説明

包装容器

【課題】
使用時の利便性と衛生性を確保をしつつ、捨て紙をも収納できるチューインガムの包装容器の提供、また、製造コストを抑え大量生産に適した包装容器の提供。
【解決手段】
底板4の周囲に周壁5を起立させて上部を開口させた容器本体b、および、その容器本体bの上部開口に取り付けられ、基端側蓋板1aと先端側蓋板1bを連設した蓋板1を開閉可能にした蓋体部cからなり、内部のガム収納部eの上記基端側蓋板1aの下側となる位置に収納トレイ2を配設し、その収納トレイ2により区画される上側を捨て紙収納部gとしている包装容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューイングガムとともに捨て紙を収納できる包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チューインガムを捨て紙とともに収納する包装容器として、各種のものが知られている。
実用新案登録第3101914号公報(特許文献1)に記載された包装容器は、容器本体の上部開口に取り付けられる蓋体の内側に、冊子状の捨て紙を接着保持できるようにしたもの、あるいは、収納したチューインガムと捨て紙の直接接触を防止し衛生面を改善するため、捨て紙を蓋体の内側に形成したポケット部に収納できるようにしたものである。
これは、チューインガムを取り出すときおよび捨て紙を取り出すときに蓋体を開閉しなければならないのでその蓋体の開閉部の強度や密閉性が低下しやすいなどという問題がある。
【0003】
特開2006−1123944号公報(特許文献2)に記載された包装容器は、上記のような問題を解決するとともに、使用時の利便性を改善したもので、これは、容器本体とその上部開口を閉止する蓋体からなり、その蓋体が、捨て紙等を収納する凹部を有する蓋体台部と、その凹部の開口を閉止するスライド自在な上蓋とからなる。
【特許文献1】実用新案登録第3101914号公報
【特許文献2】特開2006−123944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、引用文献1の蓋体の裏側にポケット部を形成したものや、引用文献2に記載された、上蓋をスライド自在にした上記蓋体台部を有するものは、そのポケット部の構造や上蓋をスライドさせるための構造が複雑であるから製造コストがかかる。また、製造ラインでの大量生産を、より効率化できる構造のものとすることが好ましい。
【0005】
そこで、本発明は、使用時の利便性と衛生性を確保をしつつ、捨て紙をも収納できるチューインガムの包装容器の提供、また、製造コストを抑え大量生産に適した包装容器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、底板4の周囲に周壁5を起立させて上部を開口させた容器本体b、および、その容器本体bの上部開口に取り付けられ、基端側蓋板1aと先端側蓋板1bを連設した蓋板1を開閉可能にした蓋体部cからなり、内部のガム収納部eの上記基端側蓋板1aの下側となる位置に収納トレイ2を配設し、その収納トレイ2により区画される上側を捨て紙収納部gとしている包装容器である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、上記蓋体部cが、上記容器本体bに係合する環状枠8の一側外方に、基端側蓋板1aおよび先端側蓋板1bからなる上記蓋板1を連設し、また、上記環状枠8内の上記蓋板1の基端側半部に収納トレイ2を形成し、その収納トレイ2の反対側の上記先端側蓋板1bの下側となる位置に取出口11を開口してなる請求項1記載の包装容器である。
【0008】
請求項3記載の本発明は、上記蓋体部cの蓋板1が、上記容器本体bに係合する環状枠8の一側外方に折り線9を介して形成された蓋板連結部10に対して連設されていること、および、上記蓋板連結部10が係合片18,19を立設してなり、その蓋板連結部10を上記折り線9で折り返して、上記係合片18,19を環状枠8の係合孔32,33に係合固定することで、上記蓋板1を環状枠8の上方に開閉自在に位置させることができるようにしてなる請求項2記載の包装容器である。
【0009】
