説明

包装体のスパウト

【課題】包装体の内容物の良好な保管状態を維持しつつ内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことが可能な包装体のスパウトを提供する。
【解決手段】内部が流動体の収容部16とされた包装体12に取り付けられるスパウト11Aであって、軸方向に形成された流路24と側方において開口された連結孔25とを有し、包装体12に形成したスパウト装着口に液密的に装着されて流路24が収容部16に連通され、連結孔25が包装体12を構成するシート12aによって覆われる接続部材21と、シート12aを穿孔しながら接続部材21の連結孔25へ挿入されて接続部材21に対して側方から係合される連結部材31とを有する包装体のスパウトとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状医薬品類及び流動性食品ならびに飲料等の流動体を収容するパウチ等の包装体に取り付けられるスパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、十分な水や栄養剤を経口摂取することが困難となった患者に対し、口から挿入したカテーテルを通じて包装体に充填された経管栄養剤などの流動体を投与する経口経管栄養法や、胃の内部と腹部外表面とを直接連通するカテーテルを通じて包装体に充填された経管栄養剤などの流動体を投与する胃瘻経管栄養法が行われている。
【0003】
流動体を収容する包装体とカテーテルとを連結する技術としては、例えば、包装体に設けられた管状注出口部材に連結具の包装体側差込部を貫通させて係合させ、連結具のカテーテル側差込部をカテーテルの流路に嵌挿することにより、包装体内部とカテーテルの流路とを液密に連通させる経管栄養剤投与用連結具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、容器の栓体に設けられた注口部を閉塞する隔壁に、カテーテルに設けられた接続針を突き刺して接続する容器のカテーテル接続構造において、前記接続針と栓体に互いに螺合するねじ部を設け、前記栓体に接続針をねじ込む過程で前記接続針先端が隔壁を押圧して破断する構成とした接続構造も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−212177号公報
【特許文献2】特開2002−210023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の経管栄養剤投与用連結具を用いた包装体とカテーテルの接続構造では、包装体の管状注出口部材に連結具を挿し込んで係合させるものであるので、連結具が完全に奥まで挿し込まれないと係合が不十分となり、特に、圧力をかけて包装体からゲル状の流動体を送り出す場合、その圧力によって連結具が抜け出してしまうおそれがある。
【0006】
これに対して、特許文献2の接続構造では、容器の栓体にカテーテルの接続針をねじ込むことにより、確実な連結状態を得ることができるが、煩雑なねじ込み作業を要するという問題があった。また、この特許文献2では、包装体に取り付けられた注出口部材が外部に露出しているため、この注出部材部分でのバリア性が低くなり、特に流動体が流動性の低いゲル状の場合、長期保管時に、注出部材部分に滞留している流動体からなる内容物が変質するおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、包装体の内容物の良好な保管状態を維持しつつ内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことが可能な包装体のスパウトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は下記(1)〜(5)を特徴とする。
(1)内部が流動体の収容部とされた包装体に取り付けられるスパウトであって、軸方向に形成された流路と側方において開口された連結孔とを有し、前記包装体に形成したスパウト装着口に液密的に装着されて前記流路が前記収容部に連通され、前記連結孔が前記包装体を構成するシートによって覆われる接続部材と、前記シートを穿孔しながら前記接続部材の前記連結孔へ挿入されて前記接続部材に対して側方から係合される連結部材とを有する包装体のスパウト。
(2)前記連結部材は、前記接続部材に連結されることにより、前記接続部材の流路と連通して前記流動体を外部へ導く流路を有し、前記連結部材に接続されたカテーテルに前記接続部材及び前記連結部材のそれぞれの流路を介して前記収容部内の流動体が送り出される上記(1)に記載の包装体のスパウト。
(3)前記接続部材は、前記包装体の前記スパウト装着口に予め液密的に装着されて前記包装体を構成するシートによって全体が覆われている上記(1)または(2)に記載の包装体のスパウト。
