説明

包装容器および該包装容器への食品の収容方法

【課題】簡単な操作でもって、容器本体内に収容した食品を取り出すことができるようにした包装容器を提供する。
【解決手段】ファーストフード店などにおいて提供されるハンバーガーなどの食品を収納するのに適した包装容器Aであって、容器部2と蓋部3とがヒンジ部4を介して開閉自在な容器本体1と、容器本体1の前記容器部2に入り込む内容器50とからなる。容器本体1の容器部2には穴26が形成されており、食べるときに、穴26から指先Pを差し込み内容器50を上に押し出すことにより、容器部2に収容した食品を容易に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装容器および該包装容器への食品の収容方法に関し、特に、ファーストフード店などにおいて提供されるハンバーガーなどの食品を収納するのに適した包装容器とその包装容器への食品の収容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファーストフード店などでハンバーガーなどの食品を提供する場合、ポリエチレンフィルムなどをラミネートした紙で作った袋を用いる場合と、蓋部と容器部がヒンジ部を介して開閉自在とされた箱型の包装容器(クラムシェル型容器)を用いる場合とがある。特許文献1(特開2003−72749号公報)には、クラムシェル型の箱形包装容器の一例が示されており、そこにおいて、収納したハンバーガーを箱から取り出さずに食べることができるように、蓋部と容器部の先端側が外側に反転可能となっている。反転させることにより開放した部分から収容したハンバーガーを露出させて、箱を手で持った状態でハンバーガーを食べることができる。
【0003】
特許文献2(特開2005−306480号公報)には、他のクラムシェル型箱形包装容器が示されており、そこでは、収容した食品を容易にラッピングできる包装シートを容器本体内に収容しておき、食品を食べるときは、容器本体を開いた姿勢とした後、包装シートに包み込んだ状態で食品を容器本体から取り出すようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−72749号公報
【特許文献2】特開2005−306480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した包装容器は、蓋部と容器部がヒンジ部を介して開閉自在とされた包装容器(あるいは容器本体)内に収容した食品を食べやすくする点で大きなメリットを有するが、特許文献1に記載の包装容器は、容器の一部を開いた状態として食べるようにしており、やや食べづらさが残る。また、特許文献2に記載の包装容器は容器本体を開いた姿勢とした後、包装シートで食品をラッピングするというやや煩雑な作業を必要とする。
【0006】
本発明は、上記した形態の包装容器であって、より簡単な操作でもって容器本体内に収容した食品を取り出すことができるようにした、改良された包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による包装容器は、容器部と蓋部とがヒンジ部を介して開閉自在な容器本体と、容器本体の前記容器部に収容された内容器とからなり、容器本体の容器部の一部には穴が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記容器本体は、従来知られたいわゆるクラムシェル型の箱形容器であってよく、例えば前記特許文献1に記載される包装容器あるいは特許文献2に記載される容器本体を用いることができる。ただし、特許文献1に記載される包装容器を用いる場合に、蓋部と容器部の先端側が外側に反転可能となる構成は不要であり、単に、蓋部と容器部がヒンジ部を介して開閉自在となっていればよい。
【0009】
前記内容器の材料は、収容する食品に有害でないことを条件に任意のものを用いることができる。例えば、紙や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンのような樹脂材料を用い得る。包装容器の廃棄処理の容易性の観点からは、容器本体の材料と同じ材料で作ることが最も望ましい。
【0010】
本発明において、前記内容器は、基本的に容器本体の容器部内に収容される大きさと形状のものであればよく、大きさや形状に特に制限はないが、安定性の観点から、容器本体の容器部内に収容したときに、自由移動が制限される形状であることが望ましい。例えば、容器部が底板とその周囲の側壁からなる形状である場合には、内容器はやはり底板と周囲の側壁とからなる形状であって、容器部に収容したときにその中で自由移動することができない寸法のものであることが望ましい。
【0011】
本発明による包装容器では、容器本体に穴が形成されている。そのために、その穴から指先を容器本体内に差し入れることによって、容器部に収容した内容器の全部または一部を容器部から外側に押し出すことができる。穴を設ける位置に特に制限はないが、前記容器部が、底板とその周囲の側壁とからなる形状のものである場合、前記穴はその底板の一部と側壁の一部にわたるようにして形成されることは好ましく、それにより、食品が乗っている内容器を安定した姿勢で容器部から押し出すことが容易となる。
【0012】
また、前記内容器が底板とその周囲の側壁とからなる形状である場合、底板の一部とそこに繋がる側壁の一部とが切除された形状のものであることは望ましい。内容器をこの形状とすることにより、内容器を手に持ってそこに乗っている食品を食べることが容易となる。
【0013】
食品を包装するに当たっては、最初に、容器本体を開いた姿勢とし、容器部内に内容器を収容する。なお、内容器が底板の一部とそこに繋がる側壁の一部とが切除された形状のものである場合には、切除部が容器部に形成した穴の箇所に位置しないようにして、内容器を容器部に収容する。次に、収容した内容器に乗るようにして収容すべき食品を置く。所要の食品を収納した後、ヒンジ部を利用して蓋部を回動させて容器部に重ね合わせ、容器本体を閉じた姿勢とする。その状態で、購買者に提供される。
【0014】
購買者が食品を食べるときは、蓋部を開き、容器部を手に持った姿勢で、指先を容器部に形成した穴に差し入れる。それにより、内容器は、そこに乗っている食品と共に、少なくともその一部が容器部から押し出された姿勢となる。購買者は、内容器の押し出された部分を摘み、容器本体から内容器を食品と共に取り出す。必要な場合には、内容器と食品とを同時に摘むようにして取り出す。そして、その状態で、食品を食べるようにする。
【0015】
