説明

包装材料の絞り成形方法

【課題】 包装材料本体に割れの生じにくい包装材料の絞り成形方法を提供する。
【解決手段】 包装材料は、包装材料本体9と、本体9の片面に貼着された熱封緘層10とからなる。熱封緘層10は、酸変成ポリオレフィンフィルムで形成されている。熱封緘層10上には、スリップ層11が設けられている。スリップ層11は、酸変成ポリオレフィン粒子とスリップ剤とを含有するオルガノゾルが塗布されて形成されている。包装材料本体9の他面(熱封緘層10が設けられているのと反対面)には、滑り性の良好なフッ素系フィルム等が貼合されていても良い。この包装材料を絞り成形すると、熱封緘層10上にスリップ層11が設けられているので、絞り成形機の雌型乃至雄型と接触しても、良好に滑る。従って、包装材料自体に過大な応力が負荷されにくく、この応力が原因となって、包装材料自体に割れが生じるのを防止しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形性の良好な包装材料を用いた絞り成形方法に関するものである。また、特にリチウムイオン二次電池を製造する際に用いる包装材料(以下、この用途に係る包装材料を「二次電池用外装材料」と言う。)の絞り成形方法に関するものである。絞り成形がなされた包装材料は、成形した凹部に収納物を収納した後、熱封緘して包装するのに好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
シート状で薄型のポリマーリチウムイオン二次電池等の二次電池は、近年、移動体通信機器,ノートブック型パソコン,ヘッドフォンステレオ,カムコーダー等のエレクトロニクス機器の小型軽量化に伴い、その駆動源として重宝されている。この二次電池は、例えば、図1に示したような構成となっている。即ち、正極集電体2,正極3,隔離材(セパレーター)4,負極5,負極集電体6の順で積層された積層体、及びポリマー電解質や電解質溶液等の各種電解質等の二次電池本体を、二次電池用外装材料1,1で包装収納した構成となっている。そして、二次電池用外装材料1,1は、その中央部では二次電池本体を収納しやすくするため、絞り成形により凹部8が形成されていると共に、その端部7,7において熱封緘されている。
【0003】
二次電池用外装材料1等の包装材料は、一般的に、図2に示すように、包装材料本体9と熱封緘層10とが積層貼着された態様となっている。包装材料本体9としては、金属箔,金属蒸着フィルム,合成樹脂製フィルム,合成樹脂製耐熱性フィルム等が単独で又はこれらが積層貼合されて用いられている。また、熱封緘層10としては、酸変成ポリオレフィンフィルムが用いられている。なお、金属箔に、酸変成ポリオレフィンフィルム/ポリオレフィンフィルム/酸変成ポリオレフィンフィルムよりなる構成を持つ三層共押出フィルムが貼合されて、包装材料が形成された場合には、最外層の酸変成ポリオレフィンフィルムが熱封緘層10となり、その他の層がまとまって包装材料本体9となる。
【0004】
このような二次電池用外装材料1は、まず、絞り成形されて凹部8が形成される。そして、二次電池本体が、この凹部8に収納された後、端部7で熱封緘されるのである。ところで、絞り成形する際には、雄型と雌型との間に二次電池用外装材料1を挟み、雄型によって雌型内に二次電池用外装材料1を押し込むことによって、行われる。このとき、熱封緘層10が雄型(又は雌型)と接触していれば、雄型(又は雌型)と熱封緘層10とが良く滑らなければならない。何故なら、滑りが悪いと、特定の箇所に過大な応力が負荷され、外装材料本体に割れや破れが生じるからである。特に、外装材料本体中にアルミニウム箔等の金属箔が用いられている場合には、金属箔に割れが生じやすいということがあった。このような割れが生じると、この部分から、二次電池本体を構成している電解質等が漏れるという欠点が生じる。なお、このような欠点は、二次電池用外装材料について言えるだけでなく、他の包装材料についても言えることである。
【0005】
