説明

包装体

【課題】平シール状のエンドシール部を有するチューブ容器を収納物として箱に収容した場合に、簡易な構成によって、これの回転を効果的に阻止できる包装体を提供する。
【解決手段】立体形状に組み立てられた箱11に平シール状のエンドシール部12aを有するチューブ容器12を収容した包装体10であって、箱11は、正面板16と背面板17と左右一対の側面板18とを含んで形成される。例えば背面板17の上方に連設する背面上方フラップ片17aは、折り曲げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力を押付け付勢力Pとして、チューブ容器12のエンドシール部12aの近傍部分を正面板16の内側面に押し付ける押付けフラップ部21を構成する。エンドシール部12aの近傍部分を押付けフラップ部21によって正面板16の内側面に押し付けることで、箱11の内部におけるチューブ容器12の回転を阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関し、特に、立体形状に組み立てられた箱に、平シール状のエンドシール部を有するチューブ容器を収容した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、化粧品類、薬品類、菓子類、文房具類や、その他の日用品等を包装する包装箱として、透明な、或いは透明感のあるプラスチック製の箱が、内部の収容物を外側から視認可能な状態で収容する包装容器として多用されている。また、例えば厚紙等によって形成した紙製の箱や、その他の不透明なシート材料からなる箱においても、周面に開口部や切欠き部等を設けて、内部の収容物を外側から視認可能な状態で収容することが行われている。これらの収容物を外側から視認可能な状態で収容する箱は、一般に4角形、多角形等の断面形状を備える筒状に形成した箱本体の上下の開口部を、当該開口部の周縁に連設するフラップ片を折り重ねて天面部や底面部を形成することで閉塞する。
【0003】
一方、外側から視認可能な状態で箱に収容される収容物として、例えば円筒形状のものが収容されている包装体の場合、箱の内部で収納物が回転しやすく、例えば収納物に施した装飾や説明書き等が陳列時に見難くなることで、製品としての包装体が粗雑な印象を与える場合があることから、このような回転し易い円筒形状の収容物を、簡易な構成によって回転を阻止した状態で収容することにより、陳列時における美観や、内部の収容物の見易さを向上させた包装体が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−8560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装体では、箱を構成する側面板に連設するフラップ片の形状を工夫するだけの簡易な構成によって、円筒形状の収納物の回転を効果的に阻止できるようになっているが、例えば収容物として、平シール状のエンドシール部を有するチューブ容器を収容する場合には、フラップ片によってチューブ容器を両側から挟み込むことが困難になることから、このような平シール状のエンドシール部を有するチューブ容器を収納物として箱に収容した場合に、これの回転を効果的に阻止できるようにする新たな技術の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、平シール状のエンドシール部を有するチューブ容器を収納物として箱に収容した場合に、簡易な構成によって、収容されたチューブ容器の回転を効果的に阻止することのできる包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定の形状に裁断されたブランクを折曲げ線に沿って折り曲げることで立体形状に組み立てられた箱に、平シール状のエンドシール部を有するチューブ容器を収容した包装体であって、前記箱は、正面板と背面板と左右一対の側面板とを含んで形成されると共に、前記正面板と前記背面板と前記左右一対の側面板のうちの少なくとも3枚の板の上辺又は下辺から折曲げ線を介して連設する、複数のフラップ片を折り重ねることで、天面部又は底面部が形成されるようになっており、前記フラップ片の少なくとも一枚は、折り曲げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力を押付け付勢力として、前記チューブ容器を前記正面板又は前記背面板の内側面に押し付ける押付けフラップ部を備えており、前記チューブ容器を前記押付けフラップ部によって前記正面板又は前記背面板の内側面に押し付けることで、前記箱の内部における前記チューブ容器の回転を阻止する包装体を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包装体によれば、平シール状のエンドシール部を有するチューブ容器を収納物として箱に収容した場合に、簡易な構成によって、収容されたチューブ容器の回転を効果的に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の好ましい第1実施形態に係る包装体の構成を説明する斜視図である。
