、本発明は、微細構造動的光反射器に関する。
【0006】
1つの例示的実施形態では、動的微細構造反射器は、概して平面の主要面と、主要平面上の複数の空洞と、を有する基板を含む。各空洞は、少なくとも、主要平面から偏位した角度に設定された第1及び第2側壁を有する。第1側壁は、静止光学面であり、第2側壁は、動的光学面である。動的光学面は、第1位置と第2位置との間で偏向可能である。第1位置の動的光学面は、第2位置の動的光学面よりも多くの光を光源に戻す。
【0007】
別の例示的実施形態では、動的微細構造反射器は、キューブ・コーナ・アレイを形成する複数のキューブ・コーナ素子を含む。各キューブ・コーナ素子は、2つの静止光学面と1つの動的光学面とを有する。動的光学面は、第1位置と第2位置との間で偏向可能である。第1位置での動的光学面は、第2位置での動的光学面よりも多くの光を光源に戻す。
【0008】
別の例示的実施形態では、動的微細構造反射器を作成する方法は:概して平面の主要面と、主要平面上の複数の空洞と、を有する基板上に第1伝導層を付着させるステップであって、各空洞が、少なくとも、主要平面から偏位した角度に設定された第1及び第2側壁を有する、ステップと;第1伝導層をパターン形成し、各第1側壁と主要平面の隣接する部分の上に下部電極を形成するステップと;下部電極と基板上に第1誘電体層を付着させるステップと;第1側壁と第1誘電体層上に犠牲層を付着させ、パターン形成するステップと;犠牲層と第1誘電体層上に第2誘電体層を付着させるステップと;第2誘電体層上に第2伝導層を付着させるステップと、第2伝導層をパターン形成し、各下部電極の上に上部電極を形成するステップと;上部電極と第2誘電体層上に第3誘電体層を付着させるステップと;第1及び第2側壁と第3誘電体層上に反射層を付着させるステップと;第2及び第3誘電体層を貫く穴を形成し、犠牲層の一部を露出させるステップと;犠牲層を除去して動的光学面を形成するステップであって、動的光学面が、第1位置と第2位置との間で偏向可能であり、動的光学面の一部が、第1誘電体層から第1距離だけ間隔を置いた第2位置に配置される、ステップと;を含む。第1位置の動的光学面は、第2位置の動的光学面よりも多くの光を光源に戻す。
【0009】
本発明の上記の概要は、本発明の開示される各実施形態又はあらゆる実装を記述するものではない。以下の図と、詳細な説明と、実施例とが、こうした実施形態をより具体的に例示する。
【0010】
本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面と共に考慮することで、本発明をより完全に理解することができる。
【0011】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態に適用できるが、本発明の詳細を図面での例示によって示し、詳細に説明する。しかし、記載の特定の実施形態に本発明を限定するものではないことを理解されたい。逆に、本発明の精神及び範囲内のすべての修正形態と、均等物と、代替実施形態を包含するものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明は、図面と共に読むべきである。図面では、異なる図面中の同様の要素に同様の形で番号を付けてある。図面は、必ずしも原寸に比例せず、選択した実施形態を示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。構成と、寸法と、材料の例を様々な要素について示すが、与える実施例の多くは、利用することのできる適切な代替実施形態を有することを、当業者は、理解されよう。
【0013】
一般に、本発明は、微細構造動的光反射器などの動的反射器に関する。本発明は、そのように限定されるわけではないが、以下で与える実施例の議論を通じて本発明の様々な態様の応用例が、得られるであろう。
【0014】
以下の定義される用語について、特許請求の範囲又は本明細書中の別の所で異なる定義が与えられるのでない限り、こうした定義が、適用される。
【0015】
