説明

包装されたクレープ菓子

【課題】持ち運びが容易であり、作製されるクレープ菓子の大きさの変化に対応することができ、しかも、クレープ菓子を容易に取り出すことのできる、包装されたクレープ菓子を提供する。
【解決手段】包装されたクレープ菓子は、略円錐形状のクレープ菓子1と、クレープ菓子1を収容するための、上方が開口した略円錐形状の包装体3と、クレープ菓子1の高さよりも大きな高さを有する略円錐形状の部分を少なくとも含む、クレープ菓子1及び包装体3を収容するための密閉した袋体2を含む。袋体2は、クレープ菓子1の上端よりも上方の位置に、袋体2を開封するための切欠部2fを有する。包装体3は、クレープ菓子1の上端よりも上方に突出する突出部3aを有する。袋体2の内部空間4には、空気等のガスが満たされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の具材をクレープ生地によって略円錐形状に巻き込んでなるクレープ菓子を、密閉して収容してなる包装されたクレープ菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バナナ等のフルーツや生クリーム等の所望の具材を、略円板状に焼き上げたクレープ生地によって、略円錐形状に巻き込んでなるクレープ菓子が知られている。
クレープ菓子は、通常、購入者が具材の種類を決めて注文を出した後に店員によって作製され、上方が開口した略円錐形状の紙製の包装紙に収容して提供されている。
一方、ソフトクリームの可食コーンの如き略円錐形状の部分を有する食品を収容するための包装用容器が、知られている。
例えば、酸素ガスや水分等の遮断と易開封機能を与えるために、特定の円錐形状の外装体と特定の円錐形状の内装体の2重構造からなる包装体が、提案されている(特許文献1)。この包装体は、アイスクリーム等の菓子類の包装に用いられる円錐形状のものである。
また、保形性に優れ、ソフトクリーム類を支障なく入れることができるなどの利点を有する冷菓子用コーンを提供するために、冷菓子用コーンと該冷菓子用コーン内に入れられるソフトクリーム類とからなり、冷菓子用コーン内の小径側の内周面に当接する可食性充填材を差し込み、冷菓子用コーンの外周面に包装紙を嵌着し、前記可食性充填材と前記包装紙とにより冷菓子用コーンの側壁を挟着し得るようにした技術が、提案されている(特許文献2)。この場合、冷菓子用コーン及びソフトクリーム類は、コーン型の容器本体とその上面に被さるキャップとから構成される合成樹脂製の包装用容器に入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−101131号公報
【特許文献2】特開2004−215502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のクレープ菓子は、略円錐形状の紙製の包装紙に収容しただけの状態で提供されるため、持ち運びが不便であった。特に、複数のクレープ菓子を持ち運ぶことは、安定性が悪く、困難であった。
一方、クレープ菓子は、注文毎に手作業で作製されるものであり、具材の種類、量等によって、大きさ(具体的には、円錐形状の高さまたは太さ)が異なることがある。そのため、クレープ菓子の全体を包装するためには、クレープ菓子の大きさの変化に対応可能な包装手段を用いることが必要である。また、このような包装手段は、クレープ菓子を容易に取り出せるように構成されていることも必要である。
そこで、本発明は、持ち運びが容易であり、作製されるクレープ菓子の大きさの変化に対応することができ、しかも、クレープ菓子を容易に取り出すことのできる、包装されたクレープ菓子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記の課題を解決するために検討した結果、クレープ菓子を収容するための特定の包装体と、該包装体及びクレープ菓子を収容するための特定の密閉した袋体とを組み合わせて用いれば、前記の課題を解決しうることに想到し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1] 下端が頂点であり上方に向かって拡径した略円錐形状のクレープ菓子と、該クレープ菓子を収容するための、上方が開口した略円錐形状の包装体と、前記クレープ菓子の高さよりも大きな高さを有する略円錐形状の部分を少なくとも含む、前記クレープ菓子及び前記包装体を収容するための密閉した袋体と、を含むことを特徴とする包装されたクレープ菓子。
[2] 前記袋体が、前記クレープ菓子の上端よりも上方の位置に、当該袋体を開封するための切欠部を有する前記[1]に記載の包装されたクレープ菓子。