【図2】本発明の好ましい第1実施形態に係る包装体の箱を形成するためのブランクの展開図である。
【図3】本発明の好ましい第1実施形態に係る包装体の構成を説明する要部断面図である。
【図4】本発明の好ましい第1実施形態に係る包装体の構成を説明する、箱の上端開口を閉塞する前の状態の要部斜視図である。
【図5】本発明の好ましい第2実施形態に係る包装体の構成を説明する要部斜視図である。
【図6】本発明の好ましい第2実施形態に係る包装体の箱を形成するためのブランクの要部展開図である。
【図7】本発明の好ましい第1実施形態に係る包装体の他の構成を説明する要部断面図である。
【図8】(a)は本発明の他の実施形態に係る包装体を例示する斜視図、(b)はブランクの展開図、(c)は箱の組立て状況を説明する横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい第1実施形態に係る包装体10は、図1に示すように、透明なプラスチックからなる縦長の六面体状の箱11の内部に、収容物として例えば化粧用の乳液が入ったチューブ容器12を収容してなるものである。また、本第1実施形態の包装体10を構成する箱11は、当該箱11を形成可能な所定の形状に裁断された、一枚の薄板状のシート材料であるプラスチック製のブランク14(図2参照)を用いて、六面体状の箱として組み立てられる。さらに、組み立てられた箱11の内部には、その端に平シール状のエンドシール部12aを有すると共に、他端にキャップを備える先端キャップ部12bを有する合成樹脂製のチューブ容器12が、先端キャップ部12bを下方に配置した倒立状態で収容されている。本第1実施形態の包装体10は、箱11の内部に相当の遊びを持って収容されたチューブ容器12が箱11の内部で回転するのを、簡易な構成によって効果的に阻止できる機能を備える。
【0011】
すなわち、本第1実施形態の包装体10は、図2に示すような所定の形状に裁断されたブランク14を折曲げ線15a,15bに沿って折り曲げることで立体形状に組み立てられた箱11に、平シール状のエンドシール部12aを有するチューブ容器12を収容した包装体である。図1に示すように、箱11は、正面板16と背面板17と左右一対の側面板18とを含んで形成されると共に、正面板16と背面板17と左右一対の側面板18のうちの少なくとも3枚の板(本第1実施形態では4枚の板)の上辺又は下辺から折曲げ線15bを介して連設する、複数のフラップ片16a,17a,18a,16b,17a,18b(図2参照)を折り重ねることで、天面部19又は底面部20が形成されている。フラップ片16a,17a,18a,16b,17a,18bの少なくとも一枚(本第1実施形態では背面上方フラップ片17a)は、折り曲げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力を押付け付勢力Pとして、チューブ容器12を正面板16又は背面板17(本第1実施形態では正面板16)の内側面に押し付ける押付けフラップ部21を備えており(図3参照)、チューブ容器12を押付けフラップ部21によって正面板16又は背面板17(本第1実施形態では正面板16)の内側面に押し付けることで、箱11の内部におけるチューブ容器12の回転を阻止するようになっている。
【0012】
また、本第1実施形態では、押付けフラップ部21は、背面板17の上辺と連設する背面上方フラップ片17aによって構成され、これを横方向折曲げ線15bを介して内側に折り返すと共に、折り返した背面上方フラップ片17aの外側面と正面板16の内側面との間にチューブ容器12のエンドシール部12a若しくはその近傍部分を挟み込んだ状態で、背面フラップ片17aによる押付け付勢力Pによって、エンドシール部12a若しくはその近傍部分を正面板16の内側面に押し付ける(図3参照)。
【0013】
本第1実施形態の包装体10を構成する箱11は、図2に示す、一枚のプラスチック製の透明なブランク14を用いて形成される。ブランク14は、プラスチックとして例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等からなる、好ましくは0.1〜1mm、更に好ましくは0.3〜0.8mmの厚さを備える薄板状のシート材料である。ブランク11は、側縁部を把持して片持ち状に水平に延設させた場合でも、折れ曲がることなく滑らかに湾曲した状態を容易に保持できる程度の保形剛性及び弾性を備えると共に、手の力で容易に折り曲げることができる程度の変形性を備える。