本明細書と添付の特許請求の範囲では、単数形の「a」と、「an」と、「the」は、内容が、明確にそうでないと規定するのでない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「スケジュール・パラメータ」への参照は、2つ以上のスケジュール・パラメータを含む。本明細書と添付の特許請求の範囲では、「又は」という用語は、一般に、内容が明確にそうでないと規定するのでない限り、「and/or」を含む意味で使用される。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態によるキューブ・コーナ素子110のアレイ100の上面図である。キューブ・コーナ素子110を、主要平面を有する基板120上に配設することができる。キューブ・コーナ素子110は、基板120の主要平面上に空洞を形成する。この例示的実施形態では、各素子110は、3つの露出光学面108と逆頂点104とを有する四面体プリズムの形状である。キューブ・コーナ素子の光学面は、微細構造面を画定する。各素子110は、静止光学面140と動的光学面150とを有することができる。アレイ100は、入射光を逆反射するように構成される。アレイ100は、以下に述べるように動的に逆反射される入射光の量を変更することができる。
【0017】
ある実施形態では、基板120は、動的光学面150の一部又はすべての位置を制御するための電子回路130を含むことができる。動的光学面150は、一斉に、又は望む通りに別々に制御することができる。動的光学面150は、第1位置と第2位置との間で偏向可能である。この実施形態では、第1(例えば、低い)位置の動的光学面150は、第2(例えば、高い)位置の動的光学面150よりも多くの光を光源に戻す。本明細書では、第1位置は、光源により多くの光を戻す位置でよく、又は第2位置は、光源により多くの光を戻す位置でよい。動的光学面150は、第1位置から第2位置に、又は第2位置から第1位置に作動する。一方の場合、動的光学面は、より多くの光を光源に戻す位置まで、又はその位置から作動する。
【0018】
図2は、図1に示す単一キューブ・コーナ反射素子210の上面図である。例示的実施形態では、各素子210は、3つの露出光学面240A、240B、250と逆頂点204とを有する四面体プリズムの形状である。各素子210は、静止光学面240A、240Bと、動的光学面250とを有することができる。例示的実施形態では、素子210は、動的光学面250の位置を制御するための電子回路230を含むことができる。
【0019】
図3は、図2に示す素子210の「ON」状態300の、線3−3に沿った側面断面図である。図3A及び図3Bに関して、素子310は、基板320の主要平面301上に空洞又はくぼみを形成する。2つの光学面340、350が、逆頂点304で出会うことが示されている。素子310は、静止光学面340と動的光学面350とを有する。例示的実施形態では、動的光学面350の一部又はほぼ表面全体は、静止光学面340に対して偏向可能である。
【0020】
静止光学面340と動的光学面350上に反射層360を配設することができる。反射層360は、鏡面反射性でよい。反射層360は、金属でよい。反射層360として使用するのに適した材料は、任意の適切な反射性材料又は複合材料、例えば、アルミニウム、金、銀、スズ、及びそれらの組合せを含むことができる。ある実施形態では、反射層は、例えば100から1200nmの間の厚さなどの任意の適切な厚さでよい。
【0021】
素子310は、主要平面301から逆頂点304までの距離に等しい深さ「D」を有する。ある実施形態では、深さ「D」は、10ミクロンから100ミクロンの間であり、別の実施形態では、深さ「D」は、30ミクロンから50ミクロンの間である。しかし、深さ「D」は、応用例に応じて任意の適切な寸法でよいことを理解されたい。
【0022】
動的光学面350は、主要平面301から逆頂点304までの距離に等しい長さ「L」を有する。ある実施形態では、長さ「L」は、10ミクロンから100ミクロンまでの間である。別の実施形態では、長さ「L」は、30ミクロンから50ミクロンの間である。しかし、長さ「L」は、応用例に応じて任意の適切な寸法でよいことを理解されたい。
【0023】
動的光学面350は、動的光学面350の長さ「L」の少なくとも一部に沿って延びる、基板320上の、基板320に隣接する、又は基板320内の下部電極352を有することができる。動的光学面350は、やはり動的光学面350の長さ「L」の少なくとも一部に沿って延びることのできる、下部電極352に隣接する上部電極354を有することができる。上部電極354は、固定端358と、反対側の自由端356とを有することができる。ある実施形態では、固定端358を基板320の主要平面301又はその付近に固定することができ、自由端356を逆頂点304又はその付近で移動可能にすることができる。
