説明

包装方法

【課題】 片面に防曇性能を有する表面改質層を有し、他面に文字や図柄などが印刷された印刷層を有するフィルムをロール巻き製品とした場合に生じる、包装時の防曇性能低下を防止して防曇性能を維持・発現する包装方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも片面が防曇性能を有する表面改質層であり、他面が印刷層であるロール巻きフィルムを用いた包装方法において、ロール巻き時に該フィルムの印刷が施された部分と密着・接触していた表面改質層の表面に防曇剤を塗布しながら包装することを特徴とする包装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は片面が防曇性能を有する表面改質層であり、他面が印刷層であるフィルムをロール巻きにした場合に生じる防曇性能の低下を防止し、防曇性能を維持・発現させる包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装材料、電気・電器部材、光学部材、建築資材、農業水産資材などに用いられるフィルムには、意匠性の付与等を目的として、表面に印刷を施すことが一般に行われている。また、各種用途に応じて、防曇性、帯電防止性、導電性、滑性、粘・接着性、防汚性、反射防止性、光散乱性等を有する表面改質層を表面に有するフィルムも一般的である。例えば特許文献1には、意匠性に加えて、水分の多い食品をフィルム包装したときに内面が結露する減少を防ぐべく、片面が防曇剤を含む層であり、他面が印刷された層である防曇性包装フィルムが開示されている。
【特許文献1】特開平6−171035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常フィルムは長尺で製造してロール状に巻き取って保管し、使用時にロール状フィルムから必要量を繰り出して所望の大きさや形状に加工したり、そのまま包装機に供給して用いる。しかしながら前記のように片面が防曇性能を有する表面改質層であり、他面が印刷された層であるフィルムをロール状にして保管した場合には、表面改質層と他面の印刷された層の印刷が施された部分とが密着・接触してしまい、表面改質層に含まれる防曇剤が印刷された部分に移行して、その部分だけ使用時に防曇性能が機能しないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、片面に防曇性能を有する表面改質層を有し、他面に文字や図柄などが印刷された印刷層を有するフィルムをロール巻き製品とした場合に生じる、包装時の防曇性能低下を防止して防曇性能を維持・発現する包装方法を提供するものである。
【0005】
すなわち本発明は、
(1)少なくとも片面が防曇性能を有する表面改質層であり、他面が印刷層であるロール巻きフィルムを用いた包装方法において、ロール巻き時に該フィルムの印刷が施された部分と密着・接触していた表面改質層の表面に防曇剤を塗布しながら包装することを特徴とする包装方法。
(2)防曇剤の塗布膜厚(原体の膜厚)が0.1〜0.5μmであることを特徴とする(1)に記載の包装方法。
(3)フィルムがストレッチフィルムであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の包装方法。
(4)フィルムがシュリンクストレッチフィルムであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の包装方法、
をその要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装方法は、印刷層の印刷された部分と密着・接触した表面改質層の防曇性能の低下を防止する優れた包装方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明におけるフィルムを構成する材料としては特に限定されるものではなく、セラミック、ガラス、金属、木材、繊維、紙、合成樹脂などが挙げられるが、これらは単層であっても、同種、異種を問わず多層であってもよい。そして単層の場合、表面改質層が印刷層を兼ねることができる。また、本発明におけるフィルムとしては合成樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
【0008】
本発明で使用するフィルムを構成する合成樹脂に特に制限はなく、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられるが、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどの単独重合体及びその変性体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂などのオレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、さらには、エチレン/スチレン共重合体などのオレフィンとビニル基含有芳香族系重合性単量体との共重合体、エチレン/ノルボルネン共重合体、エチレン/スチレン/ノルボルネン共重合体などのオレフィンと環状重合性単量体との共重合体などのオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/メタクリル酸メチル共重合体、ポリ塩化ビニルデンなどの塩素含有樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素含有樹脂;66ナイロン、6ナイロン、12ナイロン、メタキシレンジアミン/アジピン酸重縮合体などのポリアミド系樹脂;液晶系樹脂;ポリカーボネート系樹脂などの熱可塑性樹脂が単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0009】