【0014】
ブランク14は、六面体状の箱11を展開した所定の形状となるように、例えば薄板状のプラスチックシートを打ち抜いて裁断することで容易に形成される。ブランク14には、例えば半切れ線や罫線からなる縦方向折曲げ線15aや横方向折曲げ線15b、或いは全切れ線からなる切込み等が適宜の位置に設けられていることで、六面体状の箱11を容易に組み立てることができる。
【0015】
ここで、本第1実施形態のブランク11では、例えば縦長の略長方形の正面板16の両側に、縦方向折曲げ線15aを介して縦長の略長方形の側面板18が各々連設している。図2の展開図における左側の側面板18の側方には、縦方向折曲げ線15aを介して縦長の略長方形の背面板17が連設している。背面板17の左側の側方には、縦方向の折曲げ線15aを介して縦長の略長方形の接合側面板22が連設している。
【0016】
図2の展開図における正面板16の上方には、横方向折曲げ線15bを介して正面上方フラップ片16aが連設している。正面上方フラップ16aの上方には、横方向補助折曲げ線15cを介して天面部差込フラップ23が連設している。天面部差込フラップ23は、正面上方フラップ16aよりも横幅が狭くなっており、天面部19を形成する際に、背面上方フラップ片17aに設けられた差込開口24を介して、背面板17の内側面に沿って差し込まれる(図1、図4参照)。天面部差込フラップ23と正面上方フラップ片16aとの間の横方向補助折曲げ線15cには、これの中央部分につば部形成切込み25aが形成されている。このつば部形成切込み25aには、天面部19を形成する際に、背面上方フラップ片17aの差込開口24の内側に設けられた補助差込片26が差込まれ係止される。
【0017】
一対の側面板18の上方には、横方向折曲げ線15bを介して側面上方フラップ片18aが各々連設している。側面上方フラップ片18aは、天面部19を形成する際に、正面上方フラップ片16aの内側に重ねて折り込まれる。
【0018】
背面板17の上方には、横方向折曲げ線15bを介して背面上方フラップ片17aが連設している。背面フラップ片17aは、その長さL1が、側面板18の巾L2より長くなっていることが好ましい。背面上方フラップ17aの上方には、横方向補助折曲げ線15cを介して先端フラップ片27が設けられている。本実施形態では、背面上方フラップ17aと先端フラップ片27とが一体となって、横方向折曲げ線15b及び横方向補助折曲げ線15cを介して折り曲げられた状態から、元の状態に戻ろうとして押付け付勢力Pを生じる押付けフラップ部21を構成している。また、背面上方フラップ片17aには、上述のように、天面部差込フラップ23を背面板17の内側面に沿って差し込ませるための差込開口24や、天面部差込フラップ23の基端部のつば部形成切込み25aに差込み係止される補助差込片26が設けられている。
【0019】
図2の展開図における正面板16の下方には、横方向折曲げ線15bを介して正面下方フラップ片16bが連設している。正面上方フラップ16bの下方には、横方向補助折曲げ線15cを介して底面部差込フラップ片28が連設している。底面部差込フラップ片28は、底面部20を形成する際に、背面下方フラップ片17bの横方向折曲げ線15bに沿った基端部に設けられた差込用切込み25bに差込み係止される。
【0020】
一対の側面板18の下方には、横方向折曲げ線15bを介して側面下方フラップ片18bが各々連設している。本第1実施形態では、側面下方フラップ片18bは、3本の横方向補助折曲げ線15cを介して第1フラップ部29aと第2フラップ部29bと第3フラップ部29cと第4フラップ部29dとが長手方向に連設した形状を有している。各側面下方フラップ片18bは、底面部20を形成する際に、例えば図1に示すように、横方向折曲げ線15bと共に横方向補助折曲げ線15cを谷折り又は山折りに略直角に折り曲げて、先端部の第4フラップ部29dの裏面を、側面版18の内側面における、側面板18との間の横方向折曲げ線15bから当該側面下方フラップ片18bの長さよりも短い間隔離れた位置に、接着剤を用いて接合することにより、対向する一対の側面版18の内側面から内側に突出する仕切り台30を各々形成する。これによって、チューブ容器12は、両側の側面板18の内側面から内側に各々突出する仕切り台30の間に、エンドシール部12aとは反対側の先端キャップ部12bを挟み込んだ状態で、箱11の内部に収容される。
【0021】