(4)前記接続部材に接続されたカテーテルに前記接続部材の流路を介して前記収容部内の流動体が送り出される上記(1)に記載の包装体のスパウト。
(5)前記接続部材には、雌ねじ部が形成され、前記連結部材には、前記雌ねじ部に螺合可能な雄ねじ部が形成され、前記雌ねじ部へ前記雄ねじ部を螺合させることにより、前記接続部材に対して前記連結部材が連結される上記(1)〜(4)のいずれかに記載の包装体のスパウト。
【0009】
上記(1)の構成の包装体のスパウトによれば、包装体のスパウト装着口に装着された接続部材が、その連結孔に連結部材が挿し込まれることにより包装体を構成するシートと一体化されるので、包装体を加圧して流動体を接続部材の流路へ送り込む際に、加圧されて送り出される流動体によってスパウト装着口から接続部材が抜け出るような不具合を防止することができる。
また、予め包装体に接続部材を固定して外部に露出させた構造と比較して、使用前における包装体の高いバリア性を維持することができる。
上記(2)の構成の包装体のスパウトによれば、包装体を加圧して流動体を接続部材の流路へ送り込むことにより、この流路へ送り込んだ流動体を、連結部材の流路を介してカテーテルへ容易にかつ確実に送り込むことができる。
上記(3)の構成の包装体のスパウトによれば、予め接続部材が包装体のスパウト装着口に装着されているので、使用時における接続部材の装着作業を不要とすることができ、作業性を向上させることができる。また、接続部材の全体が包装体のシートによって覆われているので、接続部材が外部に露出されることによるバリア性の低下を防止することができる。
上記(4)の構成の包装体のスパウトによれば、包装体を加圧して流動体を接続部材の流路へ送り込むことにより、この流路へ送り込んだ流動体をカテーテルへ容易にかつ確実に送り込むことができる。
上記(5)の構成の包装体のスパウトによれば、接続部材の雌ねじ部へ連結部材の雄ねじ部を螺合させることにより、接続部材と連結部材とをより強固にかつ確実に連結させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装体のスパウトによれば、包装体の内容物の良好な保管状態を維持しつつ内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図である。
【図2】包装体の概略構造を示す斜視図である。
【図3】スパウトを構成する接続部材を示す斜視図である。
【図4】スパウトを構成する連結部材を示す斜視図である。
【図5】連結部材の構造を示す図であって、(a)は連結孔側から視た側面図、(b)は連結孔側に対して90°異なる方向から視た側面図である。
【図6】連結部材の構造を示す図であって、(a)は上面図、(b)は底面図である。
【図7】包装体へのスパウトの装着の仕方を説明する斜視図である。
【図8】包装体へ装着したスパウトを示す斜視図である。
【図9】包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図である。
【図11】包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図である。
【図13】包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る包装体のスパウトを構成する連結部材の斜視図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る包装体のスパウトを構成する接続部材の平面図である。
【図16】包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図である。
【図18】包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図である。
【図20】包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る包装体のスパウトの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るスパウトについて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図、図2は包装体の概略構造を示す斜視図である。図3はスパウトを構成する接続部材を示す斜視図、図4はスパウトを構成する連結部材を示す斜視図である。図5は連結部材の構造を示す図であって、(a)は連結孔側から視た側面図、(b)は連結孔側に対して90°異なる方向から視た側面図、図6は連結部材の構造を示す図であって、(a)は上面図、(b)は底面図である。そして、図7は包装体へのスパウトの装着の仕方を説明する斜視図、図8は包装体へ装着したスパウトを示す斜視図、図9は包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【0014】
