説明

動的混合メディア・パッケージ

動的修正/更新のための機構をもつ動的混合メディア・パッケージが、個別のメディア・ファイルによってもたらされる経験を凌駕するメディア経験をユーザーに提供することが発見された。動的混合メディア・パッケージはさまざまな型のメディアを収容し、追加的なメディアおよび既存のメディアの修正を許容する。追加的なメディアは、シード・メディアから派生されたメディアのような、消費者によって生成されたメディアを含む。シード・メディアはマーク付けされ、補足的メディアと一緒にパッケージ中にまとめられる。シード・メディアがマーク付けされるのは、パッケージの寿命の間のシード・メディアの識別およびシード・メディアが消費者生成派生メディアに組み込まれたときの帰属といったさまざまな動作の実行を許容するためである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〈優先権の主張〉
本PCT出願は2007年5月2日に出願された「Dynamic Mixed Media Package」と題する米国特許出願第11/799,865号の出願日の利益を主張するものである。この優先権はここに米国特許法第120条または365(c)のもとに主張され、前記文書の全内容はここに参照によって組み込まれる。
【0002】
〈技術分野〉
本願は概括的にはメディア・パッケージの技術分野に、より詳細には動的混合メディア・パッケージ(dynamic mixed media package)の送達および管理に関する。
【背景技術】
【0003】
娯楽産業は、デジタル頒布チャネルを通じて送達される自らの原資産に対して完全な制御を行使しない。これらの原資産の従来式の送達(delivery)にはいくつかの限界があり、そのことはおそらく音楽コンテンツの従来式の頒布(distribution)に関して最も明白となる。まず、インターネットまたは他のデジタル頒布チャネル(たとえば、デジタル・ラジオ放送、コンパクト・ディスク、ケーブルを通じたオーディオまたはビデオ・オン・デマンド・サービス、地上波放送または衛星経由、携帯電話ネットワークなど)を通じた従来式のデジタル音楽送達は、個別物の送達または複数の個別トラックの送達に制限される。この制限は、消費者を単一トラック再生に制約する。第二に、個々のオーディオ・トラックは他の関係した資産とは別個である。第三に、オーディオ・トラックのフォーマットはしばしば独自規格であり(すなわち非標準)、一つのフォーマットまたは解像度しかない。これらの限界は、原資産に対する制御や、音楽産業の構成員が自らの原資産に関して創造する能力を妨げる。音楽コンテンツの文脈で記述されるが、同じ問題は他のデジタル・コンテンツ空間(たとえば、電子書籍(eBooks)、ビデオ、ゲーム、画像データなど)にもつきまとう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来式の送達モデルは、娯楽産業の所有者およびクリエイターが革新する能力を制約する。従来式の送達モデルは中間エンティティ(すなわち、コンテンツ・アグリゲータおよび頒布者、ダウンロード店舗およびネットワーク事業者、コンテンツ送達および再生ソフトウェア/装置製造業者など)に強く依存している。コンテンツを送達する中間エンティティは、コンテンツの所有者およびクリエイターをその顧客から分離する。この分離は所有者およびクリエイターが助けになる統計データを収集し、末端顧客とより密接に対話する能力に干渉する。その代わり、頒布者およびソフトウェア/ハードウェア・プロバイダー(たとえば、アップル社のiTune(登録商標)音楽サービス、リアル・ネットワーク社のRhapsody(登録商標)音楽サービスなど)がインターネット、デジタル・メディア・ファイルおよびメディア・ストリームを介してコンテンツを消費する消費者の経験を実質的に制御する。これらの中間エンティティが頒布に対する制御および消費者との対話を有することを許容することは、娯楽産業の構成員による製品差別化における進歩を妨げる。最後に、中間エンティティは、消費者に最も近いので、消費行動および消費者の経験に影響する最善の能力をもつ。
【課題を解決するための手段】
【0005】
動的混合メディア・パッケージを用いて、ネットワークにてこ入れするメディア送達および管理モデルを制定するとともに、革新的な経験が提供されることができる。シード・メディア(たとえば特定の歌の録音物)に関係する混合メディア(たとえば、ビデオ、追加的オーディオ、インタビュー、歌詞、画像アートワークなど)をレンダリングするパッケージを用いて、包括的かつ総合的なメディア経験が消費者に対して呈示されることができる。それは、個々の作品または作品のコレクションでありうる。シード・メディアは、混合メディア・パッケージとして補足的メディアと関連付けられることができる(たとえば、ファイルはシード・メディアおよび補足的メディアへのポインタを有していてもよい、ファイルは実際にシード・メディアおよび補足的メディアを含んでいてもよい、など)。シード・メディアの管理および追跡〔トラッキング〕を許容する識別情報が生成され、シード・メディアと関連付けられる。識別情報はシード・メディアに埋め込まれてもよいし(たとえば透かし)、シード・メディアから導出されてもよい(たとえば生成されるハッシュ値、生成されるフィンガープリント・データなど)。識別情報はまた、生成され、補足的メディアと関連付けられてもよい。さらに、パッケージ問い合わせチェックポイントへの参照がパッケージ中に埋め込まれる。オンライン・ネットワーク・サーバーのIPアドレスのようなパッケージ問い合わせチェックポイント(または複数のパッケージ問い合わせチェックポイント)にアクセスすることが、当該動的混合メディア・パッケージに関し動的修正/更新が指示される(indicated)ことを許容する。
【0006】
動的混合メディア・パッケージを用いて、ユーザーは個々のメディア・ファイルではなく、経験またはサービスのレベルを購入する。さらに、動的混合メディア・パッケージは個々のメディア・ファイルを超えた価値をもつ製品およびサービスであり、新しくリリースされた、更新されたまたは変更された関係する豊富なメディア・コンテンツの追加を通じて当該動的混合メディア・パッケージの寿命の間、拡張できる。そのような拡張の例は、これに限られないが、追加的ビデオ・クリップ、音楽トラック、ストリーミング・オーディオまたはビデオ、ライブ・コンサート・ビデオ、音楽ニュース、編者レビュー、歌の歌詞、トラックの代替バージョン、画像またはビデオ、カラオケ・バージョンおよび歌詞同期データ、写真または画像アート・データ、着メロ、コンテンツを範疇分けしてナビゲートするために使用可能なデータ(たとえば、ジャンル、テンポ、ムード、発表年、制作国など)およびユーザー生成されたコンテンツ(たとえば、ユーザーが制作した音楽ビデオ、ユーザー・コメント、ユーザーが再編集したビデオまたはビデオのための改変されたサウンドトラック、オーディオ・トラックのユーザーによるリミックス、など)を含む。追加的な動的メディアの送達は、消費者参加型コンテストなどによる商業または広告に結びついたプロモーション・ベースでなされることができる。メディア資産(すなわち、シード・メディアおよび/または補足的メディア)はまた、特定の再生装置に適合するためなどさまざまな理由により、サイズの品質、サポートされるソフトウェア・コーデックおよびビットレート、レンダリング制限(たとえばオーディオのみ、オーディオおよび画像、オーディオおよびビデオ)などにおいてアップグレードまたはダウングレードされてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態が、限定ではなく例として、付属の図面の図において例解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】メディアを動的混合メディア・パッケージにまとめる例示的なシステムを描いた図である。
【図2】パッケージ修正をメディア消費者に伝搬させる例示的なシステムを描いた図である。
【図3】動的混合メディア・パッケージの一般的な構造の例を描いた図である。
【図4】動的混合メディア・パッケージを制作するための例示的な動作のフローチャートである。
【図5】問い合わせイベントに応答して、パッケージ修正があるかどうかエンティティに問い合わせする例示的な動作のフローチャートである。
【図6】提出物を扱うための例示的な動作のフローチャートである。
【図7】派生メディアを検索するための例示的な動作のフローチャートである。
【図8】動的混合メディア・パッケージに対するパッケージ問い合わせを扱うための例示的な動作のフローチャートである。
【図9】パッケージ修正をメンテナンスする例示的システムを描いた図である。
【図10】メディア問い合わせモジュールの例示的な実装を描いた図である。
【図11】動的混合メディア・パッケージ・プレーヤーのための例示的なインターフェースを描いた図である。
【図12】本稿で論じられる機能のいずれかを機械に実行させるための一組の命令が実行されうる、処理システム1200の例示的な形の機械の図的な表現である。
【図13】図6のブロック607または図7のブロック709において実行されうる、複合セットのルールの、メディアへの例示的な適用についてのフローチャートである。
【図14】派生メディアからの例示的な収入ストリームを描いた図である。
【図15】マルチメディア・コンテンツ記述インターフェース(「MPEG7規格」)に基づく動的混合メディア・パッケージの例示的なフォーマットを描いた図である。
【図16】例示的な動的混合メディア・パッケージからのメディアの例示的な呈示を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記述は、本発明を具現する例示的なシステム、方法、技術、命令シーケンスおよび計算機械プログラム・プロダクトを含む。本発明の手段のさまざまな実施形態の理解を与えるために、以下では説明の目的で数多くの個別的詳細が記述される。しかしながら、当業者には、本発明の主題の実施形態がこうした個別的詳細なしでも実施されうることは明白であろう。たとえば、以下では単一の機械上で実行される文脈で例が述べられているが、シード・メディアを追跡し、パッケージ修正を収集することに複数の機械が関わっていてもよい。さらに、メディア(media)という用語が、全体を通じて頻繁に、オーディオおよびビデオのコンテキスト内で使われるが、メディアという用語はこれらのメディアの具体的な例に限定されるべきではなく、写真画像、アート画像、文献、ストリーミング・メディアなどといった他の多くの型のメディアを含む。一般に、よく知られた命令インスタンス、プロトコル、構造および技術は詳細に示しはしなかった。
【0010】
本明細書の目的のためには、「処理システム」は、「プログラム」を走らせる機能をもつ、一つまたは複数のプロセッサを使うシステム、マイクロコントローラおよび/またはデジタル信号プロセッサを含む。プログラムは、一組の実行可能な機械コードである。処理システムは、(これに限られないが)携帯電話、音楽プレーヤー、携帯情報端末(PDA)、自動車娯楽システムおよび家庭での使用のために設計された消費者電子製品といった通信および電子装置を含む。処理システムはまた、あらゆる形(デスクトップ、ラップトップ、パームトップなど)のコンピュータまたは「コンピューティング装置」を含む。ここでの用法では、「プログラム」はユーザー・レベルのアプリケーションおよびシステム指令(system-directed)アプリケーションまたはデーモン(daemon)を含む。
【0011】
図1は、メディアを動的混合メディア・パッケージ中にまとめる例示的なシステムを描いている。メディア所有者またはクリエイター(たとえば作者、レコーディング会社、制作会社など)がシード・メディア(たとえばビデオ、オーディオ、画像など)を生成し、シード・メディアをメディア・パッケージャ(media packager)104に送信する。メディア・パッケージャ104は、メディア・サービス・プロバイダ(media service provider)107およびメディア・パブリッシャ(media publisher)111からそれぞれ補足的メディア109および113をも受信する。補足的メディアはプレビュー、歌詞、予告編、レビュー、アートワークなどでありうる。たとえば、メディア・サービス・プロバイダ107は広告を提供してもよく、メディア・パブリッシャはアートワークを提供してもよい。
