説明

動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量システム、エネルギー計量方法及び電力量計

【課題】時間によってエネルギー価格が変動する様々なエネルギー料金制の下で、使用者のエネルギー使用履歴に関する情報を詳細に記録して管理できるようにする。
【解決手段】エネルギー計量器23は、遠隔サーバー21から時間によるエネルギー価格情報を受信し、単位時間ごとに該当単位時間の時間情報、該当単位時間に適用されるエネルギー価格情報、該当単位時間におけるエネルギー量情報を含むレコードを時間順に順次記録する。これにより、使用者がいつどれくらいのエネルギーをいくらのエネルギー価格で使用したかに関する情報が、正確で一目瞭然に管理される。このようなエネルギー使用履歴は、合理的なエネルギー利用を図るための資料やエネルギー使用料金の算出根拠とすることができるなど、様々な分野に利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量システム、エネルギー計量方法及び電力量計に関するもので、時間によってエネルギー価格が変動する様々なエネルギー料金制の下で使用者のエネルギー使用履歴に関する情報を詳細に記録して管理できるようにする。
【背景技術】
【0002】
近年、限られたエネルギー資源を効率的に利用するための様々な工夫がなされている。
その一例として、エネルギーの生産や消費状況に応じてエネルギー価格を異ならせる方案が工夫されており、スマートグリッド(Smart Grid)やスマートメーター(Smart Meter)技術が注目を浴びている。
スマートグリッドは、電力網に情報技術(IT)を組み込み、電力供給者と消費者が双方から情報をやりとりできるようにすることによって、エネルギー効率を最適化し、新しい付加価値を創出できる次世代送電網である。
スマートグリッドを適用すると、エネルギー消費者は、エネルギー価格の変動を考慮して、自身に最も合理的な時間帯にエネルギーを使用することが可能になる。
スマートメーター(Smart Meter)は、通信機能を付加した電子式計量器のことをいうもので、これを用いると、エネルギー供給者と消費者間の両方向通信が可能なため、検針員が直接家庭を訪問することなく実時間で遠隔検針ができ、電力使用量を精密測定できる。これにより、検針コストを低減し、エネルギーを節約するという効果を得ることができる
【0003】
一方、スマートグリッドやスマートメーターのようなエネルギー関連技術に伴ってエネルギー価格が時間によって変動すると、使用者は、エネルギー価格と自身の事情を考慮して能動的にエネルギー消費を調節することとなる。
このような状況では、時間によって変動するエネルギー価格情報を提供する他、各使用者がどのようにエネルギーを使用しているかを知らせたり、エネルギー使用料金の算出根拠を確保したりするなどの様々な理由から、各使用者のエネルギー使用履歴を詳細に管理する技術が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、エネルギー価格が時間によって変動する動的時変エネルギー料金制の下で、各使用者がいつどれくらいのエネルギーをいくらのエネルギー価格で使用したかに関するエネルギー使用履歴を正確に管理できるエネルギー計量システム、エネルギー計量方法、及び電力量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量システムは、エネルギー価格が時間によって動的に変動するエネルギー料金制を管理し、時間によるエネルギー価格情報を通信網を介して伝送する遠隔サーバーと、前記遠隔サーバーとエネルギー計量器とを連結する通信網と、自身を経由して流れるエネルギー量を測定し、前記通信網を介して前記時間によるエネルギー価格情報を受信するエネルギー計量器と、を含み、前記エネルギー計量器は、前記受信した時間によるエネルギー価格情報から、現在時間に適用されるエネルギー価格情報を抽出し、単位時間ごとに該当単位時間の時間情報、前記抽出されたエネルギー価格情報、該当単位時間におけるエネルギー量情報を含むレコードを保存手段に時間順に順次記録する。
【0006】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量方法は、エネルギー計量器が通信網を介して遠隔サーバーから時間によるエネルギー価格情報を受信する段階と、前記エネルギー計量器がエネルギー量を測定しながら、既に設定された単位時間が経過するか否かを監視する段階と、前記エネルギー計量器が単位時間ごとに該当単位時間の時間情報、該当単位時間に適用されるエネルギー価格情報、該当単位時間におけるエネルギー量情報を含むレコードを保存手段に順次記録する段階と、を含む。
【0007】
