説明

包装フィルム及びそれを用いた包装袋

【課題】アルミニウム箔層のクラックに起因する表面の絵柄の黒ずみを隠蔽することができ、構成が簡単で製造性にも優れた包装フィルム及びそれを用いた包装袋を提供する。
【解決手段】包装フィルム1は、最外層である基材層2と、印刷層3と、隠蔽層4と、アルミニウム箔層5と、中間層6と、最内層である熱可塑性樹脂層7を順次積層した積層体である。隠蔽層4とアルミニウム箔層5との間、アルミニウム箔層5と中間層6との間、中間層6と熱可塑性樹脂層7との間には、それぞれドライラミネート層8が形成されている。隠蔽層4は、印刷層3側から、白色インク層41、42、及び銀色インク層43から成る3層のインク層の積層構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状、ゲル状、固形状、粉末状等の製品を包装する包装フィルム、及びそれを用いて製袋された包装袋に関し、特にバリア性が要求され、且つ重量の大きい内容物を包装するための包装袋を製袋する包装フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液状、ゲル状、固形状、粉末状等の食品等を包装フィルムで密封する場合の包装形態としては、内面側に熱可塑性樹脂が積層された包装フィルムを用い、4辺または3辺をシールして形成された包装袋に内容物を充填した後、充填口をシールする包装形態が用いられる。上記のような包装フィルムでは、包装袋にガスバリア性及び遮光性を付与するためにアルミニウム箔を積層し、必要に応じて包装袋に耐ピンホール性を付与するために延伸ナイロンフィルム層等の中間層を積層した構成が用いられている。
【0003】
例えば特許文献1には、アルミニウム箔層と熱可塑性樹脂層との間に、両面に黒色印刷インク層を設けた延伸ナイロンフィルム層を介在させた遮光性フィルム及び包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−231619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようなアルミニウム箔層を有する包装フィルムを用いて形成された包装袋は、輸送時や使用時に受ける応力や振動により生じるアルミニウム箔層の屈曲や折れ曲がりが原因となって、アルミニウム箔層にクラック(割れ)が発生し、クラックが発生した部分が黒く変色することがある。この変色部分は印刷層や基材層を通して外部から黒ずみとして視認されるため、包装袋の表面の絵柄に影響を及ぼし、意匠性(デザイン性)を損なうという問題点があった。上記の問題点は、液体等の重量の大きい内容物を包装した包装袋を長時間輸送する場合に、特に顕著に発生する。そこで、アルミニウム箔層の黒ずみを隠蔽する方法の開発が望まれていた。
【0006】
特許文献1の遮光性フィルム及び包装袋では、アルミニウム箔層を挟んで基材層と反対側に黒色インク層が設けられている。そのため、アルミニウム箔層にピンホールやクラック(割れ)が発生しても、黒色インク層によって十分な遮光性を確保することは可能であるが、アルミニウム箔層の黒ずみを隠蔽することはできなかった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、アルミニウム箔層のクラックに起因する表面の絵柄の黒ずみの発生を隠蔽することができ、構成が簡単で製造性にも優れた包装フィルム及びそれを用いた包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも最外層である透明な基材層と、該基材層の内表面に積層される印刷層と、該印刷層の内側に積層されるアルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内側に積層される最内層である熱可塑性樹脂層と、を含む包装フィルムであって、前記印刷層と前記アルミニウム箔層との間に、前記印刷層側に形成される白色インク層と、前記アルミニウム箔層側に形成される銀色インク層とから成る隠蔽層が積層されることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の包装フィルムにおいて、前記アルミニウム箔層は、少なくとも一方の面が非光沢面であり、前記非光沢面が前記隠蔽層側に対向するように積層されることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の包装フィルムにおいて、前記隠蔽層は、前記印刷層の内表面に前記白色インク層を複数回重ねて印刷した後、前記銀色インク層を印刷して形成されることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の包装フィルムにおいて、前記アルミニウム箔層と前記熱可塑性樹脂層との間に中間層を積層したことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の包装フィルムを用いて製袋された包装袋である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、印刷層とアルミニウム箔層との間に、印刷層側の白色インク層及びアルミニウム箔層側の銀色インク層から成る隠蔽層を設けることで、アルミニウム箔層のクラック部分に発生するアルミニウム箔層の黒ずみを絵柄に影響を及ぼすことなく隠蔽し、基材層を通して視認される包装フィルム表面の絵柄(印刷層)の視認性を良好に維持することができる。また、印刷層の内側に通常設けられる隠蔽用の白色インク層に、銀色インク層を一色追加するだけで黒ずみを隠蔽できるため、包装フィルムの構成や製造工程を変更する必要がなく、作業効率も低下しない。