背面板17の下方には、横方向折曲げ線15bを介して背面下方フラップ片17bが連設している。背面下方フラップ片17bの横方向折曲げ線15bに沿った基端部には、上述のように、差込用切込み25bが設けられている。
【0022】
また、本第1実施形態では、箱11の底面部20には、図1に示すように、正面板16と側面板18との接合角部及び背面板17と側面板18との接合角部のうち、少なくとも2箇所の接合角部(本第1実施形態では4箇所の接合角部)において、正面板16及び側面板18、又は背面板17及び側面板18に跨る角部脚片31が、下方フラップ片16b,17b,18bとの間の横方向折曲げ線15bよりも下方に突出して設けられている。
【0023】
すなわち、図2に示すブランク14において、正面板16、背面板、及び側面板18の下端部には、各縦方向折曲げ線15aを挟んだ両側の正面板16及び側面板18、或いは背面板17及び側面板18に跨るようにして、倒立した等脚台形状の角部脚片31が、正面板16、側面板18、又は背面板17と各下方フラップ片16b,17b,18bとの間の横方向折曲げ線15bよりも下方に突出して設けられている。底面部20を形成する際に、等脚台形状の角部脚片31の中央部を縦方向折曲げ線15aに沿って略直角に折り曲げることにより、略L字断面形状を有する角部脚片31が、箱11の底面部20の四隅に設けられる。底面部20の四隅にL字断面形状の角部脚片31が設けられていることにより、平坦な面とすることが困難な箱11の底面部20を、載置面から浮かせた状態に保持して箱11を立設させることで、包装体10の自立安定性を向上させることが可能になる。
【0024】
チューブ容器12を箱11に収容して本第1実施形態の包装体10を形成するには、図2に示すブランク14を用いて、例えば側面下方フラップ片18bを内側に折り曲げて仕切り台30を各々形成した後に、縦方向折曲げ線15aを各々略直角に折曲げると共に、接合側面板22を内側にして端部に配置された一方の側面板18を重ね合わせた状態で、これらを接着剤を用いて接合する。これによって、ブランク14は矩形断面の筒状に形成される。
【0025】
次に、背面下方フラップ片17bを横方向折曲げ線15bを介して底面部20に沿うように折り曲げると共に、これの外側に折り重ねるようにして、正面下方フラップ片16bを、横方向折曲げ線15bを介して折り曲げて、これの先端の底面部差込フラップ片28を背面下方フラップ片17bの基端部に設けられた差込用切込み25bに差込み係止する。これによって箱11の底面部20が形成される。
【0026】
箱11の底部20を形成したら、天面部19を形成する前の上端開口を介して、背面上方フラップ片17aを、横方向折曲げ線15bを介して箱11の内側に折り返す。チューブ容器12を、先端キャップ部12bを下方に配置した倒立状態で、折り返した背面上方フラップ片17aの外側面と正面板16の内側面との間に差し込み、先端キャップ部12bを、一対の側面板18の内側に突出する仕切り台30の間に挿入配置すると共に、チューブ容器12の本体のエンドシール部12aの近傍部分を、背面上方フラップ片17aの外側面、より詳しくは先端フラップ片27の外側面と正面板16の内側面との間に挟みこんだ状態で、チューブ容器12を箱11の内部に収容する。これによって、チューブ容器12は、その下部の先端キャップ部12bが、仕切り台30によって底部の中央部分に位置決めされると共に、上部のエンドシール部12aの近傍部分は、先端フラップ片27を含む背面上方フラップ片17aの押付け付勢力Pによって、正面板16の内側面に押し付けられた状態となる(図1、図3参照)。背面上方フラップ片17aによって押し付ける部位は、チューブ容器12の任意の部位であって良いが、エンドシール部12a又はエンドシール部12aの近傍部分が好ましい。
【0027】
箱11の内部にチューブ容器12を収容したら、一対の側面上方フラップ片18aを、横方向折曲げ線15bを介して天面部19に沿うように折り曲げると共に、これらの外側に折り重ねるようにして、正面上方フラップ片16aを、横方向折曲げ線15bを介して折り曲げて、これの先端の底天面部差込フラップ23を、背面上方フラップ片17aの差込開口24を介して背面板17の内側面に沿って差し込む。さらに、天面部差込フラップ23の横方向補助折曲げ線15cに沿った基端部に設けられたつば部形成切込み25aに、背面上方フラップ片17aの補助差込片26を差込み係止することにより箱11の天面部19を形成して、図1に示すような、本第1実施形態の包装体10が得られる。
【0028】