【0012】
メディア・パッケージャ104は、シード・メディアの管理のためのデータを生成する。たとえば、メディア・パッケージャ104は、シード・メディアを用いて透かし、フィンガープリント(たとえば、オーディオ・フィンガープリント、ビデオ・フィンガープリント、画像フィンガープリント、タンデム・フィンガープリントなど)および/またはハッシュ(たとえばMD5ハッシュ関数、SHAハッシュ関数などを使って)を生成する。メディア・パッケージャまたは別のエンティティは、のちに、生成された管理データを使って、シード・メディアの使用を追跡する、派生作品におけるシード・メディアを識別するなどといった、前記データに関するさまざまな管理動作を実行できる。もちろん、メディア・パッケージャが管理データを生成することは必須ではない。たとえば、メディア所有者/クリエイターは、前記データを生成し、そのデータおよび/またはそのデータの位置をメディア・パッケージャ104に通信してもよい。メディア・パッケージャ104はまた、補足メディア109および113に関して管理データを生成してもよい。
【0013】
メディア・パッケージャ104はシード・メディア103および補足的メディア109および113を混合メディア・パッケージ115中に集める。メディア・パッケージャ104は、混合メディア・パッケージ115中、おそらくはヘッダ中に、メディアに組み込まれなかった管理データおよびパッケージ問い合わせチェックポイントとしてのメディア・パッケージャ104への参照を書き込む。メディア・パッケージャ104はまた、メディアを呈示するための構造的情報および指令を、パッケージ・ヘッダおよび/またはセクション・ヘッダ中に書き込む。混合メディア・パッケージ115のインスタンスが次いでネットワーク102(たとえばLAN、WAN、インターネット、携帯電話網など)を介してまたは非ネットワーク接続装置のための匹敵する頒布プロセスを通じて、メディア消費者117a〜117cに直接的または間接的に送達される。たとえば、メディア消費者117a〜117cは、メディア・パッケージャ104からメンバーシップを購入したのでもよいし、メディア・パッケージャ104からパッケージ115のインスタンスを購入したのでもよいし、メディア・パッケージャ104からパッケージ115のインスタンスを受信してパッケージ115の該インスタンスをメディア消費者に転送する別のエンティティからパッケージのインスタンスを購入したなどでもよい。
【0014】
メディア消費者117a〜117cは次いで前記インスタンス(またはそのインスタンスのコピー)を別の装置に送信または転送できる。図1では、メディア消費者117cは受信したインスタンスを携帯型オーディオ・メディア・プレーヤー123、携帯電話125および自動車娯楽装置127に送信する。これらの装置へのインスタンスの転送は、追加的な動作を含みうる。たとえば、メディア消費者117cは、限られた資源をもつ装置上での再生のために混合メディア・パッケージ・インスタンス中のある種のメディアのより低い品質のバージョン(たとえば、よりコンパクト、より小さなディスプレイ・サイズなど)を取得することを要求されてもよい。
【0015】
図2は、メディア消費者にパッケージ修正を伝搬させる例示的なシステムを描いている。メディア・クリエイター/所有者101は、混合メディア・パッケージ115を支配する規則をメディア・パッケージャ104に送達する。メディア・パッケージャはメディア・サービス・プロバイダから、オーディオであるシード・メディアのためのカラオケ式の歌詞のようなメディア提出物201を受信する。メディア・パッケージャ104はまた、メディア消費者117a〜117cから、消費者が生成した提出物をも受信する。メディア消費者117aはアートワーク207を提出する。メディア消費者117bは格付け〔レーティング〕情報を提出する。メディア消費者117cは、消費者生成派生メディア205を提出する。消費者117cは、自分の消費者生成派生メディアの一部のみを共有することを選んでもよい。たとえば、消費者117cは歌をリミックスして、コンサートにおける友人とアーチストとのデジタル写真を撮ったのでもよい。消費者117cは写真はプライベートにしておき、リミックスした歌を消費者生成メディア205として提出することを選んでもよい。
【0016】
消費者117cはまた、置換またはオーバーレイ・ビデオまたはオーディオの形で派生メディア205を生成してもよい。一例として、消費者117cは映画の特定のシーンを再演してもよい。その例では、その再演に取り付けられたメタデータが、そのシーンを実際の映画と揃わせるために使用されうる時間的情報を含んでいてもよい。それにより、別の消費者117a〜bがその再演されたシーン(派生メディア)をはめ込んでその映画(シード・メディア)を見ることを選びうる。同様に、消費者117cは、ビデオ(またはオーディオ)と一緒に見られうるオーバーレイを制作してもよい。これも時間的メタデータをも含みうる。オーバーレイ・ベースのメディアの例は、ビデオの閲覧領域に追加される画像またはビデオ、変更されたサウンドトラックまたは声データ、変更されたチャネル情報または他の変化を含みうる。変更されたチャネル情報は、ビデオまたはオーディオ・メディアのさまざまなチャネルを変える、チャネルに追加するまたはチャネルをオフにすることを含みうる。たとえば、サラウンド・サウンド・ビデオに関し、前および/または後チャネルが相対的なボリューム・レベルについて変更されてもよいし、オーディオが追加または削除されるなどしてもよい。
【0017】
メディア・パッケージャ104は提出物を処理し、メディア・クリエイター/所有者101からの規則に従って提出物を承認または拒否する。メディア・パッケージャ104はその承認または拒否を反映するよう、パッケージ追跡構造203をしかるべく更新する。コンテンツはまた、シード・メディアの作者、所有者/クリエイター101(作者と所有者/クリエイターが同じでないとして)および他のサービス・プロバイダーから供給されることもできる。さらに、パッケージ修正の型は、混合メディア・パッケージのコンテンツへの向上、構造情報への修正、呈示指令への修正などを含むことができる。
【0018】
メディア消費者117bによって提出される格付け情報および関連する格付けプロセスはいくつかの形を取りうる。メディア消費者117bはアートワーク207、消費者生成メディア205または他の提供されるメディア(これはたとえばシード・メディアまたは他の補足的メディアを含みうる)を見て格付けしてもよい。メディア消費者117bによって提供される格付け提出物は、スケール・ベースの格付け(たとえば星1〜5個)、単純な賛意/不賛意、はい/いいえの格付け、言葉でのレビューまたは他の格付けであってもよい。いくつかの例示的な実施形態によれば、メディア消費者117bは、リモコンを使って格付け情報を提出してもよい。他の例示的な実施形態によれば、格付け情報はキーボードおよび/または他のコンピュータ・インターフェース装置を使って提出されてもよい。いくつかの例示的な実施形態によれば、格付け情報はメディア消費者117bが能動的に格付け情報を提出することなく提供されてもよい。一例として、メディア消費者117bがビデオを見て、視聴の量または割合のある閾値前にやめた場合、負の格付けが自動的に提出されてもよい。メディア消費者117bがそのビデオを完全に(あるいはある閾値を超えて)視聴した場合、正の格付けが提出されてもよい。この例はもちろん、メディア消費者117bによって視聴または経験されるいかなる型のメディアにも適用されうる。コンテンツ型/成熟(maturity)レベル・レーティングのような他の格付け情報がメディア消費者117bによって提供されてもよい。たとえば、成熟レベル・レーティング情報なしで送達されるコンテンツは、提案される成熟レーティング情報を使ってメディア消費者によって格付けされてもよい。
【0019】
格付け情報は、さらに、メディア消費者117bが当該メディアを視聴または経験することなく提供されてもよい。いくつかの状況では、メディア消費者117bは単にメディア・コンテンツに関する説明を読んで、その説明を読んだ後でそのメディア消費者は格付け情報を提供してもよい。
【0020】
いくつかの例示的な実施形態によれば、メディア消費者117bによって提供される格付けは、メディア消費者117bについてのプロファイルを決定することにおいて使用されてもよい。プロファイルは、メディア消費者117bに追加的なメディア・コンテンツを選択的に送達することにおいて使用されてもよい。一例として、ある消費者が一貫してコミカルなまたはパロディーのビデオを低く格付けするなら、プロファイルは同様のビデオに対する嫌悪を反映しうる。メディア消費者117bのプロファイル作成において他の要因が使用されてもよい。これについてはのちに論じる。
【0021】
動的混合メディア・パッケージは製品柔軟性、新しい収入源、製品差別化の機会およびより大きな消費者関与を許容する。動的混合メディア・パッケージは、そのパッケージの寿命を通じて動的に修正されることができ、こうしてパッケージを修正するとともにそのパッケージとともに提供される製品/サービスを拡張する機能を提供する。レコード・レーベル、映画スタジオまたは制作会社のようなエンティティからのコンテンツを追加することに加えて、消費者は一つまたは複数のシード・メディアから派生メディアを生成することができる。派生メディアは動的混合メディア・パッケージ中に組み込まれることができる。消費者はフィードバック(たとえば上述したような論評、格付けなど)および派生メディアではない補足的メディア(たとえばシード・ビデオまたはシード・オーディオのためのアートワーク)を寄稿することもできる。
【0022】
動的混合メディア・パッケージはまた、メディアの所有者/クリエイターに、消費者フィードバックを収集し、製品またはサービスの魅力を増すために消費者フィードバックにすばやく反応することを許容する。メディア所有者/クリエイターは、フィードバックに基づいてパッケージの内容を調整する、サービスを修正するなどできる。メディア所有者/クリエイターはまた、最も人気のあるメディアを生成する消費者を特定することもできる。
【0023】
動的混合メディア・パッケージにおける拡張および/または変化についての柔軟性および機能はまた、新しいビジネス・モデルおよび収入源をも提供する。ビジネス・モデルは、統計収集、パッケージ修正の追跡および記憶などといった動的混合メディア・パッケージのためのさまざまな管理サービスを提供することを生みうる。動的混合メディア・パッケージは消費者を引きつけ、オンラインでメディアを購入することに関して消費者行動を変え、新たな収入源を作り出すまたは収入を増加させるであろう。消費者は、この動的混合メディア・パッケージを、それが提供する、シード・メディアだけでは達成できない向上した経験のために購入するよう動機付けられるであろう。消費者も、自分が投稿したメディアが人気が出たとき、評判の面でまた金銭面で利益を得ることができる。たとえば、シード・メディアに関連する消費者生成メディアが広告に関連付けられてもよく、広告が当該消費者および/またはシード・メディアの所有者にとって広告収入を生成する。実際、消費者が、動的混合メディア・パッケージ中のシード・メディアに関連付けられることになる広告を生成してもよい。
【0024】