【0014】
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の包装フィルムにおいて、少なくとも一方の面が非光沢面であるアルミニウム箔層を、非光沢面が隠蔽層側に対向するように積層することにより、基材層を通過して入射した光が非光沢面によって乱反射される。その結果、光沢面を印刷層側に配置する構成に比べて、アルミニウム箔層にクラックが発生した場合のクラック部分とその周囲との反射率の差が小さくなり、黒ずみをより一層目立たなくすることができる。
【0015】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の包装フィルムにおいて、印刷層の内表面に白色インク層を複数回重ねて印刷した後、銀色インク層を印刷して隠蔽層を形成することにより、印刷回数を増やすだけで白色インク層の層厚を確保することができる。
【0016】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の包装フィルムにおいて、基材層と熱可塑性樹脂層との間に中間層を設けることにより、包装フィルムのバリア性、密封性、耐突き刺し性等を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の包装フィルムを用いて包装袋を製袋することにより、液体などの重量の大きい内容物を包装して長時間輸送する場合に顕著となる表面の絵柄の黒ずみの発生を効果的に隠蔽することができる、デザイン性に優れた包装袋となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る包装フィルム1の積層構造を示す断面図
【図2】本発明の第2実施形態に係る包装フィルム1の積層構造を示す断面図
【図3】本発明の包装フィルム1を用いて製袋された包装袋10の一例を示す外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の包装フィルムについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る包装フィルムの一例を示す断面図である。包装フィルム1は、最外層である基材層2と、印刷層3と、隠蔽層4と、アルミニウム箔層5と、中間層6と、最内層である熱可塑性樹脂層7を順次積層した積層体である。隠蔽層4とアルミニウム箔層5との間、アルミニウム箔層5と中間層6との間、中間層6と熱可塑性樹脂層7との間には、それぞれドライラミネート層8が形成されている。
【0020】
次に、包装フィルム1を構成する各層について詳細に説明する。基材層2は、包装フィルム1を構成する基本素材となること、更に、バリア層としてのアルミニウム箔層5を保持する基材となること等から、それらの形成、加工等の条件に耐え、かつ、その特性を損なうことなくそれらを良好に保持することができ、更に、包装袋10(後述)の製造に際し、加工作業性、耐熱性、滑り性、耐ピンホール性、水蒸気またはガスバリア性、その他の諸物性において優れたものであることが好ましい。
【0021】
本発明に用いられる基材層2としては、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム等の単体ないしそれらの積層体が用いられ、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが特に好適に用いられる。2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの具体的な材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2、6−ナフタレート樹脂、ポリブチレン−2、6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等の各種のポリエステル系樹脂を使用することができる。
【0022】
2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、例えば、上記のポリエステル系樹脂の1種ないし2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、或いは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を製膜化する前に予め混合して製膜化する方法等により、ポリエステル系樹脂フィルムを製造し、更に、例えばテンター方式、或いはチューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを使用することができる。基材層2の層厚としては、3〜50μm程度、より好ましくは5〜30μm程度が望ましい。
【0023】
なお、基材層2の製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、ごく微量から数十%まで、その目的に応じて任意に添加することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0024】
