説明

包装シート

【課題】本発明の課題は、既存の包装シート製造設備をそのまま利用して製造することができるインジゲータ機能付きの包装シートを提供することにある。
【解決手段】本発明に係る包装シート100,100A,100B,100C,100D,200は、第1シート130、第2シート140,140B,140C,240および第3シート120,120A,145B,145Cを備える。第1シートは、凹部111を有する。第2シートは、凹部の開口を覆うように第1シートに密着する。そして、第1シートおよび第2シートの少なくとも一方は、経時色変化層130b,140cを有する。経時色変化層は、経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化する経時色変化材料により形成される。第3シートは、特定の物質または光に対して遮断性を有する。そして、この第3シートは、経時色変化層を有するシートの密着面と反対側の面に、剥離可能に密接される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装シート、例えば、医薬品包装用のプレス・スルー・パックシート(以下「PTPシート」と称する)や、食品包装用のパックシート等に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、医薬品は、長期間継続して服用されたり、飲み残しされたりすることが多い。かかる場合、その医薬品の服用者のほとんどは、その医薬品の購入時期を忘却してしまう。
【0003】
また、薬局でも、薬剤師が医薬品の保管期限を、PTPシート等の包装容器に記載される表記から認識することは難しいため、薬剤師がその医薬品の消費期限を服用者に適切に知らせることは極めて難しい。なお、近年、PTPシート等の包装シートには製造ロット等の情報が印字されているが、様々な制約があるため、その情報は極めて見づらいものとなっている。また、PTPシートがその印字箇所で分割されてしまうと、その情報が読み取れなくなってしまう。
【0004】
このような事情から、服用者が薬効の薄れている医薬品を服用してしまい、服用者の治療が遅延してしまうことが懸念される。
【0005】
このような問題に対し、過去に「先ず、PTPシートを台紙で挟み込んでPTPシートから薬剤を取り出せない状態としておき、ユーザがその台紙を剥がしてPTPシートから薬剤を取り出すことができる状態とした時点から経過時間を示すインジゲータ付きのPTPシート包装体」が提案されている(例えば、特開2009−143591号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−143591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、インジゲータ機能を付加するために、PTPシートとは別にPTPシート包装体が必要となると、追加の設備投資が必要となると共に、製品コストが高くなってしまい、経済的に好ましくない。なお、このようなことは、食品包装についても生じ得る。
【0008】
本発明の課題は、既存の包装シート製造設備をそのまま利用して製造することができるインジゲータ機能付きの包装シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)
本発明の一局面に係る包装シートは、第1シート、第2シートおよび第3シートを備える。なお、ここにいう「包装シート」とは、例えば、薬品包装用のプレス・スルー・パックシートや、食品包装用のパックシート等である。第1シートは、凹部を有する。なお、ここにいう「凹部」とは、包装対象物を収容するためのポケット形成部分を意味する。第2シートは、凹部の開口を覆うように第1シートに密着する。そして、第1シートおよび第2シートの少なくとも一方は、経時色変化層を有する。なお、ここで、第1シートおよび第2シートの少なくとも一方が経時色変化層のみから形成されていてもよい。また、経時色変化層は、目的の管理時間経過時点において文字や図形が浮き出てくるように設計されていてもよい。経時色変化層は、経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化する経時色変化材料により形成される。なお、ここにいう「経時色変化層」とは、空気中の酸素や、二酸化炭素、水分などと反応してその色彩および色調の少なくとも一方が変化するものであってもよいし、内包する揮発物が徐々に蒸発することによりその色彩および色調の少なくとも一方が変化するものであってもよいし、光に曝されることによりその色彩および色調の少なくとも一方が変化するものであってもよい。第3シートは、特定の物質または光に対して遮断性を有する。そして、この第3シートは、経時色変化層を有するシートの密着面と反対側の面に、剥離可能に密接される。なお、ここにいう「密着面」とは、第1シートおよび第2シートの密着面を意味する。
【0010】
このような経時色変化層を含む包装シートは、既存の多層包装シート製造装置をそのまま利用して製造することができる。したがって、この包装シートは、インジゲータ機能を有すると共に、既存の包装シート製造設備をそのまま利用して製造することができる。
【0011】
(2)
本発明の一局面に係る包装シートにおいて、経時色変化層を有するシートでは、経時色変化層が全面に亘って形成されていてもよい。
【0012】
このような包装シートは、経時色変化層の色変化に対するユーザの認識性を向上させることができる。
【0013】
(3)
本発明の一局面に係る包装シートにおいて、経時色変化層が少なくとも凹部に設けられるのが好ましい。なお、かかる場合、第3シートは、少なくとも凹部の内底面の反対側の面に剥離可能に密接する。
【0014】
凹部は、通常、包装対象物が視認できるように透明素材で作られており、最も人の目につきやすい部分である。このため、このような包装シートは、包装対象物の消費期限や賞味期限を効率的にユーザに伝えることができる。
【0015】
(4)
上記(3)に係る包装シートにおいて、経時色変化材料は、透明から不透明へと変化するのが好ましい。