[3] 前記包装体が、前記クレープ菓子の上端よりも上方に突出する突出部を有する前記[1]又は[2]に記載の包装されたクレープ菓子。
[4] 前記袋体の内部空間にガスを満たしてなる前記[1]〜[3]のいずれかに記載の包装されたクレープ菓子。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装されたクレープ菓子は、密閉した袋体内にクレープ菓子が安定して収容されているので、持ち運びが容易である。複数のクレープ菓子を同時に持ち運ぶことも可能である。
また、本発明の包装されたクレープ菓子は、密閉した袋体が、クレープ菓子の高さよりも大きな高さを有する略円錐形状の部分を少なくとも含むため、手作業で作製されるクレープ菓子の大きさの変化に対応することができる。
さらに、本発明の包装されたクレープ菓子は、上方が開口した略円錐形状の包装体を含むため、開封時に袋体からクレープ菓子を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の包装されたクレープ菓子の一例を示すものであり、図中の(A)は、袋体の中にクレープ菓子及び包装体を収容する前の状態を示す正面図、図中の(B)は、袋体の中にクレープ菓子及び包装体を収容して密閉した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の包装されたクレープ菓子の一例を図面を参照して説明する。
図1中、符号1はクレープ菓子を示す。符号2は、クレープ菓子及び包装体を収容して密閉するための袋体を示す。符号3は、クレープ菓子2を収容するための包装体を示す。
包装体3は、クレープ菓子1の形状に合うように形成された、上方が開口した略円錐形状のものであり、例えば、紙製シート、合成樹脂製シート等を加工することによって作製することができる。
包装体3は、クレープ菓子1の上端よりも上方に突出する突出部3aを有する。本発明の包装されたクレープ菓子の開封時には、突出部3aを把持して上方に引っ張ることによって、袋体2の中からクレープ菓子1及び包装体3を容易に引き出すことができる。また、包装体3は、クレープ菓子1の保形性の維持、及び、袋体2への収容時の衛生及び作業性の向上の観点からも、有益である。
【0009】
袋体2は、クレープ菓子1を収容した場合の下端を頂点2aとする二等辺三角形状を有する表裏一対の透明な合成樹脂製フィルムによって構成されている。
袋体2は、図1中の(A)に示すように、クレープ菓子1を収容する前の時点では、表裏一対の可撓性を有する合成樹脂性フィルムが、頂点2aを挟む縁辺部2b,2cにて予め熱融着等によって接合され、かつ、上縁2d,2dにて接合されていないものとして構成されている。そのため、上縁2d,2dによって形成された開口部である上方収納口2eを通じて、作製直後のクレープ菓子1、及び包装体3を収容することができる。
クレープ菓子1及び包装体3を、上方収納口2eを通じて袋体2の中に収容した後、袋体2は、クレープ菓子1及び包装体3の形状と同様な略円錐形状となるため、図1中の(B)に示すように、上縁2d,2d同士を包装用熱融着機等の密閉手段を用いることによって、密閉した袋体を形成することができる。
なお、表裏一対の合成樹脂性フィルムを融着させて得た袋体2は、内部に空気等のガスを満たして密閉した状態において、図1中の(B)に示すように、上端の面の中央と、円錐面の上部の左右一対の箇所に、内方に凹んだ窪み(図中に符号を付していない。)を有することになる。このうち、袋体2の円錐面の上部の左右一対の窪みは、クレープ菓子1の位置を固定させる作用を有する。
【0010】
クレープ菓子1及び包装体3を収容した状態の袋体2は、クレープ菓子1の高さよりも大きな高さを有する略円錐形状の部分を少なくとも含むものである。このように構成することによって、クレープ菓子1の大きさが作製毎に変化する場合であっても、クレープ菓子1を袋体2の中に確実かつ安定して収容することができる。
なお、袋体2における略円錐形状の部分とは、クレープ菓子1の円錐面の全体を延長した面に対応する部分であり、例えば、図1中の(B)においては、袋体2の下端から、上端の面の中央の窪みの底までの部分をいう。
袋体2の略円錐形状の部分の高さは、クレープ菓子1の高さに対して、好ましくは1.1倍以上である。袋体2の略円錐形状の部分の高さの上限は、クレープ菓子1の大きさの変化の幅、及び、袋体2の大きさが過大にならない範囲を考慮すると、クレープ菓子1の高さに対して、通常、1.4倍以内である。
