説明

包装方法

【課題】基材フィルムの表面の荒れに起因する不快感を覚えることなく、かつ開封性が良好な包装方法を提供する。
【解決手段】包装用フィルムを用いて包装袋等の包装体を製造する際に、包装用フィルムのうち包装体の周縁部5となる箇所の少なくとも一部に多数の傷痕31を形成した後、傷痕31が形成された箇所32をエンボスシールする。傷痕31が形成された箇所32は、包装体の周縁部5に設けられ、易開封部となる。エンボスシールは、包装体を形成するため包装用フィルムの内面同士を向かい合わせてヒートシールする際に行うことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の傷痕からなる易開封部を有する包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来スティック包装袋等の包装体の周縁部には、開封を容易にするためのノッチや傷痕が設けられている。
例えば特許文献1には、基材フィルムの片面の一部に貫通孔による粗面加工部を形成して、この部分から開封を開始しやすくした包装袋が記載されている。
また、特許文献2には、周縁シール部にI型ノッチが形成された包装袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−21572号公報
【特許文献2】特開2001−315800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、基材フィルムに貫通孔を形成して引裂強度を弱めるようにした場合、粗面加工をすることで基材フィルムの表面が荒れてしまう。このため、基材フィルムの表面にささくれ状の微細な突起が生じやすく、開封時に不快に感じたり、特にその突起が大きいときには開封時に手指に引っかかり、手指を傷つけたりするおそれがある。
特許文献2に記載されているように、ノッチを設ける場合、開封位置がノッチに限定され、所望の位置から容易に開封することができない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基材フィルムの表面の荒れに起因する不快感を覚えることなく、かつ開封性が良好な包装方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、包装用フィルムを用いた包装方法であって、包装用フィルムのうち包装体の周縁部となる箇所の少なくとも一部に傷痕を形成した後、前記傷痕が形成された箇所をエンボスシールすることを特徴とする包装方法を提供する。
前記エンボスシールは、包装用フィルムの内面同士を向かい合わせてヒートシールする際に行うことが好ましい。
前記包装体は、包装袋により構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、傷痕が形成された箇所をヒートシールして基材の表面を加圧することにより、傷痕が形成された箇所のささくれた部分を押しつぶすことができる。また、エンボスシールとすることにより、基材の表面に凹凸が付与され、外観的に傷痕が目立たなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】傷痕が形成された包装体の一例を示す平面図である。
【図2】図1のA部の部分拡大断面図である。
【図3】エンボスシール用のシール部材の一例を示す斜視図である。
【図4】エンボスシール用のシール部材の別の一例を示す斜視図である。
【図5】製袋充填装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1および図2に示すように、本形態例の包装体17は、その周縁部においてフィルムの内面同士が向かい合わされてヒートシールされ、周縁シール部(詳しくは、側縁シール部5および端縁シール部7)が形成された包装袋である。
【0010】
この包装体17は、両端縁部7および一方の側縁部5の三方がヒートシールされ、他方の側縁部16が折り返された三方シール包装袋であって、多数の傷痕31からなる易開封部32が側縁シール部5に沿って設けられている。これらの傷痕31は、例えば、外周面に微細な硬質のやすり状の粗面が形成された加工ロールをフィルムに対して押圧することにより、包装用フィルム表面の凹部や貫通孔として形成することができる。
【0011】
さらに本形態例の包装体17は、傷痕31が形成された箇所32がエンボスシールされている。