【0016】
このような包装シートでは、包装対象物を視認できる状態から視認できない状態にすることができる。このため、このような包装シートでは、包装対象物の消費期限や賞味期限をさらに効率的にユーザに伝えることができる。
【0017】
(5)
本発明の一局面に係る包装シートにおいて、経時色変化材料は、酸化により経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化するように設計されてもよい。なお、かかる場合、第3シートは、酸素バリア性を有する材料から形成される。
【0018】
上述のような経時色変化材料は広く知られており容易に入手可能である。このため、この包装シートは、容易に形成することができる。
【0019】
(6)
本発明の一局面に係る包装シートにおいて、経時色変化材料は、水分と反応することにより経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化するように設計されてもよい。なお、かかる場合、第3シートは、水分バリア性を有する材料から形成される。
【0020】
上述のような経時色変化材料は広く知られており容易に入手可能である。このため、この包装シートは、容易に形成することができる。
【0021】
(7)
本発明の一局面に係る包装シートにおいて、経時色変化材料は、光に暴露されることにより経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化するように設計されてもよい。なお、かかる場合、第3シートは、遮光材料から形成される。なお、遮光材料としては、紫外線吸収剤などを含有する樹脂が挙げられる。
【0022】
上述のような経時色変化材料は広く知られており容易に入手可能である。このため、この包装シートは、容易に形成することができる。
【0023】
(8)
本発明の一局面に係る包装シートにおいて、第3シートは、簡易剥離層および遮断層から形成されてもよい。なお、かかる場合、簡易剥離層は、経時色変化層を有するシートの密着面と反対側の面に剥離可能に密接される。遮断層は、特定の物質または光に対して遮断性を有する。
【0024】
このため、この包装シートでは、共押出法や押出ラミネート法等の方法を利用することにより、容易に第3シートを形成することができる。
【0025】
(9)
上記(8)に係る包装シートにおいて、経時色変化材料は、酸化により経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化するように設計されてもよい。なお、かかる場合、遮断層は、酸素バリア性を有する材料から形成される。
【0026】
上述のような経時色変化材料は広く知られており容易に入手可能である。このため、この包装シートは、容易に形成することができる。
【0027】
(10)
上記(8)に係る包装シートにおいて、経時色変化材料は、水分と反応することにより経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化するように設計されてもよい。なお、かかる場合、遮断層は、水分バリア性を有する材料から形成される。
【0028】
上述のような経時色変化材料は広く知られており容易に入手可能である。このため、この包装シートは、容易に形成することができる。
【0029】
(11)
上記(8)に係る包装シートにおいて、経時色変化材料は、光に暴露されることにより経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化するように設計されてもよい。なお、かかる場合、遮断層は、遮光材料から形成される。なお、遮光材料としては、紫外線吸収剤などを含有する樹脂が挙げられる。
【0030】
上述のような経時色変化材料は広く知られており容易に入手可能である。このため、この包装シートは、容易に形成することができる。
【0031】
(12)
本発明の一局面に係る包装シートにおいて、凹部の内面には、内容物保護層が形成されてもよい。なお、ここにいう「内容物保護層」とは、包装対象物を酸化や、水分、振動から保護するために設けられるものを意味する。
【0032】
このため、この包装シートでは、包装対象物を有効に保護することができる。
【0033】
(13)
本発明の他の局面に係る包装体は、包装シート、延設部および外容器を備える。包装シートは、上述の包装シートである。延設部は、第3シートから延設される。外容器は、延設部を固定する。
【0034】
このため、この包装体では、包装シートを外容器から取り出そうとすると、第3シートが自然に剥がされることになる。したがって、このような包装体を利用すれば、ユーザが第3シートを剥がし忘れることを防止することができると共に、ユーザは、適切なタイミングで第3シートを剥がすことができる。
【0035】
(14)
本発明の他の局面に係る包装体において、延設部は、外容器の開封部に固定されるのが好ましい。
【0036】
このような包装体では、ユーザが開封部を開封しようとすると、第3シートが自然に剥がされることになる。したがって、このような包装体を利用すれば、ユーザが第3シートを剥がし忘れることを防止することができると共に、ユーザは、適切なタイミングで第3シートを剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプレス・スルー・パックシートの平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るプレス・スルー・パックシートの収容箱の斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るプレス・スルー・パックシートが収容箱に収容された状態における収容箱の側面透視図である。
【図5】第1実施形態の変形例(H)に係るプレス・スルー・パックシートの部分断面図である。
【図6】第1実施形態の変形例(I)に係るプレス・スルー・パックシートの平面図である。
【図7】第1実施形態の変形例(I)に係るプレス・スルー・パックシートの収容箱の斜視図である。
