説明

包装容器

【課題】ゴミ箱機能を持たせることにより、生じるゴミを美しく処理できるとともに、組み立ても容易で低コストな包装容器を提供する
【解決手段】包装容器100は、包装箱10と、包装箱10の表面全体を被覆するフィルム15により構成される。フィルム15には開封テープ17が貼着されており、U字型のミシン目19に囲まれた押し込み片20が形成されている。開封テープ17を引き剥がすと、フィルム15は包装箱10の一部を被覆したままフィルム袋18として残存する。内容物を包装していた包装材12を処理する場合、包装箱10を矢印B方向にスライドさせ、押し込み片20を指で押圧してミシン目19を破断させてフィルム袋18の側面に開口21を形成する。そして、包装材12を圧縮し、開口21からフィルム袋18内に挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別に包装されたチョコレートやガム、飴等を複数個収納して販売するための、紙製の包装箱とそれを包むフィルムとから成る包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一口で食べられるブロック型のチョコレートやガム、飴などの菓子は、包み紙や樹脂フィルム袋で個別に包装されたものを、紙箱内に複数個収納した状態で販売されている。そして、包み紙や樹脂フィルム袋自体、或いはガムの場合は食べ終わったものを包んだ包み紙からなるゴミは、近くにゴミ箱等の適当な捨て場所が見当たらない場合には、そのまま路上や床(駅の構内等)に捨てられたり或いはポケットに入れられたりすることが多い。特にガムの場合には、そのまま捨てられると道路や床、さらには靴の裏にくっ付いてしまい、簡単には取れない状態となり剥す作業が大変なものとなっている。また、ポケットに入れた場合には、後で捨て忘れてそのまま洗濯してしまい、衣類等を汚すことも発生している。また、元の紙箱内に入れると、まだ中身の残っている未開封のものと区別がつかなくなってしまう。
【0003】
上記のような事態を防ぐために、従来、商品に別体のゴミ袋をセットすることが一部で行われている。しかし、上記のように別のゴミ袋を商品にセットすることはなかなか難しく、また開封後はゴミ袋をどこかに入れて持ち歩かなければならず、ともすると結局ゴミ扱いされて捨てられることになるという問題点があった。
【0004】
そこで、個別に包装された菓子を収納する外箱にゴミを収納する部分を設ける方法が提案されており、例えば特許文献1には、角筒状の紙箱の一端に物を押し込む時のみ開口し、それ以外は閉鎖状態となる反動蓋部を設け、内部にはスライド可能な分離板を設けてゴミを収納可能とした菓子用紙箱が開示されている。また、紙箱にゴミ入れを設けた例としては、紙箱内を仕切板で2室に分け、一方をゴミ収納用としたティッシュペーパー収納箱が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、一端から内容物を順次取り出す角筒状の紙箱には適用できるものの、例えば中箱と筒状の外箱とから構成されるスライド式の紙箱や、上面を開封して中身を取り出すタイプの紙箱には適用できず、菓子用紙箱全般に応用できるものではなかった。また、特許文献1〜3の構成では、紙箱本体とは別個に仕切板を設ける必要があるため、組み立て作業性の低下や紙箱のコストアップに繋がるという問題点があった。
【特許文献1】特開平6−135436号公報
【特許文献2】特開昭53−113681号公報
【特許文献3】実開平5−61081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、ゴミ箱機能を持たせることにより、生じるゴミを美しく処理できるとともに、組み立ても容易で低コストな包装容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、開閉可能な包装箱と、該包装箱の表面を被覆するフィルムとから成り、包装材で個別に包装された内容物を複数個収納する包装容器において、前記フィルムの側面には少なくとも一部がミシン目で囲まれた押し込み片が形成されており、前記フィルムの一端を切り取った残部で形成されるフィルム袋を前記包装箱に沿ってスライドさせた後、ミシン目を破断して前記押し込み片を内側に撓ませることにより、前記包装箱と前記フィルム袋との隙間へ開封後の包装材を挿入可能としたことを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