【0024】
図3Aに関して、十分な電圧が、上部電極354と下部電極352の間に印加され、自由端356は、静電力下で第2の「OFF」位置から第1の「ON」位置に偏向する。図3Aは、第1の「ON」位置の自由端356を示す。第1の「ON」位置は、静止光学面340と協働するように動的光学面350を構成し、光源302からのより多くの量の入射光370を、入射光370の経路に平行な経路で光源302に戻る反射光380として向け直す。
【0025】
図3Bは、「OFF」状態の、図2の線3−3に沿った側面断面図である。電圧が、上部電極354と下部電極352との間から除かれたとき、自由端356は、第1の「ON」位置から第2の「OFF」位置に偏向する。図3Bは、第2の「OFF」位置の自由端356を示す。第2の「OFF」位置は、静止光学面340と協働するように動的光学面350を構成し、光源302からの多量の入射光370を、入射光370の経路に対して非平行であり、光源302から離れる経路に向く反射光381として向け直す。動的光学面350の自由端356は、逆頂点304から離れる向きに偏向し、自由端356と頂点304及び/又は下部電極352との間にエア・ギャップ306を生み出す。ある実施形態では、エア・ギャップ306は、2ミクロンから10ミクロン、又は2ミクロンから5ミクロンでよいが、任意の適切なギャップを使用することができる。
【0026】
図4は、キューブ・コーナ素子410のアレイ400の上面図である。キューブ・コーナ素子410は、主要平面を有する基板420上に配設することができる。例示的実施形態では、キューブ・コーナ素子410は、基板420の主要平面上に空洞を形成する。各素子410は、3つの露出光学面408と逆頂点404とを有する四面体プリズムの形状である。キューブ・コーナ素子の光学面は、微細構造面を画定する。各素子410は、静止光学面440と動的光学面450とを有することができる。アレイ400は、入射光を逆反射するように構成され、以下に述べるように動的に逆反射される入射光の量を変更することができる。
【0027】
ある実施形態では、基板420は、動的光学面450の位置を制御することのできる電子回路430を含むことができる。動的光学面450は、一斉に、又は望む通りに別々に制御することができる。以下で示すように、動的光学面450は、第1位置(例えば下部)と第2位置(例えば上部)との間で偏向可能であり、動的光学面450は、第1位置では第2位置よりも多くの光を光源に戻す。
【0028】
図5は、図4に示す単一キューブ・コーナ反射素子510の上面図である。各素子510は、3つの露出光学面540A、540B、550と、逆頂点504とを有する四面体プリズムの形状である。例示的実施形態では、各素子510は、静止光学面540A、540Bと、動的光学面550とを有することができる。ある実施形態では、素子510は、動的光学面550の位置を制御するための電子回路530を含むことができるが、これは、すべての実施形態で必要であるわけではない。
【0029】
図6Aは、図2に示す素子510の「ON」状態600の、線6−6に沿った側面断面図である。図6A及び図6Bに関して、素子610は、基板620の主要平面601上に空洞又はくぼみを形成する。2つの光学面640、650が、逆頂点604で出会うことが示されている。素子610は、静止光学面640と動的光学面650とを有する。動的光学面650の一部又はほぼ表面全体は、静止光学面640に対して偏向可能である。
【0030】
静止光学面640と動的光学面650上に反射層360を配設し、又は設けることができる。反射層660は、鏡面反射性でよい。反射層660は、金属でよい。反射層360として使用するのに適した材料は、任意の適切な反射性材料又は複合材料、例えば、アルミニウム、金、銀、スズ、及びそれらの組合せを含むことができる。反射層は、例えば500から1200nmの間の厚さなどの任意の適切な厚さでよい。
【0031】
