説明

包装材料、及びそれを用いた包装体

【課題】 白インキ層のみで、レーザ照射による基材の劣化や変色が少なく、レーザ印字の濃度差が大きく判読しやすく、少ない層構成で安価に製造できる包装材料を提供する。
【解決手段】 基材11、白インキ層13、及びポリオレフィン系樹脂層15が順に積層され、基材11側からのレーザ光で模様を印字でき、この色差ΔEが40以上であり、基
材11がポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とし、レーザ光のエネルギが2〜5Wであり、白インキ層13が少なくとも酸化チタン系顔料とバインダからなり、酸化チタン系顔料とバインダの質量配合比が酸化チタン系顔料:バインダ=2〜10:1で、かつ、酸化チタン系顔料の塗布量が2.5g/m2以上であるも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料に関し、さらに詳しくは、白インキ層のみで、レーザ照射によって基材が劣化したり変色せず、レーザ印字の濃度差が大きく判読しやすく、少ない層構成で安価に製造できる包装材料に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「LDPE」は「低密度ポリエチレン」、「MDPE」は「中密度ポリエチレン」、「HDPE」は「高密度ポリエチレン」、及び「レーザ印字」は「レーザマーキング」、の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)従来、医薬品、飲料や食品などの包装容器に使用する包装材の表面には商品名、商品デザインなどの商品に共通する情報と共に、製造所、製造年月日、賞味期限、製造責任者などが記載されている。前者共通情報は内容物が密封される前に包装袋に印刷されるが、後者はその性質上、内容物が収納・密封された時点で記入され、かつ袋外面の所定の記録枠部分に記入される。この記載方法として包装材の表面に、直接インキ等で印字したり、別途印字したラベルを貼付したりする。しかし不定形の表面を有する包装体や衝撃に弱い内容物を収納した軟包装などの場合は機械的な印字方法は適当ではなく、また、印字部が取り扱いの過程や輸送の過程で消滅したり脱離するなどの問題がある。その対策として、包装体の印刷表面にレーザ照射によって文字や記号を描画し記載する印字方法が行われている。しかしながら、基材フィルム側からレーザ光を照射するので、基材フィルム層の機械的強度が低下して、内容物の保存性が落ちたり、基材フィルム層が変色したりする。また、判読しやすくするために、白層、黒層及び金属層などの複数層を要するものが多く、高コストである。しかも、印字濃度差が小さいので、判読し辛いという欠点があった。
従って、レーザ印字できる発明包装材料は、レーザ照射によって基材が劣化したり変色しないこと、レーザ印字の濃度差が大きく判読しやすいこと、少ない層構成で安価に製造できること、などが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−175013号公報
【特許文献2】特開2006−26939号公報
【特許文献3】特開2009−67467号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術)従来、レーザ光を用いて高速で印字可能で、印字が酸、アルカリ等と接触しても消失する恐れのない印字部を有する表示材料としては、表面側が白色以外の色からなる第1印刷層、この第1印刷層の下面に白色の第2印刷層を設けた表示材料に、レーザ光の照射により第1印刷層を除去し、所望の印字の形成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、明瞭、かつ、鮮明なパタ─ン画像を形成し得ることができ、偽造防止等に有用な印字機能を有するレーザ印字用多層積層フィルムとしては、プラスチック基材、金属箔また金属蒸着樹脂フィルム、および、黒色顔料を含む樹脂組成物による黒色着色樹脂層とを順次に積層した多層積層体が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、基材の安定性に優れ、印字識別性に優れるレーザマーキング可能な包装材料としては、淡色インキ塗工層30、銀インキ塗工層20、前記基材層10、濃色インキ塗工層40が積層されたレーザマーキング領域120を有し、前記プラスチック基材層10または前記濃色インキ塗工層40側に前記熱融着性樹脂層60が積層されるものも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献1〜3のいずれでも、金属も含めて複数色を使用しており、使用する材料も多く、製造工程も煩雑で高コストでありるという問題点がある。
特許文献2〜3は本出願人の出願によるもので、さらに発展させて、新規課題も解消したものである。
【0006】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、白インキ層のみで、レーザ照射によって基材が劣化したり変色せず、レーザ印字の濃度差が大きく判読しやすく、少ない層構成で安価に製造できる包装材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係わる包装材料は、レーザの走査で色差に優れる印字ができ、かつ、外観に優れる包装材料であって、該包装材料は少なくとも基材と、該基材の1方の面へ白インキ層、及びポリオレフィン系樹脂層が順に積層されてなり、前記基材側からレーザ光を走査することで模様を印字でき、該印字の色差ΔE(デルタE)が40以上であり、基材がポリエステル系樹脂フィルムで、レーザ光の走査を受けた後でも表面に変形が生じないように、したものである。