図14は、派生メディアからの例示的な収入の流れを描いている。メディア所有者/クリエイター1401は、混合メディア・パッケージ1409を生成するための動作を実行する。メディア所有者/クリエイター1401はシード・メディア1405についてのフィンガープリント・データを生成する。メディア所有者/クリエイター1401はまた、補足的メディア1407についての一つまたは複数のフィンガープリントをも生成する。メディア所有者/クリエイター1401は、フィンガープリントおよびハッシュ・データベース1403内にフィンガープリント(単数または複数)を記憶する。フィンガープリントおよびハッシュ・データベース1403はメディア所有者/クリエイター1401によって制御されてもされなくてもよい。メディア所有者/クリエイター1401は、動的混合メディア・パッケージ1409をシード・メディア1405および補足的メディア1407を用いて作成する。メディア所有者/クリエイター1401は次いで、シード・メディア1405のインスタンスに、そのインスタンスのメディア消費者1411および1413への送達に先立って、透かしでマーク付けする。メディア消費者1411に送達されるインスタンスは該インスタンス内にシード・メディア1405の透かしを含む。透かしはそのインスタンスに、メディア消費者1411の指示(indication)(たとえば、消費者アカウント番号、ユーザー名など)で刻印する。同様に、メディア消費者1413に送達されたインスタンスは、そのシード・メディア・インスタンスにメディア消費者1413の指示で刻印する透かしを含む。メディア所有者/クリエイター1401はまた、送達に先立って各インスタンスにハッシュ関数を適用してもよい。メディア所有者/クリエイター1401は次いで、生成されたハッシュ値をフィンガープリントおよびハッシュ・データベース1403に記憶する。もちろん、これらの動作は必ずしもすべてメディア所有者/クリエイター1401によって実行される必要はない。たとえば、メディア所有者/クリエイター1401はフィンガープリント(単数または複数)を生成するのみで、透かしを埋め込んでハッシュ値を生成するのはメディア・パッケージャに任せてもよい。
【0025】
複数の透かしがシード・メディアに適用されてもよい。メディア所有者/クリエイターおよびメディア・パッケージャ(ならびにシード・メディアの頒布経路中の他の任意のエンティティ)が一つまたは複数の異なる透かしを埋め込んでもよい。縦続〔タンデム〕透かし入れを許容する透かし入れ技法がある(たとえば、複数の透かしを順次上に重ねて埋め込む)。そのような縦続透かし入れ技法は、コンテンツ頒布チェーン内の複数の段階における透かし入れを許容する。たとえば、三つの異なる透かしがシード・メディアに適用されることができる。たとえば、一般的なコンテンツ識別子(たとえば特定のレコーディングのためのISRCコード)を含む第一の透かしがシード・メディアに埋め込まれることができる。次いで、頒布者のIDを含む第二の透かしがシード・メディアに埋め込まれることができる。最後に、顧客のIDを含む第三の透かしがシード・メディアに埋め込まれることができる。
【0026】
縦続透かし入れ技法の展開は、ビットストリーム透かし入れアルゴリズムを用いてもよい。これらのビットストリーム透かし入れアルゴリズムを用いて、透かしはエンコードされた/圧縮されたオーディオまたはビデオ信号ストリームに挿入され、こうしてデコードおよび再エンコードを回避する。デコードおよび再エンコードの回避は、信号が圧縮されない形で利用可能なとき(たとえば制作段階)にはそれほど関心はないかもしれないが、信号が圧縮されない形ですぐ利用可能でないとき(たとえば頒布段階)にはより関心あるものとなる。
【0027】
メディア消費者1411および1413は、混合メディア・パッケージ1409内のシード・メディア1405に基づく消費者生成メディア1415を生成する。メディア消費者1411はまず、混合メディア・パッケージ1409のシード・メディアを用いて派生メディアを生成する。たとえば、メディア消費者1411は、シード・メディア1405を用い、また必ずではないが潜在的には他のオーディオ(たとえば消費者作成オーディオ、シード・メディアと同じアーチストからのオーディオ、別のアーチストからのオーディオなど)を用いてオーディオ・リミックスを作成する。派生メディアはメディア消費者1413に提供される。メディア消費者1413は、そのリミックス派生メディアに伴うビデオを作成してメディア1415を生成する。たとえば、メディア消費者1413はさまざまなアニメーション・ビデオからビデオを作成する。メディア消費者1411および1413は完全に独立に行動してもよいし、協働パートナーとして行動してもよいし、クリエイティブ・コミュニティ(たとえば、オンライン・ビデオ共有コミュニティ、オンライン・ソーシャル・ネットワーク・コミュニティ、オンライン・デジタル画像共有コミュニティなど)の一部として行動するなどしてもよい。消費者生成メディア1415は、コンテンツ識別子システム1417に送信される。コンテンツ識別子システム1417は、完全にまたは部分的に消費者のコンピュータ上にローカルに、あるいは一つまたは複数のサーバー上にリモートに存在していることができる。
【0028】
コンテンツ識別子システム1417はメディア1415を処理して寄与割合を決定する。コンテンツ識別子システム1417はフィンガープリントおよびハッシュ・データベース1403にアクセスして、消費者生成メディア1415の内容を識別する。コンテンツ識別子システム1417は次いで種々の作者またはメディア所有者/クリエイターからの相対寄与割合を計算する。消費者生成メディア1415は次いで自動的に、宛先選択のために範疇分けされ、計算された寄与割合に基づいてタグ付けされる。
【0029】
別の実施形態では、作者帰属(author attribution)が、以前にメディアに埋め込まれた電子透かしのような識別子に基づいて決定される。図14に示された例を使うと、コンテンツ識別子システム1417はメディア1415を検査して、透かし入れのような技法を使って、消費者作者かシード・メディア作者かを問わず諸作者による相対寄与を計算する。作者帰属計算はコンテンツ識別子システム1417によって実行されるが、そのような機能性のために別個のシステムは必要ではない。コンテンツ識別機能は、消費者(たとえば、メディアを混合するために消費者によって使用されるアプリケーションのバックグラウンドまたはフォアグラウンドで機能し、おそらくは消費者によってもともと生成された(originally created)メディアを識別するために透かしを生成するモジュールまたはプロセス)または別のサードパーティー(たとえば、メディア共有サーバー1419中)に近いプログラムを用いて実装されてもよい。
【0030】
メディア1415は次いでメディア共有サーバー1419に提供される。この結果、収入の流れが生じる。メディア消費者1421が消費者生成メディア1415にアクセスする。消費者1421によるメディア1415へのアクセスは、収入生成イベントと考えられる。たとえば、広告主は、メディア1415を呈示するウェブページ上での広告のために広告費を支払う。メディア1415が人気を増すにつれて、露出が大きいほど広告リンクのクリックが増えるとすると、より大きな広告費が生成される。別の例では、消費者は、メディア共有サーバー1419を含むネットワークによってホストされるメディアにアクセスするために料金を支払う。これらの料金の一部は、そのネットワークから呈示されるメディアの所有者/クリエイターにロイヤリティとして支払われる。広告および/または使用料金1423はメディア所有者/クリエイター1401に支払われる。メディア所有者/クリエイター1401は次いで、メディア消費者1411および1413からの寄与の割合に基づいて、ロイヤリティをメディア消費者1411および1413に支払ってもよい。消費者へのそのような支払いは、創造力を刺激し、消費者関与を高めうる。メディア1415が別のメディア所有者/クリエイターからのシード・メディアを含む場合、メディア共有サーバーの所有者は、料金の支払いを、決定された寄与割合に従って配分しうる。さらに、未知の作者によって寄与されたメディアについて、基金が寄託として保持されてもよい。寄託として保持されるこれらの基金は、作者がみつかるまで無期限に保持されてもよいし、限られた期間保持されてその後アーチスト・コミュニティに寄付されるなどしてもよい。
【0031】
あるエンティティが会計の責を担い、メディア共有サイトから受け取られるあらゆる料金の精算所として行動し、メディア所有者/クリエイターに寄与割合に従ってロイヤリティを分配してもよい。たとえば、図1のメディア・パッケージャ104は、自分のシード・メディアをメディア・パッケージャ104に送る複数のメディア所有者/クリエイターに、動的混合メディア・パッケージ中にまとめること(assembly)に対して、料金を課してもよい。メディア・パッケージャ104はメディア消費者に、動的混合メディア・パッケージ・サービスにおけるメンバーシップに対して、料金を課してもよい。サービスが、パッケージ修正を維持しそれらの修正をメンバーに伝搬させてもよいし、メディア(たとえば補足的メディア、派生メディアなど)を生成する独立したアーチストのコミュニティを維持しメディア所有者/クリエイター(たとえばプロデューサー、出版会社、他のアーチストなど)に露出を提供してもよい。メディア・パッケージャ104は、メディア消費者によって購入される各パッケージのある割合を取ってもよい。メディア・パッケージャへの収入は、定額ベースであっても、可変ベースであっても、定額料金と可変料金のハイブリッドであってもよい。料金の変動は、消費者からの提出物の数、シード・メディアに関係するメディア消費者コミュニティの活動度などに結び付けられてもよい。
【0032】
動的混合メディア・パッケージをどのエンティティが維持するにせよ、上で論じた管理および修正動作を受け入れるために、パッケージは柔軟であるよう作成される。図3は、動的混合メディア・パッケージの一般的な構造の例を描いている。動的混合メディア・パッケージ301はいくつかのセクションを含む。パッケージ・ヘッダと称されうる第一のセクションは、パッケージ情報セクション303である。パッケージ情報セクション303はパッケージ内容および構造情報ならびにパッケージ問い合わせチェックポイント(たとえば、一様リソース位置指定子[uniform resource locator]、インターネット・プロトコル・アドレスなど)への参照を含む。パッケージ問い合わせチェックポイントは、パッケージ修正について問い合わせを開始するチェックポイント位置である。パッケージ情報セクション303はまた、パッケージ修正を提供する承認されたサービス・プロバイダーへの一つまたは複数の参照をも含みうる。パッケージ情報セクション303はまた、アクセスおよび認証情報および/またはコード、混合メディア・パッケージ301の種々のセクションからのコンテンツの呈示を支配する指令、サービス・レベル情報、パッケージ・レベル情報、メンバーシップ情報などを含みうる。
【0033】
混合メディア・パッケージは、一つまたは複数のインスタンス(特定のシード・メディアに関係する異なるメディアを含む)として実装されることができる。混合メディア・パッケージはまた、仮想パッケージとして実装されてもよい。たとえば、さまざまなメディアの間のリンクは一つの識別子からなっているのでもよい。この識別子は絶対的であることができる(たとえば、複数のエンティティにまたがって共有され、結び付け要素(binding element)として作用する一意的な数または数の組、フィンガープリントもしくはテキスト・ストリングまたはそれらの組み合わせ)。識別子はまた再帰的であることもできる。たとえば、あるメディア・パッケージが第二のパッケージをポイントするインデックスを含み、その第二のパッケージが今度は第三のメディア・パッケージを参照する異なるインデックスを含むなどである。
【0034】
混合メディア・パッケージ301はまた、明瞭(clear)メディア・セグメント情報セクション305および明瞭メディア・セグメント307をも含む。混合メディア・パッケージは必ずしも明瞭メディアのためのセクションを含む必要はなく、明瞭メディア・セクションはプロモーション・コンテンツ(見本、予告編、プレビュー、レビューなど)、収入生成コンテンツ(たとえば広告)などを収容することができる。明瞭メディア・セグメント・セクション305は、明瞭メディア・セグメント307の内容および構造についての情報ならびにおそらくは呈示指令を含む。たとえば、明瞭メディア・セグメント307はさまざまな型のコンテンツを含みうる。明瞭メディア・セグメント情報セクション305内の呈示指令は、広告の呈示を、混合メディア・パッケージの五回のアクセス毎に制約し、プロモーション素材をローテーションさせ、新しいホスト装置に遭遇するたびにコンテンツを呈示するなどしてもよい。明瞭メディア・セグメント307は、すでに述べたようなプロモーション・コンテンツのような保護〔プロテクト〕されていないおよび/または制約されていないメディアを含む。保護および/または制約されていないが、明瞭メディア・セグメント307内のコンテンツは、統計収集のような管理目的のためにマーク付け(たとえば透かしを用いたマーク付け)またはフィンガープリント付けされてもよい。
【0035】