本発明で使用するフィルムは、表面改質層、印刷層以外の層を有していても良く、フィルムが熱可塑性樹脂から構成される場合、フィルム厚みは5〜200μmが好ましく、さらに7〜50μmが好ましい。厚みが200μmを超えると柔軟性、透明性が損なわれる。また、5μmに満たないとフィルム強度が十分でない。
【0010】
本発明で使用するフィルムの形成方法は、特に限定はないが、通常のインフレーションフィルム成形、Tダイキャスト成形などが用いられる。さらにはインフレーションフィルム成形、Tダイキャスト成形されたのちに、テンター法二軸延伸成形、チューブラー法二軸延伸成形などにより、延伸やヒートセットを行うこともできる。この方法は、とりわけシュリンクフィルム、ストレッチフィルム、シュリンクストレッチフィルムに好適な成形方法である。また、フィルムの層構成は、単層であっても、三層、五層、七層などの多層構成のいずれでも良い。
【0011】
本発明でいう防曇性能を有する表面改質層としては、非イオン性界面活性剤など防曇剤をフィルム表面を構成する樹脂に添加したのちフィルムを製膜することにより、フィルム表面に防曇性が発現させたもの、あるいはフィルムを製膜後、フィルム表面に非イオン性界面活性剤など防曇剤を塗布することにより、フィルム表面に防曇性が発現させたものが挙げられる。
【0012】
防曇剤としては、特開2004−216825号公報、特開2003−182007号公報、特表平11−510556号公報などに記載の非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミドなどの単独あるいは併用系があげられる。食品包装など水分の多いものを包装する場合には、防曇性の即効性が必要であり、常温で液体の非イオン性界面活性剤を少なくとも一部含むことが好ましい。防曇剤の添加量はフィルム全体に対して0.1〜5重量%程度が好ましく、特に0.5〜3重量%が好ましい。添加量が5重量%を超えると表面へのブリードが激しくなり、手触りにべとつき感がでて好ましくない。また、0.1重量%に満たないと十分な防曇性が発現しにくい。
【0013】
具体例としては、グリセリンオレート、グリセリンモノオレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノベヘネート、ジグリセリンセスキオレート、ジグリセリンセスキラウレート、ジグリセリンセスキステアレート、ジグリセリンセスキパルミテート、ジグリセリンセスキベヘネート、ジグリセリンジオレート、ジグリセリンジラウレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンジパルミテート、ジグリセリンジベヘネート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオレイン酸エステル、ポリエチレングリコールラウリン酸エステル、ポリエチレングリコールステアリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリルエーテルなどがあげられる。これらのうちの1種または2種以上の混合物として用いることが好ましい。
【0014】
印刷層には、必要な情報が認識可能なように印刷されていればよい。印刷された部分とは、印刷インキが保持されてなる部分である。印刷された部分は印刷層全面であってもよく、印刷層の一部であっても良い。
【0015】
印刷インキは特に限定されるものではなく、着色剤のような可視領域に吸収を持つ材料、紫外線吸収剤、金属のような可視光を反射する材料などを成分とするものがあげられる。印刷インキは、水性、油性、紫外線硬化タイプなど多様である。これらの印刷インキは、例えば、通常の無機または有機顔料にバインダーとしてアルコール可溶性樹脂のメチルメタクリレート、プチルメタクリレート等のアクリル系樹脂に、皮膜形成性と脱溶媒性を改善する意味で硝化綿を加え、必要によっては接着を強固にする酢酸エチルを溶剤に追加したビヒクルでインキを構成する。または水性のスチレン・アクリル酸アンモニウム塩、スチレン・マレイン酸アンモニウム塩の0.1μm以下の粒子で構成されるマイクロエマルジョンにアルコールを加えた所謂水性インキで構成することもある。印刷厚みは特に限定されないが、0.1〜5μm、特に0.2〜2μmが好ましい。厚みが5μmを超えると、印刷フィルムが凹凸となり好ましくない。また、0.1μm未満では印刷外観にかすれなどがでやすく好ましくない。
【0016】
