説明

包装体

【課題】側板と内側板を挟み付ける方向の力が加わった場合に内側板が変形しにくく、被包装物の保護性能に優れた包装体を提供する。
【解決手段】底板1の縁に沿って上方に折り曲げられた側板2,4を底板1の周囲に設け、各側板2,4の上縁に沿って内方に折り曲げられた内側板3,5を設け、その内側板3,5を、底板1と直角な面に沿った断面形状がくの字状となるように折り曲げ、その各内側板3,5の下縁を底板1の上面で支持し、側板2,4と内側板3,5とを底板1と直角な面に沿った断面形状が三角形状となるように配置した構成を包装体に採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被包装物を保護する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物を保護する包装体として、図8に示すように、底板31の縁に沿って上方に折り曲げられた側板32を底板31の周囲に設け、各側板32の上縁に沿って内方に折り曲げられた内側板33を設け、その内側板33を、底板31と直角な面に沿った断面形状がくの字状となるように折り曲げ、その各内側板33の下縁に沿って外方に折り曲げた重合片34を底板31の上面に重ね合わせ、側板32と内側板33とを底板31と直角な面に沿った断面が台形状となるように配置した包装体が知られている(特許文献1)。
【0003】
この包装体は、側板32と内側板33の間に空間を設けることにより、底板31上の被包装物と外部との距離を確保し、外部からの衝撃から被包装物を保護するようにしている。
【特許文献1】実開昭54−136126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この包装体は、側板32と内側板33とを断面台形状に配置しているので、図5(a)に示すように、側板32と内側板33を挟み付ける方向の力が加わった場合、図5(b)に示すように、内側板33が容易に変形し、へこみやすい。内側板33がこのように変形すると、側板32と内側板33の間の空間を確保することができず、被包装物の保護性能が低下する。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、側板と内側板を挟み付ける方向の力が加わった場合に内側板が変形しにくく、被包装物の保護性能に優れた包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、底板の縁に沿って上方に折り曲げられた側板を前記底板の周囲に設け、前記各側板の上縁に沿って内方に折り曲げられた内側板を設け、その内側板の上縁と下縁の間に形成された折目線に沿って各内側板をくの字状に折り曲げ、その各内側板の下縁を前記底板の上面で支持し、前記側板と前記内側板とを前記底板と直角な面に沿った断面形状が三角形状となるように配置した構成を包装体に採用した。
【0007】
この包装体は、前記内側板の下縁に沿って内方に折り曲げられた重合片を設け、その重合片を前記底板に重ね合わせることができる。また、前記底板を方形状とし、その底板を間に挟んで対向する一対の前記内側板にそれぞれスリットを設け、そのスリットに、前記一対の内側板を架け渡す仕切り部材を挿入することもできる。
【発明の効果】
【0008】
この発明の包装体は、側板と内側板が断面三角形状の構造体を構成するので、側板と内側板を挟み付ける方向の力が加わった場合に、内側板が変形しにくく、被包装物の保護性能の低下を生じにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1、図2に、この発明の包装トレーの実施形態を示す。この包装トレーは、段ボールからなり、方形の底板1と、底板1の両側縁に沿って上方に折り曲げられた側板2,2と、各側板2の上縁に沿って内方に折り曲げられた内側板3と、底板1の両端縁に沿って上方に折り曲げられた側板4,4と、各側板4の上縁に沿って内方に折り曲げられた内側板5とを有する。
【0010】
内側板3は、図1に示すように、底板1と直角な面に沿った断面形状が、内方に突出するくの字状となるように折り曲げられ、内側板3の下縁に沿って内方に折り曲げられた重合片6が、底板1の上面に接着されている。ここで、内側板3の下縁は側板2の下縁に近接した配置とされ、側板2と内側板3は、底板1と直角な面に沿った断面形状が三角形状となっている。
【0011】
内側板5も、底板1と直角な面に沿った断面形状が、内方に突出するくの字状となるように折り曲げられ、内側板5の下縁に沿って内方に折り曲げられた重合片7が、底板1の上面に重ね合わされている。また、内側板5の下縁は側板4の下縁に近接した配置とされ、側板4と内側板5は、底板1と直角な面に沿った断面形状が三角形状となっている。
【0012】
内側板3の中央部には、切り起こし片8が形成されており、その切り起こし片8に、底板1上の被包装物を覆う化粧布(図示せず)の縁を係止可能となっている。
【0013】
図3に、この包装トレーのブランクを示す。このブランクは、底板1の一方の側縁に、側板2、内側板3、重合片6が順に連設され、他方の側縁にも、側板2、内側板3、重合片6が順に連設されている。また、底板1の一方の端縁に、側板4、内側板5、重合片7が順に連設され、他方の端縁にも、側板4、内側板5、重合片7が順に連設されている。
【0014】
側板2と内側板3の間には、二重罫線9が形成され、内側板3には、二重罫線9と平行な折目線10が形成されている。また、側板4と内側板5の間にも二重罫線11が形成され、内側板5には、二重罫線11と平行な折目線12が形成されている。内側板5の左右の縁13,13は、くの字状に入り込んだ形状に形成されている。
【0015】
各側板2は、左右の縁に折込片14,14が連設され、内側板3も、左右の縁に折込片15,15が連設されている。また、各内側板3の中央部には、切り起こし片8を形成するコ字状の切目線16が形成されている。