動的混合メディア・パッケージ301は、シード・メディア・セグメント情報セクション309およびシード・メディア・セグメント311を含む。シード・メディア・セグメント311のコンテンツは保護および/または制約される。シード・メディア・セグメント情報セクション309では保護機構(たとえばデジタル権利管理(digital rights management)機構)が完全にまたは部分的に実装されてもよい。シード・メディア・セグメント情報セクション309はまた、シード・メディア・セグメント311についての内容および構造情報をも含む。シード・メディア・セグメント311はシード・メディア、補足的メディア、シード・メディアに関係した参照(たとえば、シード・メディアのレビューへのリンク、作者のウェブサイトへのリンク、作者のウェブサイトからページをロードするコード、動的混合メディア・パッケージとは異なるリモートまたはローカル位置にあるコンテンツへのポインタなど)を含む。たとえば、シード・メディア・セグメント311は、異なるフォルダ内、リモート・サーバー上、ネットワークに取り付けられた記憶装置上のなどのストリーミング・メディアにアクセスするための参照を含んでいてもよい。ストリーミング・メディアはすぐ再生されてもよいし、アクセスされるときに再生されてもよいし、オフライン再生のためにキャッシュされるなどしてもよい。シード・メディア・セグメント311のコンテンツは、ビデオ、オーディオ・トラック、オーディオ・コレクション、画像、アニメーション、テキスト、ゲーム、ポッドキャストなどでありうる。シード・メディア・セグメント情報セクション309はまた、シード・メディアについての統計および/または補足的メディアについて集められる統計を集めるためのコードをも含んでいてもよい。
【0036】
動的混合メディア・パッケージ301の第三の部分は、消費者生成メディア・セグメント情報セクション313および消費者生成メディア・セグメント315を含む。消費者生成メディア・セグメント315は、消費者によって作成された派生メディア、消費者によって作成された、シード・メディアに関係する独立したメディア、シード・メディアについての消費者コメント、シード・メディアに関係した消費者ウェブサイトへの参照、シード・メディアに関係した他の消費者ウェブサイトからのコンテンツにアクセスするコード、動的混合メディア・パッケージとは異なるリモートまたはローカル位置におけるコンテンツへのポインタなどを含みうる。消費者生成メディア・セグメント情報セクション313は、消費者生成メディア・セグメント315のコンテンツについての内容および構造情報を含む。消費者生成メディア・セグメント情報セクション313は、セグメント315内の個々のメディアを識別し、セグメント315内の特定のメディアについての寄与割合を指示し、セグメント315内のメディアの人気を指示するなどしうる。消費者によって生成されパッケージに追加されうるメディアは、ゲーム、ビデオ、オーディオ、アニメーション、歌詞、ポエム、論評、リミックス、代替歌詞、写真などといった幅広い範囲のメディアをカバーする。消費者は、自分の個人的メディアを(同じシード・メディアにリンクされた)他のメディア・パッケージ所有者と共有する、あるいは自分の個人的なメディアを私的な消費のみに保つオプションをもつことになる。
【0037】
当業者は、図3に描かれている例示的な動的混合メディア・パッケージは例解するものであり、実施形態に制限することを意図したものでないことを認識するはずである。たとえば、パッケージは、シード・メディアおよび補足的メディアを含むものとして記述されている。動的混合メディア・パッケージの実装は、必ずしもメディアを文字通り「含む」必要はない。パッケージはコンテンツへのポインタを含んでいてもよいし、コンテンツは異なる諸位置にあってもよい。異なる諸位置にあるコンテンツへのポインタを実装するためのガイドラインを提供する、複数の型のファイル・コンテナ(file container)がすでに定義されている(たとえば、MPEG-4システム(ISO/IEC14496-1)、MPEG-7(ISO/IEC15938)、MPEG-21(ISO/IEC21000)、mxf(Material eXchange Format[素材交換フォーマット])およびaaf(Advanced Authoring Format[先進オーサリング・フォーマット]))。
【0038】
動的混合メディア・パッケージは、標準および独自規格の両方を含めいくつもある技法のいずれに従って実装されることもできる。MPEG規格に従ったもののような標準的な実装が市場における幅広い採用のためにはより望ましいように思えるが、他の目的のためには独自フォーマットが最適および/または好ましいことがありうる。実のところ、複数の物理フォーマットが共存することが考えられる。変換規約が、あるフォーマットから別のフォーマットへの遷移を許容するのである。たとえば、ある特定のフォーマットは、かなりの量の計算パワーが処理のために利用可能な、PCプラットフォームを横断したメディア交換のために好適でありうる。このフォーマットは、コンパクトかつエネルギー節約型の装置の必要性のためにより制限されたフォーマットが要求される、より制約されたプラットフォーム環境においては好適でないこともありうる。図15は、マルチメディア・コンテンツ記述インターフェース(Multimedia Content Description Interface)規格(「MPEG-7規格」)に従った動的混合メディア・パッケージの例示的なフォーマットを描いている。図15では、動的混合メディア・パッケージ1500はパッケージ・ヘッダ、明瞭コンテンツ・ヘッダ、明瞭コンテンツ・セクション、シード・メディア・ヘッダ、シード・メディア・セクションおよび消費者生成コンテンツ・セクションを含む。ヘッダは、作成時、サイズ、アクセス、特権などといったパッケージについての一般的な情報を示しうる。明瞭コンテンツ・ヘッダは、混合メディア・パッケージ1500についての記述的メタデータを含む。明瞭コンテンツ・ヘッダはまた、パッケージ問い合わせチェックポイント参照をも含む。明瞭コンテンツ・セクションはプレビュー・ページ、プレビュー写真およびプレビュー・オーディオを含む。プレビュー写真は、JPEGおよび対応するメタデータおよび識別データに従って圧縮された画像をもつ画像メディア1503を含む。プレビュー・ビデオは、フラッシュ・ビデオおよび対応するメタデータおよび識別データをもつビデオ・メディア1505を含む。シード・メディア・ヘッダは、XML経験記述を含む。シード・メディア・セクションは、透かし入れされ、デジタル権利管理(DRM)技術が適用されたメニュー、写真、ビデオ、オーディオおよび歌詞を含む。シード・メディア・セクション内のビデオは、対応するメタデータおよび識別データとともにFairPlay(登録商標)DRM技術に従ってエンコードされたビデオ・メディア1507を含む。同様に、シード・メディア・セクションにおけるオーディオは、メタデータおよび識別データとともにFairPlayエンコードされたオーディオ・メディア1509を含む。消費者生成セクションは、消費者生成コンテンツおよびRSSフィードを介したシンジケート化された(syndicated)コンテンツを含む。消費者生成セクションは、消費者生成メディア1511を含み、その例は、ニュース、レビュー、ブログからのメディアおよび外部インターネット・フィードからのフィードを含む。
【0039】
混合メディア・パッケージのプレビューおよびシード・メディアは、単一のメディアとして実装されてもよく、必ずしも別個のメディアとして実装される必要はない。シード・メディアに関連するプレビューは、MPEG-2およびMPEG-4規格において定義されているようなスケーラブル符号化技法を使って実装されることができる。メディア・コンテンツは複数のレイヤーにおいて符号化され、各レイヤーがデコード/再構築される信号の知覚的な品質を増す。よって、オーディオ信号の基本レイヤーのみをデコードしてAM品質のモノラル・オーディオを得ることが可能である。第二レイヤーをデコードすることで、若干の(聞こえない)アーチファクトをもつ高品質のオーディオが生成され、第三のレイヤーをデコードすれば、もとのスタジオ録音自身の完璧な(無損失の)再構築が許容される。これは、第一レイヤーが暗号化されないまま事前視聴サンプルとして利用可能にされ、コンテンツ・ビットストリームの一部のみ暗号化/保護することを許容する。
【0040】
オーディオのための空間的情報に関して同様のアプローチを取ることができる。ステレオ信号は公共の消費のために保護されないまま利用可能にされうるが、多チャネル・レンダリング情報は、必要な権利を取得するとロック解除できる保護されたフォーマットで利用可能であってもよい。
【0041】
再構築時の同期のために、コンテンツ・データのこれらの異なるレイヤーを一つのビットストリーム・フォーマット内に保つことが技術的により簡単であるが、頒布の目的のためには、これらの異なるレイヤーを別個のパッケージ内に保つことが望ましいことがありうる(すなわち、多チャネル情報は、もとのメディア項目のリリース後、のちの時点においてのみ利用可能になりうる)。
【0042】
動的混合メディア・パッケージを作成するために使用される具体的な技術は、利用されるデジタル権利管理の型、そのパッケージについての所望される柔軟性の度合いなどとともに変わる。エンコード、保護、メタデータなどの個別的な詳細にかかわりなく、動的混合メディア・パッケージはシード・メディアをもって始まる。さまざまな例示的な実施形態によれば、動的混合メディア・パッケージは、単一の束として送達されてもよい。その束が圧縮解除されて消費者装置上のファイル構造になりうる。いくつかの例示的実施形態によれば、動的混合メディア・パッケージは、さまざまな型のメディアを記憶するためにフォルダ構造を生成しうる。フォルダ構造は、シード・メディアに関係した更新された素材を連続的に入れられうる。シード・メディアに関連付けられたディレクトリ・ファイルが、シード・メディアに関係するさまざまな補足的メディアおよび派生メディアを詳述しうる。補足的および派生メディアは、消費者のローカル・ファイル構造内に、動的メディア・パッケージの残りとともに記憶されてもよいし、あるいは補足的または派生メディアを取得または経験するために消費者を外部位置に向かわせるためにポインタが使用されてもよい。ポインタは、ディレクトリ・ファイルに対して外部のファイルであってもよいし、あるいはディレクトリ・ファイル内であってもよい。いくつかの実施形態では、ディレクトリ・ファイルはXMLベースである。
【0043】
図4は、動的混合メディア・パッケージを作成するための例示的な動作のフローチャートを描いている。ブロック401において、シード・メディアが受信される。これは一つまたは複数のファイルでありうる。もちろん、メディア所有者/クリエイターが動的混合メディア・パッケージを作成しているのなら、ブロック401はスキップできる。ブロック403において、シード・メディアについての管理データが生成される。シード・メディアの管理は複数の型のデータのレイヤー化(layering)を利用しうる。たとえば、シード・メディアについてフィンガープリント・データおよびハッシュ値が生成される。さらに、シード・メディアがデジタル透かし入れデータでマーク付けされる。ハッシュ値は、メディアを迅速に識別するために使用できる。フィンガープリント・データは、他のメディアと組み合わされたときに、メディアの一部または全部を識別するために利用されることができる。透かし入れは、メディアを追跡し、ユーザー生成メディアをフィルタ処理するために使われることができる。ハッシュ値は利便を与えるが、この動作はスキップされてもよい。さらに、フィンガープリント付けはのちの時点でなされてもよい。また、それぞれが異なる堅牢性およびフィンガープリント・データ・サイズ要件を満たす複数のフィンガープリント・アルゴリズムが展開されることができる。たとえば、あるフィンガープリント・フォーマットは信号内の強烈な変化(たとえば、等化、ピッチ・シフト、時間伸張、動的圧縮、知覚的符号化)に対してさえも高度に堅牢でありうる一方、別のフォーマットのほうがずっとコンパクトであろう(すなわち、オーディオまたはビデオ・コンテンツのある継続期間について抽出されるフィンガープリント・データの量がより小さい)。よりコンパクトなフォーマットは、バンド幅制限のあるチャネルを通じた送信により好適でありうる。ブロック405では、補足的メディアがあるかどうかが判定される。補足的メディアがなければ、制御はブロック407に流れる。補足的メディアがあれば、制御はブロック409に流れる。