印刷の方法としては、特に限定されないが、グラビア印刷法、オフセットグラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法など多種多様な方法が適用できる。なかでもグラビア印刷法、フレキソ印刷法は、特に、ストレッチフィルム、シュリンクフィルム、シュリンクストレッチフィルムなどの軟質かつ薄いフィルムに適した方法である。フレキソ印刷法は、インキの使用量が少なく、これらフィルムにはより好ましい。また、印刷面は、インキ接着を安定化するため、必要によっては前処理を行う。前処理はプライマーとして、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂を使用することもあるが、物理的なコロナ放電処理が好ましい。
【0017】
本発明に適用するフィルムとしては、特に、シュリンクフィルム、ストレッチフィルム、シュリンクストレッチフィルムなどであることが好ましい。特に食品包装用トレイシュリンクストレッチ包装に好適に用いられる。水分の多い食品を包装するシュリンクストレッチフィルムの場合、ショーケースと外気との温度差で結露を極めて生じやすいため、防曇剤として即効性のある液状非イオン性界面活性剤(ジグリセリンオレートなど)が多用される。しかしながら、これらは移行性に富んでいるため、ロール形状での保管時に印刷層の印刷された部分と接触すると該印刷された部分に有効成分が移行しやすい。本発明は、その結果、表面改質層のうちの印刷された部分と接触していた部分の防曇効果が低下するという問題を解決するために成されたものである。
本発明は、シュリンクストレッチフィルムに限定されるものではもちろんないが、印刷による意匠性の付与と防曇性を両立したシュリンクストレッチフィルムを初めて提供できるものとして有効である。
【0018】
さて、本発明においては上述したロール巻きされたフィルムを使用する際に、ロール巻き時に該フィルムの印刷が施された部分と密着・接触していた表面改質層の表面に防曇剤を塗布しながら包装する点に特徴を有するものである。すなわち、表面改質層に防曇剤または防曇剤溶液を包装、ヒートシール直前に塗布することであり、そのことによって包装後に表面改質層が所望の防曇性能を発揮することができるものである。
【0019】
塗布する防曇剤は、表面改質層に使用したものと同じものを使用しても何ら差し支えないが、ストレッチフィルム、シュリンクストレッチフィルムの使用用途は食品包装が主流であることから、食品添加物として認定されたものであることが好ましい。このような要求を満たすものとしては、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレート、デカグリセリンラウレート、ヘキサグリセリンステアレート、テトラグリセリンオレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステルがあげられる。これら防曇剤は、原体のまま塗布してもいっこうに差し支えないが、アルコールや水、特に水に溶解させて使用する方が、塗布膜厚調整がしやすいので好ましい。なお、通常、ポリオレフィン系樹脂のように親油性樹脂表面に上述した防曇剤、特に防曇剤水溶液を塗布すると表面に水滴が出来て塗布そのものが困難となるのであるが、防曇性能を有する表面改質層として成形したフィルム表面には容易に均一な塗布できることから本発明の方法が可能となったものである。
【0020】
防曇剤の塗布量は、防曇性能を有する表面改質層の存在なしには防曇性能を発揮し得ないような少量で良く、できるだけ塗布膜厚を薄くすることがポイントであり、防曇剤原体の膜厚として0.1〜0.5μmが好ましい。塗布膜厚が0.5μmを超えて厚くなると包装時のヒートシール性不良をきたすだけでなく表面改質層の防曇性能低下を防止するという本発明の趣旨に反する。
塗布方法は特に限定されないが、防曇剤などの界面活性剤をロールに付着させ、それをフィルムの表面改質層に転写するロール転写法やグラビアコーティング法あるいはスプレー式噴霧法などを用いることができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。はじめに、以下の実施例および比較例における物性値の測定方法を説明する。
[防曇性評価方法]
幅180mm×長さ230mm×深さ35mmのPSPトレイに、約100mm×150mm角に折り畳んだガーゼと20℃の水を30cc入れ、フィルムの防曇性測定面(表面改質層:防曇剤含有層)が内側になるようにトレイ上面をフィルムで密封包装した後、温度5℃に調整された冷蔵ショーケースに入れて、1時間後の防曇性を目視評価した。防曇性評価は下記の基準に従った。なお、フィルムの両面共防曇剤含有層の場合は、印刷した面の反対面が内側になるようにして、前記トレイを密封包装した。
評価は以下の5段階とした。
1:微少な水滴が付着し、トレイの内部が全く見えない。
2:濡れムラ、水滴付着が目立ち、内容物が見えにくい。
3:濡れムラ、水滴付着がある。
4:濡れムラは判るが、内容物はよく見える。
5:濡れムラがほとんどない。
【0022】
[フィルムを形成する樹脂]
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学工業(株)製 H2011、酢酸ビニル含有量:15wt%)
LL:直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)製 FV203)
PP:ポリプロピレン(住友化学工業(株)製 FS2011)
EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体(日本合成化学(株)製 AT4406)
Ny6・66:ポリアミド(宇部興産(株)製 5034B)
ADPO:接着性樹脂(三井化学(株)製 NF550)
【0023】
[防曇剤]
・表面改質層に使用する防曇剤
ジグリセリンモノオレート
・塗布に使用する防曇剤溶液
デカグリセリンラウレートの10重量%水溶液を防曇剤溶液として使用。
[印刷インク]
・フレキソ印刷用
印刷インク1:サカタインクス(株)製 XA−55(藍)RE−28
印刷インク2:サカタインクス(株)製 XA−55(白)110H
・グラビア印刷用
印刷インク3:サカタインクス(株)製 ラミオール マークIII(青)
印刷インク4:大日本インキ(株)製 407B黄Y
【0024】
[実施例1]
インフレーション成形によって、EVA/PP/EVA(防曇剤を2.5wt%含有)の構成の、厚さ25μmの三層フィルムを成形した。次いで、防曇剤を含有しない側のEVA層の表面に印刷インク1を用いてフレキソ印刷法にて印刷を行いドライヤーにて60℃で乾燥した後ロール状に巻き取った。更に、該ロール状巻き取り品からフィルムを繰り出してスリッターにて幅500mmにスリットし1000mをロール状に巻き取って製品とし室温にて10日間保管した。
保管後のロール巻き製品を巻き戻しながら防曇剤含有EVA層(表面改質層)の表面に防曇剤溶液を防曇剤原体の厚みが0.2μmになるように塗布したのち乾燥してフィルムの防曇剤含有EVA層(表面改質層)が内側になるようにトレイ上面を密封包装して防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0025】
[実施例2]
チューブラー延伸法によって、LL(防曇剤を2.5wt%含有)/ADPO/PP/ADPO/LL(防曇剤を2.5wt%含有)の構成の、厚さ15μmの5層シュリンクストレッチフィルムを成形した。次いで、一方の防曇剤含有LL層の表面に印刷インク4を用いてグラビア印刷を行いドライヤーにて60℃で乾燥した後ロール状に巻き取った。更に、実施例1と同様に幅500mmにスリットし2000mをロール状に巻き取って製品とし実施例1と同様に保管した。
保管後のロール巻き製品を巻き戻しながら印刷していないLL層(表面改質層)の表面に防曇剤溶液を防曇剤原体の厚みが0.2μmになるように塗布したのち乾燥してフィルムの防曇剤含有LL層(表面改質層)が内側になるようにトレイ上面を密封包装して防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0026】
[実施例3]
チューブラー延伸法によって、Ny6・66/EVOH/ADPO/LL(防曇剤を2.5wt%含有)の構成の、厚さ25μmの4層ガスバリア性シュリンクストレッチフィルムを成形した。次いで、Ny6・66層の表面にフレキソ印刷法により印刷インク2を用いて印刷を施し、次いで印刷インク1を用いて印刷を施し2色印刷した後、ドライヤーにて60℃で乾燥した後ロール状に巻き取った。更に、実施例1と同様に幅500mmにスリットし2000mをロール状に巻き取って製品とし実施例1と同様に保管した。
保管後のロール巻き製品を巻き戻しながら防曇剤含有LL層(表面改質層)の表面に防曇剤溶液を防曇剤原体の厚みが0.2μmになるように塗布したのち乾燥してフィルムの防曇剤含有LL層(表面改質層)が内側になるようにトレイ上面を密封包装して防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0027】
[実施例4]
チューブラー延伸法によって、LL/ADPO/PP/ADPO/LL(防曇剤を2.5wt%含有)の構成の、厚さ20μmの5層シュリンクストレッチフィルムを成形した。次いで、防曇剤を含有していないLL層の表面に印刷インク3を用いてグラビア印刷を行いドライヤーにて60℃で乾燥した後ロール状に巻き取った。更に、実施例1と同様に幅500mmにスリットし2000mをロール状に巻き取って製品とし実施例1と同様に保管した。
保管後のロール巻き製品を巻き戻しながら防曇剤含有LL層(表面改質層)の表面に防曇剤溶液を防曇剤原体の厚みが0.2μmになるように塗布したのち乾燥してフィルムの防曇剤含有LL層(表面改質層)が内側になるようにトレイ上面を密封包装して防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0028】
[実施例5]
チューブラー延伸法によって、Ny6・66/EVOH/ADPO/LL(防曇剤を2.5wt%含有)の構成の、厚さ25μmの4層ガスバリア性シュリンクストレッチフィルムを成形した。次いで、Ny6・66層の表面にフレキソ印刷法により印刷インク3を用いて印刷した後、ドライヤーにて60℃で乾燥した後ロール状に巻き取った。更に、実施例1と同様に幅500mmにスリットし2000mをロール状に巻き取って製品とし実施例1と同様に保管した。
保管後のロール巻き製品を巻き戻しながら防曇剤含有LL層(表面改質層)の表面に防曇剤溶液を防曇剤原体の厚みが0.2μmになるように塗布したのち乾燥してフィルムの防曇剤含有LL層(表面改質層)が内側になるようにトレイ上面を密封包装して防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0029】