請求項2の発明に係わる包装材料は、請求項1において、走査する上記レーザ光のエネルギが2〜5Wであり、上記白インキ層が少なくとも酸化チタン系顔料とバインダからなり、酸化チタン系顔料とバインダの質量配合比が酸化チタン系顔料:バインダ=2〜10:1で、かつ、酸化チタン系顔料の塗布量が2.5g/m2以上であるように、したものである。
請求項3の発明に係わる包装材料は、請求項1〜2において、上記レーザ印字されてなる上記模様が、バーコードリーダーで論理情報として読み取れるように、したものである。
請求項4の発明に係わる包装体は、請求項1〜3のいずれかに記載の包装材料を用いて、レーザ印字されてなる上記模様が可変情報であるように、したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の本発明によれば、白インキ層のみで、レーザ光照射によって基材が劣化したり変色せず、レーザ印字の濃度差が大きく判読しやすく、少ない層構成で安価に製造できるの効果を奏する。
請求項2の本発明によれば、白インキ層を限定することで、レーザ光照射による印字のより濃度差が大きく判読しやすい効果を奏する。
請求項3の本発明によれば、レーザ印字の濃度差が大きく、バーコードリーダーなどの機械でも読み取れる効果を奏する。
請求項4の本発明によれば、レーザ印字によって、可変情報が印字された包装体を供給できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の1実施例を示す包装材料の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0011】
(包装材料)本願発明の包装材料10は、図1に示すように、基材11、該基材11の1方の面へ白インキ層13、及びポリオレフィン系樹脂層15が順に積層する。基材11側からレーザ光を走査することで模様を印字でき、該印字の色差ΔEを40以上とするこ
とができる。しかも、基材11がポリエステル系樹脂フィルムはらなり、レーザ光の走査を受けた後でも表面に変形が生じないので、レーザ印字後でも外観に優れている。また、層間にはレーザ印字に影響のない範囲で他の層を設けてもよい。
【0012】
(作用効果)本願発明によれば、走査するレーザ光のエネルギを2〜5Wとし、白インキ層13を少なくとも酸化チタン系顔料とバインダから構成し、酸化チタン系顔料とバインダの質量配合比が酸化チタン系顔料:バインダ=2〜10:1で、かつ、酸化チタン系顔料の塗布量が2.5g/m2以上とする。このようにすることで、白インキ層のみで、レーザ照射によって基材が劣化したり変色せず、レーザ印字の濃度差が大きく判読しやすく、少ない層構成で安価に製造できる包装材料を提供することができる。
【0013】
(基材)基材11としては、ポリエステル系樹脂を用い、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが例示できる。ポリエステル系樹脂としては、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械強度や寸法安定性を有するものが好ましいので、2軸延伸フィルムが好ましい。
【0014】
また、基材11には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤なっどを添加してもよい。基材11の厚さとしては、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性及び加工性を考慮すると、4.5〜250μmであることが好ましく、より好ましくは12〜100μmである。
【0015】
(白インキ層)白インキ層13としては、少なくとも酸化チタン系顔料とバインダ(ビヒクルともいう)からなり、必要に応じて、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加してもよい。
【0016】
バインダとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、硝化綿、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。
【0017】
酸化チタン系顔料としては、アナタス形酸化チタン、ルチル形酸化チタンなどの白色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。
【0018】
上記のバインダ、及び酸化チタン系顔料、さらに、必要に応じて添加剤を添加し、溶媒、希釈剤等で分散、混練してインキ組成物とする。該インキ組成物を用いて、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、その他の従来の印刷方式で、基材11へ印刷し白インキ層13を形成すればよい。また、白インキ層13はレーザ印字する予定の所望個所に形成すればよく、全面に形成する必要はなく、他の絵柄と共用してもよい。
【0019】
包装材料10の基材11側からレーザ光を白インキ層13に照射することで、レーザ光の熱エネルギーによって変色させレーザ印字することができる。このため、使用する白インキ層13には、レーザ光吸収剤を配合したり、使用するバインダを特定してレーザ光吸収能を向上させてもよいが、従来公知の白インキ層13でもレーザ印字可能な包装材料を提供しうるもので、市販の白インクを使用することもできる。
【0020】