従来より、熱封緘層10として用いられている酸変成ポリオレフィンフィルムは、この滑り性が悪く、絞り成形時に、しばしば包装材料本体の金属箔に割れが生じるということがあった。このため、酸変成ポリオレフィンフィルム中に、界面活性剤等のスリップ剤を含有させることが試みられているが、滑り性の改良は不十分であった。この理由は、定かではないが、以下のように考えられる。即ち、酸変成ポリオレフィンフィルム中に界面活性剤等のスリップ剤を含有させておいても、表面にブリードアウトしにくく、内部に内包されたままになっているのではないかと考えられる。また、酸変成ポリオレフィンフィルムの取り扱い時や包装材料本体に貼着する際の熱で、表面にブリードアウトしたスリップ剤がロール等に付着したり、気化したりして、スリップ剤そのものが消失してしまっているのではないかと考えられる。
【0006】
このようなことから、熱封緘層10である酸変成ポリオレフィンフィルムの表面に、スリップ剤を塗布すれば、熱封緘層10の滑り性が改良しうると考えられる。しかし、本発明者等が実際に実験を行った結果、熱封緘層10の表面にスリップ剤を塗布すると、熱封緘時にスリップ剤が悪影響を及ぼし、熱封緘による接着強度が低下するということがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、熱封緘層の滑り性を良好にすると共に、熱封緘による接着強度の低下も防止しうる包装材料を用いて良好な絞り成形方法を提供することを課題するものである。本発明者は、このような課題を解決すべく、鋭意研究を行っていたところ、熱融着性粒子とスリップ剤とよりなるオルガノゾルを、熱封緘層表面に塗布してなる包装材料は、特定の絞り成形方法において、熱封緘層の滑り性を良好にしうると共に、熱封緘による接着強度の低下も防止しうることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、雄型と雌型との間に包装材料を挟み、雄型によって雌型内に該包装材料を押し込むことにより該包装材料を絞り成形する方法であって、該包装材料として、包装材料本体と、該包装材料本体の片面に熱封緘層として貼着された酸変成ポリオレフィンフィルムとからなり、該熱封緘層面には、酸変成ポリオレフィン粒子とスリップ剤とを含有するオルガノゾルが塗布されることによって形成されたスリップ層が設けられているものを用いることを特徴とする包装材料の絞り成形方法に関するものである。
【0009】
包装材料本体9としては、金属箔や合成樹脂製フィルム等の従来公知のどのようなものでも用いられる。特に、本発明は絞り成形時の割れ防止に主眼をおくものであるため、金属箔を用いるのが好ましい。金属箔としては、アルミニウム箔,ステンレス箔,鉄箔或いは銅箔等のどのようなものであっても良い。包装材料は軽量であること、安価であること等が要求されるので、一般的には、アルミニウム箔を用いるのが好ましい。また、包装材料本体9は、アルミニウム箔等の金属箔と合成樹脂製フィルムとの貼合物であっても良く、更に、複数枚の金属箔又は複数枚の合成樹脂製フィルムとの貼合物であっても良い。なお、本発明に用いる包装材料が、二次電池用外装材料である場合には、二次電池の短絡防止のため及び金属箔と他の層との剥離を防止するため、金属箔の両面又は片面に、酸化処理やクロム処理等を施しておくのが好ましい。
【0010】
包装材料本体6の片面には、熱封緘層10が設けられている。熱封緘層10としては、酸変成ポリオレフィンフィルムが用いられる。ここで、酸変成ポリオレフィンとは、ポリエチレン又はポリプロピレンの側鎖にジカルボン酸を付加したものであり、一般的にはポリプロピレンの側鎖にマレイン酸又は無水マレイン酸を付加させたものである。熱封緘層10の厚さは、任意でよく、例えば5〜100μm程度で良く、特に7〜20μm程度が良い。
【0011】
熱封緘層10の表面には、スリップ層11が設けられている。このスリップ層11は、酸変成ポリオレフィン粒子とスリップ剤とを含有するオルガノゾルを、熱封緘層10表面に塗布することによって、設けられるものである。ここで、オルガノゾルとは、酸変成ポリオレフィン粒子が有機液体中にコロイド状で分散しているコロイド溶液であり、本発明では、このコロイド溶液中にスリップ剤が混合されている。酸変成ポリオレフィン粒子の平均粒径は任意でよく、例えば5〜10μm程度で良く、特に6〜8μm程度が良い。また、酸変成ポリオレフィン粒子の含有量は、オルガノゾル中に5〜50重量%程度である。有機液体としては、炭化水素系の液体が用いられ、主としてトルエンを用いるのが好ましい。そして、スリップ剤は、酸変成ポリオレフィン粒子の重量に対して、5〜30重量%程度、特に7〜25重量%程度含有させておくのが良い。スリップ剤の量が5重量%未満であると、熱封緘層10表面の滑り性が不十分となる傾向が生じる。逆に、スリップ剤の量が30重量%を超えると、熱封緘層10による接着強度が低下する傾向が生じる。