【図8】第1実施形態の変形例(I)に係るプレス・スルー・パックシートが収容箱に収容された状態における収容箱の前面透視図である。
【図9】第1実施形態の変形例(L)に係る食品包装用シートの例を示す側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るプレス・スルー・パックシートの平面図である。
【図11】第2実施形態の変形例(A)に係るプレス・スルー・パックシートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
−第1実施形態−
本発明の第1実施形態に係るプレス・スルー・パックシート(以下「PTPシート」と称する)100は、図1および図2に示されるように、主に、本体シート110および密閉シート140から構成される。以下、本体シート110及び密閉シート140について詳述する。
【0039】
<PTPシートの構成要素の詳細>
【0040】
(1)本体シート
本体シート110は、図1および図2に示されるように、主に、凹部111、平板部112およびスリット部113から構成されている。
【0041】
凹部111は、医薬品等の包装対象物Tを収容するために形成される凹み部分である。
【0042】
スリット部113は、図1及び図2に示されるように、本体シート110の幅方向W(図1参照)に沿って平板部112に等間隔に5本形成されており、外力が加えられると割れる。
【0043】
そして、この本体シート110は、図2に示されるように、主に、基体シート130およびカバーシート120から構成される。以下、基体シート130およびカバーシート120について詳述する。
【0044】
(1−1)基体シート
基体シート130は、図2に示されるように、主に、基層130aおよび経時色変化層130bから構成される。
【0045】
基層130aは、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の透明樹脂から形成される。なお、この基層130aの厚みは、特に限定されるものではないが、100〜500μmである。
【0046】
経時色変化層130bは、ユーザに対して包装対象物Tの消費期限や賞味期限を知らせる役目を担うものであって、基層130aの密閉シート密接側の反対側に形成されている。そして、この経時色変化層130bは、ゲル状の可変色色素組成物から形成されており、可変色色素組成物中の可変色色素が大気中の酸素と反応するに従ってその色彩および色調の少なくとも一方が次第に変化する。なお、本実施の形態において、この経時色変化層130bは、透明(着色していてもよい)から不透明に変化するのが好ましい。
【0047】
なお、可変色色素組成物は、主に、酸化還元性色素、還元剤、塗膜形成用樹脂、アルカリ性物質および水から構成されている。
【0048】
酸化還元性色素としては、例えば、メチレンブルー等のチアジン系色素、インジコスルホン酸カリウムなどのインジコ系色素、チオインジゴ系色素、インドフェノール系色素が挙げられる。より具体的な例としては、例えば、ニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフラニンT、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、N−フェニルアントラニル酸等が挙げられる。
【0049】
還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびその塩、アスコルビン酸塩、D−アラビノース、D−エリスロース、D−ガラクトース、D−キシロース、Dグルコース、D−マンノース、D−フラクトース、D−ラクトースなどの還元糖、亜ニチオン酸塩、第一スズ塩、第一鉄塩等の金属塩等が挙げられる。
【0050】
塗膜形成用樹脂としては、特に限定されることはないが、セルロースやその他の透明樹脂等が挙げられる。
【0051】
なお、酸化還元性色素の経時的な変化を調整することを目的として、可変色色素組成物に酸化防止剤を添加してもよい。なお、酸化防止剤としては、トコフェノール、芳香族アミン、ヒドロキノン、アルデヒドアミン縮合物、ビタミン類、ケルセチン、ジブチルオキシトルエン、ブチルオキシアニソール、プロトカテチュ酸エチル、没食子酸、没食子酸イソアミル、没食子酸プロピル等が挙げられる。酸化防止剤の添加濃度としては、500ppmから50000ppmであるのが好ましい。
【0052】
(1−2)カバーシート
カバーシート120は、図2に示されるように、主に、易剥離層120aおよび酸素バリア層120bから構成される。なお、本実施の形態において、このカバーシート120には、図1に示されるように、延設部121が設けられる。
【0053】
易剥離層120aは、基体シート130の経時色変化層130bに密接するが、小さな外力により経時色変化層130bから容易に剥離する。
【0054】
酸素バリア層120bは、基体シート130の経時色変化層130bへの酸素の透過を抑制するための層であって、例えば、アルミニウム箔のような金属箔、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン−ポリビニルアルコール共重合体)等から形成される。
【0055】
(2)密閉シート
密閉シート140は、例えば、金属薄膜、ならびに、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂等の樹脂から形成される。
【0056】
なお、金属薄膜としては、硬質アルミニウム等である。
【0057】
この密閉シート140の厚みは、特に限定されるものではないが、10〜50μmであることが好ましい。
【0058】
<PTPシートの製造方法>
【0059】