白インキ層13の厚さとしては、1〜20μm程度、より好ましくは2〜10μmである。しかしながら、白インキ層13の酸化チタン系顔料とバインダの質量配合比を酸化チタン系顔料:バインダ=2〜10:1と酸化チタン系顔料の含有量を多めに規制し、かつ、酸化チタン系顔料の塗布量が2.5g/m2以上と多めにすることによって、初めて、白インキ層のみでレーザ印字での濃度差が大きく、判読しやすくなる。詳細は参考例、比較例、実施例で述べる。
【0021】
白インキ層13は1回印刷(1度刷り)でも、複数回の印刷(多色刷り)で形成してもよく、要は後述する酸化チタン系顔料とバインダの質量配合比、及び、酸化チタン系顔料の塗布量が2.5g/m2以上とすればよい。例えば、グラビア印刷で行う場合、グラビア印刷版の版深を15〜40μmが好ましく、版深が15μm以下では印刷回数が1回では濃度不十分で多色刷りとなる欠点があり、版深が40μm以上では印刷時の乾燥性が悪く、印刷走行スピードが低下して好ましくない。また、インキ組成物中の酸化チタン系顔料の配合は25〜50%が好ましく、25%以下場合にはインキが薄く、隠蔽性不足となり、50%以上の場合には無機成分(顔料)が多く、インキ被膜の凝集力が低下し、脱落したり、皮膜強度が低下する欠点がある。さらに、印刷回数は1〜3回が好ましく、4回以上の場合ではコスト面で不利となる。
【0022】
(ポリオレフィン系樹脂層)ポリオレフィン系樹脂層15は、熱によって溶融し相互に融着し得る各種の熱融着性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。具体的には、LDPE低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、及びそれらの金属架橋物等の樹脂、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。ポリオレフィン系樹脂層15の厚さは、特に制限を受けるものではなく、目的に応じて決めることができ、一般的には15〜200μmの範囲である。
【0023】
基材11へ白インキ層13を設けた後に、該白インキ層13面へポリオレフィン系樹脂層15を積層方法としては、上記樹脂からなるフィルムを、2液反応硬化型接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融させて押し出し貼り合わせるエキストルージョンラミネート法等いずれの公知の積層方法によって形成することができ、包装材料10が得られる。
【0024】
(他の層)包装材料10の層間及び/又は基材面にはレーザ印字に影響のない範囲で、中間基材、デザイン印刷層などの他の層を設けてもよい。このような他の層としては、各他の層をドライラミネート積層法や溶融押出し法で積層したり、公知の印刷法で形成すればよい。
【0025】
(中間基材)中間基材層を設けることによって、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、耐突き刺し性などを向上させることができる。中間基材層としては、基材11と同じものや、例えば、2軸延伸ポリアミドフィルム、2延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムなどが例示できる。また、中間基材層単層に限定されず、2層以上の積層フィルムであってもよく、MXDナイロン、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂鹸化物などのガスバリア性フィルムも好適に使用することができる。中間基材層の厚さは、包装材料に収納される内容物の種類、その他によって適宜選択することができ、一般的には6〜30μmの範囲である。なお、中間基材層の積層方法も従来公知の方法を採用することができ、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルージョンラミネート法、その他のいずれの公知の積層方法であってもよい。
【0026】
(デザイン印刷層)包装材料10には、基材11のレーザ印字領域以外の内側または外側に、デザイン印刷層を有していてもよい。デザイン印刷層はグラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの従来公知の印刷方式で形成することができる。デザイン印刷層は、白インキ層13の印刷時に多色刷り法で同時に行ってもよく、もちろん、白インキ層13のレーザ印字領域外へ、デザイン絵柄を同じ版を用いて印刷してもよい。
【0027】
(印字法)レーザ印字方法は、基材11/白インキ層13/ポリオレフィン系樹脂層15からなる包装材料10の、基材11面よりにレーザ光を照射して、白インキ層13を変色させて印字する。レーザ光を照射すると白インキ層13がレーザ光のエネルギーを吸収して加熱変色し、印字される。この際、白インキ層13の質量配合比が酸化チタン系顔料:バインダ=2〜10:1で、かつ、酸化チタン系顔料の塗布量が2.5g/m2以上でないと、吸収エネルギーが強すぎるため下側にあるポリオレフィン系樹脂層15が溶融したり、シワやピンホールを形成する恐れもある。
【0028】
また、基材11面を透過するように、レーザ光が照射されるので、基材11がレーザ光の影響を受け、基材11の機械的強度が低下したり、変色したり、変質や変形したりして、内容物の保存性が落ちたりする。そこで、基材11は溶融、破損、ピンホール、シワの発生が抑制できる、機械的強度があり耐熱性に優れるポリエステル系樹脂を用いる。
【0029】
レーザ印字に用いるレーザ光は、レーザ印字に使用可能なものであれば特に制限はないが、例えば、YV04レーザ、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、半導体レーザなどを使用することができき、好ましくは、YV04レーザである。照射出力、印字速度などは、包装材料10の基材11の種類や厚さなどに応じて適宜選択すればよい。好ましくは、走査するレーザ光のエネルギは2〜5Wである。