なお、静電気の発生に伴う不具合を防止して、ラミネート適性、製袋性、充填包装適性等を向上させるために、基材層2の表面に帯電防止コート層を設けても良い。帯電防止コート層の形成方法としては、例えば、樹脂をビヒクルの主成分とし、これに帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、溶剤・希釈剤等で十分に混練して樹脂組成物を調製する。次いで、該樹脂組成物を使用し、これを基材層2の表面に、通常のコーティング法、或いは、印刷法等を用いて、コーティングないし印刷して、帯電防止コート層を形成する。
【0025】
帯電防止剤としては、例えば、陰イオン系活性剤、陽イオン系活性剤、非イオン系活性剤、両性表面活性剤等の界面活性剤、金属粉やカーボン等の無機系帯電防止剤、シリコーン系帯電防止剤、高級脂肪酸およびそのエステル類、酸アミド類、塩類、パラフィン系炭化水素類、ワックス類等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
【0026】
ビヒクル樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
【0027】
なお、基材層2の原料であるポリエステル系樹脂のペレットに、上記のような帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、これを十分に混練した後、製膜することにより、基材層2に帯電防止性を付与することもできる。
【0028】
熱可塑性樹脂層7は、熱によって溶融して包装フィルム1を相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。好ましいものとしては、線状低密度ポリエチレンを挙げることができる。熱可塑性樹脂層7の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜200μm程度、特に50μm〜100μm程度であることが好ましい。
【0029】
また、例えば加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、熱可塑性樹脂層7を構成する溶融押し出し樹脂に、前述の帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、その製膜化に際して、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を挙げることができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0030】
印刷層3は、基材層2と熱可塑性樹脂層7との間に文字、図形、記号、模様等の所望の印刷模様を形成するものである。印刷層3の形成方法としては、通常のインクビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤の1種または2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインク組成物を調整する。そして、このインク組成物を用いてグラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式により基材層2の裏面に所望の印刷模様を印刷して印刷層3を形成する。
【0031】
アルミニウム箔層5は、包装フィルム1によって包装される内容物が水分や酸素により変質し易い場合、包装フィルム1に高い水蒸気バリア性、ガスバリア性を付与するものである。アルミニウム箔層5の膜厚としては、5〜30μmの範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
【0032】
中間層6は、包装フィルム1が物理的及び化学的に過酷な条件におかれる場合、包装フィルム1に高い密封性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
【0033】
中間層6としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。
【0034】
上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。特に、包装フィルム1に耐突き刺し(耐ピンホール)性が要求される場合は、延伸ナイロンフィルムを使用することができる。その他、着色剤や紫外線吸収剤等の所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性フィルムないしシート等を使用することもできる。また、中間層6の厚さは任意であるが、数μm〜300μm程度の範囲から選択して使用することができる。
【0035】
ドライラミネート層8は、積層体を構成する基材層2(印刷層3)、アルミニウム箔層5、中間層6、熱可塑性樹脂層7を強固に密着させて層間剥離(デラミネーション)の発生を防止するものである。ドライラミネート層8を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
【0036】
なお、ドライラミネート層8に代えて接着性樹脂層を積層しても良い。接着性樹脂層は熱によって溶融してアルミニウム箔層5、中間層6、熱可塑性樹脂層7を相互に熱接着可能な樹脂であれば良く、前述した熱可塑性樹脂層7と同様の樹脂が使用できる。
【0037】
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。ドライラミネート層8の形成方法としては、積層する両者の一方の面に、上記のラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法或いは印刷法等によって塗布し、次いで溶剤等を乾燥させて形成することができ、そのコーティングないし印刷量としては、乾燥状態で0.1〜10g/m程度が望ましい。