本実施の形態に係るPTPシート100は、公知のPTPシート製造方法を利用して製造することができる。具体的には、押出法等で基層130aを形成した後、その基層130a上に、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの公知の方法により可変色色素組成物を塗布して経時色変化層130bを形成する。次に、その経時色変化層130bの上に、共押出法や押出ラミネート法等の方法でカバーシートの原料を流し出し、カバーシートを形成する。次いで、このようにして得られた積層シートを加熱プレスすることにより積層シートに凹部111を形成して本体シート110を製造する。続いて、本体シート110の凹部111に包装対象物Tを投入した後、密閉シート140を本体シート110に熱融着させ、包装対象物Tを凹部111に密閉する。最後に、スリット部113を形成する。
【0060】
なお、この一連の作業は、連続的に実施することができる。
【0061】
<PTPシートの収容箱>
本実施の形態に係るPTPシート100は、図3に示されるような収容箱150に収容される。なお、この収容箱150では、前面部152に開封部OPが形成されている。
【0062】
そして、PTPシート100は、図4に示されるように、一部が引出台紙160に粘着された状態で収容箱150に収容されると共に、カバーシート120の延設部121が収容箱150の天面部151に接着されている。
【0063】
したがって、ユーザが開封部OPを利用して収容箱150を開封した後、引出台紙160を引き出して収容箱150からPTPシート100を引き出そうとすると、必然的にカバーシート120が基体シート130から剥がれることになる。つまり、PTPシート100が収容箱150から引き出された時点から、経時色変化層130bが空気に接触することになり、その色彩および色調の少なくとも一方の変化が開始される。
【0064】
なお、このとき、カバーシート120が脱離したPTPシート100は、引出台紙160にくっ付いているが、小さな力を加えることによって容易に引出台紙160から引き剥がすことができる。
【0065】
<変形例>
【0066】
(A)
先の実施の形態に係るPTPシート100では酸素バリア層120bがアルミニウム箔のような金属箔、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン−ポリビニルアルコール共重合体)等から形成されたが、酸素バリア層120bは、例えば、特開平11―129384号公報に開示されているような酸素バリア性透明フィルムのようなものであってもかまわない。
【0067】
なお、このような酸素バリア性透明フィルムは、透明樹脂フィルムに、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物等の無機酸化物からなる蒸着薄膜層を形成することにより得られる。なお、必要に応じて、透明樹脂フィルム上に透明プライマー層が形成されてもよいし、蒸着薄膜層の上にガスバリア被膜層が形成されてもよい。
【0068】
(B)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、カバーシート120において易剥離層120aと酸素バリア層120bとの間に酸素吸収層を設けてもかまわない。
なお、この酸素吸収層は、例えば、樹脂中に酸素吸収剤が配合されるものである。
【0069】
そして、この酸素吸収剤としては、例えば、還元性を有する金属粉、金属低位酸化物、還元性金属化合物などが挙げられる。なお、還元性を有する金属粉としては、例えば、還元性鉄、還元性亜鉛、還元性錫粉などが挙げられる。金属低位酸化物としては、例えば、酸化第一鉄、四三酸化鉄などが挙げられる。還元性金属化合物としては、例えば、炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸化第一鉄などが挙げられる。なお、これらの酸素吸収剤は、単独で、または、組み合わせて使用することができる。これらの酸素吸収剤は必要に応じて、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、更に活性炭、活性アルミナ、活性白土、ゼオライト、珪藻土のような助剤とも組み合せて使用することもできる。これらの他、酸素吸収剤としては、多価フェノールを骨格内に有する高分子化合物、例えば多価フェノール含有フェノール・アルデヒド樹脂等が挙げられる。さらに、水溶性物質であるアスコルビン酸、エリソルビン酸、トコフェロール類及びこれらの塩類等も好適に使用することができる。
【0070】
酸素吸収層は、炭素−炭素不飽和結合を有する成分と遷移金属化合物とを含有する酸素吸収機能組成物から形成されてもかまわない。
【0071】
なお、炭素−炭素不飽和結合を有する成分としては、例えば、ゴム状重合体、ゴム状重合体のモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体、高級不飽和脂肪酸およびその誘導体、ならびにこれらの混合物が挙げられる。なお、ゴム状重合体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1クロロ−1,3−ブタジエン、ピペリジン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン等のゴム状重合体が挙げられる。なお、これらのゴム状重合体は、単独で、または、組み合わせて使用することができる。共重合体としては、例えば、共重合体全体に対してジエン系重合体が2〜70重量部含有するスチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS樹脂)アクリロニトリル−メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MABS樹脂)及びスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS樹脂)等が挙げられる。高級不飽和脂肪酸およびその誘導体としては、リノール酸、リノエライジン酸及びオレイン酸等が挙げられる。
【0072】
遷移金属化合物としては、例えば、Fe、Ni、CoおよびMnを金属種とした金属塩及びそれらの金属を配位した金属化合物などが挙げられる。
【0073】
