説明

動的膜ウェーハアセンブリおよび方法

芳香族炭化水素を原料ストリームから分離する方法が開示される。本方法は、原料ストリームを、底流分配堰を含みうる第一のウェーハアセンブリ内の第一の通路を通して流す工程を含む。次に、原料ストリームは、第一の薄膜高分子膜に暴露される。これは、原料側表面に粉末吸着剤を含んで、所望成分の透過を高める。ストリームは、第一の薄膜高分子膜を透過し、第一のウェーハアセンブリから透過物が製造される。残留物は、再分配通路(管など)を経て、底流分配堰を含みうる第二のウェーハアセンブリに導かれる。この残留物は、第二の薄膜高分子膜に暴露される。第二の薄膜高分子膜を透過する第二の透過物ストリームが生成される。第二の透過物ストリームは、透過物域に導かれ、最後に第二のウェーハアセンブリから製造される。また、芳香族成分を原料ストリームから分離するための装置が開示される。好ましい実施形態においては、装置には、一連のタンデムのウェーハアセンブリが含まれる。ウェーハアセンブリには、第一のウェーハ、第二のウェーハおよび第三のウェーハが含まれる。第一および第二の膜要素は、ウェーハアセンブリ内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族を原料ストリームから分離するための装置および方法に関する。より詳しくは、本発明は、膜要素によって生じる分離を用いて、ガソリン、ナフサ、ディーゼル燃料等から芳香族を分離するための装置および方法に関する。ただしこれに限定されない。
【背景技術】
【0002】
逆浸透、パーベーパレーション、パーストラクションなどの膜ベースの分離プロセスは従来よりある(即ちよく知られている)。パーベーパレーションプロセスは、液体混合物を分離する技術である。膜媒体の片側に低い圧力の減圧を維持して、液体物質を蒸発するための低エネルギーのアプローチを提供する。これらの液体物質の減圧条件下での蒸発温度は、高い圧力で必要な温度より低い。分離される液体混合物は、膜の上流側に導かれる。膜は、いくつかの液体成分に対して実質的に不浸透性であるが、他の成分を、制御された方式で選択的に通過させる。膜の下流側は通常、減圧に暴露され、膜を通過する液体成分を蒸気相で除去し、凝縮器で凝縮することができる。
【0003】
パーベーパレーションプロセスにおいては、混合液体原料の所望の原料成分(例えば芳香族成分)が、優先的に膜に溶解される。所望の成分に対して選択的な膜の場合には、所望の成分が、優先的に膜に吸収される。膜は、片側が混合物のストリームに暴露され、反対側で減圧が膜に付され、そのため吸収された液体化合物は、周知の溶液−拡散メカニズムによって膜を通って移動する。従って、所望の成分は、膜を通過し、蒸気としてその下流側から除去され、それにより所望の成分の更なる吸収のための空きが、膜の上流側に提供される。従って、膜を通って上流側から下流側に所望の成分を選択的に導く、濃度勾配による駆動力が確立される。
【0004】
種々の膜が、先行技術で用いられている。例えば、特許文献1および特許文献2には、芳香族を、ナフサ、重質接触ナフサ(HCN)等の非芳香族から、例えば懸濁−被覆膜を用いるパーベーパレーションによって分離する工程が記載される。膜は、高分子を多孔質支持体層上に沈積することによって形成される。これは、細かい分散物または懸濁物であって、固体の塊ではない。
【0005】
パーベーパレ−ション技術と共に用いられる従来の装置の中に、らせん形板枠と共に用いられる膜がある。例えば、特許文献3には、基本単位の積み重ねからなるセルを、一対の端板の間に用いる膜分離を包含する工程が記載される。半透膜は、スペーサーおよび支持体によって保持される。伝熱流体は、入口、導管系および加熱室を経て、伝熱シートを横切って導かれる。
【0006】
先行技術のパーベーパレーションプロセスでは、別個の装置工程を用いて、所望の分離が達成される。これらの装置を大流量用途のために相互結合することは、費用を要する。また、先行技術のらせん形要素は高価であり、また高温使用向きに製造するのが困難である。大部分の市販らせん形要素の設計は、100〜120度の温度範囲に限定される。ガソリン、ナフサ、ディーゼル燃料およびより高沸点の炭化水素の分離を達成するためには通常、120℃を超えてより高い温度が必要とされる。従って、流体のパーベーパレーションを炭化水素物質(特に輸送燃料として用いられるもの)に適用して、特定の分子タイプの分離を、経済的・効率的に達成する装置および方法に対する必要性が存在する。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,861,628号明細書
【特許文献2】米国特許第5,030,355号明細書
【特許文献3】米国特許第3,398,091号明細書
【特許文献4】米国特許第4,944,880号明細書
【特許文献5】米国特許第4,946,594号明細書
【特許文献6】米国特許第5,093,003号明細書
【特許文献7】米国特許第5,550,199号明細書
【特許文献8】米国特許第4,990,275号明細書
【特許文献9】米国特許第5,098,570号明細書
【特許文献10】米国特許第5,109,666号明細書
【特許文献11】米国特許第4,828,773号明細書
【特許文献12】米国特許第4,837,054号明細書
【特許文献13】米国特許第4,879,044号明細書
【特許文献14】米国特許第4,914,064号明細書
【特許文献15】米国特許第4,921,611号明細書
【特許文献16】米国特許第4,929,357号明細書
【特許文献17】米国特許第4,983,338号明細書
【特許文献18】米国特許第5,039,417号明細書
【特許文献19】米国特許第5,039,418号明細書
【特許文献20】米国特許第5,039,422号明細書
【特許文献21】米国特許第5,049,281号明細書
【特許文献22】米国特許第5,055,632号明細書
【特許文献23】米国特許第5,063,186号明細書
【特許文献24】米国特許第5,075,006号明細書
【特許文献25】米国特許第5,096,592号明細書
【特許文献26】米国特許第5,130,017号明細書
【特許文献27】米国特許第5,221,481号明細書
【特許文献28】米国特許第5,290,452号明細書
【特許文献29】米国特許第5,028,685号明細書
【特許文献30】米国特許第5,128,439号明細書
【特許文献31】米国特許第5,138,023号明細書
【特許文献32】米国特許第5,241,039号明細書
【特許文献33】米国特許第5,012,035号明細書
【特許文献34】米国特許第5,012,036号明細書
【特許文献35】米国特許第5,177,296号明細書
【特許文献36】米国特許第5,180,496号明細書
【特許文献37】米国特許第5,107,058号明細書
【特許文献38】米国特許第5,107,059号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態においては、本発明は、動的膜ウェーハアセンブリおよび膜分離方法に関する。動的膜ウェーハアセンブリ(本明細書では「ウェーハアセンブリ」とも称する)は、動的薄膜高分子膜(「膜」と呼ぶ)および枠(「ウェーハ」と呼び、膜透過をできる限り妨げずに膜を支える)を含む。膜は、原料ストリーム中の所望の成分または種を、圧力勾配、濃度勾配等に応じて、膜を横切って透過するのに選択的な高分子、および所望の成分を吸着するのに選択的な吸着媒体の層を含む。そのような膜は、パーベーパレ−ションおよびパーストラクション分離と適合性がある。好ましい実施形態においては、吸着媒体は、芳香族種を吸着するのに選択的である。芳香族種を吸着するのに選択的な適切な吸着媒体には、活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ等からなる群から選択されるものが含まれる。
【0009】
薄膜高分子膜の外形は、従来型のものであり、第一の(または「上流の」)側および第二の(または「下流の」)側を含み、第一および第二の側は、連続的に、それらの周辺部に沿って結合されて、薄い要素を形成する。ウェーハは、膜周辺部を、流体流れに対してシールするための周辺部領域、および任意に、膜の片側を膜周辺部から離して保持するための少なくとも一つのリブを含む。円形または半円形のウェーハについては、例えば、リブは、(a)ウェーハの周辺部領域に取り付けられた第一および第二の端部、および(b)周辺部の取り付け部の間をつなぐコードに沿った少なくとも一つの側面を含む。リブは、膜の上流側、下流側、または上流および下流の両側面を支えうる。一実施形態においては、ウェーハアセンブリ内で一つ以上の分配堰が用いられ、原料ストリームが薄膜高分子膜付近に分配される。メッシュスクリーン(一般には膜付近に乱流を提供するための)も用いてよい。スクリーンを膜の上流側で用いる場合、スクリーンは、原料ストリームを膜へ導くのに十分に多孔質であるように、しかし微粒子汚染物をろ過するのに十分に細かいように選択される。従来のろ紙が適切である。スクリーンを膜の下流側で用いる場合、スクリーンは次の特性を有すべきである。即ち、膜の撓みを防止するための機械的剛性、膜がスクリーンに浸入するのを防止するのに十分に滑らかかつ細かなウィーブ(weave)、および熱源を膜を横切って提供するのに十分な伝熱能力である。知られるように、膜温度の増大は、膜透過の増大をもたらす。ウェーハアセンブリは、膜支持ファブリックを含んでよい。これは、好ましくは膜の上流側に配置される。一実施形態においては、リブ部材は、固体であり、それを通る内腔を有する。本方法は、流体が、リブ部材の内腔に入ることを可能にする工程、および原料ストリームがウェーハアセンブリを通って導かれている時に、原料ストリームを加熱する工程を含む。複数のウェーハアセンブリを用いる場合、ウェーハアセンブリの全てまたは殆ど全ては、そのような堰、スクリーン、支持ファブリックおよびリブ部材を、単独または組み合わせで含みうる。
