説明

包装充填装置及び包材切断装置

切断装置のナイフの寿命を定量的に把握することにより、適正な時期にナイフの交換が可能な包装充填装置及び包材切断装置を提供する。
ウェブ状包材のチューブ内に流動製品を充填し、横シールして横シール帯域を形成し、連続的に繋がって形成された枕状予備成形体(49)のシール帯域を切断装置(32)により切断して個々の枕状予備成形体(49)に切り離し、最終形態の包装充填容器に成形する包装充填装置であって、切断装置(32)が、包材から受けるナイフ(33)の切断抵抗を測定し、得られた測定値を出力する抵抗測定手段を有し、測定値に基づいてナイフ(33)の状態を診断する刃診断手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳、ジュース等の流動製品が充填された包装容器を製造する包装充填装置及びその装置に配設される包材切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、牛乳等の液体食品(流動製品も含む)が充填された包装容器を製造する場合、可撓性積層体から成るウェブ状包材を縦方向にシールしてチューブ状にし、チューブ状包材に液体食品を充填しながら横方向にシールして包装容器を製造する。
【0003】
その容器の充填包装装置の一例の概要を、図2に示す。この例に示す包装充填装置で、内外層に熱可塑性材料層を有しロール状に巻かれた包装材料ウェブ41を巻き出し、ローラにより包装充填装置内を搬送する。ストリップテープをストリップテープアプリケータ43により、包装材料ウェブの一端に接合する。滅菌処理液槽44内を包装材料ウェブが通過して滅菌する。絞りローラとエアーナイフ45により包材表面に付着した滅菌処理液を除去する。
【0004】
次いで、成形ローラ46によりチューブ状に成形する。包装材料の両端部を重ねてオーバーラップを形成し、オーバーラップで縦線方向に縦シールエレメント42によりチューブ縦方向にシールする。そのチューブ内に充填パイプ47から液体食品を充填する。このチューブを包装容器1個分に相当する長さ分だけ下方に送りながら、横シール装置48のシールジョー及び対向ジョーにより挟持する。
横断方向に横シールして横シール帯域を形成し、同時に枕状予備成形体49に連続的に成形する。枕状予備成形体の横シール帯域の中間をナイフなど切断装置(図示せず)により切断して個々の枕状予備成形体49に切り離し、最終形態の包装充填容器に成形する。
【0005】
図3に横シール装置48及び切断装置32の詳細一部断面図を示す。この態様では、食品が充填されたチューブ状包装材料1が包装容器1個分に相当する長さ分だけ下方に送られながら、2対の成形フラップ31により挟まれておおよその容器形状に成形され、2対のシールジョー48及び対向ジョー48により挟持し、横断方向に横シールして横シール帯域を形成し、繋がった枕状予備成形体のシール帯域の中間を、切断装置32のナイフ33により切断して個々の枕状予備成形体49に切り離す。切断装置32のナイフ33は、圧力媒体(油圧、空圧)を使用して駆動する切断機構を有する。
【特許文献1】特開平07−24938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
横シール装置において、横シール品質に対して、包装材料の紙水分量、積層されているアルミ箔厚、横シール装置の出力等が、シール品質に影響を及ぼす。また、切断工程も要因になる。横シール工程でプラスチックを溶融し、シール部の冷却が行われ、同時にカッティングナイフで包材を切断する。もし、ナイフの切れが悪いと冷却中のシール部分がナイフの切断力で引張られ、予定横シール帯域からずれてしまう不具合が知られている。
切断装置のナイフを定期的に交換しこれらの不具合を回避できるが、ナイフの切味を定量的に測定可能となれば、ナイフを不具合が発生する直前まで有効利用することができる。
【0007】
すなわち、切断装置のナイフは、容器包材を切断する機能を持っている。しかし、ナイフの切味が悪くなってくると、その切断抵抗により、横シール装置による横線シール部の冷却中の包装材料が引張られ、シール不良を招くことがある。そのため、切断された材料の切断面の外観検査を行ったり、ある一定時間をもってナイフ交換を行う。ナイフの寿命は、切断する包装材料により左右され、例えば、剛性の強い包材を切断すると寿命が短くなる。そこで、ナイフ交換の時期は多くの安全値を見越し、短くせざるおえない。部品費用と労力がかさむ。
切断装置のナイフの寿命を定量的に把握することにより、適正な時期に交換が可能な包装充填装置及び包材切断装置ことが必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の包装充填装置は、ウェブ状包材を縦方向にシールしてチューブ状に成形し、該チューブ内に流動製品を充填し、該チューブ横断方向に横シールして横シール帯域を形成し、連続的に繋がって形成された枕状予備成形体の該シール帯域の中間を切断装置により切断して個々の枕状予備成形体に切り離し、最終形態の包装充填容器に成形する包装充填装置であって、切断装置が、該包材切断用刃が包材から受ける切断抵抗を測定し、得られた測定値を出力する抵抗測定手段を有し、該測定値に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する刃診断手段を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明の好ましい態様の包装充填装置は、刃診断手段が、該測定値のプロフィールに基づいて該包材切断用刃の状態を診断する。
【0010】