本発明のスパウト11Aは、図1に示したように、内部に流動体を収容した包装体12に装着され、前記流動体を包装体12の外部へ吐出させるための注出口となる。そして、このスパウト11Aには、カテーテル13の端部に設けられたれアダプタ14が連結される。
【0015】
図2に示したように、包装体12は、二枚のシート12aを重ね合わせたもので、これらのシート12aの周囲に設けた接合代15の部分が熱溶着等により剥離不能に接合され、接合代15の内周側の範囲が袋状の収容部16とされている。接合代15のうちの一辺には、前記収容部16に連通するスパウト装着口18が形成されたスパウト装着部17が設けられている。前記スパウト装着口18は、スパウト11Aを構成する接続部材21の挿入部22と略等しいか僅かに小径に形成され、包装体12の製造時には、スパウト装着口18の先端は接合代15によって閉塞されている。接合代15の四辺のうち、スパウト装着部17を有する辺を除く他の三辺は先に接合され、液状医薬品類、流動性食品あるいは流動性飲料等の流動体からなる内容物が収容部16に充填され、最後にスパウト装着部17を有する辺が接合される。尚、本発明において、流動体とは、液体、ゲル状体等の圧力差、高低差等により移動する物質をいう。
【0016】
包装体12を構成するシート12aは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどから形成された樹脂シートとアルミニウム箔とを積層させた多層構造を有しており、酸素及び外光に対して高いバリア性を有している。なお、シート12aとしては、樹脂シートにアルミニウムを蒸着して多層構造としてもよい。また、シート12aは、一方向にのみ引き裂き可能な直線カット性を持ち、その引き裂き方向と、スパウト装着口18を開封する方向とが合致している。そして、包装体12のスパウト装着部17の縁部に平行してスパウト装着口18の先端をカットするカットライン19が表示され、包装体12の一側辺には、カットライン19の起点となるカットポイント(不図示)が例えばスリット状に設けられている。このため、カットポイントから包装体12を引き裂くことにより、包装体12がカットライン19沿いに切断されてスパウト装着口18の先端が開封される。
【0017】
スパウト11Aは、それぞれプラスチック等の樹脂材料から形成された接続部材21及び連結部材31を有している。
図3に示したように、接続部材21は、包装体12のスパウト装着口18に挿入可能な挿入部22と、この挿入部22におけるスパウト装着口18への挿入方向後方側に設けられたフランジ部23とを有している。前記挿入部22は、略円筒状部材であり、軸方向に沿って流路24が形成され、その先端は開口している。また、この挿入部22には、軸と直交する方向に連結孔25が形成されており、この連結孔25が、流路24と連通され、挿入部22の側方において開口されている。
【0018】
図4〜図6に示したように、連結部材31は、接続部材21の挿入部22に形成された連結孔25へ挿通可能な連結部32と、この連結部32における連結孔25への挿入方向後方側に設けられたフランジ部33とを有している。前記連結部32は、略円筒状部材であり、軸方向に沿って流路34が形成され、その先端を開口している。また、この連結部32には、軸と直交する方向へ連通孔35が形成されており、この連通孔35が、流路34と連通され、連結部32の側方において開口されている。また、この連結部材31には、連結部32の先端部に、先端へ向かって突出する針部32aが形成されている。
【0019】
次に、包装体12にスパウト11Aを取り付ける場合について説明する。
まず、包装体12のスパウト装着部17が設けられた一端側の縁部を、カットライン19に沿ってカットする。すると、スパウト装着部17には、収容部16と連通するスパウト装着口18が開口する。
【0020】
この状態において、図7に示したように、包装体12のスパウト装着口18に、接続部材21の挿入部22をフランジ部23がスパウト装着口18の縁部に当接するまで挿し込む(矢印A参照)。このようにすると、スパウト装着口18に接続部材21が装着され、接続部材21の挿入部22に形成された流路24が包装体12の収容部16と連通される。また、連結孔25の開口部が、包装体12を構成するシート12aによって覆われた状態となる。ここで、スパウト装着口18は、上記したごとく、接続部材21の挿入部22と略等しいか僅かに小径に形成されているので、挿入部22をスパウト装着口18へ挿入すると、スパウト装着口18の内周面が挿入部22に密着し、よって、接続部材21は、包装体12に対して液密的に装着される。