請求項4記載の本発明は、上記蓋体部cの上記収納トレイ2の左右両縁に上記環状枠8の内側に沿わせて形成された側壁14,15が、その上面の上記蓋板連結部10側を高くして、その上記蓋板連結部10側の端から蓋板1の先端方向へ斜め下方に下る斜面14’,15’を形成し、かつ、その斜面14’,15’の上記蓋板1の先端方向側に連続させて、該蓋板1の先端方向へ斜め上方に立ち上がる、上記斜面14’,15’とは逆勾配の立ち上がり部14”,15”を形成している請求項3記載の包装容器である。
【0010】
請求項5記載の本発明は、上記収納トレイ2の上記取出口11側の縁部に切欠き12を形成するとともに、壁体13,13を立設してなる請求項2,3または4記載の包装容器である。
【0011】
請求項6記載の本発明は、外形が平面略円形で肉厚円盤状をなし、その外面の一側平坦面3を形成した請求項1,2,3,4または5記載の包装容器である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の本発明によれば、ガム収納部e内のチューインガムdと収納トレイ2内の捨て紙fとが直接接触せず衛生的で、また、先端側蓋板1bを開いてガム収納部e内のチューインガムを取り出すことができ、基端側蓋板1aを開いて収納トレイ2内の捨て紙fを取り出すことができる。
【0013】
請求項2記載の本発明は、蓋体部cが環状枠8、蓋板1および収納トレイ2を一体にした単純な構造であるから製造コストを抑えることができる。
【0014】
請求項3記載の本発明は、蓋体部cが、係合片18,19を環状枠8の係合孔32,33に係合固定するだけで、蓋板1を環状枠8の上方に開閉自在な状態とすることができるものであるから、製造コストを抑えることができる。
【0015】
請求項4記載の本発明によれば、基端側蓋板1aを下方に押し下げて、立ち上がり部14”,15”を支点に先端側蓋板1bをはね上げることで、先端側蓋板1bを簡単に開くことができる。
【0016】
請求項5記載の本発明によれば、収納トレイbから捨て紙fが落ちることがなく、また、その捨て紙fの使用時の取出しが行い易い。
【0017】
請求項6記載の本発明によれば、平坦面3を底部として起立状態に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
底板4の周囲に周壁5を起立させて上部を開口させた容器本体b、および、その容器本体bの上部開口に取り付けられ、基端側蓋板1aと先端側蓋板1bを連設した蓋板1を開閉可能にした蓋体部cからなり、内部のガム収納部eの上記基端側蓋板1aの下側となる位置に収納トレイ2を配設し、その収納トレイ2により区画される上側を捨て紙収納部gとしている包装容器。
【実施例1】
【0019】
本実施例の包装容器aは、上部を開口した平面略円形をなす皿状の容器本体b、および、その容器本体bの上部開口に取り付けられ、基端側蓋板1aと先端側蓋板1bを連設した蓋板1を開閉可能にした蓋体部cからなるもので、その内部の、多数のチューインガム(糖衣ガム)d……を収納するガム収納部e内に、収納トレイ2を配設し、これにより区画される上側の領域を上側を冊子状にした複数の捨て紙f……を収容するための捨て紙収納部gとしている。
3は、平面略円形で肉厚円盤状をなす該包装容器aの外面の一側に形成した平坦面である。
【0020】
上記容器本体bは、略円形の底板4の周囲に周壁5を起立させ上部を開口したもので、6は上記周壁5の上縁外周に形成された係合溝である。
7は、該容器本体bの一側に形成された平坦部である。
【0021】
上記蓋体部cは、上記周壁5に嵌合する環状枠8の一側外方に、折り線9を介して蓋板連結部10が形成されており、この蓋板連結部10に対して、上記基端側蓋板1aおよび先端側蓋板1bからなる上記蓋板1を、折り線1cを介して一体に連設している。
【0022】
上記環状枠8内には、上記蓋板連結部10側半部に上記収納トレイ2を形成し、その反対側に略半円形をなす取出口11を開口している。12は上記収納トレイ2の前縁部の中央に形成された半円形の切欠き、13,13はその収納トレイ2の取り出し口11側の縁部(前縁部)の、上記切欠き12の左右両側に立設された壁体である。