【0012】
スリップ剤としては、種々の物質を用いることができるが、粒子状乃至粉末状のものとしては、黒鉛,タルク,雲母,四フッ化エチレン樹脂粒子や全芳香族系ポリエステル樹脂粒子等の合成樹脂粒子,シリカ粉末,炭化物粒子等が用いられる。粒子状乃至粉末状のスリップ剤を用いる場合、その平均粒子径は0.3〜10μmであるのが好ましく、特に3〜6μmであるのがより好ましい。平均粒子径が0.3μm未満であると、熱封緘層10の滑り性が不十分になる傾向が生じる、また、平均粒子径が10μmであると、熱封緘層10による接着強度が低下する傾向が生じる。なお、平均粒子径は、コールターカウンターで測定した中心粒径(メジアン径)のことである。
また、繊維状のものとしては、ガラス繊維,金属繊維,耐熱性合成繊維等が用いられる。また、液状乃至ペースト状のものとしては、ワックスや界面活性剤等が用いられる。界面活性剤としては、スルホン酸系のアニオン性界面活性剤、アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、アルコールエーテル系の非イオン性界面活性剤、ベタイン系の両性界面活性剤を用いることができる。特に、本発明に係る包装材料を、二次電池用外装材料として使用するときは、帯電しにくいスリップ剤を用いるのが好ましい。例えば、界面活性剤の場合には、非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、特に、高級アルコールにアルキレンオキシドを所定モル付加した非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
【0013】
スリップ層11の厚さは任意であるが、一般的に、熱封緘層10の厚さよりも薄いものであるのが好ましい。従って、一般的に、5μm以下であるのが好ましく、特に1〜3μm程度であるのが好ましい。スリップ層11の厚さが5μmを超えると、熱封緘層10による接着をスリップ層11が阻害する傾向となる。
【0014】
包装材料本体9の他面、即ち、包装材料本体9の熱封緘層10が貼着されているのと反対面には、滑り性の良好な滑り性フィルムが貼合されているのが好ましい。包装材料本体9の熱封緘層10側、及びその反対側の両方で、滑り性を良好にし、包装材料本体9に割れや破れが生じるのを防止しうるからである。滑り性フィルムとしては、フッ素系フィルムやシリコーン系フィルム等を用いることができる。即ち、従来、剥離性の良好なフィルムとして知られているものであれば、どのようなものでも採用しうる。
【0015】
本発明に係る方法で用いる包装材料は、二次電池本体を収納包装しうる二次電池用外装材料として好適である。しかし、その他の収納物を包装するための包装材料であってもよいことは、言うまでもない。そして、この包装材料を雄型と雌型との間に挟み、雄型によって雌型内に包装材料を押し込むことにより絞り成形するのである。
【発明の効果】
【0016】
本発明で用いる包装材料は、熱封緘層面にスリップ層が設けられている。本発明に係る方法において、このスリップ層が良好な滑り性を発揮する理由は、以下のように考えられる。即ち、このスリップ層は、酸変成ポリオレフィン粒子とスリップ剤とを含有するオルガノゾルが塗布されて形成されたものである。従って、スリップ層は、酸変成ポリオレフィン粒子の融着によって形成されるため、スリップ剤は粒子間隙に留まり、粒子内に取り込まれにくく(図6及び図7参照)、スリップ剤の持つ固有の滑り性を発揮すると考えられるのである。また、スリップ層中の酸変成ポリオレフィン粒子は、熱封緘層を構成している酸変成ポリオレフィンフィルムと同一の材料であるから、熱封緘時においても、熱封緘層の接着を阻害しにくいと考えられる。
【0017】
従って、本発明に係る絞り成形方法において、かかる包装材料を用いた場合、絞り成形機の雄型乃至雌型の滑り性が良好で、包装材料本体に過大な応力が負荷されにくいため、包装材料本体に割れや破れが生じにくいという効果を奏する。しかも、絞り成形した後、熱封緘する際にも、熱封緘層の接着強度の低下をある程度防止でき、良好に熱封緘しうるという効果を奏する。