【0021】
次に、開口部がシート12aによって覆われた接続部材21の連結孔25へ連結部材31を挿し込む(矢印B参照)。連結部材31の連結部32の先端に形成された針部32aによって、連結孔25の開口部を覆うシート12aが破かれて穿孔され、連結部32が接続部材21の挿入部22の連結孔25へ挿し込まれて貫通し、図8に示したように、接続部材21に連結部材31が組み付けられる。これにより、包装体12にスパウト11Aが一体的に取り付けられる。
【0022】
なお、接続部材21の挿入部22の連結孔25へ連結部材31の連結部32を挿し込む際には、連結部32に形成された連通孔35を、接続部材21の流路24に対して直交する方向へ向けておく。これにより、接続部材21に連結部材31を挿し込んだときに、接続部材21の流路24が連結部材31の流路34と連通し、収容部16内の流動体が外部に漏出するような不具合が防止される。
【0023】
上記のようにして、包装体12にスパウト11Aを設けたら、このスパウト11Aを構成する連結部材31の先端部に、カテーテル13のアダプタ14を装着する。
この状態において、連結部材31を90°回転させると、図9に示したように、接続部材21の流路24が連結部材31の連通孔35に連通し、これにより、収容部16は、流路24,34を介してカテーテル13と連通される。したがって、この状態において、包装体12を加圧することにより、その圧力によって、収容部16内の流動体を、流路24,34を介してカテーテル13へ容易にかつ確実に送り込むことができる。
【0024】
このとき、包装体12のスパウト装着口18に挿し込まれた接続部材21は、その連結孔25に連結部材31が挿し込まれて包装体12を構成するシート12aと一体化されているので、加圧されて送り出される流動体によってスパウト装着口18から抜け出るような不具合が防止される。
なお、連結部材31を90°逆回転させて接続部材21の流路24と連結部材31の流路34との連通状態を解除することにより、カテーテル13への流動体の送り込みを一時的に中断させることもできる。
【0025】
このように、上記の第1実施形態に係る包装体のスパウト11Aによれば、包装体12のスパウト装着口18に装着された接続部材21が、該接続部材21を構成する挿入部22の連結孔25に連結部材31が挿し込まれて包装体12を構成するシート12aと一体化されるので、包装体12を加圧して流動体を接続部材21の流路24へ送り込む際に、加圧されて送り出される流動体によってスパウト装着口18から接続部材21が抜け出るような不具合を防止することができる。
【0026】
また、包装体12に接続部材21を固定して外部に露出させた構造と比較して、使用前における包装体12の高いバリア性を維持することができる。
つまり、包装体12の内容物の良好な保管状態を維持しつつ内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことができる。
【0027】
次に、他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
(第2実施形態)
図10は本発明の第2実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図、図11は包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【0029】
図10及び図11に示したように、第2実施形態の包装体のスパウトでは、注出口であるスパウト11Bを構成する接続部材21の挿入部22において、一側部側だけに連結孔25が形成されている。また、この挿入部22には、該挿入部22内に形成された流路24の内壁であって、連結孔25との対向位置に、雌ねじ部26が形成されている。
【0030】
そして、このスパウト11Bにおける連結部材31には、該連結部材31を構成する連結部32の先端部、すなわち、接続部材21に挿入する側に、接続部材21の雌ねじ部26に螺合可能な雄ねじ部36が形成されている。また、この連結部材31は、流路34が後端部へわたって形成されている。
このようなスパウト11Bでは、包装体12のスパウト装着口18に、接続部材21の挿入部22を挿し込んだ後に、接続部材21の連結孔25へ、シート12aを破いて穿孔しながら連結部材31を挿し込み、さらに、連結部材31の雄ねじ部36を接続部材21の雌ねじ部26へねじ込む。
【0031】
このようにすると、接続部材21の挿入部22に設けた雌ねじ部26に連結部材31の連結部32に設けた雄ねじ部36が螺合され、接続部材21と連結部材31とが確実に連結されたスパウト11Bが構成される。
上記のようにして、包装体12にスパウト11Bを設けたら、このスパウト11Bを構成する連結部材31の後端部に、カテーテル13のアダプタ14を装着する。