この発明の好ましい別の態様の包装充填装置は、該刃診断手段が、該測定値のプロフィールと、予め設定された基準値のプロフィールとの比較に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する。
【0011】
この発明の好ましい更に別の態様の包装充填装置は、該刃診断手段が、該測定値のプロフィールから得られる最大抵抗圧力と引き続く一定抵抗圧力との圧力差と、予め設定された圧力差の基準値との比較に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する。
【0012】
上記の態様において、包材切断用刃、すなわち、ナイフが圧力媒体により駆動され、その後切断される材料まで移動し切断を開始する。この際、ナイフは切断抵抗により移動速度が落ちる。この速度の変化は、ナイフの切断抵抗が大きいほど変化が大きくなる。その後、切断を完了すると、ナイフは、エンドストロークまで移動する。
この一連の動きの中で、包材切断用刃が包材から受ける切断抵抗を測定し、得られた測定値から、抵抗圧力のピーク圧力、すなわち、最大抵抗圧力をモニターすると、切断抵抗によりピーク圧が変化するため、切味の変化量としてモニターすることができる。しかしながら、供給される圧力媒体の元圧、すなわち、最大抵抗圧力と引き続く一定抵抗圧力が変化するとピーク圧にも影響を及ぼすため、ピーク圧から元圧を差し引いた圧力差を取ってモニターする。この圧力差と、予め設定された圧力差の基準値との比較に基づいて包材切断用刃の状態を正確に診断することができる。
【0013】
この発明による包材切断装置は、ウェブ状包材を縦方向にシールしてチューブ状に成形し、該チューブ内に流動製品を充填し、該チューブ横断方向に横シールして横シール帯域を形成し、連続的に繋がって形成された枕状予備成形体の該シール帯域の中間を切断装置により切断して個々の枕状予備成形体に切り離し、最終形態の包装充填容器に成形する包装充填装置の切断装置であって、
該切断装置が、該包材切断用刃が包材から受ける切断抵抗を測定し、得られた測定値を出力する抵抗測定手段を有し、該測定値に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する刃診断手段を備えることを特徴とし、
この発明の好ましい態様において、刃診断手段が、該測定値のプロフィールから得られる最大抵抗圧力と引き続く一定抵抗圧力との圧力差と、予め設定された圧力差の基準値との比較に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する。
【発明の効果】
【0014】
この発明による装置は、切味を定量的に把握することが可能になり、切断不良が発生する前に交換時期を把握できる。従って、切断装置のナイフの寿命を定量的に把握することにより、適正な時期に交換が可能な包装充填装置及び包材切断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例における包材切断装置の抵抗測定手段から得られた測定値のプロフィール例を示す図である。
図2は、本発明に使用できる包装充填装置の概略斜視図である。
図3は、本発明の実施例における包装充填装置の横シール装置及び切断装置の一部断面図である。
【0016】
この発明による切断装置は、図2に示すような包装充填装置の下流側に配設される。この例に示す包装充填装置で、ロール状に巻かれた積層包装材料ウェブ41を巻き出し、ローラにより包装充填装置内を搬送する。ストリップテープをストリップテープアプリケータ43により、包装材料ウェブの一端に接合する。滅菌処理液槽44内を包装材料ウェブが通過して滅菌する。絞りローラとエアーナイフ45により包材表面に付着した滅菌処理液を除去する。
【0017】
成形ローラ46によりチューブ状に成形する。包装材料の両端部を重ねてオーバーラップを形成し、オーバーラップで縦線方向に縦シールエレメント42によりチューブ縦方向にシールする。そのチューブ内に充填パイプ47から液体食品を充填する。このチューブを包装容器1個分に相当する長さ分だけ下方に送りながら、横シール装置のシールジョー及び対向ジョー48により挟持する。横断方向に横シールして横シール帯域を形成し、同時に枕状予備成形体49に連続的に成形する。枕状予備成形体の横シール帯域の中間を、切断装置(図示せず)の包材切断用刃(図示せず)により切断して個々の枕状予備成形体49に切り離し、最終形態の包装充填容器に成形する。
【0018】
横シール装置48及び切断装置32の詳細一部断面図を示す図3では、流動製品が充填されたチューブ状包装材料41が包装容器1個分に相当する長さ分だけ下方に送られながら、2対の成形フラップ31により挟まれておおよその容器形状に成形され、2対のシールジョー48及び対向ジョー48により挟持し、横断方向に横シールして横シール帯域を形成する。次いで、繋がった枕状予備成形体のシール帯域の中間を、圧力媒体(油圧、空圧)を使用して駆動する切断機構を有する切断装置32のナイフ33により切断して個々の枕状予備成形体49に切り離す。
【0019】
この発明において、切断装置が、包材切断用刃が包材から受ける切断抵抗を測定し、得られた測定値を出力する抵抗測定手段、例えば圧力センサーを有し、測定値に基づいて包材切断用刃の状態を診断する刃診断手段を備える。
この形態において、刃診断手段が、測定値のプロフィールから得られる最大抵抗圧力と、引き続く一定抵抗圧力と、の圧力差と、予め設定された圧力差の基準値との比較に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する。
【0020】
図1に、本発明の実施例における包材切断装置の抵抗測定手段から得られた測定値のプロフィール例を示す。