また、前記エネルギー計量器は、電気、ガスまたは水道のいずれか一方の使用量を計量することができる。
そして、前記単位時間は、1分、2分、3分、4分、5分、6分、10分、12分、15分、20分、30分、1時間、1日のうちのいずれか一つでよい。
【0008】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量器は、遠距離に位置しているたサーバーまたは使用者から時間による電気価格情報を受信するための通信手段と、前記電力量計を経由して流れる電力量を測定する計量手段と、前記測定された電力量と前記電力量計の運用情報を記録する保存手段と、現在時間を測定する時間確認手段と、電気価格が時間によって動的に変動する電力料金制を処理する処理手段と、を含み、前記処理手段は、前記通信手段を介して受信した時間による電気価格情報から、現在時間に適用される電気価格情報を抽出し、単位時間ごとに該当単位時間の時間情報、前記抽出された電気価格情報、該当単位時間における電力量情報を含むレコードを前記保存手段に時間順に順次記録する。
【0009】
また、前記エネルギー計量器は、電気価格情報を表示できる表示手段をさらに含むことができる。
そして、前記表示手段は、前記現在時間に適用される電気価格情報を常時表示または点滅表示できる。
また、前記表示手段は、前記現在時間に適用される電気価格情報を周期的に表示することができる。
そして、前記処理手段は、将来の時間における予定された電気価格情報を前記表示手段を介して表示することができる。
【0010】
また、前記時間確認手段が測定する現在時間は調整可能である。
そして、前記現在時間の調整は、他の装置との通信によってなされたり、前記電力量計に設けられたユーザインターフェースを介して使用者が直接設定してなされたりすることができる。
また、前記単位時間は、1分、2分、3分、4分、5分、6分、10分、12分、15分、20分、30分、1時間、1日のうちのいずれか一つでよい。
【0011】
そして、前記単位時間における電力量情報は、該当単位時間において負荷に供給される順方向電力量情報を含むことができる。
また、前記順方向電力量情報は、有効電力量、無効電力量、皮相電力量、電流量、電圧量のうちの一つ以上を含むことができる。
そして、前記時間による電気価格情報は、前記順方向電力量に対する有効電力量単価、無効電力量単価、皮相電力量単価、電流量単価、電圧量単価のうちの一つ以上を含むことができる。
また、前記単位時間における電力量情報は、該当単位時間において代替エネルギー源から電力供給ライン側に供給される逆方向電力量情報を含むことができる。
そして、前記時間による電気価格情報は、力率単価を含むことができる。
また、前記時間による電気価格情報は、時間帯別料金制(TOU:Time Of Use Pricing)、緊急ピーク時間帯料金制(CPP:Critical Peak Pricing)、またはリアルタイム料金制(RTP:Real Time Pricing)による料率情報を含むことができる。
【0012】
そして、前記エネルギー計量器は、他の装置に電気価格情報を伝送する機能をさらに含むことができる。
また、前記他の装置は、IHD(In Home Display)装置を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、単位時間ごとに使用者のエネルギー使用履歴を表すレコード(Record)が順次に記録され、各レコードは、該当単位時間の時間情報、該当単位時間に対応するエネルギー価格情報、該当単位時間において消費されたエネルギー量情報を含んでいる。
これにより、使用者がいつどれくらいのエネルギーをいくらのエネルギー価格で使用したかに関する情報が正確で一目瞭然に管理される。
このようなエネルギー使用履歴は、エネルギー計量器が独自で表示したり、宅内表示装置を介して表示したりすることができ、いつでも照会可能である。
したがって、使用者が自身のエネルギー使用履歴を確認するためにエネルギー価格情報テーブルを収集したり、自身の時間帯別エネルギー使用量とエネルギー価格情報テーブルをいちいち対照して確認したりしなくても、自身のエネルギー使用履歴を容易で簡単に確認することができる。
使用者が自身のエネルギー使用履歴に関する詳細を容易に確認可能になると、より積極的にエネルギー消費を調節するようになり、よって、エネルギー消費節減と合理的なエネルギー消費を指向する今の趨勢にマッチすることができる。
【0014】
また、エネルギー使用履歴は、単位時間当たりのエネルギー量情報と該当時点におけるエネルギー価格情報を含んでいるので、エネルギー使用料金の算出資料として用いることができる。例えば、エネルギー供給会社は、エネルギー計量器が管理するエネルギー使用履歴を用いてエネルギー使用料金を精算でき、課金に対するバックアップ(Back−Up)情報として用いることができる。