【0032】
そして、このスパウト11Bでは、連結部材31の連通孔35を接続部材21の流路24に連通させた状態で、包装体12を加圧すると、その圧力によって、収容部16内の流動体が流路24,34を介してカテーテル13へ送り込まれる。
【0033】
この第2実施形態に係るスパウト11Bの場合も、連結孔25に連結部材31が挿し込まれて接続部材21が包装体12のシート12aと一体化されるので、加圧されて送り出される流動体によってスパウト装着口18から接続部材21が抜け出るような不具合を防止することができ、内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことができ、しかも、使用前における包装体12の高いバリア性を維持することができる。
特に、接続部材21の雌ねじ部26へ連結部材31の雄ねじ部36を螺合させることにより、接続部材21と連結部材31とをより強固にかつ確実に連結させることができる。
【0034】
なお、上記のねじ込み式のスパウト11Bでは、雌ねじ部26を接続部材21の挿入部22に設けた連結孔25に形成し、この雌ねじ部26に、連結部材31の先端に形成された雄ねじ部36を螺合させて接続部材21と連結部材31とを連結させる構造としても良い。ただし、この場合、連結部材31には、側部の連通孔35を設けず、軸方向に貫通した流路34を形成することとなる。
【0035】
(第3実施形態)
図12は本発明の第3実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図、図13は包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【0036】
図12及び図13に示したように、第3実施形態の包装体のスパウトでは、注出口であるスパウト11Cを構成する接続部材21が、包装体12のスパウト装着口18に予め装着されている。そして、この接続部材21は、その全体が、包装体12を構成するシート12aによって覆われている。
このスパウト11Cを構成する連結部材31は、第1実施形態と同様に、軸方向に沿って形成されて先端で開口する流路34を有している。
【0037】
このようなスパウト11Cでは、包装体12のスパウト装着口18に予め装着された接続部材21の挿入部22に設けられた連結孔25へ、シート12aを破いて穿孔しながら連結部材31を挿し込むことにより、接続部材21と連結部材31とが連結される。
上記のようにして、包装体12にスパウト11Cを設けたら、このスパウト11Cを構成する連結部材31の先端部に、カテーテル13のアダプタ14を装着する。
【0038】
そして、このスパウト11Cでは、連結部材31の連結部32に設けられた連通孔35を接続部材21の流路24に連通させた状態で、包装体12を加圧すると、その圧力によって、収容部16内の流動体が流路24,34を介してカテーテル13へ送り込まれる。
【0039】
この第3実施形態に係るスパウト11Cの場合も、連結孔25に連結部材31が挿し込まれて接続部材21が包装体12のシート12aと一体化されるので、加圧されて送り出される流動体によってスパウト装着口18から接続部材21が抜け出るような不具合を防止することができ、内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことができ、しかも、使用前における包装体12の高いバリア性を維持することができる。
【0040】
特に、予め接続部材21が包装体12のスパウト装着口18に装着されているので、使用時における接続部材21の装着作業を不要とすることができ、作業性を向上させることができる。また、接続部材21の全体が包装体12のシート12aによって覆われているので、接続部材21が外部に露出されることによるバリア性の低下を招くようなこともない。
【0041】
(第4実施形態)
図14は本発明の第4実施形態に係る包装体のスパウトを構成する連結部材の斜視図、図15は本発明の第4実施形態に係る包装体のスパウトを構成する接続部材の平面図、図16は包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【0042】
図14〜図16に示したように、第4実施形態の包装体のスパウトでは、第3実施形態と同様に、注出口であるスパウト11Dを構成する接続部材21が、包装体12のスパウト装着口18に予め装着されている。そして、この接続部材21は、その全体が、包装体12を構成するシート12aによって覆われている。この接続部材21は、平面視矩形状に形成されたもので、第2実施形態と同様に、挿入部22の一側部側だけに連結孔25が形成され、流路24の内壁であって、連結孔25との対向位置に雌ねじ部26が形成されている。