実施測定例のプロフィールにおいて、横軸時間(Time)、縦軸抵抗圧力(P)である。包材切断用刃が圧力媒体により駆動され、切断される包装材料まで移動し切断を開始し、それにつれて、急激に圧力が増加する。同時に、ナイフは切断抵抗により移動速度が落ちる。抵抗圧力はピークに達する(ピーク圧Pmax)。引き続き、測定値は低下するが、一定の値で定常状態になり(一定抵抗圧力Ps)、切断を完了すると測定値は急激に低下し、ナイフは、エンドストロークまで移動する。
【0021】
この態様において、包材切断用刃が包材から受ける切断抵抗を測定し、抵抗圧力のピーク圧力(Pmax)、すなわち、最大抵抗圧力をモニターする。最大抵抗圧力に引き続く一定抵抗圧力(Ps)が変化するとピーク圧にも影響を及ぼすため、ピーク圧(ピーク圧Pmax)から元圧(一定抵抗圧力Ps)を差し引いた圧力差(dP)を計測する。この圧力差と、予め設定された圧力差の基準値との比較に基づいて包材切断用刃の状態を正確に診断することができる。
予め設定された圧力差の基準値は、理論的に若しくは実験的に、包材切断用刃の交換が必要となる状態の圧力差である。
供給される圧力媒体の元圧、すなわち、最大抵抗圧力と引き続く一定抵抗圧力が、図1に示すように、P1〜P2へと変化するとピーク圧にも影響を及ぼすことがある。しかしながら、この態様においては、その影響を受けずより正確な診断を可能にする。
【0022】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
牛乳、ジュース等の液体食品が充填された包装容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例における包材切断装置の抵抗測定手段から得られた測定値のプロフィール例を示す図である。
【図2】本発明に使用できる包装充填装置の概略斜視図である。
【図3】本発明の実施例における包装充填装置の横シール装置及び切断装置の一部断面図である。
【符号の説明】
【0025】
31 成形フラップ
32 切断装置
33 ナイフ
41 チューブ状包装材料
49 枕状予備成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状包材を縦方向にシールしてチューブ状に成形し、該チューブ内に流動製品を充填し、該チューブ横断方向に横シールして横シール帯域を形成し、連続的に繋がって形成された枕状予備成形体の該シール帯域の中間を切断装置により切断して個々の枕状予備成形体に切り離し、最終形態の包装充填容器に成形する包装充填装置であって、
該切断装置が、該包材切断用刃が包材から受ける切断抵抗を測定し、得られた測定値を出力する抵抗測定手段を有し、
該測定値に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する刃診断手段を備えることを特徴とする包装充填装置。
【請求項2】
該刃診断手段が、該測定値のプロフィールに基づいて該包材切断用刃の状態を診断する、請求項1による包装充填装置。
【請求項3】
該刃診断手段が、該測定値のプロフィールと、予め設定された基準値のプロフィールとの比較に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する、請求項2による包装充填装置。
【請求項4】
該刃診断手段が、該測定値のプロフィールから得られる最大抵抗圧力と引き続く一定抵抗圧力との圧力差と、予め設定された圧力差の基準値との比較に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する、請求項3による包装充填装置。
【請求項5】
ウェブ状包材を縦方向にシールしてチューブ状に成形し、該チューブ内に流動製品を充填し、該チューブ横断方向に横シールして横シール帯域を形成し、連続的に繋がって形成された枕状予備成形体の該シール帯域の中間を切断装置により切断して個々の枕状予備成形体に切り離し、最終形態の包装充填容器に成形する包装充填装置の切断装置であって、
該切断装置が、該包材切断用刃が包材から受ける切断抵抗を測定し、得られた測定値を出力する抵抗測定手段を有し、
該測定値に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する刃診断手段を備えるをこと特徴とする包材切断装置。
【請求項6】
該刃診断手段が、該測定値のプロフィールから得られる最大抵抗圧力と引き続く一定抵抗圧力との圧力差と、予め設定された圧力差の基準値との比較に基づいて該包材切断用刃の状態を診断する、請求項5による包材切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【国際公開番号】WO2005/028314
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【発行日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514003(P2005−514003)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010717
【国際出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(391053799)テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ (13)
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH−1009 Pully,Switzerland
【Fターム(参考)】