の包装容器において、前記押し込み片は、前記フィルム袋の底面から離れた位置に形成されることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の包装箱において、前記押し込み片は、前記フィルム袋の底面方向が内側に撓むように形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、包装箱の表面を被覆するフィルムの開封により形成されるフィルム袋を利用して、包装箱とフィルム袋との隙間に開封後の包装材を挿入可能とすることにより、内容物を個別に包装する包装材等を散逸することなく美しく処理することができ、包装容器と共に一度に廃棄できるため効率的である。また、未開封及び開封済みの包装材が包装箱内部で混在しないため、内容物が入った未開封の包装材を容易に区別することができる。さらに、フィルムに押し込み片を形成するミシン目を入れておくだけで良いため、従来に比べコストアップとなる心配もない。
【0011】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の包装容器において、押し込み片をフィルム袋の底面から離れた位置に形成することにより、押し込み片を撓ませて包装材を挿入した後、包装箱をフィルム袋の底面方向にスライドさせると、押し込み片の撓みにより形成された開口は包装箱で閉鎖されるため、包装材の再漏出が防止される。
【0012】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の包装容器において、押し込み片をフィルム袋の底面方向が内側に撓むように形成することにより、包装箱をスライドさせた時に押し込み片の先端が包装箱の端部と干渉せず、フィルム袋が破損するおそれがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態をについて説明する。図1(a)、(b)は、包装箱を構成する中箱の平面図及び側面図、図2(a)、(b)は、中箱を外箱に挿入した包装箱の平面図及び側面断面図(図2(a)のA−A′断面)である。各図において共通する部分には同一の符号を付している。本発明の包装容器は、紙製の包装箱10と、包装箱10の表面を被覆するフィルム(後述)とで構成される。
【0014】
図1において、中箱1は一枚の紙を打ち抜いて一体に組み立てられており、底板2の長辺に沿って側壁3が垂直に立設されている。底板2の短辺側の側壁は長手方向(図の左右方向)に延長されており、図1(b)に示すように断面コ字状に折り曲げられた後、先端の接着片4が底板2に接着されて支柱部5a、5bが形成されている。側壁3には支柱部5aに隣接して半円形の切り欠き部6が形成されている。
【0015】
また、側壁3の両端部には舌片7a、7b及び7cが連設されており、それぞれ内側に折り曲げられた後、舌片7a、7bは支柱部5a、舌片7cは支柱部5bの内面に沿って配置されている。これにより、支柱部5a、5bが内側から補強され、中箱1は外箱9からの出し入れに耐えうる強度が確保される。支柱部5aの内側(切り欠き部6側)の角部中央には中箱1の組み立て前に予め切り込みが入れられており、支柱部5aの折り曲げに伴い切り起こし8が形成される。
【0016】
包装箱10は、この中箱1と、中箱1に外挿される角筒状の外箱9とから成り、包装箱10の内部には、菓子等の内容物11が、包装材12により個別に包装された状態で複数個収納されている。そして、中箱1を矢印B方向にスライドさせて外箱9から引き出すことにより、内容物11の取り出しが可能となっている。
【0017】
また、外箱9の一端には矩形状の切り欠き部9aが形成されており、支柱部5aの上面及び底面を把持して中箱1を容易に引き出せるようになっている。中箱1が所定量引き出された後は、切り欠き部6に指を掛けて中箱1をさらに引き出すことができる。内容物11を所定量取り出した後は、中箱1を矢印B′方向にスライドさせて外箱9に挿入することにより包装箱10が閉鎖される。
【0018】
図3は、図2(b)の破線円S内の拡大図である。外箱9の切り欠き部9aの中央には係合片13が設けられており、中箱1を矢印B′方向にスライドさせて外箱9に完全に挿入したとき、外箱9の内側に折り曲げられた係合片13が支柱部5aの切り起こし8を図の右側から左側へ乗り越えて係合し、図3に示す状態となる。この係合時のクリック感により、中箱1が完全に挿入されたことを確認できるとともに、係合片13と切り起こし8との係合によって中箱1の自由なスライドを規制している。中箱1の引き出し時には、図3の状態から係合片13及び切り起こし8が所定量撓み、係合片13が切り起こし8を図の左側から右側へ乗り越えて係合が解除され、中箱1の矢印B方向へのスライドが可能となる。