そして、上述の構成を備える本第1実施形態の包装体10によれば、平シール状のエンドシール部12aを有するチューブ容器12を収納物として箱11に収容した場合に、簡易な構成によって、これの回転を効果的に阻止することができる。すなわち、本第1実施形態の包装体10によれば、箱11の内側に折り返された背面上方フラップ片17aは、折り曲げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力を押付け付勢力Pとして、チューブ容器12のエンドシール部12aの近傍部分を正面板16の内側面に押し付ける押付けフラップ部21として機能することができるので、背面上方フラップ片17aを利用しただけの簡易な構成によって、箱11の内部におけるチューブ容器12の回転を、効果的の阻止することが可能になる。
【0029】
また、本第1実施形態によれば、チューブ容器12の下部の先端キャップ部12bが、箱の内側に突出する仕切り台30によって底部の中央部分に位置決めされているので、箱11の内部におけるチューブ容器12の回転を、さらに効果的の阻止することが可能になる。
【0030】
図5は、本発明の好ましい第2実施形態に係る包装体10’の要部を示すものである。本第2実施形態の包装体10’は、上記第1実施形態の包装体10と略同様の構成を備えており、チューブ容器12のエンドシール部12aの近傍部分を箱11’の正面板16の内側面に押し付ける押付けフラップ部21’の構成が、上記第1実施形態の包装体10の押付けフラップ部21’と相違している。
【0031】
すなわち、本第2実施形態では、押付けフラップ部21’は、図6にも示すように、左右一対の側面板18の上辺と連設する側面上方フラップ片18a’の一部として構成されるようになっており、各側面上方フラップ片18a’には、側面板18との間の横方向折曲げ線15bと平行又は略平行に延設する第1補助折曲げ線32と、第1補助折曲げ線32よりも先端側領域において第1補助折曲げ線32と垂直又は略垂直に延設する第2補助折曲げ線33と、第1補助折曲げ線32における第2補助折曲げ線33を挟んだ片側部分に形成される切込み線34とが設けられていて、切込み線34と第2補助折曲げ線33とによって区画される部分が押付けフラップ部21’となっている。
【0032】
そして、横方向折曲げ線15bを介して側面上方フラップ片18a’を天面部19に沿うように折り曲げた後に、第1補助折曲げ線32及び前記第2補助折曲げ線33を各々折り曲げることで、切込み線34と第2補助折曲げ線33とによって区画される押付けフラップ部21’を正面板16の内側面と対向配置させ、押付けフラップ部21’と正面板16の内側面との間にチューブ容器12のエンドシール部12aの近傍部分を挟み込んだ状態で、第2補助折曲げ線33を介して折り曲げたことによる押付けフラップ部21’の押付け付勢力によって、エンドシール部12aの近傍部分を正面板16の内側面に押し付けるようになっている。
【0033】
本第2実施形態の包装体10’によっても、側面上方フラップ片18a’の一部を利用しただけの簡易な構成によって、押付けフラップ部21’によりチューブ容器12のエンドシール部12aの近傍部分を正面板16の内側面に押し付けることができるので、上記第1実施形態の包装体10と同様の作用効果が奏される。
【0034】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、チューブ容器は、先端キャップ部を下方に配置した倒立状態で箱に収容される必要は必ずしも無く、エンドシール部を下方に配置した正立状態で箱に収容されていても良い。この場合には、正面板や背面板や側面板の下辺部に連設するフラップ片を押付けフラップ部として用いて、正面板や背面板の内側面にエンドシール部の近傍部分を押し付けるようにすることができる。また、エンドシール部の近傍部分は、押付けフラップ部によって背面板の内側面に押し付けて、チューブ容器の回転を阻止するようにしても良い。さらに、箱は、透明又は半透明のプラスチック製のブランクを用いて形成される必要は必ずしもなく、紙製の等の透明でないブランクを用いて形成されるものであっても良い。透明ではない箱であっても、一部に開口部が設けられていて、収容した前記チューブ容器を視認可能となっている場合には、本発明は特に有効である。
【0035】
また、先端キャップ部を挟み込む仕切り台や、箱の底面部の接合角部に配置される角部脚片は、必ずしも設ける必要はない。
【0036】
さらに、上記第1実施形態では、正面上方フラップ16aに連設する天面部差込フラップ23を背面板17の内側面に沿って差し込むことができるように、背面上方フラップ片17aに差込開口24を設けているが、図7に示すように、天面部差込フラップ23を背面板17の内側面に沿って差し込むことなく、正面上方フラップ16aを、天面部19を越えて背面板17の上部外周面を外側から覆う位置まで延設させると共に、正面上方フラップ16aの先端に設けた差込み係止片36を、背面板17に設けた係止切込み35に差込み係止することで、上端開口を閉塞する天面部19を形成することもできる。これによって、背面上方フラップ片17aに差込開口24を形成する必要がなくなる。