【0010】
好ましい実施形態においては、薄膜高分子膜は、Teflon、ポリエステル、ナイロン、Nomex、Kevlar等の膜支持ファブリックの上に載置され、(i)膜支持ファブリックに接する多孔質金属および/または多孔質セラミック支持体物質および(ii)メッシュスクリーンを更に含む。これらは、単独で用いても、組み合わせで用いてもよい。セラミック支持体物質が好ましく、最も好ましい実施形態においては、これはコージエライト、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライト、ポルセリン、ステアライト、窒化ケイ素およびこれらの特別の組み合わせからなる群から選択される。ファブリック、多孔質支持体物質およびスクリーンを用いる場合には、リブが薄膜高分子膜を直接的に、或いは、ファブリック、多孔質支持体物質および/またはスクリーンを介して間接的に支持することを理解すべきである。
【0011】
好ましい実施形態においては、膜は、TEFLONなど高分子物質の薄い支持体に振り当てられる。膜/支持体サブアセンブリは、好ましくは、ステンレススチールスクリーンなどの薄い金属スクリーンの第一の側と接する。膜/支持体の周辺部は、スクリーンに対して張った状態に保持される。これは、膜の周辺部の方向に放射状の張力を付し、次いで張力を緩めることなく、周辺部に、例えばO−リングにより圧縮力を付して、周辺部を位置付け、膜を張った状態に保持することによる。任意のスクリーンおよび支持体が用いられる場合には、膜の周辺部側は、典型的には、任意のスクリーンおよび支持体と接する。膜の残留物側は、好ましくは、膜アセンブリの加熱されたリブ上に支持されて、膜が等温に加熱される。
【0012】
他の実施形態においては、液体原料ストリームから所望の成分を分離する方法、特に、芳香族および非芳香族炭化水素を含む液体原料ストリームから芳香族炭化水素を分離する方法が提供される。本方法は、原料ストリームを、第一のウェーハアセンブリ(残留物域および透過物域を含み、それらの間に動的膜を有する)内の残留物域に導く工程を含む。動的膜は、接触する芳香族の吸着に選択的な吸着媒体の層、および高分子膜を含む。吸着媒体は、粉末形態であってよく、吸着媒体の層は、多孔質層であってよい。吸着媒体の層は、膜の上流側と接触する。吸着媒体の層が多孔質である場合には、原料ストリームは、吸着媒体の層および膜の上流側の両方と流体接触する。何故なら、膜の上流側は、吸着層の穴を通って残留物域に暴露されるからである。原料ストリームの所望の部分(例えば芳香族部分)は、吸着媒体に吸着される。吸着媒体層または引き続く薄膜高分子層と反応しない原料ストリームの一部(本明細書では残留物と称する)を、プロセスから導き出すことができる。プロセス条件(圧力、原料ストリーム成分の相対濃度など)は、原料ストリーム中に存在する所望の成分(芳香族成分など)を、吸着媒体の層に吸着させ、次いで膜を通って膜の上流側から下流側に透過させるように制御される。例えば、膜の透過側に大気圧より低い圧力を提供するために、吸引を用いることができる。残留物側がより高い圧力にあると、膜を横切る差圧が確立され、膜を横切る上流から下流への透過がもたらされる。圧力勾配を提供するために、原料ストリームの加圧および透過物の吸引を、単独または組み合わせで用いることができる。原料ストリームの加圧を用いる場合、原料ストリームは、原料ストリームの相図の蒸気、液体または液体−蒸気の領域にあるものでもよい。吸引を用いてより低い圧力を透過物域に提供する場合、膜の下流側は、透過物蒸気を透過物域にもたらす。これは、液体透過物に凝縮しうる。従って、吸着媒体の層は、透過物域と流体(ガス状を含む)接触する。透過物域中の透過物は、蒸気状態にあってよく、その後液体に凝縮してもよい。透過物は、透過物域から導き出すこともでき、また液体または蒸気状態のいずれで導き出すこともできる。残留物ストリーム(所望の原料ストリーム成分がリーンなものでもよい)は、残留物域から導き出すことができる。
【0013】
複数のウェーハアセンブリ(それぞれ少なくとも一つの動的膜を含む)を組み合わせて用いることができる。例えば、ウェーハアセンブリを並行、連続および連続−並行の流体流回路で配置しうる。好ましい実施形態においては、残留物の全てまたは一部は、第一のウェーハアセンブリから、第一のウェーハアセンブリと並行の流体流形態で配置される第二のウェーハアセンブリに導き出される。原料ストリームは、第二のウェーハアセンブリ中の残留物域へ導かれる。プロセス条件は、第二の薄膜高分子膜の上流端部から膜の下流側、更に第二の透過物域に、第二の所望のストリーム成分(第一の所望の原料ストリーム成分と同じであってもよい)をもたらすように制御される。第二の透過物(第一の透過物と同じであってもよい)は、第二の透過物域から導き出すことができる。第二の透過物域から導き出される第二の透過物の全てまたは一部を、第一の透過物域から導き出される第一の透過物の全てまたは一部と組み合わせることができる。第二の薄膜高分子膜を通り、更に透過物域に透過する透過物ストリームがもたらされる。
【0014】
原料ストリーム分離に、二つ以上のウェーハアセンブリを並行で用いる場合、ウェーハアセンブリを横切る差圧を確立して、膜透過のための駆動力を提供することができる。そのような場合、複数のウェーハアセンブリからの透過物ストリームを、共通の中央出口管を経る吸引駆動力によって製造することができる。減圧ポンプ排出、減圧エゼクションおよび透過物蒸気の凝縮は、そのような圧力差を提供するのに適切である。透過物は、透過物域から、出口管を経て共通の中央出口管により吸引して出され、続いて必要に応じて凝縮されうる。一実施形態においては、第二のウェーハアセンブリからの透過物を、第一のウェーハアセンブリからの透過物と組み合わせ、組み合わせた透過物ストリームを、プロセスから運び出す。他の実施形態においては、ウェーハアセンブリの透過物域は、スチーム熱、高温ガス、高温油および高温液体からなる群から選択される高温媒体により加熱される。複数のウェーハアセンブリを用いる場合、その全てまたは殆ど全てで、透過物域の加熱を用いることができる。
【0015】
他の実施形態においては、芳香族を原料ストリームから分離するための装置が提供される。本装置は、第一、第二および第三のウェーハを含む第一のウェーハアセンブリを含む。第一のウェーハは、外側リムと共に第一および第二の側面を含む。第二のウェーハは、運転可能に、第一のウェーハに取り付けられ、第二のウェーハは、第一の側面および第二の側面、並びに外側リムを有する。第一のウェーハおよび第二のウェーハは、第一の空腔領域を形成する。第三のウェーハは、運転可能に、第二のウェーハに取り付けられ、第三のウェーハは、第一の側面および第二の側面、並びに外側リムを有する。その際、第二のウェーハおよび第三のウェーハは、第二の空腔領域を形成する。第一および第三のウェーハは、底流分配堰を含んでもよい。第二のウェーハは、透過物域を含む。
【0016】
本装置は、第一および第二の動的膜要素を更に含み、膜要素は、独立に選択された動的薄膜高分子膜を、Teflon、ポリエステル、ナイロン、Nomex、Kevlar等の膜支持ファブリック上に載置して含む。また任意に、(i)膜支持ファブリックに隣接する多孔質金属および/または多孔質セラミック支持体物質および(ii)メッシュスクリーンを含む。セラミック支持体物質が好ましく、最も好ましい実施形態においては、これはコージエライト、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライト、ポルセリン、ステアライトおよび窒化ケイ素の少なくとも一種である。最も好ましい実施形態においては、吸着媒体の粉末層は、活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライト、シリカゲル、アルミナおよび商業的に入手可能な他の吸着剤等からなる群から選択される。第一の膜要素が第一の空腔内に配置されて、そこに第一の残留物領域が形成され、また第二の膜要素が第二の空腔内に配置されて、そこに第二の残留物領域が形成される。
【0017】
ウェーハアセンブリをシールするためのシール手段も含まれる。シール手段は、第一および第二のウェーハの間に取り付けられたガスケット、および第二のウェーハの溝内に配置されたO−リングを含みうる。
【0018】
他の実施形態のシール手段を用いてもよい。例えば、シール手段は、第一のウェーハ上の溝内にある外側リムの横に取り付けられた第一のO−リング、および第二のウェーハ上の溝内にある外側リムの横に取り付けられた共働する第二のO−リングを含んでもよい。他の実施形態においては、シール手段は、第一のウェーハ上の一対の溝内にある外側リムの横に取り付けられた二重O−リング、および第二のウェーハ上の一対の溝内にある外側リムの横に取り付けられた共働する二重O−リングを含む。更に他の実施形態においては、第二および第三のウェーハのためのシール手段は、第二のウェーハ上の溝内にある外側リムの横に取り付けられた第一のO−リング、および第三のウェーハ上の溝内にある外側リムの横に取り付けられた共働する第二のO−リングを含む。更なる他の実施形態においては、シール手段は、第二のウェーハ上の一対の溝内にある外側リムの横に取り付けられた二重O−リング、および第三のウェーハ上の一対の溝内にある外側リムの横に取り付けられた共働する1対の二重O−リングを含む。