【0016】
このブランクは、たとえば次のようにして組み立てることができる。まず、各内側板3と重合片6を二重罫線9に沿って折り返して重合片6を底板1に重ね合わせ、重合片6を底板1の上面に糊で接着する。つぎに、底板1の側縁に沿って各側板2を上方に折り曲げる。このとき、折目線10に沿って内側板3がくの字状に折れ曲がり、側板2と内側板3が断面三角形状の構造体を構成する。つづいて、重なり合った折込片14,15を側板2、内側板3の左右の縁に沿って底板1の端縁の位置まで折り曲げ、その状態で、各側板4を底板1の端縁に沿って上方に折り曲げる。さらに、内側板5を折目線12に沿ってくの字状に折り曲げ、その内側板5を側板4の上縁に沿って内方に折り曲げ、側板4と内側板5で折込片14,15を挟み込む。このとき、内側板5の左右の縁がくの字に入り込んだ形状なので、内側板5の左右の縁13が内側板3の表面に沿った状態となり、内側板5の折目線12よりも下側部分の左右の端部5aが、内側板3の折目線10よりも下側部分の浮き上がりを防止する。
【0017】
この包装トレーは、側板2と内側板3が、底板1と直角な面に沿った断面形状が三角形状の構造体を構成する。そのため、図4に示すように、側板2と内側板3を挟み付ける方向の力が加わった場合に、内側板3が変形しにくく、図5(a)に示すように、側板32と内側板33が断面台形状となるように配置されたものに比べて、被包装物の保護性能の低下を生じにくい。同様に、側板4と内側板5も断面三角形状の構造体を構成するので、側板4と内側板5を挟み付ける方向の力が加わった場合に、被包装物の保護性能の低下を生じにくい。
【0018】
また、この包装トレーは、内側板3の折目線10よりも上側の部分が、外部から視認しやすい方向に傾斜しており、また、内側板5の折目線12よりも上側の部分も同様に傾斜しているので、内側板3,5に模様や色彩を付すことにより、効果的に装飾性を付与することができる。
【0019】
上記実施形態のように重合片6を底板1に接着する場合、側板2と内側板3の間の折目線は二重罫線9とすると好ましい。このようにすると、二重罫線9の位置で側板2と内側板3の寸法差を吸収可能となるので、底板1の側縁に沿って側板2を折り曲げる前の状態を扁平にすることができ、その扁平な状態で搬送、保管することにより、搬送コストを削減するとともに在庫スペースを小さくすることができる。
【0020】
上記実施形態では、底板1を間に挟んで対向する内側板3,3にそれぞれ切り起こし片8を形成しているが、図6、図7に示すように、底板1を間に挟んで対向する内側板3,3にそれぞれスリット17を設け、そのスリット17に、内側板3,3を架け渡す仕切り部材18を挿入してもよい。この場合、仕切り部材18は、図に示すように底板1に重ねる内底板19と一体に形成すると部品点数が少なくなり、経済的である。
【0021】
また、上記実施形態では、包装体として、被包装物を底板上に載せる包装トレーを例に挙げて説明したが、この発明は、上下を反対にした状態で包装トレーに被せて用いる蓋体に適用することもできる。
【0022】
また、上記実施形態では、底板1が方形状の包装トレーを例に挙げて説明しているが、この発明は、底板が他の形状の包装体にも適用することができ、たとえば底板が六角形状の包装体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施形態の包装トレーの一部を破断した状態を示す斜視図
【図2】図1の包装トレーの斜視図
【図3】図1の包装トレーのブランクを示す平面図
【図4】図1の包装トレーに側板と内側板を挟み付ける方向の力が加わった状態を示す拡大断面図
【図5】(a)は、従来の包装トレーに側板と内側板を挟み付ける方向の力が加わった状態を示す拡大断面図、(b)は、従来の包装トレーに側板と内側板を挟み付ける方向の力が加わることによって内側板が変形した状態を示す拡大断面図
【図6】図1の包装トレーの変形例を示す分解斜視図
【図7】図6の包装トレーの斜視図
【図8】従来の包装体の一部を破断した状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0024】
1 底板
2 側板
3 内側板
4 側板
5 内側板
6,7 重合片
17 スリット
18 仕切り部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(1)の縁に沿って上方に折り曲げられた側板(2,4)を前記底板(1)の周囲に設け、前記各側板(2,4)の上縁に沿って内方に折り曲げられた内側板(3,5)を設け、その内側板(3,5)を、前記底板(1)と直角な面に沿った断面形状がくの字状となるように折り曲げ、その各内側板(3,5)の下縁を前記底板(1)の上面で支持し、前記側板(2,4)と前記内側板(3,5)とを前記底板(1)と直角な面に沿った断面形状が三角形状となるように配置した包装体。
【請求項2】
前記内側板(3,5)の下縁に沿って内方に折り曲げられた重合片(6,7)を設け、その重合片(6,7)を前記底板(1)に重ね合わせた請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記底板(1)を方形状とし、その底板(1)を間に挟んで対向する一対の前記内側板(3,3)にそれぞれスリット(17,17)を設け、そのスリット(17,17)に、前記一対の内側板(3,3)を架け渡す仕切り部材(18,18)を挿入した請求項1または2に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−74431(P2008−74431A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254238(P2006−254238)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】