前記したように、内容器として、底板の一部とそこに繋がる側壁の一部とが切除された形状のものを用いる場合には、取り出した内容器から露出している食品の部分が大きくなるので、内容器を持った状態で、食品を一層食べやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による包装容器および食品の収容方法によれば、より簡単な操作でもって、容器本体内に収容した食品を取り出すことができるようになる。本発明は、ファーストフード店などでのハンバーガーなどの提供の際に特に優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は本発明による包装容器を構成する容器本体とその中に収容される内容器とを分離して示している。図2は図1に示す容器本体の容器部に内容器を収容した状態を示し、図3は内容器を指で押し出している状態を示す。
【0018】
図示のように、包装容器Aは、例えば前記特許文献2に記載されるような紙を素材とする全体として箱形の容器本体(クラムシェル型箱形容器)1と、該容器本体1内に収容される内容器50とからなる。容器本体1は、容器部2と蓋部3とがヒンジ部4を介して開閉自在となっており、閉じた姿勢にあるときに、蓋部3に形成した突片5,5と容器部2に形成した係止片6,6とが係合して、蓋部3が容器部2から自由に開放するのを阻止している。
【0019】
容器部2は、底板21と、その4周に位置する前壁22,左右の側壁23,24および後壁25で構成され、蓋部3は、天板31と、その4周に位置する前壁32,左右の側壁33,34および後壁35で構成される。容器部2の後壁25と蓋部の後壁35は上端で連接しており、その接続部が前記ヒンジ部4として機能する。
【0020】
容器本体1の前記容器部2の一部には、人の指が入り込む大きさの穴26が形成される。図1に示す例では、穴26は底板21と図で右側の側壁23にわたるようにして形成されているが、後記するように、容器部2内に収容した内容器50を穴から差し入れた指先で上方に押し出すことができる位置であれば、穴26を形成する位置は任意である。穴26の全部を底板21に形成してもよく、底板21と他の側壁22,24,25のいずれか跨るようにして形成してもよい。容器部21に収容した食品等が外気に直接触れない位置であることを条件に、2個以上の穴26を形成してもよい。
【0021】
内容器50は、容器部2内に収容できかつ、蓋部3を閉じた姿勢とするときに障害とならない形状であれば任意の形状であってよいが、容器部2内に収容された状態で自由に移動しない形状であることは好ましい。図示の内容器50は、底板51と、その4周に位置する前壁52,左右の側壁53,54および後壁55とで構成されており、底板51の大きさは容器部2の底板21とほぼ同じ大きさであり、4周の側壁も容器部2の4周の側壁とほぼ同じ形状である。ただし、購買者が内容器50に入っている食品を食べやすくするために、図示の例では、底板51の一部とそこに繋がる前壁52および左の側壁54の一部が切除された形状となっている。いくぶん、食べづらさはあるが、そのような切除部のない内容器も用いることもできる。
【0022】
上記の包装容器Aを使用するに当たっては、店頭において、容器本体1の容器部2内に内容器50を収容する。収容に際し、容器部2に形成した穴26が内容器50によって上から覆われるように、内容器50の向きを考慮して収容する。図2は内容器50を収容した状態の包装容器Aを示している。店舗の店員は、この状態の包装容器Aの容器部2内に食品(例えば、ハンバーガー)(不図示)を収容し、包装容器Aを閉じた状態とする。それにより、内容器50の一部に乗るようにして食品が収容された包装容器Aとなる。
【0023】
購買者は、包装容器Aの蓋部3を開き、手のひら上で容器部2を持つ姿勢とする。その姿勢で、容器部2に形成した穴26に指を差し込む。その状態が図3に示される。内容器50は指先Pで押し出されるので、図示しない食品(例えば、ハンバーガー)は、内容器50と共に容易に容器部2から飛び出た状態となる。そのために、容器本体Aからの食品の取り出しはきわめて容易となる。押し出された内容器50を、あるいは内容器50と食品とを他方の手でつかみ、包装容器Aから分離する。そして、内容器50の向きを変えながら、また、内容器50内で食品を移動させながら、食品を食べることにより、殆ど手を汚すことなく、食品を食べることができる。食べるのを途中で中断する場合には、再度、内容器50と食品とをそのままで容器部2内に戻すこともできる。
【0024】
前記したように、内容器50の材料は、収容する食品に有害でないことを条件に任意のものを用いることができるが、包装容器Aの廃棄処理の容易性の観点から、容器本体1の材料と同じ材料で容器部50を作ることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による包装容器を構成する容器本体とその中に収容される内容器とを分離して示す図。
【図2】図1に示す容器本体の容器部に内容器を収容した状態を示す図。
【図3】内容器を指で押し出している状態を示す図。
【符号の説明】
【0026】
A…包装容器、1…容器本体、2…容器部、3…蓋部、4…ヒンジ部、26…穴、50…内容器、P…指先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器部と蓋部とがヒンジ部を介して開閉自在な容器本体と、容器本体の前記容器部に収容された内容器とからなり、容器本体の容器部の一部には穴が形成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記容器部は、底板とその周囲の側壁とからなる形状であって、前記穴は底板の一部と側壁の一部にわたるようにして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記内容器は、底板とその周囲の側壁とからなる形状であって、底板の一部とそこに繋がる側壁の一部とが切除された形状のものであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器に食品を収容することを特徴とする食品の収容方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−204050(P2007−204050A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21318(P2006−21318)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】