【0019】
本装置は、第一のウェーハアセンブリを通って配置された第一の原料管を含んでもよい。第一の原料管は、原料ストリームをウェーハアセンブリへ導く。第一の透過物管は、第一のウェーハアセンブリを通って配置される。第一の透過物管は、製造された透過物を、第一のウェーハアセンブリの透過物域から導く。
【0020】
他の実施形態においては、本装置は、タンデムの第二のウェーハアセンブリを更に含む。これは、第四、第五および第六のウェーハを含む。第四のウェーハは、第一の側面および第二の側面を有する。第五のウェーハは、運転可能に、第四のウェーハに取り付けられ、第五のウェーハは、第一の側面および第二の側面を有し、その際第四のウェーハおよび第五のウェーハは、第三の空腔領域を形成する。第六のウェーハは、運転可能に、第五のウェーハに取り付けられ、第六のウェーハは、第一の側面および第二の側面を有し、その際第五のウェーハおよび第六のウェーハは、第四の空腔領域を形成する。第四および第六のウェーハは、底流分配堰を含んでもよい。
【0021】
本アセンブリは、第一および第二のウェーハアセンブリを通って配置された再分配管を更に含み、残留物の少なくとも一部が、第一のウェーハアセンブリから第二のウェーハアセンブリへ導かれる。第三および第四の膜要素は、それぞれ、第三および第四の空腔内に載置される。
【0022】
加えて、好ましい実施形態においては、第一および第二のウェーハアセンブリは、タンデムで配置され、それによりアセンブリが、筒形の外形で形成される。外形は、円筒形の外形に限定されない。半円形、三角形、長方形、並びに正および偏多角形に基づいた柱筒形態も用いうる。次いで、タンデムウェーハアセンブリを一連のタンデムウェーハアセンブリで配置しうる。連続で配置されたタンデムウェーハアセンブリの数は、流れ容量などの設計基準による。
【0023】
ここで、動的膜ウェーハアセンブリおよび高分子膜ウェーハアセンブリの実施形態の利点と特徴につき議論する。
【0024】
いかなる理論またはモデルにも縛られることを望むものではないが、ウェーハアセンブリを、モジュール方式の「ワゴンホイール」外形で配列することは好都合であると考えられる。これは、流体のパーベーパレ−ションが起こっている膜表面に隣接した、プロセスの加熱および冷却域と密結合させることができる。そのような外形は好都合である。何故なら、(1)全アセンブリは、単一の圧力槽内に含まれ、(2)アセンブリを減圧系(例えば減圧ポンプ)に密結合させて、高度に統合された小型装置サイズを達成でき、(3)プロセスの加熱/再加熱と分離との統合は、流体の全パーベーパレーションを高めるからである。流体のパーベーパレ−ションにおいては、膜分離層を横切る熱負荷は、透過物質および運転条件(容積、蒸発熱、運転圧力に対する蒸気圧等)に従う変数である。
【0025】
いかなる理論またはモデルにも縛られることを望むものではないが、また、当該のウェーハアセンブリは、域−域シーケンス(例えばウェーハリブを加熱することによって、パーベーパレ−ションが起こっている膜表面に密結合される)に、制御可能な再加熱の柔軟性を提供すると考えられる。これは、より等温の系(効果的な透過温度をより正確に制御できる)をもたらす。バルク相の分子濃度もまた、より均一に制御され、全分離性能を高める。この等温性能を達成するための好ましい実施形態は、スチームを加熱流体として用いることである。膜系配列における種々の域が熱を必要とする場合には、スチームは迅速に凝縮し、局部的に膜および透過物を迅速に加熱することができる。
【0026】
従って、スチームなどの高温ガス、または低価値の煙道ガスは、好ましい加熱媒体として用いられる。一実施形態においては、高温ガスは、リブを経てウェーハアセンブリを通って流れ、必要な熱入力を系に供給する。一実施形態においては、別の加熱装置アセンブリ(例えば外付けフィンを有するか、または有しない蛇状コイル管設計)が、膜ウェーハに取り付けられる。フィン付き管式加熱部材の設計は、流体力学および伝熱に関して考慮すべき更なる事項を配慮して適合させることができ、またフィンの設計は、スタティックミキサー部材の設計に類似の、流体力学に関して考慮すべき更なる事項を配慮する。この実施形態においては、更なる流体の混合および乱流が、膜表面の高圧側上の薄膜境界層に好都合に影響を及ぼし、流体力学的な静止域を回避することによって、流量および選択性が高められる。
【0027】
本明細書に示される筒型タンデムウェーハアセンブリは、石油化学工業に典型的に見出されるプラントモジュール装置の規模と一致する。筒型タンデムウェーハアセンブリ(「ワゴンホイール」外形に類似する)は、大規模化可能であり、大小いずれのサイズでも製造しうる。小サイズ装置の例は、車載の自動車燃料分離装置である。
【0028】
実施形態においては、動的薄膜高分子膜は、薄膜高分子膜および薄膜吸着物質を、膜の上流側と接触して含む。これは、微細に分散された粉末の形態にあってもよく、次の層または微細に分散された物質に結合されてもよく、架橋されて膜フィルム内に多孔質層を形成してもよい。薄膜被覆、制御された熱分解、熱処理、プラズマ被覆等などの技術を、この機能を達成するのに用いうる。吸着層は、目標分子の局部的な濃度勾配を高める。薄膜吸着剤および膜フィルムは何れも、原料ストリームの中の目標成分または種に対して選択的である。層状の多孔質系は、目標分子の濃度勾配(圧力勾配等)が、分離性能を高めるように制御されることを可能にする。好ましい実施形態の一つにおいては、薄膜吸着剤は、活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライト、シリカゲル、アルミナおよび商業的に入手可能な他の吸着剤等からなる群から選択される。
【0029】
他の実施形態においては、圧力および熱スイングプロセス制御、およびそれらの組み合わせを、吸着媒体と共に用いることができる。圧力スイング方式においては、吸着媒体は、高圧および低圧(減圧)勾配を経る。高圧域においては、目標分子がバルク流体相から媒体に引き寄せられる。これらの目標分子は、低圧域に移動した際に、低圧側のバルク流体相に脱着する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、動的膜ウェーハアセンブリ、およびそのようなウェーハアセンブリの、所望の種または成分を液体原料ストリームから分離するための使用に関する。
【0031】
議論したように、膜ウェーハアセンブリは、動的薄膜高分子膜(即ち膜)および膜透過をできる限り妨げずに動的高分子膜を支持する枠(即ちウェーハ)を含む。動的薄膜高分子膜は、原料ストリームの成分または種を吸着するのに選択的な吸着剤の層、および同じ所望の成分または種を、圧力勾配、濃度勾配等に応じて透過するのに選択的な高分子を含む。
【0032】
ウェーハアセンブリ内の薄膜高分子膜で用いられる高分子は、所望の原料ストリーム成分を透過するのに選択的であるべきである。異なる原料ストリーム成分を、一つ以上のそのようなアセンブリの配列における個々のウェーハアセンブリを横切って透過することが望まれる場合には、ウェーハアセンブリは、独立に選択された高分子を含む膜を含むことができる。加えて、好ましい一実施形態においては、高分子膜は独立に、芳香族種を選択的に透過するのに有用な高分子から選択される。第二の高分子膜が用いられる場合には、その高分子を独立に選択できる。高分子の混合物を膜に用いることができる。用語「高分子」は、巨大分子という一般的な意味で用いられ、これには、例えば、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、プレポリマーおよびオリゴマーが含まれる。
【0033】
液体炭化水素の芳香族/非芳香族分離に適切な高分子の例は、次の米国特許に見出すことができる。