【0044】
ブロック407では、動的混合メディア・パッケージは、シード・メディアを用いて生成される。制御はブロック407からブロック411へ流れる。
【0045】
ブロック409では、動的混合メディア・パッケージがシード・メディアおよび補足的メディアを用いて生成される。ブロック411では、管理データおよび/または管理コード(たとえば統計収集コード)が生成されたパッケージ中に埋め込まれる。ブロック413では、サービス・プロバイダーからのデータが利用可能かどうかが判定される。サービス・プロバイダーがデータ(たとえば、補足的メディア、レビュー、広告など)を提供していれば、制御はブロック415に流れる。提供していなければ、制御はブロック417に流れる。
【0046】
ブロック415では、サービス・プロバイダーからのデータがパッケージ中に書き込まれる。ブロック417では、パッケージについての情報がパッケージ中に書き込まれる。たとえば、構造および内容情報がパッケージ・ヘッダ、明瞭コンテンツ・ヘッダおよび/またはシード・メディア・ヘッダ中に書き込まれる。ブロック419では、パッケージ問い合わせチェックポイントへの参照が、パッケージ修正を提供するサービス・プロバイダーへの参照がもしあればそれとともに、パッケージ中に書き込まれる。
【0047】
動的混合メディア・パッケージの作成および該動的混合メディア・パッケージのインスタンスの送達後、そのパッケージは修正されることができる。そのパッケージへの修正は、所有者、作者、制御者、消費者およびサービス・プロバイダーのうち任意のものによって生成されるさまざまなメディアを含むことができる。パッケージへの修正は、ある種のパッケージ・コンテンツの品質におけるアップグレードであっても、またさらにはダウングレードであってもよい。たとえば、家庭シアター・システムを通じた呈示のためにビデオが向上されてもよい(またはより高品質のビデオがパッケージに追加されてもよい)し、あるいはコンパクトなモバイル装置を通じた呈示のためにダウングレードされてもよい。これはレンダリングされた画像またはオーディオ解像度のサイズのみならず、エンコードされたメディアのコンパクトさにも、実際に異なる圧縮方式に再符号化することが必要となりうる点にまで、影響しうる。もとのコーデックはモバイル装置ではサポートされないからである。パッケージ修正は、コンテンツを置換する、コンテンツを修正する、コンテンツをトランスコードするまたはパッケージに追加されることがありうる。パッケージ修正は、動的メディア・パッケージの寿命の間のさまざまな時点において多様なソースの任意のものによって生成されることができるので、パッケージ修正の効率的な維持のために、修正を集積し(aggregate)、レビューし、頒布するサービスがあってもよい。
【0048】
図9は、パッケージ修正を維持する例示的なシステムを描いている。規則データベース911が、特定のシード・メディアに関連付けられたパッケージを支配する規則をホストする。たとえば、ある規則は、対応するメディア所有者/クリエイターからのいかなる提出物も自動的に受け入れることを要求してもよい。別の規則は、特定の作者によって作成されたのでない限り、パッケージの保護施策を修正するいかなるエンコード提出物も拒否しうる。規則データベース911は、提出物ハンドラ・モジュール901および派生メディア検索モジュール903によってアクセスされる。モジュール901および903は一つまたは複数の機械において実装され、同じ物理的エンティティまたは位置において実装されてもそうでなくてもよい。提出物ハンドラ・モジュール901が提出物を受信すると、提出物ハンドラ・モジュール901は提出物を、規則データベース911内の対応する規則と突き合わせて評価する。対応する規則は、ハッシュ値(単数または複数)、透かしおよび/またはフィンガープリント・データのような識別データについて提出物を検査することによって決定されうる。提出物ハンドラ・モジュール901は、評価構造907において、適切な規則(単数または複数)と突き合わせての提出物の評価の結果を示す。評価結果の指示を維持することにより、以前に評価された提出物のすみやかな処理が許容される。提出物ハンドラ・モジュール901が提出物を承認する場合、提出物は、承認された提出物を追跡するパッケージ追跡構造905において示される。承認されたら、提出物および/または提出物への参照が承認メディア・データベース909に記憶される。しかしながら、拒否された提出物を破棄することは必要ではない。拒否された提出物は、アーカイブ化、比較目的、統計データ収集などさまざまな理由のため、同じまたは別個のデータベース内に記憶されてもよい。
【0049】
提出されることに加えて、パッケージ修正は、インターネット上で発見されてもよい。派生物検索モジュール903は、シード・メディアから派生した消費者生成メディアを求めてネットワーク(たとえばインターネット、LAN、特定のオンライン・コミュニティなど)を探索する。たとえば、検索モジュール903は、シード・メディアのフィンガープリント・データ、ハッシュ値などを使って検索してもよい。検索モジュール903は、発見された派生メディアを、規則データベース911内の適切な規則と突き合わせて評価する。提出物ハンドラ・モジュール901と同様に、検索モジュール903は、その評価に従って、構造907および905ならびにデータベース909を更新する。拒否されるか承認されるかにかかわりなく、特定の発見された派生メディアについての評価結果の指標が評価構造907内に記録される。承認される場合、承認がパッケージ追跡構造において示され、発見された派生メディアおよび/またはそれへの参照が承認メディア・データベース909内に記憶される。提出物の承認の指標にはまた、承認された提出物の頒布時に、パッケージ・バージョンまたは承認日のような追跡情報が伴ってもよい。
【0050】
図6は、提出物を扱うための例示的な動作のフローチャートを描いている。ブロック601において、提出物が受信される。ブロック603において、受信された提出物が以前に評価されているかどうかが判定される。もしそうであれば、その提出物はブロック604において破棄される。そうでなければ、ブロック603において対応するシード・メディアが判別される。ブロック605において、提出物の作者が判別される。作者がサービス・プロバイダーであれば、制御はブロック609に流れる。作者が消費者であれば、制御はブロック607に流れる。作者がシード・メディアの所有者/クリエイターであれば、制御はブロック615に流れる。
【0051】
ブロック609では、サービス・プロバイダーが事前に承認されているかどうかが判定される。たとえば、サービス・プロバイダーが、シード・メディアのクリエイター/所有者と、提出物を提供するよう、適切に合意をもっている。サービス・プロバイダーが事前承認されていれば、制御はブロック615に流れる。そうでなければ、制御はブロック607に流れる。
【0052】
ブロック607では、提出物が、対応するシード・メディアについての規則と突き合せて評価される。ブロック608では、評価の結果が示される。ブロック611では、提出物が拒否されるか承認されるかが判定される。拒否される場合、作者はブロック613においてその拒否を通知される。承認される場合、ブロック615で、承認された提出物について情報が記録される。たとえば、作者、権利所有、作成日、承認日、サイズ、メディア型、帰属(attribution)などについての情報が記録される。ブロック617では、提出物および/または提出物への参照が記憶される。作者または作者/権利保有者の代理人も承認された提出物のことを通知されてもよい。承認された提出物の通知はまた、作者/権利保有者に人気および寄与割合に基づいて補償するロイヤリティ・スキームに参加するよう作者/権利保有者を勧誘してもよい。
【0053】
図7は、派生メディアを検索するための例示的な動作のフローチャートを描いている。ブロック701において、新しい消費者生成された派生メディアの検索が始まる。新しい派生メディアの検索は例えば、メディア指向のウェブサイト(たとえばユーチューブ)をクロールすることならびに発見された派生メディアに関連付けられうる記述、メタデータ、オーディオ/発話識別またはフィンガープリント付けを解析することを含みうる。他のウェブサイトおよびネットワークも、関連する派生および関係メディア(すなわち、画像、ニュースストーリー、ブログ項目、ポッドキャスト、議論など)を求めてクロールされうる。ブロック703で、派生メディアがみつかったかどうかが判定される。みつかっていなければ、制御はブロック701に戻る。新しい派生メディアがみつかった場合、対応するシード・メディアがブロック705で判別される。たとえば、派生メディアは何らかの透かし入れがされているかどうかについて調べられ、あるいは派生メディアのフィンガープリントが生成されてフィンガープリント・データベースと照合される。もう一つの例では、派生メディアは、ヘッダ・セグメント内において帰属情報を示す。ブロック707において、対応するシード・メディアについての規則が選択される。ブロック709において、発見されたメディアが選択された規則と突き合わせて評価される。ブロック710では、評価の結果が示される。ブロック711では、発見された派生メディアが承認されるか拒否されるかが決定される。承認される場合、制御はブロック715に流れる。拒否される場合、制御はブロック713に流れる。
【0054】
ブロック715において、発見されたメディアの指標が検索構造内に、承認フラグをセットし、対応するシード・メディアの指示とともに記録される。たとえば、冗長な評価を避けるために検索の結果を追跡するための構造が用いられる。ある種のネットワーク・アドレスを回避する、新しいまたは修正された規則と突き合わせたメディアの評価を許容するなどのために、検索構造中に追加的な情報が記録されてもよい。ブロック717では、発見された派生メディアはパッケージ追跡構造中で示される。制御はブロック717からブロック719に流れる。
【0055】
ブロック713では、発見された派生メディアの指標は検索構造中に記録され、対応するシード・メディアの指標とともに、拒否されたフラグがセットされる。シード・メディアはまた、提出物が第一のシード・メディアについては許容される一方、第二のシード・メディアについては拒否される場合にも指示される。制御はブロック713からブロック719に流れる。
【0056】
ブロック719では、発見された派生メディアに他のシード・メディアが対応するかどうかが判定される。もしそうであれば、制御はブロック707に流れる。他の対応するシード・メディアがなければ、制御はブロック701に戻る。
【0057】
上述したように、複数のシード・メディアが提出物に対応しうる。異なる複数のシード・メディアについてのさまざまな規則に準拠するために、異なる複数の規則の複合がメディアに適用されてもよい。図13は、図6のブロック607または図7のブロック709において実行されうる、複合規則セットのメディアへの例示的な適用のためのフローチャートを描いている。ブロック1301において、提出されたまたは発見されたメディア(またはヘッダ中にあるような付随情報)が異なる複数のシード・メディアを識別するデータを含んでいるかどうかが判定される。メディア(または付随情報)が異なる複数のシード・メディアを識別するデータを含まない場合、制御はブロック1321に流れる。メディアが異なる複数のシード・メディアを識別するデータを含む場合、制御はブロック1303に流れる。
【0058】
ブロック1303では、メディアは、異なる複数のシードへの帰属を判別するために調べられる。ブロック1305では、個々のシードについての規則が見出される。ブロック1307では、それらの規則が同じかどうかが検証される。それらの規則が同じであれば、制御はブロック1323に流れる。それらの規則が同じでなければ、制御はブロック1309に流れる。
【0059】
ブロック1309では、個々の規則が複合規則を許容するかどうかが判定される。複合規則が許容されない場合、制御はブロック1311に流れる。複合規則が許容される場合、制御はブロック1313に流れる。
【0060】
ブロック1311では、メディアは拒否される。制御はブロック1311からブロック1317に流れる。
【0061】