【0023】
14,15は、上記収納トレイ2の左右両縁に上記環状枠8の内側に沿わせて形成された側壁である。その長さは上記基端側蓋板1aよりやや長いもので、
その上面は、上記蓋板連結部10側(上記蓋板1の基端側)を高くして、その上記蓋板連結部10側の端から蓋板1の先端方向へ斜め下方に下る斜面14’,15’を形成している。その斜面14’,15’には弧状溝16,17が形成されている。
14”,15”は、上記斜面14’,15’の上記蓋板1の先端方向側に連続させて、該蓋板1の先端方向へ斜め上方に立ち上がりかつ環状枠8の内側に沿う、上記斜面14’,15’とは逆勾配の立ち上がり部である。
【0024】
上記蓋板連結部10には、係合片18,19が立設されており、上記基端側蓋板1aの側面には突起20,21が、また、先端側蓋板1bの側面には突起22,23が形成されている。
24,25は基端側蓋板1aの下面の縁部に形成され、上記弧状溝16,17に嵌合する弧状突条、26は先端側蓋板1bの先端縁に形成されたツマミ部である。
また、上記環状枠8の内周には、上記基端側蓋板1aの突起20,21に対応する位置に係止孔27,28が、先端側蓋板1bの突起22,23に対応する位置に係止孔29,30が開設されている。
【0025】
この蓋体部cは、環状枠8の下縁内周に形成した係合片31を上記容器本体bの係合溝6に係合させて(図2)該容器本体bに取り付けられるもので蓋板連結部10を上記折り線9で折り返して、上記係合片18,19を環状枠8の係合孔32,33に係合して外れないように固定することで、展開状態(成型状態)から、蓋板1を環状枠8の上方に開閉自在に位置させることができるものである。
このようにして組み立てられる包装容器aは、ガム収納部e内上方の、上記基端側蓋板1aの下側の位置に収納トレイ2を配しその上側を捨て紙収納部gとしている。
閉蓋状態では、上記基端側蓋板1aの突起20,21が係止孔27,28に、先端側蓋板1bの突起22,23が係止孔29,30に係合してロック状態となる。このとき、基端側蓋板1aの下面と上記側壁14,15の上面との間には空隙34が空いた状態となっている(図2)。
【0026】
ガム収容部e内のチューインガムdを取り出す際には蓋板1の先端側蓋板1bのみを開くことができる(図3,図4)。この先端側蓋板1bは、ツマミ部26を摘んで上方に引き上げて開くこともできるが、基端側蓋板1aを、側壁14,15の上面に当接する位置まで下方に押し下げて(このとき、弧状突条24,25が弧状溝16,17に係入する)、立ち上がり部14”,15”を支点に先端側蓋板1bをはね上げることで、より簡単に開くこともできる。
このように先端側蓋板1bを開いた状態で取り出し口11からチューインガムdを取り出すことができる。
【0027】
捨て紙fを取り出す際には、上記の先端側蓋板1bが開いた状態からさらに先端側蓋板1bを引き上げることにより基端側蓋板1aを開くことができる(図5,6)。
収納トレイ2には壁体13,13が設けてあるから、捨て紙f……がガム収容部e内に落ちてチューインガムd……に接触することがなく、また、切欠き12が設けてあるから、捨て紙f……の取り出しが行い易い。
【0028】
上記のとおり、本包装容器aは多数のチューインガムd……をガム収納部eに収納し、また、そのチューインガムd……を噛んだ後に包むための捨て紙f……を捨て紙収納部gに収納できるので、便利である。
捨て紙f……は直接チューインガムd……に触れない構造となっているので、衛生面の問題もない。
また、蓋板1が先端側蓋板1bと基端側蓋板1aとを連設したもので、先端側蓋板1bだけを開くこともできるので、チューインガムd……の取り出しの際には先端側蓋板1bを開き、捨て紙f……の取り出しの際は全体を開く、というように二段階に開くことができ、便利なだけでなくユニークなものになっている。
【0029】
この包装容器aは平坦面3を底部として起立状態に保持できるので、複数個を箱詰めする場合や店頭でのディスプレイ時等にスペースを過剰に占有することなく、また、安定した状態で陳列することができる。
【0030】