【0019】
ところで、上述したような包装箱10は、埃や汚れの付着防止及び外観の向上のため、或いは未開封であるか否かを容易に確認するために、表面をフィルムで被覆される場合が多い。図4(a)は、包装箱の表面をフィルムで被覆した本発明の包装容器の平面図であり、図4(b)は、フィルムの一端を開封した状態を示す平面図である。
【0020】
図4(a)に示すように、中箱1と外箱9とから成る包装箱10は、フィルム15により表面全体を被覆されて包装容器100を構成している。フィルム15は、通常は外箱9のデザインが透視できる透明フィルムが用いられるが、着色フィルムやデザインが描かれたフィルムを用いることもできる。フィルム15の材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、セロハン等が挙げられる。フィルム15の内面には、中箱1の引き出し側(図4の左側)寄りに開封テープ17が包装箱10の側面を一周するように貼着されており、引き出し側と反対側(図4の右側)寄りの側面には、U字型のミシン目19に囲まれた押し込み片20が形成されている。
【0021】
開封テープ17の先端を把持して引き剥がすと、フィルム15は開封テープ17と共にリング状に切り取られるため、図4(b)のように中箱1の引き出し側のフィルム15を除去して、包装箱10の端部を露出させる。そして、前述したように中箱1を外箱9から引き出して内容物11(図2参照)が取り出される。一方、反対側のフィルム15は包装箱10の一部を被覆したまま袋状に残存する(以下、フィルム袋18とする)。
【0022】
次に、開封後の包装材12を処理する方法について、図5及び図6を用いて説明する。先ず、図5(a)に示すように、押し込み片20が包装箱10と重ならない位置まで包装箱10を矢印B方向にスライドさせる。次いで、図5(b)に示すように、押し込み片20を指で押圧してミシン目19を破断させ、フィルム袋18の側面に開口21を形成する。そして、包装材12を小さく圧縮し、開口21からフィルム袋18内に挿入する。
【0023】
その後、包装箱10を矢印B′方向にスライドさせると、図6に示すように、包装材12はフィルム袋18の底面18aと包装箱10との隙間に保持される。これにより、開封済の包装材12を散逸することなく美しく処理することができ、包装箱100と共に一度に廃棄できるため効率的である。また、開口21から押し込んだ包装材12が包装箱10内に混入せず、開封済の包装材12と内容物11が入った未開封の包装材12とを区別して収納することができる。
【0024】
また、押し込み片20を設ける位置については、フィルム袋18の側面であれば特に限定されるものではないが、この例においては、押し込み片20はフィルム袋18の底面18aから所定距離だけ離れた位置に形成されているため、包装箱10を矢印B′方向にスライドさせると、開口21は包装箱10で閉鎖される。従って、開口21からの包装材12の再漏出が確実に防止される。包装材12の挿入量が増加するにつれてフィルム袋18内の包装材12が嵩高くなり、底面18aと包装箱10との隙間も広がるため、押し込み片20は、包装箱10内の全ての包装材12を挿入した状態でも開口21が包装箱10で閉鎖されるような位置に設けることが好ましい。
【0025】
なお、ここでは押し込み片20は、フィルム袋18の底面18a方向(図6の右方向)が内側に撓むように形成されているが、ミシン目19の入れ方を変更することにより逆方向(図6の左方向)或いは直交方向(図6(a)の上下方向)が内側に撓むようにしても良い。また、押し込み片20の全周をミシン目19で囲む構成としても良い。
【0026】
しかし、押し込み片20が逆方向或いは直交方向に内側に撓む構成の場合、包装箱10を矢印B′方向へスライドさせる際、押し込み片20の先端が包装箱10の端部と干渉してしまい、押し込み片20がフィルム袋18と包装箱10とに挟まれて底面18a方向へ引っ張られ、開口21が大きく裂けてしまうおそれがある。
【0027】