さらに、このようなエネルギー使用履歴は、使用者とのエネルギー使用料金に関する紛争が起きた場合、重要な根拠資料とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るエネルギー計量システムの一実施例を示す図である。
【図2】時間によって変動するエネルギー価格構造に関する様々な例を示す図である。
【図3】エネルギー使用履歴を記録するレコード構造の例を示す図である。
【図4】エネルギー使用履歴を保存手段に記録し管理する構造を説明するための図である。
【図5】エネルギー使用履歴を保存手段に記録し管理する構造を説明するための図である。
【図6】本発明に係るエネルギー計量方法の一実施例を示す図である。
【図7】本発明に係る電力量計の一実施例を示す図である。
【図8】本発明に係る電力量計の他の実施例を示す図である。
【図9】現在電気価格を画面に表示する例である。
【図10】エネルギー使用履歴を画面に表示する例である。
【図11】順方向電力量と逆方向電力量を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明に係る好適な実施例を詳細に説明する。
【0017】
図1を参照すると、エネルギー供給会社11から供給するエネルギーは、エネルギー供給ライン13を通じて各エネルギー需要家(エネルギーの需要がある家宅、を意味する。)に伝達され、エネルギー需要家10は、エネルギー供給ライン13を通じて供給されるエネルギーを使用する。
本発明においてエネルギーは、特別に言及しない限り、電気、ガスまたは水道のいずれかを指す。
【0018】
本発明に係るエネルギー計量システムは、遠隔サーバー21と各エネルギー需要家に設置されるエネルギー計量器23とを含んでなり、遠隔サーバー21とエネルギー計量器23は、有線/無線の様々な通信網22を介して互い通信し、各種エネルギー関連情報をやり取りすることができる。
遠隔サーバー21は、エネルギー供給会社11から提供するエネルギー供給サービスと関連した役割を果たすサーバーで、本発明と関連して時間によって変動するエネルギー価格情報を通信網22を介してエネルギー計量器23に伝送する。
エネルギー価格構造は、時間帯別料金制(Time of Use Pricing、TOU)、緊急ピーク時間帯料金制(Critical Peak Pricing、CPP)、リアルタイム料金制(Real Time Pricing、RTP)などのように、時間によって変動可能である。
図2の(2a)は、商店街、工場、大型建物などで主に用いる時間帯別料金制(TOU)を示す図で、時間帯別にエネルギーの価格が異なる。図2の(2b)は、緊急ピーク時間帯料金制(CPP)を示す図で、時間帯別にエネルギーの価格が異なり、特に、ピーク区間でエネルギーの価格が非常に高い。図2の(2c)は、リアルタイム料金制(RTP)を示す図で、エネルギーの価格が実時間で変動する。
このようなエネルギー価格構造は、エネルギーの供給と消費状況などを考慮して様々に構成することができる。
【0019】
遠隔サーバー21とエネルギー計量器23とが通信する通信網22の種類は、様々でよい。
通信網22の種類には、例えば、インターネット網、CDMA(Code Division Multiple Access)網、PCS(Personal Communication Service)網、PHS(Personal Handyphone System)網、ワイブロ(Wibro:Wireless Broadband Internet)網、モバイルWiMAX網などがある。
【0020】
エネルギー需要家10には、エネルギー供給ライン13を介して伝達されるエネルギーを消費する様々な負荷16−1〜16−kが存在する。
エネルギー計量器23は、電力量計、ガス計量器または水道計量器でよく、基本的に、各負荷16−1〜16−kで消費するエネルギー量を測定する役割を果たす。エネルギー計量器23は、エネルギーの種類及び要求される機能によって様々に構成されてよい。
エネルギー計量器23は、通信網22を介して遠隔サーバー21が伝送した、時間によるエネルギー価格情報を受信し、この情報を用いて動作する。
【0021】
特に、エネルギー計量器23は、エネルギー需要家10のエネルギー使用履歴を記録し管理する。ここで、エネルギー使用履歴とは、使用者がいつどれくらいのエネルギーをいくらのエネルギー価格で使用したかを知らせる情報のことをいい、各単位時間別情報の形式で記録及び管理される。
ここで、単位時間は、任意に設定できるもので、例えば、1分、2分、3分、4分、5分、6分、10分、12分、15分、20分、30分、1時間、1日などに設定できる。
エネルギー使用履歴として管理できる情報の種類は様々であるが、本発明と関連しては、少なくとも、該当単位時間の時間情報、該当単位時間に適用されるエネルギー価格情報、該当単位時間におけるエネルギー量情報を含む。