炭素−炭素不飽和結合を有する成分と熱可塑性樹脂との親和性を考慮すると、上記金属と有機アニオンとの塩および有機金属配位化合物がより好ましい。具体的には、酢酸、酪酸、ヘプタン酸、オクタン酸、オクチル酸およびステアリン酸等のカルボン酸とFe、Ni、Co及びMnを金属種とした金属とからなる金属塩が挙げられる。有機金属配位化合物としては、Fe、Ni、CoおよびMnを金属種とした金属のアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0074】
(C)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、基体シート130において経時色変化層130bの上に酸素透過制御層を設けてもかまわない。なお、かかる場合、カバーシート120の易剥離層120aは、経時色変化層130bではなく酸素透過制御層に接することになる。
【0075】
酸素透過制御層は、基本的には、先の実施の形態に係るカバーシート120の酸素バリア層120bや、上記変形例(A)に係るカバーシート120の酸素バリア層と同一の構成である。ただし、酸素透過制御層は、ユーザによる経時色変化層130bの色彩や色調変化の確認を阻害しないように透明でなければならない。
【0076】
なお、酸素透過制御層の酸素透過量は、層厚に反比例し、層厚が薄くなるほど酸素透過度は大きくなる。よって、酸素透過量の制御は層厚を調整することにより実現することができる。
【0077】
なお、酸素透過制御層に蒸着薄膜層が含まれる場合には、その蒸着薄膜層の層厚を調製することにより酸素透過量を制御することができる。
【0078】
また、酸素透過制御層の酸素透過量は、酸素透過制御層を形成する材料にも大きく依存する。このため、経時色変化層130bを早期に変色させたい場合には酸素バリア性が低い材料から酸素透過制御層を形成し、経時色変化層130bを比較的長期間経過後に変色させたい場合には酸素バリア性が高い材料から酸素透過制御層を形成すればよい。
【0079】
(D)
先の実施の形態では大気中の酸素と反応することによりその色彩や色調が変化する経時色変化層130bが採用されたが、大気中の水分と反応することによりその色彩や色調が変化する経時色変化層が採用されてもよい。なお、かかる場合、カバーシート120の酸素バリア層120bは、水分バリア層とされる。
【0080】
なお、このような経時色変化層は、例えば、多孔質金属酸化物の皮膜にラクトン環またはラクタム環を有する変色性色素を吸着させることにより形成される。多孔質金属酸化物は、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、インジウム、およびスズよりなる群から選択される少なくとも一つの金属元素の多孔質金属酸化物であればよい。
【0081】
ラクトン環またはラクタム環を有する変色性色素は、ラクトン環またはラクタム環が閉環しているときに無色または淡色を示し、開環すると着色する。このような変色性色素としては、例えば、フルオラン系色素、トリフェニルメタンフタリド系色素、ラクタム系色素などが挙げられる。
【0082】
フルオラン系色素としては、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、6−ジエチルアミノ-ベンゾ[a]−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラハイドロフルフリルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル-イソブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,6−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(N−メチル−N−フェニル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンルアミノフルオラン、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,6−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−エチル−(4’−メチル)フェニルアミノ−7−メチルアミノフルオラン、3−エチル−イソペンチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−エチル−ヘキシルアミノ−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アリニノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−クロロアリニノフルオラン、3−エチルアミノ−6−メトキシ−7−アミノフルオラン等が挙げられる。
【0083】
トリフェニルメタンフタリド系色素としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトンなどが挙げられ、ラクタム系色素としては、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−(4’−ニトロ)−アニリノラクタム、2−[3,6−ビスジエチルアミノ−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル]ベンゾイックアシッドラクタム、ローダミンラクタム等が挙げられる。
【0084】
多孔質金属酸化物の金属としては、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ビスマス、アンチモン、インジウム、スズ等が挙げられる。これらの中でも特にケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、インジウム、およびスズよりなる群から選択される少なくとも一つの金属元素が多孔質金属酸化物に含まれていると、変色性色素の吸着性、変色性が向上する。これらの中でも工業的に重要なものは、酸化物皮膜の適性、吸着活性、細孔分布などの点からアルミニウム、チタニウムであり、これらは価格的にも適当なものとして汎用される。