【0038】
印刷層3とアルミニウム箔層5との間には、隠蔽層4が形成されている。隠蔽層4は、印刷層3側から、白色インク層41、42、及び銀色インク層43から成る3層のインク層の積層構成となっている。この隠蔽層4を設けることで、アルミニウム箔層5のクラック部分に発生するアルミニウム箔層5の黒ずみを隠蔽し、基材層2を通して視認される包装フィルム1表面の絵柄(印刷層3)の視認性を良好に維持することができる。
【0039】
隠蔽層4が黒ずみを隠蔽できる理由としては、アルミニウム箔層5の金属色に近い銀色インク層43をアルミニウム箔層5側に積層することで、アルミニウム箔層5のクラック部分とその周辺での反射率の差が小さくなるためであると考えられる。そして、印刷層3側に白色インク層41、42を積層することで、アルミニウム箔層5及び銀色インク層43の色味が印刷層3に影響を及ぼすのを防止している。
【0040】
隠蔽層4の形成方法としては、印刷層3と同様に、通常のインクビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤の1種または2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインク組成物を調整する。そして、このインク組成物を用いてグラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式により印刷層3の裏面全域に白色インク層41、42、及び銀色インク層43を順次印刷して隠蔽層4を形成する。
【0041】
隠蔽層4を構成する各インク層の目付量(層厚)は、包装フィルム1で製袋された包装袋10の輸送時に要求される黒ずみの抑制効果(一定時間の輸送に対する黒ずみの発生頻度)に応じて適宜設定することができ、高い抑制効果が要求される場合は目付量を多くすれば良い。但し、隠蔽層4は、下地層となるアルミニウム箔層5をムラなく均一に被覆する必要がある。そのため、隠蔽層4を構成する各インク層の目付量は、白色インク層41、42、銀色インク層43共に、ウェット状態で6g/m程度は必要である。
【0042】
また、ここでは隠蔽層4を白色インク層41、42と銀色インク層43から成る3層構成としたが、印刷1回当りの白色インクの目付量を多くして、厚みのある白色インク層41と銀色インク層43の2層構成としても良い。或いは、白色インクを3回以上重ねて印刷することにより、白色インク層を3層以上積層しても良い。
【0043】
図2は、本発明の第2実施形態に係る包装フィルムの一例を示す断面図である。包装フィルム1を構成する各層の材質や厚みについては第1実施形態の図1と同様であるが、ここでは説明の便宜のため、図1に比べて各層の厚みをデフォルトして記載しており、熱可塑性樹脂層7の一部は記載を省略している。
【0044】
本実施形態では、アルミニウム箔層5の非光沢面(ケシ面)5aが印刷層3側、アルミニウム箔層5の光沢面(ツヤ面)5bが熱可塑性樹脂層7側となるようにアルミニウム箔層5を積層している。この構成によれば、基材層2を通過して入射した光が非光沢面5aによって乱反射される。その結果、光沢面5bを印刷層3側に配置する構成に比べて、アルミニウム箔層5にクラックが発生した場合のクラック部分とその周囲との反射率の差が小さくなり、黒ずみを目立たなくすることができる。
【0045】
従って、より一層過酷な条件で輸送等が行われた場合でも、アルミニウム箔層5のクラックに起因する黒ずみの発生をさらに抑制することができる。なお、図2では非光沢面5aと光沢面5bとを1面ずつ有するアルミニウム箔層5を用いているが、両面が非光沢面5aであるアルミニウム箔層5を用いることもできる。
【0046】
本発明の包装フィルム1の代表的な構成を例示するならば、一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材層2、12μm)/印刷層3/隠蔽層4(白色インク層41、42、銀色インク層43)/ドライラミネート層8/アルミニウム箔層5(9μm)/ドライラミネート層8/延伸ナイロンフィルム層(中間層6、15μm)/ドライラミネート層8/線状低密度ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層7、100μm)を挙げることができる。
【0047】
次に、本発明の包装フィルム1の製造方法、及び包装フィルム1を用いた包装袋の製造方法について説明する。図1に示したような積層構成の場合、先ず、基材層2の表面に印刷層3、隠蔽層4を積層する。次に、隠蔽層4にドライラミネート層8を介してアルミニウム箔層5を積層した後、さらにドライラミネート層8を介して中間層6を積層する。最後にドライラミネート層8を介して熱可塑性樹脂層7を積層して包装フィルム1を製造する。
【0048】
図3は、本発明の包装フィルム1を用いて製袋された包装袋10の外観斜視図である。包装袋10は、いわゆるスタンディングパウチ型であり、包装フィルム1により形成された包装袋本体11と、この包装袋本体11の一方の肩部に取り付けられた合成樹脂製の筒状の取出口12とを備える。
【0049】
包装袋本体11は前面フィルム13と後面フィルム14と底面フィルム15とで構成される。包装袋本体11の製造工程は、まず、矩形状の包装フィルム1で形成された前面フィルム13と後面フィルム14を、熱可塑性樹脂層7が内側となるように対向させる。次に、略楕円形状の包装フィルム1で形成された底面フィルム15の熱可塑性樹脂層7が外側となるように折り返して前面フィルム13と後面フィルム14の下部の間に挿入する。