【0022】
図3乃至図5を参照して、エネルギー計量器23がエネルギー使用履歴を記録し管理する方法について具体的に説明する。
図3を参照すると、エネルギー使用履歴の各レコード(Record)30は、上述したように、少なくとも、該当単位時間の時間情報を記録するフィールド31、該当単位時間に適用されるエネルギー価格情報を記録するフィールド32、及び該当単位時間におけるエネルギー量情報を記録するフィールド33を含む。
該当単位時間の時間情報とは、その単位時間がいつからいつまでであるかを知らせる情報のことをいう。
該当単位時間に適用されるエネルギー価格情報とは、該当単位時間におけるエネルギー価格がいくらであったかを知らせる情報である。エネルギー計量器23は、遠隔サーバー21から受信した時間によるエネルギー価格情報から、該当単位時間におけるエネルギー価格情報を抽出する。
該当単位時間におけるエネルギー量情報とは、該当単位時間の間に各負荷で使用したエネルギー量のことをいう。
【0023】
エネルギー計量器23は、図4に示す例のように、各単位時間に対応するレコードを保存手段に時間順に記録する。ここでいう保存手段とは、デジタルデータの読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体を指す。
図4は、単位時間を5分とした例で、レコード#1には、該当単位時間にP1のエネルギー価格でQ1だけのエネルギーを使用したという情報が記録されており、レコード#2には、該当単位時間にP2のエネルギー価格でQ2だけのエネルギーを使用したという情報が記録されており、レコード#3には、該当単位時間にP3のエネルギー価格でQ3だけのエネルギーを使用したという情報が記録されている。
該当単位時間の時間情報フィールド31には、各単位時間の始点が‘年/月/日/時/分’で記録されているが、各単位時間の始点と終点の両方を記録してもよい。
このように、1番目のフィールド31に記録される該当単位時間の時間情報は、該当のレコードがいつからいつまでの単位時間に関するものであるかが把握できる任意の情報でよい。
また、3番目のフィールド33に記録される該当単位時間におけるエネルギー量情報は、単位時間当たりのエネルギー量であってもよいが、累積エネルギー量情報であってもよい。累積エネルギー量を記録しても、現在単位時間の値から直前の単位時間の値を減算すると単位時間当たりのエネルギー量が算出されるわけである。
【0024】
図5は、各レコードを環状の構造で維持する例を示す図である。
レコード#1からレコード#nまで全て記録されると、その次の単位時間に対するレコードは、最も古くなったレコードに保存される方式でエネルギー使用履歴を維持する。例えば、各単位時間に対応するエネルギー使用履歴は、レコード#1からレコード#nまで順次に記録され、‘n+1’番目のレコードは再びレコード#1に記録される。
このようにエネルギー使用履歴を管理すると、保存手段の保存容量に制限がなく、常に最新のn個のレコードを維持できるという利点がある。
【0025】
エネルギー計量器23は、保存手段に維持されるエネルギー使用履歴情報を、自身の画面に表示することもでき、使用者が保存手段に保存されているエネルギー使用履歴を照会できるようにするユーザインターフェース(UI:User Interface)を独自に提供することもできる。
また、エネルギー計量器23は、保存手段に記録されているエネルギー使用履歴を、様々な有線/無線の通信方式を用いて他の装置15に伝送するように構成されてもよい。
他の装置15とは、エネルギー計量器23からエネルギー使用履歴を受信して視覚的に表示できる表示装置のことをいう。表示装置の例には、エネルギー需要家10に設けられて、各種のエネルギー関連情報を表示するIHD(In Home Display)装置、使用者の携帯電話などがある。
【0026】
図6は、本発明に係るエネルギー計量方法の一実施例を示す図で、動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量器がエネルギー使用履歴を管理できるようにする。
ここで、エネルギー計量器は、各エネルギー需要家に設置される電力量計、ガス計量器、水道計量器などを指すもので、通信網を介して遠隔サーバーと通信できる機能を備えている。
【0027】
エネルギー計量器は、基本的に、該当のエネルギー需要家で消費するエネルギー量、例えば、累積エネルギー量を測定する。
エネルギー計量器は、通信網を介して遠隔サーバーから時間によるエネルギー価格情報を受信すると(S211−1)、受信した時間によるエネルギー価格情報を保存手段23−1に保存しておく(S211−2)。