即ち、ポリイミド/脂肪族ポリエステルコポリマーを包む特許文献4、脂肪族ポリエステルジオールおよび二無水物の架橋コポリマーを包む特許文献5、ハロゲン化ポリウレタンを包む特許文献6、ジエポキシド架橋/エステル化ポリイミド−脂肪族ポリエステルコポリマーを包む特許文献7、ポリイミド脂肪族ポリエステルコポリマーを含む特許文献8、親和性の第二のプレポリマーで伸展された尿素プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、それから製造された膜、および分離におけるその使用を含む特許文献9、芳香族を飽和分から分離するためのポリカーボネート膜を含む特許文献10、高度芳香族異方性のポリ尿素/ウレタン膜、および芳香族を非芳香族から分離するためのその使用を含む特許文献11、溶液からの沈積によって調製された薄膜複合膜を含む特許文献12、懸濁沈積によって調製された薄膜複合膜を含む特許文献1、高度芳香族異方性ポリ尿素/ウレタン膜、および芳香族を非芳香族から分離するためのその使用を含む特許文献13、高度芳香族ポリ尿素/ウレタン膜、および芳香族を非芳香族から分離するためのその使用を含む特許文献14、溶液からの沈積によって調製された薄膜複合膜を含む特許文献15、イソシアヌレート架橋ポリウレタン膜、および芳香族を非芳香族から分離するためのその使用を含む特許文献16、イソシアネレート架橋ポリウレタン膜、および芳香族を非芳香族から分離するためのその使用を含む特許文献17、懸濁沈積によって調製された薄膜複合膜を含む特許文献2、親和性の第二のプレポリマーで伸展されたイミドまたはアミド−酸プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマーから製造された膜、および分離におけるその使用を含む特許文献18、親和性の第二のプレポリマーで伸展されたオキサゾリドンプレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマーから製造された膜、および分離におけるその使用を含む特許文献19、親和性の第二のプレポリマーで伸展された尿素プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、それから製造された膜、および分離におけるその使用を含む特許文献20、親和性の第二のプレポリマーで伸展された第一のプレポリマー(エポキシをジアミンと組み合わせることによって製造される)鎖からなるマルチブロックポリマー、それから製造された膜、および分離でのその使用を含む特許文献21、高度芳香族ポリ尿素/ウレタン膜、および芳香族を非芳香族から分離するためのその使用を含む特許文献22、高度芳香族ポリ尿素/ウレタン膜、および芳香族を非芳香族から分離するためのその使用を含む特許文献23、イソシアネレート架橋ポリウレタン膜、および芳香族を非芳香族から分離するためのその使用を含む特許文献24、親和性の第二のプレポリマーで伸展されたエステルプレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、それから製造された膜、および分離におけるその使用を含む特許文献25、親和性の第二のプレポリマーで伸展された尿素プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、それから製造された膜、および分離におけるその使用を含む特許文献9、親和性の第二のプレポリマーで伸展された第一のアミド酸プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、それから製造された膜、および分離におけるその使用を含む特許文献26、エステルプレポリマー(エポキシを、親和性の第二のプレポリマーで伸展されたポリエステル鎖と組み合わせることによって調製される)を含むマルチブロックポリマー、それから製造された膜、および分離におけるその使用を含む特許文献27、架橋ポリエステルアミド膜、および有機物分離のためのその使用を含む特許文献28、ハロゲン化ポリウレタンを含む特許文献29、飽和ポリエステル、および芳香族/飽和分分離のためのそれからの架橋膜を含む特許文献30、不飽和ポリエステル、および芳香族/飽和分分離のためのそれからの架橋膜を含む特許文献31、ペンダントカルボン酸基を有しないポリイミド/脂肪族ポリエステルコポリマーを含む特許文献32、芳香族/飽和分分離のためのポリフタレートカルボネート膜を含む特許文献33、芳香族/飽和分分離のためのポリアリーレート膜を含む特許文献34、飽和ポリエステル、および芳香族/飽和分分離のためのそれからの架橋膜を含む特許文献35、不飽和ポリエステル、および芳香族/飽和分分離のためのそれからの架橋膜を含む特許文献36、膜抽出によるオレフィン/パラフィン分離を含む特許文献37、膜抽出によるイソ/ノルマルパラフィン分離を含む特許文献38である。他の適切な高分子には、ポリアクリロニトリル(「PAN」)およびポリスルホン(「PS」)が含まれる。一実施形態においては、PVAおよびPS膜は、多孔質ポリエステルなどの不織高分子支持体上に支持される。薄い(例えば、0.01マイクロメーター〜10マイクロメーター)高分子層を、選択性を高めるのに用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール(「PVA」)、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)およびセルロースエステルの薄層を用いることができる。
【0034】
動的高分子膜ウェーハアセンブリは、動的高分子膜および少なくとも一つのウェーハを含む。ここで、図面に示す、芳香族および非芳香族成分を含む液体原料からの芳香族分離に関する特定の実施形態を用いて、ウェーハを記載する。本発明は、これらの実施形態に限定されないことに留意されたい。
【0035】
一実施形態で用いるのに適切なウェーハを図1−aに示す。一つのウェーハアセンブリに、一つ超のウェーハを用いうる。ウェーハは、薄い半円形筒の外形で示されるが、他の筒形の外形が適切であることを理解すべきである。即ち、例えば、円形、三角形、長方形、正多角形、偏多角形断面などの断面を有する筒を用いることができる。ここで、図1−aを参照し、第一の外側ウェーハ2aの透視図につき記載する。第一の外側ウェーハ2aは一般に、半円形の固体部材である。第一の外側ウェーハは、半径方向の表面6に伸びる半円形外側端部4を含む。半円形の外側端部4は、リム8を含む。リム8は、ねじなどの留め具を配置するための複数の開口(例えば10に見られる)、またはO−リング溝(この図には示されない)を有する。半円形の外側端部4は、第一のくぼみ12をウェーハ2aの頂部部分(また、頂点とも呼ばれる)に含む。くぼみ12は、次に記載されるように、管状部材を受け入れるように配列される。
【0036】
ウェーハ2aはまた、第一の隅くぼみ14および第二の隅くぼみ16を含み、隅くぼみ14、16は、管状部材をも受け入れるように配列される。半径方向の表面は、中央くぼみ22と共に、第一の側面くぼみ18および第二の側面くぼみ20を含む。これは、管状部材を受け入れ、それと結合されるように運転可能に配列される。管状部材の機能は種々であり、次により完全に示される。議論したように、ウェーハ2aは、固体の背壁24を有する。換言すれば、ウェーハ2aは、板の形態である。背壁24は、それを横断する二つの底流堰、即ち底流堰26および底流堰28を有する。堰26、28は一段高い突出部であり、原料ストリームの流れパターンを変更する。これは、次により完全に示される。堰26、28はまた、ウェーハ2aの構造的支持を増大する。より大きな直径の系の場合には、更なるリブおよび管状部材のためのくぼみを提供することができる。
【0037】
図1−bは、図1−aの第一のウェーハ2aの側面図である。種々の図面に見られる同数字は、同部品を指すことに留意されたい。従って、半径方向の表面6は、くぼみ14、18、22、20および16と共に示される。図1−bはまた、背壁24に伸びるリム8を示す。また、再分配穴30a、30bが示される。図1−cを参照すると、図1−aの第一の外側ウェーハについて、反対面からの透視図が示される。図1−cは、背壁24を示す。
【0038】
ここで、図2−aを参照し、内部ウェーハ34aの透視図につき記載する。内部ウェーハ34aもまた、半円形の輪郭36であり、上部外側リム36aを有する。これは、それを通る開口(開口38など)を含み、ねじなどの留め具手段、またはO−リング溝(この図には示されない)が配置される。内部ウェーハ34aは、第一のリブ部材40および第二のリブ部材42を有する。リブ40、42は、そこを通る穿孔44、46を有する。穿孔44、46は、スチームなどの高温媒体が、リブを通って流れることを可能にし、それによりウェーハアセンブリの中身が加熱される。これは、次により完全に説明される。より大きな直径の系の場合には、更なるリブおよび管状部材のためのくぼみを提供することができる。
【0039】
内部ウェーハ34aは、頂点に、頂部くぼみ48を有して、管状部材が配置される。外側リム36aは、半径方向に平らな表面50まで伸びる。半径方向に平らな表面50は、第一の隅くぼみ52および第二の隅くぼみ54を有し、第一の側面くぼみ56および第二の側面くぼみ58を更に含む。中央くぼみ60は、そこを通る開口62と共に示される。内部ウェーハ34aは、壁を含まないが、その代わりに開口領域を有する。従って、図2−aに見られる数字64、66および68は、透過物域に対応する開口領域を表す。内部ウェーハ34aは、第一のレッジ72aおよび第二のレッジ74aを有する。
【0040】
ここで、図2−bを参照し、図2−aの内部ウェーハ34aの側面図につき記載する。半径方向に平らな表面50は、開口62と共に示される。外側リムは、上部リム表面36aおよび下部リム表面36bを含む。両リム表面36a、36bは、次により詳細に記載されるように、シール表面として資する。図2−cに見られるように、上部リム表面36aは、第一のレッジ72aおよび第二のレッジ74aに至り、下部リム表面36bは、第三のレッジ72bおよび第四のレッジ74bに至る。
【0041】
ここで、第二の外側ウェーハ76aの透視図である図3−aを参照する。好ましい実施形態においては、第二の外側ウェーハ76aは一般に、第一の外側ウェーハ2aと構造的に同じである。従って、第二の外側ウェーハ76aは、半径方向の表面80に伸びる半円形の外側端部78を含む。半円形の外側端部78および半径方向の表面80は、リム82を含み、リム82は、ねじなどの留め具を配置するための複数の開口(例えば84に見られる)を有するか、またはO−リング溝(この図には示されない)を含んでもよい。半円形の外側端部78は、ウェーハ76aの頂部部分(また、頂点とも呼ばれる)に第一のくぼみ86を含む。くぼみ86は、次により完全に示されるように、管状部材を受け入れるように配列される。管状部材の機能は種々であり、次により完全に示される。