ブロック1313では、異なる規則の複合がシード帰属に基づいて生成される。優先度、事前設定された競合解決ポリシーなどといった他の要因も複合規則の生成において考慮されてもよい。ブロック1315では、メディアは複合規則と突き合わせて評価される。ブロック1317では、評価の結果が生成される。制御はブロック1317からブロック608または710のいずれかに流れる。
【0062】
ブロック1321では、シード・メディアについての規則が見出される。ブロック1323では、メディアは規則に突き合わせて評価される。規則がブロック1307において同じであると判別されていたら、ある規則がまたは規則の諸セットのうちの一つのセットが選択される。制御はブロック1323からブロック1317に流れる。
【0063】
さまざまなビジネス・モデルおよび送達プロトコルを使って、承認された修正は、動的混合メディア・パッケージを用いてメディア消費者に利用可能にされる。動的混合メディア・パッケージの送達は、さまざまな仕方で実装できる。パッケージ修正を維持するエンティティは、あらゆる承認されたパッケージ修正をプッシュしてもよい。エンティティは、メディア消費者に、承認されたパッケージ修正のインストールの受け入れまたは拒否を促してもよい。何らかのパッケージ修正があるかどうかについてエンティティへの問い合わせをトリガーする問い合わせイベントが消費者機械または装置において検出されてもよい。
【0064】
図5は、問い合わせイベントに応答してパッケージ修正があるかどうかエンティティに問い合わせする例示的な動作のフローチャートを描いている。ブロック501では、動的混合メディア・パッケージ・イベントが動的混合メディア・パッケージについて検出される。ブロック503では、動的混合メディア・パッケージがアクセスされて、パッケージ問い合わせチェックポイントについての参照、そのパッケージのシード・メディアを識別するデータおよび任意的に最後の問い合わせの時刻が判別される。たとえば、シード・メディアについてのハッシュ値、メディア・パッケージャのURL、タイムスタンプおよび顧客もしくはセッション識別子のような一意的なインデックスが要求メッセージ中に書き込まれる。消費者サービス・レベル、コミュニティ・メンバーシップなどといった問い合わせ結果に影響する追加的な情報も問い合わせに書き込まれてもよい。ブロック505では、パッケージ問い合わせチェックポイントは、ブロック503で判別された情報を用いて問い合わせされる。ブロック505からブロック507への破線は、問い合わせに対して応答が受信されるまでの時間の経過を表す。
【0065】
メディア・パッケージ修正または更新を決定するのを支援するために、プロファイル情報が各消費者について保持される。ある消費者についてのプロファイル情報は、消費者に関係したさまざまな特性を収集することによって生成されうる。メディア使用、適用されるランキング、デバイス型および位置、使用の継続時間、使用時間および他の情報が消費者装置上で集められ、中央サーバーに解析のために送られる。他の例示的な実施形態によれば、中央サーバーにデータを送る前に、集められた情報は少なくとも部分的に消費者装置上で解析されてもよい。
【0066】
消費者に適用されるプロファイルの型は、位置、時刻または使用中の装置に基づいて変わりうる。たとえば、消費者の視聴/聴取習癖は車に乗っているときに対し、オフィスにいるときに対し、飛行機に乗っているときにはある種の型およびジャンルのメディアが好まれることを示唆することがありうる。この情報に基づいて、消費者の位置に依存して、異なるメディア・パッケージ修正または更新が提案され、あるいは実行されてもよい。位置情報は装置情報(たとえば、ラップトップ、ポータブル・メディア・プレーヤー、乗物ベースのメディア・プレーヤー、デスクトップ・コンピュータ、セットトップボックスなど……)に基づいて、あるいは物理的位置特定技術(GPS、セルラー三角測量[cellular triangulation]など……)によって、集められ、あるいは推定されてもよい。
【0067】
時刻情報も、消費者メディア使用情報を集め、メディア・パッケージ更新を提案するために使用されてもよい。朝、職場へのドライブでは、顧客は特定のジャンルの音楽またはラジオ・トーク番組を好むことがありえ、帰宅時のドライブでは、別の型の音楽が好まれることがありうる。このプロファイル情報は、消費者の聴取習癖に基づいて決定されてもよく、メディア・パッケージに対し、そのプロファイルと一致するよう、適切な提案された更新がなされうる。
【0068】
同様に、ある種の型およびジャンルのメディアが車に乗っている間に経験されうる(たとえばロック音楽)一方、リビングルームにおけるセットトップボックス上では他のメディアが一般に経験され(たとえばテレビ・ショーおよび映画)、ポータブル・メディア・プレーヤー上ではさらに別のメディアが経験される(たとえば短いビデオおよびクラシック音楽)。さまざまな装置(たとえば異なるレンダリング機能をもつ)の間でのこれらの異なるメディア視聴習癖のため、使用されている装置に固有のプロファイル作成は、ユーザーに、テーラーメードの経験を提供しうる。装置情報はまた、使用されている特定の装置とより両立しやすいメディア・ファイル型およびサイズに対する装置固有の選好に基づいて、メディア・パッケージの修正または更新に影響しうる。
【0069】
プロファイル作成情報は提案エンジンに入力されうる。提案エンジンは、メディアに関するユーザー習癖および傾向を考慮に入れるのみならず、時間的、空間的および他の環境情報をもユーザー経験を向上させるために使用する。環境要因および消費者要求を考慮に入れたカスタマイズされた経験を提供するために、ポリシーまたは規則がプロファイル作成情報と一緒に使用されてもよい。さまざまな要因に依存してコンテンツ送達を制御するのを助けるために、年齢に基づく規則、公開設定規則(public setting rules)、文化的規則および他の同様の規則がポリシー中に設定されてもよい。メディア・コンテンツは成熟レーティング(たとえば、PG-13、R、X、露骨、非露骨……)を有していてもよく、そのメディアの送達は視聴者の年齢に基づいて制約されてもよい(たとえば、13歳未満の視聴者はある種のコンテンツを視聴することを許容され得ない)。視聴者の位置(たとえば公共の列車上)も受け容れ可能な成熟レベルに影響してもよい。さらに、世界のある種の領域で文化的に受け入れられるまたは受け入れられないと見なされうるコンテンツに基づいてポリシーが施行されてもよい。
【0070】
図8は、動的混合メディア・パッケージのパッケージ問い合わせを扱う例示的な動作のフローチャートを描いている。ブロック801では、パッケージ問い合わせが受信される。ブロック803では、その問い合わせから、シード・メディアを識別するデータおよび前回の問い合わせのタイムスタンプが判別される。ブロック805では、ブロック803で判別されたデータを用いてパッケージ追跡構造がアクセスされて、前の問い合わせタイムスタンプ以降の利用可能なパッケージ修正を判別する。利用可能なパッケージ修正はまた、消費者サービス・レベル、特権、地理などに基づいてフィルタ処理されてもよい。ブロック807では、何らかのパッケージ修正が利用可能であるかどうかが判定される。パッケージ修正が利用可能であれば、ブロック809で、利用可能なパッケージ修正の指標が、新しい問い合わせタイムスタンプまたは他の識別子とともに、メディア消費者に返される。たとえば、パッケージに追加されるべきいくつかの新しいメディアと他のメディアへの参照とを含むメッセージが返される。利用可能なパッケージ修正がない場合、新しい問い合わせタイムスタンプとともに、ヌル値が返される。
【0071】
再び図5に戻ると、パッケージ修正の指標がブロック507で受信される。ブロック509では、追加的なメディアがパッケージに追加されるべきかどうかが判定される。もしそうであれば、制御はブロック511に流れる。追加的なメディアがなければ、制御はブロック513に流れる。
【0072】
ブロック511において、追加的なメディアがパッケージに追加され、パッケージ情報はしかるべく更新される。ブロック513では、パッケージ修正の指標が参照(単数または複数)および/またはデータを含んでいたかどうかが判定される。たとえば、問い合わせへの応答が、ネットワーク・アドレス、新しいエンコード方式、格付けデータなどを示していたかどうかが判定される。もしそうであれば、制御はブロック515に流れる。そうでなければ、制御はブロック517に流れる。
【0073】
ブロック515では、パッケージは参照(単数または複数)および/またはデータに従って修正される。たとえば、レーティング・データがパッケージの明瞭コンテンツ・セクションに書き込まれ、参照がパッケージの消費者生成メディア・セクションについてのヘッダ中に書き込まれる、などである。ブロック517では、新しい問い合わせタイムスタンプがパッケージ中に書き込まれる。
【0074】
修正があるかどうかチェックポイントに問い合わせするためには、多様な実装が可能である。たとえば、イベントを検出して問い合わせを生成する機能性は、メディア・プレーヤーのコンポーネント、バックグラウンド・プロセス、デーモン、プラグインなどとして実装されてもよい。図10は、メディア問い合わせモジュールの例示的な実装を描いている。図10では、メディア・プレーヤー1003は、メディア消費者機械1007内のパッケージ問い合わせモジュール1005とは別個である。メディア消費者機械1007はモバイル装置、消費者電子装置、コンピュータ、自動車内の一つまたは複数のコンポーネントなどでありうる。メディア問い合わせモジュール1005はメディア・プレーヤー1003へのプラグイン、バックグラウンドで走るプロセスなどであってもよい。メディア消費者機械1007は動的混合メディア・パッケージ1001a〜1001hをホストする。メディア・プレーヤー1003は動的混合メディア・パッケージ1001bを時刻aにおいてロードし、アクティブ化する。時刻bにおいて、メディア・プレーヤー1003はパッケージ問い合わせモジュール1005を呼び出し、パッケージ問い合わせモジュール1005に動的メディア・パッケージ1001bのアクティブ化を通知する。さまざまな実施形態において、問い合わせイベントが異なる仕方で検出される(たとえば、パッケージ問い合わせモジュール1005は、動的混合メディア・パッケージ1001a〜1001hによって占有されるアドレス空間をモニタリングし、動的混合メディア・パッケージがアクセスされるときにプロセス間通信機構がパッケージ問い合わせモジュール1005に通知する、など)。時刻cでは、パッケージ問い合わせモジュール1005は動的混合メディア・パッケージ1001bから問い合わせ情報を集める。別の実施形態では、登録構造が、メディア消費者機械1007上でホストされている諸パッケージについての問い合わせ情報を維持し、パッケージ問い合わせモジュールが、メディア・プレーヤー1003によって伝達されたパッケージ識別子に基づいてその構造にアクセスする。時刻dにおいて、パッケージ問い合わせモジュールは集められた情報を用いて問い合わせを生成する。時刻eにおいて、パッケージ問い合わせモジュールは生成された問い合わせが、動的混合メディア・パッケージ1001bのシード・メディアについて示されたチェックポイントに送信されるようにする。時刻fにおいて、パッケージ修正(単数または複数)の指標が受信され、パッケージ問い合わせモジュール1005によって処理される。時刻gにおいて、パッケージ問い合わせモジュール1005はその修正(単数または複数)をパッケージ1001bへの適用のために待ち行列に入れる。時刻hにおいて、メディア・プレーヤー1003は待ち行列に入れられた修正をパッケージ1001bに適用する。当業者は、図10の図が一つの例示的な実装として理解を助けることを意図したものであって、限定を意味しないことは認識するはずである。たとえば、パッケージへの修正は、メディア・プレーヤー1003が現在の呈示を完了するときにパッケージ問い合わせモジュール1005によって適用されてもよい。別の例では、パッケージ問い合わせモジュール1005は、メディア・プレーヤーがパッケージ1001bのコピーからメディアを呈示している間にパッケージ1001bを修正し、コピーは呈示後に破棄される。
【0075】