一方、エネルギー計量器は、エネルギー需要家で使用するエネルギー量を測定しながら、既に設定された単位時間が経過するか否かを継続して監視する(S213−1)。
段階S213−1で単位時間が経過するか否かを監視する理由は、エネルギー使用履歴を単位時間別に管理するためである。
単位時間は、必要に応じて任意に設定できるもので、例えば、1分、2分、3分、4分、5分、6分、10分、12分、15分、20分、30分、1時間、1日などに設定できる。
【0028】
段階S213−1での監視結果、単位時間が経過すると(S213−2)、エネルギー計量器は、該当単位時間の時間情報、該当単位時間に適用されるエネルギー価格情報、該当単位時間におけるエネルギー量情報を保存手段23−1に記録する(S213−3)。
ここで、該当単位時間の時間情報とは、その単位時間がいつからいつまでであるかを知らせる情報のことをいう。
該当単位時間に適用されるエネルギー価格情報とは、該当単位時間におけるエネルギー価格がいくらであったかを知らせる情報で、段階S211−1及びS211−2を通じて遠隔サーバーから受信された時間によるエネルギー価格情報から抽出できる。
該当単位時間におけるエネルギー量情報とは、該当単位時間の間に各負荷で使用されたエネルギー量のことをいう。
段階S213−3で、エネルギー計量器は、図3乃至図5を参照して説明したとおり、各単位時間に対応するレコードを時間順に記録する。
エネルギー計量器が段階S211−1及びS211−2を通じて遠隔サーバーからエネルギー価格情報を受信して保存するプロセスと、段階S213−1乃至段階S213−3を通じて各単位時間別エネルギー使用履歴を順次に保存して管理するプロセスは、互いに並列的に行われればよい。
すなわち、時間によるエネルギー価格情報は、必要によっていつでも遠隔サーバーにより更新することができる。
【0029】
図7は、本発明に係る電力量計70の第1実施例を示すもので、通信手段71、計量手段72、時間確認手段73、保存手段74、及び処理手段79を含んでなる。
電力需要家の各負荷17−1〜17−kは、電力供給ライン13−1を通じて供給される電気エネルギーを消費し、計量手段72は、電力需要家の各負荷17−1〜17−kで消費する電力量(例:累積電力量)を測定する。
通信手段71は、遠隔サーバー21または使用者端末18から時間による電気価格情報を受信する役割を果たす。
第1通信手段71−1は、通信網22を介して遠隔サーバー21から時間による電気価格情報を受信し、第2通信手段71−2は使用者端末18から時間による電気価格情報を受信する。
第2通信手段71−2は、様々な有線/無線の通信方式を用いて使用者端末18と通信できる。
第1通信手段71−1が遠隔サーバー21と通信する通信網22と、第2通信手段71−2が使用者端末18と通信するネットワークの種類によって第1通信手段71−1と第2通信手段71−2は統合して具現されてもよい。
使用者端末18の種類は様々でよい。例えば、電力需要家に設けられて各種のエネルギー関連情報を表示するIHD装置であってもよく、使用者の携帯電話であってもよい。
また、処理手段79は、第2通信手段71−2を介して使用者端末18に現在電気価格情報やエネルギー使用履歴などの情報を伝送することができ、この場合、使用者端末18は電力量計70から受信した情報を視覚的に表示する。
すなわち、使用者端末18は、様々な有線/無線の通信方式を用いて電力量計70に必要な情報を伝送することもでき、電力量計70から各種エネルギー関連情報を受信して表示することもできる。
【0030】
通信手段71を介して受信する時間による電気価格情報は、図2を参照して説明したとおり、時間帯別料金制(TOU)、緊急ピーク時間帯料金制(CPP)、リアルタイム料金制(RTP)等の各種の料金制による料率(Tariff)情報でよい。

時間確認手段73は、現在時間を測定する役割を果たすもので、RTC(Real Time Clock)などを用いて構成できる。
時間確認手段73が測定する現在時間は、時間測定誤りを修正するために調整されることがある。
この場合、現在時間の調整は、他の装置との通信によってなされるとよい。
例えば、遠隔サーバー21や使用者端末18などが時間調整命令を伝送でき、処理手段79は、受信した時間調整命令に応じて時間確認手段73の現在時間を調整することができる。
また、電力量計70は、現在時間を表示する機能と現在時間を調整できるキーを備えることができる。この場合、使用者が電力量計70で直接現在時間情報を調整することができる。
【0031】
保存手段74は、計量手段72により測定された電力量情報と電力量計の運用情報などを記録する不揮発性のデジタルデータ記憶媒体である。
【0032】
処理手段79は、マイクロプロセッサや中央処理処置(CPU:Central Processing Unit)などを用いて構成でき、電気価格が時間によって動的に変動する電力料金制を処理する。