素子610は、主要平面601から逆頂点604までの距離に等しい深さdを有する。ある実施形態では、深さ「D’」は、10ミクロンから100ミクロンの間である。別の実施形態では、深さ「D’」は、30ミクロンから50ミクロンの間である。しかし、深さ「D’」は、応用例に応じて任意の適切な寸法でよいことを理解されたい。
【0032】
動的光学面650は、主要平面601から逆頂点604までの距離に等しい長さ「L’」を有する。ある実施形態では、長さ「L’」は、10ミクロンから100ミクロンまでの間である。他の実施形態では、長さ「L’」は、30ミクロンから50ミクロンの間である。しかし、長さ「L’」は、応用例に応じて任意の適切な寸法でよいことを理解されたい。
【0033】
動的光学面650は、動的光学面650の長さ「L’」の少なくとも一部に沿って延びる、基板620上の、基板620に隣接する、又は基板620内の下部電極652を有することができる。動的光学面650は、やはり動的光学面650の長さ「L’」の少なくとも一部に沿って延びることのできる、下部電極652に隣接する上部電極654を有することができる。上部電極654は、固定端658と、反対側の自由端656とを有することができる。ある実施形態では、固定端658を基板620の主要平面601又はその付近に固定することができ、自由端656を逆頂点604又はその付近で移動可能にすることができる。
【0034】
図6Aに関して、十分な電圧が、上部電極654と下部電極652の間に印加され、自由端656は、静電力下で第2の「OFF」位置から第1の「ON」位置に偏向する。図6Aは、第1の「ON」位置の自由端656を示す。第1の「ON」位置は、静止光学面640と協働するように動的光学面650を構成し、光源602からのより多くの量の入射光670を、入射光670の経路に平行な経路で光源602に戻る反射光680として向け直す。
【0035】
図6Bは、「OFF」状態の、図5の線6−6に沿った側面断面図である。電圧が上部電極654と下部電極652との間から除去されたとき、自由端656は、第1の「ON」位置から第2の「OFF」位置に偏向する。図6Bは、第2の「OFF」位置の自由端656を示す。第2の「OFF」位置は、静止光学面640と協働するように動的光学面650を構成し、光源602からの多量の入射光670を、入射光670の経路に対して非平行であり、光源602から離れる経路に向く反射光681として向け直す。動的光学面650の自由端656は、逆頂点604から離れる向きに偏向し、自由端656と頂点604及び/又は下部電極652との間にエア・ギャップ606を生み出す。ある実施形態では、エア・ギャップ606は、2ミクロンから10ミクロン、又は2ミクロンから5ミクロンでよいが、任意の適切なギャップを使用することができる。
【0036】
図7Aは、誘電体層710上に付着した下部電極720上に犠牲層740が付着した製造段階での、動的微細構造反射器700の側面断面図である。基板701は、概して平面の主要平面702と、複数の空洞703とを有することのできる微細構造物品である。各空洞703は、少なくとも、主要平面702から偏位した角度に設定された第1側壁704と第2側壁705とを有することができる。例示的実施形態では、基板701は、キューブ・コーナ微細構造表面などのプリズム微細構造表面を有することができる。例えば、例示的キューブ・コーナ微細構造基板701は、3M Company(ミネソタ州セントポール)から3000Xという商標の下で市販されている。
【0037】
第1又は下部伝導層720を基板701又は誘電体層710上に付着させることができる。ある実施形態では、基板701は、誘電体材料でよい。第1又は下部伝導層720をパターン形成して、第1側壁704と主要平面702の一部の上に下部電極720を形成することができる。次いで、誘電体層712を下部電極720上に付着させることができる。下部電極720と第1側壁704の上の誘電体層712上に犠牲層740を付着させ、パターン形成することができる。以下で述べるように、後で処理中に、犠牲層740が、除去される。
【0038】
犠牲層740は、下部電極720と(形成される)上部電極722との間のスペーサとして働き、それによって、後で処理中に犠牲層740が除去されるとき、上部電極722が、解放され、自由に移動する。犠牲層740は、付着させ、パターン形成し、後に選択的にエッチングで除去することのできる、露出される被膜をエッチング中に腐食しないどんな材料でもよい。使用することのできる犠牲層の例は、アルミニウム、モリブデン、ポリイミド、二酸化シリコンなどである。犠牲層740は、例えば250から1000オングストロームなどの任意の適切な厚さでよい。