エンボスシールとは、ヒートシールを行うシール部材の表面に連続した凹凸を設けてフィルムを加熱および加圧することにより、フィルムのシール部に凹凸を形成する手法である。傷痕が形成された箇所をエンボスシールすることにより、フィルムの表面が加圧され、傷痕のささくれた部分を押しつぶすことができる。これにより、開封時に不快感を覚えることがない。
また、エンボスシールとすることにより、基材の表面に凹凸が付与され、外観的に傷痕が目立たなくなる。
【0012】
エンボスシールは、包装体を形成するため包装用フィルムの内面同士を向かい合わせてヒートシールする際に行うことが好ましい。例えば本形態例の包装体17の場合、側縁シール部5を形成するシール部材に凹凸を設けて、側縁部のシールと、傷痕上のエンボスシールとが同時に行われる。これにより、エンボスシールを行うための工程数が増加せず、包装装置(製袋機など)へのエンボスシールの組み込みも容易になる。同様に、易開封部32を端縁シール部7に設ける場合は、端縁部のシールと、傷痕上のエンボスシールを同時に行うことが好ましい。
なお、本発明においては、傷痕上のエンボスシールは、包装体を形成するためのヒートシールと同時である場合に限らず、側縁部のシールの前あるいは後に行ってもよい。
【0013】
図3および図4に、エンボスシール用シール部材の一例を示す。
図3に示すシール部材20は、矩形平板状の基板部21の片面に、四角錐状の突起22が縦横に配列されたものである。
図4に示すシール部材25は、矩形平板状の基板部26の片面に、その短辺方向に延在する山形の突起27が長辺方向に配列されたものである。
このほかエンボスシール用シール部材としては、シール時にフィルムに接する面に、角錐状、角柱状、円錐状、円柱状その他各種の形状の突起を多数設けたシール部材を用いることができる。
【0014】
包装体17の製造は、例えば図5に示す製袋充填装置を用いて行うことができる。この製袋充填装置は、三方シール包装袋を連続的に製造する縦型の装置であり、帯状フィルム2を筒状に丸める筒状化手段1と、帯状フィルム2の両側縁部3をフィルムの送り方向に沿ってヒートシールして側縁シール部5を形成する側縁シール部形成手段4と、側縁シール部5により形成された筒状フィルム14を、その送り方向に交差する横方向にヒートシールして端縁シール部7を形成する端縁シール部形成手段6と、下端側に端縁シール部7が形成された筒状フィルム14内に内容物を供給する内容物供給ノズル8(内容物供給手段)を備える。
【0015】
製袋充填装置に供給される帯状フィルム2の両側の側縁部3には、上述の傷痕31が形成された易開封部32が形成されている。また、フィルムの引裂強度が比較的小さい場合には、帯状フィルム2の片側の側縁部のみに易開封部32を形成することもできる。
なお、図5に示す製袋充填装置は、液体、粘稠体、粉粒体やこれらの混合物を充填するため、内容物供給ノズル8に沿って帯状フィルム2を上から下に移動させる縦型の装置であるが、塊状の固形物を充填する場合には、横型の装置として構成しても良い。
【0016】
筒状化手段1は、帯状フィルム2が通過するフィルム通過口11を有する板状に形成されている。フィルム通過口11は、帯状フィルム2を通過させることにより、帯状フィルム2を湾曲させ略筒状とし、かつ側縁部3の重なり幅を一定にすることができる。
内容物供給ノズル8は、内容物を筒状フィルム14の内部に供給するためのもので、フィルム通過口11に挿通するように設けられている。
【0017】
側縁シール部形成手段4は、一対の側縁シール部材12を備え、これら側縁シール部材12で帯状フィルム2の両側縁部3を挟み込むことによって、これらをヒートシールすることができるようになっている。
端縁シール部形成手段6は、一対の端縁シール部材13を備え、これら端縁シール部材13で筒状フィルム14を挟み込むことによって、筒状フィルム14をヒートシールすることができるようになっている。
なお、シール部形成手段4、6のシール部材12、13の形状は、図示例のような一対の熱板のほか、ローラ状のシール部材や、一方の熱板と他方の受け板との組み合わせ等、種々の態様を採用することができる。ローラ状のシール部材としては、例えば、複数の押圧部位(凸部)が周方向に間隔をおいて形成されたものが挙げられる。
【0018】
以下、図5に示す製袋充填装置を用いた製袋充填方法を説明する。
帯状フィルム2を下方に引き取り、内容物供給ノズル8の周囲に巻き付けつつ、筒状化手段1のフィルム通過口11に通過させることによって、フィルム通過口11の周縁に沿って帯状フィルム2を湾曲させ略筒状とする。
【0019】