特に、本発明と関連して処理手段79は、通信手段71を介して時間による電気価格情報を受信し、計量手段72が測定する電力量情報を保存手段74に保存して管理し、受信した時間による電気価格情報から、現在時間に適用される電気価格情報を抽出する。
また、処理手段79は、時間確認手段73が測定する現在時間情報を用いて既に設定された単位時間が経過するか監視し、単位時間ごとにエネルギー使用履歴を保存手段74に保存する。
処理手段79が単位時間ごとに保存手段74に保存するエネルギー使用履歴は、必要によって様々に構成できるものであり、少なくとも、該当単位時間の時間情報、該当単位時間に適用される電気価格情報、該当単位時間における電力量情報を含む。
単位時間は、必要によって任意に設定できるもので、具体的には、例えば、1分、2分、3分、4分、5分、6分、10分、12分、15分、20分、30分、1時間、1日などに設定できる。
ここで、該当単位時間の時間情報は、その単位時間がいつからいつまでであるかを知らせる情報であり、該当単位時間に適用される電気価格情報は、該当単位時間における電気価格がいくらであったかを知らせる情報であり、該当単位時間における電力量情報は、該当単位時間の間に使用された電力量である。
図3に示すように、各単位時間におけるエネルギー使用履歴は、レコード単位で保存でき、各レコードは、該当単位時間の時間情報フィールド、該当単位時間に適用される電気価格情報フィールド、該当単位時間における電力量情報フィールドを含んでなることができる。
このような各単位時間におけるレコードは、図4及び図5に示すように、時間順に記録される。
【0033】
図8は、本発明に係る電力量計70の第2実施例を示す図で、上記の第1実施例の電力量計に入力手段75と表示手段77をさらに含んでなる。
入力手段75と表示手段77の両方が含まれてもよく、いずれか一方のみ含まれてもよい。
表示手段77は、電力量計70の動作と関連した情報を視覚的に表示する役割を果たす。特に、処理手段79は、現在時間に適用される電気価格情報や、エネルギー使用履歴などの、電気価格と関連した各種情報を様々な方法で表示手段77に表示することができる。
その一例として、現在時間に適用される電気価格情報を常時表示したりまたは点滅表示したりすることができる。
また、現在時間に適用される電気価格情報を周期的に表示することができる。例えば、単位時間ごとに現在電気価格情報を表示することができる。さらに、処理手段79は、時間による電気価格情報から、将来の時間において予定された電気価格情報を抽出し、表示手段77を介して表示することもできる。
入力手段75は、使用者がキーボタンやタッチスクリーンなどの様々な入力装置を用いて電力量計70の動作に関する情報や命令を入力できるようにする。
例えば、時間による電気価格情報は、インターネット網などを介して公開できるから、使用者は、入力手段75を介して直接時間による電気価格情報を入力することができる。また、時間確認手段73により測定される現在時間に誤りがある場合、入力手段75を介して現在時間情報を調整することもできる。
【0034】
図9は、表示手段77や使用者端末18が現在電気価格を表示した画面91の例を示すもので、時間による電気価格情報から抽出された現在電気価格が、該当の項目91−1に表示される。
【0035】
図10は、エネルギー使用履歴を表示した画面93の例を示すもので、各単位時間における時間情報、該当単位時間に適用される電気価格情報、単位時間当たりの電力量情報が表示されている。
使用者は、スクロールボタン93−1,93−2を操作して、現在画面に現れていない各エネルギー使用履歴を照会することができる。
【0036】
一方、各単位時間における電力量情報は、図11に示すように、該当の単位時間において負荷17−1〜17−kに供給される順方向電力量情報でよい。
順方向電力量とは、電力需要家で使用した電力量(支払うべき電気料金に対応する電力量)のことをいう。
上記の順方向電力量情報は、有効電力量、無効電力量、皮相電力量、電流量、電圧量などでよい。
ここで、電気価格情報は、順方向電力量情報にそれぞれ対応して、有効電力量単価[ウォンまたは円/kwh]、無効電力量単価[ウォンまたは円/kvarh]、皮相電力量単価[ウォンまたは円/kVAh]、電流量単価[ウォンまたは円/kIh]、電圧量単価[ウォンまたは円/kVh]にすることができる。
また、電気価格情報は、力率単価を含むことができる。
すなわち、力率が悪いと、電気エネルギーの浪費が増加するから、電力需要家の力率によって電気の価格を差別化するとよい。
【0037】
各単位時間における電力量情報は、図11に示すように、該当の単位時間において代替エネルギー源19から電力供給ライン13−1側に供給される逆方向電力量情報を含むことができる。