メディア・プレーヤーは動的混合メディア・パッケージのメディアを、対応する呈示指令(presentation directives)によって指令されるように呈示する。指令は、メディアをオーバーラップさせる、メディアを並行してストリーミングする、メディアに対してシーケンスを施行するなどを指令してもよい。他の呈示指令がユーザーからのコマンドである一方、いくつかの呈示指令はパッケージ内で予め定義されいてもよい。図16は、例示的な動的混合メディア・パッケージからのメディアの例示的な呈示を描いた図である。混合メディア・パッケージ・プレーヤー1613は動的混合メディア・パッケージ1621をアクティブ化する。混合メディア・パッケージ1621は、近々出る音楽アルバムについての広告1603、同期された歌詞1605、シード・オーディオ1607、消費者生成ビデオおよびシード・オーディオ1607を含む消費者生成リミックス1611を含む。消費者がプレーヤー1613に消費者生成ビデオ1609を歌詞1605とともに再生するよう命令するとする。消費者メディア・セクションについてのヘッダ内の呈示指令(単数または複数)がプレーヤー1613に、シード・オーディオ1607を消費者生成ビデオ1609とともに再生するよう指令する。現在の再生指令は、プレーヤー1613に、歌詞1605をビデオ1609にオーバーレイさせて、オーバーレイされた歌詞のあるビデオ1605を作成させる。パッケージ1613についてのある指令は、プレーヤーに、ビデオ1605の完了後に、呈示のための広告1603を配列するよう指令する。プレーヤー1613は並行してシード・オーディオ1607をスピーカー(単数または複数)1615に、ビデオ1605をディスプレイ1613に送る。前記指令はまた、プレーヤーに、ビデオが完了した後で広告1603をディスプレイ1613に送るよう指令する。
【0076】
プレーヤーは、ビデオ再生および若干の制御を受け入れるインターフェースを、あるいは表示領域を動的混合メディア・パッケージのさまざまなコンテンツの間で分割するより込み入ったインターフェースを利用しうる。図11は、動的混合メディア・パッケージ・プレーヤーについての例示的なインターフェースを描いている。図11では、インターフェースの表示領域は、10の領域に分割されている。ビデオ領域1101は混合メディア・パッケージからのビデオを呈示する。パッケージ・ディレクトリ1103はパッケージのアクセス可能なコンテンツをユーザーに呈示する(ツリー状の階層フォーマットで、アイコン・フォーマットで、など)。消費者生成メディア領域のディレクトリ1105は、パッケージに追加されている消費者生成メディアのディレクトリを呈示する。シード・メディア所有者/クリエイター・フィード領域1107は、レコーディング会社、出版社および/またはアーチストからの情報をストリーミングする。歌詞およびカバー・アート領域1121は、シード・オーディオのためのカバー・アートおよび歌詞を、消費者がアルバム・ジャケットのページを繰っていくのと同じようにしてナビゲートすることを許容するよう拡張されることができる見開き(double truck)レイアウトで呈示する。コンサート・スケジュール領域1119は、そのパッケージのシード・オーディオの作者についてのコンサート・スケジュールを、おそらくはそのプレーヤーをホストしている機械または装置の現在の地理情報によってフィルタ処理して、呈示する。領域1117は同じジャンルの音楽のミュージシャンによるエリア内でのコンサートについての広告を呈示する。領域1109は、購入されたサービスのレベルに依存して、消費者および批評家による音楽レビューを呈示する。領域1111は、より豊かなサウンド、改善されたプレーヤーなどといった、シード・オーディオについて利用可能なアップグレードを呈示する。領域1115はライブ・メディア・フィードバックを呈示する。たとえば、音楽コミュニティにおける消費者からの生のコメントが領域1115に表示される。
【0077】
図11は、たくさんの可能な例のうちのほんの一例を示すものである。動的混合メディア・パッケージに関し、インターフェースの数多くの特徴および入れ換えが可能である。たとえば、アルバムからのオーディオが再生されるとき、アルバムの冊子のデジタル表現が見開きレイアウトで表示されることができる。一方の側に写真があり、他方の側に歌詞およびクレジットがあることができる。冊子のページは、大きな表示領域をもつ装置上でめくられることができ、あるいは制約された表示領域をもつ装置上でスクロールされることができる。歌詞は、個々の単語のレベルでオーディオと同期されることができ、オーディオの再生が歌詞のクリックによってトリガーされてもよい、など。
【0078】
画像メディアについては、さまざまな機能性も可能である。特定のアーチストまたはレーベルのすべての画像を用いてスライドショーが生成されることができる。消費者写真が音楽アーチスト写真と一緒に混合されることができ、そのアーチストのオーディオに付けられることができる。
【0079】
動的混合メディア・パッケージによって許容される機能性に加えて、追加的な製品およびサービスが生み出されることができる。動的混合メディア・パッケージは装置についてのテーマを定義できる。たとえば、音および表示が、特定のアルバムについての動的混合メディア・パッケージについて定義されたテーマと適合するよう構成されてもよい。たとえば、アルバムの四つの最も人気のある歌の最初の数個の音符が、電話の四つの異なるリング/アラーム音のために利用されてもよく、電話のための壁紙がアルバムについてのカバー・アートに設定されてもよい。動的混合メディア・パッケージ内にメディアを混合するためのデザイン・ツールが開発されることができる。さらに、パッケージ修正を維持し、レビューを提出し、統計を追跡し、人気のあるメディア、RSSフィード、ブログ、ニュース・サービス、ユーザー・レーティングなどを生成する消費者に報償を与える新しいサービスがオファーされることができる。
【0080】
派生メディアを広告および共有し、聴取/視聴の好みを共有し、パッケージ修正を維持するのを助け、他のメディア・パッケージ関係のサービスを提供するために、ウェブ・ベースのアプリケーション(たとえば「ウィジェット(widget)」)が、動的混合メディア・パッケージと一緒に使用されてもよい。ウィジェットは、個人的なウェブページ、ブログ、ソーシャル・ネットワーキング・サイトまたは消費者がメディア関係の情報を共有したいことがありうる他の場所の中に、コーディングされてもよい。ある例示的な実施形態によれば、ウィジェットはメディア・プレーヤー1003(図10参照)と接続してもよく、アルバム・カバーまたはユーザーによって現在再生されている音楽に関係した他の画像を表示してもよい。さらに他の情報がウィジェットを通じて利用可能にされてもよい。そうした他の情報は、プレイリスト情報、部分的または完全な音楽またはビデオ再生機能、その歌またはアルバムまたは関係したメディア・パッケージを購入するためのリンク、あるいはその他の情報を含む。ビデオまたは消費者によって経験されている他の形のメディアに関して、同様の情報がウィジェットを通じて提供されてもよい。
【0081】
もう一つの実施形態によれば、ウィジェットは消費者によって作成された派生メディアを含んでいてもよい。ユーザーは、派生メディアを共有および広告するためにウィジェットを使用してもよい。ウィジェットを見る訪問者は、派生メディアを見ることができうる。場合によっては、訪問者は、メディア・パッケージを、あるいは少なくとも派生メディアに関係した何らかの追加的コンテンツを購入するよう促されてもよい。たとえば、派生メディアが映画からの再演/置換シーンである場合、訪問者は、その置換シーンをその映画の残りと合わせて見るためにその映画のコピーをまず購入または借りるよう促されてもよい。いくつかの実施形態によれば、派生メディアをフルに経験するためには複数の追加的コンテンツ(これはシード・メディアであってもよい)が必要であってもよい。上述の例では、基本となる映画が必要とされ、おそらくは置換サウンドトラック音楽も必要とされうる。見る者は、派生メディアを見る前にまずこれらの項目を購入することを促されてもよい。
【0082】
記載された諸実施形態は、コンピューティング機械プログラム・プロダクトまたはソフトウェアとして提供されてもよい。それは、本発明の諸実施形態に基づくプロセスを実行するよう処理システム(または他の電子装置)をプログラムするために使用されうる命令が記憶されている機械可読媒体を含みうる。このことは本項に記載されているか否かによらない。けだし、本項において考えられるあらゆる変形が挙げられているわけではないからである。機械可読媒体は、機械(たとえば、コンピュータ、携帯情報端末、携帯電話、メディア・センター、ゲーム・コンソールなど)によって可読な形で情報を記憶または伝送するためのいかなる機構(たとえば、ソフトウェア、処理アプリケーション)をも含む。機械可読媒体は、これに限られないが、磁気記憶媒体(たとえばフロッピーディスケット);光記憶媒体(たとえばCD-ROM);光磁気記憶媒体;読み出し専用メモリ(ROM);ランダム・アクセス・メモリ(RAM);消去可能なプログラム可能なメモリ(たとえばEPROMおよびEEPROM);フラッシュ・メモリ;または電子的な命令を記憶するのに好適な他の型の媒体を含みうる。さらに、諸実施形態は、伝搬される信号の電気的、光学的、音響的または他の形(たとえば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)または有線、無線または他の通信媒体で具現されてもよい。
【0083】
図12は、本稿で論じられる機能のいずれかを機械に実行させるための一組の命令が実行されうる、処理システム1200という例示的な形の機械の図的な表現を描いている。機械はスタンドアローン装置として動作してもよいし、あるいは他の機械に接続(たとえばネットワーク接続)されてもよい。ネットワーク接続された展開では、機械はサーバー‐クライアント・ネットワーク環境中のサーバーまたはクライアント機械の資格で、あるいはピアツーピア(または分散)ネットワーク環境におけるピア機械として動作しうる。機械はサーバー・コンピュータ、クライアント・コンピュータ、パーソナル・コンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブ・アプライアンス、ネットワーク・ルータ、スイッチもしくはブリッジまたはその機械によって取られるべき動作を指定する一組の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行する機能をもつ任意の機械でありうる。さらに、単一の機械のみが例示されているが、「機械」の用語は、本稿で論じられた方法論の任意の一つまたは複数を実行するための一組の(または複数組の)命令を個々にまたは合同して実行する複数の機械の任意の集合をも含むものとする。
【0084】
処理システム1200の例は、プロセッサ1202(たとえば中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)または両方)、メイン・メモリ1204および静的メモリ1206を含み、これらはバス1208を介して互いと通信する。処理システム1200はさらに、ビデオ表示ユニット1210(たとえば液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT))を含んでいてもよい。処理システム1200はまた、英数字入力装置1212(たとえばキーボード)、カーソル制御装置1214(たとえばマウス)、ディスク駆動ユニット1216、信号発生装置1218(たとえばスピーカー)およびネットワーク・インターフェース装置(1220)をも含む。
【0085】
ディスク駆動ユニット1216は、本稿に記載される方法論または機能の任意の一つまたは複数を具現する一つまたは複数の組の命令(たとえばソフトウェア1224)が記憶されている機械可読媒体1222を含む。ソフトウェア1224はまた、処理システム1200によるその実行の間、完全にまたは少なくとも部分的に、メイン・メモリ1204内および/またはプロセッサ1202内に存在してもよい。メイン・メモリ1204およびプロセッサ1202も機械可読媒体を構成する。
【0086】
ソフトウェア1224はさらに、ネットワーク・インターフェース装置1220を介してネットワーク上で送信または受信されてもよい。
【0087】
本発明はさまざまな実装および活用を参照して記載されているが、これらの実施形態が例示的であって、本発明の範囲がそれに限定されるものではないことは理解されるであろう。一般に、機械外部のソースから機械に導入されるファイルのアクセス・ベースのセキュリティ評価のための技術は、本稿で定義される任意の単数または複数のハードウェア・システムと整合する設備をもって実装されうる。さまざまな変形、修正、追加および改良が可能である。