次いで、帯状フィルム2を側縁シール部形成手段4に導入し、両側縁部3を重ね合わせ、側縁シール部材12で挟み込むことによって、ヒートシールする。これにより、帯状フィルム2は、側縁シール部5で閉じられ、筒状フィルム14となる。
エンボスシールを側縁シールと同時に行う場合は、側縁シール部材12として、エンボスシール形成用のシール部材が用いられる。
【0020】
次いで、筒状フィルム14を端縁シール部形成手段6に導入し、側縁シール部5の形成方向に垂直な方向に沿って端縁シール部材13を移動させ、端縁シール部材13により筒状フィルム14の一部を挟み込むことによって、挟み込んだ部分の筒状フィルム14をヒートシールする。筒状フィルム14は、内容物供給手段8の下方において端縁シール部7により閉塞した袋状容器となる。
【0021】
次いで、内容物供給ノズル8を用いて、内容物を筒状フィルム14内に供給する。
次いで、筒状フィルム14を下方に引き取り、充填前に形成した端縁シール部7から上方に所定距離離れた位置の筒状フィルム14を、端縁シール部材13で挟み込んでヒートシールする。このように、筒状フィルム14の送り方向に沿って所定距離離れた位置に形成された端縁シール部7の間の内部空間15に内容物が充填されることになる。
なお、端縁シール部7の形成後、超音波溶着装置(図示略)を用いて、端縁シール部7における接着強度を高めることもできる。
【0022】
次いで、カッターなどの切断手段(図示略)を用いて端縁シール部7を切断することによって、図1に示す包装体17を得る。
上記包装体17から内容物を取り出す際には、易開封部32によって包装体17を引き裂き、手で開封することができる。
【0023】
包装体を構成するフィルムとしては、シーラントを少なくとも片面に備える積層体、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン樹脂層を最内層(シーラント)とし、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの延伸フィルムを基材とし、必要に応じてエチレン―ビニルアルコール共重合体、金属や無機化合物の蒸着層(アルミ蒸着など)、アルミ箔等の金属箔、インキ層等の印刷層などを中間層としたラミネートフィルムを用いることができるが、特に、これらに限定されるものでない。
本発明によれば、PET等の引裂強度が高い二軸延伸フィルムを用いても、フィルムに多数の傷痕からなる易開封部を形成しているので、開封しやすい包装体を製造することができる。
【0024】
包装体の形態は特に限定されるものではなく、三方シールや四方シールの平袋、背貼り袋、四角底袋、スタンディングパウチなどの包装袋や、その他種々の態様の包装体に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、各種内容物を包装するために好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…筒状化手段、2…帯状フィルム、3…側縁部、4…側縁シール部形成手段(縦シール手段)、5…側縁シール部(縦シール部)、6…端縁シール部形成手段(横シール手段)、7…端縁シール部(横シール部)、8…内容物供給手段(充填ノズル)、20,25…エンボスシール用シール部材、31,33…傷痕、32…傷痕が形成された箇所(易開封部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用フィルムを用いた包装方法であって、包装用フィルムのうち包装体の周縁部となる箇所の少なくとも一部に傷痕を形成した後、前記傷痕が形成された箇所をエンボスシールすることを特徴とする包装方法。
【請求項2】
前記エンボスシールは、包装用フィルムの内面同士を向かい合わせてヒートシールする際に行うことを特徴とする請求項1に記載の包装方法。
【請求項3】
前記包装体が、前記包装用フィルムからなる包装袋により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の包装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−179956(P2010−179956A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27248(P2009−27248)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】