【0042】
ウェーハ76aはまた、第一の隅くぼみ88および第二の隅くぼみ90を含み、隅くぼみ88、90は、管状部材をも受け入れるように配列される。半径方向の表面80は、中央くぼみ96と共に、第一の側面くぼみ92および第二の側面くぼみ94を含む。これは、管状部材を受け入れ、運転可能に、管状部材と結合されるように配列される。
【0043】
ウェーハ76aは、固体の背壁98を有する。換言すれば、ウェーハ76aは、板の形態である。背壁98は、それを横断する二つの底流堰、即ち底流堰100および底流堰102を有する。堰100、102は、一段高い突出部であり、原料ストリームの流れパターンを変更する。これは、次により完全に示される。堰100、102はまた、ウェーハ76aの構造的支持を増大する。より大きな直径の系の場合には、更なるリブおよび管状部材のためのくぼみを提供することができる。
【0044】
図3−bは、図3−aの第一のウェーハ76aの側面図である。先に記載したように、種々の図面に見られる同数字は、同部品を指す。従って、半径方向の表面80は、くぼみ88、94、96、92および90と共に示される。くぼみ92は、再分配開口104を有する。くぼみ94は、再分配開口105を有する。図3−cは、図3−aの第2の外側ウェーハについて、反対面からの透視図であり、この図は、固体の背壁98、同様に支持体99aおよび99bを示す。
【0045】
ここで、図4を参照し、第二のウェーハアセンブリ108とタンデムにある第一のウェーハアセンブリ106の分解側面図につき記載する。図4に見られるように、ウェーハアセンブリ106は、第一の外側ウェーハ2a、第一の膜要素110、内部ウェーハ34a、第二の膜要素112、および次いで第二の外側ウェーハ76aからなる。従って、ウェーハアセンブリは、第一の外側ウェーハ、膜要素、内部ウェーハ、膜要素、および次いで外側ウェーハからなる。第一の外側ウェーハ2aは、強化タイプのものであり、これは、ウェーハ76aより厚く、構造的にそれより強いことに留意されたい。
【0046】
図4に示されるように、第二のウェーハアセンブリ108は、第一のウェーハアセンブリ106とタンデムである。従って、第二のウェーハアセンブリ108は、第一の外側ウェーハ2b、第一の膜要素114、内部ウェーハ34b、第二の膜要素116、および第二の外側ウェーハ76bからなる。本発明の教示によれば、第一のウェーハアセンブリ106は、運転可能に、第二のウェーハアセンブリ108とタンデムで取り付けられて、タンデムウェーハアセンブリが形成される。
【0047】
複数のねじが、ウェーハアセンブリを固定するために示される。例えば、ねじ117aは、ウェーハ2aの開口117bを通ってはめ込まれ、ねじ117cは、ウェーハ76aの開口117dを通ってはめ込まれ、ウェーハ34aの開口117e/117fに共働し、そのためにウェーハ2a、34aおよび76aは共に固定される。
【0048】
図5−aは、図4に見られるタンデムウェーハアセンブリの分解側面図であり、膜要素の一実施形態を詳細に示す。図5−aは、高分子膜ウェーハアセンブリの好ましい実施形態を示す。この好ましい実施形態において、膜要素110は、原料スペーサースクリーン120a、ガスケット122a、薄膜124aおよび焼結金属部材126aを含む。焼結金属部材126aは、典型的には、電子ビーム溶接によって部材34aに取り付けられる。当業者に広く知られた他の取り付け方式も実行可能である。部材126aは(また)、多孔質金属または多孔質セラミック支持体物質から構成されうる。多孔質支持体物質は、膜ファブリックに対して、載置するように工作された平らな表面を提供する。これは、本明細書に開示される動的および高分子実施形態の両方に共通である。
【0049】
原料スペーサースクリーンは、従来のスクリーンでありうる。商業的に入手可能な金属または非金属スクリーン物質が適切である。例えば、部材126aは、Martin Kurz and Co.Inc.から、商品名DYNAPOREで得られる。グレードTWM−80からBWM−80までの、DYNAPOREの種々のグレードを用いうる。5層のスクリーンフィルター媒体から製造されたDYNAPOREグレードは、この焼結金属部材に最も好ましい実施形態である。従来のガスケット物質を、シールに用いることができる。DuPontから入手可能なVitonガスケットが適切である。焼結金属は、商業的に、Mott Corporationから商品名Sintered Metalで入手可能である。適切な動的膜を議論した。
【0050】
第二の膜要素112は、原料スペーサースクリーン128a、ガスケット130a、薄膜132aおよび焼結金属134aを含む。焼結金属部材134aは、典型的には、電子ビーム溶接によって部材34aに取り付けられる。当業者に広く知られた他の取り付け方式も実行可能である。部材134aもまた、多孔質金属または多孔質セラミック支持体物質でありうる。
【0051】
膜要素114は、原料スペーサースクリーン120b、ガスケット122b、薄膜124bおよび焼結金属部材126bを含む。焼結金属部材126bは、典型的には、電子ビーム溶接によって部材34aに取り付けられる。当業者に広く知られた他の取り付け方式も実行可能である。好ましい一実施形態においては、第二の膜要素116は、原料スペーサースクリーン128b、ガスケット130b、薄膜132bおよび焼結金属部材134bを含む。焼結金属部材134bは、電子ビーム溶接、または十分に機械的に結合する特定の他の好適な取り付け方式によって、部材34aに取り付けることができる。部材126aおよび134aもまた、多孔質金属または多孔質セラミック物質から構成されうる。
【0052】
膜要素内の異なる成分も実施可能であることに留意すべきである。例えば、膜支持ファブリックは、図5−aには示されないものの、図5−bに示されるように、膜要素の一部として含まれうる。図5−bは、次に議論される。加えて、本発明の教示通りの、膜要素内の成分の異なるシーケンスおよび/または配置もまた実施可能である。
【0053】
図5−bは、図4に見られるタンデムウェーハアセンブリの分解側面図であり、膜要素パッケージの第二の実施形態を詳細に示す。図5−bの実施形態は、動的膜を示す。この第二の好ましい実施形態においては、膜要素400は、O−リングロープ409a、ワイヤーメッシュスクリーン410a、吸着媒体の粉末層412a、膜414a、膜支持ファブリック416aおよびO−リングロープ417aを含む。また、多孔質支持体物質媒体418aが含まれる。これは、膜支持ファブリックに隣接した多孔質金属でも、多孔質セラミック支持体物質でもよい。
【0054】
従来のO−リングロープを用いることができる。即ち、American Seal Inc.から、商品名Cabresで入手可能なO−リングロープが適切である。原料スペーサー(410a)は、従来の金属または非金属スクリーン物質でありうる。従来の膜支持ファブリックを用いることができる。Teflonポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ファブリック(Gore Tex)(W.L.Gore,Inc.から入手可能である)などである。膜支持ファブリックはまた、ポリエステル、ナイロン、Nomex、またはKevlarタイプの構造であってもよい。Teflon、NomexおよびKevlarは、DuPontの登録商標である。議論したように、多孔質金属支持体物質(418a)は、従来型のものでありうる。シートまたはディスク物質の製作には、従来の製作方法を用いることができる。吸着媒体は、多孔質シート上に配置してもよく、薄膜の表面上に配置してもよい。吸着媒体は、商業的に、いくつかの販売業者から入手可能である。吸着媒体は、表面積100〜1500m/gを有する。典型的な吸着剤物質は、活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライト、シリカゲル、アルミナまたはその他の商業的に入手可能な吸着剤である。含浸吸着剤も用いうる。吸着剤物質は、ナトリウム、コバルト、モリブデン、銅などの金属で含浸しうる。適切な金属は、例えば、次の(a)〜(d)から入手可能である。即ち、(a)活性炭および含浸活性炭についてはCalgon Co.(非含浸の商品名はCal F−200およびCal F−400であり、含浸はCentur(ナトリウム含浸)である);(b)モレキュラーシーブ/ゼオライト、シリカゲルについてはGrace Co.(モレキュラーシーブ/ゼオライトの商品名は、13X、5Aその他であり、シリカゲルの商品名は、Grace Gelその他である);(c)アルミナについてはALCOA Co.(商品名は、A−200、A−400その他である);(d)ゼオライトについてはExxonMobil Co.(商品名は、ZSM−5、MCMシリーズその他である)である。
【0055】
第二の膜要素402は、O−リングロープ409b、ワイヤーメッシュスクリーン410b、吸着媒体の粉末層412b、膜414b、膜416b、O−リングロープ417bおよび多孔質支持体物質418bを含む。これは、金属またはセラミックのいずれでもよい。
【0056】