[比較例1]
巻き戻す際に、防曇剤溶液を塗布しない以外は実施例1と同様にして防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0030】
[比較例2]
巻き戻す際に、防曇剤溶液を塗布しない以外は実施例2と同様にして防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0031】
[比較例3]
巻き戻す際に、防曇剤溶液を塗布しない以外は実施例3と同様にして防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0032】
[比較例4]
巻き戻す際に、防曇剤溶液を塗布しない以外は実施例4と同様にして防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0033】
[比較例5]
巻き戻す際に、防曇剤溶液を塗布しない以外は実施例5と同様にして防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0034】
[比較例6]
インフレーション成形によって、EVA/PP/EVAの構成の、厚さ25μmの三層フィルムを成形した。次いで、一方のEVA層の表面に印刷インク1を用いてフレキソ印刷法にて印刷を行いドライヤーにて60℃で乾燥した後ロール状に巻き取った。更に、該ロール状巻き取り品からフィルムを繰り出してスリッターにて幅500mmにスリットし1000mをロール状に巻き取って製品とし室温にて10日間保管した。
保管後のロール巻き製品を巻き戻しながら印刷を施していないEVA層の表面に防曇剤溶液を防曇剤原体の厚みが0.2μmになるように塗布したが、防曇剤溶液が水滴状になって均一な塗布ができなかった。しかるのち乾燥してフィルムの防曇剤塗布面が内側になるようにトレイ上面を密封包装して防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0035】
[比較例7]
防曇剤原体の厚みが1.0μmになるように防曇剤溶液を塗布したが、防曇剤溶液が水滴状になって均一な塗布ができなかった。しかるのち乾燥してフィルムの防曇剤塗布面が内側になるようにトレイ上面を密封包装して防曇性を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から明らかなように、本発明の実施例1−5の方法で包装したトレイの内面は防曇性能が極めて良好で5の評価であったのに対して、巻き戻し時に防曇剤溶液を塗布しなかった比較例1−5にかかる方法で包装したトレイの内面は、内面側の表面改質層に十分な量の防曇剤を含有させているにもかかわらず印刷が施された部分と密着・接触していた部分に多量の水滴が付着して内容物が見えないほどであった。
一方、比較例6、7のフィルムはトレイの内面に相当する層に防曇剤を含有させていないため、防曇剤溶液を塗布しても弾いて水滴状となってしまって均一に塗布できないばかりか防曇効果も見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の方法によって、例えば、シュリンクストレッチフィルムに印刷を施してトレイ包装に使用することも可能となり、トレイ包装を簡便に、しかも効果的に行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の方法を説明する概略模式図である。
【図2】図1における防曇剤塗布装置2付近の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ロール巻きフィルム
11 印刷層
12 表面改質層
13 防曇剤塗布層
2 防曇剤塗布装置
3 乾燥装置
4 包装装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面が防曇性能を有する表面改質層であり、他面が印刷層であるロール巻きフィルムを用いた包装方法において、ロール巻き時に該フィルムの印刷が施された部分と密着・接触していた表面改質層の表面に防曇剤を塗布しながら包装することを特徴とする包装方法。
【請求項2】
防曇剤の塗布膜厚(原体の膜厚)が0.1〜0.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の包装方法。
【請求項3】
フィルムがストレッチフィルムであることを特徴とする請求項1又は2記載の包装方法。
【請求項4】
フィルムがシュリンクストレッチフィルムであることを特徴とする請求項1又は2記載の包装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−62828(P2007−62828A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253253(P2005−253253)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000206473)大倉工業株式会社 (124)
【出願人】(596015561)日本エコラップ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】