【0039】
図7Bは、頂部電極722が付着した製造段階での動的微細構造反射器700の側面断面図である。下部電極720と、誘電体層712と、犠牲層740との上に誘電体層716を付着させることができる。次いで、伝導層722をパターン形成し、下部電極720の上に第1側壁704及び主要平面702の一部上の上部電極722を形成することができる。誘電体層718を上部電極722上に付着させることができる。従って、下部電極720と上部電極722は、誘電体材料によってカプセル化され、下部電極720が上部電極722から電気的に絶縁される。
【0040】
誘電体層710、712、716、718は、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、ポリイミドなどの任意の適切な電気絶縁材料でよい。誘電体層710、712、716、718は、例えば0.5から1ミクロンなどの任意の適切な厚さでよい。電極層720、722は、例えばクロム、アルミニウム、金、銀などの任意の導電材料でよい。電極層720、722は、例えば500から1000オングストロームなどの任意の適切な厚さでよい。
【0041】
図7Cは、接点パッド721、723が付着した製造段階での動的微細構造反射器700の側面断面図である。バイアが、形成され、接点パッド721、723が、バイアに付着し、下部電極720と上部電極722への接続が形成される。接点パッド721、723は、金などの任意の適切な導電材料でよい。接点パッド721、723は、例えば、250から1000オングストロームのクロムと、その後に続く0.5から1ミクロンの金などの任意の適切な厚さでよい。
【0042】
図7Dは、反射層750が、付着し、穴760が、犠牲層740と交差するように形成された製造段階での動的微細構造反射器700の側面断面図である。反射層750が、第1側壁704及び第2側壁705上の頂部誘電体層718上に付着し、パターン形成される。反射層750は、上述と同様に鏡面反射性でよい。犠牲層740を覆う誘電体層716、718を貫いて穴760を形成し、犠牲層740の一部を露出させることができる。穴760は、犠牲層740を除去するための開口を与える。
【0043】
図7Eは、犠牲層740が、除去され、「OFF」状態である製造段階での、動的微細構造反射器700の側面断面図である。犠牲層740は、ウェット・エッチングやドライ・プラズマ・エッチングなどの選択エッチングで選択的に除去することができる。犠牲層740を除去した後、上部電極722が解放されたときに上部電極722構造内の残留応力が、上部電極722を下部電極720から離れる向きに湾曲させるように上部電極722を構成及び配置することができる。これは、光が光源に逆反射することを上部電極722が可能にしない、デバイスの「OFF」状態である。
【0044】
図7Fは、「ON」状態の動的微細構造反射器700の側面断面図である。上部電極722と下部電極720との間に電圧を印加することによって動的反射器700が動作し、静電力を介して上部電極722が下部電極720に引き寄せられる。静電力は、上部電極722を下部電極720に対して(それらの間の誘電体材料と共に)引き寄せ、上部電極722上の反射面750が第2側壁705上の反射面750と協働して入射光が光源に逆反射することを可能にする。上部電極722を、開いた位置と閉じた位置の間で調節することができる。
【0045】
本発明が、上述の特定の例に限定されるとみなすべきではなく、添付の特許請求の範囲に明確に記載された本発明のすべての態様を包含すると理解すべきである。様々な修正形態、等価なプロセス、並びに本発明を適用可能な多数の構造が、本発明が対象とする当業者には、本明細書を検討する際に容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態によるキューブ・コーナ素子のアレイの上面図である。
【図2】図1に示す単一キューブ・コーナ反射素子の上面図である。
【図3A】図2の「ON」状態の線3−3に沿った側面断面図である。