膜要素406は、O−リングロープ409c、ワイヤーメッシュスクリーン410c、吸着媒体の粉末層412c、膜414c、O−リングロープ417c、支持ファブリック膜416cおよび多孔質支持体物質418cを含む。これは、金属またはセラミックのいずれでもよい。好ましい一実施形態においては、第二の膜要素パッケージ408は、O−リングロープ409d、ワイヤーメッシュスクリーン410d、吸着媒体の粉末層412d、膜414d、膜支持ファブリック416d、O−リングロープ417dおよび多孔質支持体物質418dを含む。これは、金属またはセラミックのいずれでもよい。膜要素内の異なる成分または異なるシーケンスが実施可能であることに留意されたい。
【0057】
図5−cは、図5−bに見られる動的実施形態を通る流れの概略図である。流れストリーム「F」は、粉末吸着媒体を通り、次いで薄膜高分子膜を通り、更に次いで膜ファブリックを通り、次には多孔質支持体を通って流れる。
【0058】
ここで図6を参照すると、タンデム接続された二つの内部ウェーハの平面図が示される。従って、34aなどの内部ウェーハと第二の内部ウェーハ34bは、運転可能に取り付けられる。いくつかの取り付け方法が実施可能である。これには、管状部材148および149の外側に配列されたボルト/ねじ302、304が含まれる。これは、好ましい実施形態である。別の方法は、ウェーハ34aおよび34bにねじ留め/ボルト留めされた開いた長方形ピンまたはハープでありうる。圧縮帯も用いうる。ウェーハ34a、34bのいずれも半円形であるので、二つの結合されたウェーハは、概して円形断面を有する筒形アセンブリを形成する。この筒形アセンブリは、装置全体が圧力槽135内に配置されることを可能にする。従って、これにより前記槽135内の空間および容積が最大にされる。換言すれば、筒形アセンブリは、大量の原料ストリームを圧力槽内で処理するのに最大効率の形態である。槽135は、環形領域A内に配置されたスチームなどの高温媒体を有してもよい。
【0059】
図6は、透過物を管状部材140中へ通すための開口140aおよび140bと共に、中央くぼみ60aおよび60b(透過物のための管状部材140を配置するための筒形通路を形成する)を示す。また、くぼみ48aは、そこに、入口原料のための管状部材142を有する。くぼみ48bは、そこに、原料(残留物)出口のための管状部材144を有する。くぼみ52aおよび52bは、そこに、スチーム供給のための管状部材146を有する。くぼみ54aおよび54bは、スチーム供給のための管状部材148を有する。側面くぼみ56aおよび56bは、再分配管状部材150を有する。側面くぼみ58a、58bは、再分配管状部材152を有する。
【0060】
管状部材142は、原料ストリームをウェーハに導く。管状部材144は、原料ストリーム(残留物)のための出口チャネルである。管状部材146および148は、補足スチーム供給入口である。管状部材150および152は、残留物を、ウェーハ34aの領域からウェーハ34bの領域へ再分配するための再分配チャネルである。これは、次により完全に記載される。取り付け板306、308もまた、管状部材144、142を固定するのに用いられる。
【0061】
ここで、図7−aを参照し、直列に配置されるタンデムウェーハアセンブリの概略側面図につき記載する。図7−aは、ウェーハアセンブリを示す。これは、端部ウェーハ160を含む。それは、端部ウェーハ164に取り付けられた内部ウェーハ162に取り付けられる。端部ウェーハ160は、二つの支持体突出物、即ち構造上の支持を提供するための166および168を有し、他のウェーハアセンブリからの異なる面上の逆の支持体突出物の組と共働する。端部ウェーハ164は、二つの支持体突出物、即ち構造上の支持を提供するための170および172を有し、異なる面上の逆の支持体突出物の組と共働する。このウェーハアセンブリは、W1と表される。
【0062】
タンデムの逆のウェーハアセンブリは、端部ウェーハ174を含む。これは、端部ウェーハ178に取り付けられた内部ウェーハ176に取り付けられる。端部ウェーハ174は、二つの支持体突出物、即ち構造上の支持を提供するための176および178を有し、異なる面上の逆の支持体突出物の組と共働する。端部ウェーハ178は、二つの支持体突出物、即ち構造上の支持を提供するための180および182を有し、異なる面上の逆の支持体突出物の組と共働する。このウェーハアセンブリは、W2と表される。
【0063】
ウェーハアセンブリW3およびW4が示される。ウェーハアセンブリW3およびW4は、実質的にW1およびW2と同じである。ウェーハアセンブリW3は、運転可能に、ウェーハアセンブリW4に取り付けられる。図7−aは、原料ストリームの流れ抜けを示す。より詳しくは、原料ストリームは、入口チャネル142を経て、190、192として示される矢印を通って入る。ここで、図7−bを参照し、タンデムウェーハアセンブリW3、W4の概略正面図につき記載する。図7−bに見られるように、W3からの原料/残留物液体は、再分配チャネル150および152を経てW3から流出し、これらのチャネル150、152を経てW4に入る。即ち、透過物はW3およびW4から流出し、管状部材140に流入する。
【0064】
図7−aに戻ると、原料ストリームは、矢印194、196によって表示されるように、出口チャネル144を経て出る。膜要素を通って透過する原料ストリームの一部は、チャネル140を経て出る。これは、数字198および200によって示される。本発明の教示により、この流れパターンは、図7−aに示されるように、全ウェーハアセンブリ(W1−W2、W5−W6、W7−W8)について類似である。
【0065】
図7−aは、ウェーハアセンブリW5を示す。これは、運転可能に、ウェーハアセンブリW6に取り付けられる。最終的に、ウェーハアセンブリW7は、運転可能に、ウェーハアセンブリW8に取り付けられて示される。ウェーハアセンブリW5およびW6は、本質的にW3およびW4と同じであり、ウェーハアセンブリW7およびW8は、本質的にウェーハアセンブリW5およびW6と同じである。但し、W7ウェーハアセンブリにおける端部ウェーハ2aは強化タイプであり、W8における端部ウェーハ2bもまた強化タイプである。内部ウェーハ34aおよび34b、並びに外側ウェーハ76a、76bもまた示される。
【0066】
図7−aは、ウェーハがタンデムで配置され、次いでタンデムウェーハアセンブリは直列で配置されることを示す。換言すれば、ウェーハW1は、ウェーハW2とタンデムである。タンデムウェーハアセンブリを直列で加えることによって、実質的に、装置の流れ容量が増大される。図7−aはまた、支持体突出物が、隣接するウェーハ上にあるが異なる面にある隣接する支持体突出物と、いかに共働するかを示す。例えば、端部ウェーハ164の支持体突出物170および172は、背壁350に接し、端部ウェーハ210のウェーハ突出物206および208は、ウェーハ164の背壁351に接する。これは、強度を増し、タンデムウェーハアセンブリが連続してしかるべき所に押し付けられる際の圧縮荷重を分配する。
【0067】
ここで、図8を参照し、管状部材に沿って直列に配置されたタンデムウェーハアセンブリの透視図につき記載する。この図においては、ウェーハアセンブリW1、W2、W3、W4、W5、W6、W7およびW8が示される。ウェーハW7の端部ウェーハ2aおよびウェーハW8の端部ウェーハ2bは、強化タイプのものであることに留意されたい。原料入口管142、透過物管140および原料出口管144が図8に示される。ストッパー板244および連結板246は、再分配チャネル150、152と共に示される。
【0068】
図9は、図8に見られるタンデムウェーハアセンブリの部分破断図である。従って、ウェーハアセンブリW1、W2、W3、W4、W5、W6、W7およびW8が示される。この部分断面図は、ノズル220、222、224、226、228、230、231、232、233および234と共に、再分配チャネル152を示す。これらのノズルは、原料(残留物)を、第一のウェーハアセンブリからタンデムで配置された第二のウェーハアセンブリに導く。例えば、原料は、ノズル224およびノズル226を経て、ウェーハアセンブリW1からウェーハアセンブリW2に導かれる。加えて、透過物チャネル140は、ノズル236、238、240、242および243と共に示され、ウェーハアセンブリから製造される透過物(最終的に装置から製造されるもの)が、透過物域(透過物域262は図10に示される)から透過物チャネル140に導かれる。
【0069】
図9においては、第一のストッパー板244は、連結板246で補強される。ストッパー板244および連結板246は、好ましい一実施形態において、一連のタンデムウェーハアセンブリを適切に圧縮するのを補助するために加えられる。連結板250で補強された第二のストッパー板248が示される。ストッパー板248および連結板250は、反対側に加えられ、一連のタンデムウェーハアセンブリが逆に圧縮される。好ましい一実施形態においては、連結板は、二つの半分からなる。これは、一般に留め具手段(ナットおよびボルトなど)によって取り付けられる。ストッパー板244、248はまた、留め具手段(ナットおよびボルトなど)によってウェーハアセンブリに取り付けられる。ストッパー板は、ウェーハW1〜W8のアセンブリに、更なる機械的完全性を提供する。
【0070】