【0050】
そして、これらのフィルム13〜15の対向する周縁部を相互にヒートシールすることにより、包装袋本体11には、一対の側辺21、22と、これらに交差する頂辺19及び底辺23と、内容物を収納する収納部18とが形成される。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0051】
取出口12は取出口本体16と蓋体17とから構成される。取出口本体16は両端が開口する筒状であり、径方向に張り出したフランジを有する。また、蓋体17は内周面に雌ネジ部が形成された有頂筒状であり、取出口本体16の上端外周部に形成された雄ネジ部に螺合して取り付けられる。
【0052】
取出口本体16は包装袋本体11の頂辺19と一方の側辺22との間に形成される肩部を斜めにカットすることにより形成された斜辺20の中間部において、前面フィルム13と後面フィルム14の間に挟み込まれた状態でヒートシールされて取り付けられる。これにより、取出口本体16は斜め上方に向けて突出するとともに包装袋本体11の収納部18と導通した状態となる。取出口本体16の開口部は蓋体17の取り付け又は取り外しにより開口又は閉口することができる。
【0053】
本発明の包装袋10は、図3に示したようなスタンディングパウチ型に限られず、例えば側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型等のヒートシール形態によりヒートシールして種々の形態の包装袋10を製造することができる。さらに、一枚の包装フィルム1のみで包装袋10を製造することも可能である。即ち、包装フィルム1を折り曲げて二方シール型、三方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)等のヒートシール形態により収納部18を形成すれば良い。
【0054】
また、本発明の包装袋10は連続的に製造することもできる。その場合、ロール状に巻かれた長尺の2枚の包装フィルム1を順次繰り出し、両方の包装フィルム1の周囲をヒートシールすると同時に内容物を充填する工程を連続して行うことにより、内容物が封入された複数の収納部18がマトリクス状に連なる長尺の包装袋10を製造する。その後、包装袋10はスリッターにより長尺方向にカットされ、さらに所定数ずつ幅方向にカットされる。
【0055】
包装袋10に取出口12を設けない場合、包装フィルム1には、予め包装袋10を開封するための切り込み線(ノッチ)を形成しておく。切り込み線の形成方法としては、外周面に切り込み線の形状に応じて刃が形成されたカットローラと、カットローラに対向する受け側ローラとで構成されるローラ対を包装フィルム1の製造ライン上に設けておく。そして、包装フィルム1をローラ対の隙間を通過させることで、所望の切り込み線を形成することができる。
【0056】
切り込み線の深さは、カットローラと受け側ローラとの隙間により調整することができる。また、切り込み線の形成位置は、印刷層3と同時に形成された位置合わせマーク(トンボ)をセンサで検知することにより所定の位置に形成することができる。
【0057】
こうして得られた本発明の包装袋10は、液状、ゲル状、固形状、粉末状等の食品や洗剤等の包装材料として、開封後の持ち運び性、内容物の取り出し性、製造性等の優れた特性を有するとともに、アルミニウム箔層5の黒ずみによる意匠性の低下も防止できることから、使用性及びコスト等を著しく改良した包装袋を提供できるものである。
【0058】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図1及び図2に示した、中間層6を含む包装フィルム1の積層構造は、包装袋10に耐ピンホール性が要求される場合に好ましい一例であり、本発明の包装フィルム1は、少なくとも基材層2と、印刷層3と、隠蔽層4と、アルミニウム箔層5と、最内層である熱可塑性樹脂層7とを含む積層構造であれば良い。
【0059】
また、上記の包装フィルム1の製造方法は好ましい一例に過ぎず、例えば包装フィルム1の製造方法として、一般的な包装フィルムを製造するときに使用する積層法、例えば、ウエットラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、共押出ラミネーション法、インフレーション法、その他の方法を用いることもできる。
【0060】
また、必要ならば上記各層の積層を行う際に、被積層面に、例えばアンカーコート処理、コロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、ブラスト処理等の前処理を任意に施すことができる。以下、実施例により本発明の効果について更に詳細に説明する。
【実施例】
【0061】
(1)基材層2として、厚さ12μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、この基材層2の表面にグラビア印刷により印刷層3を形成した。次に、スクリーン線数70L/cm、版深さ47〜50μmのグラビアロールを用いて、印刷層3の表面に白色インクを2回、白色インクの上に銀色インクを1回グラビア印刷することにより、ウェット状態でトータル目付量が12g/mの白色インク層41、42と、ウェット状態で目付量が6g/mの銀色インク層43とから成る隠蔽層4を形成した。
【0062】