なお、クレープ菓子1の大きさの変化の幅は、クレープ生地の直径、及び、具材の種類及び量を考慮することによって、想定することができる。具材の例としては、バナナ等のフルーツや、生クリームや、ハム・ソーセージ類等が挙げられる。
クレープ菓子1は、高さの変化だけでなく、その上端の面の直径が変化したとしても、袋体2の中に安定して収容することができる。その理由は、袋体2が、クレープ菓子1の円錐面を延長した面に沿うように上方に向かって拡径した略円錐形状を有するため、クレープ菓子1の上端の面の直径が変化したとしても、クレープ菓子1の外周面と袋体2の内周面とが常に当接して、クレープ菓子1が袋体2によって確実に支持されるからである。
【0011】
密閉した袋体2の内部空間には、空気、窒素ガス等のガスが充填されている。このため、袋体2の上部には、押圧しても一定の体積が維持される内部空間4が形成される。この内部空間4の高さ(図1中の(B)に示す例では、クレープ1の上面から、袋体2の上端の面の中央の窪みの底までの距離)は、通常、2〜5cmである。
ガスが充填された内部空間4は、クレープ菓子の購入者が持ち運びの際に押圧した場合などにおいて、本発明の包装されたクレープ菓子の保形性を維持する作用を有する。特に、複数のクレープ菓子を持ち運ぶ際に、保形性の維持に大いに役立つものである。また、自動車の車内の座席上に、本発明の包装されたクレープ菓子を横向きに載置した場合などであっても、ガスが充填された内部空間4が存在することによって、クレープ菓子が変形したり、具材が崩れ落ちるのを効果的に抑制することができる。
【0012】
袋体2は、クレープ菓子1の上端よりも上方の位置に、袋体2を開封するための切欠部2fを有する。切欠部2fによって、袋体2の開封を容易に行なうことができるとともに、クレープ菓子1を取り出すことが容易となる。
なお、袋体2の上縁2d,2d同士を熱融着等によって接合した後に形成される二つの角部2g,2gは、下方又は上方に折り曲げて、袋体2の円錐面又は上面にテープ等で貼り付けることによって、上面が略長方形状の頭部を形成することができる。この場合、上述の袋体2の窪み(図1中の(B)参照)を解消し、かつ、袋体2の剛性を高めることができる。なお、この場合であっても、袋体2の下端から上端まで、略円錐形状が保たれているものとする。
また、袋体2の上縁2dの上下方向の幅を大きくして、上縁2dの左右方向の中央に小さな丸孔を設ければ、この丸孔を利用して、店頭で片持ち梁状に水平方向に配設した棒状体に、本発明の包装されたクレープ菓子を吊り下げて陳列することもできる。また、袋体2を上方から挿入しうる丸孔を有する紙製等の折り畳み可能な簡易なスタンドを用いて、本発明の包装されたクレープ菓子を立てて陳列したり、あるいは、当該スタンドをクレープ菓子の付属サービス品として提供し、購入者が自ら利用することもできる。
【符号の説明】
【0013】
1 クレープ菓子
2 袋体
2a 頂点
2b,2c 縁辺部
2d 上縁
2e 上方収納口
2f 切欠部
2g 角部
3 包装体
3a 突出部
4 ガスを充填した内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端が頂点であり上方に向かって拡径した略円錐形状のクレープ菓子と、
該クレープ菓子を収容するための、上方が開口した略円錐形状の包装体と、
前記クレープ菓子の高さよりも大きな高さを有する略円錐形状の部分を少なくとも含む、前記クレープ菓子及び前記包装体を収容するための密閉した袋体と、
を含むことを特徴とする包装されたクレープ菓子。
【請求項2】
前記袋体が、前記クレープ菓子の上端よりも上方の位置に、当該袋体を開封するための切欠部を有する請求項1に記載の包装されたクレープ菓子。
【請求項3】
前記包装体が、前記クレープ菓子の上端よりも上方に突出する突出部を有する請求項1又は2に記載の包装されたクレープ菓子。
【請求項4】
前記袋体の内部空間にガスを満たしてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装されたクレープ菓子。

【図1】
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【公開番号】特開2010−184711(P2010−184711A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28271(P2009−28271)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(509040949)
【Fターム(参考)】