【0037】
図8(a)は、本発明の他の実施形態に係る包装体50を例示するものである。本他の実施形態の包装体50では、一枚の薄板状のシート材料として、図8(b)に示す不透明な紙製のブランク51を用いて、天面部52が正面板53側に向けて斜めに傾斜する傾斜面となった、略六面体状の箱54が組み立てられる。組み立てられた箱54の内部には、図1に示す上記第1実施形態の包装体10と同様に、平シール状のエンドシール部12aを有すると共に、先端キャップ部12bを有する好ましくは合成樹脂製のチューブ容器12が、先端キャップ部12bを下方に配置した倒立状態で収容されている。
【0038】
箱54の内側底部には、一対の側面板55の下方に各々連設する側面下方フラップ片56を折り曲げることにより、図1に示す上記第1実施形態の包装体10と同様に、対向する一対の側面板55の内側面から各々内側に突出する仕切り台30が形成されており、これらの仕切り台30の間に、先端キャップ部12bを挟み込んだ状態で、チューブ容器12が箱11の内部に収容されている。さらに、背面板57の上方には、押付けフラップ部として機能する背面上方フラップ片58が連設しており、図1に示す上記第1実施形態の包装体10と同様に、背面上方フラップ片58を内側に折り返すと共に、折り返した背面上方フラップ片58の外側面と正面板53や天面部52の内側面との間にチューブ容器12のエンドシール部12aの近傍部分を挟み込んだ状態で、チューブ容器12が箱11の内部に収容されている。
【0039】
さらに、正面上方フラップ59を、天面部52を越えて背面板57の上部外周面を外側から覆う位置まで延設させると共に、正面上方フラップ59の先端に設けた差込み係止片59aを、背面板57に設けた係止切込み57aに差込み係止することで、図7と同様に、上端開口を閉塞する天面部52が形成されるようになっている。
【0040】
そして、本他の実施形態の包装体50では、図8(b)における左側の側面板55から縦方向折り曲線63を介して左側に連設して、張出し表示板60が設けられており、背面板57には、右側に連続して延設する張出し延設部61が設けられている。図8(c)に示すように、張出し表示板60の内側面と張出し延設部61の内側面とを重ね合わせ、接着剤62を介してこれらを接合することで、図8(b)に示すブランク51から、張出し表示板60及び張出し延設部61を側方に張り出させた筒状の立体形状を、容易に形成することができる。
【0041】
これによって、例えばブランク51の製造業者から、図8(b)における右側の側面板55と正面板53との間の縦方向折り曲線63を介して2つ折りに折り畳まれると共に、張出し表示板60と張出し延設部61の内側面同士を接合して平坦な状態で納入されたブランク51に対して、包装体50の製造業者は、正面板53と背面板57と一対の側面板55の部分を、立体形状となるように斜め方向に引き起すことで矩形断面の筒状に形成して、チューブ容器12を収容する箱54をスムーズに形成することが可能になる。また、例えばブランク51の製造業者が、予め側面下方フラップ片56を横方向補助折曲げ線56aを介して内側に折り畳むと共に、これの先端フラップ部56bを側面板55の内側面の所定の位置に接合しておくことにより、包装体50の製造業者は、ブランク51から矩形断面の筒状を形成する際に、側面下方フラップ片56を起すことで、仕切り台30を容易に形成することが可能になる。
【0042】
本他の実施形態の包装体50によっても、内部に収容したチューブ容器12の回転を、押付けフラップ部としての背面上方フラップ片58や、仕切り台30によって阻止して、上記第1実施形態の包装体10と同様の作用効果が奏される。また、本他の実施形態の包装体50によれば、箱54の背面板57から側方に張り出して、張出し延設部61と一体となった張出し表示板60が設けられているので、この張出し表示板60に装飾や説明書き等を施すことで、広告宣伝効果を向上させることが可能になると共に、包装体50の自立安定性を向上させることが可能になる。
【符号の説明】
【0043】
10,10’ 包装体
11,11’ 箱
12 チューブ容器
12a エンドシール部
12b 先端キャップ部
14 ブランク
15a 縦方向折曲げ線
15b 横方向折曲げ線
16 正面板
16a 正面上方フラップ片
16b 正面下方フラップ片
17 背面板
17a 背面上方フラップ片
17b 背面下方フラップ片
18 側面板
18a,18a’ 側面上方フラップ片
18b 側面下方フラップ片