【0088】
本稿で単数のインスタンスとして記載されるコンポーネント、動作または構造について複数のインスタンスが提供されてもよい。最後に、さまざまなコンポーネント、動作およびデータ記憶の間の境界はいくぶん任意であり、個別的な動作は特定の例示的構成のコンテキストにおいて例示されている。機能性の他の配分が視野に入れられており、本発明の範囲内にはいりうる。一般に、例示的な構成において別個のコンポーネントとして呈示されている構造および機能性が、組み合わされた構造またはコンポーネントとして実装されてもよい。同様に、単一のコンポーネントとして呈示されている構造および機能性が別個のコンポーネントとして実装されてもよい。これらおよびその他の変形、修正、追加および改良は本発明の範囲内にはいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シード・メディア、補足的メディアおよび前記シード・メディアを識別する情報を含むメディア・パッケージを、メディア・パッケージ問い合わせチェックポイントへの参照について調べる工程と;
前記シード・メディアを識別する前記情報を用いて前記メディア・パッケージのための承認されたメディア・パッケージ修正があるかどうか前記パッケージ問い合わせチェックポイントに問い合わせする工程と;
前記問い合わせする工程に応答して示されたメディア・パッケージ修正を用いて前記メディア・パッケージを修正する工程とを有する、
方法。
【請求項2】
前記シード・メディアが、本質的にはビデオ・ファイル、オーディオ・ファイルおよび画像ファイルからなる集合から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記メディア・パッケージ修正が、本質的には補足的データ、前記シード・メディアに対応するメディアへの参照、前記シード・メディアを向上させるためのデータ、置換メディアおよび広告からなる集合から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記修正する工程が、本質的には、前記メディア・パッケージにコンテンツを追加する、前記メディア・パッケージからコンテンツを除去する、前記メディア・パッケージについての管理情報を修正する、前記メディア・パッケージの構造情報を修正する、前記メディア・パッケージ中のメタデータを修正する、前記メディア・パッケージのコンテンツを編集する、前記パッケージを増強するおよび前記パッケージを削減するからなる集合から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記問い合わせする工程が、前記シード・メディアを識別する、メディア・パッケージャへの要求を送信することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
識別情報をシード・メディアに関連付ける工程と;
前記シード・メディアを動的混合メディア・パッケージ中に組み込む工程と;
前記動的混合メディア・パッケージ中に、前記パッケージのために利用可能な一つまたは複数の修正を示すパッケージ問い合わせチェックポイントへの参照を埋め込む工程と;
前記動的混合メディア・パッケージの一つまたは複数のインスタンスを供給する工程と;
前記動的混合メディア・パッケージについて利用可能な一つまたは複数の修正を発見する工程と;
前記一つまたは複数の修正のうち、前記動的混合メディア・パッケージのインスタンスの修正を支配する、前記シード・メディアに関連付けられた一つまたは複数の規則のセットを満足するものを承認する工程と;
前記の承認された修正を示す工程とを有する、
方法。
【請求項7】
前記識別情報を関連付ける工程が:
前記シード・メディアに透かし入れする工程と;
前記シード・メディアについてのフィンガープリントを生成する工程と;
前記動的混合メディア・パッケージにおいて前記フィンガープリントを示す工程とを有する、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記シード・メディアについてのハッシュ値を生成する工程と;
前記動的混合メディア・パッケージにおいて前記ハッシュ値を示す工程とをさらに有する、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記シード・メディアを含む複数の個別メディアから導出されるあるメディアの帰属を計算する工程をさらに有する、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記計算された帰属に基づいてロイヤリティを計算する工程をさらに有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
動的混合メディア・パッケージのユーザー生成コンテンツを調べて前記コンテンツの帰属を決定する工程であって、前記ユーザー生成コンテンツは少なくとも、異なる複数の作者からのメディアを含む、工程と;
少なくとも部分的には前記帰属に基づいて前記ユーザー生成コンテンツから生成される収入を配分する工程とを有する、
方法。
【請求項12】
前記ユーザー生成コンテンツが、一または複数の消費者によりもともと生成されたメディアをも含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記調べる工程が、本質的には透かし、フィンガープリントおよびハッシュからなる集合から選択される一つまたは複数の技法を用いて前記異なる複数の作者を識別することを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記収入が、本質的には、前記ユーザー生成コンテンツに関連付けられる一つまたは複数の広告から収入を生成することおよび前記ユーザー生成コンテンツに関連付けられた料金から収入を生成することからなる集合から選択される収入生成技法から生成される、請求項11記載の方法。
【請求項15】
処理システムによって実行されると前記処理システムに動作を実行させる命令がエンコードされている機械可読媒体であって、前記動作は:
動的混合メディア・パッケージのユーザー生成コンテンツを調べて前記コンテンツの帰属を決定する工程であって、前記ユーザー生成コンテンツは少なくとも、異なる複数の作者からのメディアを含む、工程と;
少なくとも部分的には前記帰属に基づいて前記ユーザー生成コンテンツから生成される収入を配分する工程とを含む、
機械可読媒体。
【請求項16】
前記ユーザー生成コンテンツが、一または複数の消費者によりもともと生成されたメディアをも含む、請求項15記載の機械可読媒体。
【請求項17】
前記調べる動作が、本質的には透かし、フィンガープリントおよびハッシュからなる集合から選択される一つまたは複数の技法を用いて前記異なる複数の作者を識別することを含む、請求項15記載の機械可読媒体。
【請求項18】
処理システムによる実行のための命令がエンコードされている機械可読媒体であって、前記命令は第一の組の命令および第二の組の命令を含み、
前記第一の組の命令は、
シード・メディアを含む動的混合メディア・パッケージ内において、パッケージ問い合わせチェックポイントを示す参照を突き止め、
前記シード・メディアを識別するデータを突き止め、
前記シード・メディアを識別する前記突き止められたデータを用いて、承認された修正があるかどうか前記パッケージ問い合わせチェックポイントに問い合わせするために前記参照を使うよう実行可能であり、
前記第二の組の命令は、前記パッケージ問い合わせチェックポイントによって示される承認された修正に従って前記動的混合メディア・パッケージを修正するよう実行可能である、
機械可読媒体。
【請求項19】
前記第一の組の命令がさらに、前記動的混合メディア・パッケージについての前の問い合わせのタイムスタンプを突き止め、その突き止められたタイムスタンプを前記問い合わせにおいて示すよう実行可能である、請求項18記載の機械可読媒体。
【請求項20】
処理システムによる実行のための命令がエンコードされている機械可読媒体であって、前記命令は:
シード・メディアを含む動的混合メディア・パッケージのインスタンスの修正を支配する、前記シード・メディアに関連付けられた一組の規則と突き合わせてメディアの評価を実行するよう実行可能であり、前記評価に基づいて前記メディアを用いての前記動的混合メディア・パッケージの修正を承認または拒否するよう実行可能な第一の組の命令と;
前記第一の組の命令によって承認されたメディアを追跡するよう実行可能な第二の組の命令と;
前記第二の組の命令によって追跡されるメディアの指標を公開するよう実行可能な第三の組の命令とを含む、
機械可読媒体。
【請求項21】
シード・メディアから派生されたメディアを検索し、前記第一の組の命令による評価のために、発見されたメディアを提出するよう実行可能な第四の組の命令をさらに含む、請求項20記載の機械可読媒体。
【請求項22】
前記第四の組の命令がさらに、前記第四の組の命令によって発見されたメディアの、前記第一の組の命令による評価の結果を示す構造を維持するよう実行可能である、請求項21記載の機械可読媒体。
【請求項23】
一つまたは複数のプロセッサの集合と;
第一の型のメディアおよび第二の型のメディアを動的混合メディア・パッケージにおいて、該動的混合メディア・パッケージにおいて示される呈示指令に従って呈示するよう動作可能なメディア・プレーヤーと;
パッケージ問い合わせコンポーネントとを有する装置であって、
前記パッケージ問い合わせコンポーネントは、
前記動的混合メディア・パッケージについての問い合わせイベントを検出し、
パッケージ問い合わせチェックポイントへの参照、シード・メディアを識別するデータおよび前回の問い合わせ時刻を前記動的混合メディア・パッケージにおいて判別し、
前記の判別された参照、識別データおよび時刻を使って前記動的混合パッケージへの修正があるかどうかパッケージ・チェックポイントに問い合わせするよう動作可能である、
装置。
【請求項24】
前記メディア・プレーヤーが、消費者生成メディアを、前記消費者生成メディアについての呈示指令によって指令されるように前記シード・メディアと一緒に呈示するようさらに動作可能である、請求項23記載の装置。
【請求項25】
シード・メディアを生成する第一のシステムと;
第二のシステムとを有するネットワークであって、
前記第二のシステムは、前記第一のシステムから前記シード・メディアを受信し、前記シード・メディアの管理および識別のためのデータで前記シード・メディアにマーク付けし、前記シード・メディアおよび補足的メディアを動的混合メディア・パッケージ内に束ね、前記動的混合メディア・パッケージのインスタンスを供給し、前記シード・メディアを含む前記動的混合メディア・パッケージの修正を支配する前記シード・メディアに関連付けられた一組の規則に従って前記動的混合メディア・パッケージに対する候補修正を承認または拒否する、
ネットワーク。
【請求項26】
前記第二のシステムが、前記動的混合メディア・パッケージについて承認された修正を、メディア消費者システムに前記動的混合メディア・パッケージのインスタンスを頒布するために維持しもする、請求項25記載のネットワーク。
【請求項27】
前記動的混合メディア・パッケージについての候補修正を生成し、その候補修正の指標を前記第二のシステムに評価のために提出する第三のシステムをさらに有する請求項25記載のネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−530090(P2010−530090A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506689(P2010−506689)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062524
【国際公開番号】WO2008/137756
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(501112323)グレースノート インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】