逆方向電力量とは、電力需要家から電力供給会社に電気エネルギーを販売する電力量のことをいう。
各電力需要家には風力発電設備、太陽力発電設備、バッテリーなどを含む様々な代替エネルギー源19が備えられることがあり、代替エネルギー源19から発生した電気エネルギーを電力供給会社側に逆に販売することができる。
上記の逆方向電力量情報は、有効電力量、無効電力量、皮相電力量、電流量、電圧量などでよい。
ここで、電気価格情報は、上記の逆方向電力量情報にそれぞれ対応して、有効電力量単価[ウォンまたは円/kwh]、無効電力量単価[ウォンまたは円/kvarh]、皮相電力量単価[ウォンまたは円/kVAh]、電流量単価[ウォンまたは円/kIh]、電圧量単価[ウォンまたは円/kVh]とすることができる。
【0038】
電力供給会社が電力需要家に販売する電気の価格と電力需要家から電力供給会社に販売する電気の価格とは異なることがあり、よって、順方向電力量に対する電気価格と逆方向電力量に対する電気価格とが一致するとは限らない。
【0039】
以上説明した実施例は、本発明の理解を助けるためのもので、本発明は、それらの実施例に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々に変形して実施できるということは、当業者にとっては明らかである。
【符号の説明】
【0040】
13 エネルギー供給ライン
13−1 電力供給ライン
15 表示装置
16−1〜16−k、17−1〜17−k 負荷
18 使用者端末
19 代替エネルギー源
21 遠隔サーバー
22 通信網
23 エネルギー計量器
70 電力量計
71 通信手段
71−1 第1通信手段
71−2 第2通信手段
73 時間確認手段
74 保存手段
75 入力手段
77 表示手段
79 処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量システムであって、
エネルギー価格が時間によって動的に変動するエネルギー料金制を管理し、時間によるエネルギー価格情報を通信網を介して伝送する遠隔サーバーと、
前記遠隔サーバーとエネルギー計量器とを連結する通信網と、
自身を経由して流れるエネルギー量を測定し、前記通信網を介して前記時間によるエネルギー価格情報を受信するエネルギー計量器と、
を含み、
前記エネルギー計量器は、前記受信した時間によるエネルギー価格情報から、現在時間に適用されるエネルギー価格情報を抽出し、単位時間ごとに該当単位時間の時間情報、前記抽出されたエネルギー価格情報、該当単位時間におけるエネルギー量情報を含むレコードを、保存手段に時間順に記録することを特徴とする、動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量システム。
【請求項2】
動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量方法であって、
エネルギー計量器が通信網を介して遠隔サーバーから時間によるエネルギー価格情報を受信する段階と、
前記エネルギー計量器がエネルギー量を測定しながら、既に設定された単位時間が経過するか否かを監視する段階と、
前記エネルギー計量器が単位時間ごとに該当単位時間の時間情報、該当単位時間に適用されるエネルギー価格情報、該当単位時間におけるエネルギー量情報を含むレコードを、保存手段に順次に記録する段階と、
を含む、動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量方法。
【請求項3】
前記エネルギー計量器は、電気、ガスまたは水道のいずれか一方の使用量を計量することを特徴とする、請求項2に記載の動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量方法。
【請求項4】
前記単位時間は、1分、2分、3分、4分、5分、6分、10分、12分、15分、20分、30分、1時間、1日のうちのいずれか一つであることを特徴とする、請求項2または3に記載の動的時変エネルギー料金制を支援するエネルギー計量方法。
【請求項5】
動的時変電力料金制を支援する電力量計であって、
遠距離に位置しているサーバーまたは使用者から時間による電気価格情報を受信するための通信手段と、
前記電力量計を経由して流れる電力量を測定する計量手段と、
前記測定された電力量と前記電力量計の運用情報を記録する保存手段と、
現在時間を測定する時間確認手段と、
電気価格が時間によって動的に変動する電力料金制を処理する処理手段と、
を含み、
前記処理手段は、前記通信手段を介して受信された時間による電気価格情報から、現在時間に適用される電気価格情報を抽出し、単位時間ごとに該当単位時間の時間情報、前記抽出された電気価格情報、該当単位時間における電力量情報を含むレコードを、前記保存手段に時間順に順次記録することを特徴とする、動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項6】