【0043】
また、このスパウト11Dにおける連結部材31には、第2実施形態と同様に、該連結部材31を構成する連結部の先端部、すなわち、接続部材21に挿入する側に、接続部材21の雌ねじ部26に螺合可能な雄ねじ部36が形成され、流路34が後端部へわたって形成されている。
【0044】
このようなスパウト11Dでは、包装体12のスパウト装着口18に、予め装着された接続部材21の連結孔25へ、シート12aを破いて穿孔しながら連結部材31を挿し込み、さらに、連結部材31の雄ねじ部36を接続部材21の雌ねじ部26へねじ込む。
このようにすると、接続部材21の雌ねじ部26に連結部材31の雄ねじ部36が螺合され、接続部材21と連結部材31とが確実に連結される。
上記のようにして、包装体12にスパウト11Dを設けたら、このスパウト11Dを構成する連結部材31の後端部に、カテーテル13のアダプタ14を装着する。
【0045】
そして、このスパウト11Dでは、連結部材31の連通孔35を接続部材21の流路24に連通させた状態で、包装体12を加圧すると、その圧力によって、収容部16内の流動体が流路24,34を介してカテーテル13へ送り込まれる。
【0046】
この第4実施形態に係るスパウト11Dの場合も、連結孔25に連結部材31が挿し込まれて接続部材21が包装体12のシート12aと一体化されるので、加圧されて送り出される流動体によってスパウト装着口18から接続部材21が抜け出るような不具合を防止することができ、内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことができ、しかも、使用前における包装体12の高いバリア性を維持することができる。
【0047】
しかも、バリア性の低下を防止しつつ使用時における接続部材21の装着作業を不要として作業性を向上させることができる。
また、接続部材21の雌ねじ部26へ連結部材31の雄ねじ部36を螺合させることにより、接続部材21と連結部材31とをより強固にかつ確実に連結させることができる。
【0048】
なお、この第4実施形態のねじ込み式のスパウト11Dにおいても、雌ねじ部26を接続部材21の連結孔25に形成し、この雌ねじ部26に、連結部材31の先端に形成された雄ねじ部36を螺合させて接続部材21と連結部材31とを連結させる構造としても良い。ただし、この場合も、連結部材31には側部の連通孔35を設けず、軸方向に貫通する流路34を形成することとなる。
【0049】
(第5実施形態)
図17は本発明の第5実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図、図18は包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【0050】
図17及び図18に示したように、第5実施形態の包装体のスパウトでは、注出口であるスパウト11Eを構成する接続部材21として流路24が軸方向へ貫通したものを用いる。
また、このスパウト11Eを構成する連結部材31は、流路34がなく軸と直交する方向に連通孔35だけが形成されている。
【0051】
このようなスパウト11Eでは、包装体12のスパウト装着口18に接続部材21を挿し込んで装着し、その後、接続部材21の連結孔25へ、シート12aを破いて穿孔しながら連結部材31を挿し込むことにより、接続部材21と連結部材31とが連結される。
上記のようにして、包装体12にスパウト11Eを設けたら、このスパウト11Eを構成する接続部材21の後端部に、カテーテル13のアダプタ14を装着する。
【0052】
そして、このスパウト11Eでは、連結部材31の連通孔35を接続部材21の流路24に連通させた状態で、包装体12を加圧することにより、その圧力によって、収容部16内の流動体を、流路24を介して接続部材21の後端からカテーテル13へ送り込むことができる。
【0053】
この第5実施形態に係るスパウト11Eの場合も、連結孔25に連結部材31が挿し込まれて接続部材21が包装体12のシート12aと一体化されるので、加圧されて送り出される流動体によってスパウト装着口18から接続部材21が抜け出るような不具合を防止することができ、内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことができ、しかも、使用前における包装体12の高いバリア性を維持することができる。
【0054】
(第6実施形態)
図19は本発明の第6実施形態に係る包装体のスパウトの斜視図、図20は包装体からの流動体の流れを示す概略側面図である。
【0055】