19 天面部
20 底面部
21,21’ 押付けフラップ部
22 接合側面板
23 天面部差込フラップ
24 差込開口
27 背面上方フラップの先端フラップ片
30 仕切り台
31 角部脚片
32 第1補助折曲げ線
33 第2補助折曲げ線
34 切込み線
P 押付け付勢力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に裁断されたブランクを折曲げ線に沿って折り曲げることで立体形状に組み立てられた箱に、平シール状のエンドシール部を有するチューブ容器を収容した包装体であって、
前記箱は、正面板と背面板と左右一対の側面板とを含んで形成されると共に、前記正面板と前記背面板と前記左右一対の側面板のうちの少なくとも3枚の板の上辺又は下辺から折曲げ線を介して連設する、複数のフラップ片を折り重ねることで、天面部又は底面部が形成されるようになっており、
前記フラップ片の少なくとも一枚は、折り曲げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力を押付け付勢力として、前記チューブ容器を前記正面板又は前記背面板の内側面に押し付ける押付けフラップ部を備えており、
前記チューブ容器を前記押付けフラップ部によって前記正面板又は前記背面板の内側面に押し付けることで、前記箱の内部における前記チューブ容器の回転を阻止する包装体。
【請求項2】
前記押付けフラップ部は、前記背面板又は前記正面板の上辺又は下辺と連設する背面フラップ片又は正面フラップ片によって構成されるようになっており、これらを折曲げ線を介して内側に折り返すと共に、折り返した背面フラップ片又は正面フラップ片の外側面と前記正面板又は前記背面板の内側面との間に前記チューブ容器を挟み込んだ状態で、前記背面フラップ片又は前記正面フラップ片による押付け付勢力によって、前記チューブ容器を前記正面板又は前記背面板の内側面に押し付ける請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記押付けフラップ部は、前記左右一対の側面板の上辺又は下辺と連設する側面フラップ片の一部として構成されるようになっており、各側面フラップ片には、前記側面板との間の折曲げ線と平行又は略平行に延設する第1補助折曲げ線と、該第1補助折曲げ線よりも先端側領域において該第1補助折曲げ線と垂直又は略垂直に延設する第2補助折曲げ線と、前記第1補助折曲げ線における第2補助折曲げ線を挟んだ片側部分に形成される切込み線とが設けられていて、該切込み線と前記第2補助折曲げ線とによって区画される部分が前記押付けフラップ部となっており、
前記第1補助折曲げ線及び前記第2補助折曲げ線を折り曲げることで前記押付けフラップ部を前記正面板又は前記背面板の内側面と対向配置させ、前記押付けフラップ部と前記正面板又は前記背面板の内側面との間に前記チューブ容器を挟み込んだ状態で、前記第2補助折曲げ線を介して折り曲げたことによる前記押付けフラップ部の押付け付勢力によって、前記チューブ容器を前記正面板又は前記背面板の内側面に押し付ける請求項1記載の包装体。
【請求項4】
前記左右一対の側面板の、前記エンドシール部が配置される上部又は下部とは反対側の下辺又は上辺と連設する側面フラップ片は、これらの先端部が、前記側面版の内側面における、前記側面板との間の折曲げ線から当該側面フラップ片の長さよりも短い間隔離れた位置に接合されることにより、前記側面版の内側面から内側に突出する仕切り台を各々形成するようになっており、
両側の前記側面板の内側面から各々突出する前記仕切り台の間に先端キャップ部を挟み込んだ状態で、チューブ容器が収容される請求項1〜3の何れかに記載の包装体。
【請求項5】
前記箱の底面部には、前記正面板と前記側面板との接合角部及び前記背面板と前記側面板との接合角部のうちの少なくとも2箇所の接合角部において、前記正面板及び前記側面板、又は前記背面板及び前記側面板に跨る角部脚片が、前記フラップ片との間の折曲げ線よりも下方に突出して設けられている請求項1〜4の何れかに記載の包装体。
【請求項6】
前記箱は、透明又は半透明のブランクを用いて形成されることにより、或いは一部に開口部が設けられていることにより、収容した前記チューブ容器を視認可能となっている請求項1〜5の何れかに記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−12108(P2012−12108A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153303(P2010−153303)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】