【0030】
(色差ΔE)包装材料10へ、以上のようにレーザ印字することで、印字の色差ΔEを
40以上とし、しかも基材11の表面にも変形が生じなくできる。しかも、レーザ印字された模様はバーコードリーダーで論理情報として読み取ることもできる。レーザ印字される模様はバーコードなどの論理情報に限らず、特に限定されるものではなく、例えば、商品名、意匠性デザイン、数字など任意な模様でよい。
【0031】
(PCS値)レーザ印字された模様をバーコードとし、商品管理に多用されているバーコードを読取装置(バーコードリーダ)で読み取る際の基準である、PCS値を引用する。バーコードの白バー(下地)と黒バー(表示部)とは、コントラストが高いほど、バーコードリーダで読み取りやすい。そこで、バーコードの光学的特性は、JIS−X−0501及びX−0502にて、PCS値(Print Contrast Signal)なる量が定義され、そのPCS値が或る一定以上の値でなければならない、と規定されている。該PCS値とは、バーコードのバーコードシンボル面の法線に対して、JIS−Z−8720に規定するA光源の45°の入射角度で照射された時の、白バー及びマージン部分の反射率と黒バーの反射率と、から算出される。白バー及びマージンの反射率をRL、黒バーの反射率をR0とすると、PCS値=(RL−R0)/RLとして定義される。
JIS−X−0501では共通商品用バーコードシンボルとして必要な最小PCS値を白バーの反射率の関数として規定しており、またJIS−X−0502では物流商品用バーコードシンボルとして、白バーが段ボール等の下地の色となりうるため、JIS−X−0501よりもゆるい規格として、必要な最小PCS値を一定値の0.75と規定しているので、PCS値が0.75以上が好ましい。
【0032】
(包装体)本願発明の包装体は、包装材料10のポリオレフィン系樹脂層15を対向するように重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方を熱融着して熱融着部を形成すると共にその上部に開口部を形成して、三方シール型の包装袋を製造することができる。その他、本発明の包装袋の形状としては、ピロー包装形態、ガセット包装形態、スタンディング(自立性)パウチ包装形態、その他等の内容物に合った種々の形態からなる包装用袋を製造し得る。なお、熱融着の方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。包装体は、その上部に開封操作を容易にするノッチなどの易開封性手段であってもよい。ノッチは、通常、一字形やV字形などのノッチが使用されているが、形状は特に限定されず、切り取り方向に鋭角部分を有する形状であれば何でも使用することができる。
【0033】
包装材料10は少なくともその一部に白インキ層13からなるレーザ印字領域を有し、包装体におけるレーザ印字領域の形成箇所に限定はなく、包装体の表面及び/又は裏面の1部にレーザ印字領域が形成されていればよい。
【実施例】
【0034】
以下、参考例、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
【0035】
(参考例1)基材11として、厚さが12μmの2軸延伸PETフィルムを用いた。該基材のコロナ処理面に、下記の白インキ組成物を用いて、グラビア印刷法で印刷し白インキ層13を形成した。該白インキ層13の酸化チタン系顔料とバインダの質量配合比、及び、酸化チタン系顔料の塗布量は、表1に記載する(他の例も同様)。
該白インキ層13面へ、ポリオレフィン系樹脂層15として厚さが50μmのLLDPEフィルムを、2液ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法で積層して、参考例1の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、ラミックFB701白(D)
【0036】
(参考例2)下記の白インキ組成物を用いる以外は参考例1と同様にして、参考例2の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックMC白(D)
【0037】
(参考例3)下記の白インキ組成物を用いる以外は参考例1と同様にして、参考例3の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックHC白(D)
【0038】
(参考例4)下記のメジウムインキ組成物及び白インキ組成物を用いて、この順に重ね刷りする、以外は参考例1と同様にして、参考例4の包装材料10を得た。
・<メジウムインキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックRメジウムM3
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、ラミックFB701白(D)
【0039】
(参考例5)下記の白インキ組成物を用いる以外は参考例1と同様にして、参考例5の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックHC白(D)と、メジューム(大日精化製、商品名、NT−ハイラミックRメジウムM3とを1:1で混合した。
【0040】
(参考例6)下記の白インキ組成物を用いる以外は参考例1と同様にして、参考例6の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックHC白(D)と、メジューム(大日精化製、商品名、NT−ハイラミックRメジウムM3とを1:2で混合した。