【0018】
また、この包装材料を用いて絞り成形すれば、従来のものに比べて、より深く成形することが可能となる。従って、成形した凹部が深くなり、例えば、電池容量を増大させるため二次電池本体が厚くなったとしても、これを収納包装しうるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】シート状で薄型のポリマーリチウムイオン二次電池の内部構造の一例を示した模式的断面図である。
【図2】包装材料の一般例を示した模式的断面図である。
【図3】本発明の一例で用いる包装材料の模式的断面図である。
【図4】絞り成形機の雌型の一例を示す模式的平面図である。
【図5】図4に示した雌型のA−A線断面の模式図である。
【図6】実施例2に係る方法で得られた包装材料のスリップ層表面のSEM写真であり、倍率は1000倍である。
【図7】実施例2に係る方法で得られた包装材料のスリップ層表面のSEM写真であり、倍率は5000倍である。
【実施例】
【0020】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、熱融着性粒子とスリップ剤とよりなるオルガノゾルを、熱封緘層表面に塗布した包装材料を用いて絞り成形した場合、熱封緘層の滑り性を良好にしうると共に、熱封緘による接着強度の低下も防止しうるとの知見に基づくものとして解釈されるべきである。
【0021】
実施例1
両面クロム化成処理皮膜が形成された厚さ50μmのアルミニウム箔の片面に、平均粒径7μmの無水マレイン酸変成ポリプロピレン粒子15重量部とトルエン85重量部よりなるオルガノゾルを塗布し、その後、200℃で20秒間の条件で乾燥し、厚さ2μmの接着性皮膜を形成した。そして、厚さ30μmのポリプロピレンフィルムの両面に、厚さ10μmの無水マレイン酸変成ポリプロピレンフィルムが貼合された三層共押出フィルムを、温度200℃、圧力200kPa、時間1秒間の条件で、接着性皮膜上に圧着した。その後、前記アルミニウム箔の他面に、厚さ12μmのポリエステルフィルムを、ウレタン系接着剤を介して貼合した。以上のようにして、ポリエステルフィルム,ウレタン系接着剤,アルミニウム箔,接着性皮膜,三層共押出フィルム(無水マレイン酸変成ポリプロピレンフィルム/ポリプロピレンフィルム/無水マレイン酸変成ポリプロピレンフィルム)の順で積層された積層物を得た。この積層物は、三層共押出フィルムのうち、露出した無水マレイン酸変成ポリプロピレンフィルムが熱封緘層となり、ポリエステルフィルム,ウレタン系接着剤,アルミニウム箔,接着性皮膜,三層共押出フィルムのうち、接着性皮膜と貼着されている無水マレイン酸変成ポリプロピレンフィルム及びポリプロピレンフィルムが包装材料本体となるものである。
【0022】
この積層物の熱封緘層面に、平均粒径7μmの無水マレイン酸変成ポリプロピレン粒子15重量部と、平均粒径4μmの低分子量四フッ化エチレン樹脂微粉末1.5重量部とトルエン85重量部よりなるオルガノゾルを塗布し、その後、200℃で20秒間の条件で乾燥し、厚さ2μmのスリップ層を形成した。以上のようにして、包装材料を得た。
【0023】
実施例2
低分子量四フッ化エチレン樹脂微粉末が4.5重量部含有されたオルガノゾルを用いる他は、実施例1と同様にして包装材料を得た。実施例2で得られた包装材料について、そのスリップ層表面のSEM写真を撮影したところ、図6及び図7に示したとおりであった。図6は1000倍の倍率で、図7は5000倍の倍率で撮影したものであり、20がスリップ剤(低分子量四フッ化エチレン樹脂微粉末)であり、21は無水マレイン酸変成ポリプロピレン粒子の融着によって形成された皮膜である。なお、SEM写真は、使用機器;日本電子製 JSM−840A型、試料前処理;Au蒸着、撮影角度;45°傾斜(1000倍),30°傾斜(5000倍)、加速電子;15KVの条件で撮影したものである。
【0024】
実施例3
低分子量四フッ化エチレン樹脂微粉末が6.75重量部含有されたオルガノゾルを用いる他は、実施例1と同様にして包装材料を得た。
【0025】
実施例4