(2)隠蔽層4を乾燥させた後、ドライラミネート層8を積層し、その上に厚さ9μmのアルミニウム箔層5を積層した。さらに、アルミニウム箔層5の表面にドライラミネート層8を積層した後、中間層6として厚さ15μmの延伸ナイロンフィルムを積層した。中間層6の上にドライラミネート層8を積層し、熱可塑性樹脂層7として厚さ100μmの線状低密度ポリエチレンフィルムを積層して、図1に示したような包装フィルム1を製造した。
【0063】
(3)上記(1)、(2)で製造した包装フィルム1を用いて包装袋10の半製品を製造し、収納部18内に内容物として液体を充填して図3に示したような包装袋10を製造した。
【比較例】
【0064】
銀色インク層43を印刷しない以外は実施例1と同様の製造工程により包装フィルム1を製造した。この包装フィルム1を用いて包装袋10の半製品を製造し、収納部18内に内容物として液体を充填して図3に示したような包装袋10を製造した。
[試験例1]
【0065】
実施例及び比較例で製造した包装袋10を、それぞれ起立状態で2袋ずつ入れて梱包した段ボール箱を、実施例1及び比較例1について各1ケースずつ、計2ケース作製した。各段ボール箱を振動試験装置にセットし、段ボール箱の長手方向に沿って振幅40mm、振動周期(装置の回転数)200RPMで20分間水平に振動させた。その後、包装袋10を段ボール箱から取り出して包装袋10の表面における黒ずみの発生を目視により観察した。
【0066】
試験の結果、実施例で製造した本発明の包装袋10では、黒ずみの発生は目視では確認できず、黒ずみが完全に隠蔽されていた。これに対し、比較例で製造した包装袋10では、目視で明らかに確認できる黒ずみが発生していた。
[試験例2]
【0067】
実施例及び比較例で製造した包装袋10を、それぞれ起立状態で6袋(縦2袋×横3袋)ずつ入れ、各包装袋10の間を仕切り板で仕切って梱包した段ボール箱を、実施例1及び比較例1について各1ケースずつ、計2ケース作製した。各段ボール箱を振動試験装置にセットし、段ボール箱の長手方向に沿って振幅3.7mm、振動周期10Hz(包装袋10に掛かる慣性力0.75G)で15分間水平に振動させ、段ボール箱の短手方向に沿って同一の振動条件で15分間水平に振動させ、さらに同一の振動条件で3分間垂直方向に振動させた。その後、包装袋10を段ボール箱から取り出して包装袋10の表面における黒ずみの発生を目視により観察した。なお、上記の振動試験条件は1500kmの輸送を想定したものである。
【0068】
試験の結果、実施例で製造した本発明の包装袋10では、黒ずみの発生は目視では確認できず、黒ずみが完全に隠蔽されていた。これに対し、比較例で製造した包装袋10では、目視で明らかに確認できる黒ずみが発生していた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、液状、ゲル状、固形状、粉末状等の内容物を包装するためのバリア性を備えた包装袋に利用可能である。本発明の利用により、特に重量の大きい内容物を包装して長時間輸送する場合に問題となる、アルミニウム箔層のクラック部分に発生するアルミニウム箔層の黒ずみを絵柄に影響を及ぼすことなく隠蔽可能となる。従って、基材層を通して視認される表面の絵柄(印刷層)の視認性を良好に維持可能であるデザイン性に優れた包装袋を提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 包装フィルム
2 基材層
3 印刷層
4 隠蔽層
5 アルミニウム箔層
5a 非光沢面
5b 光沢面
6 中間層
7 熱可塑性樹脂層
8 ドライラミネート層
10 包装袋
41、42 白色インク層
43 銀色インク層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも最外層である透明な基材層と、該基材層の内表面に積層される印刷層と、該印刷層の内側に積層されるアルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内側に積層される最内層である熱可塑性樹脂層と、を含む包装フィルムであって、
前記印刷層と前記アルミニウム箔層との間に、前記印刷層側に形成される白色インク層と、前記アルミニウム箔層側に形成される銀色インク層とから成る隠蔽層が積層されることを特徴とする包装フィルム。
【請求項2】
前記アルミニウム箔層は、少なくとも一方の面が非光沢面であり、前記非光沢面が前記隠蔽層側に対向するように積層されることを特徴とする請求項1に記載の包装フィルム。
【請求項3】
前記隠蔽層は、前記印刷層の内表面に前記白色インク層を複数回重ねて印刷した後、前記銀色インク層を印刷して形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装フィルム。
【請求項4】
前記アルミニウム箔層と前記熱可塑性樹脂層との間に中間層を積層したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の包装フィルム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の包装フィルムを用いて製袋された包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−63549(P2013−63549A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202883(P2011−202883)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】