【0041】
(実施例1)下記の白インキ組成物を用いて、この順に2回重ね刷りする以外は参考例1と同様にして、実施例1の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックHC白(D)
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、ラミックFB701白(D)
【0042】
(実施例2)下記の白インキ組成物を用いて、この順に2回重ね刷りする以外は参考例1と同様にして、実施例2の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、ラミックFB701白(D)
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックHC白(D)
【0043】
(実施例3)下記の白インキ組成物を用いて、この順に2回重ね刷りする以外は参考例1と同様にして、実施例3の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックHC白(D)
・<白インキ組成物>大日精化製、商品名、NT−ハイラミックHC白(D)
なお、大日精化製の、商品名ラミックFB701白(D)と、NT−ハイラミックHC白(D)は汎用の白インキである。
【0044】
(比較例1)下記の白インキ組成物を用いる以外は参考例1と同様にして、比較例1の包装材料10を得た。
・<白インキ組成物>レーザ印字用インキ(東洋インキ製、商品名、Elbima Z117)
【0045】
(評価方法)レーザ印字して、その色差ΔEで評価した。
【0046】
(試験方法)参考例、実施例、比較例の包装材料10の基材11面から、YV04レーザ(キーエンス社製、商品名、WD−V9600A)を用いて、スキャンスピード500mm/sec、QS周波数20kHz、レーザパワー40%の条件でいマーキング(印字)を行い、この印字部の色差ΔEを測定した。
【0047】
(ΔEの測定方法)L、a、b表色系は、JIS−Z−8729(色の表示方法―L*
a*b*表色系及びL*u*v*表色系)に準拠して、測定機としてSpectroEye(GretagMacbeth社製、商品名)を用いて測定を行った。
測定は、下部に基準白色紙を敷いた状態で、白ベタのみの印刷部を基準として、印字部の色調差(L*、a*、b*)を測定した。Lスター(L*)は明度、aスター(a*)は赤味、bスター(b*)値は黄味を表し、色差ΔEは(L*2+(a*2+(b*
2の平方根で算出される。結果を、表1に記載する。
【0048】
【表1】

【0049】
(評価結果)参考例1、2、3、5では、顔料:バインダ比は範囲内であるが、顔料塗布量が不足し、色差ΔEが40以下である。参考例4、6では、顔料:バインダ比が範囲
外で、顔料塗布量も不足し、色差ΔEが40以下である。比較例1では、白顔料ではなく
、色素系顔料で黄味がかっており、印字の色差ΔEも40以下であった。
実施例1、2、3のいずれも、顔料:バインダ比が範囲内で、顔料塗布量も限度以上あり、色差ΔEも40以上と良好な印字ができ、また、いずれの基材11表面も溶融、破損
、ピンホール、シワの発生がなく、さらに、ポリオレフィン系樹脂層15も溶融したり、シワやピンホールの発生はなかった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
(産業上の利用可能性)本発明は、医薬品、飲料や食品などの包装容器に使用する包装材料に利用することができる。しかしながら、レーザ印字でき、レーザ照射によって基材が劣化したり変色せず、レーザ印字の濃度差が大きく判読しやすさを必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0051】
10:包装体
11:包装材料
13:白インキ層
15:ポリオレフィン系樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザの走査で色差に優れる印字ができ、かつ、外観に優れる包装材料であって、該包装材料は少なくとも基材と、該基材の1方の面へ白インキ層、及びポリオレフィン系樹脂層が順に積層されてなり、前記基材側からレーザ光を走査することで模様を印字でき、該印字の色差ΔEが40以上であり、基材がポリエステル系樹脂フィルムで、レーザ光の走
査を受けた後でも表面に変形が生じないことを特徴とする包装材料。
【請求項2】
走査する上記レーザ光のエネルギが2〜5Wであり、
上記白インキ層が少なくとも酸化チタン系顔料とバインダからなり、酸化チタン系顔料とバインダの質量配合比が酸化チタン系顔料:バインダ=2〜10:1で、かつ、酸化チタン系顔料の塗布量が2.5g/m2以上であることを特徴とする請求項1記載の包装材料。
【請求項3】
上記レーザ印字されてなる上記模様が、バーコードリーダーで論理情報として読み取れることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の包装材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の包装材料を用いて、レーザ印字されてなる上記模様が可変情報であることを特徴とする包装体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−152735(P2011−152735A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16357(P2010−16357)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】