電気価格情報を表示する表示手段をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項7】
前記表示手段は、前記現在時間に適用される電気価格情報を常時表示または点滅表示することを特徴とする、請求項6に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項8】
前記表示手段は、前記現在時間に適用される電気価格情報を周期的に表示することを特徴とする、請求項6または7に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項9】
前記処理手段は、将来の時間における予定された電気価格情報を、前記表示手段を介して表示することを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項10】
前記時間確認手段が測定する現在時間は、調整可能であることを特徴とする、請求項5乃至9のいずれか1項に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項11】
前記現在時間の調整は、他の装置との通信によってなされたり、前記電力量計に設けられたユーザインターフェースを介して使用者が直接設定してなされたりすることを特徴とする、請求項10に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項12】
前記単位時間は、1分、2分、3分、4分、5分、6分、10分、12分、15分、20分、30分、1時間、1日のうちのいずれか一つであることを特徴とする、請求項5乃至11のいずれか1項に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項13】
前記単位時間における電力量情報は、該当単位時間において負荷に供給される順方向電力量情報を含むことを特徴とする、請求項5乃至12のいずれか1項に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項14】
前記順方向電力量情報は、有効電力量、無効電力量、皮相電力量、電流量、電圧量のうちの一つ以上を含むことを特徴とする、請求項13に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項15】
前記時間による電気価格情報は、前記順方向電力量に対する有効電力量単価、無効電力量単価、皮相電力量単価、電流量単価、電圧量単価のうちの一つ以上を含むことを特徴とする、請求項14に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項16】
前記単位時間における電力量情報は、該当単位時間において代替エネルギー源から電力供給ライン側に供給される逆方向電力量情報を含むことを特徴とする、請求項5乃至15のいずれか1項に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項17】
前記時間による電気価格情報は、力率単価を含むことを特徴とする、請求項5乃至16のいずれか1項に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項18】
前記時間による電気価格情報は、時間帯別料金制(TOU:Time Of Use Pricing)、緊急ピーク時間帯料金制(CPP:Critical Peak Pricing)、またはリアルタイム料金制(RTP:Real Time Pricing)による料率情報を含むことを特徴とする、請求項5乃至17のいずれか1項に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項19】
他の装置に電気価格情報を伝送する機能をさらに含むことを特徴とする、請求項5乃至18のいずれか1項に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。
【請求項20】
前記他の装置は、IHD(In Home Display)装置を含むことを特徴とする、請求項19に記載の動的時変電力料金制を支援する電力量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−69105(P2012−69105A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191378(P2011−191378)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】