【0085】
多孔質金属酸化物の皮膜を形成する方法としては、金属酸化物の水和物の塗液を基体に塗布する方法や、接着剤層を介して金属酸化物の粉末を基体に設置する方法などがある。
【0086】
まず、金属酸化物の水和物を用いる方法について説明する。ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、インジウムおよびスズよりなる群から選択される少なくとも一つの金属元素からなる金属酸化物の水和物の塗液(金属酸化物の水和物の分散液、アルコール溶液、ゾルなどともいう)は、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネートなどを酸またはアルカリで加水分解して作製すると純度の高いものが得られる。
【0087】
金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムメチラート、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラn−プロピルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラn−ブトキシチタニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、ジエトキシマグネシウム、トリエトキシインジウム、トリイソプロポキシインジウム、テトラエトキシスズ、トリイソプロポキシスズ、トリイソプロポキシビスマス、トリエトキシアンチモン等や、これらの誘導体(オリゴマーを含む)が挙げられる。
【0088】
金属アセチルアセトネートとしては、一般に、アルミニウム化合物、チタニウム化合物、ジルコニウム化合物、マグネシウム化合物、インジウム化合物、スズ化合物などが挙げられる。これらは単独で、または、混合して用いられてもよい。
【0089】
上記の金属酸化物の塗液に水またはアルコール可溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、デンプン、セルロース系樹脂、アクリレート系樹脂、水溶性ポリアミド、水溶性エポキシ樹脂)や、必要に応じて硬化剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤などの添加剤などを添加すると、低温乾燥時などの塗膜強度や耐性が向上する。また、金属酸化物の水和物を主成分とする塗液の塗布方法としては、コーター法、印刷法、刷毛塗り法、ディッピング法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。上記の金属酸化物の水和物を主成分とする塗液を基体に塗布した後、乾燥し、さらに必要に応じて焼成して、多孔質金属酸化物皮膜を作製する。
【0090】
次に、金属酸化物の粉末を用いる方法について説明する。ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、インジウム及びスズよりなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を含有する多孔質金属酸化物の粉末を、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、または、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などの熱硬化性樹脂などの樹脂を接着層として塗布した基層130aの上に、散布または展開する。
【0091】
水分バリア層は、例えば、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニリデン、環状ポリオレフィン等の水分バリア性を有する樹脂から形成される。
【0092】
(E)
先の実施の形態では大気中の酸素と反応することによりその色彩や色調が変化する経時色変化層130bが採用されたが、内包される揮発物が徐々に蒸発することによりその色彩および色調の少なくとも一方が変化する経時色変化層が採用されてもよい。なお、かかる場合、カバーシート120の酸素バリア層120bは、揮発物バリア層とされる。
【0093】
なお、このような経時色変化層は、例えば、多孔性樹脂と揮発性液体との組合せや、透明ゲル体や透明多孔質樹脂と揮発性着色液体との組合せ、官能基含有透明ゲル体と反応型着色液体との組合せ等により実現される。
【0094】
経時色変化層が多孔性樹脂と揮発性液体との組合せにより実現される場合、経時色変化層は初期状態では半透明であり、揮発性液体が蒸発するにつれて不透明になる。
【0095】
経時色変化層が透明ゲル体や透明多孔質樹脂と揮発性着色液体との組合せにより実現される場合、経時色変化層は初期状態では着色しており、揮発性着色液体が蒸発するにつれて透明になる。
【0096】
経時色変化層が官能基担持透明ゲル体と結合型着色液体との組合せにより実現される場合、経時色変化層は、初期状態では、透明ゲル体中の官能基と結合型着色液体とがイオン結合や水素結合をしているときに得られる色になっており、結合型着色液体が蒸発するにつれて官能基含有透明ゲル体の色に変化する。
揮発物バリア層は、特に限定されるものではなく、選定される揮発性液体を透過させないもの、あるいは透過させにくいものであればよい。
【0097】
(F)
先の実施の形態では大気中の酸素と反応することによりその色彩や色調が変化する経時色変化層130bが採用されたが、光に曝されることによりその色彩や色調が変化する経時色変化層が採用されてもよい。なお、かかる場合、カバーシート120の酸素バリア層120bは、遮光層とされる。
【0098】
なお、このような経時色変化層は、光に暴露されることよって分解する化合物(例えば、生分解性高分子など)を含有する樹脂などから形成される。
遮光層としては、例えば、金属薄膜や、蒸着薄膜、紫外線吸収剤を含有する樹脂薄膜などが利用される。
【0099】
(G)