また、押し込み片20全体をミシン目19で囲んだ場合は、使用者の押圧方向によって押し込み片20の撓み方向が変わり、ミシン目19に沿って押し込み片20を切り取った場合は切り取られた押し込み片20自体がゴミとなり散逸し易くなる。従って、フィルム袋18の破損の心配が少なく余分なゴミも発生しない上記実施形態の構成が好ましい。
【0028】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態では、中箱1と外箱9とからなるスライド式の包装箱10を例に挙げて説明したが、本発明は、図7に示すような開閉可能な蓋部22が設けられた包装箱10にも全く同様に適用可能である。また、押し込み片20の形状や大きさについても包装容器100の仕様に応じて任意に設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、開閉可能な包装箱と、該包装箱の表面を被覆するフィルムとから成り、包装材で個別に包装された内容物を複数個収納する包装容器において、フィルムの側面には少なくとも一部がミシン目で囲まれた押し込み片が形成されており、フィルムの一端を切り取った残部で形成されるフィルム袋を包装箱に沿ってスライドさせた後、ミシン目を破断して押し込み片を内側に撓ませることにより、包装箱とフィルム袋との隙間へ開封後の包装材を挿入可能としたものである。
【0030】
これにより、包装材等を散逸することなく美しく処理することができ、未開封及び開封済みの包装材が包装箱内部で混在しないため、内容物が個別に包装されている菓子等に好適な包装容器を簡易且つ低コストで提供することができる。
【0031】
また、押し込み片をフィルム袋の底面から離れた位置に形成したので、押し込み片の撓みにより形成された開口は包装箱をフィルム袋の底部方向にスライドさせることで閉鎖できるため、包装材の再漏出が防止可能な包装容器となる。さらに、押し込み片がフィルム袋の底面方向に撓むように形成すれば、押し込み片の先端が包装箱の端部と干渉せず、フィルム袋が破損するおそれもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】は、本発明の包装容器に用いられる包装箱を構成する中箱の平面図及び側面図である。
【図2】は、本発明の包装容器に用いられる包装箱の平面図及び側面断面図である。
【図3】は、図2(b)の円S内の部分拡大図である。
【図4】は、本発明の包装容器の開封前及び開封後の平面図である。
【図5】は、押し込み片を押圧してフィルム袋に開口を形成するとともに、開口より包装材を挿入する様子を示す平面図及び側面図である。
【図6】は、包装材を挿入後、包装箱をフィルム袋内に戻した状態を示す平面図及び側面断面図である。
【図7】は、本発明の包装容器に用いられる包装箱の他の形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 中箱
2 底板
3 側壁
5a、5b 支柱部
9 外箱
10 包装箱
11 内容物
12 包装材
15 フィルム
17 開封テープ
18 フィルム袋
18a 底面
19 ミシン目
20 押し込み片
21 開口
100 包装容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な包装箱と、該包装箱の表面を被覆するフィルムとから成り、
包装材で個別に包装された内容物を複数個収納する包装容器において、
前記フィルムの側面には少なくとも一部がミシン目で囲まれた押し込み片が形成されており、前記フィルムの一端を切り取った残部で形成されるフィルム袋を前記包装箱に沿ってスライドさせた後、ミシン目を破断して前記押し込み片を内側に撓ませることにより、前記包装箱と前記フィルム袋との隙間へ開封後の包装材を挿入可能としたことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記押し込み片は、前記フィルム袋の底面から離れた位置に形成されることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記押し込み片は、前記フィルム袋の底面方向が内側に撓むように形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−87803(P2008−87803A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269172(P2006−269172)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】