【図3B】図2の「OFF」状態の線3−3に沿った側面断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるキューブ・コーナ素子のアレイの上面図である。
【図5】図4に示す単一キューブ・コーナ反射素子の上面図である。
【図6A】図5の「ON」状態の線6−6に沿った側面断面図である。
【図6B】図5の「OFF」状態の線6−6に沿った側面断面図である。
【図7A】下部電極上に犠牲層が付着した製造段階での、動的微細構造反射器の側面断面図である。
【図7B】頂部電極が付着した製造段階での、動的微細構造反射器の側面断面図である。
【図7C】接点パッドが付着した製造段階での、動的微細構造反射器の側面断面図である。
【図7D】反射層が付着し、バイアが犠牲層に形成された製造段階での、動的微細構造反射器の側面断面図である。
【図7E】犠牲層が除去され、「OFF」状態である製造段階での、動的微細構造反射器の側面断面図である。
【図7F】「ON」状態での動的微細構造反射器の側面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概して平面の主要面と、
主要平面上の複数の空洞であって、各空洞は、少なくとも、前記主要平面から偏位した角度に設定された第1及び第2側壁を有し、前記第1側壁は、静止光学面であり、前記第2側壁は、動的光学面であり、前記動的光学面は、前記第1位置と前記第2位置との間で偏向可能である、空洞と、
を有する動的微細構造反射器であって、
前記第1位置の前記動的光学面は、前記第2位置の動的光学面よりも多くの光を光源に戻す、動的微細構造反射器。
【請求項2】
請求項1に記載の動的微細構造反射器であって、前記動的光学面は、前記第1位置と前記第2位置との間で静電的に作動する、動的微細構造反射器。
【請求項3】
請求項1に記載の動的微細構造反射器であって、ほぼ動的光学面全体は、前記第1位置と前記第2位置との間で偏向する、動的微細構造反射器。
【請求項4】
請求項1に記載の動的微細構造反射器であって、各空洞は、10ミクロンから100ミクロンの深さを有する、動的微細構造反射器。
【請求項5】
請求項1に記載の動的微細構造反射器であって、各空洞は、30ミクロンから50ミクロンの深さを有する、動的微細構造反射器。
【請求項6】
請求項1に記載の動的微細構造反射器であって、前記空洞は、2つの静止光学面と1つの動的光学面とを有するキューブ・コーナ構造である、動的微細構造反射器。
【請求項7】
請求項1に記載の動的微細構造反射器であって、各動的光学面は、共に電気的に結合される、動的微細構造反射器。
【請求項8】
キューブ・コーナ・アレイを形成する複数のキューブ・コーナ素子であって、各キューブ・コーナ素子は、2つの静止光学面と1つの動的光学面とを有し、前記動的光学面は、第1位置と第2位置との間で偏向可能である、キューブ・コーナ素子を、
備える動的微細構造反射器であって、
前記第1位置での前記動的光学面は、前記第2位置の動的光学面よりも多くの光を光源に戻す、動的微細構造反射器。
【請求項9】
請求項8に記載の動的微細構造反射器であって、前記動的光学面は、前記第2位置と前記第1位置との間で静電的に作動する、動的微細構造反射器。
【請求項10】
請求項8に記載の動的微細構造反射器であって、ほぼ動的光学面全体は、前記第1位置と前記第2位置との間で偏向する、動的微細構造反射器。
【請求項11】
請求項8に記載の動的微細構造反射器であって、各キューブ・コーナ素子は、10ミクロンから100ミクロンの深さを有する、動的微細構造反射器。
【請求項12】
請求項8に記載の動的微細構造反射器であって、各キューブ・コーナ素子は、30ミクロンから50ミクロンの深さを有する、動的微細構造反射器。
【請求項13】
請求項8に記載の動的微細構造反射器であって、前記キューブ・コーナ・アレイが、平面基板内に形成される、動的微細構造反射器。
【請求項14】
動的微細構造反射器を作成する方法であって、
概して平面の主要面と主要平面上の複数の空洞とを有する基板上に、第1伝導層を付着させるステップであって、各空洞は、少なくとも、前記主要平面から偏位した角度に設定された第1及び第2側壁を有する、ステップと、
前記第1伝導層をパターン形成し、各第1側壁と前記主要平面の隣接する部分の上に、下部電極を形成するステップと、
前記下部電極と前記基板上に、第1誘電体層を付着させるステップと、