先の実施の形態では大気中の酸素と反応することによりその色彩や色調が変化する経時色変化層130bが採用されたが、大気中の二酸化炭素と反応することによりその色彩や色調が変化する経時色変化層が採用されてもよい。なお、かかる場合、カバーシート120の酸素バリア層120bは、二酸化炭素バリア層とされる。
【0100】
なお、このような経時色変化層は、例えば、特公昭64−2906号公報に開示されているようなpHの変化により変色する可変色素と、大気中の二酸化炭素と反応するアルカリ性物質との混合溶液をゲル体等に含浸させることにより形成される。
【0101】
二酸化炭素バリア層は、特に限定されるものではなく、二酸化炭素を透過させないもの、あるいは透過させにくいものであればよい。
【0102】
(H)
先の実施の形態では2層構造のカバーシート120が採用されたが、図5に示されるような1層構造のカバーシート120Aが採用されてもかまわない。なお、図5中、符号100Aは本変形例に係るPTPシートを示し、符号110Aは本変形例に係る本体シートを示し、その他の符号は、図2で示される同一の符号が示すものと同一のものを示す。
【0103】
かかる場合、カバーシート120Aは、例えば、「易剥離層120aを形成する樹脂」に「酸素バリア層120bを形成する樹脂」を添加したブレンド物等から形成される。
【0104】
(I)
先の実施の形態に係るPTPシート100は、引出台紙160に一部が粘着された状態で収容箱150に収容されると共に、カバーシート120の延設部121が収容箱150の天面部151に接着されていたが、図6に示されるPTPシート100Dを以下に示すようにして、図7に示される収容箱150Aに収容してもよい。
【0105】
先ず、PTPシート100Dでは、幅方向Wの片側の側端から延設部121Aが延びている。そして、収容箱150Aでは、側面部153Aから天面部151Aに亘って開封部OPが形成されている。そして、PTPシート100Dは、図8に示されるように、一部が底面部154Aに粘着された状態で収容箱150Aに収容されると共に、カバーシートの延設部121Aが収容箱150Aの開封部OPの先端付近に接着されている。
【0106】
したがって、ユーザが開封部OPを開けようとすると、必然的にカバーシートが基体シートから剥がれることになる。つまり、収容箱150Aが開封された時点から、経時色変化層130bが空気に接触することになり、その色彩および色調の少なくとも一方の変化が開始される。
【0107】
なお、このとき、カバーシートが脱離したPTPシート100Dは、収容箱150Aの底面部154Aにくっ付いているが、小さな力を加えることによって容易に底面部154Aから引き剥がすことができる。
【0108】
(J)
先の実施の形態では基体シート130の全面に亘って経時色変化層130bが設けられたが、経時色変化層は、凹部111にのみ設けられてもかまわない。
【0109】
(K)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、凹部111の内面に包装対象物保護層をさらに設けてもかまわない。
【0110】
(L)
先の実施の形態では本発明がPTPシート100に適用されたが、本発明は、図9に示されるような食品包装用シート200に適用されてもよい。
【0111】
なお、この食品包装用シート200は、図9に示されるように、主に、本体シート210および密閉シート240から構成される。本体シート210は略円柱形の凹部を有する略正方形のシートであり、その層構造は、先の実施の形態に係る本体シート110と同一である。密閉シート240は略正方形のシートであり、その層構造は、先の実施の形態に係る密閉シート140と同一である。
【0112】
なお、図9中の包装対象物Tは、例えば、薄切りハム等である。
【0113】
(M)
先の実施の形態に係るPTPシート100では基体シート130が2層構造とされたが、基体シートは1層構造とされてもかまわない。つまり、基体シートを経時色変化シートとしてもかまわない。
【0114】
なお、かかる場合、基体シートは、可変色色素を配合した樹脂から形成するのが好ましい。
【0115】
−第2実施形態−
本発明の第2実施形態に係るPTPシート100Bは、図10に示されるように、主に、本体シート110B、密閉シート140Bおよびカバーシート145Bから構成される。以下、本体シート110B、密閉シート140Bおよびカバーシート145Bについて詳述する。
【0116】
<PTPシートの構成要素の詳細>
【0117】
(1)本体シート
本体シート110Bは、図10に示されるように、主に、凹部111、平板部112およびスリット部113から構成されている。なお、凹部111、平板部112およびスリット部113は、第1実施形態において説明した通りである。
【0118】
そして、この本体シート110Bは、図10に示されるように、一層構造体であり、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の透明樹脂から形成される。
【0119】
(2)密閉シート
密閉シート140Bは、図10に示されるように、主に、密着層140a、酸素バリア層140bおよび経時色変化層140cから構成されている。
【0120】
密着層140aは、本体シート110Bに密着する機能を有する層であって、例えば、本体シート110Bと同一の樹脂により形成される。
【0121】
酸素バリア層140bは、第1実施形態に係る酸素バリア層120bと同様である。
経時色変化層140cは、第1実施形態に係る経時色変化層130bと同様である。
【0122】
(3)カバーシート
カバーシート145Bは、図10に示されるように、主に、易剥離層145aおよび酸素バリア層145bから構成されている。
【0123】
なお、本実施の形態に係る易剥離層145aは、第1実施形態に係るカバーシート120の易剥離層120aと同様である。
【0124】
本実施の形態に係る酸素バリア層145bは、第1実施形態に係る酸素バリア層120bと同様である。
【0125】
<変形例>
【0126】
(A)