ここで、図10を参照し、一連のタンデムウェーハアセンブリを通る流れパターンについての、好ましい実施形態の断面図につき記載する。従って、運転可能に内部ウェーハ34aに取り付けられた第一の外側ウェーハ2aが示される。内部ウェーハ34aは次に、前記したように、運転可能に、ウェーハアセンブリW7の第二の外側ウェーハ76aに取り付けられる。第一の膜要素110は、ウェーハ2aとウェーハ34aの間に設けられた第一の空腔内に配置される。第二の膜112は、ウェーハ76aとウェーハ34aの間に設けられた第二の空腔内に配置される。
【0071】
原料ストリームは、通路260を通って導かれる。堰26および堰28は、原料ストリームに乱流を経させる。ストリームの一部は、膜110と反応し、このように製造された透過物は、透過物域262に導かれる。これは次いで、ノズル243を経て透過物管140に導かれる。透過物通路は、矢印「P」によって示される。膜要素110を通って透過しない原料ストリームの一部は、残留物として知られ、この残留物は、通路矢印「R」によって示される残留物領域を通って流れる。
【0072】
設計により、入ってくる原料ストリームもまた、通路263を通って導かれる。堰102および堰100は、原料ストリームに乱流を経させる。ストリームの一部は、膜112と反応し、このように製造された透過物は、透過物域262へ、次いでノズル243を経て透過物管140に導かれる。先に示したように、透過物流路は、矢印Pによって示される。未反応の入口流体ストリームの一部(先に言及したように、残留物として知られる)は、残留物領域を通って流れる。これは、通路矢印Rによって示される。
【0073】
好ましい実施形態においては、第一のウェーハアセンブリW7からの残留物は、再分配チャネル150、152(チャネル150は、図10には示されない)を経て、タンデムウェーハアセンブリW8へ導かれ、そこでそれは、再度、原料ストリーム(残留物)が堰および膜要素に曝される類似のプロセスに曝される。透過物は、透過管140へ導かれ、残留物は、出口チャネル144へ導かれる。
【0074】
図10に例証されるように、類似の流れパターンが、全てのタンデムウェーハアセンブリに存在する。より詳しくは、図10はまた、ウェーハW5およびW6の流れパターンを示す。矢印Pは、透過物通路の流れを示し、矢印Rは、ウェーハアセンブリW5、W6、W7およびW8に対する残留物の流れを示す。例えば、残留物は、ノズル233を経てウェーハW7を出て、ノズル400を経て入る。残留物は、結局、ノズル402を経てウェーハW8を出て、出口チャネル144に入る。透過物は、ノズル404を経て透過物管140に入る。加えて、凝縮器および真空ポンプ300もまた、図10に示される。これは、透過物チャネル140に、次いで透過物域に吸引を提供する。
【0075】
図11−aにおいては、ウェーハアセンブリのシール部材についての、第一の実施形態をここに記載する。図11−aに示されるシール部材は、技術的に周知のガスケット270である。ウェーハ2aは、その周辺部上にリム272を含み、内部ウェーハ34aは、その周辺部上に逆のリム274を含む。スクリーン276(例えば、膜要素パッケージ110または膜要素パッケージ400の成分であってよい)は、ウェーハ34aのレッジ表面277a内に配置されるように配列されて示される。薄膜は、数字278によって示される。従って、ガスケット270は、リム272および274の間に置かれて、シール手段が提供される。ガスケット270は、Viton、または所望の原料ストリーム、透過物、残留物およびプロセス条件を用いる運転に適切な他のエラストマーでありうる。
【0076】
ウェーハアセンブリのシール部材についての第二の実施形態が、図11−bに示される。この実施形態においては、スクリーン276は、数字280によって示される膜要素と共に用いられる。ガスケット270が、再度用いられる。この実施形態においては、第二のレッジ282は、リム274内に配列される。O−リング284は、この第二のレッジ内に置かれ、スクリーン276によって接触される。O−リング284は、膜要素280に押し付けられ、更にガスケット270に押し付けられることから、第二のシールメカニズムを提供する。O−リングは従来からあるものであり(即ち当業界では大変よく知られている)、商標VitonとしてDuPont社から商業的に入手できる。
【0077】
図11−cにおいては、ウェーハアセンブリのシール部材についての第三の実施形態が示される。この実施形態においても、O−リング284はレッジ282内に配置される。ウェーハ2aにおいては、二つの溝が、リム272内に配列される。即ち、溝286および溝288である。O−リング290は、溝286内に置かれ、O−リング292は、溝288内にある。この実施形態は、O−リング290およびO−リング284が、シール手段として共働することを可能にする。O−リング292は、予備のシールを提供し、シールがO−リング292および膜要素280の間に生じる。
【0078】
本明細書に記載される膜は、所望の成分または種を液体原料から分離するのに有用である。パーストラクションおよびパーベーパレーション分離を用いうる。
【0079】
パーストラクション分離においては、透過物は、液体スイープストリームを用いて透過物域から除去される。透過物は、スイープストリームに溶解し、スイープストリーム流によって導き出されて、透過物域における透過物の蓄積が防止される。スイープ液体は、好ましくは、透過物に親和性があり、かつそれと混和性である。パーベーパレーションにおいては、透過物は、透過物域から蒸気として導き出される。真空または減圧が、透過物域に保持される。原料ストリーム中の所望の種または成分は、膜を横切って移動する際に蒸発する。パーベーパレーションにおいては、残留物域における原料ストリームと、透過物域における透過物の分圧の間の蒸気圧の差が、膜を横切る所望の種または成分の移動をもたらす。膜は、平らなシートとして記載されたものの、分離プロセスは、らせん形または中空繊維など、実行可能ないかなる形態の膜をも用いうる。
【0080】
膜分離は、膜が物理的に損傷し、または分解する温度未満の温度で生じるべきである。炭化水素分離については、膜温度は、25℃〜500℃、好ましくは25℃〜250℃の範囲である。
【0081】
本方法は、所望の種または成分を原料ストリームから分離するのに有用である。詳しくは、本方法は、所望の種または成分を炭化水素原料ストリームから分離するのに有用である。一実施形態においては、芳香族が、炭化水素原料ストリームから分離される。
【0082】
本明細書で用いられる用語「炭化水素」とは、主に炭化水素の特徴を有する有機化合物を意味する。従って、一種以上の非炭化水素基(例えば硫黄または酸素)を含む有機化合物は、この定義の範囲内にある。本明細書で用いられる用語「芳香族炭化水素」とは、少なくとも一つの芳香族環を含む炭化水素基有機化合物を意味する。環は、縮合されていても、架橋されていても、縮合と架橋の組み合わせであってもよい。好ましい実施形態においては、炭化水素原料から分離される芳香族種は、一つまたは二つの芳香族環を含む。「非芳香族炭化水素」とは、芳香族核を全く有しない炭化水素基有機化合物を意味する。一実施形態においては、炭化水素原料ストリームは、25℃〜250℃の範囲の沸点を有し、芳香族および非芳香族炭化水素を含む。好ましい実施形態においては、芳香族炭化水素は、ナフサ(25℃〜250℃の範囲で沸騰し、芳香族および非芳香族炭化水素を含む)から分離される。本明細書で用いられる用語「ナフサ」には、25℃〜100℃で沸騰する軽質ナフサ、100℃〜160℃で沸騰する中間ナフサ、および160℃〜250℃の範囲で沸騰する重質ナフサが含まれる。用語ナフサには、熱分解ナフサ、接触分解ナフサおよび直留ナフサが含まれる。流動接触分解プロセス(「FCC」)から得られるナフサは、その高い芳香族含有量のために特に好ましい。
【0083】
好ましい実施形態においては、ナフサ原料ストリーム中に存在する芳香族は、優先的に、動的薄膜高分子膜の残留物側で選択的吸着媒体層に吸着する。残留物域の圧力は、大気圧〜100psigの範囲である。動的薄膜高分子膜の温度は、25℃〜250℃の範囲である。ナフサ原料ストリームから分離された芳香族は、透過物域から導き出される。透過物域の圧力は、大気圧〜1.0mmHgの範囲である。
【0084】
本発明は、特定の実施形態に関して記載されているが、そのように限定されるものではない。特定の状況下における実施のための好適な代替・修正は、当業者にとって自明である。従って請求項は、本発明の真の精神および範囲内に入る全てのそのような別形態および修正形態を包含すると解釈されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1−a】第一の外側ウェーハの透視図である。
【図1−b】図1−aの第一のウェーハの側面図である。
【図1−c】図1−aの第一の外側ウェーハの、反対面からの透視図である。
【図2−a】内部ウェーハの透視図である。
【図2−b】図2−aの内部ウェーハの側面図である。
【図2−c】図2−aの内部ウェーハの、線2C−2Cで切り取った断面図である。
【図3−a】第二の外側ウェーハの透視図である。
【図3−b】図3−aの第二の外側ウェーハの側面図である。
【図3−c】図1−aの第一の外側ウェーハの、反対面からの透視図である。
【図4】二つのウェーハアセンブリの分解側面図である。
【図5−a】図4の二つのウェーハアセンブリの分解側面図である。これは、膜要素の一実施形態を詳細に示す。
【図5−b】図4の二つのウェーハアセンブリの分解側面図である。これは、膜要素の第二の実施形態を詳細に示す。
【図5−c】図5−bの第二の実施形態を通る流れの概略図である。