また、蓋体部cが環状枠8、収納トレイ2、蓋板1等を一体にした単純な構造になっているので大量生産にも適しており、蓋板部cを折り線9で折り返す組立て作業も係合片18,19を係合孔32,33に係合固定するだけの簡単なものであるから、製造コストを抑えることが可能である。
また、チューインガムd……の充填時は、容器本体bに蓋板部cを取り付ける前にその容器本体bの上部の広い開口から行えるので、包装工程における作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例に係る包装容器の閉蓋状態を示す斜視図である。
【図2】図1のI-I線縦断面図である。
【図3】上記包装容器の蓋の先端側蓋板のみを開いた状態を示す斜視図である。
【図4】図3のII-II線縦断面図である。
【図5】上記包装容器の蓋の先端側蓋板および基端側蓋板双方を開いた状態を示す斜視図である。
【図6】図5のIII-III線縦断面図である。
【図7】蓋体部の平面図である。
【図8】図7のIV-IV線縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
a 包装容器
b 容器本体
c 蓋体部
1 蓋板
1a 基端側蓋板
1b 先端側蓋板
1c 折り線
2 収納トレイ
3 平坦面
4 底板
5 周壁
6 係合溝
7 平坦部
8 環状枠
9 折り線
10 蓋板連結部
11 取出口
12 切欠き
13 壁体
14,15 側壁
14’,15’ 斜面
14”,15” 立ち上がり部
16,17 弧状溝
18,19 係合片
20,21 突起
22,23 突起
24,25 弧状突起
26 ツマミ部
27,28 係止孔
29,30 係止孔
31 係合片
32,33 係合孔
34 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の周囲に周壁を起立させて上部を開口させた容器本体、および、その容器本体の上部開口に取り付けられ、基端側蓋板と先端側蓋板を連設した蓋板を開閉可能にした蓋体部からなり、内部のガム収納部の上記基端側蓋板の下側となる位置に収納トレイを配設し、その収納トレイにより区画される上側を捨て紙収納部としていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
上記蓋体部が、上記容器本体に係合する環状枠の一側外方に、基端側蓋板および先端側蓋板からなる上記蓋板を連設し、また、上記環状枠内の上記蓋板の基端側半部に収納トレイを形成し、その収納トレイの反対側の上記先端側蓋板の下側となる位置に取出口を開口してなることを特徴とする請求項1記載の包装容器。
【請求項3】
上記蓋体部の蓋板が、上記容器本体に係合する環状枠の一側外方に折り線を介して形成された蓋板連結部に対して連設されていること、および、上記蓋板連結部が係合片を立設してなり、その蓋板連結部を上記折り線で折り返して、上記係合片を環状枠の係合孔に係合固定することで、上記蓋板を環状枠の上方に開閉自在に位置させることができるようにしてなることを特徴とする請求項2記載の包装容器。
【請求項4】
上記蓋体部の上記収納トレイの左右両縁に上記環状枠の内側に沿わせて形成された側壁が、その上面の上記蓋板連結部側を高くして、その上記蓋板連結部側の端から蓋板の先端方向へ斜め下方に下る斜面を形成し、かつ、その斜面の上記蓋板の先端方向側に連続させて、該蓋板の先端方向へ斜め上方に立ち上がる、上記斜面とは逆勾配の立ち上がり部を形成していることを特徴とする請求項3記載の包装容器。
【請求項5】
上記収納トレイの上記取出口側の縁部に切欠きを形成するとともに、壁体を立設してなることを特徴とする請求項2,3または4記載の包装容器。
【請求項6】
外形が平面略円形で肉厚円盤状をなし、その外面の一側平坦面を形成したことを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−137608(P2009−137608A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314933(P2007−314933)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】