先の実施の形態では2層構造のカバーシート145Bが採用されたが、図11に示されるような1層構造のカバーシート145Cが採用されてもかまわない。なお、図11中、符号100Cは本変形例に係るPTPシートを示し、符号110Cは本変形例に係る本体シートを示し、その他の符号は、図10で示される同一の符号が示すものと同一のものを示す。
【0127】
かかる場合、カバーシート145Cは、例えば、「易剥離層145aを形成する樹脂」に「酸素バリア層145bを形成する樹脂」を添加したブレンド物等から形成される。
【0128】
(B)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、第1実施形態およびその変形例は、第2実施形態に係るPTPシート100Bについても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
100,100A,100B,100C,100D プレス・スルー・パックシート(包装シート)
110,110A,110B,110C 本体シート
111 凹部
112 平板部
113 スリット部
120,120A カバーシート(第3シート)
120a 易剥離層
120b 酸素バリア層
121,121A 延設部
130 基体シート(第1シート)
130a 基層
130b 経時色変化層
140,140B 密閉シート(第2シート)
140a 密着層
140b 酸素バリア層
140c 経時色変化層
145B,145C カバーシート
145a 易剥離層
145b 酸素バリア層
150,150A 収容箱
151,151A 天面部
152 前面部
153A 側面部
154A 前面部
160 引出台紙
200 食品包装用シート(包装シート)
210 本体シート
240 密閉シート(第2シート)
OP 開封部
T 包装対象物
W 本体シートの幅方向
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る包装シートは、インジゲータ機能を有すると共に、既存の包装シート製造設備をそのまま利用して製造することができるという特徴を有し、医薬品包装用のプレス・スルー・パックシートや、食品包装用の包装シート等として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する第1シートと、
前記凹部の開口を覆うように前記第1シートに密着する第2シートと、
を備え、
前記第1シートおよび前記第2シートの少なくとも一方は、経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化する経時色変化材料により形成される経時色変化層を有し、
前記経時色変化層を有するシートには、密着面と反対側の面に、特定の物質または光に対して遮断性を有する第3シートが剥離可能に密接される
包装シート。
【請求項2】
前記経時色変化層を有するシートでは、前記経時色変化層が全面に亘って形成されている
請求項1に記載の包装シート。
【請求項3】
前記経時色変化層は、少なくとも前記凹部に設けられ、
前記第3シートは、少なくとも前記凹部の内底面の反対側の面に剥離可能に密接する
請求項1に記載の包装シート。
【請求項4】
前記経時色変化材料は、透明から不透明へと変化する
請求項3に記載の包装シート。
【請求項5】
前記経時色変化材料は、酸化により経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化し、
前記第3シートは、酸素バリア性を有する材料から形成される
請求項1から4のいずれかに記載の包装シート。
【請求項6】
前記経時色変化材料は、水分と反応することにより経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化し、
前記第3シートは、水分バリア性を有する材料から形成される
請求項1から4のいずれかに記載の包装シート。
【請求項7】
前記経時色変化材料は、光に暴露されることにより経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化し、
前記第3シートは、遮光材料から形成される
請求項1から4のいずれかに記載の包装シート。
【請求項8】
前記第3シートは、前記経時色変化層を有するシートの密着面と反対側の面に剥離可能に密接される簡易剥離層と、前記特定の物質または光に対して遮断性を有する遮断層とから形成される
請求項1から4のいずれかに記載の包装シート。
【請求項9】
前記経時色変化材料は、酸化により経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化し、
前記遮断層は、酸素バリア性を有する材料から形成される
請求項8に記載の包装シート。
【請求項10】
前記経時色変化材料は、水分と反応することにより経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化し、
前記遮断層は、水分バリア性を有する材料から形成される
請求項8に記載の包装シート。
【請求項11】
前記経時色変化材料は、光に暴露されることにより経時的に色彩および色調の少なくとも一方が変化し、
前記遮断層は、遮光材料から形成される
請求項8に記載の包装シート。
【請求項12】
前記凹部の内面には、内容物保護層が形成される
請求項1から11のいずれかに記載の包装シート。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の包装シートと、
前記第3シートから延設される延設部と、
前記延設部を固定する外容器と
を備える包装体。
【請求項14】
前記外容器は、開封部を有し、
前記延設部は、前記開封部に固定される
請求項13に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−162232(P2011−162232A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27045(P2010−27045)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】