説明

包装容器

【課題】使用開始前において、カッターの刃先が露出されることのない包装容器を提供する。
【解決手段】ロール状に巻かれた被包装体12を収容する容器本体14と、該容器本体の後面壁26の頂縁から回動可能に連設されており、該容器本体の上部開口部を閉じる蓋体頂面壁32及び該容器本体の前面壁20を覆う蓋体前面壁34とからなる蓋体18と、該容器本体の底面壁22に設けられ、刃先30が容器本体の前面壁より前方へ突出しているカッターとを備える包装容器10において、蓋体前面壁の自由縁部42が、カッターの突出した刃先を完全に覆うよう延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれた被包装体を包装するための包装容器に関する。被包装体としては、ラップフィルム、クッキングシート、アルミホイル等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来から、クッキングシートのようなロール状の被包装体を包装するための容器が種々知られている。その多くは厚紙製であり、被包装体を収容する容器本体と、この容器本体の後面壁に一体的に連設されている蓋体とから構成されている。また、容器から引き出された被包装体を切断するために、容器本体の底面壁に、刃先が前方に突出するようにしてカッターが装着されているものもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来の包装容器は、使用開始前の封緘状態においてもカッターの刃先が突出したまま露出されており、運搬又は店頭陳列のため包装容器を並べたり積み上げたりすると、露出された刃先によって、隣接した包装容器の表面が傷つく恐れがある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、封緘状態においてもカッターの刃先が露出されることのない包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、ロール状に巻かれた被包装体を収容する容器本体と、該容器本体の後面壁の頂縁から回動可能に連設されており、該容器本体の上部開口部を閉じる蓋体頂面壁及び該容器本体の前面壁を覆う蓋体前面壁とからなる蓋体と、該容器本体の底面壁に設けられ、刃先が容器本体の前面壁より前方へ突出しているカッターとを備える包装容器において、蓋体前面壁の自由縁部が、カッターの突出した刃先を完全に覆うように延びていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、封緘状態において、カッター刃先が露出されることのない包装容器が提供される。よって、本発明の包装容器を用いることによって、包装容器を並べ積み上げた際、隣合う包装容器同士で傷つけることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において「上」、「下」、となる語は、図1に示す位置状態での上、下を言うものとする。また、図1において矢印Aで示した方向を前方とする。
【0008】
図1は、本発明による包装容器の斜視図である。図1の包装容器10は、半分程度開封された状態で描かれており、使用開始前の封緘された状態の包装容器10については、左半分を参照し、開封された後の包装容器10については、右半分を参照されたい。
【0009】
本実施形態の包装容器10は、被包装体としてロール状に巻かれたクッキングシート12を包装するためのものであり、クッキングシート12を収容する略直方体形状の容器本体14と、容器本体14の上部開口部を閉じる蓋体18とから構成されている。容器本体14及び蓋体18は、一枚の厚紙から作られている。
【0010】
なお、被包装体は、クッキングシート12のみならず、ラップフィルムやアルミホイル等であってもよい。
【0011】
容器本体14は、図1に示すように、前面壁20と、底面壁22と、後面壁24と、左右の側面壁26とにより形成された箱体であり、その上部には開口部が形成されている。この開口部から、容器本体14内に収容されたクッキングシート12が引き出されることとなる。
【0012】
引き出されたクッキングシート12は、容器本体14の底面壁22に装着されたカッター28によって切断される。カッター28は、一般的に金属薄板からなる鋸歯状カッターであり、前面壁20と底面壁22との接線に沿って、底面壁22の全長にわたって延びている。また、カッター28の刃先30は容器本体14の前面壁20より僅かに前方へ突出している。
【0013】
容器本体14の後面壁24の頂縁から蓋体18が連設されており、蓋体18は、後面壁24の頂縁を軸として回動可能である。より詳細には、蓋体18は、容器本体14の後面壁24に連設されている蓋体頂面壁32と、蓋体頂面壁32に連設されている蓋体前面壁34とを有している。蓋体前面壁34は、蓋体頂面壁32に連設されている副蓋片36と、ミシン目37を介して副蓋片36に繋がっている開封片38とから構成されている。
【0014】
封緘状態においては、蓋体頂面壁32は容器本体14の上部開口部を閉じ、蓋体前面壁34は容器本体14の前面壁20を完全に覆う。また、容器本体14の前面壁20と開封片38は、適当な接着部位40において局所的に接着される。
【0015】
蓋体前面壁34の自由縁部42、すなわち開封片38の自由縁部42は、容器本体14の底面壁22より下方へ僅かに延び、カッター28の刃先30を完全に覆っている。しかし、カッター28より過度に下方へ突き出ると、開封片38の自由縁部42は、他の商品に引っ掛りやすいので、カッター28の刃先30を確実に隠すことができる最小範囲で突き出ることが特に好ましい。
【0016】
このような構成においては、封緘状態ではカッター28の刃先30が蓋体前面壁34、すなわち開封片38によって覆い隠されるため、例えば運搬時において隣合う包装容器10同士が接触したとしても、一方の包装容器10のカッター28が他方の包装容器10を傷つけるおそれは一切ない。
【0017】
また、使用者が包装容器10を開封する際、まず、ミシン目37に沿って開封片38を副蓋片36から引き剥がすのであるが、その際、開封片38の自由縁部42の端がカッター28よりも下方に突出しているため、指を掛けやすく、開封片38の切除も容易となる。
【0018】
なお、開封片38が切り取られた後は、従来のものと同様に、カッター28の刃先30が露出されると共に、蓋体18を開けることができる。したがって、蓋体18を開けて、ロール状に巻かれたクッキングシート12の先端を指で摘んで包装容器10の外側へ引き出してから、所望のときにカッター28で切断することが可能となる。
【0019】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、包装容器は紙製に限らず、プラスチック製のものであってもよい。また、蓋体前面壁に開封片が設けられず、粘着テープ等によって蓋体が容器本体を封緘する構成であってもよい。この場合も、封緘状態では蓋体前面壁の自由縁部がカッターの刃先を覆う必要があることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による包装容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
10…包装容器、12…クッキングシート(被包装体)、14…容器本体、18…蓋体、20…容器本体の前面壁、22…容器本体の底面壁、24…容器本体の後面壁、26…容器本体の側面壁、28…カッター、30…刃先、32…蓋体頂面壁、34…蓋体前面壁、36…副蓋片、37…ミシン目、38…開封片、40…接着部位、42…自由縁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれた被包装体を収容する容器本体と、
前記容器本体の後面壁の頂縁から回動可能に連設されており、前記容器本体の上部開口部を閉じる蓋体頂面壁及び前記容器本体の前記前面壁を覆う蓋体前面壁からなる蓋体と、
前記容器本体の前記底面壁に設けられ、刃先が前記前面壁より前方へ突出しているカッターと、
を備える包装容器において、
前記蓋体前面壁の自由縁部が、前記カッターの前記刃先を完全に覆うように延びていることを特徴とする、包装容器。

【図1】
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【公開番号】特開2009−35302(P2009−35302A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201190(P2007−201190)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】