前記第1側壁と第1誘電体層上に、犠牲層を付着させ、且つ、パターン形成するステップと、
前記犠牲層と第1誘電体層上に、第2誘電体層を付着させるステップと、
前記第2誘電体層上に、第2伝導層を付着させるステップと、
前記第2伝導層をパターン形成し、各下部電極の上に、上部電極を形成するステップと、
前記上部電極と前記第2誘電体層上に、第3誘電体層を付着させるステップと、
前記第1及び第2側壁と第3誘電体層上に、反射層を付着させるステップと、
前記第2及び第3誘電体層を貫く穴を形成し、前記犠牲層の一部を露出させるステップと、
前記犠牲層を除去し、動的光学面を形成するステップであって、前記動的光学面は、第1位置と第2位置との間で偏向可能であり、前記動的光学面の一部は、前記第1誘電体層から第1距離だけ間隔を置いた前記第2位置に配置される、ステップと、
を含み、
前記第1位置の前記動的光学面は、前記第2位置の前記動的光学面よりも多くの光を光源に戻す、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加し、前記動的光学面が前記第1位置となるまでの前記第1距離を短縮するステップを、
更に含む方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、前記犠牲層を除去し、偏向可能な動的光学面を形成する前記ステップは、
前記犠牲層を除去し、ほぼ動的光学面全体が前記第1位置と前記第2位置との間で偏向する動的光学面を形成するステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、概して平面の主要面と主要平面上の複数の空洞とを有する基板上に、第1伝導層を付着させる前記ステップは、
概して平面の主要面と、深さ10ミクロンから100ミクロンをそれぞれ有する複数の空洞と、を有する基板上に、第1伝導層を付着させるステップを含む、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、概して平面の主要面と主要平面上の複数の空洞とを有する基板上に、第1伝導層を付着させる前記ステップは、
概して平面の主要面と、深さ30ミクロンから50ミクロンをそれぞれ有する複数の空洞と、を有する基板上に、第1伝導層を付着させるステップを含む、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、第1伝導層を付着させる前記ステップは、
厚さ500から1000オングストロームの第1金属層を付着させるステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、第2伝導層を付着させる前記ステップは、
厚さ500から1000オングストロームの第2金属層を付着させるステップを含む、方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法であって、犠牲層を付着させる前記ステップは、
厚さ250から1000オングストロームの犠牲層を付着させるステップを含む、方法。
【請求項22】
請求項14に記載の方法であって、概して平面の主要面と主要平面上の複数の空洞とを有する基板上に、第1伝導層を付着させる前記ステップは、
概して平面の主要面と、主要平面内の複数のキューブ・コーナ構造と、を有する基板上に、第1伝導層を付着させるステップを含む、方法。
【請求項23】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1伝導層を付着させる前に、前記基板上に、電気的絶縁層を付着させ、次いで、前記絶縁層上に、前記第1伝導層を付着させるステップを、
更に含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−511798(P2007−511798A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539771(P2006−539771)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/037417
【国際公開番号】WO2005/050284
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】