低分子量四フッ化エチレン樹脂微粉末が10.5重量部含有されたオルガノゾルを用いる他は、実施例1と同様にして包装材料を得た。
【0026】
比較例1
低分子量四フッ化エチレン樹脂微粉末が含有されていないオルガノゾルを用いる他は、実施例1と同様にして包装材料を得た。
【0027】
比較例2
スリップ層を設けない他は、実施例1と同様にして包装材料を得た。
【0028】
実施例1〜4及び比較例1,2で得られた包装材料について、以下の試験を行った。そして、この結果を表1に示した。
〔静摩擦係数〕:スリップ層表面(比較例2については熱封緘層)に質量200gのSUSを置き、JIS P8147「紙及び板紙の摩擦係数試験」にある傾斜方法に準拠して、静摩擦係数(tanθ)を測定した。
〔熱封緘による接着強度〕:スリップ層表面(比較例2については熱封緘層)同士を当接して、200℃、200kPa、1秒間の条件で圧着して接着試料を作成する。接着試料の巾を15mmに裁断し、90°剥離試験を、引張速度200mm/minの条件で行い、接着強度(N/15mm巾)を測定した。
〔絞り成形性〕:図4及び図5に示すような絞り成形機(雌型)を用いて、絞り深さhを2.5mm,3.0mm,3.5mm,4.0mm,4.5mmの5段階に変更し、この雌型に合う雄型で絞り成形した。そして、コーナー部及び直線部で、包装材料本体に割れが発生するか否かを目視により観察した。
【0029】
【表1】

(注)表1中「○」は、コーナー部及び直線部の両方で割れが確認できなかったものであり、「×」は、直線部で割れが確認できたものであり、「××」は、コーナー部及び直線部の両方で割れが確認できたものである。
【0030】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4に係る包装材料は、比較例1及び2に係る包装材料に比べて、摩擦係数が小さく、しかも絞り成形時においても包装材料本体に割れの生じにくいものであることが分かる。
【符号の説明】
【0031】
9 包装材料本体
10 熱封緘層
11 スリップ層
20 スリップ剤(低分子量四フッ化エチレン樹脂微粉末)
21 無水マレイン酸変成ポリプロピレン粒子の融着によって形成された皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄型と雌型との間に包装材料を挟み、雄型によって雌型内に該包装材料を押し込むことにより該包装材料を絞り成形する方法であって、該包装材料として、包装材料本体と、該包装材料本体の片面に熱封緘層として貼着された酸変成ポリオレフィンフィルムとからなり、該熱封緘層面には、酸変成ポリオレフィン粒子とスリップ剤とを含有するオルガノゾルが塗布されることによって形成されたスリップ層が設けられているものを用いることを特徴とする包装材料の絞り成形方法。
【請求項2】
酸変成ポリオレフィンが無水マレイン酸変成ポリオレフィンである請求項1記載の包装材料の絞り成形方法。
【請求項3】
スリップ剤が合成樹脂粒子である請求項1又は2記載の包装材料の絞り成形方法。
【請求項4】
スリップ剤が非イオン性界面活性剤である請求項1又は2記載の包装材料の絞り成形方法。
【請求項5】
包装材料本体の他面に、フッ素系フィルム等の滑り性フィルムが貼合されてなる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装材料の絞り成形方法。
【請求項6】
包装材料が二次電池用外装材料である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料の絞り成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−234665(P2009−234665A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164941(P2009−164941)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【分割の表示】特願2000−48745(P2000−48745)の分割
【原出願日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願人】(000231626)日本製箔株式会社 (49)
【Fターム(参考)】