図19及び図20に示したように、第6実施形態の包装体のスパウトでは、第5実施形態と同様に、注出口であるスパウト11Fを構成する接続部材21として流路24が軸方向へ貫通したものを用いる。また、この接続部材21は、第2,第4実施形態と同様に、挿入部22の一側部側だけに連結孔25が形成され、流路24の内壁であって、連結孔25との対向位置に雌ねじ部26が形成されている。
また、このスパウト11Fにおける連結部材31には、第2,第4実施形態と同様に、先端部に、接続部材21の雌ねじ部26に螺合可能な雄ねじ部36が形成されている。
【0056】
このようなスパウト11Fでは、包装体12のスパウト装着口18に接続部材21を挿し込んで装着し、その後、接続部材21の連結孔25へ、シート12aを破いて穿孔しながら連結部材31を挿し込み、さらに、連結部材31の雄ねじ部36を接続部材21の雌ねじ部26へねじ込む。
【0057】
このようにすると、接続部材21の雌ねじ部26に連結部材31の雄ねじ部36が螺合され、接続部材21と連結部材31とが確実に連結される。
上記のようにして、包装体12にスパウト11Fを設けたら、このスパウト11Fを構成する接続部材21の後端部に、カテーテル13のアダプタ14を装着する。
【0058】
そして、このスパウト11Fでは、連結部材31の連通孔35を接続部材21の流路24に連通させた状態で、包装体12を加圧すると、その圧力によって、収容部16内の流動体が流路24を介して接続部材21の後端からカテーテル13へ送り込まれる。
【0059】
この第6実施形態に係るスパウト11Fの場合も、連結孔25に連結部材31が挿し込まれて接続部材21が包装体12のシート12aと一体化されるので、加圧されて送り出される流動体によってスパウト装着口18から接続部材21が抜け出るような不具合を防止することができ、内容物を容易にかつ確実に外部へ送り出すことができ、しかも、使用前における包装体12の高いバリア性を維持することができる。
また、接続部材21の雌ねじ部26へ連結部材31の雄ねじ部36を螺合させることにより、接続部材21と連結部材31とをより強固にかつ確実に連結させることができる。
【符号の説明】
【0060】
11A〜11F スパウト
12 包装体
12a シート
13 カテーテル
14 アダプタ
15 接合代
16 収容部
17 スパウト装着部
18 スパウト装着口
19 カットライン
21 接続部材
22 挿入部
23,33 フランジ部
24,34 流路
25 連結孔
26 雌ねじ部
31 連結部材
32 連結部
32a 針部
35 連通孔
36 雄ねじ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が流動体の収容部とされた包装体に取り付けられるスパウトであって、
軸方向に形成された流路と側方において開口された連結孔とを有し、前記包装体に形成したスパウト装着口に液密的に装着されて前記流路が前記収容部に連通され、前記連結孔が前記包装体を構成するシートによって覆われる接続部材と、
前記シートを穿孔しながら前記接続部材の前記連結孔へ挿入されて前記接続部材に対して側方から係合される連結部材
とを有することを特徴とする包装体のスパウト。
【請求項2】
前記連結部材は、前記接続部材に連結されることにより、前記接続部材の流路と連通して前記流動体を外部へ導く流路を有し、
前記連結部材に接続されたカテーテルに前記接続部材及び前記連結部材のそれぞれの流路を介して前記収容部内の流動体が送り出されることを特徴とする請求項1に記載の包装体のスパウト。
【請求項3】
前記接続部材は、前記包装体の前記スパウト装着口に予め液密的に装着されて前記包装体を構成するシートによって全体が覆われていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装体のスパウト。
【請求項4】
前記接続部材に接続されたカテーテルに前記接続部材の流路を介して前記収容部内の流動体が送り出されることを特徴とする請求項1に記載の包装体のスパウト。
【請求項5】
前記接続部材には、雌ねじ部が形成され、前記連結部材には、前記雌ねじ部に螺合可能な雄ねじ部が形成され、前記雌ねじ部へ前記雄ねじ部を螺合させることにより、前記接続部材に対して前記連結部材が連結されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の包装体のスパウト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2012−288(P2012−288A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138569(P2010−138569)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(502138359)イーエヌ大塚製薬株式会社 (56)
【Fターム(参考)】