【図6】タンデムにある二つの内部ウェーハの平面図である。
【図7−a】連続に配置されたタンデムウェーハアセンブリの概略側面図である。
【図7−b】図7−aのタンデムウェーハアセンブリの一つの概略正面図である。
【図8】管状部材に沿って直列に配置されたタンデムウェーハアセンブリの透視図である。
【図9】図8のタンデムウェーハアセンブリの部分切り取り図である。
【図10】タンデムウェーハアセンブリを通る流れパターンの好ましい実施形態の、図6の線10−10で切り取った断面図である。
【図11−a】ウェーハアセンブリのシール部材の、第一の実施形態である。
【図11−b】ウェーハアセンブリのシール部材の、第二の実施形態である。
【図11−c】ウェーハアセンブリのシール部材の、第三の実施形態である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ストリームからの所望の種の分離方法であって、
(a)原料ストリームを、動的膜を含む残留物域に導く工程であって、前記動的膜は、(i)前記残留物域と流体接触し、前記所望の種を吸着するのに選択的な吸着剤層、および(ii)前記所望の成分を透過するのに選択的であり、前記吸着剤層と接触した上流側、および下流側を含む薄膜高分子膜を含む工程;
(b)前記所望の種を前記吸着剤層上に吸着し、前記所望の種を、前記薄膜高分子膜を通して下流側に透過する工程;および
(c)前記所望の種を、前記薄膜高分子膜の下流側と流体接触した前記透過物域から導き出す工程
を含むことを特徴とする分離方法。
【請求項2】
(a)前記残留物域から、残留物ストリームを、第二の動的膜を含む第二の残留物域に導く工程;および
(b)前記所望の種を、前記第二の透過物域から導き出す工程
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の分離方法。
【請求項3】
前記吸着剤層は、活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライト、シリカゲル、アルミナおよびそれらの混合物からなる群から選択される粉末吸着媒体を含み、前記薄膜高分子膜は、多孔質金属物質、多孔質セラミック物質およびそれらの組み合わせからなる群から選択される支持体物質を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の分離方法。
【請求項4】
前記原料ストリームは、芳香族および非芳香族炭化水素を含み、前記所望の種は、芳香族炭化水素であり、前記薄膜高分子膜は、ポリイミド/脂肪族ポリエステルコポリマー、脂肪族ポリエステルジオールおよび二無水物の架橋コポリマー、ハロゲン化ポリウレタン、ジエポキシド架橋/エステル化ポリイミド−脂肪族ポリエステルコポリマー、ポリイミド脂肪族ポリエステルコポリマー、親和性の第二のプレポリマーで伸展された尿素プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、ポリカーボネート、高度芳香族異方性ポリ尿素/ウレタン膜、高度芳香族性ポリ尿素/ウレタン膜、イソシアヌレート架橋ポリウレタン膜、イソシアネレート架橋ポリウレタン膜、親和性の第二のプレポリマーで伸展されたイミドまたはアミド−酸プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、親和性の第二のプレポリマーで伸展されたオキサゾリドンプレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、親和性の第二のプレポリマーで伸展された尿素プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、親和性の第二のプレポリマーで伸展され、エポキシをジアミンと組み合わせることによって調製された第一のプレポリマー鎖からなるマルチブロックポリマー、高度に芳香族質のポリ尿素/ウレタン、親和性の第二のプレポリマーで伸展された第一のアミド酸プレポリマー鎖を含むマルチブロックポリマー、エポキシを親和性の第二のプレポリマーで伸展されたポリエステル鎖と組み合わせることによって調製されたエステルプレポリマー、架橋ポリエステルアミド膜、ハロゲン化ポリウレタン、飽和ポリエステルおよび架橋膜、不飽和ポリエステルおよび架橋膜、ペンダントカルボン酸基を有しないポリイミド/脂肪族ポリエステルコポリマー、ポリフタレートカルボネート膜、ポリアリレート膜およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分離方法。
【請求項5】
前記第一および第二の動的膜はそれぞれ、第一および第二のウェーハアセンブリを含み、前記第一および第二のウェーハアセンブリの少なくとも一つは、少なくとも一つの底流分散堰を更に含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の分離方法。
【請求項6】
前記第一および第二のウェーハアセンブリの少なくとも一つは、吸着媒体の前記第一および第二の粉末層の次に配置されたワイヤメッシュスクリーンを含むことを特徴とする請求項5に記載の分離方法。
【請求項7】
前記第一および第二のウェーハアセンブリの少なくとも一つは、Teflon、ポリエステル、ナイロン、Nomex、Kevlarおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される膜支持ファブリックを含み、前記膜支持ファブリックは、前記薄膜高分子膜と前記多孔質支持体の間に位置することを特徴とする請求項5または6に記載の分離方法。
【請求項8】
(i)前記少なくとも一つのウェーハアセンブリは、膜を周辺部から離して支持するための少なくとも一つのリブ膜を含み、
(ii)前記少なくとも一つのリブ部材は、それを通る内腔を含み、
伝熱ストリームを内腔を通して導いて、原料ストリームを加熱する工程を更に含み、前記伝熱ストリームは、スチーム熱、高温ガス、高温油および高温液体の少なくとも一種であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の分離方法。
【請求項9】
前記透過物域から、第一および第二の透過物ストリームを吸引する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の分離方法。

【図1−a】
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【図1−b】
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【図1−c】
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【図2−a】
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【図2−b】
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【図2−c】
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【図3−a】
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【図3−b】
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【図3−c】
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【図4】
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【図5−a】
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【図5−b】
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【図5−c】
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【図6】
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【図7−a】
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【図7−b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−a】
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【図11−b】
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【図11−c】
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【公表番号】特表2007−516072(P2007−516072A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539739(P2006−539739)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/037329
【国際公開番号】WO2005/049179
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】